JP3745730B2 - 美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造する方法の関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、連続溶融金属めっきを施す場合には、一般的には、図5に示すように、還元性雰囲気中で焼鈍した鋼板1は、ターンダンロール4を介してスナウト3から溶融めっき槽2の溶融めっき浴5に導き浸漬され、次いでシンクロール6によって方向転換させて垂直方向に引き上げて行き、鋼板1の表面に付着して上がってきた溶融亜鉛の余剰な分を浴上に設けられた一対のガスワイピングノズル7によって所定のめっき目付量に調整することにより鋼板1の表面に所望のめっきを施すめっき法であり、その代表的な設備が、図5に示す連続溶融金属めっき装置の概略図である。なお、符号8はめっき浴面を示す。
【0003】
一方、連続溶融亜鉛めっきにおいては、めっき浴に亜鉛を用いる他に亜鉛と素地鋼との界面に硬くてもらいFe−Znの合金層の成長を抑制し、めっき密着性を向上させるために亜鉛中にAlを添加する場合がある。すなわち、めっき層と素地鋼との界面にAl富化層を形成させることにより亜鉛と素地鋼との界面のFe−Znの合金層を適度に抑制し、めっき層の剥離を防止するものである。このような連続溶融亜鉛めっきにおいては、溶融亜鉛が大気中の酸素や溶融亜鉛中に添加されているAlや、さらには鋼板等との化学反応によって生じるドロスが溶融亜鉛浴中に必然的に発生するという問題がある。特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造工程から、溶融亜鉛めっき鋼板の製造工程に切替える際に浮遊ドロスの発生での問題が大きい。
【0004】
上記した連続溶融亜鉛めっきラインでの操業中にめっき浴に発生したドロスが、鋼板をめっき浴から引き上げられる際にドロスが鋼板に付着してしまい、品質上鋼板の外観および品質の劣化の原因となっていた。そこで、このドロスを除去し、鋼板の外観および品質劣化を防止する方法として、例えば特許文献1に開示されているように、溶融亜鉛ポット内にストリップを囲むコの字状の堰を設置し、この堰によって区切られた場所に溶融亜鉛ポット内から汲み上げた清浄な溶融亜鉛を流し込んで堰内部の溶融亜鉛に一方向の流れを作り、ストリップ近傍からドロスを排除して製品への付着を防止する溶融亜鉛めっき設備におけるストリップへのドロス付着防止方法が知られている。
【0005】
また、特許文献2に開示されているように、Zn−Al−Mg系溶融めっき鋼板の製造方法において、スナウトの先端を浴に浸漬することにより、加熱炉から送り出された鋼帯が浴に浸漬されるまでの間を大気雰囲気から遮断すると共に該スナウト内を非酸化性雰囲気に保持し、スナウト内の浴を通過している鋼帯にメタル以外の浮遊物が漂着するのを抑制する表面外観の優れた溶融Zn−Al−Mg系溶融めっき鋼板の製造方法が知られている。
【0006】
また、特許文献3には、めっき浴から垂直に上昇する鋼帯を挟んで、めっき浴の直上に設けられた一対の移動磁界発生コイルの磁極間にめっき浴面及び浴中の鋼帯を貫くU字状の軌跡をなす磁界を発生させ、この磁界が鋼帯の幅方向の何れか一方に移動することでその移動方向と同じ向きの電磁力を発生させ、この電磁力により磁界が貫いた部分のめっき浴中のめっき金属を鋼帯の幅方向に対流させ、これによりめっき浴面の浮遊するドロスを鋼帯の周辺から除去し、ドロスの鋼帯への付着を防止する方法が知られている。
【0007】
また、特許文献4には、溶融めっき浴から引き上げられる鋼帯の表裏両面に対向した移動磁場発生コイルで鋼帯を所定の搬送ラインに沿って走行させながら、鋼帯の立上り部近傍の湯面に、鋼帯の幅方向中央部から幅方向両端部に向かった電磁力を移動磁場により発生させ、電磁力で湯面近傍の溶融めっき金属を幅方向中央部から幅方向両端部に流動させる溶融めっき浴のトップドロス除去方法が知られている。
【0008】
さらには、特許文献5には、溶融金属めっき装置の溶融金属浴において、発生するトップドロスを電磁誘導作用による推進力を利用して除去する溶融金属浴のトップドロス除去方法、特許文献6には、めっき浴中の溶融金属に含まれる析出物を濾過し、ついで濾過後の溶融金属を、溶融金属中に浸漬された鋼帯の全幅にわたって、吹き付けることを特徴とする鋼帯の溶融金属めっき方法等が知られている。
【0009】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開平6−32298号公報)
(2)特許文献2(特開2000−64015号公報)
(3)特許文献3(特開平11−36046号公報)
(4)特許文献4(特開平10−53850号公報)
(5)特許文献5(特開昭54−33234号公報)
(6)特許文献6(特開昭64−28354号公報)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1の場合のドロスは溶融亜鉛ポット内の亜鉛表面近傍に浮遊するものを対象とし、また、堰内部に溶融亜鉛を流し込む方式を取り、速度勾配が浴面にとって大きく流れる方式が採用されている。さらに、ポンプからの吐出速度は2〜5m/s(120〜300m/分)で行なわれている。従って、本発明が目的としているサポートロールから浴表面に浮遊するドロスを対象としているものでなく、また、本発明の速度勾配と異なる流速を与え、かつ、流速が速いために攪拌流が生じて結果的に鋼板へ浮流ドロスを付着させることになるという欠点がある。
【0011】
また、特許文献2の場合は、Zn−Al−Mg系溶融めっきでの、スナウト内の浴を通過している鋼板にメタル以外の浮遊物が漂着するのを抑制するために、スナウト内での強制水平流の流速として鋼板の幅方向に0.015〜0.5m/secを流動させるもので、最大3m/分と流速が低く、浮遊ドロスを完全に付着防止するには十分な効果が得られない。また、特許文献3〜5は、いずれもめっき浴の直上ないしめっき浴面に設けられた電磁力で湯面近傍の溶融めっき金属を幅方向中央部から幅方向両端部に流動させる溶融めっき浴のトップドロス除去方法である。さらに、特許文献6の場合は、濾過工程という複雑な工程を必要としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、鋼板がめっき浴を出るめっき浴面から100mm以内の深さであって、鋼板表面から100mm以内の範囲で、さらには鋼板に対し5〜20°の角度でメタルを吐出し、メタルの所定の流れを造り、このメタルの流れにより発生するメタル剪断力でめっき浴中に浮遊するドロスを鋼板から分断し鋼板に付着するのを防止する美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0013】
その発明の要旨とするところは、
(1)還元性雰囲気中で焼鈍した鋼板をスナウトを経て溶融亜鉛浴中に導きめっきする連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、鋼板をAl:0.08〜0.50質量%、Fe:0.10質量%以下、残部Znからなる溶融亜鉛めっき浴に浸漬した後、該溶融亜鉛めっき浴から引き上げるに際し、溶融亜鉛めっき浴槽の鋼板出側のめっき浴面から100mm以内の深さであって、かつ、鋼板表面から100mm以内の範囲でのめっき浴中に、鋼板板幅 方向に平行、かつ鋼板に対し5〜20°の角度にてメタル流速30〜100m/分を有するメタル流を生じさせ、鋼板に追従するめっき浴中の浮遊ドロスの付着を防止することを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0014】
(2)前記(1)記載の方法において、鋼板速度(SV)とメタル流速(MV)との関係を下記範囲とすることを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(1)30≦SV<140の場合、30≦MV≦100
(2)140≦SV<180の場合、30+0.5(SV−140)<MV≦100
(3)180≦SV≦200の場合、50≦MV≦100
(3)前記(1)または(2)に記載のメタル流速30〜70m/分とすることを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(4)前記(1)〜(3)に記載のメタル流層厚を30〜95mmとすることを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
上述したように、連続溶融亜鉛めっきにおいては、溶融亜鉛が大気中の酸素や溶融亜鉛中に添加されているAlや、さらには鋼板等との化学反応によって生じるドロスが溶融亜鉛浴中に必然的に発生する。このドロスは、大きくスナウト内で起因するベタツキドロスまたはヘドロドロスとFe−Zn、Fe−Al系合金に起因する微細ドロスまたは散砂ドロスおよび酸化ドロスであるトップドロスに区分することができる。
【0016】
上記ドロスの発生は、溶融亜鉛浴組成によって大きく影響し、浴中にAl濃度を高くした場合は、比重の比較的低いトップドロス(Fe2 Al5 :比重約4、Fe2 ZnAl4 :比重約5、ZnO、Al2 O3 )が発生し、Al濃度が低い場合には、比重の比較的高いボトムドロス(FeZn7 :比重7.3)が発生する。また、その中間に属する浮遊ドロス(Fe2 ZnAl4 +FeZnx :比重5〜7.3)が存在する。本発明では、特に上記めっき浴中に浮遊するドロスで大きさが5mm以下の浮力が殆ど働かずに浮遊しているものの対策として効果があるものである。
【0017】
本発明において、Al:0.08〜0.50質量%、Fe:0.10質量%以下、残部Znからなる溶融亜鉛めっき浴を対象とした理由は、溶融亜鉛めっき製造の場合と溶融合金化めっきの場合を配慮したもので、合金化めっきの場合は、Al濃度が低く、一方、溶融亜鉛めっき浴組成の場合はAl濃度が合金化に比べて高い。この両者を同一めっき槽を用いて連続操業中に切り替え使用する関係から、両者を製造するAl濃度を含めて、合金化めっきのパウダリング性を考慮した最低値とする0.08質量%を下限した。また、溶融亜鉛めっき浴組成の最大値と密着性を考慮して、その上限値の0.50質量%としたものである。
【0018】
上記めっき浴組成から発生したドロス対策として、特に、上述したようにトップドロスやボトムドロスでなく、その中間に属する浮遊ドロスを対象とする。その時の浮遊ドロスの大きさは5mmφ、または、長径が5mm以下のものを指す。なお、1個の大きさが0.5mmφ以下のものは、めっき後の表面外観を損ねるまでに至っていないので、本発明の対象外とした。また、Feを0.10質量%以下としたのは、Feは不純物として連続溶融亜鉛めっき操業中に鋼板から必然的に入ってくるもので、出来るだけ低い方が好ましい。しかし、0.10質量%を超えるとめっき密着性を劣化させることから、その上限を0.10質量%とした。また、その時のめっき浴温度は通常430〜500℃の範囲で操業されるのが好ましい。
【0019】
図1は、本発明に係るめっき浴面でのメタル随伴流の状態を示す図である。図1(a)は横断面図であり、図1(b)は上断面図である。この図に示すように、溶融亜鉛めっき浴槽の鋼板出側のめっき浴面8へのメタル随伴流は、速度勾配9のように鋼板1との境界層10を生じる。この境界層厚みをδとすると、この境界層厚みδ=√η/(ρUL)×Lで推定できる。ただし、L=300mm、U=100mpm=10000/60〔cm/s〕、η=3.93×10-2〔P〕、ρ=7〔g/cm3 〕とする。上記の境界層厚みの計算から境界層厚みδ=0.3mmと算出できる。
【0020】
また、上記境界層中での粒子の動きは、流体内に速度勾配があり、かつ、粒子の速度の方が流体の速度より小さい時には、流体速度が大きい方に粒子を移動させる力が働くと言うサフマン力により粒子速度up=(81.2/12π)×d/v0.5 (u−up)√du/dy、ただし、upは粒子の浮上速度で密度が液体より低いときには、u<upとなる。従って、upはマイナスであり、粒子(ドロスの密度は5g/cm3 程度である)は鋼板から離れる。従って、境界層の中にある粒子(≦0.3mm)は外側に向かう力を受けることになる。しかし、境界層厚み0.3mmを超える大きさの粒子は、慣性力により近づいて、外側に向かう力を受ける前に鋼板に付着する可能性が高い。そこで、本発明に係る対象ドロスは0.5〜5mmφの浮遊ドロスを対象とすることから、この大きさでは、鋼板の周囲の境界層流は無視しても良いことが判った。この事実から、鋼板近傍の粒子(ドロス)が近づく前に粒子を横方向に流すことが、本発明における特徴である。
【0021】
図2は、鋼帯との境界層10近傍でのメタル流の状況を示す図である。図2(a)は従来のメタル流の状況を示すものであり、図2(b)は本発明によるメタル流の状況を示す。上記したことから、従来技術である特許文献1に開示されている技術では、メタル流速が極めて大きいために大きな粒子(トップドロス)を横方向に流せることは出来るが、小さな粒子は鋼板に付着することになる。すなわち、図2(a)のように、横方向の流れは乱流となり、乱流の渦に巻き込まれる粒子は鋼板近傍で鋼板1に近寄って付着することになる。
【0022】
これに対し、本発明の流れは、メタルポンプの吐出口から横方向に最適な位置、最適なメタル流速をもって供給されるので、図2(b)に示すように、主流11(主も強い流速)の位置が鋼板1から離れ、鋼板近傍の粒子は上述したサフマン力の原理により粒子速度upは抵抗力が働きu>upとなり、主流13側に引き寄せられる。すなわち、鋼板1とメタルポンプ(図示せず)からのメタル吐出口の位置〔A点〕は、鋼板1より5mm程度(L0 )離れている必要がある。A点が5mm程度以上離れると鋼板と横流の間に隙間が出来、外部から溶融亜鉛と共に粒子が侵入する。一方、〔B点〕は100mm以内(L3 )に位置するのが好ましい。100mmを超えると横方向の速度勾配9が着かなくなり、主流側に粒子は引き寄せられる効果が少なくなるからである。
【0023】
図3は、本発明に係るめっき浴面でのメタル流層を発生させる装置の概略図である。この図に示すように、溶融亜鉛めっき浴槽から鋼板出側のめっき浴面8からサポートロール12間において、めっき浴面8からL1 およびL2 の位置にメタル吐出口11を設置し、このメタル吐出口11を使用してメタル流速30〜100m/分を有するメタル流を生じさせる。すなわち、L2 の位置はめっき浴面8から100mm以内の深さに配設するもので、100mmを超える深い位置でのメタル流を生じさせても、鋼板に働くメタルの剪断力は小さく浮遊ドロスを鋼板から分離し鋼板に付着を防止する効果が小さく、かつ、浴中から出る直前で効果が大きいことから、その最大の深さを100mmとした。なお、明細書中で用いているメタル流層厚とは、L2 −L1 の長さのことである。また、L1 は、亜鉛浴表面から5mm程度以上下げることが望ましい。この理由は、メタル流層が、表面に出ると、表面を攪拌して巻き込む恐れがあるためである。
【0024】
また、メタル速度30〜100m/分としたのは、めっき速度が30〜100mm/分において、めっき外観が損なわれない良好な結果が得られた。しかし、30m/分未満ではメタルの剪断力が得られず浮遊ドロスを鋼板から分離し、鋼板に浮遊ドロスの付着を防止する効果が少なく美麗な外観がえられない。また、100m/分を超えると吐出口の管の縁近傍に乱流剥離による渦が生じやすくなり、ドロスが鋼板側に移動する頻度が上がり、ドロスが鋼板に付きやすくなる。鋼板へのドロス付着となることから、その上限を100m/分とした。好ましくは、30〜70m/分とする。なお、ここで言うメタル速度とはメタルポンプの流量(m3 /分)を吐出口の断面積(m2 )で割った計算値であり、すなわち、吐出口から出るメタルの平均流速のことである。
【0025】
図4は、本発明に係るめっき浴面でのメタル流層を発生させる装置の上断面図である。この図に示すように、メタル吐出口11を鋼板1からL3 の位置であり、かつ、鋼板1に対し、メタル吐出口11の角度θを5〜20°の範囲でメタル流を生じさせ、鋼板に追従するめっき浴中の浮遊ドロスの付着するのを防止するものである。浮遊ドロスの付着を防止するためには、鋼板周囲に効率的な流れを作るのに角度が必要である。すなわち、上述したサフマン力原理により、鋼板からドロスを引き離す力を作用させるためには、角度を付けた方が鋼板周囲の流れの方向と速度勾配がより明確になり、より強く作用することになる。しかし、20°を超えるとその効果は逆に減少することから、その上限を20°とした。
【0026】
次に、メタル流速(MV)については、鋼板速度(SV)との関係があり、鋼板速度が速くなるに伴って、メタル流速も高める必要がある。その関係については、下記の範囲で行なうのが好ましい。
(1)30≦SV<140の場合、30≦MV≦100
(2)140≦SV<180の場合、30+0.5(SV−140)<MV≦100
(3)180≦SV≦200の場合、50≦MV≦100
すなわち、鋼板速度が30≦SV<140の場合、140≦SV<180の場合および180≦SV≦200の場合に分けてそれぞれの場合でのメタル流速を制御することが望ましい。
【0027】
上述した範囲においてメタル流を生じさせるものであるが、そのメタル流層厚としては、30〜95mmとする。30mm未満では、十分なメタルの剪断力が得られず美麗な外観がえられない。また、95mmを超える層でのメタル流は剪断力が飽和し、それ以上のメタル層を形成することは設備上高価なものになりコストアップとなることから、その上限を95mmとした。このように鋼板に対してメタル流を生じさせる装置としては、メタルポンプを使用するのが一般的であるが、これに限定されることなく、例えば電磁式のリニアモータ等も使用することが出来る。
【0028】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。 厚さ0.7mm、幅1200mmの低炭素鋼板を素材とし、連続溶融亜鉛めっきラインで、表1に示すめっき浴組成、鋼板速度にて浸漬した。その時のメタル流速およびメタルポンプ位置ならびにメタル吐出口角度θの条件を表1に示す。その結果をめっき外観性にて評価した。表1に示すように、No.1〜12は本発明例であり、No.13〜20は比較例である。No.13〜15はメタル速度が遅いために、表面外観が不良となった。No.16はメタル速度が速いために、表面外観が不良となった。No.17〜20はいずれもメタル吐出口の位置が鋼板から離れた位置にあり、かつ、No.17はめっき浴の深い位置にあり、また、No.20はめっき浴面から深い位置にあるため、表面外観が不良であることが判る。これに対し、本発明No.1〜12のいずれも、表面外観の優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得ることが出来た。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により浮遊ドロスの付着が抑制され、美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができると共に、そのめっき品質の向上と製品歩留りの向上を図ることが出来る優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るめっき浴面でのメタル随伴流の状態を示す図である。
【図2】鋼帯との境界層近傍でのメタル流の状況を示す図である。
【図3】本発明に係るめっき浴面でのメタル流層を発生させる装置の概略図である。
【図4】本発明に係るめっき浴面でのメタル流層を発生させる装置の上断面図である。
【図5】一般的な連続溶融金属めっき装置の概略図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 溶融めっき槽
3 スナウト
4 ターンダンロール
5 めっき浴
6 シンクロール
7 ガスワイピングノズル
8 めっき浴面
9 速度勾配
10 境界層
11 メタル吐出口
12 サポートロール
13 主流
Claims (4)
- 還元性雰囲気中で焼鈍した鋼板をスナウトを経て溶融亜鉛浴中に導きめっきする連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、鋼板をAl:0.08〜0.50質量%、Fe:0.10質量%以下、残部Znからなる溶融亜鉛めっき浴に浸漬した後、該溶融亜鉛めっき浴から引き上げるに際し、溶融亜鉛めっき浴槽の鋼板出側のめっき浴面から100mm以内の深さであって、かつ、鋼板表面から100mm以内の範囲でのめっき浴中に、鋼板板幅方向に平行、かつ鋼板に対し5〜20°の角度にてメタル流速30〜100m/分を有するメタル流を生じさせ、鋼板に追従するめっき浴中の浮遊ドロスの付着を防止することを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、鋼板速度(SV)とメタル流速(MV)との関係を下記範囲とすることを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(1)30≦SV<140の場合、30≦MV≦100
(2)140≦SV<180の場合、30+0.5(SV−140)<MV≦100
(3)180≦SV≦200の場合、50≦MV≦100 - 請求項1または2に記載のメタル流速30〜70m/分とすることを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1〜3に記載のメタル流層厚を30〜95mmとすることを特徴とする美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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