JP3786734B2 - 筒状容器のシール方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製のチューブや押し出し容器など、可撓性のある筒状容器の開口部を封着するシール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チューブ容器や押し出し容器、袋状容器など、合成樹脂製の筒状容器の開口部から化粧品や薬品、食品などの流体内容物を充填した後、前記開口部を封着してなる筒状容器は周知であり、このような容器の開口部のシール方法として、例えば、超音波溶着、ホットエアー溶着、間接熱源溶着、加熱板溶着などによる溶着によるシール方法が周知である。
【0003】
中でも、容器の大きさや容器の肉厚、その肉厚のばらつき程度など、容器が有するシール方法を選択する際の諸条件に比較的広く対応できる簡便な溶着方法として、筒状容器の丸い開口部を一直線状に閉じ合わせ、二枚の加熱板を使って挟持押圧することにより封止部を融着させる加熱板による溶着方法がよく知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この加熱板による溶着方法は、封着する容器の開口部が薄肉の場合は問題が無く均一にシールされるが、充分な可撓性や弾性をもたせて自己復元性があるように肉厚を増した容器にあっては、閉じ合わされて封着部となる開口部両端の折り曲げ部分近傍には弾性力による自己復元力が強く働き、従って、この部分の熱溶着によるシールは不完全になりやすく剥離し易い傾向がある。
【0005】
そこで、この問題に対応して、封止部に加える加熱板の温度を適正溶着温度よりも高く設定したり、且つ、プレス圧力を上げるなどの手段が取られているが、このような方法は、消費電力が嵩むうえに、過剰な加熱溶融やプレス圧力の為に封止部の形状の乱れを招き、見映えがわるくなって商品価値を落すことにもなっている。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、筒状容器において、加熱板溶着によるシールの確実な見映えの良い封止部を形成することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の筒状容器のシール方法は、圧搾可能な可撓性と弾性を有する筒状容器の開口部を封着するシール方法であって、(イ)上端が開放された容器体の開口部を一直線状に閉じ合わせ、押圧面に突起を有する二枚の加熱板を使用して挟持押圧することにより、封止部に前記容器体内に連通し先端部が閉塞された非溶着部からなる自己閉鎖性を有 する流出通路を形成するとともに、前記封止部表裏の側縁部に前記突起による押圧溝を刻設しながら溶着する第一工程、(ロ)前記封止部が熱軟化状態にある間に、押圧面に凹凸を有する二枚の冷却板を使用して挟持押圧することにより、前記押圧溝が刻設されている前記封止部表裏の全域に、前記流出通路部分を残して前記流出通路のほぼ直交方向に延びる突条と溝部との繰り返しからなる凹凸模様を刻設しながら冷却して前記押圧溝を隠蔽希薄化する第二工程、からなるシール方法を採用することで前記課題の解決手段とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の筒状容器のシール方法の好適な実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1乃至図6は、本発明の筒状容器のシール方法の第一の実施の態様を説明するものである。
【0010】
図1は、筒状容器の一例を示すもので、可撓性と弾性を有する合成樹脂材料を用いて形成された容器体1の頸部にキャップ3が施蓋され、下端が開放された開口部4を有する圧搾可能なチューブ容器である。
【0011】
そして、図2および図3において示す符合10は、容器体1の封止部5を溶着形成する二枚一対の加熱板であり、それぞれの加熱板10の平滑な押圧面11には、容器体1の封止部5表面の両側縁部6,6に当接して押圧溝7,7を刻設する為の突起12,12が突設されている。この突起12の高さA(図3参照)は、容器体1の開口部2の肉厚の二分の一以下の寸法に設定することが望ましく、また、突起12の幅B(図2参照)は、封止部5の縦寸法C(図2参照)の二分の一以下の寸法に設定することが望ましい。
【0012】
まず、容器体1の開口部4より流動性のある内容物(図示省略)を充填し、開口部4を一直線状に閉じ合わせ、加熱板10を使用して開口部4を挟持押圧することにより溶着し、封止部5を形成する。この溶着工程において加熱板10の突起12が封止部5表裏の両側縁部6,6の壁に局部的な強いプレス圧をかけて押圧溝7を刻設し、剥離し易い封止部5の両側縁部6,6を強固に接着し、全体として確実な封止部5を形成する。尚、押圧溝7は、容器の形状によっては片側縁部に設けるだけでもよく、また、押圧溝7の形状は、直線状に限らず、曲線状でもその他の形状でもよいことはいうまでもない。
【0013】
次に、前記溶着工程における加熱により封止部5が未だ軟化状態にある間に、図4および図5において符合20で示す二枚一対の冷却板20により、封止部5の表裏両面より挟持押圧して急冷硬化させる。
【0014】
前記冷却板20の押圧面21には、突条8と突条8との間が溝部9となり繰り返し連続する凹凸模様を封止部5に刻設する為の彫刻が施されており、この冷却板20によって封止部5を急冷することにより、封止部5全域に凹凸模様を形成するとともに、封止部5の熱変形による形状の乱れを防止し、合わせて生産性を向上させるようになっている。
【0015】
以上の工程によるシール方法によって容器体1の開口部4を溶着封止すると、容器体1の壁が厚肉のために閉じ合わせた開口部4両端の折り曲げ部分が開き方向への弾性力で剥離し易い傾向があっても、溶着工程における加熱板10の突起12によって、封止部5表裏の両側縁部6,6には押圧溝7が刻設され、強いプレス圧によって剥離し易い部分は確実に溶着されている。従って、封止部5全域に及ぶ過剰な加熱溶融やプレス圧をかける必要がなくなり、その結果、つぶれ、はみ出し等の従来発生しがちな封止部5の変形現象はなくなり、封止部5の接着は強固なものになる。
【0016】
更に、次の冷却工程における凹凸模様の形成により、押圧溝7の印象は隠蔽希薄化されるので、封止部5は確実に封着されているとともに見映えの良い形状の整ったものとなり、容器全体の美観は向上される。尚、凹凸模様は、主として美観を向上させる為に設けるものであるので、その形状は図に限定されるものではなく、如何なる凹凸模様であってもよいことはいうまでもない。
【0017】
図7乃至図10は、本発明の筒状容器のシール方法の第二の実施の態様を説明するもので、基本的には先の実施の形態と同様であるので、図において、先述した実施形態と共通する部分については同一符合を付しその説明を省略する。
【0018】
この第二の実施形態のシール方法によって形成される筒状容器は、封止部を切断して排出口を開設し、容器を圧搾することによって内容物を注出するタイプの押し出し容器である。
【0019】
この筒状容器は、図7に示すように上端が開放された開口部4を有する有底筒状の容器体1からなり、この容器体1は、例えば、中空成形方法で形成した合成樹脂製ボトルの上部を切除したり、周知の射出成形方法、真空成形方法によって成形されたコップ状の容器である。
【0020】
この実施形態のシール方法において使用される加熱板10は、先の実施形態の加熱板10とほぼ同様であるが、この加熱板10の押圧面11には、容器体1の封止部5に自己閉鎖性を有する非溶着部の流出通路30を形成する為の凹溝13が刻設されており、封止部5を形成する溶着工程において、溶着されない流出通路30部分を残すようになっている。
【0021】
まず、先述した実施の形態と同様に、容器体1の開口部4より流動性のある内容物(図示省略)を充填し、開口部4を一直線状に閉じ合わせ、加熱板10を使用して開口部4を挟持押圧することにより、容器体1内に連通し先端部10が閉塞された密着状態にある非溶着部からなる流出通路30を形成するとともに、両端縁部6,6に溝部9が刻設された封止部5を溶着形成する。
【0022】
次の冷却工程で使用される冷却板20の押圧面21には、先の実施の形態と同様に、軟化状態にある封止部5に凹凸模様を刻設する為の彫刻が施されている。そして、この凹凸模様は、流出通路30部分を残して流出通路30のほぼ直交方向に延びて刻設されるように彫刻が施されている。
【0023】
従って、図10に示すように、この実施形態の冷却工程において冷却された封止部5には、密着状態にある非溶着部からなる流出通路30が残されて他の全域には凹凸模様が形成されているとともに、封止部5両側縁部6,6は押圧溝9,9によって確実に溶着され、且つ、その押圧溝9,9は凹凸模様によって隠蔽希薄化され目立たなくなっている。
【0024】
この実施の形態のシール方法による押し出し容器にあっては、容器体1が厚肉であっても封止部5は確実且つ美麗に封着されるとともに、流出通路30の周縁部は流出通路30の形成部表面よりも突出した突条8によって囲まれて剛性が強化され、この突条8による剛性が流出通路30に及んで自己閉鎖性を与える密着強度が補強されている。
【0025】
また、この実施形態によって刻設された凹凸模様は、流出通路30部分を残して流出通路30のほぼ直交方向に延びて設けられているので、流出通路30を横断する凹凸模様に沿って刃物で切断することにより、流出通路30の排出口を適正に開設することができるようになっている。
【0026】
本発明の筒状容器のシール方法は、両端側が開放された安価な環状筒を用いた容器にも応用できる。
【0027】
図11は、簡単な環状筒を用いた本発明による筒状容器を示すもので、両端が開放された合成樹脂製の環状筒の一側端を、請求項1に記載のシール方法で溶着し、もう一方の開放端から内容物を充填後、これを同様のシール方法で溶着することにより、容器体1の両端を封止部5としたものである。この筒状容器は、詰め替え容器等、安価な使い捨て容器として好適である。
【0028】
【発明の効果】
本発明の筒状容器のシール方法によれば、溶着工程において、剥離し易い封止部の両側縁部のみに、押圧溝を刻設しながら溶着するようにしたので、この部分に強いプレス圧が働いて封止部を確実に溶着できるとともに、過剰な加熱溶融やプレス圧の為に封止部全体の形状の乱れを招くことがなく、消費電力を節約できる。
【0029】
更に、冷却工程において、封止部全体に凹凸模様を設けたことにより、押圧溝の印象は隠蔽希薄化されて目立たなくなり、見映えがよくなって商品価値が向上する。
【0030】
また、本発明の筒状容器のシール方法によれば、上記効果に加え、非溶着部からなる流出通路を切断開口して使用する押し出し容器が形成されるとともに、流出通路の周縁部は厚肉の突条によって剛性が強化され、この剛性が流出通路にも及んで密着強度が補強された自己閉鎖機能の高い押し出し容器にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の筒状容器のシール方法の第一の実施形態の容器体の断面図。
【図2】 同実施形態の第一工程の説明図。
【図3】 同実施形態の第一工程の要部を示す説明図。
【図4】 同実施形態の第二工程の説明図。
【図5】 同実施形態の第二工程の要部を示す説明図。
【図6】 同実施形態のシール方法でシールされた容器体の正面図。
【図7】 本発明の筒状容器のシール方法の第二の実施形態の容器体の断面図。
【図8】 同実施形態の第一工程の説明図。
【図9】 同実施形態の第二工程の説明図。
【図10】 同実施形態のシール方法でシールされた容器体の正面図。
【図11】 本発明の実施形態によりシールされた別の容器体の斜視図。
【符号の説明】
1 容器体,4 開口部,5 封止部,6 側縁部,7 押圧溝,8 突条,9 溝部,10 加熱板,11 押圧面,12 突起,20 冷却板,21 押圧面,30 流出通路,31 先端部
Claims (1)
- 圧搾可能な可撓性と弾性を有する筒状容器の開口部を封着するシール方法であって、(イ)上端が開放された容器体の開口部を一直線状に閉じ合わせ、押圧面に突起を有する二枚の加熱板を使用して挟持押圧することにより、封止部に前記容器体内に連通し先端部が閉塞された非溶着部からなる自己閉鎖性を有する流出通路を形成するとともに、前記封止部表裏の側縁部に前記突起による押圧溝を刻設しながら溶着する第一工程、(ロ)前記封止部が熱軟化状態にある間に、押圧面に凹凸を有する二枚の冷却板を使用して挟持押圧することにより、前記押圧溝が刻設されている前記封止部表裏の全域に、前記流出通路部分を残して前記流出通路のほぼ直交方向に延びる突条と溝部との繰り返しからなる凹凸模様を刻設しながら冷却して前記押圧溝を隠蔽希薄化する第二工程、からなることを特徴とする筒状容器のシール方法。
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