JP3740788B2 - アクティブマトリクス型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアクティブマトリクス型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の表示は、基板間にはさまれた液晶層の液晶分子に電界を加えることにより液晶分子の配向方向を変化させ、それにより生じる液晶層の光学特性の変化により行われる。
【0003】
従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置は、液晶に印加する電界の方向が基板面にほぼ垂直な方向に設定され、液晶の光旋光性を利用して表示を行うツイステッドネマチック(TN)表示方式に代表される。
【0004】
一方、櫛歯電極を用いて液晶に印加する電界の方向を基板面にほぼ平行とし、液晶の複屈折性を用いて表示を行う方式(横電界方式)が、例えば特公昭63− 21907号,特許出願公表5−505247号により提案されている。
【0005】
この横電界方式は従来のTN方式に比べて広視野角,低負荷容量などの利点があり、アクティブマトリクス型液晶表示装置に関して有望な技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の横電界方式では、複屈折性を用いて表示を行うことから、TN方式と同等の表示特性を得るためにはその基板間ギャップ(液晶層の厚み)を TN方式(10μm程度)よりかなり小さな4μm程度に設定する必要があり、一般に厚みが小さくなるとギャップの不均一による表示むらの影響が顕著となることから、表示むらによる画質の低下や歩留まりの低下で量産性が低減するという問題がある。
【0007】
前記の基板間ギャップは、一般に液晶層を挟み込む相対した基板間にスペーサーとして粒径の揃った球形ポリマービーズを分散させて所定の値にコントロールされている。
【0008】
ところがアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、アクティブ素子形成部等において基板表面に最大1μm程度の段差が生じており、この凹凸部分と前記のスペーサービーズの分散の兼ね合いにより画素部においても不可避的にある程度の基板間ギャップの不均一が生じる。
【0009】
同一程度のギャップ不均一でも、横電界方式では従来のTN方式より基板間ギャップが非常に小さいため、ギャップ変動率がTN方式に比べ非常に大きくなることから、横電界方式ではギャップの不均一性による表示むらを低減する技術が不可欠となる。
【0010】
さらに、従来のTN(縦電界)方式では、しきい値電圧が基板間ギャップに依存しない(電圧応答性)に対して、横電界方式では基板間ギャップが電極間ギャップと共に独立にしきい値電圧に寄与する(電界応答性)ため(大江,近藤,アプライド フィジックス レター、Vol.67,1995,3895ページ)、 特に基板間ギャップの厳しい制御が必要である。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するもので、その目的は、横電界方式を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置において、基板間ギャップの変動に伴う表示むらが少なく、高画質で量産性にすぐれたアクティブマトリクス型液晶表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクティブマトリクス型液晶表示装置によれば、一対の基板間に配置された液晶組成物層に主として該基板面に平行な電界を印加するための電極群およびアクティブ素子と、
該液晶層と該対基板の界面において液晶分子をほぼ同一方向に配向させる配向膜とを有し、
該対基板と該液晶層のどちらか一方あるいは双方の界面における液晶分子と該配向膜表面とのねじれ結合の強さを表す外挿長が基板間ギャップ(液晶層の厚み)の10%以上に設定されている。
【0013】
上記の外挿長とは、界面での結合が弱く有限の場合に、液晶セルが電界を加えた時のしきい値特性において実際の基板間ギャップより大きな基板間ギャップを持つセルのように振舞う時の見かけの基板間ギャップの増加分を言う(ド・ジャン,ザ フィジックス オブ リキッドクリスタル,オックスフォード ユニバーシテイ プレス,1974,75ページ)。
【0014】
また、前記配向膜として、界面における液晶分子に対する前記配向膜表面のねじれ結合係数A2が20μN/m以下である物を用いても良い。
【0015】
上記の液晶層の分子配向状態に応じて光学特性を変える方法としては、その偏光軸を互いにほぼ直交させた1対の偏光板を用い、かつ該液晶組成物の屈折率異方性をΔn,該液晶層の厚さをdとしたときのパラメータd・Δnが0.2μm<d・Δn<0.5μmを満たすようにすると良い。
【0016】
さらに、前記液晶層と前記一対の基板との二つの界面における液晶分子の配向制御方向がほぼ同一方向であることが望ましい。
【0017】
また、それぞれの基板上に形成された配向膜の少なくとも一方が、アミン成分または酸成分中に付与される長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の重合物が総モル数の5%以上〜30%以下のポリマー及び/或いはオリゴマを含有する有機高分子であることが好ましい。
【0018】
ポリマー及び/或いはオリゴマは、重量平均分子量が2000以上〜30000 以下のものが良い。また、主鎖型,側鎖型,末端型のいずれの長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基を用いても良い。
【0019】
配向膜としては、長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基を含むポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミドシロキサン系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−アミドイミド系の有機高分子が好ましい。
【0020】
また、配向膜としては、アミン成分には一環から成る剛直性のジアミンおよび酸成分には脂肪族テトラカルボン酸二無水物および/または脂環式テトラカルボン酸二無水物および主鎖型の長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物からなるポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸を脱水閉環した有機高分子を用いても良い。
【0021】
また、本発明のアクティブマトリクス型液晶表示装置の態様によれば、それぞれの基板上に形成された配向膜の少なくとも一方が、無機材料層であっても良い。
【0022】
さらに前記無機材料層は、斜方蒸着法により表面処理された無機配向膜であることが好ましい。
【0023】
この様に無機配向膜を用いる場合には、もう一方の配向膜として有機配向膜を用いても良い。
【0024】
さらに前記有機配向膜としては、ラビング処理された有機高分子膜が好ましい。
【0025】
また、電極群およびアクティブ素子の実施態様によれば、これらが対となる基板の一方の基板にのみ形成されており、この基板側の基板最表面が無機材料層であることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明では、まず第1に横電界方式において、液晶/配向膜界面における液晶分子と配向膜表面とのねじれ結合を、そのねじれ結合の強さを表す指数である外挿長が、基板間ギャップの10%以上となるように弱い結合とする。
【0027】
まず、本発明の前提となる横電界方式の動作原理を図1の一例を用いて説明する。図1(a),(b)は横電界方式の液晶素子内での液晶の動作を示す側断面を、図1(c),(d)はその正面図を表す(複数画素の1画素部分のみを示した)。
電圧無印加時のセル側断面を図1(a)に、その時の正面図を図1(c)に示す。一方の基板の内側に線状の電極4,1が形成され、基板表面は対となる基板の双方とも配向膜5となっており、基板間には液晶組成物が挟持されている(この例ではその誘電異方性は正を仮定しているが、負の液晶組成物では液晶分子の長軸と短軸の方向を入れ換えるだけで横電界方式は同様に実現可能である)。
【0028】
棒状の液晶分子6は、配向膜5との結合により両基板界面において共に電極4,1長手方向(図1(c)正面図)に若干の角度をもつ方向10の向きに配向制御されており、電界無印加時には液晶層内でほぼ一様にこの方向に向いた状態となっている。
【0029】
ここで、画素電極4と共通電極1のそれぞれに異なる電位を与えそれらの間の電位差により液晶組成物層に電界9を印加すると、液晶組成物が持つ誘電異方性と電界との相互作用により図1(b),(d)に示したように液晶分子は電界方向にその向きを変える。この時液晶組成物層の屈折率異方性と偏光板8の作用により本液晶素子の光学特性が変化し、この変化により表示を行う。
【0030】
ここで、横電界方式と界面でのねじれ結合との関係について従来のTN方式と比較して説明する。
【0031】
前記の配向膜と液晶分子との結合による配向規制力(結合力)は、配向膜材料やそのラビング処理条件等によって大きく異なることが知られているが、配向膜表面での液晶分子の配向変化の方向によっても異なる。
【0032】
表面にほぼ水平に配向した正の誘電異方性を持つ液晶材料を考えると、電界印加により生じる基板表面の液晶分子の配向変化方向は、基板界面に対して電界がほぼ垂直に印加されるTN方式では表面から立ち上がる方向に、また基板界面に対して電界がほぼ平行に印加される横電界方式では表面面内方向となる。
【0033】
つまり、界面での配向規制力は、従来のTN方式では図2に示す極結合に基づくものであるのに対して、横電界方式では同じく図2中のねじれ結合に基づくものであり、一般に前者の極結合がほとんど例外なく非常に強い(プロースト他、コロイド アンド ポリマー サイエンス,Vol.254,1976,672ページ)のに対し、後者のねじれ結合は相対的に弱く、本発明のような弱いねじれ結合を示す配向膜を見い出すことが現実的に可能である(リービイ他、ジャーナル オブ フィジックス レター,Vol.40,1979,215ページ)。
【0034】
液晶/配向膜界面におけるねじれ結合を、外挿長が基板間ギャップの10%以上となるように弱い結合とすることにより、横電界方式において、同一の基板間ギャップ不均一性の下でも、上記の界面でのねじれ結合が強い場合に比較して基板間ギャップ不均一性により生じる表示むらの大きさを低減することができる。次に、横電界方式において上記のねじれ結合を弱くすることにより表示むらが低減できる理由を以下に示す。
【0035】
図3は、横電界方式液晶表示装置の電極間に加える電圧を変化させた時の表示輝度の変化を模式的に示すグラフである。
【0036】
前記の基板間ギャップの不均一変動に対応して図3には液晶素子の基板間ギャップを多少(±Δd)変化させた場合の電圧ー輝度特性の変化が、3つのグラフとして示されている。
【0037】
液晶層と対となる二枚の基板の双方の界面におけるねじれ結合が等しい場合の横電界方式における液晶分子の横電界に対する配向変化(フレデリクス転移)のしきい値電圧Vcは近似的に次式で与えられる(横山,モレキュラークリスタルアンド リキッドクリスタル,Vol.165,1988,265ページ、および、大江,近藤,アプライド フィジックス レター,Vol.67,1995, 3895ページ)。
【0038】
Vc=(πg/(d+2b))√(K2/Δε) (1)
ここで、dおよびgはそれぞれ基板間ギャップ(液晶層の厚み),電極端間ギャップ,K2およびΔεはそれぞれ液晶組成物のツイスト弾性定数,誘電異方性で、bは配向膜表面のねじれ結合係数A2を用いて次式で定義される界面における液晶分子と配向膜表面のねじれ結合の強さを表す外挿長である。
【0039】
b=K2/A2 (2)
この外挿長bは上記の配向膜表面でのねじれ結合が強いほど小さくなり、例えば配向膜表面で液晶分子の配向方向が固定されていると考えられるほど強い結合の場合には外挿長bは0と考えられる。
【0040】
式(1)より、基板間ギャップが中心値dから±Δd変化した場合のしきい値電圧の変化ΔVcは次式で与えられる。
【0041】
ΔVc=(2πgΔd/((d+2b)−Δd))√(K2/Δε) (3)
次に表示むらが最も顕著にでる中間調表示時を想定して、図3に示されている表示輝度が最大輝度値の半分(50%)となる電圧V50を考え、同様に基板間ギャップが±Δd変化した場合の変化量ΔV50を考えるとこのΔV50は前記のΔVcにほぼ比例すると考えられる。
【0042】
ここで、界面でのねじれ結合が弱い場合のΔV50weakと、前記の外挿長が0と考えられる程度にねじれ結合が強い場合のΔV50str の比は次式で与えられる。
【0043】
ここで、ΔdをギャップむらとしてΔd・Δd≪d・dとすると上式は次式で表される。
【0044】
この式よりb>0であることから、ΔV50weak/ΔV50str <1となり、図4に示すように弱いねじれ結合の場合(b)は強いねじれ結合の場合 (a)と比較してギャップ変動に伴うV50の変動幅が小さくなることが分かる。
【0045】
次に、図3に示すようにΔV50に伴う輝度の変化幅ΔB50を考えると、このΔB50はΔV50にほぼ比例すると考えられる。従って、±Δdのギャップ変動に伴って生じる輝度変動ΔB50において、界面でのねじれ結合が弱い場合と強い場合の比を考えると(5)式と同じ式で与えられ、外挿長の基板ギャップに対する比b*=b/dを用いると次式となる。
【0046】
やはりb*>0であるからΔB50weak/ΔB50str <1となり、図4のように界面でのねじれ結合を弱くすることによってギャップむらに伴い生じる輝度変動を小さくすることができることが分かる。
【0047】
つまりねじれ結合を弱くすることにより図3の、基板間ギャップがd±Δdと変動した場合の特性曲線の変動幅(ΔV50)が小さくなり、したがってそれに対応した表示輝度の変動(ΔB50)も小さくなる。
【0048】
上記の比ΔB50weak/ΔB50str は弱いねじれ結合効果による、ギャップ変動に対する表示むら(輝度変動)低減の指数と考えることができる。
【0049】
図5にb*を横軸,ΔB50weak/ΔB50str を縦軸にとり(6)式をプロットしたものを示す。
【0050】
この図より、前記の低減指数ΔB50weak/ΔB50str は、外挿長と基板ギャップの比b*をわずかでも大きくすることにより急激に減少、つまり顕著な弱いねじれ結合による輝度変動低減効果が発現することがわかる。
【0051】
ここで、人間の色覚を考えると、輝度差がどれだけあれば弁別できるかの値として良く知られたものとしてウエーバー比があり、10%の輝度差が弁別できるとされている。
【0052】
従って、表示の輝度むらが10%以下となるように基板と液晶層の界面における配向を上記の弱いねじれ結合によるギャップ変動に伴う輝度変動の低減効果を用いて制御することにより、前述の液晶素子製造工程上生じる基板間ギャップ変動による表示輝度むらが知覚されない液晶表示装置を得ることができる。
【0053】
横電界方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、画素部においては0.5μm 程度の基板間ギャップの不均一性が生じ、これを低界面チルト角で強いねじれ結合を与える配向膜(例えば日立化成製ポリイミド配向膜材料PIQをラビング処理したもの)と組み合わせると、その表示むらは14%程度となる。
【0054】
したがって、表示むらを上記の輝度差弁別の敷居値10%以下とし、表示輝度むらが知覚されないようにするためには、低減指数(ΔB50weak/ΔB50 str)として0.7より小さな値を得る必要があり、このためには図5より外挿長と基板ギャップの比b*を0.1 より大きく、つまり外挿長を基板間ギャップの10%以上とすれば良い。
【0055】
さらに、基板と液晶層の界面における配向を上記のように弱いねじれ結合とすることにより、閾値電圧の低下による低駆動電圧化や、立上り応答速度の向上効果も得ることができ好都合である。
【0056】
第2に本発明では、横電界方式において、液晶/配向膜界面における液晶分子に対すると配向膜表面のねじれ結合係数が20μN/m以下となるようにするが、以下、その作用について説明する。
【0057】
横電界方式でTN方式と同等の表示特性を得るためには、その基板間ギャップ(液晶層の厚み)を4μm程度とする必要がある。
【0058】
この時、上記の外挿長を基板間ギャップの10%以上とするためには、外挿長bは0.4μm 程度以上でなければならない。ここで現状で市販されている実用的な液晶組成物のツイスト弾性定数K2は8pN程度以下であることから、(2)式より配向膜表面におけるねじれ結合係数A2が20μN/m以下の弱いねじれ結合を与える配向膜材料を用いればよいことがわかる。
【0059】
第3に本発明では、上記のような弱いねじれ結合を得るための配向膜材料として、アミン成分または酸成分中に付与される長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の重合物が総モル数の5%以上〜30%以下のオリゴマ及び/或いはポリマを含有する有機高分子を用いる。
【0060】
以下、この作用について説明する。
【0061】
上述のように、外挿長を基板間ギャップの10%以上とするためには配向膜表面におけるねじれ結合係数A2が20μN/m以下の弱いねじれ結合を与える配向膜材料を用いるのが望ましい。
【0062】
そのような弱いねじれ結合を得るためには第3のように、長鎖アルキル基及び/或いはフルオロ基を一定比率(5%)以上導入した配向膜材料を用いれば良い。
【0063】
しかしながら、長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の共重合する量の比率がある程度(30%)以上高くなると、界面での液晶分子のチルト角が10度をこえて大きくなり高チルト配向時のチルト角むらに起因する表示むらが生じる。
【0064】
また、チルト角が10度を越えると、横電界方式の大きな利点の一つである広視野角特性が大部分失われてしまう。
【0065】
さらに上記のように、配向膜材料中の長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の共重合する量の比率が高くなると、配向膜表面でのねじれ結合定数A2が 1.0μm/N を下回って小さくなり過ぎ、配向不良が生じやすく、また立ち下がりの応答速度も大きく低下してしまうことから前記長鎖アルキル基及び/或いはフルオロ基の比率はむやみに上げるべきではない。
【0066】
上記の両者の効果を考慮すると、結果として表示むらの少なく量産性にすぐれた横電界方式のアクティブマトリクス液晶表示装置を得るためには本発明にあるように長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の共重合する量を総モル数の5%以上〜30%以下とした配向膜を用いればよい。
【0067】
更に良いことには、重量平均分子量を従来の長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の重合物(重量平均分子量100000以上)よりも低減したオリゴマをポリマー中に導入した配向膜とすることにより、配向膜ワニスを基板に印刷法により塗付する際の印刷性が向上する。
【0068】
また、長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基を構成するポリマー及び/或いはオリゴマは主鎖型,側鎖型,末端型にかかわらず重量平均分子量が2000以上〜90000以下でポリマー中に導入されるポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミドシロキサン系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−アミドイミド系などが好ましい。
【0069】
特に好ましいのは、アミン成分に一環から成る剛直性のジアミンおよび酸成分に脂肪族テトラカルボン酸二無水物および/または脂環式テトラカルボン酸二無水物および主鎖型の長鎖アルキレン基或いはフルオロ基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物からなるポリマー及び/或いは及び/或いはオリゴマ−アミック酸の有機配向膜である。
【0070】
本発明の有機配向膜は、各々の前駆体例えばポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミドシロキサン系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−アミドイミド系を基板上に塗布後、脱水閉環などおよび混合して使用可能である。
【0071】
本発明に用いる長鎖アルキレン基を有するアミン成分の化合物およびその他共重合可能な化合物は例えば、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,4−ジアミノ−3−メチル−ステアリルフェニルエーテル、2,4−ジアミノ−ラウリルフェニルエーテル、2,4−ジアミノ−パルミチルフェニルエーテル、2,4−ジアミノ−パルミチルフェニルエーテル、2,4−ジアミノ−1−オクチルオキシベンゼン、2,2−ビス 〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕オクタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕デカン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕トリデカン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ペンタデカン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕オクタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕デカン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕オクタデカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)オクタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ノナン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)デカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ドデカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)テトラデカン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)オクタデカン、セバシン酸ジヒドラジド、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4,4′−ジアミノタ−フェニル、1,1−メタキシリレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン,イソフタル酸ジヒドラジド,アジピン酸ジヒドラジド,コハク酸ジヒドラジド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジブチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジブトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4−ジアミノ−1−メトキシメチレンベンゼン、2,4−ジアミノ−1−ブトキシメチレンベンゼン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3, 3′−ジメチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス〔4− (p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ペンタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ビフェニル、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕メチルシクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロピルシクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(m−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ペンタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕シクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕メチルシクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕メタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ブタン、ビス〔4−(m−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ブタン、ビス〔4−(p−アミノメチルベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノエチルベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ヘプタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)プロパン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)メタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)エタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ブタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ペンタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ヘキサン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)ヘプタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン,ジアミノシロキサン,アミノシロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
一方、長鎖アルキレン基を有する酸成分の化合物およびその他共重合可能な化合物は例えば、オクチルコハク酸二無水物,ドデシルコハク酸二無水物,オクチルマロン酸二無水物,デカメチレンビストリメリテート酸二無水物,ドデカメチレンビストリメリテート二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕オクチルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕トリデカンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕トリデカンテトラカルボン酸二無水物,ステアリン酸,ステアリン酸クロライド,ピロメリット酸二無水物,メチルピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジメチレントリメリテート酸二無水物、3,3′,4,4′−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕プロパンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0073】
また、本発明に用いるフルオロ基を有するアミン成分の化合物およびその他共重合可能な化合物は、例えば、4−フルオロ−メタフェニレンジアミン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ビス〔3−(m−アミノフェノキシ)フェニル〕ビフェニル、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕シクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕メチルシクロヘキサン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロピルシクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(m−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ペンタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕シクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕メチルシクロヘキサン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕メタン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ブタン、ビス〔4−(m−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ブタン、ビス〔4−(p−アミノメチルベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノエチルベンゾイルオキシ)安息香酸〕プロパン、ビス〔4−(p−アミノベンゾイルオキシ)安息香酸〕ヘプタン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)プロパン、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)メタン、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
一方、フルオロ基を有する酸成分の化合物およびその他共重合可能な化合物は例えば、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−3−ブロモフェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、1,5−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕デカフルオロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,6−ビス〔4− (3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕ドデカフルオロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,7−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕テトラデカフルオロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕オクタフルオロブタンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕プロパンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0075】
また、溶剤については例えば極性を有するN−メチル−2−ピロリドン,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキサイド,スルフォラン,ブチルラクトン,クレゾール,フェノール,シクロヘキサノン,ジメチルイミダゾリジノン,ジオキサン,テトラヒドロフラン,ブチルセルソルブ,ブチルセルソルブアセテート,アセトフェノンなどを用いることができる。
【0076】
更に、有機高分子中に例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン,δ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン,N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系シランカップリング剤,エポキシ系シランカップリング剤,チタネートカップリング剤,アルミニウムアルコレート,アルミニウムキレート,ジルコニウムキレートなどの表面処理剤を混合もしくは反応することもできる。配向膜の形成は一般的なスピンコート,印刷,刷毛塗り,スプレー法などによって行うことができる。
【0077】
用いる液晶としては、例えば4−置換フェニル−4′−置換シクロヘキサン、4−置換シクロヘキシル−4′−置換シクロヘキサン、4−置換フェニル−4′−置換ジシクロヘキサン、4−置換ジシクロヘキシル−4′−置換ジフェニル、4−置換−4″−置換タ−フェニル、4−置換ビフェニル−4′−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−ピリミジン、2−(4−置換ジオキサン)−5−フェニル、4−置換安息香酸−4′−フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸−4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸−4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸−4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸−4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸−4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換−4′−置換ビフェニル等を挙げることができ、これらの化合物の中でも、少なくても分子の一方の末端にアルキル基,アルコキシ基,アルコキシメチレン基,シアノ基,フッ素基,ジフッ素基,トリフッ素基を有する多成分系の混合液晶組成物が用いられる。
【0078】
第4に本発明では、上記のような弱いねじれ結合を得るための別の配向膜材料として無機材料層、特に斜方蒸着法により表面処理された無機配向膜を用いても良い。
【0079】
以下、この作用について説明する。
【0080】
本発明に類似した従来技術として、横電界方式においてカイラル分子を添加した液晶組成物を用い、一方の基板表面のポリイミド配向膜のみラビング処理による配向制御を行い、もう一方の基板表面のポリイミド配向膜にはラビング処理を行わない液晶表示素子により、ラビング処理に起因した製造歩留まりの低下を軽減する技術が従来知られている(特開平7−110481 号)。
【0081】
しかしながら、この従来技術においては、液晶注入時の配向むらを防ぐために、液晶組成物を昇温して等方相の状態で基板間に注入後、電場あるいは磁場を印加させながら徐冷する必要があり、配向むらの少ない素子を得るためにはこの過程に非常に長い時間がかかってしまい工業的な大量生産には不向きである。
【0082】
また、同じく配向むらを防ぐために必要なカイラル分子の添加は、最適な液晶組成物の材料物性値の設定を困難にする。
【0083】
上記のような問題は一方の基板表面として、上記の従来技術のラビング処理を行わないポリイミド配向膜層ではなく、本発明のように斜方蒸着法により配向能を持たせた無機配向膜を用いることにより解決することができる。
【0084】
これにより、液晶組成物を昇温せず液晶相のまま注入しても配向むらが生じない程度の配向能が対基板の双方の基板表面上で得られ、また酸化シリコン等の無機材料の斜方蒸着により配向制御された表面の液晶分子については、一般的に用いられているラビング処理されたポリイミド配向膜上の液晶分子に較べて格段に弱いねじれ結合を示すことから、上記の弱いねじれ結合の効果による表示むら低減効果も得ることができる。
【0085】
また、対となる基板の双方の基板表面で弱いねじれ結合を与える配向制御を行う場合よりも、本発明のように一方は例えばラビング処理をしたポリイミド配向膜として強いねじれ結合とし、もう一方は例えば酸化シリコンの斜方蒸着による弱いねじれ結合とした方が、安定な配向制御と表示むら低減効果を、より容易に両立することができる。
【0086】
また、横電界方式の大きな利点の一つである広視野角特性は、基板表面における液晶分子のチルト角が小さいほど良好となり、チルト角が0°の時が理論的に最も広視野角となるが、ラビング処理により配向制御された有機配向膜の場合にはその表面上での液晶分子のチルト角を0°とすることが困難であるのに対して、酸化シリコン等の無機材料の斜方蒸着により配向制御された表面の液晶分子については、容易にチルト角をほぼ0°とすることが可能であることが知られており好都合である。
【0087】
したがって、本発明のように一方の基板表面上の無機材料層を斜方蒸着法により表面処理された配向制御層とすることにより、液晶組成物の注入むらと動作時の表示むらを低減することができ、更にすぐれた視野角特性を得ることができる。
【0088】
第5に本発明では、液晶層に横電界を印加する電極群およびアクティブ素子を対となる基板の一方にのみ形成し、この基板側表面を無機材料層とする。
【0089】
以下、この作用について説明する。
【0090】
これらの電極群およびアクティブ素子を一方の基板側にのみ配置することは従来から提案されている(例えば特開平6−160878 号)。
【0091】
この様な構成のアクティブマトリックス型液晶表示装置の場合、対となる基板の双方に電極が形成された従来TN方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置に較べて、液晶組成物中に含まれるイオン性不純物が液晶駆動時に加わる電極電位により電極群のある側の基板に偏在し、保持特性等に特に大きな影響を与える。
【0092】
これらの偏在したイオン性不純物は、特に電極が形成された側の基板表面にポリイミドなどの有機配向膜が形成されている場合には、その有機材料中の種々の極性基や、残存した極性有機溶剤と相互作用して、残像や焼き付きなどの表示不良を生じやすい。
【0093】
この様な問題は、本発明のように、電極群のある側の基板の液晶層と接する基板表面を無機材料層とすることにより防ぐことができる。
【0094】
さらに、基板表面を無機材料層とすることにより、ラビング法ではなく斜方蒸着法による配向制御を行うことが可能になり、従来から問題となっているラビング処理に起因した静電気の発生によるアクティブ素子の静電破壊による歩留まり低下を防ぐこともできる。
【0095】
したがって、上記のように電極群およびアクティブ素子を、基板表面が無機材料層である基板側にのみ形成することにより、残像や、焼き付きなどの表示不良が起こりにくく、また静電気によるアクティブ素子の破壊も起こりにくくなり、製造歩留まりを大きく向上させることができる。
【0096】
第6に本発明では、上記のような弱いねじれ結合を得るための別の配向膜材料として光反応性材料層、特に選択的に光化学反応を生じさせるように直線偏光光照射処理された光反応性配向膜を用いても良い。
【0097】
以下、この作用について説明する。
【0098】
光反応性配向膜は、従来一般的に、強いねじれ結合と十分な(数度以上)界面チルト角を付与することが困難とされてきた配向制御方法であるが、その弱いねじれ結合は本発明の実現に好都合であり、さらに横電界方式においては従来の TN方式に代表される縦電界方式と異なり界面チルトが原理的に必要ないため、横電界方式との組み合わせにより量産性などの実用性を向上させることができる。
【0099】
さらに、横電界方式においては、界面チルト角が小さいほど視角特性が良いことが知られており、上記の光反応性配向膜では界面チルト角が非常に小さな物となることは逆に好都合であり、良好な視角特性が期待できる。
【0100】
以下本発明の実施例を具体的に説明する。
【0101】
(実施例1)
基板として、厚みが1.1mm で表面を研磨した透明なガラス基板を2枚用い、これらの基板のうち一方の基板の上に薄膜トランジスタおよび配線電極を形成し、更にその上に窒化シリコンからなる絶縁保護膜(ゲート絶縁膜2)を形成した。
【0102】
なお、薄膜トランジスタおよび配線電極からなるマトリクス素子は横電界が印加できるものであれば何でも良く、その製法は本発明の骨子には関係しないので記述は省略する。
【0103】
図6は、本実施例の薄膜トランジスタおよび各種電極の構造を、基板面に垂直な方向から見た正面図と、正面図のA−A′,B−B′における側断面図として示したもので、基板は省略してある。
【0104】
薄膜トランジスタ素子14は画素電極(ソース電極)4,信号電極(ドレイン電極)3,走査電極(ゲート電極)12およびアモルファスシリコン13から構成される。
【0105】
共通電極1と走査電極12はそれぞれ図示していない基板状に形成した同一の金属層をパタ−ン化して構成した。
【0106】
同様に信号電極3と画素電極4は、それぞれゲート絶縁膜2の上に形成した同一の金属層をパタ−ン化して構成してあり、このとき正面図から明らかなように、画素電極4は、3本の共通電極1の間に配置されている。
【0107】
画素ピッチは横方向(すなわち信号配線電極間)は100μm、縦方向(すなわち走査配線電極間)は300μmである。
【0108】
電極幅は、複数画素間にまたがる配線電極である走査電極12,信号電極3,共通電極1の配線部(走査配線電極に並行に延びた部分)を広めにし、線欠陥を回避した。
【0109】
幅はそれぞれ10μm,8μm,8μmである。
【0110】
一方、開口率向上のために1画素単位で独立に形成した画素電極4、および共通電極の信号配線電極の長手方向に延びた部分の幅は若干狭くし、それぞれ5 μm,6μmとした。これらの電極の幅を狭くしたことで異物などの混入により断線する可能性が高まるが、この場合1画素の部分的欠落ですみ、線欠陥には至らない。
【0111】
信号電極3と共通電極1は絶縁膜を介して2μmの間隔を設けた。
【0112】
画素数は、640×3(R,G,B)本の信号配線電極と、480本の配線電極とにより640×3×480個とした。
【0113】
次に、溶剤可溶型のポリイミド前駆体である日産化学社製,RN1046の溶液を塗布した後、200℃まで加熱し、30分放置し溶剤を除去して緻密なポリイミド配向膜を得、次いで、ラビングローラに取付けたバフ布で配向膜表面をラビング処理し、液晶配向能を付与した。
【0114】
もう一方の基板には、遮光層付きカラーフィルタを形成し、上記と同様に最表面にポリイミド配向膜を形成しラビング処理により液晶配向能を付与した。
【0115】
なお、この実施例では、配向能を付与する方法としてラビング法を用いたが、それ以外の、例えば水面上に展開した有機分子膜を基板上に引き上げて形成した配向性の良い多層膜を配向膜として用いる方法なども利用できる。
【0116】
特にこの水面展開による方法は、従来十分大きな界面チルト角を付与することが困難とされてきた配向制御方法であるが、横電界方式においては従来のTN方式に代表される縦電界方式と異なり界面チルトが原理的に必要ないため、横電界方式との組み合わせにより量産性などの実用性を向上させることができる。
【0117】
さらに、横電界方式においては、界面チルト角が小さいほど視角特性が良いことが知られており、上記の水面展開などを用いた方法では界面チルト角が非常に小さな物となることは逆に好都合であり、良好な視角特性が期待できる。
【0118】
次に、これらの2枚の基板をそれぞれの液晶配向能を有する表面どうしを相対向させて、分散させた球形のポリマービーズからなるスペーサと周辺部のシール剤とを介在させて、セルを組みたてた。
【0119】
このとき、2枚の基板のラビング方向は互いにほぼ並行で、かつ印加横電界方向とのなす角度を75゜とした。
【0120】
次いで、この液晶セルの基板間に、誘電異方性Δεが正でその値が9.0(1 kHz,20℃)であり、屈折率異方性Δnが0.08(波長590nm,20℃)、ねじれ弾性定数K2が7.0pN のネマチック液晶組成物を真空で注入し、紫外線硬化型樹脂からなる封止材で封止して液晶パネルを得た。
【0121】
このとき液晶層の厚み(ギャップ)dは上記のスペーサにより、液晶封入状態で4.7μmをほぼ中心として、±0.7μmの範囲の6枚の液晶パネルを製作した。
【0122】
従って、これらのパネルのリタデーション(Δnd)は、0.32〜0.432μmとなる。
【0123】
この液晶表示装置において基板上の画素部分のいくつかの点で液晶層の厚みのばら付きを測定したところ0.3〜0.5μm程度であり、この変動幅は以下の実施例,比較例においても同様であった。
【0124】
次に、このパネルを2枚の偏光板(日東電工社製G1220DU)で挾み、一方の偏光板の偏光透過軸を上記のラビング方向とほぼ並行とし、他方をそれに直交させ、これにより低電圧で暗表示,高電圧で明表示となるノーマリクローズ特性とした。
【0125】
その後、駆動回路,バックライトなどを接続したモジュール化し、液晶表示装置を得た。
【0126】
次にこの様にして得た液晶表示装置と同一の配向膜材料(日産化学社製, RN1046)を用い、同一プロセスでガラス基板上に配向膜を形成,ラビング処理し、同一の液晶組成物を封入して液晶セルを作成し、フレデリックス転移法(ヤング,ローゼンブラッド,アプライド フィジックス レター,Vol.43,1983 ,62ページ)により、界面における液晶分子と配向膜表面とのねじれ結合の強さを表す外挿長を測定すると、1.0μmであった。
【0127】
ここで、上記のフレデリックス転移法による外挿長の測定方法について、その原理を説明する。
【0128】
この測定方法は、本発明の作用の記述にあるフレデリックス転移の閾値Vcの液晶層の厚みdへの依存性を表す式(1)式より外挿長を測定する方法である。
上記の(1)式を、液晶層の厚みdとフレデリクス転移の閾値電圧Vcに注目して式を変形すると次式を得る。
【0129】
(1/Vc)=(d+2b)×πg√(Δε/K2) (7)
この式より、液晶層の厚みdのみが異る液晶セルを複数作成し、横(x)軸にd,縦(y)軸にそれらの液晶セルそれぞれについて測定した(1/Vc)をとり測定値をプロットすると、それらの点を直線で外挿したy切片が、−2bすなわち外挿長(この場合の係数2は上下界面が同じとした場合の双方からの外挿長への寄与を表す)を与える。
【0130】
この測定方法では、原理的に外挿長が液晶層の厚みと同程度となる弱いねじれ結合の場合にのみ正確な測定が可能である。
【0131】
より強いねじれ結合の場合にも適用可能な外挿長の測定方法としては、強電場法(横山,ファン スプラング,ジャーナルオブアプライドフィジックス,Vol.57,452p,1985)や、界面での微小ねじれを測定する方法(赤羽,金子,木村,ジャパニーズ ジャーナルオブ アプライドフィジックス,Vol. 35,4434p,1996)などが知られているが、本発明の趣旨にある弱いねじれ結合の場合には、その測定値はこれらのどの測定法によっても大差ない値が十分な精度で得られる。
【0132】
この様にして得られた外挿長から、上記の中心ギャップ4.7μm で計算すると、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.213である。
【0133】
配向膜表面でのねじれ結合係数A2は、外挿長bと、液晶のねじれ弾性定数 K2より(2)式から次式を用いて機械的に得ることができる。
【0134】
A2=K2/b (8)
従って、本実施例の場合には、A2は7.0μN/mとなる。
【0135】
上記の液晶表示素子の表示性能を光電光度計で測定したところ、図7に示すように、最大透過率を与える電圧Vmax ,最大値の90%及び50%の透過率を与える印加電圧であるV90及びV50をそれぞれ印加した場合のいずれの特性においても、中心値4.7μm を基準(0)として液晶層の厚み差を横軸とした時の縦軸の透過率の変化が非常に小さい特性が得られた。
【0136】
また、表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面をCCDカメラで撮像し(表示むらとして認識されない表示面全体の広い範囲にわたるゆるやかな輝度シェーデングを除いた後の)、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.5%程度であった。
【0137】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0138】
(実施例2)
用いた配向膜材料以外は実施例1と同様にして、配向膜材料として日産化学社製のRN763を用いて、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成し、実施例2とした。
【0139】
そして、この実施例2による液晶表示装置について、実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると1.49μm であった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.3725 であった。
【0140】
同様に最大輝度むらのコントラストを測定すると0.3% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0141】
(実施例3)
用いた配向膜材料以外は実施例1と同様にして、配向膜材料として日本合成ゴム社製のAL1051を用いて、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成し、実施例3とした。
【0142】
そして、この実施例3による液晶表示装置について、実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると1.50μm で、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.375であった。
【0143】
最大輝度むらのコントラストを測定すると0.3% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0144】
(実施例4)
用いた配向膜材料以外は実施例1と同様にして、配向膜材料として日本合成ゴム社製のAL3046を用いて、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成し、実施例4とした。
【0145】
そして、この実施例4による液晶表示装置について、実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると1.50μm で、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.375であった。
【0146】
最大輝度むらのコントラストを測定すると0.3% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0147】
(実施例5)
用いた配向膜材料及び液晶組成物以外は実施例1と同様にして、液晶層の厚み(ギャップ)dが、液晶封入状態で5.0μmをほぼ中心として、+0.3〜− 1.1μmの範囲の9個の液晶パネルを製作し、実施例5とした。
【0148】
用いた配向膜材料は、p−フェニレンジアミン1.0モル% をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これにデカメチレンビストリメリテート酸二無水物0.3モル%(総モル数の30%)更に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物0.7 モル%を加えて反応させてポリアミック酸ワニスを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して210℃/30分の熱処理を行い、約800Åの緻密なポリイミド配向膜を形成した。
【0149】
また液晶組成物としては、誘電異方性Δεが正でその値が10.2(1kHz,20℃)であり、屈折率異方性Δnが0.075(波長590nm,20℃),ねじれ弾性定数K2が5.0pNのネマチック液晶組成物を用いた。
【0150】
従って、上記の9個の液晶パネルのリタデーション(Δnd)は、0.29〜0.40μmとなる。
【0151】
次にこの様にして得た液晶表示装置について、実施例1と同様にフレデリックス転移法により、界面における液晶分子と配向膜表面とのねじれ結合の強さを表す外挿長bを測定すると、1.0μmであった。
【0152】
従って、上記の中心ギャップ5.0μm で計算すると外挿長bのギャップに対する比率b*は0.2で、配向膜表面のねじれ結合係数A2は5.0μN/mである。
【0153】
また、クリスタルロ−テーション法により基板界面でのチルト角を測定したところ、3°であった。
【0154】
上記の液晶表示素子の表示性能を光電光度計で測定したところ、図8に示すように、最大透過率を与える電圧Vmax ,最大値の50%の透過率を与える印加電圧であるV50をそれぞれ印加した場合のいずれかにおいても、中心値5.0μmを基準(0)として液晶層の厚み差を横軸とした時の縦軸の透過率の変化が非常に小さい特性が得られた。また、表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面をCCDカメラで撮像し(表示むらとして認識されない表示面全体の広い範囲にわたるゆるやかな輝度シェーデングを除いた後の)、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.3% 程度であった。
【0155】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0156】
(実施例6)
用いた配向膜材料以外は実施例5と同様にして、m−フェニレンジアミン1.0モル%をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これに2,2ビス〔4− (3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕トリデカンテトラカルボン酸二無水物0.25モル%(総モル数の25%)を加え40℃で1時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約6000のオリゴマを合成し、更に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物0.75 モル%を加えて20℃で15時間,130℃で30分反応させてポリ−オリゴマ−アミック酸イミドワニスを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して230℃/30分の熱処理を行い、約700Åの緻密なポリイミド配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0157】
実施例1と同様にしてフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると0.9μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.225である。
【0158】
同様に最大輝度むらのコントラストを測定すると0.2% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0159】
(実施例7)
用いた配向膜材料以外は実施例5と同様にして、1,12−ジアミノドデカン0.3モル%(総モル数の30%)をN−メチル−2−ピロリドンとジメチルアセトアミドの混合溶媒中に溶解させ、これに1,2,3,4ーシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物1.0 モル%を加え60℃で30分反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約4000のオリゴマを合成し、更に、4,4′−ジアミノジフェニルメタン0.6モル%およびジアミノシロキサン0.1モル%を加えて20℃で12時間および150℃で30分反応させてポリ−オリゴマ−アミック酸シロキサンワニスを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して220℃/30分の熱処理を行い、約600Åの緻密なポリイミドシロキサン配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0160】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 0.48μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は 0.12である。
【0161】
最大輝度むらのコントラストを測定すると0.6% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0162】
(実施例8)
用いた配向膜材料以外は実施例5と同様にして、2,4−ジアミノ−ラウリルフェニルエ−テル0.2モル%(総モル数の20%)をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これに3,3′,4,4′−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1.0 モル%を加えて50℃で1時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約30000のオリゴマを合成し、更に、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)メタン0.6モル%およびイソフタル酸ヒドラジド0.2モル%を加えて20℃で15時間,100℃で1時間反応させてポリ−オリゴマ−アミック酸を得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して200℃/30分の熱処理を行い、約600Åの緻密なポリアミドイミド配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0163】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 1.0μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.25である。
【0164】
最大輝度むらのコントラストを測定すると0.5% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0165】
(実施例9)
用いた配向膜材料以外は実施例5と同様にして、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)メタン0.5モル%、4,4′−ジアミノジフェニルメタン0.5モル%をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これにオクチルコハク酸二無水物0.2モル%(総モル数の20%)を加えて40℃で1時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約3000のオリゴマを合成し、更に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物0.8モル%を加えて20℃で12時間,130℃で1時間反応させてポリ−オリゴマ−アミック酸イミドを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で 0.3 重量%添加後、印刷形成して230℃/30分の熱処理を行い、約600Åの緻密なポリイミド配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成した。
【0166】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 1.5μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.375である。
【0167】
最大輝度むらのコントラストを測定すると0.4% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0168】
(実施例10)
用いた配向膜材料以外は実施例5と同様にして、p−フェニレンジアミン1.0モル%をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これに2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物0.2 モル%を加えて50℃で1時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約6000の主鎖型のフルオロ基を含む配向膜材料を合成し、更に、1,2,3,4ーシクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.8 モル%を加えて20℃で12時間反応させて、フルオロ基を含むオリゴマの割合が約20%のポリ−オリゴマ−アミック酸ワニスを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して200℃/30分の熱処理を行い、約800Åの緻密なポリイミド配向膜を形成した。
【0169】
液晶層の厚み(ギャップ)dは、液晶封入状態で4.8μmをほぼ中心として、+0.2〜−0.8μmの範囲の4個の液晶パネルを製作した。これらのパネルのリタデーション(Δnd)は、0.30〜0.38μmとなる。
【0170】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 1.0μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.208であった。
【0171】
上記の液晶表示素子の表示性能を光電光度計で測定したところ、図9に示すように、最大透過率を与える電圧Vmax ,最大値の50%の透過率を与える印加電圧であるV50をそれぞれ印加した場合のいずれかにおいても、中心値4.8μmを基準(0)として液晶層の厚み差を横軸とした時の縦軸の透過率の変化が非常に小さい特性が得られた。また、表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面をCCDカメラで撮像し(表示むらとして認識されない表示面全体の広い範囲にわたるゆるやかな輝度シェーデングを除いた後の)、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.4% 程度であった。
【0172】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0173】
(実施例11)
用いた配向膜以外は実施例5と同様にして、m−フェニレンジアミン1.0 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これに1,5ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕デカフルオロペンタンテトラカルボン酸二無水物0.1 モル%を加え40℃で2時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約4000の側鎖型のフルオロ基を含むオリゴマを合成し、更に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物0.9 モル%を加えて20℃で8時間,130℃で1時間反応させて、フルオロ基を含むオリゴマの割合が約10%のポリ−オリゴマ−アミック酸イミドワニスを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3重量%添加後、印刷形成して200℃/30分の熱処理を行い、約700Åの緻密なポリイミド配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成した。
【0174】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 0.9μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.225であった。
【0175】
また、表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.5%程度であった。
【0176】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0177】
(実施例12)
用いた配向膜以外は実施例5と同様にして、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン0.25モル%をN−メチル−2−ピロリドンとジメチルアセトアミドの混合溶媒中に溶解させ、これに1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物1.0 モル%を加え80℃で1時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約15000の主鎖型のフルオロ基を含むオリゴマを合成し、更に、4,4′−ジアミノジフェニルメタン0.6モル%およびジアミノシロキサン0.05モル%を加えて20℃で5時間および150℃で3時間反応させて、フルオロ基を含むオリゴマの割合が約 25%のポリ−オリゴマ−イミドシロキサンワニスを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して200℃/30分の熱処理を行い、約700Åの緻密なポリイミドシロキサン配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成した。
【0178】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 0.4μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.1であった。
【0179】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると2%程度であった。
【0180】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0181】
(実施例13)
用いた配向膜以外は実施例5と同様にして、4−フルオローメタフェニレンジアミン0.2 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これに3, 3′,4,4′−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1.0 モル%を加えて40℃で1時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約 90000の側鎖型のフルオロ基を含む配向膜材料を合成し、更に、ビス(p−アミノベンゾイルオキシ)メタン0.6モル%およびイソフタル酸ヒドラジド0.2モル%を加えて20℃で8時間および100℃で2時間反応させて、フルオロ基を含むオリゴマの割合が約20%のポリ−オリゴマ−アミドイミドを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して200℃/30分の熱処理を行い、約600Åの緻密なポリアミドイミド配向膜を形成し、液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成した。
【0182】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 1.1μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.275であった。
【0183】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.5%程度であった。
【0184】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0185】
(実施例14)
用いた配向膜以外は実施例5と同様にして、m−フェニレンジアミン0.5 モル%、4,4′−ジアミノジフェニルメタン0.5 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、これにトリフルオロコハク酸二無水物0.2 モル%を加えて40℃で2時間反応させ、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約2000の末端型のフルオロ基を含むオリゴマを合成し、更に、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物0.9 モル%を加えて20℃で8時間,100℃で2時間反応させて、フルオロ基を含むオリゴマの割合が約20%のポリ−オリゴマ−イミドを得た。このワニスを6%濃度に希釈してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを固形分で0.3 重量%添加後、印刷形成して200℃/30分の熱処理を行い、約600Åの緻密なポリイミド配向膜を形成し、液晶層の厚みdが 4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0186】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 1.3μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.325であった。
【0187】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.8% 程度であった。目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0188】
(実施例15)
用いた配向膜材料以外は、実施例5と同様にして、液晶層の厚み(ギャップ)dが液晶封入状態で5.0μm をほぼ中心として、+0.6〜−1.0μmの範囲の7個の液晶パネルを製作した。これらのパネルのリタデーション(Δnd)は、0.3〜0.42μmとなる。
【0189】
配向膜材料は、薄膜トランジスタ側の基板には、窒化シリコンからなる絶縁保護膜の上の最表面に酸化シリコンからなる無機配向制御層を斜方蒸着法により形成した無機配向膜材料を用いた。
【0190】
斜方蒸着は、液晶配向のチルト角をほぼ0°するため、基板法線より60°の方向となるように蒸着方向を規制するルーバーを用いて行った。
【0191】
もう一方の基板には、遮光層付きカラーフィルタを形成し、最表面にポリイミド配向膜を形成した後、ラビングローラに取り付けたバフ布で配向膜表面をラビング処理し、液晶配向膜を付与した。
【0192】
ポリイミド配向膜は溶剤可溶型のポリイミド前駆体である日立化成製PIQの溶液を基板表面上に印刷形成した後、200℃/30分の熱処理を行うことにより形成した。
【0193】
また、実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると 1.6μmであった。
【0194】
ポリイミド配向膜PIQをラビングした表面と液晶分子とのねじれ結合は非常に強く、この界面での外挿長がほぼ0であることが別途行った実験より知られていることから、上記の外挿長はそのほとんどが、酸化シリコンを斜方蒸着して形成した無機配向膜側の寄与であると考えられる。
【0195】
上記の中心ギャップ5.0μm で計算すると外挿長bのギャップに対する比率b*は0.32である。
【0196】
上記の液晶表示素子の表示性能を光電光度計で測定したところ、図10に示すように、最大透過率を与える電圧Vmax ,最大値の50%の透過率を与える印加電圧であるV50をそれぞれ印加した場合のいずれかにおいても、中心値5.0μmを基準(0)として液晶層の厚み差を横軸とした時の縦軸の透過率の変化が非常に小さい特性が得られた。また、表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面をCCDカメラで撮像し(表示むらとして認識されない表示面全体の広い範囲にわたるゆるやかな輝度シェーデングを除いた後の)、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.3% 程度であった。
【0197】
目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0198】
また、動作時においても残像,焼き付き等もなく、更に視野角特性も非常に良好であった。
【0199】
(実施例16)
実施例15のカラーフィルタ側基板表面のポリイミド配向膜材料を、PIQの代わりに日産化学社製RN718に変えた以外は実施例14と同様にして液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0200】
実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると1.6μmで実施例1と同じであった。このことからも、この外挿長がほとんど無機配向膜側の寄与で得られていることがわかる。
【0201】
この場合の外挿長bのギャップに対する比率b*は0.4(40%)である。 同様に最大輝度むらのコントラストを測定すると0.2% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらや、残像,焼き付きも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0202】
(実施例17)
実施例15の薄膜トランジスタ側基板最表面の無機材料層を、斜方蒸着された酸化シリコン層の代わりに上記の薄膜トランジスタおよび配線電極の上に形成された窒化シリコンからなる絶縁保護膜そのものとした以外は実施例16と同様にして液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0203】
実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると2.8μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.7(70%)である。
【0204】
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は1.8μN/mとなる。
【0205】
同様に最大輝度むらのコントラストを測定すると0.1% 程度で、目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらや、残像,焼き付きも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0206】
(実施例18)
用いた配向膜以外は実施例5と同様にして、ジアミン化合物として、ジアゾベンゼン基を含有する
【0207】
【化1】
【0208】
と4,4′−ジアミノジフェニルメタンを等モル比で混入した物を用い、ピロメリット酸二無水物及び/或いは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の酸無水物にポリアミック酸として合成し、基板表面に塗布後、200℃,30分の焼成,イミド化を行い、波長420nmの直線偏光光照射を行った。
【0209】
その後、実施例5と同様に液晶組成物を封入後、100℃,10分のアニーリングを施し、上記の照射偏光方向に対してほぼ垂直方向に液晶配向を得た。
【0210】
この様にして、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を得た。
【0211】
実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると1.0μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.25 である。
【0212】
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は5.0μN/mとなる。
【0213】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.5% 程度であった。目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0214】
(実施例19)
用いた配向膜以外は実施例18と同様にして、ジアゾベンゼン基を含有するジアミン化合物として実施例18の
【0215】
【化1】
【0216】
にかえて化合物
【0217】
【化2】
【0218】
を用い、ピロメリット酸二無水物及び/或いは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の酸無水物として合成し、基板表面に塗布後、200℃,30分の焼成,イミド化を行い、波長420nmの直線偏光光照射を行った。その後、実施例5と同様に液晶組成物を封入後、100℃,10分のアニーリングを施し、上記の照射偏光方向に対してほぼ垂直方向に液晶配向を得た。
【0219】
この様にして、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を得た。
【0220】
実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると0.5μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.125 である。
【0221】
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は10.2μN/mとなる。
【0222】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.6% 程度であった。目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0223】
(実施例20)
用いた配向膜以外は実施例18と同様にして、ジアゾベンゼン基を含有するジアミン化合物として実施例18の
【0224】
【化1】
【0225】
にかえて化合物
【0226】
【化3】
【0227】
を用い、ピロメリット酸二無水物及び/或いは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物として合成し、基板表面に塗布後、200℃,30分の焼成,イミド化を行い、波長420nmの直線偏光光照射を行った。
【0228】
その後、実施例5と同様に液晶組成物を封入後、100℃,10分のアニーリングを施し、上記の照射偏光方向に対してほぼ垂直方向に液晶配向を得た。
【0229】
この様にして、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を得た。
【0230】
実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると1.5μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.375 である。
【0231】
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は13.6μN/mとなる。
【0232】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると0.3% 程度であった。目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0233】
(実施例21)
用いた液晶組成物と後述するラビング方向以外は実施例12と同様にして、液晶組成物としては、誘電異方性Δεが負でその値が4.8(1kHz,20℃)であり、屈折率異方性Δnが0.054(波長590nm,20℃),ねじれ弾性定数K2が7.9pN のネマチック液晶組成物を用い、液晶層の厚みdが40μmの液晶表示装置を得た。
【0234】
このとき、液晶組成物の誘電異方性が負であることに対応して、お互いにほぼ並行に設定した2枚の基板のラビング方向と、印加横電界方向とのなす角度を 15゜とした。
【0235】
実施例1と同じくフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると0.4μmであった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*は0.1である。
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は19.8μN/mとなる。
【0236】
表示むらを定量的に測定するため、表示むらが最も目立つ中間調表示状態において、表示面の20mm四方をCCDカメラで撮像し、最大輝度むらのコントラストを測定すると2%程度であった。目視による画質検査においても、液晶パネルの液晶層の厚み差による表示むらも一切見られず、均一性の高い表示が得られた。
【0237】
(比較例1)
実施例1のポリイミド配向膜材料,RN1046の代わりに、日産化学社製ポリイミド配向膜RN718を用いた以外は実施例1と同様にして、液晶層の厚みdが 4.6μm を中心に−1.0〜+0.3μmの範囲にある液晶表示装置を8枚作成し、比較例1とした。
【0238】
そして、この比較例1による液晶表示装置について、実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0μmで、外挿長bのギャップに対する比率b*もほぼ0となっていた。
【0239】
そこで、この比較例1による液晶表示装置を、実施例1と同様にして評価したところ、以下の通りであった。
【0240】
まず、この比較例1による液晶表示装置の液晶層の厚み差に対する透過率特性を測定したところ、図11の様になった。
【0241】
この図11の特性図は、図7に示した実施例1の特性図と同じく、液晶層の厚みdの中心値を基準値0として、最大透過率を与える電圧Vmax と、最大値の 90%及び50%の透過率を与える印加電圧であるV90及びV50をそれぞれ印加した場合をパラメータとして3種の特性を示した物である。
【0242】
この図から明らかなように、この比較例1では、液晶層の厚み差による透過率の変化量がかなり大きくなっていて、12%にも達していることが判り、図7の本発明の実施例の特性と比較してみれば、両者の優劣は明らかである。
【0243】
次に、実施例1と同様にして、この比較例1による液晶表示装置の表示面を CCDカメラで撮像して、最大輝度むらのコントラストを測定したところ、輝度むらは15%にも達しており、目視においても液晶層の厚み差の変動による表示の色むらが目立った。
【0244】
(比較例2)
実施例1のポリイミド配向膜材料,RN1046の代わりに、日立化成社製ポリイミド配向膜PIQを用いた以外は実施例1と同様にして、液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成し、比較例2とした。
【0245】
そして、実施例1と同様に、フレデリックス転移法により、この比較例2の液晶表示装置の外挿長bを測定したところ、ほぼ0μmで、外挿長bのギャップに対する比率b*もほぼ0となっていた。
【0246】
次に、この比較例2について、実施例1と同様にして評価したところ、目視検査において液晶層の厚み差の変動による表示の色むらが目立った。
【0247】
(比較例3)
実施例5において、配向膜材料として、2,4−ジアミノ−パルミチルフェニルエーテル0.4モル%(総モル数の40%)、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン0.6 モル%、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中で20℃で10時間重合して、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約20000の配向膜材料を用いた以外は、実施例5と同様にして液晶表示装置を作成した。
【0248】
また、この場合液晶層の厚みdは4.6μmを中心に−1.0〜0.3μm の8個の液晶パネルを作成した。
【0249】
次に、実施例1と同様にフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0μmとなった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*もほぼ0であった。実施例1と同様にして評価したところ、実施例1の図7に対応して図12に示すように液晶層の厚み差による透過率の変化量は大きかった。また、最大輝度むらのコントラストを測定すると12%で、目視においても液晶層の厚み差の変動による表示の色むらが目立った。
【0250】
(比較例4)
実施例5において、配向膜材料として、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕デカン0.8モル%(総モル数の80%)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン0.2モル%とピロメリット酸二無水物0.5モル%、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中で20℃で12時間重合して、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約100000の配向膜材料を用いた以外は、実施例5と同様にして液晶層の厚みdが4.0μmの液晶表示装置を作成した。
【0251】
実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、3.2μmで外挿長bのギャップに対する比率b*は0.8であった。
【0252】
また、クリスタルローテーション法により基板界面でのチルト角を測定したところ、15°であった。
【0253】
実施例1と同様にして評価したところ、最大輝度むらのコントラストは18%程度で、目視検査において表示の色むらが目立ち、むら近傍で30%程度のチルト角の変動が見出された。
【0254】
(比較例5)
実施例5において、配向膜材料として、2,4−ジアミノ−パルミチルフェニルエーテル0.5モル%(総モル数の50%)、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン0.5モル%、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中で20℃で 12時間重合して、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約110000の配向膜材料を用いた以外は、実施例5と同様にして液晶層の厚みdが4.0μm の液晶表示装置を作成した。
【0255】
実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、3.0μmで外挿長bのギャップに対する比率b*は0.75であった。
【0256】
また、クリスタルローテーション法により基板界面でのチルト角を測定したところ、12°であった。
【0257】
実施例1と同様にして評価したところ、目視検査において表示の色むらが目立ち、最大輝度むらのコントラストは15%程度で、むら近傍で20%程度のチルト角の変動が見出された。
【0258】
(比較例6)
実施例5において、配向膜材料として、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン0.03モル%、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.97 モル%、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.5モル %、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中で20℃で8時間重合して、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約120000,フルオロ基を含むオリゴマの割合が約3%の配向膜材料を用いた以外は、実施例5と同様にして液晶表示装置を作成した。
【0259】
また、この場合液晶層の厚みdは4.6μmを中心に−1.0〜0.3μm の8個の液晶パネルを作成した。
【0260】
次に、実施例1と同様にフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0.1μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.02であった。
【0261】
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は50μN/mとなる。
【0262】
実施例1と同様にして評価したところ、実施例1の図7に対応して図13に示すように液晶層の厚み差による透過率の変化量は大きかった。また、最大輝度むらのコントラストを測定すると20%で、目視においても液晶層の厚み差の変動による表示の色むらが目立った。
【0263】
(比較例7)
実施例5において、配向膜材料として、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン0.5モル%、4,4′−ジアミノジフェニルメタン0.5モル%、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物0.5モル%、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物0.5モル%をN−メチル−2−ピロリドン中で20℃で8時間重合して、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約100000,フルオロ基を含むオリゴマの割合が約 50%の配向膜材料を用いた以外は、実施例5と同様にして液晶層の厚みdが 4.2μmの液晶表示装置を作成した。
【0264】
次に、実施例1と同様にフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0.2μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.048であった。
【0265】
実施例1と同様にして評価したところ、最大輝度むらのコントラストは12%で、目視においても液晶層の厚み差の変動による表示の色むらに加えて配向不良による輝度むらが目立った。
【0266】
(比較例8)
実施例5において、配向膜材料として、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン0.02 モル%、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.98 モル%、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%、3,3′、4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.5 モル%をN−メチル−2−ピロリドン中で20℃で8時間重合して、標準ポリスチレン換算重量平均分子量が約1000,フルオロ基を含むオリゴマの割合が約2%の配向膜材料を用いた以外は、実施例5と同様にして液晶層の厚みdが4.5μmの液晶表示装置を作成した。
【0267】
次に、実施例1と同様にフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0.1μmであり、外挿長bの液晶層の厚みdに対する比率は0.022であった。
【0268】
また、用いた液晶組成物のねじれ変形に対する弾性定数K2の値と、上記の外挿長bの測定値から、本実施例の配向膜表面でのねじれ結合定数A2は25μN/mとなる。
【0269】
実施例1と同様にして評価したところ、最大輝度むらのコントラストは13%で、目視においても液晶層の厚み差の変動による表示の色むらが目立った。
【0270】
(比較例9)
実施例15の対となる2つの基板の一方のラビング処理された日立化成製ポリイミド配向膜PIQ、および他方の斜方蒸着法により形成された酸化シリコン配向膜の代わりに、対となる基板の双方ともにその配向膜をラビング処理された日産化学社製ポリイミド配向膜RN718とし、そのほかは実施例15と同様にして液晶表示装置を作成した。
【0271】
この場合液晶層の厚みdは4.6μm を中心に−1.0〜0.3μmの8個の液晶パネルを作成した。
【0272】
次に、実施例1と同様にフレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0μmとなった。したがって、外挿長bのギャップに対する比率b*もほぼ0(0%)であった。実施例1と同様にして評価したところ、実施例1の図7に対応して図14に示すように液晶層の厚み差による透過率の変化量は大きかった。また、最大輝度むらのコントラストを測定すると12%で、目視においても液晶層の厚み差の変動による表示の色むらが目立った。
【0273】
また、この様にして製作した液晶パネルのいくつかは、絶縁破壊によると思われる点灯しない画素の数が目立つ物があった。
【0274】
更に視野角特性も実施例1のパネルより明らかに悪かった。
【0275】
(比較例10)
実施例15の対となる2つの基板の一方のラビング処理されたポリイミド配向膜PIQ、および他方の斜方蒸着法により形成された酸化シリコン配向膜の代わりに、対となる基板の双方ともにその配向膜材料をPIQとし、そのカラーフィルタを形成した側の基板表面のポリイミド配向膜表面のみラビング処理し、薄膜トランジスタを形成した側の基板表面のポリイミド配向膜はラビング処理をせず、そのほかは実施例15と同様にして液晶表示装置を作成した。
【0276】
この様にして製作した物は、液晶組成物をネマチック相状態において液晶セルに注入した際に注入口付近を中心に配向むらが生じ、このむらは液晶セルを等方相まで昇温した後除冷してネマチック相に戻してもあまり低減されなかった。
【0277】
実施例1と同様にして評価したところ、最大輝度むらのコントラストは30%程度で、目視検査において表示の色むらが目立った。
【0278】
(比較例11)
実施例1において、ポリイミド配向膜RN1046を基版に塗布,加熱した後、ラビング処理をせずに、波長248nmのエキシマーレーザーによる直線偏光光照射を行い液晶配向能を付与した。
【0279】
実施例1と同様に、フレデリックス転移法により外挿長bを測定すると、ほぼ0μmで、外挿長bのギャップに対する比率b*もほぼ0となっていた。
【0280】
実施例1と同様にして評価したところ、最大輝度むらのコントラストは20%程度で、目視検査において表示の色むらが目立った。
【0281】
本実施例における液晶配向能は、上記の偏光レーザー光による選択的なポリイミド分解による物と考えられ、分解したイオン性ラジカルにより引き起こされたと思われる残像が目立った。
【0282】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば基板面にほぼ平行な電界を液晶に印加する横電界方式において、基板間ギャップの変動に伴う表示むらの少ない高画質のアクテイブマトリクス型液晶表示装置が得られる。
【0283】
また、同時に基板間ギャップ設定等の製作プロセスに余裕度が増大し、量産性の良好なアクテイブマトリクス型液晶表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置における液晶の動作を示す図。
【図2】液晶分子と基板表面との極結合とねじれ結合を示す図。
【図3】横電界方式の電気光学特性を示す図。
【図4】本発明の電気光学特性を説明する図。
(a)強いねじれ結合の場合(b)弱いねじれ結合の場合
【図5】本発明の外挿長と液晶層の厚みの比と、弱いねじれ結合効果による輝度変動低減の指数の関係を示す図。
【図6】本発明の薄膜トランジスタ,電極,配線の構造を示す図。
(a)正面図、(b),(c)側断面図
【図7】本発明の実施例の測定結果を示す図。
【図8】本発明の実施例の測定結果を示す図。
【図9】本発明の実施例の測定結果を示す図。
【図10】本発明の実施例の測定結果を示す図。
【図11】本発明の比較例の測定結果を示す図。
【図12】本発明の比較例の測定結果を示す図。
【図13】本発明の比較例の測定結果を示す図。
【図14】本発明の比較例の測定結果を示す図。
【符号の説明】
1…共通電極(コモン電極)、2…ゲート絶縁膜、3…信号電極(ドレイン電極)、4…画素電極(ソース電極)、5…配向膜、6…液晶組成物層中の液晶分子、7…基板、8…偏光板、9…電界方向、10…界面上の分子長軸配向方向 (ラビング方向)、11…偏光板偏光透過軸方向、12…走査電極(ゲート電極)、13…アモルファスシリコン、14…薄膜トランジスタ素子。
Claims (5)
- 少なくとも一方が透明な一対の基板と、
前記一対の基板間に配置された液晶層と、
前記一対の基板の一方の基板に形成され、この基板面にほぼ平行な電界を前記液晶層に印加するための電極群およびこれらの電極に接続された複数のアクティブ素子と、
前記液晶層と前記一対の基板の少なくとも一方の基板間に配置された配向膜と、を有し、
前記配向膜は、選択的に光化学反応を生じさせるように偏光光照射処理された光反応性配向膜であり、
前記配向膜は、少なくとも長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基を含むポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミド系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−イミドシロキサン系,ポリマー及び/或いはオリゴマ−アミドイミド系の有機高分子であり、
前記配向膜と前記液晶層との界面での液晶分子のチルト角が10度以下であることを特徴とするアクティブマトリクス型液晶表示装置。 - 請求項1記載のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、
前記配向膜の少なくとも一方が、アミン成分または酸成分中に付与された長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基の重合物が総モル数の5%以上30%以下のポリマー及びオリゴマのうち少なくとも一方を含有する有機高分子であることを特徴とするアクティブマトリクス型液晶表示装置。 - 請求項2記載のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、
前記ポリマー及びオリゴマの重量平均分子量が2000以上90000以下であることを特徴とするアクティブマトリクス型液晶表示装置。 - 請求項2記載のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、
前記ポリマー及びオリゴマが、主鎖型あるいは側鎖型,末端型の少なくとも1種以上の長鎖アルキレン基及び/或いはフルオロ基を含有することを特徴とするアクティブマトリクス型液晶表示装置。 - 請求項1記載のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、
前記配向膜が、アミン成分として一環から成る剛直性のジアミンと、酸成分として脂肪族テトラカルボン酸二無水物或いは脂環式テトラカルボン酸二無水物および主鎖型の長鎖アルキレン基或いはフルオロ基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物からなるポリマー及び/或いはオリゴマ−アミック酸を脱水閉環した有機高分子であることを特徴とするアクティブマトリクス型液晶表示装置。
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