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JP3809768B2 - バリア性プラスチック容器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パスタソースやスープなどの特に酸素に対するバリア性を必要とする内容物に使用されるバリア性プラスチック容器及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バリア性を必要とする内容物に使用するプラスチック製のカップ容器としては、バリア性積層プラスチックシートをシート成形したカップ容器やバリア性樹脂で射出成形したカップ容器などがあるが、前者のカップ容器は、商品を説明する文字や絵柄を印刷したシートから成形するため、文字や絵柄が変形して意匠性が悪く、また、容器に部分的な偏肉が大きいことがあり、また、後者のカップ容器は、成形樹脂が高価であり、また、溶融粘度が高いため薄肉の容器が出来ず容器が肉厚となり、製造費用が高くなった。このため、プラスチック容器へのバリア性付与に関する発明や考案が数多くなされており、例えば、特開平4−106462号公報で開示された「インモールドラベルにより成形された脚付容器」がある。この容器は、図4(a)に示すように、バリア性インモールドラベル(200)を側壁(130)外面と底板(140)下面に成形と同時に熱融着した脚付のバリア性プラスチック容器(100)であり、このバリア性インモールドラベル(200)は、例えば図4(b)に示すように、底面板(220)の中央のゲート位置対応部分に円形状切欠き(224)を有し、脚部(150)を形成するために底面板の4箇所の角部に三角状切欠き(225)を設けたものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開平4−106462号公報のバリア性プラスチック容器は、側壁外面と底板のゲート位置対応部分を除く下面にはバリア性インモールドラベルが熱融着されてバリア性が付与されているが、底板のゲート位置対応部分にはバリア性が付与されていないため、容器のバリア性が十分に発揮し得ないことがあった。
【0004】
本発明は、上述の従来の問題を解決したものであり、バリア性が良く、意匠性や外観性が良く、偏肉がなく、比較的に製造費用が安価なバリア性プラスチック容器及びその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の発明は、側壁外面と底板のゲート位置対応部分を除く下面にバリア性インモールドラベルを熱融着し、かつ底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面にバリア性インモールドラベルを熱融着したことを特徴とするバリア性プラスチック容器である。
【0006】
また、本発明の第2の発明は、前もって、射出成形用金型の雌型の側壁と底板を形成するキャビティ面に、側壁および底板を覆うバリア性インモールドラベルを挿着し、射出成形機でゲートより金型キャビティ内へ成形樹脂を射出して、前記側壁と前記底板を形成すると同時に前記ラベルをそれぞれ熱融着するバリア性プラスチック容器の製造方法において、前記底板を覆うバリア性インモールドラベルに、ゲート位置対応部分に複数の円弧状切込みを二重丸状に配置し、成形樹脂を射出することにより前記底板のゲート位置対応部分を除く下面と、前記底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に、前記バリア性インモールドラベルを熱融着したことを特徴とするバリア性プラスチック容器の製造方法である。
【0007】
また、本発明の第3の発明は、前もって、射出成形用金型の雌型の側壁と底板を形成するキャビティ面に、側壁および底板を覆うバリア性インモールドラベルを挿着し、射出成形機でゲートより金型キャビティ内へ成形樹脂を射出して、前記側壁と前記底板を形成すると同時に前記ラベルをそれぞれ熱融着するバリア性プラスチック容器の製造方法において、前記底板を覆うバリア性インモールドラベルに、ゲート位置対応部分に複数の円弧状切欠きを円形状に配置し、成形樹脂を射出することにより前記底板のゲート位置対応部分を除く下面と、前記底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に、前記バリア性インモールドラベルを熱融着したことを特徴とするバリア性プラスチック容器の製造方法である。
【0008】
また、本発明の第4の発明は、バリア性インモールドラベルが、容器の側壁を覆う側面板と、容器の底板を覆う底面板とが一体に連設されたものであることを特徴とする、第2の発明または第3の発明のいずれかに記載のバリア性プラスチック容器の製造方法である。
【0009】
そして、本発明の第5の発明は、バリア性インモールドラベルが、容器の側壁を覆う側面板と、容器の底板を覆う底面板とがそれぞれ別体のラベルからなっていることを特徴とする、第2の発明または第3の発明のいずれかに記載のバリア性プラスチック容器の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のバリア性プラスチック容器の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態のバリア性プラスチック容器の構造を示す断面図であり、(b)は、そのバリア性インモールドラベルの構造を示す縮小展開図であり、図2(a)は、本発明の他の一実施形態のバリア性プラスチック容器の構造を示す断面図であり、(b)は、そのバリア性インモールドラベルの構造を示す縮小展開図である。
【0011】
本発明のバリア性プラスチック容器(100)の構造は、図1(a)又は図2(a)に示すように、側壁(130)と底板(140)と脚部(150)とからなるプラスチック製のカップ状容器であり、その外観形状は、図1(a)又は図2(a)に示す逆切断角錐の他、直方体、角柱、直円柱、切断直円錐などである。そして、側壁(130)外面と底板(140)のゲート位置(G)対応部分を除く下面にバリア性インモールドラベル(200)を熱融着し、かつ底板(140)下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面にバリア性インモールドラベル(200)を熱融着するものである。なお、内容物を充填した容器は、容器上端の開口部(110)をバリア性の封止フィルムで覆い、その封止フィルムの外周縁部を側壁上端のフランジ(120)上面に剥離可能に熱融着して、容器を密封するものである。または、開口部に蓋材を冠着し、その蓋材を側壁上端のフランジに取り外し可能に係合させ、容器を密封するものである。
【0012】
上述の本発明のバリア性プラスチック容器の一実施形態の製造方法は、前もって、射出成形用金型の雌型の側壁と底板を形成するキャビティ面に、図1(b)に示す4枚の長方形の側面板(210)と正方形の底面板(220)とからなり、この底面板の中心のゲート位置対応部分に複数の円弧状切込み(221,222)を二重丸状に配置し、底面板の4箇所の角部に三角状の切欠き(225)を設け、裏面に容器成形樹脂と熱融着する樹脂層をもつバリア性インモールドラベル(200)を、吸引法、接着法、静電気法などで固定して挿着し、射出成形機でゲート位置(G)よりバリア性インモールドラベルの底面板の中央の円弧状切込みを通して金型キャビティ(成形品が成形される雌型と雄型の間の空間)内へ溶融した成形樹脂を射出して、容器の側壁と底板を形成すると同時に、その側壁の外面と、底板のゲート位置対応部分を除く下面と、底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に、バリア性インモールドラベルを熱融着するものである。脚部は、バリア性インモールドラベルの底面板の4箇所の角部に設けられた三角状の切欠きから溶融成形樹脂をキャビティ内へ流入させて成形するものである。なお、容器を成形する成形樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなど容器の使用目的に合わせた熱可塑性樹脂を用いるものである。
【0013】
また、他の実施形態の製造方法は、前もって、射出成形用金型の雌型の側壁と底板を形成するキャビティ面に、図2(b)に示す4枚の長方形の側面板(210)と正方形の底面板(220)とからなり、この底面板の中心のゲート位置対応部分に複数の円弧状切欠き(223)を円形状に配置し、底面板の4箇所の角部に三角状の切欠き(225)を設け、裏面に容器成形樹脂と熱融着する樹脂層をもつバリア性インモールドラベル(200)を、吸引法、接着法、静電気法などで固定して挿着し、射出成形機でゲート位置(G)よりバリア性インモールドラベルの底面板の中央の円弧状切欠きを通して金型キャビティ内へ溶融成形樹脂を射出して、容器の側壁と底板を形成すると同時に、その側壁の外面と、底板のゲート位置対応部分を除く下面と、底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に、バリア性インモールドラベルを熱融着するものである。
【0014】
なお、上述した製造方法においては、バリア性インモールドラベルを前もって挿着した金型を型締めして、ゲートより溶融樹脂を金型キャビティ内へ射出すると、バリア性インモールドラベルの二重丸状の複数の円弧状切込み又は円形状の複数の円弧状切欠きで設けられた底面板のゲート位置対応部分が溶融樹脂の射出圧力により上方へ押し上げられて、ゲート位置対応部分の上面が雄型のキャビティ面に押しつけられ、溶融樹脂が円弧状切込み又は円弧状切欠きを通って金型キャビティ内へ流入するものである。なお、型締め直後にバリア性インモールドラベルのゲート位置対応部分を吸引法などで雄型のキャビティ面に吸引してから溶融樹脂をゲートより射出してもよく、また、ゲート位置対応部分の溶融樹脂の射出圧力による上方への押し上げが不十分で溶融樹脂の中間位置に止まっても、バリア性インモールドラベルの重なり部分ができるためバリア性を保持することができる。
【0015】
また、上述した実施形態のバリア性プラスチック容器は、側壁外面と底板のゲート位置対応部分を除く下面と底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に熱融着したバリア性インモールドラベルによりバリア性が付与されているため、容器全体のバリア性が良好であり、また、商品を説明する文字や絵柄は、側壁外面に熱融着されたラベルに印刷されているため、容器の意匠性が良好であった。また、容器は、射出成形法で作製されているため、容器の外観性が良好でシート成形ような偏肉もなく、また、高価なバリア性樹脂で容器を成形しないため、比較的に製造費用が安価であった。本発明は、容器形状としては上述したカップ形状に限らずトレー状、ボトル状、箱状など幅広い形状に適用できる。
【0016】
次に、図3に示す本発明の他の実施形態のバリア性プラスチック容器の製造方法について説明する。図3(a)に示した容器(100)は、底板(140)が円形で側壁(130)が上方へ向かってやや拡径した円筒状のカップ状容器であり、バリア性インモールドラベル(200)は、図3(a)及び(b)に示すように、容器の側壁を覆う扇形環状の側面板(210)と容器の底板を覆う円形の底面板(220)とが、それぞれ別々のラベルからなっている。そして、底面板(220)の中央には、図1(b)に示した実施形態のラベルと同様に、ゲート位置対応部分に複数の円弧状切込み(221,222)が二重丸状に配置されている。この容器は、前述した図1(a)に示す容器とほぼ同様に、上記底面板ラベルと側面板ラベルをそれぞれ射出成形用金型の雌型の底板と側壁を形成するキャビティ面に前もって挿着し、射出成形機でゲート位置(G)より底面板ラベルの中央の円弧状切込みを通して金型キャビティ内へ溶融成形樹脂を射出することにより製造することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明のバリア性プラスチック容器は、バリア性インモールドラベルで側壁と底板の全体にバリア性が付与されているため、容器のバリア性が非常に良好である。
【0018】
また、商品の情報を伝える文字や絵柄は、側壁外面に熱融着されたラベルに印刷されており意匠性が良く、容器は射出成形法により作製されているので外観性が良く、偏肉もなく、また、高価なバリア性樹脂で容器を成形していないため比較的に製造費用が安価である。
【0019】
また、本発明のバリア性プラスチック容器は、加熱殺菌方式にも使用でき、バリア層としてアルミニウム箔を用いないバリア性インモールドラベルを使用することにより電子レンジにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態のバリア性プラスチック容器の構造を示す断面図であり、(b)は、そのバリア性インモールドラベルの構造を示す縮小展開図である。
【図2】(a)は、本発明の他の一実施形態のバリア性プラスチック容器の構造を示す断面図であり、(b)は、そのバリア性インモールドラベルの構造を示す縮小展開図である。
【図3】(a)は、本発明の他の一実施形態のバリア性プラスチック容器の構造を示す断面図であり、(b)は、そのバリア性インモールドラベルの構造を示す縮小展開図である。
【図4】(a)は、従来の一例のバリア性プラスチック容器の構造を示す断面図であり、(b)は、そのバリア性インモールドラベルの構造を示す縮小展開図である。
【符号の説明】
100……容器
110……開口部
120……フランジ
130……側壁
140……底板
150……脚部
200……バリア性インモールドラベル
210……側面板
220……底面板
221,222……切込み
223,224,225……切欠き
G……ゲート位置

Claims (5)

  1. 側壁外面と底板のゲート位置対応部分を除く下面にバリア性インモールドラベルを熱融着し、かつ底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面にバリア性インモールドラベルを熱融着したことを特徴とするバリア性プラスチック容器。
  2. 前もって、射出成形用金型の雌型の側壁と底板を形成するキャビティ面に、側壁および底板を覆うバリア性インモールドラベルを挿着し、射出成形機でゲートより金型キャビティ内へ成形樹脂を射出して、前記側壁と前記底板を形成すると同時に前記ラベルをそれぞれ熱融着するバリア性プラスチック容器の製造方法において、前記底板を覆うバリア性インモールドラベルに、ゲート位置対応部分に複数の円弧状切込みを二重丸状に配置し、成形樹脂を射出することにより前記底板のゲート位置対応部分を除く下面と、前記底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に、前記バリア性インモールドラベルを熱融着したことを特徴とするバリア性プラスチック容器の製造方法。
  3. 前もって、射出成形用金型の雌型の側壁と底板を形成するキャビティ面に、側壁および底板を覆うバリア性インモールドラベルを挿着し、射出成形機でゲートより金型キャビティ内へ成形樹脂を射出して、前記側壁と前記底板を形成すると同時に前記ラベルをそれぞれ熱融着するバリア性プラスチック容器の製造方法において、前記底板を覆うバリア性インモールドラベルに、ゲート位置対応部分に複数の円弧状切欠きを円形状に配置し、成形樹脂を射出することにより前記底板のゲート位置対応部分を除く下面と、前記底板下面のゲート位置対応部分と対向する底板上面に、前記バリア性インモールドラベルを熱融着したことを特徴とするバリア性プラスチック容器の製造方法。
  4. バリア性インモールドラベルが、容器の側壁を覆う側面板と、容器の底板を覆う底面板とが一体に連設されたものであることを特徴とする、請求項2または請求項3のいずれかに記載のバリア性プラスチック容器の製造方法。
  5. バリア性インモールドラベルが、容器の側壁を覆う側面板と、容器の底板を覆う底面板とがそれぞれ別体のラベルからなっていることを特徴とする、請求項2または請求項3のいずれかに記載のバリア性プラスチック容器の製造方法。
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