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JP3639392B2 - 乾式測定試験具 - Google Patents

乾式測定試験具 Download PDF

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JP3639392B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式測定試験具に関し、詳しくは、液体試料中の測定対象物質を呈色反応させたときの呈色量を反射率の測定により求めることで前記測定対象物質を定量する乾式測定試験具であって迅速且つ高精度な測定が可能な乾式測定試験具に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体試料中の特定成分を定量する方法のうちでも、例えば試験紙の様な乾式の測定試験具を用いる方法は、操作が比較的簡便であることから、現在多くの目的のために広く利用されている。この様な乾式測定試験具は、基本的には、液体試料が浸透、展開できるような保持体中に、前記液体試料に溶解可能であり測定対象物質と反応して分析機器による検出定量が可能な、色、光等の信号を発生するような試薬を保持する試薬層を含む構造となっている。
【0003】
上記乾式測定試験具のうちでも、測定対象物質と試薬との呈色反応により液体試料中の測定対象物質量を測定する乾式測定試験具においては、通常、上記測定対象物質と試薬との反応により呈色した色素量を試薬層に入射した光の反射率を測定することで求め、液体試料中の測定対象物質を定量している。この様な呈色反応による乾式測定試験具では、精度のよい測定を行うために、上記試薬層中に呈色用の試薬の他に反射材を保持させる方法を採っている。例えば、特公平7−21455号公報に記載されている乾式測定試験具では、測定に用いられる試薬とともに反射材として、光反射性不溶性粒子、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムなどの白色顔料を、試薬層に含有させている。これらの顔料は、試料が全血である場合に、測定誤差の原因となる赤血球が試薬層中に侵入するのを阻止する役割も果たしている場合もある。
【0004】
しかし、乾式測定試験具が反射材として上記のような白色顔料を試薬層に含有する場合には、測定可能なまでに十分な反射率が得られるように白色顔料をある程度の量含有させようとすると、白色顔料の粒径が極微小(0.1〜0.3μm)であるために、試薬層は液体試料が浸透し難い緻密な層となり、測定時に液体試料の浸透、展開が遅く、試薬と反応して生成する色素の量が測定可能な程度に十分な量となるまでにかかる時間が長くなり作業性の点で問題であった。
【0005】
また、乾式測定試験具においては、試薬層で液体試料が試薬を溶解して反応が起こるため反応の濃度条件は非常に高濃度である上に、通常試薬層を構成する保持体は大気に面する表面積が大きいことから乾燥しやすい構造となっているため、比較的多量の液体試料に乾式測定試験具を浸漬して測定を行う場合はよいとしても、少量の液体試料を乾式測定試験具に点着して測定を行う場合には、上記の様に測定にかかる時間が長いと、乾燥の影響を受けて測定の精度が下がる危険性があり好ましくなかった。
【0006】
そこで、液体試料中の測定対象物質を呈色反応させたときの呈色量を反射率の測定により求めることで前記測定対象物質を定量する乾式測定試験具において、迅速かつ高精度な測定を行うために、液体試料が乾式測定試験具の試薬層内に浸透して測定可能な色素量が生成するまでの時間が短かい構造、つまり測定時間が短く乾燥の影響が少ない構造を維持したままで、反射率測定に際して少量の呈色量にも十分対応する反射率が得られるような方法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたものであり、液体試料中の測定対象物質を呈色反応させたときの呈色量を反射率の測定により求めることで前記測定対象物質を定量する乾式測定試験具において、迅速で精度の高い測定を行うために、測定時間が短く、かつ反射率測定に際して少量の呈色量にも十分対応した反射率が得られる乾式測定試験具を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、液体試料中の測定対象物質を呈色反応させたときの呈色量を反射率の測定により求めることで前記測定対象物質を定量する乾式測定試験具において、乾式測定試験具の構成要素として、前記測定対象物質と反応して呈色する色原体を含む試薬と、光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズとを含む試薬層を設けることにより、液体試料の試薬層への迅速な浸透と、試薬層への赤血球の侵入の阻止を両立させることができることを見出し本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、色原体を含む試薬と、この試薬を層状に保持する保持体を含み、液体試料中の測定対象物質と前記試薬との反応により生じる色原体の呈色量を試薬層に入射した光の反射率により求めることで、前記測定対象物質を測定する乾式測定試験具であって、前記試薬層は光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズを含むことを特徴とする乾式測定試験具である。
【0010】
本発明の乾式測定試験具において、試薬層が含有するポリマービーズは光反射性粒子を内部に含有するが、この様な光反射性粒子として具体的には、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄(III)、水酸化鉄(III)等を挙げることが可能である。
【0011】
本発明の乾式測定試験具に用いる、上記光反射性粒子を内部に含有させるポリマービーズとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、これらのエステル、スチレンおよびアルキルスチレンから選ばれるモノマーを主成分として得られる重合体または共重合体やポリウレタン、ポリウレア、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の高分子化合物を主成分として含有するポリマービーズを挙げることができる。
【0012】
本発明の乾式測定試験具において試薬層が含有するポリマービーズの大きさについていえば、前記ポリマービーズは平均粒径で1〜40μm程度の大きさであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の乾式測定試験具においては、ポリマービーズが含有する光反射性粒子の含有量は、ポリマービーズ全量に対して10〜70w/v%程度が好ましく、この様なポリマービーズを試薬層全体に対して5〜80重量%程度の含有量で含有させることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の乾式測定試験具について詳細に説明する。まず、本発明の乾式測定試験具の試薬層(保持体により試薬を含む組成物が層状に保持された層)が含有する試薬および光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズについて説明し、次いでこれらを含有する試薬層、前記試薬層を含む本発明の乾式測定試験具の順に説明する。
【0015】
(1)試薬
本発明の乾式測定試験具において試薬層が含有する試薬は、液体試料中の測定対象物質と反応して呈色する色原体を含む。この色原体は、これを含む試薬と液体試料中の測定対象物質との反応により呈色することで前記測定対象物質を検出することが可能なものであれば特に制限なく用いることができる。尚、ここでいう呈色とは、発色に制限されず、変色も含まれる。また、「測定対象物質と試薬との反応」とは、測定対象物質自体が反応物質である場合の他、触媒として反応に関与することも含む。
【0016】
上記色原体を含む試薬は、測定対象物質の種類により異なり測定対象物質の種類に応じて適宜選択されて用いられる。この選択は、従来の乾式測定試験具と特に変わるところはない。
【0017】
例えば、本発明の乾式測定試験具は、血液、尿、唾液等の体液中の測定対象物質量を酸化還元反応を利用した呈色反応により測定する場合に好ましく用いられるが、この際に用いられる試薬として、測定対象物質を酸化する酸化酵素、色原体および必要に応じてペルオキシダーゼを含有する試薬等を好ましく挙げることができる。上記酸化酵素による酸化反応を利用した測定対象物質の定量においては、酵素作用下において測定対象物質を酸化することで生成される過酸化水素が、被酸化型の色原体を直接酸化するか、またはペルオキシダーゼ作用下において色原体を酸化カップリングすることにより、色素が生成され、これを吸光光度法や発色法などによって比色的に測定して前記測定対象物質が定量される。
【0018】
本発明の乾式測定試験具において具体的には、例えば、測定対象物質がグルコースである場合には、グルコースオキシダーゼと、ペルオキシダーゼと、4−アミノアンチピリンと、MAOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン)または、DAOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン)が、
測定対象物質がコレステロールである場合には、コレステロールオキシダーゼと、ペルオキシダーゼと、4−アミノアンチピリンと、MAOSまたはDAOSが、
測定対象物質が乳酸である場合には、乳酸脱水素酵素と、NAD+と、ジアホラーゼと、テトラゾリウムヴァイオレットが、
測定対象物質がアルカリフォスファターゼである場合には、p−ニトロフェニルフォスフェートが、それぞれ試薬として使用される。
【0019】
本発明の試薬は上記のものに制限されず、測定対象物質に応じて試薬を選択すればよい。呈色反応を酵素反応により行う場合の酵素としては、上記の酵素の他に、ウリカーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アシルCoAオキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、各種アミノ酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、ラクトースオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ等を挙げることができる。
【0020】
また、色原体としては、いわゆるトリンダーの試薬(アナルズ・オブ・クリニカル・バイオケミストリー(Ann.Clin.Biochem.)、6巻、24頁、1960年)や、o−アニンジン、ベンジジン、o−トリジン、テトラメチルベンジジンなどの被酸化型色原体を挙げることができる。
【0021】
さらに、上記酵素は試薬として用いる他に、測定対象物質とすることもできる。
【0022】
(2)光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズ
本発明の乾式測定試験具の試薬層は、上記試薬に加えて光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズを含む。このポリマービーズは、液体試料中の測定対象物質を試薬と反応させたときの呈色量を、試薬層に入射する光の反射光として測定する際に、少量の呈色量にも十分対応した反射率を与える作用を有する。また、ポリマービーズは、液体試料が全血のように着色粒子を含む場合には、この着色粒子が試薬層に侵入あるいは透過することを阻止し、試薬層での反射光に与える影響を減少させる作用をも有する。
【0023】
本発明に用いられるポリマービーズが含有する光反射性粒子としては、ポリマービーズに配合されて本発明の乾式測定試験具に用いられた際に少量の呈色量についても十分な反射率が与えられる様な光反射性を有する粒子であれば特に制限されず、具体的には、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムなどの白色顔料、酸化鉄(III)(赤色)、水酸化鉄(III)(赤褐色、黄色)等の有色顔料等を挙げることが可能である。また、これらの光反射性粒子は、測定波長の光を反射する粒子であれば色については特に限定されるものではないが、本発明において好ましくは白色の光反射性粒子が用いられる。
【0024】
また、上記光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズとしては、ビーズ形態を採ることが可能なポリマーからなり、ポリマービーズ内に上記光反射性粒子を含有することにより、本発明の乾式測定試験具に用いられた際に少量の呈色量についても十分な反射率が与えられる様なポリマービーズであれば特に制限されないが、本発明において好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、これらのエステル、スチレン、アルキルスチレン等から選ばれる疎水性ビニルモノマーを主成分として得られる重合体または共重合体や、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のビーズ形態を比較的採り易い高分子化合物を主成分としたポリマービーズを挙げることができる。
【0025】
本発明の乾式測定試験具においては、この様なポリマービーズに上記光反射性粒子を含有させて用いるが、前記ポリマービーズが含有する光反射性粒子の好ましい含有量として、ポリマービーズ全量に対して10〜70w/v%程度の含有量を、またさらに好ましい含有量として、ポリマービーズ全量に対して20〜50w/v%程度の含有量を挙げることができる。さらに、本発明の乾式測定試験具においては、この様なポリマービーズを試薬層全体に対して5〜80重量%程度の含有量で、より好ましくは10〜30重量%程度の含有量で含有させることで、液体試料中の測定対象物質を試薬と呈色反応させたときの呈色量を吸光光度法、発光法などにより比色的に測定する際に、少量の呈色量にも十分対応した反射率が得られる様になる。
【0026】
また、上記本発明に用いるポリマービーズの粒子径は、平均粒径で1〜40μm程度の範囲にあることが好ましく、より好ましくは平均粒径で2〜30μm程度であり、さらに好ましくは平均粒径で3〜15μm程度である。ポリマービーズの平均粒子径が1μmより小さいと、これを含有する試薬層は液体試料が浸透し難い緻密な層となり、測定時に液体試料の浸透、展開が遅くなって測定に時間がかかることがある。また、ポリマービーズの平均粒子径が40μmより大きいと、呈色量測定を妨害する血球のような着色成分の試薬層への浸透を十分に防止できないことがある。
【0027】
この様な本発明に用いる光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズは、通常の製造方法により、例えば、ポリマービーズ原料に光反射性粒子を適当量配合して、得られるポリマーが適当な粒子径のビーズ形態になるような条件で重合させる等の製造方法により製造することが可能である。また、上記の様な光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズは市販もされているのでこれを本発明に用いることも可能である。光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズの市販品として、具体的には、積水化成品工業(株)製のテクポリマー等を挙げることが可能である。
【0028】
(3)試薬層
試薬層は、上記試薬を含む組成物が保持体に層状に保持されることにより形成されるものである。本発明の乾式測定試験具が含む試薬層は、液体試料中の測定対象物質と反応して呈色することで前記測定対象物質を検出することが可能な上記試薬と、光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズとを保持含有する。
【0029】
試薬層における試薬の含有量に関しては、従来の乾式測定試験具において試薬層に含有される試薬と同程度の含有量とすればよい。つまり、測定時に乾式測定試験具に吸収される液体試料中の測定対象物質量に対して十分かつ適当量の含有量であればよい。また、試薬層における光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズの含有量は上述の通りである。
【0030】
また、本発明の乾式測定試験具において試薬層は、上記試薬と光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズ以外に、必要に応じてさらに、緩衝剤、親水性高分子、界面活性剤、可塑剤、安定化剤、前処理試薬等を適当量の範囲で含有することが可能である。
【0031】
上記緩衝剤として具体的には、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、トリス緩衝剤、グッド緩衝剤、例えば、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、PIPES(ピペリジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸))等を挙げることができる。また、親水性高分子として具体的には、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、修飾ゼラチン、寒天、アクリルアミドポリマー、アガロース等を挙げることができるが、これら親水性高分子には、乳化エマルジョン系接着剤、例えば、プロピオン酸ビニルと酢酸ビニルの共重合体であるプロピオファン(BASF社製)等、やラテックス粒子を添加することも可能である。さらに、上記界面活性剤として具体的には、トリトンX−100、トリトンX−405、ツイーン−20、ツイーン−80、ブリッジ−35等が挙げられる。また、上記前処理試薬としては、アスコルビン酸オキシダーゼ等を挙げることができる。
【0032】
本発明の乾式測定試験具が有する上記試薬層において、上記試薬と光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズと必要に応じて添加される上記各種成分とを層状に保持含有させるために用いる保持体としては、通常の乾式測定試験具において試薬層に用いられる保持体を特に制限することなく挙げることが可能である。この様な保持体として、具体的には、濾紙、木綿紙、ガラス布またはガラス繊維の不織布、石綿紙または石綿布、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン等の合成繊維からなる布または不織布等を挙げることができる。また、試薬層には、上述の様に親水性高分子を含有させることも可能であるが、これらはそれ自体が保持体を構成する材料となり得るので、試薬層が上記親水性高分子を含有する場合には、さらに上記濾紙等の材料を用いないこともある。また、保持体として上記濾紙等を用いた場合でも、親水性高分子のみで保持体を構成した場合でも、その厚さは、概ね5〜100μmであることが好ましい。
【0033】
上記保持体に上記試薬と光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズとさらにそれ以外の各種成分とを層状に保持含有させる方法としては、やはり一般的な方法を用いればよく、例えば、上記含有させたい成分を液体に溶解、分散させることで液状にしてトレーに入れ、これに保持体を漬けて直接含浸させる方法、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と省略する)等の剥離性のよい樹脂フィルム上に一定の厚さで上記各種成分を含む液体を塗工し、その上へ保持体をのせて吸い込ませ乾燥後、樹脂フィルムと分離する方法、上記各種成分を含む液体をスプレー等により保持体に噴霧する方法、バーコーター等により保持体に塗工する方法等が挙げられる。含浸後の乾燥は、通常の方法で行われるが、本発明の乾式測定試験具の試薬層においては、乾燥温度を20〜60℃とすることが好ましい。
【0034】
また、上記親水性高分子のみで保持体を形成させる場合には、例えば、上記試薬と光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズと親水性高分子とさらにこれら以外の各種任意成分とを水等の液体に溶解、分散させることで液状とし、これをPET等の樹脂フィルム上に適当な濡れ厚さで塗工して乾燥後、樹脂フィルムと分離する方法が取られる。なお、試薬層を樹脂フィルム上に作製する場合には、樹脂フィルムは必要に応じてそのまま残すことも可能である。
【0035】
上記の様にして、試薬と光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズとを1層に含有する試薬層を得ることができるが、必要に応じて、試薬層を試薬含有層と光反射性粒子含有ポリマービーズ含有層の2層構造とすることも可能である。この場合の各層の作製は上記1層の場合の作製方法に準じて行うことが可能であり、また積層についても通常の方法に従って行うことが可能である。
【0036】
(4)乾式測定試験具
本発明の乾式測定試験具は、上記の様に、液体試料中の測定対象物質と反応して呈色することで前記測定対象物質を検出することが可能な上記試薬と光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズおよび各種任意成分が保持体に層状に保持されることにより形成された試薬層を含むものである。
【0037】
本発明の乾式測定試験具においては、試薬層に液体試料が点着され、浸透、展開する間に、試薬層に含有する試薬と液体試料中の測定対象物質が反応して色素を生成する。これにより生成した色素量を吸光光度法、発光法などにより比色的に定量する際に、試薬層に存在する光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズが作用して測定のために十分な反射率を得るものである。さらに、液体試料が全血のように着色粒子を含む場合には、この着色粒子が試薬層に浸透することを阻止するものである。
【0038】
本発明の乾式測定試験具は、上記試薬層の他に必要に応じて、従来の乾式測定試験具が有する部材、例えば、試薬層を支持する基材、液体試料を保持する試料保持層、液体試料保持のための空間を設けるための支持体等を有することが可能である。
【0039】
上記試薬層を支持するために設けられる基材としては、上記試薬層の作製で述べたような樹脂フィルム、好ましくは光透過性であって液体不透過性の樹脂フィルム、例えば、PET、ポリプロピレン等を挙げることができる。基材を光透過性を有する液体不透過性樹脂フィルムとして試薬層と積層して用いれば、試薬層表面に液体試料を点着後、試薬層が吸収しきれなかった液体試料を試薬層表面から除去することなく、基材側から光を照射して呈色量を測定することが可能となる。
【0040】
また、上記試薬層において光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズは、上述の様に、試薬層内に浸入することで呈色量測定の感度低下を招くような液体試料中の粒子成分、例えば血球等を試薬層に浸透するのを防止する役割も果たしているが、上記基材を用いることで液体試料が供給される側と反対側からの呈色量測定を行うことが可能となれば、上記血球等の着色成分は供給側に留まっているので、これらによる影響のないより正確な測定を行うことが可能となる。
【0041】
さらに、液体試料中の測定対象物質と試薬との呈色反応が酸素等の気体の透過により促進される呈色反応の場合には、上記基材として光透過性かつ液体不透過性であってさらに気体透過性を有する多孔性フィルムを用いることが好ましい。基材のフィルムを多孔性とすることにより呈色反応が促進され反応時間の短縮を図ることができるためである。この様な光透過性かつ液体不透過性であってさらに気体透過性を有する多孔性フィルムについては、特公平7−21455号公報に詳しく記載されているのでこれを参照することができる。また、この様な多孔性フィルムは市販されており、これらを本発明の乾式測定試験具に用いることが可能である。上記特性を有する市販の多孔性フィルムとしては、例えば、ニュークリポア(ニュークリポア社製)、セルガード(ヘキストセラニーズ社製)、サイクロポア(ワットマン社製)等を挙げることができる。
【0042】
上記液体試料を保持するための試料保持層としては、従来の乾式測定試験具が有する試料保持層(一般には「拡散層」、「展開層」などと呼ばれることもある)と同様の構成のものを挙げることができる。
【0043】
また、本発明の乾式測定試験具においては、上記試料保持層の替わりに液体試料保持のための空間を設けることが可能であり、そのための支持体等を有することが可能であるが、前記支持体を有する乾式測定試験具として例えば、図1に断面図を示す様な、上記基材が積層されていてもよい試薬層と、液体試料保持のための空間を設けるための支持体と、で構成された乾式測定試験具を挙げることができる。
【0044】
図1において、支持体1は内部に液体試料を保持するための毛細管室2を有し、前記毛細管室と支持体外部とを連絡する3つの孔、すなわち呈色量測定のための光照射孔3と液体試料注入孔4と空気孔5とを有する。試薬層6は前記光照射孔3を覆うかたちで支持体の毛細管室内に設置されている。試薬層に基材が積層されている場合には、基材側から測定光が照射されるように設置する。この様な乾式測定試験具において支持体は、液体不透過性で液体試料への溶出がない樹脂等で構成することができるが、本発明においては、支持体を黒色にする等して支持体に遮光性を持たせることが好ましい。支持体に遮光性を持たせることにより、液体試料中の固形分による測定光の吸収、散乱の影響や、支持体外部より入射する外部迷光の影響が小さくなる。
【0045】
本発明の乾式測定試験具は、各種試薬と反応して色素を生成させることが可能な物質を含有する液体試料中の前記物質を定量する場合の何れにも適用することが可能であるが、血液、尿、唾液等の体液中の測定対象物質量を酸化還元反応を利用した呈色反応により測定する場合、例えば、血液中のグルコース量を上記で詳述したような試薬を用いて測定する場合などに好ましく適用される。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
【0047】
<乾式測定試験具の作製>
表1に組成を示す各成分を混合して試薬層用の塗工液を作製した。ガラス板に試薬層の保持体となるセルガード(ヘキストセラニーズ社製)をシワのないように貼り付け、このセルガード上にナイフコーターを用いて上記塗工液を塗布厚50μmで塗布し、乾燥温度25℃、乾燥湿度15%で30分間乾燥させて試薬層を形成させた。その後、試薬層をセルガードごとガラス板よりはがして、7mm×7mmの大きさに切断した。
【0048】
上記で得られた7mm角のセルガード付き試薬層を、4mmφの穴(測定光照射孔)のあいた30mm×7mmの大きさのPETフィルム上に穴を覆うかたちでセルガード側をPETフィルム側にして貼付けた。試薬層を上にしてこれを覆いながらPETフィルムとの間に毛細管室を形成する様に、PETフィルム上に熱可塑性樹脂を用いてカバーを固定して乾式測定試験具とした。なお、このカバーは液体試料供給孔と空気孔を有していた(図1参照)。
【0049】
また、比較のために上記実施例において試薬層用塗工液の光反射性粒子含有ポリマービーズ(テクポリマーMBX−5/White)のかわりに前記ポリマービーズが含有する光反射性粒子(二酸化チタン)を用いた以外は、上記実施例と全く同様にして乾式測定試験具を作製した。
【0050】
【表1】
Figure 0003639392
【0051】
なお、上記表1中、テクポリマーMBX−5/White(積水化成品工業(株)製)は、架橋ポリメタクリル酸メチルに50w/v%の割合で二酸化チタンを含有した平均粒子径5μmの真球状のポリマービーズである。
【0052】
<本発明の乾式測定試験具の評価>
上記実施例および比較例で得られた乾式測定試験具について浸透性、および反応速度に関する試験を行った。
【0053】
(1)浸透性試験
全血を室温で1日放置して解糖させた後、これに食用色素青色1号を任意量添加して溶解させ、次いでヘマトクリット値が68%となるように調整して検体Iを得た。検体Iの10μlを上記実施例で得られた乾式測定試験具の液体試料供給孔より試薬層に導入し、5秒後より640nmの光を測定光照射孔を通してセルガード側から照射し、得られる反射率を反射率計(色差計)にて10秒間隔で125秒まで経時的に測定した。比較例で得られた乾式測定試験具についても同様の測定を行った。実施例および比較例で得られた乾式測定試験具を用いて測定された上記検体Iについての反射率の経時変化の結果を図2に示す。なお、図2において縦軸は反射率(%)を横軸は測定時間(sec)を示す。
【0054】
(2)反応速度試験
解糖阻止剤(NaF)添加全血(グルコース濃度99mg/dl)を、ヘマトクリット値が68%になるように調整して検体IIとした。検体IIの10μlを上記実施例で得られた乾式測定試験具の液体試料供給孔より試薬層に導入し、5秒後より640nmの光を測定光照射孔を通してセルガード側から照射し、得られる反射率を反射率計(色差計)にて10秒間隔で125秒まで測定した。比較例で得られた乾式測定試験具についても同様の測定を行った。実施例および比較例で得られた乾式測定試験具を用いて測定された上記検体IIについての反射率の経時変化の結果を図3に示す。なお、図3において縦軸は反射率(%)を横軸は測定時間(sec)を示す。
【0055】
これらの結果から明かな様に、実施例で得られた乾式測定試験具においては、反射材として二酸化チタンを含有する従来の乾式測定試験具に比べて、液体試料の試薬層への浸透性がよく、また実際に試薬と測定対象物質との反応速度も高い。
【0056】
【発明の効果】
本発明の乾式測定試験具を、液体試料中の測定対象物質を呈色反応させたときの呈色量を反射率の測定により求めることで前記測定対象物質を定量する乾式測定試験具として用いれば、測定時間が短く、かつ反射率測定に際して少量の呈色量にも十分対応した反射率が得られることで、迅速で高精度な測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の乾式測定試験具の一例の断面図を示す図である。
【図2】 実施例および比較例で得られた乾式測定試験具を用いて解糖全血に食用色素青色1号を添加したものを検体として測定された640nmでの反射率の経時変化を示す図である。
【図3】 実施例および比較例で得られた乾式測定試験具を用いて全血を検体として測定された640nmでの反射率の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1.支持体
2.毛細管室
3.測定光照射孔
4.液体試料注入孔
5.空気孔
6.試薬層

Claims (5)

  1. 色原体を含む試薬と、この試薬を層状に保持する保持体を含含み、液体試料中の測定対象物質と前記試薬との反応により生じる色原体の呈色量を試薬層に入射した光の反射率により求めることで、前記測定対象物質を測定する乾式測定試験具であって、前記試薬層は光反射性粒子を内部に含有するポリマービーズを含むことを特徴とする乾式測定試験具。
  2. 前記光反射性粒子が二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄(III)および水酸化鉄(III)から選ばれる請求項1記載の乾式測定試験具。
  3. 前記ポリマービーズが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、これらのエステル、スチレンおよびアルキルスチレンから選ばれるモノマーを主成分として得られる重合体または共重合体、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルから選ばれる高分子化合物を主成分として含有することを特徴とする請求項1記載の乾式測定試験具。
  4. ポリマービーズの平均粒径が1〜40μmである請求項1記載の乾式測定試験具。
  5. ポリマービーズ全量に対する光反射性粒子の含有量が10〜70w/v%であり、試薬層全体に対するポリマービーズの含有量が5〜80重量%である請求項1記載の乾式測定試験具。
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