JP2004281904A - 位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents
位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004281904A JP2004281904A JP2003073987A JP2003073987A JP2004281904A JP 2004281904 A JP2004281904 A JP 2004281904A JP 2003073987 A JP2003073987 A JP 2003073987A JP 2003073987 A JP2003073987 A JP 2003073987A JP 2004281904 A JP2004281904 A JP 2004281904A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mark
- image signal
- unit
- light
- wafer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
Abstract
【課題】計測対象としてのマークを撮像して得られる画像信号が光学系の光学特性又は電気系の電気特性により位相ずれが生じたものであったとしても高い精度でマークの位置情報を計測することができる位置計測装置を提供する。
【解決手段】ウェハWの表面からの光を撮像素子50の受光面に結像させる検出光学系OSの像の位相ずれを示す伝達関数をf(x)とする。また、撮像素子50から出力される画像信号VS2がA/D変換部72に伝達されるまでの電気経路ESにおける電気信号の位相ずれを示す伝達関数をg(x)とする。本発明は、これらの伝達関数f(x),g(x)を予め求めておき、A/D変換部72から出力される画像信号を伝達関数f(x),g(x)の逆特性を示す関数(フィルタ)で演算することにより、検出光学系OS及び電気経路ESで生じた位相ずれを補正し、補正後の画像信号からマークAMの位置情報を算出する。
【選択図】 図6
【解決手段】ウェハWの表面からの光を撮像素子50の受光面に結像させる検出光学系OSの像の位相ずれを示す伝達関数をf(x)とする。また、撮像素子50から出力される画像信号VS2がA/D変換部72に伝達されるまでの電気経路ESにおける電気信号の位相ずれを示す伝達関数をg(x)とする。本発明は、これらの伝達関数f(x),g(x)を予め求めておき、A/D変換部72から出力される画像信号を伝達関数f(x),g(x)の逆特性を示す関数(フィルタ)で演算することにより、検出光学系OS及び電気経路ESで生じた位相ずれを補正し、補正後の画像信号からマークAMの位置情報を算出する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェハ若しくはガラスプレート又はマスク若しくはレチクル等の物体に形成されたマークの位置情報を計測する位置計測装置及び方法、当該位置計測装置及び方法によって得られたマークの位置情報を用いて物体の位置合わせ(アライメント)を行い、マスク若しくはレチクルに形成されたパターンをウェハ若しくはガラスプレート上に転写する露光装置、並びに当該露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子、その他のデバイスの製造においては、露光装置を用いてマスクやレチクル(以下、これらを総称する場合はマスクという)に形成された微細なパターンの像をフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウェハ又はガラスプレート等の基板上に投影露光することが繰り返し行われる。露光装置は、マスク及び基板に形成されたマークの位置情報を計測し、これらの計測結果からマスクと基板との相対的な位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量を補正することで投影されるパターン像と既に基板上に形成されているパターンとの位置合わせを精確に行っている。近年においては、パターンの微細化の要求が高まっており、重ね合わせ精度の向上が益々厳しくなっている。重ね合わせ精度を向上させるためには、まずマスク及び基板に形成されたマークの計測精度を高める必要がある。
【0003】
マスクに形成されたマークの位置情報を計測するアライメントセンサは、基板を露光する際に用いる露光光をマークに照射して位置情報を計測するものが一般的である。このアライメントセンサとしては、例えばVRA(Visual Reticle Alignment)方式を用いたものがある。VRA方式は、基板がステージ上に搬送される前に、露光光をマスク上に形成されたマークに照射して得られる光学像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で画像信号に変換し、この画像信号に対して画像処理を施してマークの位置情報を検出するものである。
【0004】
また、基板に形成されたマークの位置情報を計測するアライメントセンサは、デバイスの製造過程において測定対象である基板の表面状態(荒れ程度)が変化するため、単一種類のアライメントセンサによって基板の位置情報を正確に検出することは困難なことが多いため、一般的には異なる方式のアライメントセンサが複数設けられる。これらの主なものとしては、LSA(Laser Step Alignment)方式、FIA(Field Image Alignment)方式、LIA(Laser Interferometric Alignment)方式のものがある。
【0005】
これらの方式のアライメントセンサを概説すると以下の通りである。つまり、LSA方式のアライメントセンサは、レーザ光を基板に形成されたマークに照射し、回折・散乱された光を利用してそのマークの位置情報を計測するものであり、従来から種々の半導体素子を製造する際に幅広く使用されている。FIA方式のアライメントセンサは、ハロゲンランプ等の波長帯域幅の広い光源を用いてマークを照明し、その結果得られたマークの像を撮像素子で画像信号に変換した後、画像処理して位置計測を行うものであり、アルミニウム層や基板表面に形成された非対称なマークの計測に効果的である。LIA方式のアライメントセンサは、基板表面に形成された回折格子状のマークに、僅かに波長が異なるレーザ光を2方向から照射し、その結果生ずる2つの回折光を干渉させ、この干渉光の位相からマークの位置情報を検出するものである。このLIA方式の基板位置情報検出装置は、低段差のマークや基板表面の荒れが大きい基板に用いると効果的である。
【0006】
また、以上の各方式のアライメントセンサは、投影光学系を介してマークの位置情報を計測するか否かによりTTL(スルー・ザ・レンズ)方式とオフ・アクシス方式とに分類される。以上説明した各方式のアライメントセンサの詳細については、例えば以下の特許文献1及び特許文献2を参照されたい。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−289871号公報
【特許文献2】
特開平5−217835号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した各種アライメントセンサのうち、マークの像の画像信号を得て画像処理を施すことによりマークの位置情報を計測するVRA方式及びFIA方式のアライメントセンサにおいては、アライメントセンサが備える光学系の残存収差が原因でマークの像が歪む。この歪みはマークで反射された光がアライメントセンサの光学系を通過する際に、光学系の残存収差によりマークの像の空間周波数成分の位相が成分毎にずれた(ウェハ又は基板の表面方向にシフトした)結果であると解釈することができる。
【0009】
また、マークの像を撮像素子で変換した直後の画像信号はアナログ信号であり、このアナログ信号が増幅器で増幅された後、A/D変換器(アナログ・ディジタル変換器)で標本化及び量子化されることでディジタル信号に変換される。このため、撮像素子から出力された画像信号は、電気ケーブルを介してアナログ信号としてA/D変換器まで転送されることになるが、増幅器を含む電気伝送路の電気的特性によって、画像信号の周波数に依存した位相ずれが発生する。この位相ずれは時間的なものであるが、画像信号はマスク又は基板の面内の一方向に走査して得られるものであるため、走査方向における位相ずれと等価なものである。
【0010】
上記の光学系で生ずる位相ずれ及び電気伝送路で生ずる位相ずれは、何れもマスク又は基板の面内におけるマークの位置ずれを引き起こし、マークの位置計測精度に悪影響を与える。位置計測精度を向上させるためには、これらの位相ずれが生じないようにアライメントセンサの光学系及び電気系を設計することが理想であるが現状では困難である。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、計測対象としてのマークを撮像して得られる画像信号が光学系の光学特性又は電気系の電気特性により位相ずれが生じたものであったとしても高い精度でマークの位置情報を計測することができる位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(76)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)へ導き、且つ該光電変換手段から出力された前記画像信号(VS1、VS2)を前記演算部へ導く検出系(21A、23、24、45、46、48、49、71、ES、OS)と、前記検出系において、前記マーク光及び前記画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を記憶する記憶部(75)と、前記位相特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部(74)とを有することを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、この位相特性情報を用いて検出系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(76)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)へ導く検出光学系(21A、23、24、45、46、48、49、OS)と、前記検出光学系が前記マーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を記憶する記憶部(75)と、前記光学特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部(74)とを有することを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導く検出光学系においてマーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を予め記憶しておき、この光学特性情報を用いて検出光学系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、光電変換手段から出力される画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(76)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を受光し、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)と、前記画像信号が前記光電変換手段から前記演算部まで伝達される電気経路(71、ES)上において、前記画像信号の位相特性に対して作用する電気特性情報を記憶する記憶部(75)と、前記電気特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部(74)とを有することを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段で光電変換して得られる画像信号が光電変換手段から演算部まで伝達される電気経路において電気経路の位相特性に対して作用する電気特性情報を予め記憶しておき、この電気特性情報を用いて電気経路を介した画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部に導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(85、87)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)へ導き、且つ該光電変換手段から出力された前記画像信号を前記演算部へ導く検出系(21A、23、24、45、46、48、49、81)と、前記検出系において、前記マーク光及び/又は前記画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を記憶する記憶部(86)と、前記画像信号を加工して複数の加工信号を生成する処理部(83a〜83n)とを有し、前記演算部は更に、前記複数の加工信号毎に前記位置情報を算出する第1演算部(88)と、前記位相特性情報を用いて前記第1演算部の算出結果を補正演算する第2演算部(85、89)とを含むことを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び/又は画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、検出系を介して得られた画像信号を加工して複数の加工信号を生成してこれらの加工信号各々から位置情報を算出し、位相特性情報を用いて算出した位置情報を補正演算している。かかる補正演算を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
本発明の露光装置は、所定パターンを基板(W)上に転写する露光装置であって、前記基板上に形成されたマーク(AM、Mxi,Myi)を、上記の何れかの位置計測装置を用いて計測し、その計測結果に基づいて前記基板の位置決めを行う位置決め部(9、13)と、前記位置決めされた前記基板上に前記所定パターンを転写する露光部(PL)と、前記位置決め部及び前記露光部を制御する制御部(15)とを有することを特徴としている。
本発明のデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて、デバイスパターンを前記基板上に転写する露光工程(S26)と、前記デバイスパターンが転写された前記基板を現像する現像工程(S27)とを含むことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による位置計測装置を備える本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。尚、以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態においては、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置を例に挙げて説明する。
【0014】
図1において、1は照明光学系の一部をなすコンデンサレンズである。照明光学系は例えば超高圧水銀ランプ又はエキシマレーザ等の光源(図示省略)が設けられており、この光源から射出された露光光ELはコンデンサレンズ1を介してマスクとしてのレチクルRに形成されたパターン領域PAを均一な照度分布で照射する。露光光ELとしては、例えばg線(436nm)やi線(365nm)、又はKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、若しくはF2エキシマレーザ(157nm)から射出される光が用いられる。
【0015】
レチクルRは、モータ2によって投影光学系PLの光軸AXの方向に微動可能で、且つその光軸AXに垂直な面内で2次元移動及び微小回転可能なレチクルステージ3上に吸着保持されている。尚、レチクルRは不図示のレチクル交換器により適宜交換されて使用される。レチクルステージ3の端部にはレーザ干渉計4からのレーザビームを反射する移動鏡5が固定されており、レチクルステージ3の2次元的な位置はレーザ干渉計4によって、例えば1nm程度の分解能で常時検出されている。レチクルRの上方にはレチクル・アライメントセンサ6A,6Bが配置されている。
【0016】
レチクル・アライメントセンサ6A,6Bは、レチクルRの外周付近に形成された位置検出用のレチクルマークRMと投影光学系PLを介して後述するウェハステージ9上に形成された基準部材10又はウェハステージ9上に載置されたウェハWに形成されたマークとを同時に観察し、レチクルRとウェハステージ9との相対的な位置関係又はレチクルRとウェハWとのX方向又はY方向(所定の計測方向)における相対的な位置関係を直接的に計測(観察)する。
【0017】
レチクル・アライメントセンサ6A,6Bの計測結果は後述する主制御系15へ出力され、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理が施されてレチクルRとウェハステージ9又はウェハWとの相対的な位置ずれ量が求められる。そして、この位置ずれ量に応じて主制御系15がモータ2を駆動してレチクルステージ3を微動させることで、レチクルRに形成されたパターン領域PAの中心点が光軸AXと一致するように位置決めされる。このレチクル・アライメントセンサ6A,6Bは、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のアライメントセンサの一種であるTTR(スルー・ザ・レチクル)方式のアライメントセンサであって、レチクルマークRM等の画像信号から位置情報を計測するVRA方式のアライメントセンサであり、その詳細については後述する。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bは、本発明の一実施形態による位置計測装置の一部をなすものである。
【0018】
上記レチクルRのパターン領域PAを透過した露光光ELは、例えば両側(片側でも良い。)テレセントリックな投影光学系PLに入射して基板としてのウェハW上の各ショット領域に投影される。ここで、投影光学系PLは、露光光ELの波長に関して最良に収差補正されており、その波長のもとでレチクルRとウェハWとは互いに光学的に共役になっている。また、照明光ELは、ケラー照明であり、投影光学系PLの瞳(図示省略)の中心に光源像として結像されている。尚、投影光学系PLは複数のレンズ等の光学素子を有し、その光学素子の硝材としては露光光ELの波長に応じて石英、蛍石等の光学材料から選択され、その投影倍率は、例えば1/4又は1/5に設定されている。このため、露光光ELによりレチクルR上の照明領域が照明されると、そのレチクルRのパターン面に形成されたパターンの像が投影光学系PLによってウェハW上に縮小投影され、表面にフォトレジスト等の感光剤が塗布されたウェハW上の一つのショット領域にレチクルRの回路パターンの縮小像が転写される。
【0019】
ウェハWはウェハホルダ8を介してウェハステージ9上に吸着保持されている。ウェハホルダ8上には、レチクルRの位置計測及びベースライン計測等で使用する基準部材10が設けられている。ここで、ベースラインとは、例えばレチクルRのパターン領域PAに形成されたパターンの投影光学系PLによる投影像の中心位置と後述するウェハ・アライメントセンサ16の計測視野中心との距離をいう。基準部材10には基準マークとして、例えば光透過性の5組のL字状パターンから成るスリットパターンと、光反射性のクロムで形成された2組の基準パターン(デューティ比は1:1)とが設けられている。
【0020】
一方の組の基準パターンは、例えばY方向に配列された7個のドットマークをX軸方向に3列配列してなる回折格子マークと、3本の直線パターンをX軸方向に配列してなる回折格子マークと、Y方向に延びた12本のバーマークとを、X軸方向に配列したものである。他方の組の基準パターンは、例えばその一方の組の基準パターンを90°回転したものである。
【0021】
ウェハステージ9は、投影光学系PLの光軸AXに垂直な面内でウェハWを2次元的に位置決めするXYステージ、投影光学系PLの光軸AXに平行な方向(Z方向)にウェハWを位置決めするZステージ、ウェハWを微小回転させるステージ、及びZ軸に対する角度を変化させてXY平面に対するウェハWの傾きを調整するステージ等より構成されている。ウェハステージ9の上面の一端にはL字型の移動鏡11が取り付けられ、移動鏡11の鏡面に対向した位置にレーザ干渉計12が配置されている。
【0022】
図1では簡略化して図示しているが、移動鏡11はX軸に垂直な反射面を有する平面鏡及びY軸に垂直な反射面を有する平面鏡より構成されている。また、レーザ干渉計12は、X軸に沿って移動鏡11にレーザビームを照射する2個のX軸用のレーザ干渉計及びY軸に沿って移動鏡11にレーザビームを照射するY軸用のレーザ干渉計より構成され、X軸用の1個のレーザ干渉計及びY軸用の1個のレーザ干渉計により、ウェハステージ9のX座標及びY座標が計測される。また、X軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ウェハステージ9のXY平面内における回転角が計測される。
【0023】
ウェハステージ9の2次元的な座標は、レーザ干渉計12によって例えば1nm程度の分解能で常時検出されており、X軸方向及びY軸方向の座標によりウェハステージ9のステージ座標系(静止座標系)(X,Y)が定められる。即ち、レーザ干渉計12により計測されるウェハステージ9の座標値が、ステージ座標系(X,Y)上の座標値である。レーザ干渉計12により計測されたX座標、Y座標、及び回転角を示す位置計測信号PDSは主制御系15に出力される。
【0024】
主制御系15は、供給された位置計測信号PDSをモニタしつつ、ウェハステージ9の位置を制御する制御信号をモータ13へ出力する。このような閉ループの制御系により、例えばウェハステージ9はウェハW上の1つのショット領域に対するレチクルRのパターンの転写露光が終了すると、次のショット位置までステッピングされる。また、主制御系15は図示しない照明光学系に設けられる光源から露光光ELを射出するか否か、露光光ELを射出する場合の露光光ELの強度等の制御を行う。尚、主制御系15の構成についての詳細な説明は後述する。
【0025】
また、本実施形態の露光装置は、投影光学系PLの結像特性を調整するための結像特性補正部14が設けられている。この結像特性補正部14は、投影光学系PLを構成する一部のレンズエレメント、特にレチクルRに近い複数のレンズエレメントの各々を、ピエゾ素子等の圧電素子を用いて独立に駆動(光軸AXに対して平行な方向の移動又は傾斜)することで、投影光学系PLの結像特性、例えば投影倍率やディストーションを補正するものである。
【0026】
また、本実施形態の露光装置は、オフ・アクシス方式のウェハ・アライメントセンサ16を投影光学系PLの側方に備える。このウェハ・アライメントセンサは16、本発明の位置計測装置の一部をなすものであり、ウェハWに形成されたマークのX方向及びY方向(所定の計測方向)における位置情報を計測するために用いられる。ウェハ・アライメントセンサ16の計測結果を上述したベースラインの計測結果で補正することにより、ステージ座標系(X,Y)におけるマークの位置情報を得ることができる。尚、ウェハ・アライメントセンサ16の詳細については後述する。
【0027】
更に、本実施形態の露光装置は、投影光学系PLの側面にウェハWのZ軸方向の位置及びXY平面に対する傾斜量を計測するための斜入射方式の多点のメインフォーカスセンサ17が設置されている。このメインフォーカスセンサ17は、ウェハW上においてレチクルRの像が投影される露光領域内の予め設定された複数の計測点にスリット像を投影する照射光学系18と、それらスリット像からの反射光を受光してそれらスリット像を再結像し、これら再結像されたスリット像の横ずれ量に対応する複数のフォーカス信号を生成する集光光学系19とから構成され、それら複数のフォーカス信号が主制御系15に供給されている。そして、主制御系15が集光光学系19から出力されるフォーカス信号に基づいて常に投影光学系PLの最良結像面にウェハWの表面が位置するようにモータ13を介してウェハステージ9を制御する。尚、上記ウェハステージ9及びモータ13は本発明にいう位置決め部に相当し、照明光学系及び投影光学系PLは本発明にいう露光部に相当し、主制御系15は本発明にいう制御部に相当する。
【0028】
以上、本発明の露光装置の全体構成について概説したが、次に本発明の位置計測装置の一部をなすレチクル・アライメントセンサ6A,6B及びウェハ・アライメントセンサ16の詳細について順に説明する。図2は、レチクル・アライメントセンサ6Aの構成例を示す構成図である。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bは同様の構成であるため、以下では主にレチクル・アライメントセンサ6Aについて詳細に説明する。
【0029】
レチクル・アライメントセンサ6Aは、プリズム20A、ハーフミラー21A、及び観察光学系22Aを含んで構成される。レチクル・アライメントセンサ6Aはケースにより一体化され、不図示の駆動装置によって図1中の符号A,A′を付した方向に移動自在に構成されている。レチクルRのアライメントを行なう際には、主制御系15は不図示の駆動装置を介してレチクル・アライメントセンサ6Aを符号Aを付した方向に駆動して図1に示した位置に位置決めし、レチクルアライメントが終了すると、露光の際に邪魔にならないように、符号A′を付した方向に駆動して所定の退避位置に退避させる。
【0030】
レチクル・アライメントセンサ6Bは、同様に、プリズム20B、ハーフミラー21B、及び不図示の観察光学系を含んでケースにより一体化され、不図示の駆動装置によって図1中の符号B,B′を付した方向に移動自在に構成されている。そして、このレチクル・アライメントセンサ6Bも、同様に主制御系15により、後述するレチクルアライメントを行なう際に、図1に示される位置に位置決めされ、レチクルアライメントが終了すると、所定の退避位置に退避されるように構成されている。尚、上記プリズム20A,20Bは、本発明の照射系の一部に相当するものである。
【0031】
図2に示すように、プリズム20Aは、露光光ELをレチクルR上のレチクルマークRM上に導くためのものである。レチクルマークRMはパターン領域PAの外側に設けられており、この部分は通常は照明する必要の無い部分であるため、照明光学系の負荷、照度の無駄を無くすため、通常照明領域より露光光ELの一部の光束(以下、この光束を便宜上、露光光EL1という)を導くようにしたものである。尚、この露光光EL1は本発明にいう検知光に相当するものである。
【0032】
露光光EL1の光路上にハーフミラー21Aが配置されており、プリズム20Aにより導かれた露光光EL1はハーフミラー21Aを介してレチクルマークRM1を照明するとともに、レチクルR及び投影光学系PLを介して、例えば基準部材10に形成された基準マークを照明する。尚、露光光EL1が照明されるレチクルR上の領域及び露光光EL1が照明される基準部材10又はウェハW上の領域は本発明にいう被照射領域に相当する。
【0033】
ここで、レチクルアライメントを行う際には、レチクルR上の被照射領域及びウェハW又は基準部材10上の被照射領域を照明する露光光EL1を、部分的なインコヒーレント照明光に設定する。このためには、プリズム20Aを含む照明光学系の照明σを0.8以上に設定する。これは、観察光学系22Aを線形光学系とみなして、レチクルマークRMからの反射光及び基準部材10等からの反射光の位相情報を得るためである。
【0034】
レチクルマークRMからの反射光及び基準部材10からの反射光は、ハーフミラー21Aでそれぞれ反射されて観察光学系22Aに入射する。観察光学系22Aは、結像光学系23、ハーフミラー24、CCDセンサ25、焦点位置検出用の光として露光光源から分岐された露光光を導く光ファイバ26、スリット板27、ハーフミラー28、瞳遮光板30、及びCCDセンサ31を含んで構成されている。これらの部材のうち、結像光学系23、ハーフミラー24、及び受光部としてのCCDセンサ25により、レチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マーク等の像を検出するための検出光学系が構成されている。
【0035】
つまり、前述したように、ハーフミラー21Aでそれぞれ反射されたレチクルマークRM、基準部材10からの反射光は、露光波長の光のみを透過させ、その他の波長の光を反射させるダイクロイックミラー24を透過して結像光学系23の最良結像面(焦点位置)にそれぞれ結像される。この場合、レチクルRのパターン形成面と基準部材10の上面とは光学的に共役関係となるよう設定されている。
【0036】
このため、レチクルRのパターン形成面とCCDセンサ25の受光面とが光学的に共役であれば、CCDセンサ25の受光面にレチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マークの像が最良の結像状態でそれぞれ結像し、CCDセンサ25からはレチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マークの画像信号VS1が出力される。従って、主制御系15がCCDセンサ25から出力される画像信号VS1に対して画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行えば、レチクルマークRMと基準部材10に形成された基準マークとの相対位置を求めることができる。尚、本実施形態では、上記結像光学系23として、焦点距離を可変とできる光学系、即ち所謂内焦式の光学系が用いられている。また、上記ハーフミラー21A、結像光学系23、及びダイクロイックミラー24は本発明にいう検出光学系に相当し、CCDセンサ25は本発明にいう検出系の一部又は光電変換手段に相当する、
【0037】
また、観察光学系22Aを構成する部材のうち、焦点位置検出用の光源26、スリット板27、ハーフミラー28、波長選択フィルタ29、瞳遮光板30、及びCCDセンサ31によって、結像光学系23の焦点ずれを検出する焦点位置検出系が構成されている。上記焦点位置検出用の光源26は、例えばLED(Light Emitting Diode)であり、この光源26から射出される焦点位置検出用の検出光ILの波長は露光光ELとは異なる波長である。
【0038】
スリット板27には、所定形状の開口(スリット)が形成されている。光源26から射出された検出光ILがスリット板27を照明すると、スリット板27のスリットを透過した検出光ILは、ハーフミラー28、ダイクロイックミラー24で順次反射され、結像光学系23を通過した後、ハーフミラー21AによりレチクルRのパターン面を落射照明する。これにより、レチクルRのパターン形成面にスリット板27のスリット像が結像される。
【0039】
このスリット像の反射光は検出光ILと同じ光路を逆向きに戻り、ダイクロイックミラー24で反射された後、ハーフミラー28を透過し、露光光ELの波長域の光を透過させない波長選択フィルタ29を更に透過して瞳遮光板30に至る。この瞳遮光板30は、例えば焦点位置検出系の瞳面に配置され、瞳面の図2における左半分を遮光する半円状のものである。この瞳遮光板30を通過したスリット像の反射光は強制的に傾斜させられた後、CCDセンサ31上にスリット像を再結像する。
【0040】
以上のように、CCDセンサ31の受光面には、その光軸が傾斜した光束が入射するため、例えばレチクルRの厚さ変化等の要因により結像光学系23の焦点位置がずれて、レチクルRのパターン形成面とCCDセンサ25の受光面との共役関係が維持できなくなると、CCDセンサ31上におけるスリット像の結像位置がずれる。従って、CCDセンサ31からの合焦用信号FS1に基づいて主制御系15が結像光学系23の焦点ずれを測定し、結像光学系23内部の不図示のレンズ群を駆動することで結像光学系23の焦点をレチクルパターン面とCCDセンサ25の受光面とに合わせることができることができるようになっている。
【0041】
この場合、主制御系15は、CCDセンサ31上でのスリット像の結像位置が常に一定になるように、結像光学系23内部のレンズ群を駆動することにより、常にCCDセンサ25に焦点位置を一致させる。CCDセンサ25上でのスリット像結像位置の目標値は、CCDセンサ25から出力される画像信号が最もシャープ(例えば、コントラストが最大となる)状態において、CCDセンサ31で検出されるスリット像結像位置を予め求めて設定しておく。
【0042】
次に、ウェハ・アライメントセンサ16について詳細に説明する。図3は、ウェハ・アライメントセンサ16の構成例を示す構成図である。尚、図3に示すウェハ・アライメントセンサ16は、FIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサである。ウェハ・アライメントセンサ16は、所定の広帯域波長の光束を検知ビームDLとして射出する光源41を備える。この光源41はウェハWに形成されたマークAMの観察用及び合焦用(焦点合わせ)に共用される。尚、検知ビームDLは本発明にいう検知光に相当する。
【0043】
光源41の光路上にはコンデンサレンズ42、視野絞り43、照明リレーレンズ44、及びビームスプリッタ45が順に配置されている。視野絞り43は、図3中に示すように、主開口K1及び副開口K2,K3を有する。主開口K1は略正方形状に形成され、視野絞り43の中央部に配置されており、その中心がコンデンサレンズ42及び照明リレーレンズ44の光軸とほぼ一致するように光路中に挿入されている。
【0044】
副開口K2,K3は細長い矩形スリット状に形成され、その長手方向の辺が主開口K1の対向する2つの辺に対して所定の角度(例えば5°)傾いた状態で主開口K1の近傍位置に配置されている。そして、主開口K1の辺と直交し、且つ副開口K2,K3の長手方向と略直交する方向(傾いていない状態で直交する方向)が、後述するフォーカスの計測方向となる。以下の説明中では、副開口K2,K3の略長手方向を非計測方向と呼ぶ。また、フォーカスの計測方向は、種々の方向に設定することが可能であるが、本実施形態ではウェハWの表面のパターンの基準線の方向(X方向又はY方向)に合わせているものとする。
【0045】
照明リレーレンズ44を介した光源41からの検知ビームDLがビームスプリッタ45において反射される方向、図3ではビームスプリッタ45から下方に進む光路上には、第1対物レンズ46が配置されている。この光路の先にはウェハWを載置するためのウェハステージ9が配置されることになる。
【0046】
ウェハWの表面が基準面F1に一致するように位置決めされた状態では、ウェハWの表面は、視野絞り43と光学的に共役の関係となる。ウェハW上には位置検出用のマークAMが形成されており、このマークAMが図3に示すようにウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内に配置されると、マークAMは検知ビームDLにより落射照明される。尚、ウェハステージ9上において検知ビームDLが落射照明される領域は、本発明にいう被照射領域に相当する。
【0047】
ここで、ウェハW上の被照射領域を照明す検知ビームDLを、部分的なインコヒーレント照明光に設定する。このためには、ウェハ・アライメントセンサ16の照明σを0.8以上に設定する。これは、ウェハ・アライメントセンサ16を線形光学系とみなして、ウェハW等からの反射光の位相情報を得るためである。
【0048】
また、第1対物レンズ46の光軸に沿って、ビームスプリッタ45の反射面を透過する方向、図では上方向への光路上には、第2対物レンズ48、ビームスプリッタ49、遮光板51、第1リレーレンズ52、及び瞳分割用反射型プリズム53が順に配置されている。遮光板51は基準面F1と光学的に共役な面F2に配置されており、ウェハWの表面で反射され、第1対物レズ46、ビームスプリッタ45、第2対物レンズ48、及びビームスプリッタ49を順に通過した光の一部を遮光する。尚、遮光板51の詳細については後述する。
【0049】
瞳分割用反射型プリズム53は、第1リレーレンズ52を介して入射する光束を複数の光束に分割(本実施形態では2本の光束に分割)する光束分割部材であって、光源41と共役な位置又はその近傍に配置される。ここで、瞳分割用反射型プリズム53は、2面が180度に近い鈍角で山型に形成されたプリズムの、その2面を反射面に仕上げた光学部材である。本実施形態では、この2面の交線(山の稜線)が第1リレーレンズ52の光軸と交差し、その光軸をほぼ90度折り曲げるように傾けて配置されている。
【0050】
第1リレーレンズ52を介して瞳分割用反射型プリズム53に入射した検知ビームDLは、ここで図中右方へ分割反射される。この右方への光路上には、瞳分割用反射型プリズム53に続いて第2リレーレンズ54、円柱光学系である円柱レンズ(シリンドリカルレンズ)55、及びAF(オートフォーカス)センサ56が順次配置される。ここで円柱光学系とは、前後の面が、互いに平行な母線を有する円柱面であるレンズである。前後の面の一方が平面であってもよい。この場合、具体的には円柱面の母線と直角の方向には屈折力があるが母線方向の屈折力はゼロである。本実施形態では、円柱レンズ55はその母線がフォーカスの計測方向にほぼ一致するように配置される。また、本明細書では、直交する2方向で屈折力が異なるレンズ、トーリックレンズを含む概念とする。
【0051】
AFセンサ56は、面F2と光学的に共役又はその近傍の位置である第1撮像面V1に配置され、第1撮像面V1上に結像される像の位置関係を検出して合焦用信号FS2を出力する。また、第1対物レンズ46、ビームスプリッタ45、及び第2対物レンズ48を順に介した光束がビームスプリッタ49によって反射される方向、図3中では左方向の光路上には基準面F1と光学的に設定された第2撮像面V2にCCD撮像素子等の撮像素子50の受光面が配置される。撮像素子50は第2撮像面V2上に結像される像を画像信号VS2に変換して出力する。上記AFセンサ56からの合焦用信号FS2及び撮像素子50からの画像信号VS2は主制御系15に出力される。
【0052】
尚、上記光源41、コンデンサレンズ42、視野絞り43、照明リレーレンズ44、ビームスプリッタ45、及び第1対物レンズ46は本発明にいう照射系に相当し、第1対物レンズ46、ビームスプリッタ45、第2対物レンズ48、及びビームスプリッタ49は本発明にいう検出系の一部又は検出光学系に相当し、撮像素子50は本発明にいう光電変換手段に相当する。
【0053】
次に、以上の構成におけるウェハ・アライメントセンサ16の動作について簡単に説明する。光源41から検知ビームDLが射出されるとコンデンサレンズ42によって集光され、主開口K1及び副開口K2,K3を有する視野絞り43を均一に照明する。視野絞り43の主開口K1及び副開口K2,K3を通過した光束は、照明リレーレンズ44によってコリメートされ、ビームスプリッタ45で反射される。
【0054】
この反射された光束は、第1対物レンズ46によって集光され、ウェハステージ9上に載置されたウェハWの表面に垂直に照射される。ウェハWの表面が基準面F1に配置されているときには、ウェハWの表面と視野絞り43とは光学的に共役の関係となるため、主開口K1及び副開口K2,K3の像は照明リレーレンズ44及び第1対物レンズ46を介してウェハWの表面に結像される。
【0055】
ここで、ウェハWの表面に結像された主開口K1の像からの反射光束をL1、副開口K2の像からの光束をL2、副開口K3の像からの光束をL3とする。これらの光束L1〜L3は第1対物レンズ46によってコリメートされ、ビームスプリッタ45を透過し、第2対物レンズ48によって再び集光され、ビームスプリッタ49によって透過及び反射分岐される。
【0056】
反射分岐された光束のうち、光束L1は集束されて撮像素子50の受光面にマークAMの像が結像される。撮像素子50は受光面に結像したマークAMの像を光電変換して画像信号VS2を出力する。一方、ビームスプリッタ49において透過分岐された光束L1〜L3は、第1対物レンズ46及び第2対物レンズ48の結像作用によって、ウェハW表面と共役又はその近傍の面F2の位置に設けられた遮光板51にK1〜K3の像を再結像する。即ち、遮光板51上には、第1対物レンズ46及び第2対物レンズ48によってウェハWの表面上に形成された主開口K1及び副開口K2,K3の中間像が形成される。
【0057】
図3中に光軸方向から見た遮光板51の構成例を示す。遮光板51には光軸に対して対称な位置に2個のスリット状の光束通過部K12,K13が副開口K2,K3に対応するように設けられており、ウェハ表面において結像反射された光束L1〜L3のうち光束L1は遮光され、光束L2,L3のみがK12及びK13をそれぞれ介して通過できるように構成されている。また、遮光板51の他の構成例も図3中に示してある。即ち、光束L1が遮光板51に入射する(図中斜線で示す)範囲のみが遮光され、その周囲の部分全ての領域K14が光束通過部として構成されていてもよい。
【0058】
遮光板51を通過した光束L2,L3は第1リレーレンズ52によってコリメートされた後、瞳分割用反射型プリズム53上に光源41の像を結像する。更に、光束L2,L3は瞳分割用反射型プリズム53によってそれぞれ2つの光束に分割されるとともに、図中右方へ反射されて第2リレーレンズ54により再び集光される。そして、円柱レンズ55を介して、AFセンサ56上に光束L2及びL3による副開口K2,K3のスリット像をそれぞれ2分割して結像する。
【0059】
AFセンサ56の受光面上における2分割光束の結像位置はウェハWの表面のZ方向の位置に応じて変化する。このため、予めウェハWが基準面F1に配置されている状態において検出される2分割光束の結像位置の距離を基準距離として主制御系15に設定しておき、主制御系15において基準距離とAFセンサ56で検出された2分割光束の結像位置の距離との大小関係を比較することで、ウェハWの表面がウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置に配置されているか否か(合焦しているか否か)を判断する。
【0060】
合焦していない場合には基準距離と算出した距離との大小関係からウェハWのずれ方向を求めて、ずれ方向と反対方向にウェハステージ9を駆動する。ウェハステージ9をZ方向に駆動している最中においてもAFセンサ56による上述した検出及び各種処理を行い、2分割光束の結像位置間の距離と基準距離とが等しくなったときにウェハステージ9の駆動を停止する。ウェハWがウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置に配置されている状態で撮像素子50から出力される画像信号VS2を主制御系15で画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行うことにより、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内に配置されているマークAMの位置情報が計測される。
【0061】
以上、レチクル・アライメントセンサ6A,6B及びウェハ・アライメントセンサ16の構成及び動作について説明したが、次に主制御系15について詳細に説明する。図4は、主制御系15の内部構成を示すブロック図である。尚、図4においては、図1〜図3中に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図4に示すように、主制御系15は、フォーカス検出ユニット60、画像処理ユニット61、フォーカス検出ユニット62、FIA演算ユニット63、アライメントデータ記憶部64、EGA演算ユニット65、記憶部66、ショットマップデータ部67、システムコントローラ68、ウェハステージコントローラ69、及びレチクルステージコントローラ70から構成されている。
【0062】
画像処理ユニット61は、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bから出力される画像信号VS1に対して、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行い、レチクルマークRMと基準部材10に形成された基準マークとの相対位置を求め、その処理結果をシステムコントローラ68へ出力する。また、FIA演算ユニット63は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2に対して、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行い、ウェハWに形成されたマークAMの位置情報を求めてアライメントデータ記憶部64へ出力する。尚、上記画像処理ユニット61及びFIA演算ユニット63で行われる画像処理等の具体例としては、マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等がある。
【0063】
フォーカス検出ユニット60は、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bから出力される合焦用信号FS1を用いて、図2に示すレチクル・アライメントセンサ6A,6Bが備える結像光学系23の焦点ずれを検出する。また、フォーカス検出ユニット62は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される合焦用信号FS2を用いて、ウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置からのウェハWの表面のずれ量を検出する。フォーカス検出ユニット60,62の算出結果は、システムコントローラ68へ出力される。
【0064】
アライメントデータ記憶部64はFIA演算ユニット63から出力されたマークAMの位置情報を記憶する。EGA演算ユニット65は、ウェハW上に予め設定された代表的な数個(3〜9個)のショット領域の各々に付随して形成されたマークAMの、ウェハ・アライメントセンサ16により計測された位置情報と、その設計上の位置情報とに基づいてEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)演算を行い、ウェハW上に設定された全てのショット領域の配列の規則性を統計的な手法で決定する。
【0065】
記憶部66は、EGA演算ユニット65がEGA演算を行っている最中に得られる各種変換パラメータ及び残留誤差成分(例えば、設計値と計測値との残差の単純な自乗和)を一時的に記憶する。ショットマップデータ部67は、上述したウェハW上に設定された複数のショット領域の設計上の位置情報及びショット領域に付随して設けられたマークAMの位置情報を含むショットマップデータを予め記憶している。
【0066】
システムコントローラ68は、EGA演算ユニット65の演算結果に基づいて、ウェハステージコントローラ69を介してレーザ干渉計12の計測値をモニタしつつ、モータ13を介して図1に示したウェハステージ9を駆動して、ウェハW上の各ショット領域の位置決め及び各ショット領域に対する露光制御を行う。また、システムコントローラ68は、レチクルステージコントローラ70を介してレーザ干渉計4の計測値をモニタしつつ、モータ2を介して図1に示したレチクルステージ3を駆動して、レチクルRの位置調整を行う。
【0067】
更に、システムコントローラ68は、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bの焦点位置と図2に示すCCDセンサ25の受光面とが一致していない場合には、フォーカス検出ユニット60の検出結果に応じてレチクル・アライメントセンサ6A,6Bに設けられた結像光学系23が備えるレンズ群を駆動し、結像光学系23の焦点位置を可変させる。また更に、ウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置にウェハWの表面が配置されていない場合には、フォーカス検出ユニット62の検出結果に応じてモータ13を介して図1に示したウェハステージ9を駆動して、ウェハWをZ方向に移動させる。
【0068】
次に、主制御系15に設けられるFIA演算ユニット63及び画像処理ユニット61の構成について説明する。図5は、FIA演算ユニット63の内部構成を示すブロック図である。図5に示すように、FIA演算ユニット63は、画像信号増幅部71、A/D変換部72、画像信号記憶部73、位相補正部74、位相特性情報記憶部75、及び位置情報算出部76を含んで構成される。
【0069】
画像信号増幅部71は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2を所定の増幅率で増幅する。ここで、画像信号増幅部71の増幅率は、画像信号VS2の全体的なレベル及びS/N比(信号対雑音比)等を考慮して適宜決定される。尚、画像信号増幅部71は、設定した増幅率を示す増幅率情報を位相補正部74へ出力する。A/D変換部72は、アナログ信号である画像信号VS2の標本化及び量子化を行い、画像信号VS2をディジタル信号に変換する。画像信号記憶部73は、ディジタル化された画像信号VS2を一時的に記憶する。
【0070】
位相補正部74は、画像信号記憶部73に一時的に記憶されている画像信号を読み出し、位相特性情報記憶部75に記憶された位相特性情報に基づいて画像信号の位相ずれを補正する。このとき、位相補正部74は画像信号増幅部71から出力される増幅率情報又は位置情報算出部76から出力される像高情報に応じた位相特性情報を位相特性情報記憶部75から選択的に読み出す。
【0071】
位置情報算出部76は、位相補正部74から出力される画像信号に対し、マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行って、マークAMの位置情報を求める。また、位置情報算出部76はウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を像高情報として位相補正部74に出力する。尚、上記画像信号増幅部71、位相特性情報記憶部75、位相補正部74、及び位置情報算出部76は、本発明にいう電気経路の一部、記憶部、処理部、演算部にそれぞれ相当する。
【0072】
ここで、位相特性情報について説明する。図6は、位相特性情報を決める伝達関数を説明するための図である。図6に示すように、ウェハWの表面で反射された光が撮像素子50に至るまでの光学系を検出光学系OSとし、撮像素子50から出力された画像信号VS2がA/D変換部72に至るまでを電気経路ESとする。尚、電気経路ESには画像信号増幅部71が含まれる。また、検出光学系OSの伝達関数をf(x)とし、電気経路ESの伝達関数をg(x)とする。これらの伝達関数f(x),g(x)は複素関数で表され、一般的にはX軸の座標を示す変数xとY軸の座標を示す変数yとの関数であるが、ここでは簡単のためX軸方向のみについて考え、変数xの関数としてある。
【0073】
伝達関数f(x)は、いわばウェハWの表面からの光がどのように撮像素子50の受光面に結像するかを示す関数である。従って、ウェハW表面における光強度及び初期位相を設定して伝達関数f(x)で演算すると、撮像素子50の受光面に結像する光の振幅分布及び位相(複素振幅)を求めることができる。例えば、図6中に示すように、マークAMを含む領域において反射される光の光強度分布を示すデータw0と初期位相とを与えれば、撮像素子50の受光面に受光されるマーク像の複素振幅分布を求めることができる。尚、複素振幅分布を二乗すれば強度分布となる。
【0074】
同様に、伝達関数g(x)は、いわば撮像素子50から出力された画像信号が画像信号増幅部71を介してどのようにA/D変換部72に伝達されるかを示す関数である。よって、撮像素子50から出力される画像信号(例えば、図6に示す画像信号w1)及び初期位相を設定して伝達関数g(x)で演算すると、A/D変換部72に入力される画像信号(例えば、図6に示す画像信号w2)を求めることができる。尚、画像信号w1,w2は時系列的に出力されるが、撮像素子50はウェハW上を一定速度で走査して画像信号w1を得ており、時間とX座標は1対1に対応するため、伝達関数g(x)は変数xの関数として表しても良い点に注意されたい。
【0075】
尚、伝達関数f(x),g(x)は、検出光学系OS及び電気経路ESをそれぞれ線形システムとみなすことができる場合に用いられるものである。検出光学系OSは、厳密には完全なインコヒーレント照明により照明されている場合に線形システムと考えられるものであるが、完全なインコヒーレント照明を実現するのは困難である。このため、本実施形態においては照明σを0.8以上に設定し、部分的なインコヒーレント照明とすることで、伝達関数f(x)を線形システムとみなしている。
【0076】
ウェハWの表面からの光は検出光学系OSを通過する際に周波数成分毎に異なる位相ずれが生じ、この位相ずれが生じた周波数成分を重ね合わせて得られるマーク像を撮像素子50で撮像すると、図6に示す形状変化及び位置シフトが生じた画像信号w1が得られる。この各周波数成分毎の位相ずれを示す情報が位相特性情報の1つである光学特性情報であり、伝達関数f(x)から求めることができる。同様に、電気経路ESにおける各周波数成分毎の位相ずれを示す情報が位相特性情報の1つである電気特性情報である。これら光学特性情報及び電気特性情報は、図5に示す位相特性情報記憶部75に記憶されている。
【0077】
尚、検出光学系OSの伝達関数f(x)は、像高(ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野中心からの距離)によって変化する。つまり、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野中心にマークAMが配置されている場合と、計測視野の端部にマークAMが配置されている場合とによって、残存収差が異なり、各周波数成分の位相ずれも異なることがある。このため、像高毎に伝達関数f(x)を求め、像高毎の光学特性情報を位相特性情報記憶部75に記憶しておく。同様に、電気経路ESの伝達関数g(x)は、画像信号増幅部71の増幅率によって変化するため、増幅率毎に伝達関数g(x)を求め、増幅率毎の電気特性情報を位相特性情報記憶部75に記憶しておく。
【0078】
図7は、位相特性情報を用いて位相ずれを補正する原理を説明するための図である。尚、ここでは検出光学系OSで生ずる位相ずれを補正する場合を例に挙げて説明する。図7に示す通り、マークAMを含む領域において反射される光の光強度分布を示すデータw0を伝達関数f(x)で演算すると、位相ずれが生じた画像信号w1(撮像素子50の受光面に結像したマーク像に対応)が得られる。
【0079】
線形システムの特性上、伝達関数f(x)からその逆の特性を有する伝達関数f−1(x)が求められ、形状変化等が生じた画像信号w1(撮像素子50の受光面に結像しているマーク像)を伝達関数f−1(x)で演算すると、位相ずれが生じていない元のデータw0が得られる。この原理を用いて、位相補正部74は画像信号VS2の位相ずれを補正している。
【0080】
以上、画像信号VS2の位相ずれを補正する原理について説明したが、次に、位相補正部74が行う具体的な位相ずれの補正方法について説明する。位相補正部74が位相ずれを補正するときには、まず補正フィルタの窓の大きさを決定する。この補正フィルタの窓の大きさは、計測対象であるマークAMが繰り返しパターンである場合には、この繰り返しパターンの周期よりも充分大きくなるように設定することが望ましい。このとき、補正フィルタの窓の大きさが繰り返しパターンの周期の整数倍となるように設定すると、位相と成分の次数との対応関係が明確となるため、より望ましい、
【0081】
上記の補正フィルタは、設定した窓の大きさを整数で除算した周期を有する余弦関数(cos関数)の重ね合わせで表現する。ここで、設定した窓の大きさの1/kの周期を有する成分の次数をkとし、これをk次成分とする。検出光学系OSにおけるk次成分の位相遅れをΦkとすると、補正フィルタfC(x)は以下の(1)式で表される。
【数1】
【0082】
位相補正部74は、位相特性情報記憶部75から光学特性情報、電気特性情報、又は光学特性情報と電気特性情報とを合わせた位相特性情報を読み出して、各成分毎に上記(1)式に示された補正フィルタの位相遅れΦkを設定して、補正フィルタを生成する。そして、画像信号VS2に対して補正フィルタfC(x)を畳み込み演算することで、画像信号VS2の位相ずれを補正する。
【0083】
尚、実際には上記(1)式に示した補正フィルタのみを用いる訳ではなく、窓による不連続性を緩和するための窓関数がかけられたものを用いる。また、上記(1)式中のA0,Akは0次成分及びk次成分の振幅である。この各成分の振幅を調整可能に構成して各成分毎のゲインを調整することで、周波数ゲイン調整フィルタを兼ねる事も可能である。
【0084】
ここで、移動特性情報記憶部75に記憶される位相特性情報1つである光学特性情報は、例えば波面計測装置を用いてウェハ・アライメントセンサ16における(電場振幅の)波面計測を行い、これを大σを有する光学系の電場強度の位相特性に換算して求める。また、位相特性情報の1つである電気特性情報は、電気経路ESに対して位相が既知の試験信号を入力し、その試験信号の位相遅れを計測して求める。
【0085】
更に、上記光学特性情報と電気特性情報とを合わせた位相特性情報を求める場合には、ウェハ・アライメントセンサ16の残存収差によって、像が影響を受けるマークを観察してその像から求める。例えば、光学解像限界以下の点像(二次元で収差を補正する場合)又は光学解像限界以下の線像(一次元で収差を補正する場合)をウェハ・アライメントセンサ16で観察し、得られる画像信号をスペクトル解析(フーリエ変換)して求める。これらの計測は、ウェハWに形成されたマークを観察する前に予め行い、得られた位相特性情報を図5に示す位相特性情報記憶部75に記憶させておく。
【0086】
以上、FIA演算ユニット63の構成について説明したが、画像処理ユニット61も図5に示す画像信号増幅部71〜位置情報算出部75と同様の構成を有しし、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bが備えるCCDセンサ25から出力される画像信号VS1の位相ずれを補正した後で、レチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からレチクルマークAM及び基準マークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からレチクルマークRMと基準マークとのずれ量を算出する処理を行う。
【0087】
次に、上記構成におけるウェハ・アライメントセンサ16のマークAMの位置情報を計測する際の動作について説明する。露光装置内にウェハWが搬入されてウェハステージ9上に吸着保持されると、主制御系15がモータ13を駆動してウェハステージ9をXY面内で移動させ、ウェハWに形成されたマークAMの1つをウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内に配置し、検知ビームDLを配置したマークAMに照射する。この照射によってウェハWの表面で反射又は回折された光は、図3に示す第1対物レンズ46及び第2対物レンズ48等を介して撮像素子50及びAFセンサ56で受光される。
【0088】
AFセンサ56は2分割光束の結像位置間の距離を検出して合焦用信号FS2を出力する。この合焦用信号FS2は主制御系15のフォーカス検出ユニット62において予め設定されている基準距離と比較され、これらが異なる場合に主制御系15はモータ13を介してウェハステージ9をZ方向に移動させる。ウェハステージ9を移動させた後、フォーカス検出ユニット62で再度合焦用信号FS2と基準距離との比較を行い、異なる場合は同様にウェハステージ9を移動させる。以上の動作を繰り返して合焦用信号FS2と基準距離とが一致し、ウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置にウェハWの表面が配置された状態になると、FIA演算ユニット63は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2を取り込む。
【0089】
FIA演算ユニット63に取り込まれた画像信号VS2は、まず図5に示す画像信号増幅部71において所定の増幅率で増幅される。このとき画像信号増幅部71で設定された増幅率は増幅率情報として位相補正部74へ出力される。増幅された画像信号はA/D変換部72へ出力され、標本化及び量子化が行われてディジタル化された後、画像信号記憶部73に一時的に記憶される。
【0090】
次に、位相補正部74は、画像信号増幅部71から出力された増幅率情報に応じた電気特性情報を位相特性情報記憶部75から読み出し、読み出した電気特性情報を前述した(1)式に示した補正フィルタに適用して画像信号記憶部73に一時的に記憶された画像信号の位相ずれを補正する。このようにして、電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号は、画像信号記憶部73へ出力されて一時的に記憶されるとともに、位置情報算出部76へ出力される。
【0091】
電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号が位置情報算出部76へ入力されると、位置情報算出部76は入力された画像信号に対してマークAMの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行う。そして、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を求め、この情報を像高情報として位相補正部74に出力する。
【0092】
位置情報算出部76から像高情報が出力されると、位相補正部74は位相特性情報記憶部75から像高情報に応じた光学特性情報を読み出すとともに、先に画像信号記憶部73に記憶した画像信号(電気経路ESにおいて生じた位相ずれを補正した画像信号)を読み出す。そして、読み出した光学特性情報を前述した(1)式に示した補正フィルタに適用して、読み出した画像信号の位相ずれを補正する。このようにして、検出光学系OSにおいて生じた位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号は位置情報算出部76へ出力される。
【0093】
電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号が位置情報算出部76へ入力されると、位置情報算出部76は入力された画像信号に対してマークAMの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等を行って、マークAMの位置情報を求める。この位置情報は図4に示すアライメントデータ記憶部64へ出力されて一時的に記憶される。このようにして、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号からマークAMの位置情報が求められる。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6BにおけるレチクルマークRMと基準マークとの位置ずれの計測時にも同様の動作が行われる。
【0094】
次に、ウェハW上の各ショット領域の位置決めを行って、各ショット領域にレチクルRに形成されたパターンの像を投影露光する際の動作について説明する。まず、ウェハW上のショット領域の配列及びアライメントマークとしてのマークの形状等について説明する。図8は、ウェハW上のショット領域の配列及びマークの形状を説明するための図である。図8において、ウェハW上にはウェハW上に設定された座標系(X,Y)に沿って規則的にショット領域ES1,ES2,……,ESNが形成され、各ショット領域ESiにはそれまでの工程によりそれぞれデバイスパターンが形成されている。
【0095】
また、各ショット領域ESiはX方向及びY方向に所定幅のストリートラインで区切られており、各ショット領域ESiに近接するX方向に伸びたストリートラインの中央部にマークAMとしてのX軸方向のマークMxiが形成され、各ショット領域ESiに近接するY方向に伸びたストリートラインの中央部にY方向のマークMyiが形成されている。マークMxi,MyiはそれぞれX方向及びY方向に所定ピッチで3本の直線パターンを並べたものであり、これらのパターンはウェハWの下部に凹部又は凸部のパターンとして形成したものである。
【0096】
ウェハWへの露光を行う際には、それらショット領域ESiの内から例えば斜線を施して示す9個のショット領域が選択される。このように選択されたショット領域をサンプルショットSA1〜SA9と称する。各サンプルショットSAiにはそれぞれマークMxi,Myiが近接して形成されている。本例ではこれらマークMxi,Myiの位置を計測することにより、各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)上での位置情報を計測する。この位置情報の計測時においては、前述した処理が行われて、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号から各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)が求められる。これにより、マークMxi,Myiの位置情報が極めて高い精度で計測される。この計測結果は、図4に示す主制御系15のアライメントデータ記憶部64に記憶される。
【0097】
各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)上での位置情報が計測されると、これらの位置情報とショットマップデータ部67に記憶されているショットマップデータを用いてEGA演算ユニット65においてEGA演算が行われ、ウェハW上に設定された全てのショット領域の配列の規則性が決定される。システムコントローラ68は決定されたショット領域の配列を用いて、露光すべきショット領域が投影光学系PLの投影領域(レチクルRに形成されたパターンが投影される領域)に配置されるように、ウェハステージ9を移動させて位置決めする。ウェハWの位置決めが完了すると露光光ELがレチクルRに照射され、そのショット領域が露光される。以後同様に、決定されたショット領域の配列を用いてウェハステージ9がステップ移動により位置決めされて、順次ショット領域が露光される。
【0098】
本実施形態においては、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号から各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)を求めているため、高い精度で計測が行われる。この高精度の計測結果を用いて上述したEGA演算が行われ、決定されるショット領域の配列の規則性も高い精度のものとなる。この結果、露光時においてウェハWの各ショット領域を投影光学系PLの投影領域に精確に位置決めすることができ、重ね合わせ精度を向上を図ることができる。
【0099】
次に、本発明の他の実施形態による位置計測装置について説明する。以下に説明する本発明の他の実施形態による位置計測装置は、上述した本発明の一実施形態による位置計測装置が備えるFIA演算ユニット63及び画像処理ユニット61とは異なる構成のFIA演算ユニット及び画像処理ユニットを備えている。尚、以下の説明では、FIA演算ユニットについて詳細に説明し、画像処理ユニットについては説明を省略する。
【0100】
図9は、本発明の他の実施形態による位置計測装置が備えるFIA演算ユニット80の内部構成を示す図である。図9に示す通り、FIA演算ユニット80は、画像信号増幅部81、A/D変換部82、帯域フィルタ部83a〜83n、画像信号記憶部84、位相補正部85、位相特性情報記憶部86、及び位置情報演算部87を含んで構成される。
【0101】
画像信号増幅部81は、図5に示す画像信号増幅部71と同様に、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2を所定の増幅率で増幅する。画像信号増幅部81の増幅率は画像信号VS2の全体的なレベル及びS/N比(信号対雑音比)等を考慮して適宜決定され、この増幅率を示す増幅率情報は位相補正部85へ出力される。A/D変換部82は、図5に示すA/D変換部72と同様に、アナログ信号である画像信号VS2の標本化及び量子化を行い、画像信号VS2をディジタル信号に変換する。
【0102】
帯域フィルタ部83a〜83nはディジタル化された画像信号から所定の帯域の周波数成分を抽出する。ここで、帯域フィルタ部83a〜83nの各々には異なる帯域が設定されており、各々が異なる帯域の周波数成分を抽出する。尚、図9では帯域フィルタ部を3つ備える構成を例に挙げて図示しているが、帯域フィルタ部の数は任意に設定することができる。
【0103】
画像信号記憶部84は、帯域フィルタ部83a〜83nで抽出された周波数成分からなる画像信号をそれぞれ一時的に記憶する。位相補正部85は、画像信号記憶部84に一時的に記憶されている周波数成分毎の画像信号をそれぞれ読み出し、位相特性情報記憶部86に記憶された位相特性情報に基づいて周波数成分毎の画像信号各々の位相ずれを補正する。このとき、位相補正部85は画像信号増幅部81から出力される増幅率情報及び位置情報演算部87から出力される像高情報に応じた位相特性情報であって、周波数成分毎の位相特性情報を位相特性情報記憶部86から選択的に読み出す。
【0104】
位置情報演算部87は、位置情報算出部88及び位置情報補正部89を含んで構成され、マークAMの位置情報を求める。位置情報算出部88は、A/D変換部82から出力される画像信号に対してマークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行って、マークAMの位置情報を求める。
【0105】
また、位置情報算出部76はA/D変換部82から出力される画像信号に基づいてマーク中心を求めた際に、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を像高情報として位相補正部85に出力する。更に、位置情報算出部88は、位相補正部85から出力される位相ずれが補正された周波数成分毎の画像信号各々に対しても同様の処理を行って、周波数成分毎の画像信号に基づいたマークAMの位置情報を求める。以下、周波数成分毎の画像信号に基づいたマークAMの位置情報を補正用位置情報という。
【0106】
位置情報補正部89は、A/D変換部82から出力された全ての周波数成分を含む画像信号から求めたマークAMの位置情報を補正用位置情報を用いて補正する。つまり、A/D変換部82から出力された全ての周波数成分を含む画像信号は、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生ずる位相ずれの影響を受けたものであり、この画像信号に基づいて求められた位置情報は誤差を含んでいると考えられる。
【0107】
そこで、位置情報補正部89は、位相ずれが補正された周波数成分毎の画像信号から得られた補正用位置情報を用いて位置情報を補正することにより、計測精度を高めている。位置情報補正部89で行われる処理は、例えば補正用位置情報各々のばらつきの平均値を求め、これらの値で位置情報を補正する処理が挙げられる。これ以外に、補正用位置情報の分散や標準偏差を求めて統計的な演算により補正するようにしても良い。
【0108】
尚、上記帯域フィルタ部83a〜83nは本発明にいう処理部に相当し、位相特性情報記憶部86は本発明にいう記憶部に相当し、位相補正部85及び位置情報演算部87は本発明にいう演算部に相当する。また、位置情報算出部88は本発明にいう第1演算部に相当し、位相補正部85及び位置情報補正部89は本発明にいう第2演算部に相当する。
【0109】
次に、FIA演算ユニット80の動作について説明する。ウェハ・アライメントセンサ16から出力された画像信号VS2がFIA演算ユニット80に入力されると、まず画像信号増幅部81において所定の増幅率で増幅される。このとき画像信号増幅部81で設定された増幅率は増幅率情報として位相補正部85へ出力される。
【0110】
増幅された画像信号はA/D変換部82へ出力され、標本化及び量子化が行われてディジタル化された後、位置情報算出部88及び帯域フィルタ部83a〜83nの各々に入力される。位置情報算出部88は入力された画像信号に対してマークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行って、マークAMの位置情報を求める。求められた位置情報は位置情報補正部89へ出力されて一時的に記憶される。また、位置情報算出部88はマーク中心を求める際に、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を求めて像高情報として位相補正部85に出力する。
【0111】
また、A/D変換部82から帯域フィルタ部83a〜83nへ出力された画像信号は、帯域フィルタ部83a〜83nにおいて各々に設定された帯域の周波数成分のみを含む画像信号が抽出されて画像信号記憶部84に一時的に記憶される。次に、位相補正部85は画像信号記憶部84から抽出された画像信号を順次読み出すとともに、位相特性情報記憶部86から各帯域毎(又は成分毎)の光学特性情報及び電気特性情報を順次読み出す。画像信号並びに各帯域毎(又は成分毎)の光学特性情報及び電気特性情報を読み出す度に、位相補正部85は読み出した光学特性情報及び電気特性情報を前述の(1)式に示した補正フィルタに適用して、読み出した画像信号の位相ずれを補正する。
【0112】
補正された画像信号は、位置情報算出部88へ順次出力されて各帯域毎の画像信号から補正用位置情報が算出される。算出された位置情報補正部89へ順次出力される。全ての帯域の画像信号に対する位相ずれの補正と補正位置情報の算出とが完了すると、位置情報補正部89は補正位置情報を用いてA/D変換部82から出力された全周波数成分を含む画像信号から求められた位置情報を補正し、補正された位置情報はアライメントデータ記憶部64へ出力されて一時的に記憶される。このようにして、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号からマークAMの位置情報が求められる。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6BにおけるレチクルマークRMと基準マークとの位置ずれの計測時にも同様の動作が行われる。
【0113】
以上、本発明の実施形態による位置計測装置及び露光装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、検出光学系OSにおいて生ずる位相ずれと電気経路ESにおいて生ずる位相ずれをともに補正するようにしていたが、検出光学系OSにおいて生ずる位相ずれのみを補正するようにしても良いし、電気経路ESにおいて生ずる位相ずれのみを補正するようにしても良い。
【0114】
また、上述した他の実施形態では、帯域フィルタ部83a〜83nで抽出された画像信号を一時的に画像信号記憶部84に記憶し、順次位相補正部85で位相ずれを補正するとともに、位置情報算出部88で補正位置情報を求めるようにした。しかしながら、FIA演算ユニット80で要する処理時間を短縮するために、位相補正部85及び位置情報算出部88を帯域フィルタ部83a〜83n各々に対応して並列して設け、並列処理を行うようにしても良い。
【0115】
また、上記の実施形態においては、ウェハWに形成されたマークの位置情報を求める場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られる訳ではなく、レチクルRに形成されたマークの位置情報を求める場合、その他の物体に形成されたマークの位置情報を求める場合について適用可能である。更に、図4、図5、及び図9に示した各ブロックは、電子回路によりハードウェア的に構成されていても良く、ソフトウェア的に構成されていても良い。各ブロックをソフトウェア的に構成する場合には、各ブロックの機能を規定するプログラムをCPU(中央処理装置)が実行することにより、各ブロックが実現される。また、図4に示す各ブロックをハードウェア的又はソフトウェア的に構成する場合には、図示した全てのブロックが1つにまとまって構成されていなくとも良く、分散されて構成されていても良い。例えば、フォーカス検出ユニット60,62は、主制御系15とは別個に設けられていても良い
【0116】
また、上記実施形態においては、レチクル・アライメントセンサ6A,6BがVRA方式のアライメントセンサであり、ウェハ・アライメントセンサ16がFIA方式のアライメントセンサである場合を例に挙げて説明したが、レチクル・アライメントセンサ6A,6B及びウェハ・アライメントセンサ16は、更にLSA方式及びLIA方式のアライメントセンサを備えた構成であっても良い。また、本発明は、レチクルRを介さずに投影光学系PLのみを介して基準部材10の基準パターンを観察するTTL方式のアライメントセンサにも適用することができる。
【0117】
更に、上記実施形態で説明したレチクル・アライメントセンサ6A,6Bは露光光ELの一部の露光光EL1をレチクルマークRMに照射するとともに、投影光学系PLを介して基準部材10の上面に照射して、レチクルマークRM及び基準パターンを観察するようにしていた。しかしながら、光ファイバー(不図示)等を用いて基準部材10の下方に露光光ELの一部を導き、基準部材10に形成されたスリットパターンを下方(ウェハステージ9の内部)から照明するように構成しても良い。
【0118】
また、本発明の露光装置は、図1に示したステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置に限定されず、例えばステップ・アンド・スキャン方式の露光装置、ミラープロジェクション方式、プロキシミティ方式、コンタクト方式等の露光装置に適用することが可能である。
【0119】
更に、半導体素子、液晶表示素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、プラズマディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、及び撮像素子(CCDなど)の製造にも用いられる露光装置、及びレチクル、又はマスクを製造するために、ガラス基板、又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。即ち本発明は、露光装置の露光方式や用途等に関係なく適用可能である。
【0120】
尚、前述した本発明の一実施形態による露光装置(図1)は、ウェハWを精度よく高速に位置制御することができ、スループットを向上しつつ高い露光精度で露光が可能となるように、照明光学系、モータ2、レチクルステージ3、レーザ干渉計4、移動鏡5、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bを含むマスクアライメント系、ウェハホルダ8、ウェハステージ9、基準部材10、移動鏡11、レーザ干渉計12、及びモータ13を含むウェハアライメント系、投影光学系PL等の図1に示された各要素が電気的、機械的、又は光学的に連結して組み上げられた後、総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造される。尚、露光装置の製造は、温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0121】
次に、本発明の一実施形態による露光装置を用いたマイクロデバイスの製造方法の実施形態について簡単に説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図10に示すように、まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0122】
次に、ステップS13(ウェハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0123】
図11は、半導体デバイスの場合における、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。図11において、ステップS21(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0124】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、この位相特性情報を用いて検出系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
また、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導く検出光学系においてマーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を予め記憶しておき、この光学特性情報を用いて検出光学系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、光電変換手段から出力される画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
また、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段で光電変換して得られる画像信号が光電変換手段から演算部まで伝達される電気経路において電気経路の位相特性に対して作用する電気特性情報を予め記憶しておき、この電気特性情報を用いて電気経路を介した画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部に導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
更に、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び/又は画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、検出系を介して得られた画像信号を加工して複数の加工信号を生成してこれらの加工信号各々から位置情報を算出し、位相特性情報を用いて算出した位置情報を補正演算している。かかる補正演算を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による位置計測装置を備える本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】レチクル・アライメントセンサ6Aの構成例を示す構成図である。
【図3】ウェハ・アライメントセンサ16の構成例を示す構成図である。
【図4】主制御系15の内部構成を示すブロック図である。
【図5】FIA演算ユニット63の内部構成を示すブロック図である。
【図6】位相特性情報を決める伝達関数を説明するための図である。
【図7】位相特性情報を用いて位相ずれを補正する原理を説明するための図である。
【図8】ウェハW上のショット領域の配列及びマークの形状を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施形態による位置計測装置が備えるFIA演算ユニット80の内部構成を示す図である。
【図10】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】半導体デバイスの場合における、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
6A,6B レチクル・アライメントセンサ
9 ウェハステージ(位置決め部)
10 基準部材(物体)
13 モータ(位置決め部)
15 主制御系(制御部)
16 ウェハ・アライメントセンサ
20A,20B プリズム(照射系)
21A ハーフミラー(検出系、検出光学系)
23 結像光学系(検出系、検出光学系)
24 ダイクロイックミラー(検出系、検出光学系)
25 CCDセンサ(光電変換手段)
41 光源(照射系)
42 コンデンサレンズ(照射系)
43 視野絞り(照射系)
44 照明リレーレンズ(照射系)
45 ビームスプリッタ(照射系、検出系、検出光学系)
46 第1対物レンズ(照射系、検出系、検出光学系)
48 第2対物レンズ(検出系、検出光学系)
49 ビームスプリッタ(検出系、検出光学系)
50 撮像素子(光電変換手段)
71 画像信号増幅部(検出系、電気経路)
74 位相補正部(処理部)
75 位相特性情報記憶部(記憶部)
76 位置情報算出部(演算部)
81 画像信号増幅部(検出系)
83a〜83n 帯域フィルタ部(処理部)
85 位相補正部(演算部、第2演算部)
86 位相特性情報記憶部(記憶部)
87 位置情報演算部(演算部)
88 位置情報算出部(第1演算部)
89 位置情報補正部(第2演算部)
AM マーク
DL 検知ビーム(検知光)
EL1 露光光(検知光)
ES 電気経路(検出系)
Mxi,Myi マーク
OS 検出光学系(検出系)
PL 投影光学系(露光部)
R レチクル(物体)
RM レチクルマーク(マーク)
VS1,VS2 画像信号
W ウェハ(物体、基板)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェハ若しくはガラスプレート又はマスク若しくはレチクル等の物体に形成されたマークの位置情報を計測する位置計測装置及び方法、当該位置計測装置及び方法によって得られたマークの位置情報を用いて物体の位置合わせ(アライメント)を行い、マスク若しくはレチクルに形成されたパターンをウェハ若しくはガラスプレート上に転写する露光装置、並びに当該露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子、その他のデバイスの製造においては、露光装置を用いてマスクやレチクル(以下、これらを総称する場合はマスクという)に形成された微細なパターンの像をフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウェハ又はガラスプレート等の基板上に投影露光することが繰り返し行われる。露光装置は、マスク及び基板に形成されたマークの位置情報を計測し、これらの計測結果からマスクと基板との相対的な位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量を補正することで投影されるパターン像と既に基板上に形成されているパターンとの位置合わせを精確に行っている。近年においては、パターンの微細化の要求が高まっており、重ね合わせ精度の向上が益々厳しくなっている。重ね合わせ精度を向上させるためには、まずマスク及び基板に形成されたマークの計測精度を高める必要がある。
【0003】
マスクに形成されたマークの位置情報を計測するアライメントセンサは、基板を露光する際に用いる露光光をマークに照射して位置情報を計測するものが一般的である。このアライメントセンサとしては、例えばVRA(Visual Reticle Alignment)方式を用いたものがある。VRA方式は、基板がステージ上に搬送される前に、露光光をマスク上に形成されたマークに照射して得られる光学像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で画像信号に変換し、この画像信号に対して画像処理を施してマークの位置情報を検出するものである。
【0004】
また、基板に形成されたマークの位置情報を計測するアライメントセンサは、デバイスの製造過程において測定対象である基板の表面状態(荒れ程度)が変化するため、単一種類のアライメントセンサによって基板の位置情報を正確に検出することは困難なことが多いため、一般的には異なる方式のアライメントセンサが複数設けられる。これらの主なものとしては、LSA(Laser Step Alignment)方式、FIA(Field Image Alignment)方式、LIA(Laser Interferometric Alignment)方式のものがある。
【0005】
これらの方式のアライメントセンサを概説すると以下の通りである。つまり、LSA方式のアライメントセンサは、レーザ光を基板に形成されたマークに照射し、回折・散乱された光を利用してそのマークの位置情報を計測するものであり、従来から種々の半導体素子を製造する際に幅広く使用されている。FIA方式のアライメントセンサは、ハロゲンランプ等の波長帯域幅の広い光源を用いてマークを照明し、その結果得られたマークの像を撮像素子で画像信号に変換した後、画像処理して位置計測を行うものであり、アルミニウム層や基板表面に形成された非対称なマークの計測に効果的である。LIA方式のアライメントセンサは、基板表面に形成された回折格子状のマークに、僅かに波長が異なるレーザ光を2方向から照射し、その結果生ずる2つの回折光を干渉させ、この干渉光の位相からマークの位置情報を検出するものである。このLIA方式の基板位置情報検出装置は、低段差のマークや基板表面の荒れが大きい基板に用いると効果的である。
【0006】
また、以上の各方式のアライメントセンサは、投影光学系を介してマークの位置情報を計測するか否かによりTTL(スルー・ザ・レンズ)方式とオフ・アクシス方式とに分類される。以上説明した各方式のアライメントセンサの詳細については、例えば以下の特許文献1及び特許文献2を参照されたい。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−289871号公報
【特許文献2】
特開平5−217835号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した各種アライメントセンサのうち、マークの像の画像信号を得て画像処理を施すことによりマークの位置情報を計測するVRA方式及びFIA方式のアライメントセンサにおいては、アライメントセンサが備える光学系の残存収差が原因でマークの像が歪む。この歪みはマークで反射された光がアライメントセンサの光学系を通過する際に、光学系の残存収差によりマークの像の空間周波数成分の位相が成分毎にずれた(ウェハ又は基板の表面方向にシフトした)結果であると解釈することができる。
【0009】
また、マークの像を撮像素子で変換した直後の画像信号はアナログ信号であり、このアナログ信号が増幅器で増幅された後、A/D変換器(アナログ・ディジタル変換器)で標本化及び量子化されることでディジタル信号に変換される。このため、撮像素子から出力された画像信号は、電気ケーブルを介してアナログ信号としてA/D変換器まで転送されることになるが、増幅器を含む電気伝送路の電気的特性によって、画像信号の周波数に依存した位相ずれが発生する。この位相ずれは時間的なものであるが、画像信号はマスク又は基板の面内の一方向に走査して得られるものであるため、走査方向における位相ずれと等価なものである。
【0010】
上記の光学系で生ずる位相ずれ及び電気伝送路で生ずる位相ずれは、何れもマスク又は基板の面内におけるマークの位置ずれを引き起こし、マークの位置計測精度に悪影響を与える。位置計測精度を向上させるためには、これらの位相ずれが生じないようにアライメントセンサの光学系及び電気系を設計することが理想であるが現状では困難である。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、計測対象としてのマークを撮像して得られる画像信号が光学系の光学特性又は電気系の電気特性により位相ずれが生じたものであったとしても高い精度でマークの位置情報を計測することができる位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(76)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)へ導き、且つ該光電変換手段から出力された前記画像信号(VS1、VS2)を前記演算部へ導く検出系(21A、23、24、45、46、48、49、71、ES、OS)と、前記検出系において、前記マーク光及び前記画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を記憶する記憶部(75)と、前記位相特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部(74)とを有することを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、この位相特性情報を用いて検出系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(76)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)へ導く検出光学系(21A、23、24、45、46、48、49、OS)と、前記検出光学系が前記マーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を記憶する記憶部(75)と、前記光学特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部(74)とを有することを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導く検出光学系においてマーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を予め記憶しておき、この光学特性情報を用いて検出光学系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、光電変換手段から出力される画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(76)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を受光し、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)と、前記画像信号が前記光電変換手段から前記演算部まで伝達される電気経路(71、ES)上において、前記画像信号の位相特性に対して作用する電気特性情報を記憶する記憶部(75)と、前記電気特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部(74)とを有することを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段で光電変換して得られる画像信号が光電変換手段から演算部まで伝達される電気経路において電気経路の位相特性に対して作用する電気特性情報を予め記憶しておき、この電気特性情報を用いて電気経路を介した画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部に導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点による位置計測装置は、物体(R、W、10)上に形成されたマーク(RM、AM)の、所定の計測方向(X、Y)における位置情報を演算する演算部(85、87)を備えた位置計測装置(6A、6B、16)であって、前記マークを含む被照射領域に対して検知光(EL1、DL)を照射する照射系(20A、20B、41〜46)と、前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段(25、50)へ導き、且つ該光電変換手段から出力された前記画像信号を前記演算部へ導く検出系(21A、23、24、45、46、48、49、81)と、前記検出系において、前記マーク光及び/又は前記画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を記憶する記憶部(86)と、前記画像信号を加工して複数の加工信号を生成する処理部(83a〜83n)とを有し、前記演算部は更に、前記複数の加工信号毎に前記位置情報を算出する第1演算部(88)と、前記位相特性情報を用いて前記第1演算部の算出結果を補正演算する第2演算部(85、89)とを含むことを特徴としている。
この発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び/又は画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、検出系を介して得られた画像信号を加工して複数の加工信号を生成してこれらの加工信号各々から位置情報を算出し、位相特性情報を用いて算出した位置情報を補正演算している。かかる補正演算を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができる。
本発明の露光装置は、所定パターンを基板(W)上に転写する露光装置であって、前記基板上に形成されたマーク(AM、Mxi,Myi)を、上記の何れかの位置計測装置を用いて計測し、その計測結果に基づいて前記基板の位置決めを行う位置決め部(9、13)と、前記位置決めされた前記基板上に前記所定パターンを転写する露光部(PL)と、前記位置決め部及び前記露光部を制御する制御部(15)とを有することを特徴としている。
本発明のデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて、デバイスパターンを前記基板上に転写する露光工程(S26)と、前記デバイスパターンが転写された前記基板を現像する現像工程(S27)とを含むことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による位置計測装置を備える本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。尚、以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態においては、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置を例に挙げて説明する。
【0014】
図1において、1は照明光学系の一部をなすコンデンサレンズである。照明光学系は例えば超高圧水銀ランプ又はエキシマレーザ等の光源(図示省略)が設けられており、この光源から射出された露光光ELはコンデンサレンズ1を介してマスクとしてのレチクルRに形成されたパターン領域PAを均一な照度分布で照射する。露光光ELとしては、例えばg線(436nm)やi線(365nm)、又はKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、若しくはF2エキシマレーザ(157nm)から射出される光が用いられる。
【0015】
レチクルRは、モータ2によって投影光学系PLの光軸AXの方向に微動可能で、且つその光軸AXに垂直な面内で2次元移動及び微小回転可能なレチクルステージ3上に吸着保持されている。尚、レチクルRは不図示のレチクル交換器により適宜交換されて使用される。レチクルステージ3の端部にはレーザ干渉計4からのレーザビームを反射する移動鏡5が固定されており、レチクルステージ3の2次元的な位置はレーザ干渉計4によって、例えば1nm程度の分解能で常時検出されている。レチクルRの上方にはレチクル・アライメントセンサ6A,6Bが配置されている。
【0016】
レチクル・アライメントセンサ6A,6Bは、レチクルRの外周付近に形成された位置検出用のレチクルマークRMと投影光学系PLを介して後述するウェハステージ9上に形成された基準部材10又はウェハステージ9上に載置されたウェハWに形成されたマークとを同時に観察し、レチクルRとウェハステージ9との相対的な位置関係又はレチクルRとウェハWとのX方向又はY方向(所定の計測方向)における相対的な位置関係を直接的に計測(観察)する。
【0017】
レチクル・アライメントセンサ6A,6Bの計測結果は後述する主制御系15へ出力され、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理が施されてレチクルRとウェハステージ9又はウェハWとの相対的な位置ずれ量が求められる。そして、この位置ずれ量に応じて主制御系15がモータ2を駆動してレチクルステージ3を微動させることで、レチクルRに形成されたパターン領域PAの中心点が光軸AXと一致するように位置決めされる。このレチクル・アライメントセンサ6A,6Bは、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のアライメントセンサの一種であるTTR(スルー・ザ・レチクル)方式のアライメントセンサであって、レチクルマークRM等の画像信号から位置情報を計測するVRA方式のアライメントセンサであり、その詳細については後述する。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bは、本発明の一実施形態による位置計測装置の一部をなすものである。
【0018】
上記レチクルRのパターン領域PAを透過した露光光ELは、例えば両側(片側でも良い。)テレセントリックな投影光学系PLに入射して基板としてのウェハW上の各ショット領域に投影される。ここで、投影光学系PLは、露光光ELの波長に関して最良に収差補正されており、その波長のもとでレチクルRとウェハWとは互いに光学的に共役になっている。また、照明光ELは、ケラー照明であり、投影光学系PLの瞳(図示省略)の中心に光源像として結像されている。尚、投影光学系PLは複数のレンズ等の光学素子を有し、その光学素子の硝材としては露光光ELの波長に応じて石英、蛍石等の光学材料から選択され、その投影倍率は、例えば1/4又は1/5に設定されている。このため、露光光ELによりレチクルR上の照明領域が照明されると、そのレチクルRのパターン面に形成されたパターンの像が投影光学系PLによってウェハW上に縮小投影され、表面にフォトレジスト等の感光剤が塗布されたウェハW上の一つのショット領域にレチクルRの回路パターンの縮小像が転写される。
【0019】
ウェハWはウェハホルダ8を介してウェハステージ9上に吸着保持されている。ウェハホルダ8上には、レチクルRの位置計測及びベースライン計測等で使用する基準部材10が設けられている。ここで、ベースラインとは、例えばレチクルRのパターン領域PAに形成されたパターンの投影光学系PLによる投影像の中心位置と後述するウェハ・アライメントセンサ16の計測視野中心との距離をいう。基準部材10には基準マークとして、例えば光透過性の5組のL字状パターンから成るスリットパターンと、光反射性のクロムで形成された2組の基準パターン(デューティ比は1:1)とが設けられている。
【0020】
一方の組の基準パターンは、例えばY方向に配列された7個のドットマークをX軸方向に3列配列してなる回折格子マークと、3本の直線パターンをX軸方向に配列してなる回折格子マークと、Y方向に延びた12本のバーマークとを、X軸方向に配列したものである。他方の組の基準パターンは、例えばその一方の組の基準パターンを90°回転したものである。
【0021】
ウェハステージ9は、投影光学系PLの光軸AXに垂直な面内でウェハWを2次元的に位置決めするXYステージ、投影光学系PLの光軸AXに平行な方向(Z方向)にウェハWを位置決めするZステージ、ウェハWを微小回転させるステージ、及びZ軸に対する角度を変化させてXY平面に対するウェハWの傾きを調整するステージ等より構成されている。ウェハステージ9の上面の一端にはL字型の移動鏡11が取り付けられ、移動鏡11の鏡面に対向した位置にレーザ干渉計12が配置されている。
【0022】
図1では簡略化して図示しているが、移動鏡11はX軸に垂直な反射面を有する平面鏡及びY軸に垂直な反射面を有する平面鏡より構成されている。また、レーザ干渉計12は、X軸に沿って移動鏡11にレーザビームを照射する2個のX軸用のレーザ干渉計及びY軸に沿って移動鏡11にレーザビームを照射するY軸用のレーザ干渉計より構成され、X軸用の1個のレーザ干渉計及びY軸用の1個のレーザ干渉計により、ウェハステージ9のX座標及びY座標が計測される。また、X軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ウェハステージ9のXY平面内における回転角が計測される。
【0023】
ウェハステージ9の2次元的な座標は、レーザ干渉計12によって例えば1nm程度の分解能で常時検出されており、X軸方向及びY軸方向の座標によりウェハステージ9のステージ座標系(静止座標系)(X,Y)が定められる。即ち、レーザ干渉計12により計測されるウェハステージ9の座標値が、ステージ座標系(X,Y)上の座標値である。レーザ干渉計12により計測されたX座標、Y座標、及び回転角を示す位置計測信号PDSは主制御系15に出力される。
【0024】
主制御系15は、供給された位置計測信号PDSをモニタしつつ、ウェハステージ9の位置を制御する制御信号をモータ13へ出力する。このような閉ループの制御系により、例えばウェハステージ9はウェハW上の1つのショット領域に対するレチクルRのパターンの転写露光が終了すると、次のショット位置までステッピングされる。また、主制御系15は図示しない照明光学系に設けられる光源から露光光ELを射出するか否か、露光光ELを射出する場合の露光光ELの強度等の制御を行う。尚、主制御系15の構成についての詳細な説明は後述する。
【0025】
また、本実施形態の露光装置は、投影光学系PLの結像特性を調整するための結像特性補正部14が設けられている。この結像特性補正部14は、投影光学系PLを構成する一部のレンズエレメント、特にレチクルRに近い複数のレンズエレメントの各々を、ピエゾ素子等の圧電素子を用いて独立に駆動(光軸AXに対して平行な方向の移動又は傾斜)することで、投影光学系PLの結像特性、例えば投影倍率やディストーションを補正するものである。
【0026】
また、本実施形態の露光装置は、オフ・アクシス方式のウェハ・アライメントセンサ16を投影光学系PLの側方に備える。このウェハ・アライメントセンサは16、本発明の位置計測装置の一部をなすものであり、ウェハWに形成されたマークのX方向及びY方向(所定の計測方向)における位置情報を計測するために用いられる。ウェハ・アライメントセンサ16の計測結果を上述したベースラインの計測結果で補正することにより、ステージ座標系(X,Y)におけるマークの位置情報を得ることができる。尚、ウェハ・アライメントセンサ16の詳細については後述する。
【0027】
更に、本実施形態の露光装置は、投影光学系PLの側面にウェハWのZ軸方向の位置及びXY平面に対する傾斜量を計測するための斜入射方式の多点のメインフォーカスセンサ17が設置されている。このメインフォーカスセンサ17は、ウェハW上においてレチクルRの像が投影される露光領域内の予め設定された複数の計測点にスリット像を投影する照射光学系18と、それらスリット像からの反射光を受光してそれらスリット像を再結像し、これら再結像されたスリット像の横ずれ量に対応する複数のフォーカス信号を生成する集光光学系19とから構成され、それら複数のフォーカス信号が主制御系15に供給されている。そして、主制御系15が集光光学系19から出力されるフォーカス信号に基づいて常に投影光学系PLの最良結像面にウェハWの表面が位置するようにモータ13を介してウェハステージ9を制御する。尚、上記ウェハステージ9及びモータ13は本発明にいう位置決め部に相当し、照明光学系及び投影光学系PLは本発明にいう露光部に相当し、主制御系15は本発明にいう制御部に相当する。
【0028】
以上、本発明の露光装置の全体構成について概説したが、次に本発明の位置計測装置の一部をなすレチクル・アライメントセンサ6A,6B及びウェハ・アライメントセンサ16の詳細について順に説明する。図2は、レチクル・アライメントセンサ6Aの構成例を示す構成図である。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bは同様の構成であるため、以下では主にレチクル・アライメントセンサ6Aについて詳細に説明する。
【0029】
レチクル・アライメントセンサ6Aは、プリズム20A、ハーフミラー21A、及び観察光学系22Aを含んで構成される。レチクル・アライメントセンサ6Aはケースにより一体化され、不図示の駆動装置によって図1中の符号A,A′を付した方向に移動自在に構成されている。レチクルRのアライメントを行なう際には、主制御系15は不図示の駆動装置を介してレチクル・アライメントセンサ6Aを符号Aを付した方向に駆動して図1に示した位置に位置決めし、レチクルアライメントが終了すると、露光の際に邪魔にならないように、符号A′を付した方向に駆動して所定の退避位置に退避させる。
【0030】
レチクル・アライメントセンサ6Bは、同様に、プリズム20B、ハーフミラー21B、及び不図示の観察光学系を含んでケースにより一体化され、不図示の駆動装置によって図1中の符号B,B′を付した方向に移動自在に構成されている。そして、このレチクル・アライメントセンサ6Bも、同様に主制御系15により、後述するレチクルアライメントを行なう際に、図1に示される位置に位置決めされ、レチクルアライメントが終了すると、所定の退避位置に退避されるように構成されている。尚、上記プリズム20A,20Bは、本発明の照射系の一部に相当するものである。
【0031】
図2に示すように、プリズム20Aは、露光光ELをレチクルR上のレチクルマークRM上に導くためのものである。レチクルマークRMはパターン領域PAの外側に設けられており、この部分は通常は照明する必要の無い部分であるため、照明光学系の負荷、照度の無駄を無くすため、通常照明領域より露光光ELの一部の光束(以下、この光束を便宜上、露光光EL1という)を導くようにしたものである。尚、この露光光EL1は本発明にいう検知光に相当するものである。
【0032】
露光光EL1の光路上にハーフミラー21Aが配置されており、プリズム20Aにより導かれた露光光EL1はハーフミラー21Aを介してレチクルマークRM1を照明するとともに、レチクルR及び投影光学系PLを介して、例えば基準部材10に形成された基準マークを照明する。尚、露光光EL1が照明されるレチクルR上の領域及び露光光EL1が照明される基準部材10又はウェハW上の領域は本発明にいう被照射領域に相当する。
【0033】
ここで、レチクルアライメントを行う際には、レチクルR上の被照射領域及びウェハW又は基準部材10上の被照射領域を照明する露光光EL1を、部分的なインコヒーレント照明光に設定する。このためには、プリズム20Aを含む照明光学系の照明σを0.8以上に設定する。これは、観察光学系22Aを線形光学系とみなして、レチクルマークRMからの反射光及び基準部材10等からの反射光の位相情報を得るためである。
【0034】
レチクルマークRMからの反射光及び基準部材10からの反射光は、ハーフミラー21Aでそれぞれ反射されて観察光学系22Aに入射する。観察光学系22Aは、結像光学系23、ハーフミラー24、CCDセンサ25、焦点位置検出用の光として露光光源から分岐された露光光を導く光ファイバ26、スリット板27、ハーフミラー28、瞳遮光板30、及びCCDセンサ31を含んで構成されている。これらの部材のうち、結像光学系23、ハーフミラー24、及び受光部としてのCCDセンサ25により、レチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マーク等の像を検出するための検出光学系が構成されている。
【0035】
つまり、前述したように、ハーフミラー21Aでそれぞれ反射されたレチクルマークRM、基準部材10からの反射光は、露光波長の光のみを透過させ、その他の波長の光を反射させるダイクロイックミラー24を透過して結像光学系23の最良結像面(焦点位置)にそれぞれ結像される。この場合、レチクルRのパターン形成面と基準部材10の上面とは光学的に共役関係となるよう設定されている。
【0036】
このため、レチクルRのパターン形成面とCCDセンサ25の受光面とが光学的に共役であれば、CCDセンサ25の受光面にレチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マークの像が最良の結像状態でそれぞれ結像し、CCDセンサ25からはレチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マークの画像信号VS1が出力される。従って、主制御系15がCCDセンサ25から出力される画像信号VS1に対して画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行えば、レチクルマークRMと基準部材10に形成された基準マークとの相対位置を求めることができる。尚、本実施形態では、上記結像光学系23として、焦点距離を可変とできる光学系、即ち所謂内焦式の光学系が用いられている。また、上記ハーフミラー21A、結像光学系23、及びダイクロイックミラー24は本発明にいう検出光学系に相当し、CCDセンサ25は本発明にいう検出系の一部又は光電変換手段に相当する、
【0037】
また、観察光学系22Aを構成する部材のうち、焦点位置検出用の光源26、スリット板27、ハーフミラー28、波長選択フィルタ29、瞳遮光板30、及びCCDセンサ31によって、結像光学系23の焦点ずれを検出する焦点位置検出系が構成されている。上記焦点位置検出用の光源26は、例えばLED(Light Emitting Diode)であり、この光源26から射出される焦点位置検出用の検出光ILの波長は露光光ELとは異なる波長である。
【0038】
スリット板27には、所定形状の開口(スリット)が形成されている。光源26から射出された検出光ILがスリット板27を照明すると、スリット板27のスリットを透過した検出光ILは、ハーフミラー28、ダイクロイックミラー24で順次反射され、結像光学系23を通過した後、ハーフミラー21AによりレチクルRのパターン面を落射照明する。これにより、レチクルRのパターン形成面にスリット板27のスリット像が結像される。
【0039】
このスリット像の反射光は検出光ILと同じ光路を逆向きに戻り、ダイクロイックミラー24で反射された後、ハーフミラー28を透過し、露光光ELの波長域の光を透過させない波長選択フィルタ29を更に透過して瞳遮光板30に至る。この瞳遮光板30は、例えば焦点位置検出系の瞳面に配置され、瞳面の図2における左半分を遮光する半円状のものである。この瞳遮光板30を通過したスリット像の反射光は強制的に傾斜させられた後、CCDセンサ31上にスリット像を再結像する。
【0040】
以上のように、CCDセンサ31の受光面には、その光軸が傾斜した光束が入射するため、例えばレチクルRの厚さ変化等の要因により結像光学系23の焦点位置がずれて、レチクルRのパターン形成面とCCDセンサ25の受光面との共役関係が維持できなくなると、CCDセンサ31上におけるスリット像の結像位置がずれる。従って、CCDセンサ31からの合焦用信号FS1に基づいて主制御系15が結像光学系23の焦点ずれを測定し、結像光学系23内部の不図示のレンズ群を駆動することで結像光学系23の焦点をレチクルパターン面とCCDセンサ25の受光面とに合わせることができることができるようになっている。
【0041】
この場合、主制御系15は、CCDセンサ31上でのスリット像の結像位置が常に一定になるように、結像光学系23内部のレンズ群を駆動することにより、常にCCDセンサ25に焦点位置を一致させる。CCDセンサ25上でのスリット像結像位置の目標値は、CCDセンサ25から出力される画像信号が最もシャープ(例えば、コントラストが最大となる)状態において、CCDセンサ31で検出されるスリット像結像位置を予め求めて設定しておく。
【0042】
次に、ウェハ・アライメントセンサ16について詳細に説明する。図3は、ウェハ・アライメントセンサ16の構成例を示す構成図である。尚、図3に示すウェハ・アライメントセンサ16は、FIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサである。ウェハ・アライメントセンサ16は、所定の広帯域波長の光束を検知ビームDLとして射出する光源41を備える。この光源41はウェハWに形成されたマークAMの観察用及び合焦用(焦点合わせ)に共用される。尚、検知ビームDLは本発明にいう検知光に相当する。
【0043】
光源41の光路上にはコンデンサレンズ42、視野絞り43、照明リレーレンズ44、及びビームスプリッタ45が順に配置されている。視野絞り43は、図3中に示すように、主開口K1及び副開口K2,K3を有する。主開口K1は略正方形状に形成され、視野絞り43の中央部に配置されており、その中心がコンデンサレンズ42及び照明リレーレンズ44の光軸とほぼ一致するように光路中に挿入されている。
【0044】
副開口K2,K3は細長い矩形スリット状に形成され、その長手方向の辺が主開口K1の対向する2つの辺に対して所定の角度(例えば5°)傾いた状態で主開口K1の近傍位置に配置されている。そして、主開口K1の辺と直交し、且つ副開口K2,K3の長手方向と略直交する方向(傾いていない状態で直交する方向)が、後述するフォーカスの計測方向となる。以下の説明中では、副開口K2,K3の略長手方向を非計測方向と呼ぶ。また、フォーカスの計測方向は、種々の方向に設定することが可能であるが、本実施形態ではウェハWの表面のパターンの基準線の方向(X方向又はY方向)に合わせているものとする。
【0045】
照明リレーレンズ44を介した光源41からの検知ビームDLがビームスプリッタ45において反射される方向、図3ではビームスプリッタ45から下方に進む光路上には、第1対物レンズ46が配置されている。この光路の先にはウェハWを載置するためのウェハステージ9が配置されることになる。
【0046】
ウェハWの表面が基準面F1に一致するように位置決めされた状態では、ウェハWの表面は、視野絞り43と光学的に共役の関係となる。ウェハW上には位置検出用のマークAMが形成されており、このマークAMが図3に示すようにウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内に配置されると、マークAMは検知ビームDLにより落射照明される。尚、ウェハステージ9上において検知ビームDLが落射照明される領域は、本発明にいう被照射領域に相当する。
【0047】
ここで、ウェハW上の被照射領域を照明す検知ビームDLを、部分的なインコヒーレント照明光に設定する。このためには、ウェハ・アライメントセンサ16の照明σを0.8以上に設定する。これは、ウェハ・アライメントセンサ16を線形光学系とみなして、ウェハW等からの反射光の位相情報を得るためである。
【0048】
また、第1対物レンズ46の光軸に沿って、ビームスプリッタ45の反射面を透過する方向、図では上方向への光路上には、第2対物レンズ48、ビームスプリッタ49、遮光板51、第1リレーレンズ52、及び瞳分割用反射型プリズム53が順に配置されている。遮光板51は基準面F1と光学的に共役な面F2に配置されており、ウェハWの表面で反射され、第1対物レズ46、ビームスプリッタ45、第2対物レンズ48、及びビームスプリッタ49を順に通過した光の一部を遮光する。尚、遮光板51の詳細については後述する。
【0049】
瞳分割用反射型プリズム53は、第1リレーレンズ52を介して入射する光束を複数の光束に分割(本実施形態では2本の光束に分割)する光束分割部材であって、光源41と共役な位置又はその近傍に配置される。ここで、瞳分割用反射型プリズム53は、2面が180度に近い鈍角で山型に形成されたプリズムの、その2面を反射面に仕上げた光学部材である。本実施形態では、この2面の交線(山の稜線)が第1リレーレンズ52の光軸と交差し、その光軸をほぼ90度折り曲げるように傾けて配置されている。
【0050】
第1リレーレンズ52を介して瞳分割用反射型プリズム53に入射した検知ビームDLは、ここで図中右方へ分割反射される。この右方への光路上には、瞳分割用反射型プリズム53に続いて第2リレーレンズ54、円柱光学系である円柱レンズ(シリンドリカルレンズ)55、及びAF(オートフォーカス)センサ56が順次配置される。ここで円柱光学系とは、前後の面が、互いに平行な母線を有する円柱面であるレンズである。前後の面の一方が平面であってもよい。この場合、具体的には円柱面の母線と直角の方向には屈折力があるが母線方向の屈折力はゼロである。本実施形態では、円柱レンズ55はその母線がフォーカスの計測方向にほぼ一致するように配置される。また、本明細書では、直交する2方向で屈折力が異なるレンズ、トーリックレンズを含む概念とする。
【0051】
AFセンサ56は、面F2と光学的に共役又はその近傍の位置である第1撮像面V1に配置され、第1撮像面V1上に結像される像の位置関係を検出して合焦用信号FS2を出力する。また、第1対物レンズ46、ビームスプリッタ45、及び第2対物レンズ48を順に介した光束がビームスプリッタ49によって反射される方向、図3中では左方向の光路上には基準面F1と光学的に設定された第2撮像面V2にCCD撮像素子等の撮像素子50の受光面が配置される。撮像素子50は第2撮像面V2上に結像される像を画像信号VS2に変換して出力する。上記AFセンサ56からの合焦用信号FS2及び撮像素子50からの画像信号VS2は主制御系15に出力される。
【0052】
尚、上記光源41、コンデンサレンズ42、視野絞り43、照明リレーレンズ44、ビームスプリッタ45、及び第1対物レンズ46は本発明にいう照射系に相当し、第1対物レンズ46、ビームスプリッタ45、第2対物レンズ48、及びビームスプリッタ49は本発明にいう検出系の一部又は検出光学系に相当し、撮像素子50は本発明にいう光電変換手段に相当する。
【0053】
次に、以上の構成におけるウェハ・アライメントセンサ16の動作について簡単に説明する。光源41から検知ビームDLが射出されるとコンデンサレンズ42によって集光され、主開口K1及び副開口K2,K3を有する視野絞り43を均一に照明する。視野絞り43の主開口K1及び副開口K2,K3を通過した光束は、照明リレーレンズ44によってコリメートされ、ビームスプリッタ45で反射される。
【0054】
この反射された光束は、第1対物レンズ46によって集光され、ウェハステージ9上に載置されたウェハWの表面に垂直に照射される。ウェハWの表面が基準面F1に配置されているときには、ウェハWの表面と視野絞り43とは光学的に共役の関係となるため、主開口K1及び副開口K2,K3の像は照明リレーレンズ44及び第1対物レンズ46を介してウェハWの表面に結像される。
【0055】
ここで、ウェハWの表面に結像された主開口K1の像からの反射光束をL1、副開口K2の像からの光束をL2、副開口K3の像からの光束をL3とする。これらの光束L1〜L3は第1対物レンズ46によってコリメートされ、ビームスプリッタ45を透過し、第2対物レンズ48によって再び集光され、ビームスプリッタ49によって透過及び反射分岐される。
【0056】
反射分岐された光束のうち、光束L1は集束されて撮像素子50の受光面にマークAMの像が結像される。撮像素子50は受光面に結像したマークAMの像を光電変換して画像信号VS2を出力する。一方、ビームスプリッタ49において透過分岐された光束L1〜L3は、第1対物レンズ46及び第2対物レンズ48の結像作用によって、ウェハW表面と共役又はその近傍の面F2の位置に設けられた遮光板51にK1〜K3の像を再結像する。即ち、遮光板51上には、第1対物レンズ46及び第2対物レンズ48によってウェハWの表面上に形成された主開口K1及び副開口K2,K3の中間像が形成される。
【0057】
図3中に光軸方向から見た遮光板51の構成例を示す。遮光板51には光軸に対して対称な位置に2個のスリット状の光束通過部K12,K13が副開口K2,K3に対応するように設けられており、ウェハ表面において結像反射された光束L1〜L3のうち光束L1は遮光され、光束L2,L3のみがK12及びK13をそれぞれ介して通過できるように構成されている。また、遮光板51の他の構成例も図3中に示してある。即ち、光束L1が遮光板51に入射する(図中斜線で示す)範囲のみが遮光され、その周囲の部分全ての領域K14が光束通過部として構成されていてもよい。
【0058】
遮光板51を通過した光束L2,L3は第1リレーレンズ52によってコリメートされた後、瞳分割用反射型プリズム53上に光源41の像を結像する。更に、光束L2,L3は瞳分割用反射型プリズム53によってそれぞれ2つの光束に分割されるとともに、図中右方へ反射されて第2リレーレンズ54により再び集光される。そして、円柱レンズ55を介して、AFセンサ56上に光束L2及びL3による副開口K2,K3のスリット像をそれぞれ2分割して結像する。
【0059】
AFセンサ56の受光面上における2分割光束の結像位置はウェハWの表面のZ方向の位置に応じて変化する。このため、予めウェハWが基準面F1に配置されている状態において検出される2分割光束の結像位置の距離を基準距離として主制御系15に設定しておき、主制御系15において基準距離とAFセンサ56で検出された2分割光束の結像位置の距離との大小関係を比較することで、ウェハWの表面がウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置に配置されているか否か(合焦しているか否か)を判断する。
【0060】
合焦していない場合には基準距離と算出した距離との大小関係からウェハWのずれ方向を求めて、ずれ方向と反対方向にウェハステージ9を駆動する。ウェハステージ9をZ方向に駆動している最中においてもAFセンサ56による上述した検出及び各種処理を行い、2分割光束の結像位置間の距離と基準距離とが等しくなったときにウェハステージ9の駆動を停止する。ウェハWがウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置に配置されている状態で撮像素子50から出力される画像信号VS2を主制御系15で画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行うことにより、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内に配置されているマークAMの位置情報が計測される。
【0061】
以上、レチクル・アライメントセンサ6A,6B及びウェハ・アライメントセンサ16の構成及び動作について説明したが、次に主制御系15について詳細に説明する。図4は、主制御系15の内部構成を示すブロック図である。尚、図4においては、図1〜図3中に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図4に示すように、主制御系15は、フォーカス検出ユニット60、画像処理ユニット61、フォーカス検出ユニット62、FIA演算ユニット63、アライメントデータ記憶部64、EGA演算ユニット65、記憶部66、ショットマップデータ部67、システムコントローラ68、ウェハステージコントローラ69、及びレチクルステージコントローラ70から構成されている。
【0062】
画像処理ユニット61は、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bから出力される画像信号VS1に対して、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行い、レチクルマークRMと基準部材10に形成された基準マークとの相対位置を求め、その処理結果をシステムコントローラ68へ出力する。また、FIA演算ユニット63は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2に対して、画像処理、演算処理、フィルタリング処理等の処理を行い、ウェハWに形成されたマークAMの位置情報を求めてアライメントデータ記憶部64へ出力する。尚、上記画像処理ユニット61及びFIA演算ユニット63で行われる画像処理等の具体例としては、マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等がある。
【0063】
フォーカス検出ユニット60は、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bから出力される合焦用信号FS1を用いて、図2に示すレチクル・アライメントセンサ6A,6Bが備える結像光学系23の焦点ずれを検出する。また、フォーカス検出ユニット62は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される合焦用信号FS2を用いて、ウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置からのウェハWの表面のずれ量を検出する。フォーカス検出ユニット60,62の算出結果は、システムコントローラ68へ出力される。
【0064】
アライメントデータ記憶部64はFIA演算ユニット63から出力されたマークAMの位置情報を記憶する。EGA演算ユニット65は、ウェハW上に予め設定された代表的な数個(3〜9個)のショット領域の各々に付随して形成されたマークAMの、ウェハ・アライメントセンサ16により計測された位置情報と、その設計上の位置情報とに基づいてEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)演算を行い、ウェハW上に設定された全てのショット領域の配列の規則性を統計的な手法で決定する。
【0065】
記憶部66は、EGA演算ユニット65がEGA演算を行っている最中に得られる各種変換パラメータ及び残留誤差成分(例えば、設計値と計測値との残差の単純な自乗和)を一時的に記憶する。ショットマップデータ部67は、上述したウェハW上に設定された複数のショット領域の設計上の位置情報及びショット領域に付随して設けられたマークAMの位置情報を含むショットマップデータを予め記憶している。
【0066】
システムコントローラ68は、EGA演算ユニット65の演算結果に基づいて、ウェハステージコントローラ69を介してレーザ干渉計12の計測値をモニタしつつ、モータ13を介して図1に示したウェハステージ9を駆動して、ウェハW上の各ショット領域の位置決め及び各ショット領域に対する露光制御を行う。また、システムコントローラ68は、レチクルステージコントローラ70を介してレーザ干渉計4の計測値をモニタしつつ、モータ2を介して図1に示したレチクルステージ3を駆動して、レチクルRの位置調整を行う。
【0067】
更に、システムコントローラ68は、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bの焦点位置と図2に示すCCDセンサ25の受光面とが一致していない場合には、フォーカス検出ユニット60の検出結果に応じてレチクル・アライメントセンサ6A,6Bに設けられた結像光学系23が備えるレンズ群を駆動し、結像光学系23の焦点位置を可変させる。また更に、ウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置にウェハWの表面が配置されていない場合には、フォーカス検出ユニット62の検出結果に応じてモータ13を介して図1に示したウェハステージ9を駆動して、ウェハWをZ方向に移動させる。
【0068】
次に、主制御系15に設けられるFIA演算ユニット63及び画像処理ユニット61の構成について説明する。図5は、FIA演算ユニット63の内部構成を示すブロック図である。図5に示すように、FIA演算ユニット63は、画像信号増幅部71、A/D変換部72、画像信号記憶部73、位相補正部74、位相特性情報記憶部75、及び位置情報算出部76を含んで構成される。
【0069】
画像信号増幅部71は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2を所定の増幅率で増幅する。ここで、画像信号増幅部71の増幅率は、画像信号VS2の全体的なレベル及びS/N比(信号対雑音比)等を考慮して適宜決定される。尚、画像信号増幅部71は、設定した増幅率を示す増幅率情報を位相補正部74へ出力する。A/D変換部72は、アナログ信号である画像信号VS2の標本化及び量子化を行い、画像信号VS2をディジタル信号に変換する。画像信号記憶部73は、ディジタル化された画像信号VS2を一時的に記憶する。
【0070】
位相補正部74は、画像信号記憶部73に一時的に記憶されている画像信号を読み出し、位相特性情報記憶部75に記憶された位相特性情報に基づいて画像信号の位相ずれを補正する。このとき、位相補正部74は画像信号増幅部71から出力される増幅率情報又は位置情報算出部76から出力される像高情報に応じた位相特性情報を位相特性情報記憶部75から選択的に読み出す。
【0071】
位置情報算出部76は、位相補正部74から出力される画像信号に対し、マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行って、マークAMの位置情報を求める。また、位置情報算出部76はウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を像高情報として位相補正部74に出力する。尚、上記画像信号増幅部71、位相特性情報記憶部75、位相補正部74、及び位置情報算出部76は、本発明にいう電気経路の一部、記憶部、処理部、演算部にそれぞれ相当する。
【0072】
ここで、位相特性情報について説明する。図6は、位相特性情報を決める伝達関数を説明するための図である。図6に示すように、ウェハWの表面で反射された光が撮像素子50に至るまでの光学系を検出光学系OSとし、撮像素子50から出力された画像信号VS2がA/D変換部72に至るまでを電気経路ESとする。尚、電気経路ESには画像信号増幅部71が含まれる。また、検出光学系OSの伝達関数をf(x)とし、電気経路ESの伝達関数をg(x)とする。これらの伝達関数f(x),g(x)は複素関数で表され、一般的にはX軸の座標を示す変数xとY軸の座標を示す変数yとの関数であるが、ここでは簡単のためX軸方向のみについて考え、変数xの関数としてある。
【0073】
伝達関数f(x)は、いわばウェハWの表面からの光がどのように撮像素子50の受光面に結像するかを示す関数である。従って、ウェハW表面における光強度及び初期位相を設定して伝達関数f(x)で演算すると、撮像素子50の受光面に結像する光の振幅分布及び位相(複素振幅)を求めることができる。例えば、図6中に示すように、マークAMを含む領域において反射される光の光強度分布を示すデータw0と初期位相とを与えれば、撮像素子50の受光面に受光されるマーク像の複素振幅分布を求めることができる。尚、複素振幅分布を二乗すれば強度分布となる。
【0074】
同様に、伝達関数g(x)は、いわば撮像素子50から出力された画像信号が画像信号増幅部71を介してどのようにA/D変換部72に伝達されるかを示す関数である。よって、撮像素子50から出力される画像信号(例えば、図6に示す画像信号w1)及び初期位相を設定して伝達関数g(x)で演算すると、A/D変換部72に入力される画像信号(例えば、図6に示す画像信号w2)を求めることができる。尚、画像信号w1,w2は時系列的に出力されるが、撮像素子50はウェハW上を一定速度で走査して画像信号w1を得ており、時間とX座標は1対1に対応するため、伝達関数g(x)は変数xの関数として表しても良い点に注意されたい。
【0075】
尚、伝達関数f(x),g(x)は、検出光学系OS及び電気経路ESをそれぞれ線形システムとみなすことができる場合に用いられるものである。検出光学系OSは、厳密には完全なインコヒーレント照明により照明されている場合に線形システムと考えられるものであるが、完全なインコヒーレント照明を実現するのは困難である。このため、本実施形態においては照明σを0.8以上に設定し、部分的なインコヒーレント照明とすることで、伝達関数f(x)を線形システムとみなしている。
【0076】
ウェハWの表面からの光は検出光学系OSを通過する際に周波数成分毎に異なる位相ずれが生じ、この位相ずれが生じた周波数成分を重ね合わせて得られるマーク像を撮像素子50で撮像すると、図6に示す形状変化及び位置シフトが生じた画像信号w1が得られる。この各周波数成分毎の位相ずれを示す情報が位相特性情報の1つである光学特性情報であり、伝達関数f(x)から求めることができる。同様に、電気経路ESにおける各周波数成分毎の位相ずれを示す情報が位相特性情報の1つである電気特性情報である。これら光学特性情報及び電気特性情報は、図5に示す位相特性情報記憶部75に記憶されている。
【0077】
尚、検出光学系OSの伝達関数f(x)は、像高(ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野中心からの距離)によって変化する。つまり、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野中心にマークAMが配置されている場合と、計測視野の端部にマークAMが配置されている場合とによって、残存収差が異なり、各周波数成分の位相ずれも異なることがある。このため、像高毎に伝達関数f(x)を求め、像高毎の光学特性情報を位相特性情報記憶部75に記憶しておく。同様に、電気経路ESの伝達関数g(x)は、画像信号増幅部71の増幅率によって変化するため、増幅率毎に伝達関数g(x)を求め、増幅率毎の電気特性情報を位相特性情報記憶部75に記憶しておく。
【0078】
図7は、位相特性情報を用いて位相ずれを補正する原理を説明するための図である。尚、ここでは検出光学系OSで生ずる位相ずれを補正する場合を例に挙げて説明する。図7に示す通り、マークAMを含む領域において反射される光の光強度分布を示すデータw0を伝達関数f(x)で演算すると、位相ずれが生じた画像信号w1(撮像素子50の受光面に結像したマーク像に対応)が得られる。
【0079】
線形システムの特性上、伝達関数f(x)からその逆の特性を有する伝達関数f−1(x)が求められ、形状変化等が生じた画像信号w1(撮像素子50の受光面に結像しているマーク像)を伝達関数f−1(x)で演算すると、位相ずれが生じていない元のデータw0が得られる。この原理を用いて、位相補正部74は画像信号VS2の位相ずれを補正している。
【0080】
以上、画像信号VS2の位相ずれを補正する原理について説明したが、次に、位相補正部74が行う具体的な位相ずれの補正方法について説明する。位相補正部74が位相ずれを補正するときには、まず補正フィルタの窓の大きさを決定する。この補正フィルタの窓の大きさは、計測対象であるマークAMが繰り返しパターンである場合には、この繰り返しパターンの周期よりも充分大きくなるように設定することが望ましい。このとき、補正フィルタの窓の大きさが繰り返しパターンの周期の整数倍となるように設定すると、位相と成分の次数との対応関係が明確となるため、より望ましい、
【0081】
上記の補正フィルタは、設定した窓の大きさを整数で除算した周期を有する余弦関数(cos関数)の重ね合わせで表現する。ここで、設定した窓の大きさの1/kの周期を有する成分の次数をkとし、これをk次成分とする。検出光学系OSにおけるk次成分の位相遅れをΦkとすると、補正フィルタfC(x)は以下の(1)式で表される。
【数1】
【0082】
位相補正部74は、位相特性情報記憶部75から光学特性情報、電気特性情報、又は光学特性情報と電気特性情報とを合わせた位相特性情報を読み出して、各成分毎に上記(1)式に示された補正フィルタの位相遅れΦkを設定して、補正フィルタを生成する。そして、画像信号VS2に対して補正フィルタfC(x)を畳み込み演算することで、画像信号VS2の位相ずれを補正する。
【0083】
尚、実際には上記(1)式に示した補正フィルタのみを用いる訳ではなく、窓による不連続性を緩和するための窓関数がかけられたものを用いる。また、上記(1)式中のA0,Akは0次成分及びk次成分の振幅である。この各成分の振幅を調整可能に構成して各成分毎のゲインを調整することで、周波数ゲイン調整フィルタを兼ねる事も可能である。
【0084】
ここで、移動特性情報記憶部75に記憶される位相特性情報1つである光学特性情報は、例えば波面計測装置を用いてウェハ・アライメントセンサ16における(電場振幅の)波面計測を行い、これを大σを有する光学系の電場強度の位相特性に換算して求める。また、位相特性情報の1つである電気特性情報は、電気経路ESに対して位相が既知の試験信号を入力し、その試験信号の位相遅れを計測して求める。
【0085】
更に、上記光学特性情報と電気特性情報とを合わせた位相特性情報を求める場合には、ウェハ・アライメントセンサ16の残存収差によって、像が影響を受けるマークを観察してその像から求める。例えば、光学解像限界以下の点像(二次元で収差を補正する場合)又は光学解像限界以下の線像(一次元で収差を補正する場合)をウェハ・アライメントセンサ16で観察し、得られる画像信号をスペクトル解析(フーリエ変換)して求める。これらの計測は、ウェハWに形成されたマークを観察する前に予め行い、得られた位相特性情報を図5に示す位相特性情報記憶部75に記憶させておく。
【0086】
以上、FIA演算ユニット63の構成について説明したが、画像処理ユニット61も図5に示す画像信号増幅部71〜位置情報算出部75と同様の構成を有しし、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bが備えるCCDセンサ25から出力される画像信号VS1の位相ずれを補正した後で、レチクルマークRM及び基準部材10に形成された基準マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からレチクルマークAM及び基準マークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からレチクルマークRMと基準マークとのずれ量を算出する処理を行う。
【0087】
次に、上記構成におけるウェハ・アライメントセンサ16のマークAMの位置情報を計測する際の動作について説明する。露光装置内にウェハWが搬入されてウェハステージ9上に吸着保持されると、主制御系15がモータ13を駆動してウェハステージ9をXY面内で移動させ、ウェハWに形成されたマークAMの1つをウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内に配置し、検知ビームDLを配置したマークAMに照射する。この照射によってウェハWの表面で反射又は回折された光は、図3に示す第1対物レンズ46及び第2対物レンズ48等を介して撮像素子50及びAFセンサ56で受光される。
【0088】
AFセンサ56は2分割光束の結像位置間の距離を検出して合焦用信号FS2を出力する。この合焦用信号FS2は主制御系15のフォーカス検出ユニット62において予め設定されている基準距離と比較され、これらが異なる場合に主制御系15はモータ13を介してウェハステージ9をZ方向に移動させる。ウェハステージ9を移動させた後、フォーカス検出ユニット62で再度合焦用信号FS2と基準距離との比較を行い、異なる場合は同様にウェハステージ9を移動させる。以上の動作を繰り返して合焦用信号FS2と基準距離とが一致し、ウェハ・アライメントセンサ16の焦点位置にウェハWの表面が配置された状態になると、FIA演算ユニット63は、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2を取り込む。
【0089】
FIA演算ユニット63に取り込まれた画像信号VS2は、まず図5に示す画像信号増幅部71において所定の増幅率で増幅される。このとき画像信号増幅部71で設定された増幅率は増幅率情報として位相補正部74へ出力される。増幅された画像信号はA/D変換部72へ出力され、標本化及び量子化が行われてディジタル化された後、画像信号記憶部73に一時的に記憶される。
【0090】
次に、位相補正部74は、画像信号増幅部71から出力された増幅率情報に応じた電気特性情報を位相特性情報記憶部75から読み出し、読み出した電気特性情報を前述した(1)式に示した補正フィルタに適用して画像信号記憶部73に一時的に記憶された画像信号の位相ずれを補正する。このようにして、電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号は、画像信号記憶部73へ出力されて一時的に記憶されるとともに、位置情報算出部76へ出力される。
【0091】
電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号が位置情報算出部76へ入力されると、位置情報算出部76は入力された画像信号に対してマークAMの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行う。そして、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を求め、この情報を像高情報として位相補正部74に出力する。
【0092】
位置情報算出部76から像高情報が出力されると、位相補正部74は位相特性情報記憶部75から像高情報に応じた光学特性情報を読み出すとともに、先に画像信号記憶部73に記憶した画像信号(電気経路ESにおいて生じた位相ずれを補正した画像信号)を読み出す。そして、読み出した光学特性情報を前述した(1)式に示した補正フィルタに適用して、読み出した画像信号の位相ずれを補正する。このようにして、検出光学系OSにおいて生じた位相ずれが補正される。この位相ずれが補正された画像信号は位置情報算出部76へ出力される。
【0093】
電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号が位置情報算出部76へ入力されると、位置情報算出部76は入力された画像信号に対してマークAMの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等を行って、マークAMの位置情報を求める。この位置情報は図4に示すアライメントデータ記憶部64へ出力されて一時的に記憶される。このようにして、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号からマークAMの位置情報が求められる。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6BにおけるレチクルマークRMと基準マークとの位置ずれの計測時にも同様の動作が行われる。
【0094】
次に、ウェハW上の各ショット領域の位置決めを行って、各ショット領域にレチクルRに形成されたパターンの像を投影露光する際の動作について説明する。まず、ウェハW上のショット領域の配列及びアライメントマークとしてのマークの形状等について説明する。図8は、ウェハW上のショット領域の配列及びマークの形状を説明するための図である。図8において、ウェハW上にはウェハW上に設定された座標系(X,Y)に沿って規則的にショット領域ES1,ES2,……,ESNが形成され、各ショット領域ESiにはそれまでの工程によりそれぞれデバイスパターンが形成されている。
【0095】
また、各ショット領域ESiはX方向及びY方向に所定幅のストリートラインで区切られており、各ショット領域ESiに近接するX方向に伸びたストリートラインの中央部にマークAMとしてのX軸方向のマークMxiが形成され、各ショット領域ESiに近接するY方向に伸びたストリートラインの中央部にY方向のマークMyiが形成されている。マークMxi,MyiはそれぞれX方向及びY方向に所定ピッチで3本の直線パターンを並べたものであり、これらのパターンはウェハWの下部に凹部又は凸部のパターンとして形成したものである。
【0096】
ウェハWへの露光を行う際には、それらショット領域ESiの内から例えば斜線を施して示す9個のショット領域が選択される。このように選択されたショット領域をサンプルショットSA1〜SA9と称する。各サンプルショットSAiにはそれぞれマークMxi,Myiが近接して形成されている。本例ではこれらマークMxi,Myiの位置を計測することにより、各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)上での位置情報を計測する。この位置情報の計測時においては、前述した処理が行われて、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号から各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)が求められる。これにより、マークMxi,Myiの位置情報が極めて高い精度で計測される。この計測結果は、図4に示す主制御系15のアライメントデータ記憶部64に記憶される。
【0097】
各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)上での位置情報が計測されると、これらの位置情報とショットマップデータ部67に記憶されているショットマップデータを用いてEGA演算ユニット65においてEGA演算が行われ、ウェハW上に設定された全てのショット領域の配列の規則性が決定される。システムコントローラ68は決定されたショット領域の配列を用いて、露光すべきショット領域が投影光学系PLの投影領域(レチクルRに形成されたパターンが投影される領域)に配置されるように、ウェハステージ9を移動させて位置決めする。ウェハWの位置決めが完了すると露光光ELがレチクルRに照射され、そのショット領域が露光される。以後同様に、決定されたショット領域の配列を用いてウェハステージ9がステップ移動により位置決めされて、順次ショット領域が露光される。
【0098】
本実施形態においては、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号から各サンプルショットSA1〜SA9のステージ座標系(X,Y)を求めているため、高い精度で計測が行われる。この高精度の計測結果を用いて上述したEGA演算が行われ、決定されるショット領域の配列の規則性も高い精度のものとなる。この結果、露光時においてウェハWの各ショット領域を投影光学系PLの投影領域に精確に位置決めすることができ、重ね合わせ精度を向上を図ることができる。
【0099】
次に、本発明の他の実施形態による位置計測装置について説明する。以下に説明する本発明の他の実施形態による位置計測装置は、上述した本発明の一実施形態による位置計測装置が備えるFIA演算ユニット63及び画像処理ユニット61とは異なる構成のFIA演算ユニット及び画像処理ユニットを備えている。尚、以下の説明では、FIA演算ユニットについて詳細に説明し、画像処理ユニットについては説明を省略する。
【0100】
図9は、本発明の他の実施形態による位置計測装置が備えるFIA演算ユニット80の内部構成を示す図である。図9に示す通り、FIA演算ユニット80は、画像信号増幅部81、A/D変換部82、帯域フィルタ部83a〜83n、画像信号記憶部84、位相補正部85、位相特性情報記憶部86、及び位置情報演算部87を含んで構成される。
【0101】
画像信号増幅部81は、図5に示す画像信号増幅部71と同様に、ウェハ・アライメントセンサ16から出力される画像信号VS2を所定の増幅率で増幅する。画像信号増幅部81の増幅率は画像信号VS2の全体的なレベル及びS/N比(信号対雑音比)等を考慮して適宜決定され、この増幅率を示す増幅率情報は位相補正部85へ出力される。A/D変換部82は、図5に示すA/D変換部72と同様に、アナログ信号である画像信号VS2の標本化及び量子化を行い、画像信号VS2をディジタル信号に変換する。
【0102】
帯域フィルタ部83a〜83nはディジタル化された画像信号から所定の帯域の周波数成分を抽出する。ここで、帯域フィルタ部83a〜83nの各々には異なる帯域が設定されており、各々が異なる帯域の周波数成分を抽出する。尚、図9では帯域フィルタ部を3つ備える構成を例に挙げて図示しているが、帯域フィルタ部の数は任意に設定することができる。
【0103】
画像信号記憶部84は、帯域フィルタ部83a〜83nで抽出された周波数成分からなる画像信号をそれぞれ一時的に記憶する。位相補正部85は、画像信号記憶部84に一時的に記憶されている周波数成分毎の画像信号をそれぞれ読み出し、位相特性情報記憶部86に記憶された位相特性情報に基づいて周波数成分毎の画像信号各々の位相ずれを補正する。このとき、位相補正部85は画像信号増幅部81から出力される増幅率情報及び位置情報演算部87から出力される像高情報に応じた位相特性情報であって、周波数成分毎の位相特性情報を位相特性情報記憶部86から選択的に読み出す。
【0104】
位置情報演算部87は、位置情報算出部88及び位置情報補正部89を含んで構成され、マークAMの位置情報を求める。位置情報算出部88は、A/D変換部82から出力される画像信号に対してマークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行って、マークAMの位置情報を求める。
【0105】
また、位置情報算出部76はA/D変換部82から出力される画像信号に基づいてマーク中心を求めた際に、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を像高情報として位相補正部85に出力する。更に、位置情報算出部88は、位相補正部85から出力される位相ずれが補正された周波数成分毎の画像信号各々に対しても同様の処理を行って、周波数成分毎の画像信号に基づいたマークAMの位置情報を求める。以下、周波数成分毎の画像信号に基づいたマークAMの位置情報を補正用位置情報という。
【0106】
位置情報補正部89は、A/D変換部82から出力された全ての周波数成分を含む画像信号から求めたマークAMの位置情報を補正用位置情報を用いて補正する。つまり、A/D変換部82から出力された全ての周波数成分を含む画像信号は、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生ずる位相ずれの影響を受けたものであり、この画像信号に基づいて求められた位置情報は誤差を含んでいると考えられる。
【0107】
そこで、位置情報補正部89は、位相ずれが補正された周波数成分毎の画像信号から得られた補正用位置情報を用いて位置情報を補正することにより、計測精度を高めている。位置情報補正部89で行われる処理は、例えば補正用位置情報各々のばらつきの平均値を求め、これらの値で位置情報を補正する処理が挙げられる。これ以外に、補正用位置情報の分散や標準偏差を求めて統計的な演算により補正するようにしても良い。
【0108】
尚、上記帯域フィルタ部83a〜83nは本発明にいう処理部に相当し、位相特性情報記憶部86は本発明にいう記憶部に相当し、位相補正部85及び位置情報演算部87は本発明にいう演算部に相当する。また、位置情報算出部88は本発明にいう第1演算部に相当し、位相補正部85及び位置情報補正部89は本発明にいう第2演算部に相当する。
【0109】
次に、FIA演算ユニット80の動作について説明する。ウェハ・アライメントセンサ16から出力された画像信号VS2がFIA演算ユニット80に入力されると、まず画像信号増幅部81において所定の増幅率で増幅される。このとき画像信号増幅部81で設定された増幅率は増幅率情報として位相補正部85へ出力される。
【0110】
増幅された画像信号はA/D変換部82へ出力され、標本化及び量子化が行われてディジタル化された後、位置情報算出部88及び帯域フィルタ部83a〜83nの各々に入力される。位置情報算出部88は入力された画像信号に対してマークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理等の処理を行って、マークAMの位置情報を求める。求められた位置情報は位置情報補正部89へ出力されて一時的に記憶される。また、位置情報算出部88はマーク中心を求める際に、ウェハ・アライメントセンサ16の計測視野内におけるマークAMの位置を示す情報を求めて像高情報として位相補正部85に出力する。
【0111】
また、A/D変換部82から帯域フィルタ部83a〜83nへ出力された画像信号は、帯域フィルタ部83a〜83nにおいて各々に設定された帯域の周波数成分のみを含む画像信号が抽出されて画像信号記憶部84に一時的に記憶される。次に、位相補正部85は画像信号記憶部84から抽出された画像信号を順次読み出すとともに、位相特性情報記憶部86から各帯域毎(又は成分毎)の光学特性情報及び電気特性情報を順次読み出す。画像信号並びに各帯域毎(又は成分毎)の光学特性情報及び電気特性情報を読み出す度に、位相補正部85は読み出した光学特性情報及び電気特性情報を前述の(1)式に示した補正フィルタに適用して、読み出した画像信号の位相ずれを補正する。
【0112】
補正された画像信号は、位置情報算出部88へ順次出力されて各帯域毎の画像信号から補正用位置情報が算出される。算出された位置情報補正部89へ順次出力される。全ての帯域の画像信号に対する位相ずれの補正と補正位置情報の算出とが完了すると、位置情報補正部89は補正位置情報を用いてA/D変換部82から出力された全周波数成分を含む画像信号から求められた位置情報を補正し、補正された位置情報はアライメントデータ記憶部64へ出力されて一時的に記憶される。このようにして、検出光学系OS及び電気経路ESにおいて生じた位相ずれが補正された画像信号からマークAMの位置情報が求められる。尚、レチクル・アライメントセンサ6A,6BにおけるレチクルマークRMと基準マークとの位置ずれの計測時にも同様の動作が行われる。
【0113】
以上、本発明の実施形態による位置計測装置及び露光装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、検出光学系OSにおいて生ずる位相ずれと電気経路ESにおいて生ずる位相ずれをともに補正するようにしていたが、検出光学系OSにおいて生ずる位相ずれのみを補正するようにしても良いし、電気経路ESにおいて生ずる位相ずれのみを補正するようにしても良い。
【0114】
また、上述した他の実施形態では、帯域フィルタ部83a〜83nで抽出された画像信号を一時的に画像信号記憶部84に記憶し、順次位相補正部85で位相ずれを補正するとともに、位置情報算出部88で補正位置情報を求めるようにした。しかしながら、FIA演算ユニット80で要する処理時間を短縮するために、位相補正部85及び位置情報算出部88を帯域フィルタ部83a〜83n各々に対応して並列して設け、並列処理を行うようにしても良い。
【0115】
また、上記の実施形態においては、ウェハWに形成されたマークの位置情報を求める場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られる訳ではなく、レチクルRに形成されたマークの位置情報を求める場合、その他の物体に形成されたマークの位置情報を求める場合について適用可能である。更に、図4、図5、及び図9に示した各ブロックは、電子回路によりハードウェア的に構成されていても良く、ソフトウェア的に構成されていても良い。各ブロックをソフトウェア的に構成する場合には、各ブロックの機能を規定するプログラムをCPU(中央処理装置)が実行することにより、各ブロックが実現される。また、図4に示す各ブロックをハードウェア的又はソフトウェア的に構成する場合には、図示した全てのブロックが1つにまとまって構成されていなくとも良く、分散されて構成されていても良い。例えば、フォーカス検出ユニット60,62は、主制御系15とは別個に設けられていても良い
【0116】
また、上記実施形態においては、レチクル・アライメントセンサ6A,6BがVRA方式のアライメントセンサであり、ウェハ・アライメントセンサ16がFIA方式のアライメントセンサである場合を例に挙げて説明したが、レチクル・アライメントセンサ6A,6B及びウェハ・アライメントセンサ16は、更にLSA方式及びLIA方式のアライメントセンサを備えた構成であっても良い。また、本発明は、レチクルRを介さずに投影光学系PLのみを介して基準部材10の基準パターンを観察するTTL方式のアライメントセンサにも適用することができる。
【0117】
更に、上記実施形態で説明したレチクル・アライメントセンサ6A,6Bは露光光ELの一部の露光光EL1をレチクルマークRMに照射するとともに、投影光学系PLを介して基準部材10の上面に照射して、レチクルマークRM及び基準パターンを観察するようにしていた。しかしながら、光ファイバー(不図示)等を用いて基準部材10の下方に露光光ELの一部を導き、基準部材10に形成されたスリットパターンを下方(ウェハステージ9の内部)から照明するように構成しても良い。
【0118】
また、本発明の露光装置は、図1に示したステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置に限定されず、例えばステップ・アンド・スキャン方式の露光装置、ミラープロジェクション方式、プロキシミティ方式、コンタクト方式等の露光装置に適用することが可能である。
【0119】
更に、半導体素子、液晶表示素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、プラズマディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、及び撮像素子(CCDなど)の製造にも用いられる露光装置、及びレチクル、又はマスクを製造するために、ガラス基板、又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。即ち本発明は、露光装置の露光方式や用途等に関係なく適用可能である。
【0120】
尚、前述した本発明の一実施形態による露光装置(図1)は、ウェハWを精度よく高速に位置制御することができ、スループットを向上しつつ高い露光精度で露光が可能となるように、照明光学系、モータ2、レチクルステージ3、レーザ干渉計4、移動鏡5、レチクル・アライメントセンサ6A,6Bを含むマスクアライメント系、ウェハホルダ8、ウェハステージ9、基準部材10、移動鏡11、レーザ干渉計12、及びモータ13を含むウェハアライメント系、投影光学系PL等の図1に示された各要素が電気的、機械的、又は光学的に連結して組み上げられた後、総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造される。尚、露光装置の製造は、温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0121】
次に、本発明の一実施形態による露光装置を用いたマイクロデバイスの製造方法の実施形態について簡単に説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図10に示すように、まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0122】
次に、ステップS13(ウェハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0123】
図11は、半導体デバイスの場合における、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。図11において、ステップS21(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0124】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、この位相特性情報を用いて検出系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
また、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導く検出光学系においてマーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を予め記憶しておき、この光学特性情報を用いて検出光学系を介して得られた画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、光電変換手段から出力される画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
また、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段で光電変換して得られる画像信号が光電変換手段から演算部まで伝達される電気経路において電気経路の位相特性に対して作用する電気特性情報を予め記憶しておき、この電気特性情報を用いて電気経路を介した画像信号を加工処理している。かかる加工処理を行うことにより、演算部に導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
更に、本発明によれば、被照射領域から得られるマーク光を光電変換手段へ導くとともに、光電変換手段から出力された画像信号を演算部へ導く検出系においてマーク光及び/又は画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を予め記憶しておき、検出系を介して得られた画像信号を加工して複数の加工信号を生成してこれらの加工信号各々から位置情報を算出し、位相特性情報を用いて算出した位置情報を補正演算している。かかる補正演算を行うことにより、演算部へ導かれた画像信号が位相ずれを生じたものであっても位相ずれが補正されるという効果がある。この位相ずれが補正された画像信号を用いてマークの位置情報を求ることで、高い精度でマークの位置情報を計測することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による位置計測装置を備える本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】レチクル・アライメントセンサ6Aの構成例を示す構成図である。
【図3】ウェハ・アライメントセンサ16の構成例を示す構成図である。
【図4】主制御系15の内部構成を示すブロック図である。
【図5】FIA演算ユニット63の内部構成を示すブロック図である。
【図6】位相特性情報を決める伝達関数を説明するための図である。
【図7】位相特性情報を用いて位相ずれを補正する原理を説明するための図である。
【図8】ウェハW上のショット領域の配列及びマークの形状を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施形態による位置計測装置が備えるFIA演算ユニット80の内部構成を示す図である。
【図10】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】半導体デバイスの場合における、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
6A,6B レチクル・アライメントセンサ
9 ウェハステージ(位置決め部)
10 基準部材(物体)
13 モータ(位置決め部)
15 主制御系(制御部)
16 ウェハ・アライメントセンサ
20A,20B プリズム(照射系)
21A ハーフミラー(検出系、検出光学系)
23 結像光学系(検出系、検出光学系)
24 ダイクロイックミラー(検出系、検出光学系)
25 CCDセンサ(光電変換手段)
41 光源(照射系)
42 コンデンサレンズ(照射系)
43 視野絞り(照射系)
44 照明リレーレンズ(照射系)
45 ビームスプリッタ(照射系、検出系、検出光学系)
46 第1対物レンズ(照射系、検出系、検出光学系)
48 第2対物レンズ(検出系、検出光学系)
49 ビームスプリッタ(検出系、検出光学系)
50 撮像素子(光電変換手段)
71 画像信号増幅部(検出系、電気経路)
74 位相補正部(処理部)
75 位相特性情報記憶部(記憶部)
76 位置情報算出部(演算部)
81 画像信号増幅部(検出系)
83a〜83n 帯域フィルタ部(処理部)
85 位相補正部(演算部、第2演算部)
86 位相特性情報記憶部(記憶部)
87 位置情報演算部(演算部)
88 位置情報算出部(第1演算部)
89 位置情報補正部(第2演算部)
AM マーク
DL 検知ビーム(検知光)
EL1 露光光(検知光)
ES 電気経路(検出系)
Mxi,Myi マーク
OS 検出光学系(検出系)
PL 投影光学系(露光部)
R レチクル(物体)
RM レチクルマーク(マーク)
VS1,VS2 画像信号
W ウェハ(物体、基板)
Claims (11)
- 物体上に形成されたマークの、所定の計測方向における位置情報を演算する演算部を備えた位置計測装置であって、
前記マークを含む被照射領域に対して検知光を照射する照射系と、
前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段へ導き、且つ該光電変換手段から出力された前記画像信号を前記演算部へ導く検出系と、
前記検出系において、前記マーク光及び前記画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を記憶する記憶部と、
前記位相特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部とを有することを特徴とする位置計測装置。 - 前記記憶部は、前記マーク光が前記光電変換手段へ導かれるまでに通過する光学系において前記マーク光に対して作用する光学特性情報と、前記光電変換手段から前記演算部までの電気経路上において前記画像信号に作用する電気特性情報とを総合した情報を、前記位相特性情報として記憶することを特徴とする請求項1記載の位置計測装置。
- 物体上に形成されたマークの、所定の計測方向における位置情報を演算する演算部を備えた位置計測装置であって、
前記マークを含む被照射領域に対して検知光を照射する照射系と、
前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段へ導く検出光学系と、
前記検出光学系が前記マーク光の位相特性に対して作用する光学特性情報を記憶する記憶部と、
前記光学特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部とを有することを特徴とする位置計測装置。 - 前記記憶部は、前記検出光学系における像高に応じた前記光学特性情報を記憶しており、
前記処理部は、前記像高に応じた光学特性情報の中から、前記マークに応じた光学特性情報を選択的に使用することを特徴とする請求項3記載の位置計測装置。 - 前記照射系は、前記被照射領域を、部分的なインコヒーレント照明光で照明することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の位置計測装置。
- 物体上に形成されたマークの、所定の計測方向における位置情報を演算する演算部を備えた位置計測装置であって、
前記マークを含む被照射領域に対して検知光を照射する照射系と、
前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を受光し、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段と、
前記画像信号が前記光電変換手段から前記演算部まで伝達される電気経路上において、前記画像信号の位相特性に対して作用する電気特性情報を記憶する記憶部と、
前記電気特性情報を用いて前記画像信号を加工処理する処理部とを有することを特徴とする位置計測装置。 - 前記電気経路上に設けられ、前記画像信号を増幅する増幅部を有し、
前記記憶部は、前記増幅部の増幅率に応じた電気特性情報を記憶しており、
前記処理部は、前記増幅部に設定された増幅率に応じて、前記電気特性情報を選択的に使用することを特徴とする請求項6記載の位置計測装置。 - 前記演算部は、前記処理部により加工処理された前記画像信号を用いて、前記位置情報を算出することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の位置計測装置。
- 物体上に形成されたマークの、所定の計測方向における位置情報を演算する演算部を備えた位置計測装置であって、
前記マークを含む被照射領域に対して検知光を照射する照射系と、
前記検知光の照射により前記被照射領域から得られるマーク光を、該マーク光に応じた画像信号を出力する光電変換手段へ導き、且つ該光電変換手段から出力された前記画像信号を前記演算部へ導く検出系と、
前記検出系において、前記マーク光及び/又は前記画像信号の位相特性に対して作用する位相特性情報を記憶する記憶部と、
前記画像信号を加工して複数の加工信号を生成する処理部とを有し、
前記演算部は更に、
前記複数の加工信号毎に前記位置情報を算出する第1演算部と、
前記位相特性情報を用いて前記第1演算部の算出結果を補正演算する第2演算部とを含むことを特徴とする位置計測装置。 - 所定パターンを基板上に転写する露光装置であって、
前記基板上に形成されたマークを、請求項1から請求項9の何れか一項に記載の位置計測装置を用いて計測し、その計測結果に基づいて前記基板の位置決めを行う位置決め部と、
前記位置決めされた前記基板上に前記所定パターンを転写する露光部と、
前記位置決め部及び前記露光部を制御する制御部とを有することを特徴とする露光装置。 - 請求項10記載の露光装置を用いて、デバイスパターンを前記基板上に転写する露光工程と、
前記デバイスパターンが転写された前記基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003073987A JP2004281904A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003073987A JP2004281904A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004281904A true JP2004281904A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33289746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003073987A Withdrawn JP2004281904A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004281904A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008139026A (ja) * | 2006-11-29 | 2008-06-19 | Canon Inc | 計測装置、計測方法、露光装置及びデバイス製造方法 |
JP2011507429A (ja) * | 2007-12-18 | 2011-03-03 | アイイーイー インターナショナル エレクトロニクス アンド エンジニアリング エス.エイ. | シーンの3d映像の記録 |
US8089612B2 (en) | 2008-03-27 | 2012-01-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Position detection apparatus, position detection method, exposure apparatus, and device fabrication method |
JP2012049171A (ja) * | 2010-08-24 | 2012-03-08 | Canon Inc | マーク位置の計測方法及び算出方法 |
KR20210016439A (ko) * | 2018-07-04 | 2021-02-15 | 에이에스엠엘 네델란즈 비.브이. | 리소그래피 측정을 위한 센서 장치 및 방법 |
-
2003
- 2003-03-18 JP JP2003073987A patent/JP2004281904A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008139026A (ja) * | 2006-11-29 | 2008-06-19 | Canon Inc | 計測装置、計測方法、露光装置及びデバイス製造方法 |
JP2011507429A (ja) * | 2007-12-18 | 2011-03-03 | アイイーイー インターナショナル エレクトロニクス アンド エンジニアリング エス.エイ. | シーンの3d映像の記録 |
US8089612B2 (en) | 2008-03-27 | 2012-01-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Position detection apparatus, position detection method, exposure apparatus, and device fabrication method |
JP2012049171A (ja) * | 2010-08-24 | 2012-03-08 | Canon Inc | マーク位置の計測方法及び算出方法 |
US8976337B2 (en) | 2010-08-24 | 2015-03-10 | Canon Kabushiki Kaisha | Method of measuring mark position and measuring apparatus |
KR20210016439A (ko) * | 2018-07-04 | 2021-02-15 | 에이에스엠엘 네델란즈 비.브이. | 리소그래피 측정을 위한 센서 장치 및 방법 |
JP2021528685A (ja) * | 2018-07-04 | 2021-10-21 | エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. | リソグラフィ測定のためのセンサ装置及び方法 |
US11300892B2 (en) | 2018-07-04 | 2022-04-12 | Asml Netherlands B.V. | Sensor apparatus and method for lithographic measurements |
JP7110407B2 (ja) | 2018-07-04 | 2022-08-01 | エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. | リソグラフィ測定のためのセンサ装置及び方法 |
KR102539367B1 (ko) | 2018-07-04 | 2023-06-01 | 에이에스엠엘 네델란즈 비.브이. | 리소그래피 측정을 위한 센서 장치 및 방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5385652B2 (ja) | 位置検出装置、露光装置、位置検出方法、露光方法及びデバイス製造方法 | |
US6538740B1 (en) | Adjusting method for position detecting apparatus | |
US20060250597A1 (en) | Positional information measuring method and device, and exposure method and apparatus | |
JP5203675B2 (ja) | 位置検出器、位置検出方法、露光装置及びデバイス製造方法 | |
JP5219534B2 (ja) | 露光装置及びデバイスの製造方法 | |
US7656503B2 (en) | Exposure apparatus and image plane detecting method | |
JP2002198303A (ja) | 露光装置、光学特性計測方法、及びデバイス製造方法 | |
JP2003151884A (ja) | 合焦方法、位置計測方法および露光方法並びにデバイス製造方法 | |
JP2018139010A (ja) | 移動体装置及び露光装置 | |
KR100819240B1 (ko) | 노광장치의 조명광학계의 유효광원분포 측정장치 및 그것을 가지는 노광장치 | |
JP2005166785A (ja) | 位置検出装置及び方法、並びに、露光装置 | |
US6023321A (en) | Projection exposure apparatus and method | |
WO2001065591A1 (fr) | Appareil de mesure de position et dispositif d'alignement | |
JP2003142377A (ja) | 投影露光装置及び収差の計測方法 | |
JP2005337912A (ja) | 位置計測装置、露光装置、及びデバイスの製造方法 | |
JP2002231616A (ja) | 位置計測装置及び方法、露光装置及び方法、並びにデバイス製造方法 | |
JP2002170754A (ja) | 露光装置、光学特性検出方法及び露光方法 | |
JP2004281904A (ja) | 位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 | |
JP2004134474A (ja) | 位置検出装置の検査方法、位置検出装置、露光装置、および露光方法 | |
JP2006053056A (ja) | 位置計測方法、位置計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 | |
JP4311713B2 (ja) | 露光装置 | |
JP3531227B2 (ja) | 露光方法および露光装置 | |
JP2006030021A (ja) | 位置検出装置及び位置検出方法 | |
JP2005175383A (ja) | 露光装置、アライメント方法、及び、デバイスの製造方法 | |
JP2004128149A (ja) | 収差計測方法、露光方法及び露光装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060606 |