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JP3793106B2 - レクチル - Google Patents

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JP3793106B2
JP3793106B2 JP2002105081A JP2002105081A JP3793106B2 JP 3793106 B2 JP3793106 B2 JP 3793106B2 JP 2002105081 A JP2002105081 A JP 2002105081A JP 2002105081 A JP2002105081 A JP 2002105081A JP 3793106 B2 JP3793106 B2 JP 3793106B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影露光装置に用いるレチクルに関し、特に半導体素子製造の分野において、半導体ウエハ表面にレチクルの回路パターンを繰り返し縮小投影露光する際の自動焦点調整機能所謂オートフォーカス機能を有するステッパーと呼ばれる投影露光装置に用いるレチクルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子,LIS素子,超LSI素子等のパターンの微細化、高集積化の要求により、投影露光装置において高い解像力を有した結像(投影)光学系が必要とされてきている為、結像光学系の高NA化が進み結像光学系の焦点深度は浅くなりつつある。
【0003】
又、ウエハには、平面加工技術の点から、ある程度の厚さのばらつきと曲りを許容しなければならない。通常ウエハ曲りの矯正については、サブミクロンのオーダで平面度を保証する様に加工されたウエハチャック上にウエハを載せ、ウエハの背面をバキューム吸着することにより平面矯正を行っている。しかしながら、ウエハ1枚の中での厚さのばらつきや吸着手法、更にはプロセスが進む事によって生ずるウエハの変形については、いくらウエハの平面を矯正しようとしても矯正不能である。
【0004】
この為、レチクルパターンが縮小投影露光される画面領域内でウエハが凹凸を持つ為、実効的な光学系の焦点深度は、さらに浅くなってしまう。
【0005】
従って、縮小投影露光装置に於いては、ウエハ面を焦点面に(投影光学系の像面)に合致させる為の有効な自動焦点合わせ方法が重要なテーマとなっている。
【0006】
従来の縮小投影露光装置のウエハ面位置検出方法としては、エアマイクロセンサを用いる方法と、投影露光光学系を介さずにウエハ面に斜め方向から光束を入射させ、その反射光の位置ずれ量を検出する方法(光学方式)が知られている。
【0007】
一方、この種の投影露光装置では、投影光学系の周囲温度変化、大気圧変化、投影光学系に照射される光線による温度上昇、あるいは投影光学系を含む装置の発熱による温度上昇などにより焦点位置(像面位置)が移動し、これを補正しなければならない。従って、周囲の温度変化、大気圧変化を検出器によって計測したり、投影光学系内の一部の温度変化、大気圧変化を検出器により計測したりすることにより、投影光学系の焦点位置を計算し、補正を行っていた。
【0008】
しかしながら、この方法では、投影光学系のピント位置を直接計測していない為、温度,大気圧を計測する検出器の検出誤差、また温度変化量、大気圧変化量より、投影光学系のピント位置を計算し補正する際の、近似式である計算式に含まれる誤差により、高精度の投影光学系の焦点位置検出が不可能であるという欠点があった。
【0009】
このような問題を克服する方法として露光レンズを直に通してそのピント面を検出する、いわゆる、スルーザレンズオートフォーカスシステム(TTLAF)という方式が考案されている。図7は特開平1−286418で開示されたその従来例である。
【0010】
図7において、7はレチクルであり、レチクルステージ70に保持されている。レチクル7上の回路パターンが縮小投影レンズ8によって、xyzステージ10上のウエハ9上に1/5に縮小されて結像し、露光が行われる。図7では、ウエハ9に隣接する位置に、ウエハ9の上面とミラー面がほぼ一致する基準平面ミラー17が配されている。実際のレジストが塗布されたウエハを用いる代りに基準平面ミラー17を用いる理由はレジスト等によってだまされない為である。
【0011】
又、xyzステージ10は投影レンズ8の光軸方向(z)及びこの方向に直交する面内で移動可能であり、もちろん光軸のまわりに回転させることもできる。
【0012】
レチクル7は、同図の1〜6で示される照明光学系によって、回路パターンの転写が行われる画面領域内を照明されている。
【0013】
露光用の光源である水銀ランプ1の発光部は楕円ミラー2の第一焦点に位置しており、水銀ランプ1より発光した光は、楕円ミラー2の第二焦点位置に集光している。楕円ミラー2の第二焦点位置にその光入射面を位置付けたオプティカルインテグレーター3が置かれており、オプティカルインテグレーター3の光出射面は2次光源を形成する。この2次光源をなすオプティカルインテグレーター3より発する光は、コンデンサーレンズ4を介し、ミラー5により光軸(光路)が90°を折り曲げられる。尚、55は露光波長の光を選択的にとり出す為のフィルターで、56は露光の制御を行う為のシャッターである。このミラー5により反射された露光光は、フィールドレンズ6を介し、レチクル7上の、回路パターンの転写が行われる画面領域内を照明している。本実施例では、ミラー5は露光光を例えば5〜10%という様に部分的に透過する構成となっている。ミラー5を通過した光はレンズ52、露光波長を透過し光電検出に余分な光をカットするフィルター51を介して、光源のゆらぎ等をモニターする為の光検出器50に到達する。
【0014】
同図において11〜12は、公知のオフアクシスのオートフォーカス光学系を形成している。11は投光光学系であり、投光光学系11より発せられた非露光光である光束は、縮小投影レンズ8の光軸と交わる。基準平面ミラー17上の点(あるいはウエハ9の上面)に集光し反射されるものとする。この基準平面ミラー17で反射された光束は、検出光学系12に入射する。図示は略したが、検出光学系12内には位置検出用受光素子が配されており、位置検出用受光素子と基準平面ミラー17上の光束の反射点は、共役となる様配置されており、基準平面ミラー17の縮小投影レンズ8の光軸方向の位置ズレは、検出光学系12内の位置検出用受光素子上での入射光束の位置ズレとして計測される。
【0015】
この検出光学系12により計測された基準平面ミラー17の所定の基準面よりの位置ズレは、オートフォーカス制御系19に伝達される。オートフォーカス制御系19は、基準平面ミラー17が固設されたxyzステージ10を駆動する処の駆動系20に指令を与える。又、TTLでフォーカス位置を検知する時、オートフォーカス制御系19は基準ミラー17を所定の基準位置の近傍で投影レンズ8の光軸方向(z方向)に上下に駆動を行うものとする。また、露光の際のウエハ9の位置制御(図7の基準平面ミラー17の位置にウエハ9が配置される)もオートフォーカス制御系19により行われる。
【0016】
次に本発明である処の、縮小投影レンズ8のピント位置検出光学系について説明する。図8,図9において7はレチクル、21はレチクル7上に形成されたパターン部で遮光性をもつものとする。又、22はパターン部21に挟まれた遮光部である。ここで、縮小投影レンズ8のピント位置(像面位置)の検出を行う時は、xyzステージ10は縮小投影レンズ8の光軸方向に移動する。
【0017】
基準平面ミラー17は縮小投影レンズ8の光軸上に位置しており、レチクル7は、照明光学系1〜6により照明されているものとする。
【0018】
始めに、基準平面ミラー17が縮小投影レンズ8のピント面にある場合について図8を用いて説明する。レチクル7上の透過部22を通った露光光は、縮小投影レンズ8を介して、基準平面ミラー17上に集光し反射される。反射された露光光は、往路と同一の光路をたどり、縮小投影レンズ8を介しレチクル7に集光し、レチクル7上のパターン部21間の投光部22を通過する。この時、露光光は、レチクル7上のパターン部21にケラレることなく、全部の光束がパターン部21の透過部を通過する。
【0019】
次に、基準平面ミラー17が縮小投影レンズ8のピント面よりズレた位置にある場合について図9を用いて説明する。レチクル7上のパターン部21の透過部を通った露光光は、縮小投影レンズ8を介し、基準平面ミラー17上に達するが、基準平面ミラー17は、縮小投影レンズ8のピント面にないので、露光光は、広がった光束として基準平面ミラー17で反射される。即ち、反射された露光光は往路と異なる光路をたどり、縮小投影レンズ8を通り、レチクル7上に集光することなく、基準平面ミラー17の縮小投影レンズ8のピント面からのズレ量に対応した広がりをもった光束となってレチクル7上に達する。この時露光光はレチクル7上のパターン部21によって一部の光束がケラレを生じ全部の光束が投光部22を通過することはできない。即ちピント面に合致した時とそうでない時にはレチクルを通しての反射光量に差が生じるのである。
【0020】
図8,図9において説明した、基準平面ミラー17で反射された露光光の光束がレチクル7を通過した後の光路を、図10を用いて説明する。
【0021】
レチクル7を透過した露光光は、フィールドレンズ6を通りミラー5に達する。ミラー5は前述の様に露光光に対して5〜10%程度の透過率をもっているので、ミラー5に達した露光光の一部はミラー5を通過し、結像レンズ13を介し視野絞り14の面上に集光する。この時、レチクル7のパターンの存在する面と視野絞り14とは、結像レンズ13を介し、共役な位置にある。
【0022】
視野絞り14の開口部を通過した露光光は、集光レンズ15によって受光素子16に入光する。
【0023】
受光素子16の前面には、必要な場合は露光光のみを選択的に透過するフィルター51を配置するものとし、入射した露光光の光量に応じた電気信号を出力する。
【0024】
以下に、この受光素子16の信号出力を用いて、縮小投影レンズ8のピント位置(像面位置)を検出する方法について説明する。
【0025】
駆動系20により基準平面ミラー17ののったxyzステージ10を縮小投影レンズ8の光軸方向に、オフアクシスオートフォーカス検出系12で予め設定される計測の零点を中心に駆動させるものとする。この時、各位置でのオートフォーカス検出系12が計測する基準平面ミラー17の光軸方向の位置信号(オートフォーカス計測値z)と、基準平面ミラー17で反射された露光光を受光素子16で受光し、電気信号に変換することにより焦点面(像面)検出系18から得られる出力の関係は、図11に示す様になる。この時、検出系18の信号は光源1のゆらぎの影響を除く為、例えば検出系18の信号を検出系53の信号で規格化することにより基準光量検出系53からの信号で補正を受けるものとする。
【0026】
基準平面ミラー17が縮小投影光学系8のピント面に位置した場合に焦点面検出系18の出力はピーク値を示す。この時のオートフォーカス計測値zをもってして、縮小投影レンズ8を用いて、ウエハ9に露光を行う際の投影光学系8のピント位置とする(又は計測値zに基づいて予め設定しておいたピント位置を補正する。)。
【0027】
この様にして決まった投影レンズ8のピント位置はオフアクシスオートフォーカス検出系の基準位置となる。実際のウエハの焼付最良位置はこの基準位置からウエハの塗布厚や段差量等の値を考慮した分だけオフセットを与えた値となる。例えば多層レジストプロセスを用いてウエハを露光する場合には多層の一番上の部分だけを焼けば良いのでウエハのレジスト表面と基準位置はほぼ一致する。一方、単層レジストで露光光が基板に十分到達する様な場合、ウエハのピントはレジスト表面ではなく基板面に合致するので、この場合レジスト表面と基準位置の間に1μm以上のオフセットが存在する事も稀ではない。こうしたオフセット量はプロセス固有のもので投影露光装置とは別のオフセットとして与えられるものである。装置自体としては本発明の様な方法で投影レンズ8自体のピント位置を正確に求められれば充分であり、上記オフセット量は、必要な場合にのみオートフォーカス制御系19や駆動系20に対して投影露光装置の不図示のシステムコントローラを介して予め入力してやれば良い。
【0028】
このピント位置zの検出は、焦点面検出系18の出力のピークをもって決定してもよいが、その他にも色々な手法が考えられる。例えばより検出の敏感度を上げるために、ピーク出力に対してある割合のスライスレベルSLを設定し、このスライスレベルSLの出力を示す時のオートフォーカス計測値z,zを知ることにより、ピント位置を
【外1】
Figure 0003793106
【0029】
として決定しても良いし、又、ピーク位置を微分法を使って求める等の手法も考えられる。
【0030】
このようなTTLオートフォーカスシステムの長所は、投影光学系の周囲の温度変化、大気圧変化、露光光線による投影光学系の温度上昇等によって生じる投影光学系のピント位置(焦点位置)の経時変化を常時計測し補正をかけられるという点である。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
従来このようなTTLオートフォーカスの計測に使われるマークにはラインアンドスペースの繰り返しパターンを有するマークが良く用いられている。これは例えば図13の様にレチクル上で実素子(回路)パターン描かれた領域の外(KM,KS)に設けられる。そして、それらの線幅は投影光学系の解像限界に近い寸法のものである。その理由は、実際の回路パターン転写に際して、最も焦点深度の浅いのは投影光学系の解像限界付近のパターンであるという点、また、最良像面位置はパターン線幅によって異なるので、その意味からも最もフォーカスに敏感な最小線幅に対して像面を決定したい、という要求からである。
【0032】
しかしながら、このような細い線幅を使用した場合、投影光学系の収差によっては図11に示したAF信号波形が図12のようにくずれてしまい、AF計測不能となる場合があった。これは予め決められた出力値でスライスをするスライス法の場合、一つのスライス値に対して3点以上の交点(Z1,Z2,Z3)が発生し、ベストピント位置(深度中心)を求められなくなるからである。さらには、実際のパターン転写が始まると、縮小投影光学系の受ける熱の為に益々その波形くずれが悪化する傾向にあった。
【0033】
本発明の目的は、投影光学系の残存収差、或いは、露光による熱収差の影響を受けにくい、安定したフォーカス計測が可能となる、投影露光装置に用いるレチクルの提供にある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するたの本発明のレチクルの好ましい形態は、投影露光装置に用いるレチクルであって、回路パターンと、該回路パターンが描かれた領域外に設けられた前記投影露光装置の投影光学系の像面位置を検出するための繰り返しパターンと、を有し、前記繰り返しパターンの周期Pは、前記投影光学系の開口数をNA、投影倍率をβ、露光波長をλとした時、
2λ/(NAβ)<P<16λ/(NAβ)
を満たすことを特徴とする。
【0038】
上記レチクルの更に好ましい形態は、前記繰り返しパターンの周期Pは、
2.5λ/(NAβ)<P<6λ/(NAβ)
を満たすことを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
我々の解析結果によると、AF計測不能となる原因は投影光学系の持つ残存収差であり、露光時に発生する熱収差の影響である事が判った。図14に基づいて、以下に詳細を述べる。
【0040】
図14はレチクル上の回路パターンが投影光学系によって像面上に縮小結像される一般的な結像関係を示す図である。レチクルは不図示の照明系(左側)によって照明される。ここに一般的なTTLAF用マーク(投影光学系の解像限界に近い線幅のラインアンドスペースの繰り返しパターン)が存在すると多数の回折光が発生するが、このうち投影光学系の瞳面を通過してウエハやステージ基準マーク上への再結像に寄与するのは主に0次光と±1次光である。ちなみに、実際の照明0次光束はレチクルに対して角度的にある広がりを持っている。そのために±1次光以外の高次回折光の一部も投影光学系の瞳面を通過し結像に寄与すると考えられるが、この効果は補足的にしか利かない若しくは無視できる。したがって、以下の説明はいわゆる空間的コヒーレンス度が0以外の一般的露光照明システムについても成り立つ。
【0041】
一方、投影光学系には残存収差が存在する。これは設計上と製造上の両方で発生し得るものであり、球面収差、コマ収差、非点収差等、個々のレンズの偏芯及びレンズ間隔に起因するものも含む。
【0042】
図15ではその一例としてNAの4乗に比例する4次の球面収差が発生している場合を示している(横軸は瞳上の座標であり、投影光学系の最大開口数(NA)を1.0として正規化してある。縦軸は波面収差量(λ)である)。この様な投影光学系の最適ピント位置を求めるには、ウエハ面をわざとデフォーカスさせて収差のバランスをとる。すなわち、理論上デフォーカスによって発生する波面収差はNAの2乗に比例するので、これと残存球面収差とをキャンセルさせる。図15では、瞳の最外周(NA1.0)の位置で両方の収差の和を0としている。この場合、最終的に最適ピント位置で発生する残存収差量(WA)は次式で与えられる。
【0043】
WA=S×(NA)−S×(NA)・・・・式(1)
但し、Sの値は瞳面最外周で発生するレンズ固有の残存収差量であり、図15では実際的な値として1.0λとした。
【0044】
式(1)で発生する残存収差の最大値は同式を微分すれば容易に求まり、NA=0.7の位置でWA=0.25λである。各瞳座標位置(NA)での残存波面収差量を図16に示す。
【0045】
以上は投影光学系を片道通過した時、つまり、ウエハ面、ないしは、それと概ね同一ピント面にあるウエハもしくは基準マーク上での残存収差量を示した。ところが、図7で述べたコンフォーカルなTTLAF方式では計測光は投影光学系を往復する。光学理論に従えば、この場合、コマ収差、デイストーション等のいわゆる非対称収差は相殺されて0になるのに対して、球面収差、像面湾曲、そして、非点収差等の対称収差は2倍になる。(図16参照。)
片道、往復いずれの場合にも残存波面収差の量はNA=0.6から0.8の範囲で大きく、それ以外では小さい。また、収差曲線の変化率はNA=0.8以上の領域で大きい。このことは最良像面位置がわずかにずれただけでもこの領域の残存収差が大きく変動する事を意味している。つまり、安定性まで考慮すると、収差発生量の小さい領域はNA<0.5の領域である、といえる。
【0046】
次にマークの±1次回折光が縮小投影光学系の瞳面上を透過する位置について述べる。
【0047】
縮小投影光学系の開口数をNA、ウエハ上への投影倍率をβ、露光波長をλとすると、レチクル上のTTLAFマーク(デューティ比1:1のラインアンドスペースパターン)が解像限界線幅(=λ/(2NAβ))である時、この±1次回折光はレンズ瞳面上でその最外周の位置(NA=1.0)に分布する。また、マーク線幅がこの2倍より大きい時、その回折光はNA=0.5の内側の位置に分布する。
【0048】
以上、縮小投影光学系の残存収差とTTLAFマーク回折光の分布状態について説明してきたが、これから次の事が言える。
【0049】
つまり、縮小投影光学系の残存収差が発生している場合に、その解像限界に近い線幅のマークでTTLAF計測を行うと、マークの回折光が瞳面上で残存収差の影響を受け、その結像特性が悪化する。その影響度は、コンフォーカルなTTLAF系の場合、計測光路が縮小投影光学系を往復するので倍加される。その結果、計測精度が劣化したり、ひどい場合には、計測不能に陥ってしまう。さらに、パターン転写が進むと露光光の照射によって投影光学系の温度が上昇し、いわゆる、熱収差が発生する。実際の熱収差にはいろんな収差が存在するが、その主なものは球面収差である事が判っている。オートフォーカス信号はこれらの収差が重なって益々その波形くずれを悪化させてしまう。
【0050】
一方、線幅の太いマークでTTLAF計測を行うと、図11に示すような基準平面ミラーの光軸方向の位置の移動に対する、検出光量の変化が小さくなり、即ち検出感度が減少して、検出精度が劣化する。
【0051】
我々が検討した結果、TTLAF計測を良好に行うためのTTLAFマークのラインとスペースの繰り返し周期Pは、
2λ/(NAβ)<P<16λ/(NAβ)
を満たすことが条件となる。また、更に安定した計測を行うためには、
2.5λ/(NAβ)<P<6λ/(NAβ)
を満足する繰り返し周期Pを決定すると良い。
【0052】
(実施例1)
図1(A)は本発明第一の実施例であり、TTLAF計測に用いるレチクル上のマークを示している。縦線のラインアンドスペースパターンで、ラインとスペースの繰り返し周期が2λ/(NAβ)より広い。このマークを図7のシステムに適用すれば本発明の効果が達成される。図1(A)ではラインとスペースのデユーテイ比を1:1としているが、必ずしもこの値である必要はない。一般には、このデユーテイ比を変えると、回折光の強度は変化するが、その瞳面上での位置は変わらないからである。
【0053】
図1(B)は投影光学系の瞳面上での、その回折光の分布状態を示している。つまり、横軸上の黒いドットが±1次回折光を示していて、最大NA値(瞳半径)の0.5倍の位置より光軸側言い換えれば内側に存在する。これに対して、NAが0.6から0.8のリング状の領域(図中点線の範囲)は残存波面収差が大きい領域である。発生量は図16を参照の事。TTLAFマークの回折光が収差の小さい領域を選んで通過している事が判る。例えば、NA=0.6,λ=0.365μm,β=1/5の露光レンズの場合には、ラインとスペースの繰り返し周期は約6μmより大きくなる。
【0054】
(実施例2)
図2(A)は本発明第二の実施例であり、同じく横線のラインアンドスペース群である。図2(B)はこれの瞳面上分布であり、この場合、回折光は縦軸上に存在する。
【0055】
(実施例3)
図3(A)は本発明第三の実施例であり、同じく斜め45度線のラインアンドスペース群である。図3(B)はこれの瞳面上分布であり、この場合、回折光は斜め45度線上に存在する。
【0056】
(実施例4)
図4(A)は本発明第四の実施例である。このパターンは実素子回路パターンの内で、本発明の条件を満たすパターンの一例として取り上げた。縦線と横線の集合体であって、それらの回折光は図4(B)にあるように瞳面上で縦軸と横軸上に分布する。実素子中にこの様なパターンがあれば、それを模索してTTLAFマークとして利用する事ができる。これにより、図13のようにレチクル上にTTLAFマークを指定して設ける必要がなくなる。
【0057】
(実施例5)
図5は本発明第五の実施例である。これまでの実施例で用いた検出システムでは、最終的なAF検出用光路は投影光学系9を往復2回通過していた。本実施例ではこれが1回しか通らない光路で検出する。すなわち、照明系から発した光束はレチクルパターン8を通過後、投影光学系9の作用で基準平面ミラー13上に結像する。
【0058】
基準平面ミラー13上には透過部と不透過部とでパターニングされたマーク110(基準マーク)が形成されている。このレチクルマーク8と基準マーク110の形状はたとえば図1から図3のパターンのうちのいずれかを用いる。レチクルパターン8と基準マーク110の両方を通過した光束のみが集光光学系60に検出される。そして、その光量は両者の合焦状態に依存して変化する。
【0059】
尚、本実施例では、レチクルの上から照明し、ウエハと概ね共役な面(基準マーク面)側で受光しているが、本発明の範囲はこの構成にかぎらない。逆に、ウエハ側から照明して、レチクル側で受光してもよい。
【0060】
(実施例6)
図6は本発明第六の実施例である。これまでの実施例で用いた検出システムでAF計測光路としては、レチクルを照明し、それを透過した光束が投影光学系9を往復2回通過した後、再びレチクルを透過して受光されていた。本実施例では逆にAF計測用光束がウエハ基準マーク110を照明し、それを透過した光束が投影光学系9を通過した後レチクル面で反射して再び投影光学系9と同マーク110を透過して受光される構成である。
【0061】
すなわち、図6で述べた基準平面ミラー13(マーク付)を照明し、もどり光を受光するために、図5で示した焦点面検出系60とこれに照明系とを付加した光学ユニット27をウエハステージ側に持つ。
【0062】
本実施例の場合、TTLAF用マーク110は基準平面ミラー13上に形成されていて、レチクル面はこの像の単なる反射面としての機能しかない。したがって、レチクルの最適パターンとなりうるのはパターンの無い完全なクロム反射面か完全なガラス部である。そのような反射面がレチクル上に無い場合には、できるだけ焦点面計測に影響をあたえない実素子領域を最適パターンとして選択する。
【0063】
尚、図7や図5の実施例において、TTLAF計測用の照明光は計測マークを透過照明していた。本発明の及ぶ範囲はこれに限らない。つまり、レチクル、または、ウエハ基準マークを、例えば、ハーフミラー等を介して落射照明し、その反射光を露光レンズに導く構成もまったく同様に本発明の及ぶ範囲内である。
【0064】
次に上記説明した露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
【0065】
図17は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0066】
図18は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0067】
本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストに製造することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上、述べてきた様に、本発明は次の様な効果を生む。
1.露光投影レンズの残存収差や露光によって発生するレンズの熱収差の影響を受けることなくTTLAF計測が可能である。
2.露光の経過に応じて常に安定したTTLAF計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明第一の実施例で、ラインアンドスペース群のTTLAFマークを示す図である。
(B)(A)のマークの瞳面上での回折光分布を示す図である。
【図2】(A)本発明第二の実施例で、ラインアンドスペース群のTTLAFマークを示す図である。
(B)(A)のマークの瞳面上での回折光分布を示す図である。
【図3】(A)本発明第三の実施例で、ラインアンドスペース群のTTLAFマークを示す図である。
(B)(A)のマークの瞳面上での回折光分布を示す図である。
【図4】(A)本発明第四の実施例で、TTLAFマークとして利用できる実素子パターンの一例を示す図である。
(B)(A)のマークの瞳面上での回折光分布を示す図である。
【図5】本発明第五の実施例を示す図である。
【図6】本発明第六の実施例を示す図である。
【図7】従来例を示す図である。
【図8】コンフォーカルTTLAFでの集光状態を示す図(ベストピント時)である。
【図9】コンフォーカルTTLAFでの集光状態を示す図(デフォーカス時)である。
【図10】図7におけるTTLAF受光光路の説明図である。
【図11】光軸方向の位置と検出系出力の関係を示す図である。
【図12】光軸方向の位置と検出系出力の関係を示す図である。
【図13】レチクルの説明図である。
【図14】像解像の模式図である。
【図15】縮小投影光学系の残存収差の説明図である。
【図16】縮小投影光学系の残存収差量を示す図である。
【図17】微小デバイスの製造フローを示す図である。
【図18】ウエハプロセスを示す図である。
【符号の説明】
1 水銀ランプ
2 楕円ミラー
3 オプティカルインテグレター
4 コンデンサーレンズ
5 ミラー
6 フィールドレンズ
7 レチクル
8 縮小投影光学系
9 ウエハ
10 xyzステージ
11 投光光学系
12 検出光学系
13 結像レンズ
14 視野絞り
15 集光レンズ
16 受光素子
17 基準平面ミラー
18 焦点面検出系
19 オートフォーカス制御系
20 駆動系
21 パターン部
22 透過部

Claims (2)

  1. 投影露光装置に用いるレチクルであって、
    回路パターンと、該回路パターンが描かれた領域外に設けられた前記投影露光装置の投影光学系の像面位置を検出するための繰り返しパターンと、を有し、
    前記繰り返しパターンの周期Pは、前記投影光学系の開口数をNA、投影倍率をβ、露光波長をλとした時、
    2λ/(NAβ)<P<16λ/(NAβ)
    を満たすことを特徴とするレチクル。
  2. 前記繰り返しパターンの周期Pは、
    2.5λ/(NAβ)<P<6λ/(NAβ)
    を満たすことを特徴とする請求項記載のレチクル。
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