JP3780884B2 - 蒸気タービン発電プラント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気タービン発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の原子力プラントは、原子炉より発生した蒸気により高圧タービンを駆動させ、排気蒸気を再熱器で湿分除去および加熱し、さらに低圧タービンを駆動させる発電システムである。原子炉より発生する蒸気は原子炉の特性上、飽和蒸気となるため、高圧タービンの排気では湿り度約10%程度となっている。この湿り度を低くすることはタービン内部の侵食低減とともに発電効率を向上させることができる。
【0003】
なお、特開昭62−218606号公報には、従来の原子力発電システムの蒸気タービン装置における高圧タービンに相当する構成要素を高圧タービンと中圧タービンに分離し、さらにそれらを結ぶ蒸気ラインの途中に湿分分離器を設け、低圧タービンの上流に配置される湿分分離器および加熱器と共に湿り蒸気の湿分除去を分散して行うことが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、特開昭62−218606号公報では高圧タービンと中圧タービンを結ぶ蒸気ラインと、中圧タービンと低圧タービンを結ぶ蒸気ラインの途中に、タービンから排気される湿り蒸気の湿分を除去し、さらに加熱する湿分分離器(再熱器)を各々設置する構成となっているため、この追設設備となる湿分分離器によって機器設置面積が増加してしまう。
【0005】
本発明は、上記した課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、湿分分離器の設置面積を縮小した蒸気タービン発電プラントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の蒸気タービン発電プラントは、蒸気発生装置で発生した蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第1の再熱器と、該第1の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気を加熱する第2の再熱器と、該第2の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備え、前記中圧タービンは該中圧タービンから排出される蒸気が乾き蒸気となるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を引用して詳細に説明する。なお、以下の説明では原子力発電プラントに本発明の蒸気タービン設備を適用した例を述べているが、火力発電プラントにも適用することは可能である。また、以下の説明ではタービンの排気蒸気から湿分を分離する湿分分離器の単独、または排出蒸気を加熱する加熱器との組合せを再熱器と称する。
【0008】
図1は、本発明の一実施例である原子力発電プラントの蒸気タービン設備の系統構成図である。この原子力発電プラントタービン設備は、蒸気を発生させる原子炉設備1と、原子炉発生蒸気により駆動する高圧タービン2と、高圧タービン2の排気により駆動する中圧タービン3と、中圧タービン3の排気により駆動する低圧タービン4と、低圧タービン4からの排気を凝縮し圧力を真空まで低下させる復水器10と、復水器10で凝縮された復水を移送する復水ポンプ11と、復水を加熱する給水加熱器12と、給水加熱器12により加熱された給水を原子炉設備1へ移送する給水ポンプ13と、タービン軸に連結された発電機14とによって構成される。
【0009】
また、本実施例では、高圧タービン2から排出される蒸気を中圧タービン3に供給する経路の途中に第1の再熱器30を設け、さらに中圧タービン3から排出される蒸気を低圧タービン4に導く経路の途中に第2の再熱器40を設置している。第1の再熱器30は、高圧タービンの排気蒸気から湿分を分離(除去)する第1再熱器湿分分離器5と、第1再熱器湿分分離器5によって湿分が分離された蒸気を加熱する第1再熱器第1加熱器6と、第1再熱器第2加熱器7によって構成されている。また、第2の再熱器40は、中圧タービン3を経た蒸気を加熱する第2再熱器第1加熱器8と、第2再熱器第2加熱器9とによって構成される。
【0010】
なお、第1再熱器第1加熱器6の加熱蒸気としては高圧タービン2の抽気蒸気、第1再熱器第2加熱器7には原子炉設備1から高圧タービン2に供給される蒸気の分岐蒸気が供給される。また、第2再熱器第1加熱器8の加熱蒸気としては、第1の再熱器30で加熱されて中圧タービンに導かれる蒸気の分岐蒸気、第2再熱器第2加熱器9には原子炉設備1から高圧タービン2に供給される蒸気の分岐蒸気が供給される。
【0011】
図2は、本実施例の蒸気タービン発電プラントの温度−エントロピ線図である。また、図中には飽和曲線を同時に示しており、飽和曲線上の上側は乾き蒸気の状態、下側は湿り蒸気の状態であることを意味している。なお、以下の説明では液相と気相(蒸気)が共存する飽和蒸気を湿り蒸気と称し、過熱蒸気を含む飽和温度以上の蒸気を乾き蒸気と称する。また、飽和蒸気とは若干の飽和水(飽和液)の混じった湿り蒸気をさすが、飽和水の混じらない乾き飽和蒸気を含むこととする。
【0012】
図中のAからCまでは原子炉設備1等での加熱により復水が蒸発する状態変化、CからDは高圧タービン2の仕事による状態変化、DからEは第1の再熱器30の湿分除去による状態変化、EからFは第1の再熱器30の加熱による状態変化、FからGは中圧タービン3の仕事による状態変化、GからIは第2の再熱器40の加熱による状態変化、IからJは低圧タービン4の仕事による状態変化、JからAは復水器10により蒸気が凝縮する状態変化を示している。
【0013】
以下、各タービン及び再熱器位置における蒸気状態について説明する。高圧タービン2に供給される蒸気は、その蒸気温度は図中Cに示すように飽和曲線以下に位置しているので、高圧タービン入口では水滴を含む湿り蒸気の状態である。高圧タービン2に供給された蒸気は、タービン段落を作動させて蒸気の熱エネルギーをタービンの回転エネルギーに変換する仕事を行うので、図中C−Dに示すように蒸気温度は低下し、蒸気の湿り度は高圧タービン入口での蒸気の状態より大きくなる。湿り度が大きくなると、乾き蒸気と比べて損失が増加し、また水滴によって翼にエロージョンが発生する可能性があるので、高圧タービン2からの排出蒸気に含まれる湿分は、第1の再熱器30の湿分分離器5によって分離される。この湿分分離によって、図中D−Eに示すように高圧タービン排気の湿り度は低下する。湿分分離器5で湿分が分離された蒸気は、図中E−Fに示すように第1再熱器第1加熱器6と第1再熱器第2加熱器7で加熱される。この加熱によって、蒸気の温度は飽和温度以上となり、蒸気の状態は過熱状態(乾き蒸気の状態)となる。
【0014】
中圧タービン3には、第1の再熱器30で加熱された乾き蒸気が供給される。ここで、本実施例の中圧タービンでは、図中F−Gに示すように中圧タービン出口での蒸気の状態を湿り蒸気の状態になるまで仕事をさせず、乾き蒸気に保持した状態で排出するように仕事を行わせている。言い換えれば、中圧タービンのタービン段落構造を、中圧タービン出口における蒸気温度が飽和温度以上に保った状態で、中圧タービン入口から出口までの蒸気の温度降下(圧力降下)を行うように構成している。
【0015】
中圧タービン3の排気は、第2の再熱器40の第2再熱器第1加熱器8と、第2再熱器第2加熱器9に導かれ、図中G−Iに示すように加熱が行われる。第2の再熱器40で加熱された蒸気は低圧タービン4に供給され、ここで仕事を行うことによって図中I−Jに示すように温度が降下する。
【0016】
図3は、従来技術におけるタービン設備の温度−エントロピ線図の概念図を示す。図中のAからCまでは原子炉加熱等により復水が蒸気となり発生する状態変化、CからDは高圧タービンの仕事による状態変化、DからEは再熱器の湿分除去による状態変化、EからFは再熱器の加熱による状態変化、FからGは中圧タービンの仕事による状態変化、GからHは再熱器の湿分除去による状態変化、HからIは再熱器の加熱による状態変化、IからJは低圧タービンの仕事による状態変化、JからAは復水器により蒸気が凝縮する状態変化を示している。
【0017】
従来技術においては、図3に示すように中圧タービン出口Gでの排気蒸気は湿り蒸気となっている。このため、中圧タービンと低圧タービンとを結ぶ蒸気ライン(中圧タービン排気管)に設置する再熱器は、熱効率向上の観点から湿分除去と加熱を行う必要があった。再熱器はタービン排気蒸気の湿分を除去する湿分分離器と再加熱する加熱器部分に大別できるが、従来技術の再熱器にあっては湿分分離器と加熱器の両方を備える必要が有るため、再熱器の小型化を図ることは困難であった。従って、従来の再熱器は湿分分離器と加熱器の両方を備えることになるので、その分だけ機器設置スペースを増加させることになる。このため、建屋を従来と同等な大きさにするためには再熱器はできるだけ小さくすることが必要である。
【0018】
一方、本実施例では図2のF−Gに示すように、中圧タービン排気蒸気を飽和温度以上の蒸気温度、すなわち乾き蒸気となるように中圧タービン3の段落を設定している。また、このためには中圧タービン仕事量を軽減する必要があるが、軽減された部分の仕事は低圧タービンで行うように低圧タービン4の段落を設定する。つまり、図2の熱サイクルにようにタービンの段落を設定することで、中圧タービン排気は乾き蒸気となるので、中圧タービン排気管に設置される第2の再熱器40では湿分除去が不要となる。再熱器はタービン排気蒸気の湿分を除去する湿分分離器と再加熱する加熱器部分に大別できるが、湿分分離器部分を小型化または削除することにより、再熱器が小型化でき、設置面積を小さくすることができる。従って、本実施例の2段再熱器式タービン設備によればプラントの熱効率を低下させることなく湿分分離器部分を削除することができ、第2の再熱器40の設置面積を大幅に縮小することが可能となる。
【0019】
また、図1に示す実施例では、第2の再熱器40には湿分分離器を設置せずに、加熱器のみで構成したものを説明したが、これに湿分分離器を設置することも可能である。しかしながら、本実施例では前述したように、中圧タービンはその排気が乾き蒸気となるようにタービン段落を構成しているので、仮にタービン排気中に湿分が含まれていたとしてもその量は従来と比較して少量である。このため、第2の再熱器40に湿分分離器を追設する場合でも、従来より小型化したもので設置することができる。
【0020】
図4は、本発明の他の実施例を示す原子力発電プラントの蒸気タービン設備の系統構成図である。なお、以下の説明では図1と同一の構成についてはその説明を省略する。
【0021】
図4に示す本実施例では、第1再熱器第2加熱器7に加熱蒸気を供給する系統に、加熱蒸気の圧力を調節する第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15と、加熱蒸気の流量を計測する流量計16と、第1再熱器第2加熱器7に供給される加熱蒸気の圧力を測定する圧力検出器17を設けている。また、第2再熱器第2加熱器9に加熱蒸気を供給する系統に、加熱蒸気の圧力を調節する第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁21と、加熱蒸気の流量を計測する流量計22と、第2再熱器第2加熱器9に供給される加熱蒸気の圧力を測定する圧力検出器23を設けている。なお、第1再熱器第2加熱器7と第2再熱器第2加熱器9に供給される加熱蒸気は、原子炉設備1から高圧タービン2に供給される蒸気を分岐させたものである。また、中圧タービン3の排気を第2の再熱器40に導く経路には、中圧タービンの排気蒸気圧力を検出する圧力検出器19と、排気温度を検出する温度検出器20を設置している。
【0022】
さらに本実施例では、第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15を制御する制御装置として圧力調節弁制御装置18を設置している。この圧力調節弁制御装置18は、中圧タービン排気管に設置された圧力検出器19及び温度検出器20で検出された圧力,温度と、発電機14の発電出力に基づいて、中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気となるように第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15を調節するものである。また、流量計16の流量が所望の流量となるように第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15の制御を行っている。圧力調節弁制御装置18には、あらかじめ中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気になる場合の発電機出力に対する各検出器における圧力と温度条件が設定され、制御はその条件になるように行われる。
【0023】
また、第2再熱器第2加熱器9は、第1再熱器第2加熱器7と同様に原子炉設備1からの発生蒸気の一部を加熱蒸気として使用している。第2再熱器第2加熱器9に供給する加熱蒸気圧力は、圧力検出器23で検出された圧力や発電機出力に基づいて、第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁21により調節される。また、流量計22の流量が所望の流量となるように圧力調節弁制御装置24により制御している。圧力調節弁制御装置24はあらかじめ設定された発電機出力に対する加熱蒸気流量の関係に従い制御する。
【0024】
蒸気タービン設備では、プラント起動時及び部分負荷時のタービン排気は低温となり、再熱器の被加熱側に低温の蒸気が流入する。しかし、再熱器の加熱器は原子炉により発生した加熱蒸気が流入するため高温となる。よって再熱器は通常運転時より大きな温度差による熱応力が発生することになる。熱応力は振動等を生じ、機器故障の原因となるため低減する必要がある。
【0025】
一方、図4に示す本実施例では、中圧タービン排気管の途中に設置されている再熱器は加熱器のみの構成であり、中圧タービン排気は乾き蒸気または過熱蒸気に制御する必要がある。つまり、前述の温度差をより小さくするにはプラント起動時、及び部分負荷時に中圧タービン排気を乾き蒸気または過熱蒸気の低温蒸気に制御する必要がある。
【0026】
そこで本実施例では、プラント起動時及び部分負荷時における第1の再熱器30に発生する熱応力を低減するため、高圧タービン排気管途中に設置する第1の再熱器30に供給する加熱蒸気量を制御する。この制御は、中圧タービン排気管に温度検出器20または圧力検出器19を設置し、その検出温度または圧力と発電機出力から、第1再熱器の加熱蒸気圧力を第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15で調整して流量制御する圧力調節弁制御装置18により行う。圧力調節弁制御装置18には、あらかじめ中圧タービンの排気蒸気を乾き飽和蒸気または過熱蒸気低温蒸気とした場合の発電機出力に対する各検出器における温度または圧力を設定し、再熱器の加熱蒸気流量は、その設定に従い制御される。
【0027】
さらに第2の再熱器40においても、第1の再熱器30と同様にプラント起動時及び部分負荷時に発生する熱応力を低減する必要がある。そこで本実施例では、中圧タービン排気管に設置している温度検出器20または圧力検出器19の検出温度や圧力から、第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁21によって第2の再熱器40の加熱蒸気圧力を調整し、また蒸気流量を制御する制御装置を設置している。
【0028】
なお、中圧タービン排気蒸気の温度または圧力の検出位置は、中圧タービン入口温度または圧力から決まるため、各検出器の設置位置は中圧タービン入口でも可能である。
【0029】
以上説明した本実施例によれば、プラント起動時,部分負荷時において、中圧タービン排気を乾き蒸気または過熱蒸気の低温蒸気に制御して、高圧タービン排気管途中の設けた第1の再熱器30の加熱蒸気流量を小さくし、被加熱側との温度差を低減することにより、再熱器に発生する熱応力を低減できる。また、中圧タービン排気管途中に設けた第2の再熱器40についても同様に、加熱蒸気流量を小さくし被加熱側との温度差を低減することにより、再熱器に発生する熱応力を低減できる。
【0030】
図5は本発明の他の実施例である原子力発電プラントの蒸気タービン設備の系統構成図を示す。本実施例では、第1再熱器第2加熱器7は原子炉設備1からの発生蒸気の一部を加熱蒸気として使用する。加熱蒸気量は、中圧タービン入口管に設置された圧力検出器25と温度検出器26によって検出された圧力および温度と、発電機14の発電出力とに基づいて、中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気(乾き蒸気)となるように、第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15によって加熱蒸気圧力を調節し、流量計16の流量を圧力調節弁制御装置27により制御している。圧力調節弁制御装置27には、あらかじめ中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気となるように発電機出力に対する各検出器における圧力と温度条件が設定され、制御はその条件になるように行われる。
【0031】
また、第2再熱器第2加熱器9は、第1再熱器第2加熱器7と同様に原子炉設備1からの発生蒸気の一部を加熱蒸気として使用しており、発電機出力により第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁21により圧力検出器23の加熱蒸気圧力を調節し、加熱蒸気流量を圧力調節弁制御装置24により制御している。圧力調節弁制御装置24はあらかじめ設定された発電機出力に対する加熱蒸気流量の関係に従い制御する。
【0032】
本実施例では、第1の再熱器30に供給する加熱蒸気量や圧力を制御して、中圧タービン排気を乾き蒸気となるように調節しているので、プラント起動時及び部分負荷時における第1の再熱器30に発生する熱応力を低減することができる。また、第2の再熱器40に供給する加熱蒸気についても同様に制御することが可能となる。
【0033】
図6は本発明の他の実施例である原子力発電プラントの蒸気タービン設備の系統構成図を示す。本実施例においては、加熱蒸気量は中圧タービン排気管に設置された圧力検出器19と温度検出器20によって検出される圧力と温度、さらに発電機14の発電出力から、中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気となるように、第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15により加熱蒸気圧力を調節し、流量計16の流量を圧力調節弁制御装置18により制御している。圧力調節弁制御装置18には、あらかじめ中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気になる場合の発電機出力に対する各検出器における圧力と温度条件が設定され、制御はその条件になるように行われる。
【0034】
また、第2再熱器第2加熱器9は、第1再熱器第2加熱器7と同様に原子炉設備1からの発生蒸気の一部を加熱蒸気として使用する。その加熱蒸気量は中圧タービン排気管に設置された圧力検出器19と、温度検出器20による、圧力と温度に従い、第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁21により圧力検出器23の加熱蒸気圧力を調節し、流量計22の流量を圧力調節弁制御装置28により制御している。圧力調節弁制御装置28はあらかじめ設定された中圧タービン排気管の温度、または圧力に対する加熱蒸気流量の関係に従い制御する。
【0035】
本実施例によれば、再熱器に供給する加熱蒸気を制御することにより加熱量を低減することが可能となり、再熱器で発生する熱応力を低減できる。
【0036】
図7は本発明の他の実施例である原子力発電プラントの蒸気タービン設備の系統構成図を示す。本実施例では、圧力検出器25と温度検出器26により検出された圧力および温度と、発電機14の発電出力から、中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気となるように、第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁15により圧力検出器17の加熱蒸気圧力を調節し、また流量計16の蒸気流量を圧力調節弁制御装置27により制御している。圧力調節弁制御装置27には、あらかじめ中圧タービン排気蒸気が低温の過熱蒸気となるように発電機出力に対する各検出器における圧力と温度条件が設定され、制御はその条件になるように行われる。
【0037】
また、第2再熱器第2加熱器9は、第1再熱器第2加熱器7と同様に原子炉設備1からの発生蒸気の一部を加熱蒸気として使用する。その加熱蒸気量は中圧タービン入口管に設置された圧力検出器19と、温度検出器20による、圧力と温度に従い、第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁21により圧力検出器23の加熱蒸気圧力を調節し、流量計22の流量を圧力調節弁制御装置28により制御している。圧力調節弁制御装置29はあらかじめ設定された中圧タービン入口管の温度、または圧力に対する加熱蒸気流量の関係に従い制御する。
【0038】
本実施例によれば、再熱器に供給する加熱蒸気を制御することにより加熱量を低減することが可能となり、再熱器で発生する熱応力を低減できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、湿分分離器の設置面積を縮小した蒸気タービン発電プラントを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である蒸気タービン設備の系統構成図。
【図2】本実施例のプラント熱サイクル温度−エントロピ線図。
【図3】従来のプラント熱サイクル温度−エントロピ線図。
【図4】本発明の他の実施例である蒸気タービン設備の系統構成図。
【図5】本発明の他の実施例である蒸気タービン設備の系統構成図。
【図6】本発明の他の実施例である蒸気タービン設備の系統構成図。
【図7】本発明の他の実施例である蒸気タービン設備の系統構成図。
【符号の説明】
1…原子炉設備、2…高圧タービン、3…中圧タービン、4…低圧タービン、5…第1再熱器湿分分離器、6…第1再熱器第1加熱器、7…第1再熱器第2加熱器、8…第2再熱器第1加熱器、9…第2再熱器第2加熱器、10…復水器、11…復水ポンプ、12…給水加熱器、13…給水ポンプ、14…発電機、15…第1再熱器加熱蒸気圧力調節弁、16…流量計、17…圧力検出器、18…圧力調節弁制御装置、19…圧力検出器、20…温度検出器、21…第2再熱器加熱蒸気圧力調節弁、22…流量計、23…圧力検出器、24…圧力調節弁制御装置、25…圧力検出器、26…温度検出器、27…圧力調節弁制御装置、28…圧力調節弁制御装置、29…圧力調節弁制御装置、30…第1の再熱器、40…第2の再熱器。
Claims (9)
- 蒸気発生装置で発生した飽和蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第1の再熱器と、該第1の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気を加熱する第2の再熱器と、該第2の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備え、前記中圧タービンは該中圧タービンから排出される蒸気が乾き蒸気となるように構成されていることを特徴とする蒸気タービン発電プラント。
- 蒸気発生装置で発生した飽和蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第1の再熱器と、該第1の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第2の再熱器と、該第2の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備え、前記中圧タービンは該中圧タービンから排出される蒸気が乾き蒸気となるタービン段落により構成されていることを特徴とする蒸気タービン発電プラント。
- 蒸気発生装置で発生した飽和蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該湿分が分離された蒸気を加熱する第1の再熱器と、該第1の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気を加熱する第2の再熱器と、該第2の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備え、前記中圧タービンは該中圧タービンから排出される蒸気温度が飽和蒸気温度以上となるタービン段落により構成されていることを特徴とする蒸気タービン発電プラント。
- 蒸気発生装置で発生した飽和蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離する湿分分離器と、該湿分分離器を経た蒸気を加熱する第1の加熱器と、該第1の加熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気を加熱する第2の加熱器と、該第2の加熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備え、前記中圧タービンは該中圧タービンから排出される蒸気が乾き蒸気となるタービン段落により構成されていることを特徴とする蒸気タービン発電プラント。
- 前記蒸気タービン発電プラントは、前記中圧タービンに供給される蒸気または前記中圧タービンから排出される蒸気の温度を検出する温度検出器と、前記中圧タービンに供給される蒸気または前記中圧タービンから排出される蒸気の圧力を検出する圧力検出器と、前記温度検出器で検出された蒸気温度または前記圧力検出器で検出された蒸気圧力に基づいて、前記第1の再熱器または第2の再熱器に供給する加熱蒸気流量を制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の蒸気タービン発電プラント。
- 前記蒸気タービン発電プラントは、プラント起動時または部分負荷時に中圧タービン排気を乾き蒸気に制御する制御装置を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の蒸気タービン発電プラント。
- 蒸気を発生させる原子炉設備と、該原子炉設備で発生した飽和蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第1の再熱器と、該第1の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第2の再熱器と、該第2の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備え、前記中圧タービンは該中圧タービンから排出される蒸気が乾き蒸気となるように構成されていることを特徴とする原子力発電プラント。
- 蒸気発生装置で発生した飽和蒸気により駆動される高圧タービンと、該高圧タービンから排出された蒸気の湿分を分離し、該蒸気を加熱する第1の再熱器と、該第1の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される中圧タービンと、該中圧タービンから排出された蒸気を加熱する第2の再熱器と、該第2の再熱器で加熱された蒸気によって駆動される低圧タービンとを備えた蒸気タービン発電プラントの運転方法において、
前記高圧タービンを経て、前記第1の再熱器で湿分分離及び加熱された蒸気を中圧タービンに導き、該中圧タービンから排出する蒸気が乾き蒸気となるように該中圧タービンに供給された蒸気を膨張させ、この中圧タービンから排出された蒸気を前記第2の再熱器で加熱して、前記低圧タービンに供給することを特徴とする蒸気タービン発電プラントの運転方法。 - 前記蒸気タービン発電プラントの運転方法は、プラント起動時または部分負荷時に、前記第1の再熱器に供給される加熱蒸気を制御して、中圧タービン排気を乾き蒸気することを特徴とする請求項8に記載の蒸気タービン発電プラントの運転方法。
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