JP3760675B2 - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型液晶装置及びこの液晶装置を用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、反射型の液晶装置としては、2枚の透明基板の間に液晶層を封止してなる液晶セルの背面側に反射板を配置したものが多く利用されている。このような反射型の液晶装置においては、液晶層の種類や駆動方式などに応じて、液晶セルの前後に偏光板を配置したり、液晶装置の前面側のみに偏光板を配置したり、偏光板を全く必要としなかったりする場合がある。
【0003】
このような形式の反射型液晶装置においては、外光が前面側の透明基板を通して液晶層に入射し、裏面側の透明基板を透過して反射板にて反射された後、再び裏面側の透明基板、液晶層、前面側の透明基板を通過して視認される。この場合に、液晶層と反射板の反射面の間には裏面側の透明基板の厚さ分だけ間隔が生じるため、外光の入射角度によっては入射時において通過する液晶層の画素領域もしくはドット領域と、反射後に通過する液晶層の画素領域もしくはドット領域とが異なるので、いわゆる視差による表示のにじみやダブルイメージなどが発生するという問題点がある。
【0004】
上記のような問題点を解決する手法としては、特開平5−323371号公報や特開平9−113893号公報に記載されているように、外光を反射させる反射板を液晶セルの内面に設けて、視差をなくすというものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平5−323371号公報に記載されている反射型の液晶装置においては、反射電極に凹凸を付与して光拡散性を持たせているので、プロセスが複雑になり、コストが増すという問題がある。反射電極の金属感や鏡面感をなくすには凹凸の高さや間隔、配列など非常に複雑な設計が必要になる。凹凸の高低さを激しくしすぎると、これに起因する液晶配向の乱れも生じる。
【0006】
上記問題点を解決する1つの手段が特開平9−113893号公報である。この公報によると、反射電極は鏡面状態にしておいて、光拡散性を液晶セル前面の光制御フィルムに依存させるというものである。しかし、特開平9−113893号公報に記載されている反射型の液晶装置においては、異なる屈折率を有する2種類の微小領域から構成される光制御フィルムを液晶セルの前面に配置しているので、拡散光が全くない方向が存在し、視野角が狭いという問題点を有している。これは、特定方向からの入射光は散乱されるが、その他の方向からの光は散乱されないためである。さらに、光制御フィルムの光拡散性を上げて広視野角化をはかろうとすると、表示のにじみ(ボケ)が発生するという問題点がある。この光制御フィルムは反射板の鏡面感や金属感をなくし、外光の正反射方向でなくとも明るい表示を得るために用いているわけであるが、この光制御フィルムの光拡散性が大きすぎると、異なる各画素での異なる情報が人間の目で認識されるまでに混在してしまう。つまり、隣り合う画素で白表示と黒表示をそれぞれ行っていたとすると、光制御フィルムのために、白表示と黒表示の境界がわかりにくくなり、表示がぼけてしまう。光制御フィルムによる光拡散性が強すぎると表示のにじみ(ボケ)が顕著になり、逆に弱すぎると反射板の鏡面感や金属感が残り、液晶装置の視野角も狭くなってしまう。
【0007】
また、近年の携帯機器やOA機器の発展に伴って液晶表示のカラー化が要求されるようになっており、反射型液晶装置を用いるような機器においてもカラー化が必要な場合が多い。ところが、特開平9−113893号公報に記載されている液晶装置とカラーフィルタを組み合わせた方法では、視野角が狭く、さらに光制御フィルムによる散乱のために、表示のにじみ(ボケ)が発生してしまい、十分な発色を得ることができないという問題点がある。
【0008】
その他、特開平7−28055号公報や特開平7−36060号公報に記載されているように、拡散板も液晶セル内面へ形成して、表示のにじみ(ボケ)を抑制する方法が提案されているが、これはコスト高になったり、信頼性が低下したり、所望の散乱特性が得にくいなどの問題があり、実用化には至っていない。
【0009】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、広視野角で明るく、表示のにじみ(ボケ)や混色などのない反射型の液晶装置を提供することにある。また、この液晶装置を用いた電子機器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、以下の通りである。
【0011】
本発明の液晶装置は、第1基板と第2基板との間に液晶層が挟持され、前記第1基板の前記液晶層と異なる側に光散乱層が配置され、前記光散乱層を介して入射する外光を反射して前記光散乱層を介して出射させる反射層が前記第2基板の前記液晶層側に形成された液晶装置において、前記光散乱層は概ね前記液晶装置の法線方向から入射する光に対して弱い散乱を示し、前記法線方向から当該液晶装置の上下方向及び左右方向に傾いた角度から入射する光に対しては概ね強い散乱を示し、前記入射する光の前記法線方向からの傾き角度をφ、前記法線方向のφを0°とし、当該液晶装置の上下方向にφを±90°の範囲で変化させた第1軸と、当該第1軸とは前記0°の点で交差し当該液晶装置の左右方向にφを±90°の範囲で変化させた第2軸とに基づき定義される前記光散乱層の散乱特性の平面において、前記光散乱層は、前記強い散乱を示す散乱特性の部分が前記弱い散乱を示す散乱特性の部分をドーナツ型に取り囲む特性を有することを特徴とする。
【0012】
この手段によれば、表示のにじみ(ボケ)や混色などを抑えた反射型の液晶装置をつくることができる。反射表示は、液晶装置に斜め方向から入射し反射層で反射された光を概ね液晶装置の正面方向(法線方向)で観察することによってなされるのが普通である。光散乱層は液晶装置に広角側から入射する光を強く散乱し、逆に液晶装置法線方向に出射する光に対しては散乱性が弱いので、液晶装置出射時に生じる光散乱による表示のにじみ(ボケ)を抑えることができる。
【0013】
なお、反射層が画素電極を兼ねていてもよい。このようにすることによって、新たに画素電極を形成する必要がなく、低コストで液晶装置を製造することができる。また、反射層と第1基板の間にカラーフィルタを形成してもよい。このようにすることによって、反射型カラー表示を実現することができる。
【0014】
また、光散乱層は、Asia Display95,pp599−pp602で東北大学内田教授らが発表しているような、入射光側への散乱(後方散乱)がなく、前方散乱が主であるものがより好ましい。
【0015】
散乱が弱い方向とはこの方向から光散乱層に入射した光に対して雲価(ヘイズ)が30%以下である方向のことで、散乱が強い方向とはこの方向から光散乱層に入射した光に対して雲価(ヘイズ)が50%以上である方向のことである。なお、雲価(ヘイズ)とは、積分球式光線透過率測定装置によって測定された全光線透過率と散乱光透過率の比で求められる値のことである。
【0016】
本発明の液晶装置は、前記液晶装置法線方向からの傾き角をφとし、散乱が最も弱い角度をφMIN、散乱が最も強い角度をφMAXとしたとき、0度≦|φMIN|≦10度かつ20度≦|φMAX|≦60度であることを特徴とする。
【0017】
この手段によれば、より高画質で表示のにじみ(ボケ)や混色などを抑えた反射型の液晶装置をつくることができる。観察者が反射型液晶装置を観察する角度は液晶装置法線方向から概ね10度コーンの範囲内である。また、このとき外光が反射型液晶装置に入射する角度は液晶装置法線方向から概ね10度から60度の範囲であることを実験によって確認した。散乱が最も強い範囲を入射時に外光が通過する方向と一致させ、さらに散乱が最も弱い範囲を出射時に光が通過する方向と一致させることによって、り高画質で表示のにじみ(ボケ)や混色などを抑えた反射型の液晶装置をつくることができる。
【0018】
本発明の液晶装置は、前記光散乱層を前記第1基板と挟み込むように偏光板を配置したことを特徴とする。
【0019】
この手段によれば、偏光板を用いているので、高いコントラストの反射型液晶装置を得ることができる。さらに、散乱層による後方散乱光のうち約半分を吸収する効果がある。これによって、散乱層の後方散乱によるコントラストの低下を抑えることができる。
【0020】
本発明の液晶装置は、前記第1基板と前記偏光板の間に少なくとも1枚の位相差板を配置することを特徴とする。
【0021】
この手段によれば、反射型表示において良好な表示制御ができるとともに、光の波長分散に起因する色付きなどの色調への影響を低減することができる。なお、位相差板は偏光板と散乱層の間、または散乱層と第1基板の間のどこに配置しても構わない。
【0022】
本発明の電子機器は、上記いずれかに記載の液晶装置を搭載したことを特徴とする。
【0023】
この手段によれば、広視野角で明るく、表示のにじみ(ボケ)や混色などのない反射型表示のできる液晶装置を用いた電子機器を実現することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る液晶装置の第1実施形態の構造を示す概略縦断面図である。この実施形態は基本的に単純マトリクス型の液晶表示装置に関するものであるが、同様の構成によりアクティブマトリクス型の装置や他のセグメント型の装置、その他の液晶装置にも適用することは可能である。
【0026】
この実施形態では、2枚の基板101、102の間に液晶層105が枠状のシール材104によって封止された液晶セルが形成されている。液晶層105は、所定のツイスト角を持つネマチック液晶で構成されている。上側の透明基板101の内面上にはカラーフィルタ110が形成され、このカラーフィルタには、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色層が所定パターンで配列されている。カラーフィルタの表面上には透明な保護膜111が被覆されており、この保護膜の表面上に複数のストライプ状の透明電極112がITOなどにより形成されている。透明電極112の表面上には配向膜が形成され、所定方向にラビング処理が施されている。また、上側の透明基板101の外面上に偏光板106、第1位相差板107、第2位相差板108、光散乱層109が配置されている。
【0027】
一方、下側基板102の内面上には、上記カラーフィルタの着色層毎に形成されたストライプ状の反射電極103が上記透明電極112と交差するように複数配列されている。MIM素子やTFT素子を備えたアクティブマトリクス型の装置である場合には、各反射電極103は矩形状に形成され、アクティブ素子を介して配線に接続される。この反射電極103はCrやAlなどにより形成され、その表面は透明基板101の側から入射する光を反射する反射面となっている。反射電極103の表面上には上記と同様の配向膜が形成される。
【0028】
まず、光散乱層109について説明する。光散乱層の光拡散性を調べるため、図4に示すような測定系を用いた。光源401から平行光を光散乱層403に入射させ、光散乱層403を直進した透過光を受光部404によって検出した。このとき、光散乱層403を回転402させて、透過光の強度を測定した。図4の測定系で測定した結果を図2に示す。横軸が光散乱層の回転角度を示し、光散乱層に光源からの平行光が垂直入射した時を0°とする。右回りが負、左回りが正である。縦軸が透過光強度を示している。図中の201は、光拡散性のない透明なアクリル板の特性である。202は強い光拡散性を持つ光散乱層の特性である。さらに、203は−10°〜+10°の範囲に光散乱性を持たない光散乱層の特性であり、204は−30°〜+30°の範囲に光散乱性を持たない光散乱層の特性である。本実施形態では、光散乱層109に図2における203の特性の光拡散性を持つ光散乱層をもちいた。
【0029】
次に、反射液晶表示について説明する。外光は図1における偏光板106、第1位相差板107、第2位相差板108、光散乱層109、カラーフィルタ110をそれぞれ透過し、液晶層105を通過後、鏡面状態の反射電極103によって反射され、再び偏光板106から液晶セルの外へ出射される。このとき、液晶層105への印加電圧によって入射光の偏光状態が変化し、明状態と暗状態、及びその中間の明るさを制御する。光散乱層109は、反射電極103の鏡面感や金属感を白濁させ、外光の正反射方向以外でも明るい表示を認識することができるようにする効果がある。このとき、光散乱層は液晶装置に斜め方向から入射した外光を強く散乱させ、液晶装置法線方向への反射光に対しては散乱が生じないので、広視野角で明るく、表示のにじみ(ボケ)や混色などのない反射型の液晶装置を実現することができた。
【0030】
光散乱層109は、登録特許第2854986号、特開平9−222512号公報、特開平9−138396号公報などに記載されている透過型と呼ばれるホログラムやこれらを複数層重ね合わせたものなどを用いることができる。また、光散乱層109は住友化学工業株式会社製の光制御フィルム(商品名:ルミスティ)のように、指向性を持たせるために異なる屈折率の材料を周期的に形成したものも用いることができ、これらを複数層積層して用いても構わない。
【0031】
本実施形態で、1枚偏光板型の反射型液晶装置について説明をしたが、液晶層に偏光板を不要とするような高分子散乱型の液晶や二色性の色素を添加したゲストホスト液晶を用いてもよい。この時は本実施形態で用いた偏光板や位相差板は不要となる。
【0032】
上述したような本実施例の構成によれば、広視野角で明るく、表示のにじみ(ボケ)や混色などのない反射型の液晶装置が実現できた。
【0033】
また、本実施形態では、反射層が画素電極を兼ねているが、反射層の上に保護膜または絶縁膜を形成してからITOなどの透明電極を形成して、画素電極としてもよい。
【0034】
(第2実施形態)
図6は本発明に係る液晶装置の実施形態の構造を示す概略縦断面図であり、図7は従来の液晶装置の実施形態の構造を示す概略縦断面図である。この実施形態は基本的に単純マトリクス型の液晶表示装置に関するものであるが、同様の構成によりアクティブマトリクス型の装置や他のセグメント型の装置、その他の液晶装置にも適用することは可能である。
【0035】
まず、従来の液晶装置について図7を用いて説明する。この実施形態では、2枚の基板701、702の間に液晶層705が枠状のシール材704によって封止された液晶セルが形成されている。液晶層705は、所定のツイスト角を持つネマチック液晶で構成されている。上側の透明基板701の内面上にはカラーフィルタ710が形成され、このカラーフィルタには、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色層が所定パターンで配列されている。カラーフィルタの表面上には透明な保護膜711が被覆されており、この保護膜の表面上に複数のストライプ状の透明電極712がITOなどにより形成されている。透明電極712の表面上には配向膜が形成され、所定方向にラビング処理が施されている。また、上側の透明基板701の外面上に偏光板706、位相差板707、光散乱層709が配置されている。一方、下側基板702の内面上には、上記カラーフィルタの着色層毎に形成されたストライプ状の反射電極703が上記透明電極712と交差するように複数配列されている。MIM素子やTFT素子を備えたアクティブマトリクス型の装置である場合には、各反射電極703は矩形状に形成され、アクティブ素子を介して配線に接続される。この反射電極703はCrやAl、Agなどにより形成され、その表面は透明基板701の側から入射する光を反射する反射面となっている。反射電極703の表面上には上記と同様の配向膜が形成される。
【0036】
従来の反射液晶表示について説明する。外光は図7における偏光板706、位相差板707を所定の偏光状態で通過し、光散乱層709によって偏光状態を保ちつつ前方散乱され、、カラーフィルタ710を透過し、液晶層705に入射させる。液晶層705を通過後、鏡面状態の反射電極703によって反射され、再び光散乱層709で前方散乱され、偏光板706から液晶セルの外へ出射される。このとき、液晶層705への印加電圧によって入射光の偏光状態が変化し、明状態と暗状態、及びその中間の明るさを制御する。光散乱層709は、反射電極703の鏡面感や金属感を白濁させ、外光の正反射方向以外でも明るい表示を認識することができるようにする効果がある。このとき、光散乱層は入射時も出射時も外光を散乱させるので、表示のにじみ(ボケ)が発生する。
【0037】
次に、本発明の液晶装置について図6を用いて説明する。この実施形態では、2枚の基板601、602の間に液晶層605が枠状のシール材604によって封止された液晶セルが形成されている。液晶層605は、所定のツイスト角を持つネマチック液晶で構成されている。上側の透明基板601の内面上にはカラーフィルタ610が形成され、このカラーフィルタには、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色層が所定パターンで配列されている。カラーフィルタの表面上には透明な保護膜611が被覆されており、この保護膜の表面上に複数のストライプ状の透明電極612がITOなどにより形成されている。透明電極612の表面上には配向膜が形成され、所定方向にラビング処理が施されている。また、上側の透明基板601の外面上に偏光板606、位相差板607、光散乱層609が配置されている。一方、下側基板602の内面上には、上記カラーフィルタの着色層毎に形成されたストライプ状の反射電極603が上記透明電極612と交差するように複数配列されている。MIM素子やTFT素子を備えたアクティブマトリクス型の装置である場合には、各反射電極603は矩形状に形成され、アクティブ素子を介して配線に接続される。この反射電極603はCrやAl、Agなどにより形成され、その表面は透明基板601の側から入射する光を反射する反射面となっている。反射電極603の表面上には上記と同様の配向膜が形成される。
【0038】
本発明の反射液晶表示について説明する。外光は図6における偏光板606、位相差板607を所定の偏光状態で通過し、光散乱層609によって偏光状態を保ちつつ前方散乱され、、カラーフィルタ610を透過し、液晶層605に入射させる。液晶層605を通過後、鏡面状態の反射電極603によって反射され、再び光散乱層609で前方散乱されずにそのまま状態で、偏光板606から液晶セルの外へ出射される。このとき、液晶層605への印加電圧によって入射光の偏光状態が変化し、明状態と暗状態、及びその中間の明るさを制御する。光散乱層609は、入射時の前方散乱によって反射電極603の鏡面感や金属感を白濁させ、外光の正反射方向以外でも明るい表示を認識することができるようにする効果がある。このとき、光散乱層は入射時のみ外光を散乱させるので、表示のにじみ(ボケ)が発生しない。本発明の液晶装置は、液晶装置に斜め方向から入射した外光を強く散乱させ、液晶装置法線方向への反射光に対しては散乱が生じないので、広視野角で明るく、表示のにじみ(ボケ)や混色などのない反射型の液晶装置を実現することができる。
【0039】
光散乱層609は、登録特許第2854986号、特開平9−222512号公報、特開平9−138396号公報などに記載されている透過型と呼ばれるホログラムやこれらを複数層重ね合わせたものなどを用いることができる。また、光散乱層109は住友化学工業株式会社製の光制御フィルム(商品名:ルミスティ)のように、指向性を持たせるために異なる屈折率の材料を周期的に形成したものも用いることができ、これらを複数層積層して用いても構わない。
【0040】
本実施形態で、1枚偏光板型の反射型液晶装置について説明をしたが、液晶層に偏光板を不要とするような高分子散乱型の液晶や二色性の色素を添加したゲストホスト液晶を用いてもよい。この時は本実施形態で用いた偏光板や位相差板は不要となる。
【0041】
また、本実施形態では、反射層が画素電極を兼ねているが、反射層の上に保護膜または絶縁膜を形成してからITOなどの透明電極を形成して、画素電極としてもよい。
【0042】
(第3実施形態)
図3は本発明に係る液晶装置に用いる光散乱層の散乱特性を示す図である。図3の(a)は光散乱層301に対する入射光の角度を説明するための図である。光散乱層301の法線方向302からの角度をφと定義する。図3の(b)は光散乱層の散乱特性を表したものである。横軸304は左右方向にφを変化させたときの散乱特性で、縦軸303は上下方向にφを変化させたときの散乱特性である。横軸304と縦軸303が交わった点(0度)は光散乱層の法線方向の特性を表している。本実施例の光散乱層はφが±15度の範囲内では散乱が弱く(ヘイズ:約20%以下)、φが15度以上70度以下の範囲では強い散乱305を示している。(b)中の斜線部分305から明らかなように、強い散乱特性を示す部分はドーナツ型に見える。このような特性を有する光散乱層を反射型液晶装置の前面に配置することによって、広角側(φが大きい)から入射した外光は入射時に散乱され、反射型液晶装置からの反射光にはほとんど散乱が生じないので、表示のにじみ(ボケ)のない反射型液晶装置を実現することができる。広角側から入射する外光には、窓から入射する太陽光や壁からの反射光、観察者が着ている衣服からの反射光などがある。このような光を有効に使うことによって、明るい表示を実現することができた。図3の(c)は(b)の散乱特性を原点0度を含む紙面垂直断面から見た図である。光散乱層への入射光の角度によって、散乱特性306が異なる様子がわかる。本実施形態の場合、最大散乱強度を示す角度|φMAX|は50度で、最小散乱強度を示す角度|φMIN|は5度である。
【0043】
(第4実施形態)
本発明の電子機器の例を3つ示す。本発明の液晶装置は、反射型なので、様々な環境下で用いられ、しかも低消費電力が必要とされる携帯機器に適している。例えば、図5(a)は携帯電話であり、(b)は腕時計であり、(c)は携帯情報機器である。本発明の液晶装置は表示のにじみ(ボケ)などがなく表示品質が高いので、高精細な表示を必要とする場合には最適である。近年、情報量の増大と情報インフラの整備によって、携帯の頻度が高い電子機器が数多く製造・販売されている。このような電子機器の表示部には本発明の液晶装置は最適であり、特にカラー表示が必要な時には非常に明るく、視野角が広く、発色のよい表示を可能にする。このため、液晶装置と観察者(使用者)の間にタッチパネルやフロントライト(反射型液晶装置の前方照明装置)を配置して使用するような場合にも、液晶装置の表示画質が高いため非常に見やすい表示を実現することができた。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、広視野角で明るく、表示のにじみ(ボケ)や混色などのない反射型の液晶装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶装置の第1実施形態の概略構造を示す概略縦断面図である。
【図2】図4の測定系で測定した光散乱層の特性を示す図である。
【図3】光散乱層の散乱特性を説明するための図である。
【図4】光散乱層の光拡散性を測定する測定系の概略図である。
【図5】本発明に係る液晶装置を搭載した電子機器の概略図である。
【図6】本発明に係る液晶装置の第2実施形態の概略構造を示す概略縦断面図である。
【図7】従来の液晶装置の実施形態の概略構造を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
101、102、601、602、701、702 透明基板
103、603、703 反射電極
104、604、704 シール材
105、605、705 液晶層
106、606、706 偏光板
107、108、607、707 位相差板
109、609、709 光散乱層
110、610、710 カラーフィルタ
111、611、711 保護膜
112、612、712 透明電極
113 液晶装置法線方向
201 光拡散性のない透明なアクリル板の特性
202 強い光拡散性を持つ光散乱層の特性
203 おおむね−10度〜+10度の範囲に強い光散乱性を持たない光散乱層の特性
204 おおむね−30度〜+30度の範囲に強い光散乱性を持たない光散乱層の特性
301 光散乱層
302 光散乱層の法線方向
303 上下方向のφを示す軸
304 左右方向のφを示す軸
305 強い散乱を示す領域
306 光散乱層の散乱特性
401 光源
402 回転軸
403 光散乱層
404 受光部
608、708 観察者
Claims (5)
- 第1基板と第2基板との間に液晶層が挟持され、前記第1基板の前記液晶層と異なる側に光散乱層が配置され、前記光散乱層を介して入射する外光を反射して前記光散乱層を介して出射させる反射層が前記第2基板の前記液晶層側に形成された液晶装置において、
前記光散乱層は概ね前記液晶装置の法線方向から入射する光に対して弱い散乱を示し、前記法線方向から当該液晶装置の上下方向及び左右方向に傾いた角度から入射する光に対しては概ね強い散乱を示し、
前記入射する光の前記法線方向からの傾き角度をφ、前記法線方向のφを0°とし、当該液晶装置の上下方向にφを±90°の範囲で変化させた第1軸と、当該第1軸とは前記0°の点で交差し当該液晶装置の左右方向にφを±90°の範囲で変化させた第2軸とに基づき定義される前記光散乱層の散乱特性の平面において、前記光散乱層は、前記強い散乱を示す散乱特性の部分が前記弱い散乱を示す散乱特性の部分をドーナツ型に取り囲む特性を有する
ことを特徴とする液晶装置。 - 前記法線方向からの傾き角度をφとし、散乱が最も弱い角度をφMIN、散乱が最も強い角度をφMAXとしたとき、0度≦|φMIN|≦10度かつ20度≦|φMAX|≦60度であることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 前記光散乱層を前記第1基板と挟み込むように偏光板を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 前記第1基板と前記偏光板の間に少なくとも1枚の位相差板を配置することを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置を搭載した電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14146999A JP3760675B2 (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | 液晶装置及び電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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