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JP3781230B2 - 害虫防除成分の揮散調整方法 - Google Patents

害虫防除成分の揮散調整方法 Download PDF

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JP3781230B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬剤保持材に気流を当てることにより、薬剤保持材に保持された害虫防除成分を揮散させる害虫防除成分の揮散調整方法に関し、詳しくは害虫防除成分の有効な揮散を長期間に渡って保つための調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、害虫防除成分の揮散装置として、薬剤保持材に送風機構からの気流を当てることにより、薬剤保持材に保持された害虫防除成分を揮散させるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述した従来の害虫防除成分の揮散装置では、害虫防除成分の揮散量の調整を、送風機構のスイッチのオン・オフ機能のみによっていた。このため、気温あるいは使用空間の大きさ等の使用環境によっては、害虫防除成分を無用に揮散させてしまうという問題があった。したがって結果的には、通常の有効期間よりも短い期間で、害虫防除成分がなくなってしまうという問題があった。
【0004】
また、送風機構を無用に作動させることとなるため、送風機構の電力を全く無駄に消費することとなる。このことは、一般家庭用の商用電源を送風機構の電源とする場合にも、省電力の観点から問題であるが、特に電池を電源とする場合に問題であった。
【0005】
本発明は、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量を、使用環境に応じた最適量とすることができ、これにより害虫防除成分の有効な揮散を長期間に渡って保つことができる害虫防除成分の揮散調整方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、薬剤を含浸させた薬剤保持材に、モータで回転するファンの気流を当てて、前記薬剤保持材に保持された害虫防除成分を揮散させる害虫防除成分の揮散調整方法において、外気温の上昇に伴って増大する前記薬剤保持材からの前記害虫防除成分の揮散量を抑えるため、前記薬剤保持材に前記薬剤を50mg〜1000mg含浸させ、基準揮散量を0.1mg/時間に設定し、外気温の24℃〜30℃の範囲で、前記揮散量が前記基準揮散量を中心とする所定範囲内に収まるように、前記モータの回転数を50%〜100%の間で制御し、外気温が30℃のときの回転数が、外気温が24℃のときの回転数の半分になるように調整することにより達成される。
【0007】
本発明において用いることができる害虫防除成分は、常温で難揮散性の化合物であればよく、安全性の観点からピレスロイド系化合物及びその異性体、類縁体を用いることが好ましく、代表的なものを例示すると以下の通りである。
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学工業株式会社製)
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(商品名バイオアスレリン:ユクラフ社製)
・d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製、商品名エスバイオール:ユクラフ社製)
・(5−ベンジル−3−フリル)メチル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名レスメトリン:商品名クリスロンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・5−プロパギル−2−フリルメチル− d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フラメトリン:商品名ピナミンDフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル(+)−シス/トランス−クリサンテマート(一般名プラレトリン、商品名エトック:住友化学工業株式会社製)
・dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−dl−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボシキラート(一般名テラレスリン:住友化学工業株式会社製)
・(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル−dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フタルスリン、商品名ネオピナミン:住友化学工業株式会社製)
・(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−イソインドリル)メチル−d−シス/トランス−クリサンテマート(商品名ネオピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・3−フェノキシベンジル−d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フェノトリン、商品名スミスリン:住友化学工業株式会社製)
・3−フェノキシベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボオキシラート(一般名ペルメトリン、商品名エクスミン:住友化学工業株式会社製)
・(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル(+)−シス/トランス−クリサンテマート(一般名シフェノトリン、商品名ゴキラート:住友化学工業株式会社製)
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジメチルビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(一般名エンペントリン、商品名ベーパースリン:住友化学工業株式会社製)
・d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシレート(一般名トランスフルスリン)
【0008】
また、害虫防除成分としては、上記したものの類縁体として上記化合物に構造上似ている化合物を用いることができ、例えばエンペントリンの場合3位の2個の置換基はメチル基であるが、その置換基として他のアルキル基、不飽和アルキル基又はハロゲン原子である化合物を用いることもできる。
本発明においては、これらから選ばれた1種以上の害虫防除成分を薬剤保持材に保持して用いることができる。
【0009】
これらのうち、エンペントリン、プラレトリン、レスメトリン、エスバイオール、フラメトリン、テラレスリン、及びトランスフルスリンが特に好ましい。さらに前記条件の有機リン系、カーバメイト系、昆虫成長抑制剤(IGR,JH)など害虫防除成分を単独又は組み合わせて用いることに何ら制限はされない。また、これらの類縁体も用いられる。
【0010】
また、薬剤保持材に薬剤を適用する際に、薬剤保持材に薬剤を容易に含浸させるための理由で液状薬剤を低粘土化する添加剤として、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシルなどの脂肪酸エステルやイソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、脱臭ケロシンなどの有機溶剤を必要により使用することができる。
【0011】
薬剤保持材に上記の害虫防除成分及び/又は各種薬剤を保持させる量は特に制限を受けないが、例えば前記薬剤(害虫防除成分など)を吸油性材料(例えば紙)に含有させる場合には吸油性材料中に薬剤を50mg/gから1000mg/gの範囲、好ましくは100mg/gから700mg/gの範囲である。この量は、少なくとも0.1mg/hrの揮散量となるのを目安に飽和含浸量まで保持させることができる。
【0012】
薬剤保持材は、形態、材質、サイズ等任意に設定することができるが、簡単な構造で、通気性の大きいものが好ましい。例えば、ハニカム形状、網形状、スリット形状、格子形状若しくは開孔を設けた紙類等の構造のものとすることができる。
薬剤保持材は、害虫防除成分を十分に保つことができるものが好ましい。その材質としては無機質又は有機質の成型材料が挙げられる。無機質又は有機質から成型されたものとしては、例えば紙類(濾紙、パルプ、リンター、厚紙等)、樹脂類(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、高吸油性ポリマー等)、セラミック、ガラス繊維、炭素繊維、化学繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、天然繊維(木綿、絹、羊毛、麻等)、ガラス繊維、炭素繊維、化学繊維、天然繊維等からなる不織布、編織布等の布綿、多孔性ガラス材料、多孔性金属材料、金網等が挙げられる。
【0013】
また、薬剤保持材は、害虫防除成分を含む薬剤を保持し、これらの一種又は二種以上を組み合わせて任意の形状にして使用するものであってもよい。
薬剤保持材に害虫防除成分等を保持させるには、薬剤保持材に薬剤を滴下塗布、含浸塗布、スプレー塗布等の液状塗布方法、液状印刷、はけ塗り等の方法、或いは薬剤保持材へ貼りつけする方法が利用できる。更に、使用する組成物が液状のものでない場合、或いは溶剤を使用しない場合では、混練込み、塗布、印刷等の方法を適用することができる。
【0014】
薬剤保持材に保持される害虫防除成分量は、通常、当該薬剤保持材の飽和含浸量までとするが、薬剤保持材に別途補給用容器を連結することにより、実質的に増量することができる。
害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が使用環境に応じた最適量となるように、薬剤保持材に当たる気流コンディションを調整するとは、例えば気温や使用空間の大きさ等に応じて、例えば気流の風量や風圧を調整するということである。気温に応じた調整とは、例えば季節、昼夜等を基準として調整することが考えられる。
【0015】
本発明に係る害虫防除成分の揮散調整方法においては、薬剤保持材に送風手段からの気流を当てることにより、薬剤保持材に保持された害虫防除成分を揮散させる。この際、送風手段を使用環境に応じて制御することにより、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が使用環境に応じた最適量となるように、薬剤保持材に当たる気流コンディションを調整する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である害虫防除成分の揮散調整方法を適用した害虫防除装置を示す概略断面図である。
図1において、害虫防除装置10は、チャンバ11内の図1中上端部に設けられた薬剤保持材12に、送風機構13からの気流を当てることにより、薬剤保持材12に保持された害虫防除成分をチャンバ11外に揮散させる。
【0017】
送風機構13は、ファン14の回転によってチャンバ11内に吸入した外気を、薬剤保持材12に当ててチャンバ11外に排出する。すなわち送風機構13は、ファン駆動用モータ15により駆動されるファン14の回転によって、チャンバ11の図1中下面に設けられた吸気口16から外気を吸入し、チャンバ11内に図1中上方への気流を生じさせる。ファン14の回転に伴う気流は、薬剤保持材12に当たり、薬剤保持材12に保持された害虫防除成分とともに、チャンバ11の図1中上面に設けられた排気口17からチャンバ11外に排出される。これにより害虫防除成分が外部に揮散される。
【0018】
ファン14は、複数枚の傾斜羽根からなり、各傾斜羽根は、ファン駆動用モータ15の回転軸18に放射状に固定されている。つまり、ファン14とファン駆動用モータ15とは、所謂軸流式送風機構13を構成する。この他、送風機構の具体例としては、図示しないが、ファン駆動用モータの回転軸に平行な方向に多数の羽根を円筒状に設け、回転軸と直交する方向へ送風を行う所謂多翼式送風機構(シロッコファン)が挙げられる。
【0019】
またファン駆動用モータ15は、電池収容部19に収容された乾電池20を電源として、回転軸18を回転させ、回転軸18に固定されたファン14を回転駆動する。なお乾電池20に代えて、一般家庭用の商用電源、太陽電池、蓄電池、充電式乾電池を用いることもできる。
害虫防除装置10は、図示しない赤外線センサからの信号に基づいて、送風機構13のファン駆動用モータ15の回転数を制御し、ファン14の回転数を調整する。これにより、薬剤保持材12に当たるチャンバ11内の気流の風量及び風圧は、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が気温に応じた最適量となるように調整される。
【0020】
本実施形態の作用を説明する。
害虫防除装置10は、チャンバ11内において、薬剤保持材12に送風機構13からの気流を当てることにより、薬剤保持材12に保持された害虫防除成分を、気流に乗せてチャンバ11外に揮散させる。
この際、害虫防除装置10は、送風機構13のファン駆動用モータ15の回転数を、赤外線センサからの信号に基づいて制御することにより、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が気温に応じた最適量となるように、薬剤保持材12に当たる気流の風量及び風圧を調整する。
【0021】
図2は、図1の害虫防除装置の外気温の変化に対する害虫防除成分の揮散量の変化を示すグラフである。
この図において、細い実線は、図1の害虫防除装置10による害虫防除成分の揮散量を示しており、破線は、送風機構のファン駆動用モータを無制御とした場合の害虫防除成分の揮散量を示している。各害虫防除装置において、薬剤保持材は、ハニカム形状の紙(ダンボール)とし、縦66mm×横66mm×厚さ15mmのものを使用した。また害虫防除成分としては、トランスフルスリンを用い、薬剤保持材に100mg/gから700mg/gの範囲で含有させた。
【0022】
図1の害虫防除装置10のファン駆動用モータ15の回転数は、図2中太い実線で示すように、外気温の上昇に反比例して段階的に減少している。すなわち外気温26°C以下での回転数を100%とすると、26°Cで約83%、28°Cでは約64%、30°Cでは約50%まで減少する。
これに伴って、当該害虫防除装置10による害虫防除成分の揮散量は、図2中細い実線で示すように、外気温26°Cから1°C上昇する毎に約40%減少する。すなわち、害虫防除装置10による害虫防除成分の揮散量は、多少の増減はあるものの、外気温26°Cから30°Cの範囲で、所定の範囲内に保たれている。
【0023】
一方、送風機構のファン駆動用モータを無制御とした場合の害虫防除成分の揮散量は、図2中破線で示すように、外気温の上昇に伴って直線的に増大し、外気温26°Cで約120%であった揮散量が、外気温30°Cでは約200%にまで増大している。
これらのことから、図1の害虫防除装置10は、送風機構のファン駆動用モータを無制御とした害虫防除装置に比較して、害虫防除成分の無用な揮散が著しく少ないことが理解される。
【0024】
次に、本発明の害虫防除成分の揮散調整方法の他の実施形態(第2〜第8実施形態)である揮散調整方法を適用した害虫防除装置について説明する。
【0025】
第2実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第1実施形態の赤外線センサに代えて温度計(図示しない)を設け、温度計の温度表示目盛りにより気温を自動検出し、該検出値に基づいて、送風機構13のファン駆動用モータ15が連続運転又は断続運転に切り替わるように構成してもよい。第2実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様である。
【0026】
第3実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第1実施形態の赤外線センサに代えて、温度計(図示しない)、及び温度計の指示値を視認し、手動で切り替えられる温度表示ダイヤル(図示しない)を設ける。そして、温度表示ダイアルの切換えにより、送風機構13のファン駆動用モータ15の回転数を制御するように構成してもよい。
【0027】
第3実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様である。
【0028】
第4実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第1実施形態の赤外線センサに代えて、温度計(図示しない)、及び温度計の指示値を視認して手動で切り替えられる温度表示ダイヤル(図示しない)を設けるとともに、チャンバ11の吸気口16及び排気口17にそれぞれ、開口部の開口面積を調節可能な開口部シャッタ(図示しない)を設ける。そして、温度表示ダイヤルの切換えにより、ファン駆動用モータ15の回転数と、吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を制御するように構成してもよい。
【0029】
第4実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様である。
【0030】
第5実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第1実施形態の赤外線センサに代えて温度センサ(図示しない)を設けるとともに、チャンバ11の吸気口16及び排気口17にそれぞれ、開口部の開口面積を調節可能な開口部シャッタ(図示しない)を設ける。そして、温度センサにより気温を自動検出し、該検出値に基づいて吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を制御するように構成してもよい。
【0031】
第5実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様である。
【0032】
第6実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第1実施形態の赤外線センサに代えて、使用空間の大きさを視認して手動で切り替えられる空間表示ダイヤルを設けるとともに、チャンバ11の吸気口16及び排気口17にそれぞれ、開口部の開口面積を調節可能な開口部シャッタ(図示しない)を設ける。そして、空間表示ダイヤルの切換えにより、吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を制御するように構成してもよい。
【0033】
第6実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様である。
【0034】
第7実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第6実施形態の空間表示ダイヤルに代えて、季節(例えば春夏秋冬)に応じて手動で切り替えられる季節表示ダイヤルを設け、季節表示ダイヤルの切換えにより、吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を制御するように構成してもよい。第7実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第6実施形態と同様である。
【0035】
第8実施形態の揮散調整方法を適用した害虫防除装置として、第6実施形態の空間表示ダイヤルに代えて、昼夜の別に応じて手動で切り替えられる昼夜表示ダイヤルを設け、昼夜表示ダイヤルの切換えにより、吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を制御するように構成してもよい。第8実施形態において、上述以外の構成及び作用は、上記第6実施形態と同様である。
【0036】
以上のように上記第1〜第3実施形態によれば、送風機構13のファン駆動用モータ15の回転数を、赤外線センサ(第1実施形態)、温度計(第2実施形態)又は温度表示ダイヤル(第3実施形態)からの信号に基づいて制御することにより、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が気温に応じた最適量となるように、薬剤保持材12に当たる気流の風量及び風圧を調整する。
【0037】
また第4実施形態によれば、送風機構13のファン駆動用モータ15の回転数及びチャンバ11の吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を、温度表示ダイヤルからの信号に基づいて制御することにより、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が気温に応じた最適量となるように、薬剤保持材12に当たる気流の風量及び風圧を調整する。
【0038】
更に第5〜第8実施形態によれば、チャンバ11の吸気口16及び排気口17の開口部シャッタの開き具合を、温度センサ(第5実施形態)、空間表示ダイヤル(第6実施形態)、季節表示ダイヤル(第7実施形態)又は昼夜表示ダイヤル(第8実施形態)からの信号に基づいて制御することにより、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が気温、使用空間の大きさ、季節又は昼夜の別に応じた最適量となるように、薬剤保持材12に当たる気流の風量及び風圧を調整する。
【0039】
したがって、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量を、気温(第1〜第5実施形態)、使用空間の大きさ(第6実施形態)、季節(第7実施形態)又は昼夜の別(第8実施形態)に応じた最適量とすることができ、害虫防除成分の無用な揮散を極力排除することができる。また、ファン駆動用モータ15の無用な回転を防止して省電力とすることができ、乾電池20の寿命を延ばすことができる。
【0040】
これにより、害虫防除成分の有効な揮散を長期間に渡って保つことができる。換言すれば、害虫防除成分の使用環境に応じた有効量を、長期間に渡って揮散させることができ、通常の有効期間よりも短い期間で害虫防除成分がなくなってしまう等の不具合を、確実に防止することができる。
【0041】
なお上記各実施形態では、薬剤保持材12を送風機構13のファン14の排気側に配置した所謂押し出し式であるが、薬剤保持材12を送風機構13のファン14の吸気側に配置する所謂吸引式として構成することもできる。
また送風機構13のファン形式としては、ロータリ、シロッコ、ピエゾ等が挙げられる他、ファン14に代えてコンプレッサ等を用いることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、送風手段を使用環境に応じて制御することにより、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量が使用環境に応じた最適量となるように、薬剤保持材に当たる気流コンディションを調整する。したがって、害虫防除成分の単位時間当たりの揮散量を、使用環境に応じた最適量とすることができる。これにより、害虫防除成分の有効な揮散を長期間に渡って保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態である害虫防除成分の揮散調整方法を適用した害虫防除装置を示す概略断面図である。
【図2】 図1の害虫防除装置の外気温の変化に対する害虫防除成分の揮散量の変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 薬剤を含浸させた薬剤保持材に、モータで回転するファンの気流を当てて、前記薬剤保持材に保持された害虫防除成分を揮散させる害虫防除成分の揮散調整方法において、
    外気温の上昇に伴って増大する前記薬剤保持材からの前記害虫防除成分の揮散量を抑えるため、前記薬剤保持材に前記薬剤を50mg〜1000mg含浸させ、基準揮散量を0.1mg/時間に設定し、外気温の24℃〜30℃の範囲で、前記揮散量が前記基準揮散量を中心とする所定範囲内に収まるように、前記モータの回転数を50%〜100%の間で制御し、外気温が30℃のときの回転数が、外気温が24℃のときの回転数の半分になるように調整することを特徴とする害虫防除成分の揮散調整方法。
  2. 前記モータの回転数の制御を、手動で行うことを特徴とする請求項1に記載の害虫防除成分の揮散調整方法。
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