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JP3793465B2 - 大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有する化粧料組成物 - Google Patents

大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有する化粧料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有してなる化粧料組成物、特にスキンケア化粧品に匹敵する保湿効果を有する粉末状メーキャップ化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧料組成物は、人間の本能的な欲望である自己をより美しく魅力あるものに表現するために使用され、その使用感や皮膚への密着感の向上や保湿効果のさらなる改善等を目的として開発が続けられている。
【0003】
例えば、特開平10−72335号は、単細胞化植物を含んでなる皮膚外用剤について記載している。この皮膚外用剤は、植物、海藻等の細胞壁を有する天然素材を酵素処理や機械的分解等の手段により、細胞壁を分解せずに、細胞間物質を分解又は破壊して得られる液状組成物又は凍結乾燥品を含有することを特徴としており、単細胞化する植物として、ニンジン、アロエ、フリージア、イリス根が挙げられている。また、酵素処理に使用される酵素としては、AspergillusnigerやRhizopus等の微生物由来のポリガラクツロナーゼやペクチナーゼが例示されている。このような単細胞化植物を外用剤中に含有させることにより、その植物中の有効成分の経時的安定性、保湿効果の改善、および特定のフリーラジカルの除去効果等を得ている。例えば、ニンジンを単細胞に分離して得られる粉末を皮膚外用剤中に配合する場合は、β−カロチン等のニンジン中の有効成分の経時的安定性、保湿効果およびヒドロキシラジカルの除去効果に優れ、アロエを単細胞に分離して得られる粉末を皮膚外用剤中に配合する場合は、アロエニン等のアロエ中の有効成分の経時安定性および保湿効果に優れると共に、皮膚の真皮層を形成する繊維芽細胞の増殖を促進する効果が得られると記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように、自己をさらに美しく表現したいという使用者の要求をさらに高いレベルで満足させる観点から、従来の化粧料組成物には依然として改善の余地が残されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の目的は、スキンケア化粧料に匹敵する保湿効果を発揮すると共に、従来にない皮膚への密着感、長時間使用後における肌乾燥感の防止等の多機能を有する化粧料組成物を提供することにある。
【0006】
すなわち、本発明の化粧料組成物は、大豆を単細胞に分離して得られる粉末及びタルクを含有してなる化粧料組成物であって、前記粉末の配合量は化粧料組成物の全重量に関して6〜35%であり、前記粉末とタルクの配合比が2〜1:1〜4であることを特徴とする。本明細書において、大豆の単細胞粉末とは、原料大豆の個々の細胞を単細胞に分離して得られた粉末を意味する。
【0007】
大豆の単細胞粉末としては、Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを用いた酵素処理を原料大豆に実施して得られるものを使用することが特に好ましい。
【0008】
また、本発明の化粧料組成物は、大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有し、前記粉末の配合量が化粧料組成物の全重量に関して6〜35%であり、結合剤を含有しないバインダーフリーの粉末固形化粧料組成物であることを特徴とする
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の化粧料組成物について詳細に説明する。
【0010】
本発明の化粧料組成物は、少なくとも大豆を単細胞に分離して得られる単細胞粉末を含有することを特徴とする。したがって、大豆の単細胞粉末だけでなく、大豆単細胞粉末とえんどう豆のような他の豆類の粉末との混合物を使用してもよい。
【0011】
大豆の単細胞粉末としては、Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを用いた酵素処理によりを原料大豆を個々の単細胞に分離して得られる粉末を使用することが特に好ましい。この酵素処理については、すでに国際公開番号WO01/10242の明細書に記載されているので、ここではその詳細な説明を省略するが、簡単に言うと、大豆を水に所定時間浸漬した後、蒸煮のように水の存在下で大豆を加熱する。加熱した大豆を冷却し、次いで、水とBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加し、得られた混合物を所定時間攪拌する。この酵素処理により、大豆の単細胞が分散するスラリーが得られる。ペクチナーゼを失活させて酵素処理を完了した後、得られたスラリーをスプレードライヤー等の乾燥法により乾燥すれば大豆の単細胞粉末が得られる。
【0012】
上記方法によって得られた大豆の単細胞粉末は、細胞間を接合するための細胞間物質のみが酵素処理によって破壊もしくは分解されるので、個々の大豆細胞の細胞膜は健全な状態に保たれている。その結果、大豆の単細胞粉末には、大豆特有の匂いがほとんどない。また、分離された個々の大豆細胞内に蓄えられた水分として定義される"セルウォーター"は蒸散しにくく優れた保水性を発揮する。この大豆の単細胞粉末を化粧料組成物に配合する場合、以下に述べるように、従来にない皮膚への密着感、長時間使用後における肌の乾燥感防止、コストパフォーマンス等の多くの面で極めて優れた効果が得られる。
【0013】
すなわち、大豆は、蛋白質、糖質、脂質、ビタミンE、レシチン、およびイソフラボン等をバランスよく含む天然素材であることはよく知られているが、特に、大豆に豊富に含まれるビタミンEは抗酸化作用を有し、細胞の老化を防ぐとともに、紫外線や乾燥から肌を守るスキンケア成分としての機能を発揮する。また、大豆に含まれるレシチンも、細胞膜の働きを正常にして老化防止や肌の若返り効果をもたらす。さらに、近年注目を集め、大豆に含まれるイソフラボンは美白・細胞活性・抗酸化作用を有する。これらの成分は大豆から抽出して得られる成分であるが、レシチンやイソフラボン等を大豆から抽出する方法が複雑であるため高価であり、これらの成分をバランスよく含む化粧料はたとえ製造したとしても極めて高価なものとなってしまう。
【0014】
しかしながら、本発明の化粧料組成物によれば、原料大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有するので、脂質やビタミンEに加えて前記スキンケアに有効な高価な成分を大豆細胞本来の成分バランスのままで配合することができる。したがって、大豆からの個々の特定成分の抽出等の特別な操作を必要とすることなく、大豆に含まれるスキンケア成分をバランスよく含み、コストパフォーマンスに優れた化粧料組成物を提供することが可能となる。
【0015】
また、化粧料組成物、特に粉末状メーキャップ化粧料組成物には、所定量のタルクが含まれている。タルクは、粉末状メーキャップ化粧料組成物の使用時に肌上でのすべり感を与えるという重要な効果を有する反面、吸油量および吸水量が高いという問題がある。すなわち、タルクの高い吸油量のため、従来は粉末固形メーキャップ化粧料組成物の成形性を確保するために結合剤の使用が必須となっていた。また、タルクの高い吸水量は、粉末状メーキャップ化粧料組成物の使用時および使用後に肌の乾燥感を生じさせる原因となる。このように、肌上での良好なすべり感を提供するためにタルクの使用は重要であるが、結合剤の必要性や肌乾燥感の抑制の観点からはその使用量をいかに低減するかが課題となる。
【0016】
そこで、本発明においては、化粧料組成物、特に粉末状メーキャップ化粧料組成物に大豆の単細胞粉末を添加することによって、これらの課題を顕著に改善することに成功した。すなわち、本発明者らは、大豆の単細胞粉末がタルクに匹敵する肌上でのすべり感を提供し、タルクの一部もしくは大部分を大豆の単細胞粉末で置き換えることができることを見出した。また、大豆の単細胞粉末の個々の細胞内に蓄えられたセルウォーターによる保水効果が、タルクにより生じる肌乾燥感を抑制する。したがって、タルク配合量の減少によって肌乾燥感を抑制するだけでなく、大豆単細胞の持つ保水性によって肌乾燥感がより一層抑制されるのである。
【0017】
さらに、本発明者らは、大豆の単細胞粉末を使用することによって、もはや粉末固形メーキャップ化粧料組成物を成形するための結合剤を一切使用することなく、所望の成形性が得られることも見出した。この効果は、結合剤を必須としてきた粉末固形メーキャップ化粧料組成物にとっては革命的ともいえるものである。これによって、メーキャップやスキンケア等の化粧料組成物本来の目的ではなく、その成形性確保のために添加されてきた結合剤成分を排除し、従来に比してメーキャップやスキンケアに有効な成分の含有量を大幅に高めることができるようになった。尚、これらの効果は、ニンジン、アロエ、フリージア、イリス根等の他の植物の単細胞粉末を使用することによっては得られない大豆の単細胞粉末を化粧料組成物に含有させることによってのみもたらされる本発明に固有の効果である。このように、本発明によれば、大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有し、スクワラン、イソオクタン酸イソセチル、イソステアリン酸等の結合剤を含有しない(バインダーフリーの)化粧料組成物を提供することができる。
【0018】
前記したように、本発明の化粧料組成物は、粉末状メーキャップ化粧料組成物として使用されることが特に好ましい。一般に、皮膚表面は、核が消失した表皮細胞よりなる角質層と、その細胞間物質、すなわち、トリグリセライド、コレステロール、コレステロールエステル、スクワレン、脂肪酸、セラミド等の皮脂より構成されている。スキンケア化粧品は、皮脂と相溶性の良い油分、界面活性剤と水との乳化組成物を含むので、その使用感も保湿効果も十分に満足できる域に達している。しかしながら、粉末状メーキャップ化粧料組成物は、その使用目的のためスキンケア化粧品と同じ主成分を使用することが実質的に不可能であり、スキンケア化粧品と同等の機能を粉末状メーキャップ化粧料組成物に付与することが課題とされてきた。
【0019】
従来の粉末状メーキャップ化粧料の主原料は、チタン、タルク、マイカ、シリカ、亜鉛華等の無機体質顔料と酸化鉄を主体とする有色無機顔料であり、皮膚表面と良好な相溶性を有する材料がない。粉末形状で皮膚表面に相溶性の良い素材を開発するため、例えば、無機原料への表面コートや有機樹脂粉末などの開発が試みられたが、いずれも満足のいく結果を得るには至っていない。本発明では、大豆という天然素材を単細胞の状態で化粧料組成物に添加することによってこの問題点も解消することに成功した。
【0020】
本発明のさらなる目的は、上記したように、大豆の単細胞粉末およびタルクを少なくとも含有してなる化粧料組成物を提供することにあるが、この化粧料組成物は、それ以外にも目的に応じて所定量のマイカ、セリサイトおよびカオリン等のパール剤、チタン等の隠蔽剤、着色顔料、香料、防腐剤等を含有することができる。尚、大豆の単細胞粉末の配合量は、化粧料組成物の全重量に関して、1〜50%、好ましくは6〜35%である。配合量が1%に満たない時は、大豆の単細胞粉末の添加効果が十分に得られない恐れがある。また、配合量が50%を越えると、化粧料組成物をプレス成形する際に大豆油が成形体からにじみ出て、成形化粧品としての品質が低下する恐れがある。配合量が、6〜35%の範囲内である時は、大豆の単細胞粉末の使用によってもたらされる上記効果を安定して実現でき、スキンケア化粧品と同等の機能を有する粉末状メーキャップ化粧料組成物を製造するのに最適である。
【0021】
一方、タルクの配合量は、化粧料組成物(粉末状メーキャップ化粧料組成物)の全重量に関して、10〜80%であり、目的とする用途によって適宜最適な範囲が設定される。例えば、粉末状メーキャップ化粧料組成物を作製する場合には、タルクの配合量を化粧料組成物の全重量に関して20〜30%とすることが特に好ましい。また、大豆の単細胞粉末配合量:タルク配合量の比に関しては、単細胞粉末:タルクが2〜1:1〜4の範囲(実施例1〜5)とすることが好ましく、より好ましくは0.7〜1:1〜0.7(実施例1〜4)である。
【0022】
(実施例)
[大豆の単細胞粉末の製造]
本発明の化粧品組成物を作製するため、PCT出願WO01/10242に記載されているのと同様の方法により大豆の単細胞粉末を得た。
【0023】
すなわち、1.1kgの乾燥大豆を水洗した後、水中に12時間浸漬した。次に、浸漬に使用した水を捨てることなく、大豆を水から引き上げた。この時、大豆は水分を吸収して膨潤し、全重量が2.2kgになっていた。次に、圧力鍋を使用して120℃、1.1kg/cm2、10分間の条件で大豆を蒸煮した。蒸煮した大豆を60℃に冷却した後、浸漬に使用した水2.2kgおよび乾燥大豆の重量に関して0.1wt%のBacillus属の微生物が産生したペクチナーゼ(ナガセ生化学社製)とを大豆に添加して第1混合物を得た。
【0024】
この第1混合物を攪拌しながら、60℃で30分間保持することにより酵素処理を実施した。攪拌は、攪拌翼を30回転/分の速度で回転させて行った。この酵素処理後、大豆細胞の単細胞への分離状態を調べるために顕微鏡観察を実施した。30分の酵素処理によりほぼ完全に大豆細胞が単細胞に分離されていることが確認され、酵素処理は30分行えば十分であった。また、分離された個々の大豆細胞は、図1および図2に示すように、ダメージを受けることなく健全な状態にあり、その分散状態も良好であった。
【0025】
このようにして、大豆の単細胞が分散するスラリー(液状加工大豆)が得られた。次いで、ペクチナーゼの酵素作用を失活させるために、スラリーを100℃で15分間加熱した。その後、このスラリーをスプレードライヤーにより乾燥して本発明の化粧料組成物製造用の大豆単細胞粉末を得た。この大豆単細胞粉末の成分分析結果を表1に示す。また、大豆単細胞粉末中のイソフラボン成分について定量分析した結果を表2に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003793465
【0027】
【表2】
Figure 0003793465
【0028】
[実施例1および比較例1]
上記した大豆単細胞粉末を使用し、本発明の化粧料組成物として表3に示す組成の粉白粉(ルースパウダー)を製造した。粉白粉は、油分などを配合しないで、ほとんどが粉体原料のみで構成される粉末状メーキャップ化粧料である。この粉白粉は、以下のようにして製造した。すなわち、表3に示す配合量となるように、大豆単細胞粉末、タルク、セリサイト、カオリン、チタンおよび着色顔料を計量し、ブレンダーにて混合した。これに残りの炭酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛および防腐剤を添加してよく混合し、調色した。次いで、香料を噴霧して均一に混合した。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通して実施例1の粉白粉を得た。
【0029】
尚、大豆単細胞粉末の代りに、タルクの量を増量し、表3の組成になるように配合したことを除いては実施例1と同様の手順により比較例1の粉白粉を得た。
【0030】
【表3】
Figure 0003793465
【0031】
[実施例2および比較例2]
上記した大豆単細胞粉末を使用し、本発明の化粧料組成物として表4に示す組成の固形白粉を製造した。この固形白粉は、実施例1の粉白粉を成形して携帯用としたものであり、機能的には粉白粉とほぼ同じである。一般に、粉体を成形する場合は結合剤として約5%の油分を配合する必要があるが、本発明の化粧料組成物は大豆の単細胞粉末を含有しているので、そのような結合剤の添加は全く必要なかった。
【0032】
尚、大豆単細胞粉末の代りに、表4に示すように、タルク、セリサイト、カオリン、チタンの量を増量するとともに、結合剤として、スクワランおよびトリイソオクタン酸グリセリンをそれぞれ少量添加したことを除いては実施例2と同様の手順により比較例2の粉白粉を得た。
【0033】
【表4】
Figure 0003793465
【0034】
[実施例3および比較例3]
上記した大豆単細胞粉末を使用し、本発明の化粧料組成物として表5に示す組成のパウダリーファンデーションを製造した。このパウダリーファンデーションは、以下のようにして製造した。すなわち、表5に示す配合量となるように、大豆単細胞粉末、各種処理されたセリサイト、マイカ、タルク、チタンおよび着色顔料を計量し、ブレンダーにて混合した。これに残りのチタン−亜鉛華複合粉体、ナイロンパウダー、ステアリン酸亜鉛、防腐剤を添加してよく混合し、調色した。次いで、香料を噴霧して均一に混合した。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通し、得られた粉末を圧縮成形して実施例3のパウダリーファンデーションを得た。
【0035】
一般に、パウダリーファンデーションは、肌色補正の観点から、着色顔料や白色顔料が固形白粉よりも多く配合される。そのため、粉体を成形するための結合剤が固形白粉よりも多く必要となり、スクワランや合成エステル油を約10%程度配合することが必要となるが、本発明の化粧料組成物は大豆の単細胞粉末を含有しているので、そのような結合剤の添加は全く必要なかった。これにより、今までにない独特のすべり感や密着感の付与、およびしっとりした後残り感を提供することが可能になった。
【0036】
尚、大豆単細胞粉末の代りに、表5に示すように、シリコーン処理板状タルクを増量すると共に、結合剤として、スクワラン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルポリシロキサン、およびポリエチレンオキサイド付加ジメチルポリシロキサンを合計で10.0重量%添加したことを除いては実施例3と同様の手順により比較例3のパウダリーファンデーションを得た。
【0037】
【表5】
Figure 0003793465
【0038】
[実施例4および比較例4]
上記した大豆単細胞粉末を使用し、本発明の化粧料組成物として表6に示す組成のケーキタイプファンデーションを製造した。このケーキタイプファンデーションは、以下のようにして製造した。すなわち、表6に示す配合量となるように、大豆単細胞粉末、カオリン、セリサイト、タルク、チタンおよび着色顔料を計量し、ブレンダーにて混合した。これに残りのチタン−亜鉛華複合粉体、防腐剤を添加してよく混合し、調色した。次いで、香料を噴霧して均一に混合した。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通し、得られた粉末を圧縮成形して実施例6のケーキタイプファンデーションを得た。
【0039】
一般に、ケーキタイプファンデーションとは、水を含ませた海綿やスポンジで使用する固形ファンデーションで、その清涼感から夏季に多用される。ウエットスポンジで取る時、クリ−ミーな感触を出すため、親水性界面活性剤が配合されることが特徴である。
【0040】
尚、大豆単細胞粉末の代りに、表6に示すように、タルク、カオリン、セリサイトを増量すると共に、結合剤として、スクワラン、イソオクタン酸イソセチル、イソステアリン酸を合計で14.0重量%添加したことを除いては実施例4と同様の手順により比較例4のケーキタイプファンデーションを得た。
【0041】
【表6】
Figure 0003793465
【0042】
[実施例5および比較例5]
上記した大豆単細胞粉末を使用し、本発明の化粧料組成物として表7に示す組成の両用(デュアルユース)ファンデーションを製造した。この両用ファンデーションは、以下のようにして製造した。すなわち、表7に示す配合量となるように、大豆単細胞粉末、シリコン処理マイカ、シリコーン処理タルク、シリコーン処理マイカ、シリコーン処理チタン、シリコーン処理超微粒子亜鉛華および着色顔料を計量し、ブレンダーにて混合した。これに残りのナイロンパウダー、ステアリン酸亜鉛、固形パラフィンを溶解したトリイソクタン酸グリセリン、ジメチルポリシロキサン、防腐剤を添加してよく混合し、調色した。次いで、香料を噴霧して均一に混合した。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通し、得られた粉末を圧縮成形して実施例5の両用ファンデーションを得た。
【0043】
両用ファンデーションとは、パウダリーファンデーションとケーキタイプファンデーションの両方の機能を有し、乾いたスポンジでも水で湿らせたスポンジでも使用できることからそう呼ばれている。現在では、サマーファンデーションの主流となっている。
【0044】
尚、大豆単細胞粉末の代りに、表7に示すように、トリイソクタン酸グリセリンを増量すると共に、結合剤として、スクワランを4.0重量%添加したことを除いては実施例5と同様の手順により比較例5の両用ファンデーションを得た。
【0045】
【表7】
Figure 0003793465
【0046】
[評価方法]
上記した実施例1〜5および比較例1〜5の化粧料組成物の使用感を評価するため、試験者である10人の女性にそれぞれの化粧料組成物をハーフフェイス法で使用してもらい、使用中および5時間経過後の使用感についてアンケートをとった。ここで、ハーフフェイス法とは、各試験者に顔の半分に実施例の化粧料組成物を使用してもらい、顔のもう半分に比較例の化粧料組成物をしてもらうことで実施例と比較例の化粧料組成物を同時に評価する方法を言う。尚、試験は、同一の洗顔料を用いた泡による5分間先顔行って肌条件を一定化した後実施した。また、明確な評価を得るために、プレメーキャップ乳液やクリームなどその他の化粧品は一切使用しなかった。評価は以下の項目について行った。
【0047】
(1)化粧料組成物の化粧用具による取出し容易性
粉白粉および固形白粉を取り出すための化粧用具としては、一般に使用されているパフを用い、ファンデーションの使用用具としては水なしスポンジパフを用いた。各試験者は、化粧料組成物の化粧用具による取出性が良いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、取り出し難いと感じた場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0048】
(2)化粧料組成物の肌上での伸び
各試験者は、化粧料組成物の肌上での伸びが良いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、伸びが悪いと感じた場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0049】
(3)化粧料組成物の肌上での密着感(付着感)
各試験者は、化粧料組成物の肌上での密着感が良いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、伸びが悪いと感じた場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0050】
(4)化粧料組成物の肌上での粉浮きの有無
各試験者は、化粧料組成物の肌上での粉浮きが無いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、粉浮きが有る場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0051】
(5)使用5時間後の肌上での粉浮きの有無
各試験者は、使用5時間経過後、化粧料組成物の肌上での粉浮きが無いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、粉浮きが有る場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0052】
(6)使用5時間後の肌上での油浮きの有無
各試験者は、使用5時間経過後、化粧料組成物の肌上での油浮きが無いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、油浮きが有る場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0053】
(7)使用5時間後における化粧料組成物の肌上での密着感(付着感)
各試験者は、使用5時間経過後、化粧料組成物の肌上での密着感が良いと感じた場合は2点、普通であると感じた場合は1点、密着感が悪いと感じた場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0054】
(8)使用5時間後における肌のしっとり感の有無
各試験者は、化粧料組成物の使用5時間経過後、肌のしっとり感が有る場合は2点、普通であると感じた場合は1点、しっとり感が無いと感じた場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0055】
(9)使用5時間後における肌のかさつき感の有無
各試験者は、化粧料組成物の使用5時間経過後、肌のかさつき感が無い場合は2点、普通であると感じた場合は1点、かさつき感が有ると感じた場合は0点を所定の用紙に記入する。
【0056】
[結果]
各評価項目について試験者が出した得点の合計点を表8に示す。表8の結果からわかるように、大豆の単細胞粉末を含有する本発明の化粧料組成物は、すべての評価項目において大豆の単細胞粉末を含まないものに比して優れており、特に5時間後の使用感に関して比較品との間の差が大きいことがわかる。
【0057】
【表8】
Figure 0003793465
【0058】
【発明の効果】
上記した実施例と比較例との間の差異からも明らかなように、本発明の大豆の単細胞粉末を含有する化粧料組成物は、保湿効果、皮膚への密着感、肌の乾燥感防止等の多機能にわたって優れた性能を発揮する。特に、本発明の化粧料組成物を粉末状メーキャップ化粧料組成物として使用する場合は、スキンケア化粧品とは異なる主成分で構成されているにもかかわらず、スキンケア化粧品に匹敵する保湿効果を有する粉末状メーキャップ化粧料組成物を提供することができる。また、固形白粉やパウダリーファンデーションのような化粧料組成物にあっては、従来、その成形性を確保するため結合剤の使用が必須であったが、本発明においては、大豆の単細胞粉末を添加したことにより一切の結合剤を使用することなく良好な成形性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧料組成物の製造に使用される大豆の単細胞粉末の顕微鏡写真(低倍率)である。
【図2】本発明の化粧料組成物の製造に使用される大豆の単細胞粉末の顕微鏡写真(高倍率)である。

Claims (5)

  1. 大豆を単細胞に分離して得られる粉末及びタルクを含有してなる化粧料組成物であって、前記粉末の配合量は化粧料組成物の全重量に関して6〜35%であり、前記粉末とタルクの配合比が2〜1:1〜4であることを特徴とする化粧料組成物。
  2. 上記粉末が、Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを用いた酵素処理を原料大豆に実施して得られる粉末であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
  3. 上記粉末とタルクの配合比が、0.7〜1:1〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
  4. 上記化粧料組成物は、結合剤を含有しないバインダーフリーの粉末固形化粧料組成物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
  5. 大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有し、前記粉末の配合量が化粧料組成物の全重量に関して6〜35%であり、結合剤を含有しないバインダーフリーの粉末固形化粧料組成物であることを特徴とする化粧料組成物
JP2002019166A 2002-01-28 2002-01-28 大豆を単細胞に分離して得られる粉末を含有する化粧料組成物 Expired - Fee Related JP3793465B2 (ja)

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