JP3639166B2 - トラクタの作業機装着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタの後部側に備えられる作業機装着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタ車体の後部に装着される各種作業機の装着装置としては、牽引式のドローバーや直装式の3点リンク機構などがあり、このうちドローバーは、トラクタ車体の下面にボルトにて固定されたドローバーフレームに対して着脱自在に取り付けられ、3点リンク機構は、トラクタ車体後面上部にトップリンクが、ドローバーフレームから左右外方に突設した枢支ピンにロアーリンクがそれぞれ上下揺動自在に取り付けられるようになっている(例えば、特開平8−112007号公報等参照)。
【0003】
また、上記の他に、フロントローダ用の装着部を前部に備え、バックホー用の装着部を後部に備えた装着フレームをトラクタ車体に取り付けたものも知られており、この種のトラクタにおいても、装着フレームとともに上記のような3点リンク機構及びドローバーも並設され、バックホーを装着する際には、3点リンク機構及びドローバーをトラクタ車体から取り外すように構成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ドローバーフレームをトラクタ車体の下面に取り付けた場合、牽引式の作業機からの荷重に耐え得るようにトラクタ車体の強度を高める必要があり、そのため、車体重量が増大したりコスト増を招くこととなっていた。
特に、バックホーの装着部を備えているトラクタは、例えば図6に示すように、バックホー側に左右方向に延伸する連結バー101を設け、装着部102側に連結バー101が係合する受け部材103をトラクタ車体104の後下方に設けたものとなっており、この受け部材103に連結バー101を係合する際に該連結バー101とドローバフレーム105とが干渉しないよう、該ドローバーフレーム105を低い位置に配置する必要があった。
【0005】
そのため、ドローバーフレーム105に取り付けられるドローバー106とトラクタ車体104との上下間隔が広くなり、牽引式作業機からの荷重によってドローバーフレーム105とトラクタ車体104との結合部により大きなモーメントがかかるようになり、そのためトラクタ車体104の強度をより強固にする必要が生じて、車体重量増等の問題が顕著に現れるものとなっていた。
他方、従来では、ドローバフレームに対してロアリンクの枢支ピンが左右片持ち状に固着されていたため、枢支ピンの基端部に応力が集中して歪みが生じやすくなり、また、枢支ピンを交換する際にはドローバフレームごと行わなければならなかった。
【0006】
また、ロアーリンクの枢支ピンがドローバフレームに固定されるのに対し、ロアーリンク振止用のチェックチェーンの枢支ピンが装着フレームに取り付けられるようになっていたため、両枢支ピンの芯合わせが困難となって組立て作業性が悪化するという問題があった。
本発明は、バックホー等の後部作業機を装着する装着フレームを利用してドローバーフレームを設けることにより、牽引式の作業機からの荷重が直接的にトラクタ車体にかかるのを防止し、これによって車体重量増やコスト増等を抑えることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明は、トラクタ車体に、後部作業機を装着する装着フレームと、ドローバーを取り付けるドローバーフレームとを備えているトラクタの作業機装着装置において、
前記ドローバーフレームが前記装着フレームに設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、ドローバーに装着される牽引式作業機からの荷重を、装着フレームによって受け持つことが可能となり、該荷重が直接的にトラクタ車体にかかるのを防止することで、該トラクタ車体の強度を高めるために車体重量が増大したり、また、これによってコスト増を招くようなことを防止できる。
また、本発明は、前記装着フレームが、トラクタ車体の後部下側に配設された左右方向に延伸する後フレームと、該後フレームの後方に配置されていて前記後部作業機側の被装着具が連結される連結部とを有して構成され、前記ドローバーフレームが、後フレームと連結部との間の後フレーム側に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
これによって、後部作業機側の被装着具とドローバフレームとが干渉することなくドローバフレームを最適な位置に配設でき、更に、トラクタ車体の後部下側に配設された後フレームに対してドローバフレームを設けるため、該ドローバーフレームを低い配置としたとしても、両者の結合部にかかるモーメントを可及的に小さくすることができるようになる。
本発明は、前記後フレームに、3点リンク機構を構成するロアーリンクを揺動自在に取り付ける取付部材と、一端がロワーリンクに接続されたチェックチェーンの他端を揺動自在に取り付ける取付部材とを設けていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、ロワーリンクとチェックチェーンとが共に同一の後フレームに取り付けられることから、両者の揺動支点の芯合わせ等も正確且つ容易に行えるようになり、組立て作業性が向上される。
更に、本発明は、前記後フレームに、3点リンク機構を構成するロアーリンクの枢支ピンを、着脱自在に且つ両持ち状に取り付ける取付部材を設けていることを特徴とするものである。
このように、枢支ピンの取付部材を左右方向に延伸する後フレームに設けるようにすることで、枢支ピンを両持ち状に支持することが可能となり、これによって枢支ピンの歪み、変形等を防止できるようになる。また、両持ち状とすることで取付部材に対して枢支ピンを固着しなくても十分な支持強度を得ることができるため、枢支ピンを着脱自在として、交換等を枢支ピン単独で行えるようにすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図5は、本発明にかかる作業機装着装置を具備したトラクタ1を示しており、このトラクタ1は、前部にフロントローダ2を、後部にバックホー(本発明にかかる後部作業機)3をそれぞれ装着した、所謂TLB(トラクタ・フロントローダ・バックホー)と呼ばれる作業車を構成するものとなっている。
トラクタ1は、エンジン4、フライホイールハウジング、クラッチハウジング、ミッションケース5等を前後方向に直結して構成したトラクタ車体6を備え、該トラクタ車体6は、左右一対の前輪7と、左右一対の後輪8とによって走行可能に支持されている。
【0012】
エンジン4はボンネット10により覆われており、このボンネット10の後方には、運転席11、操向ハンドル12等を有する操縦部が設けられ、運転席11の左右側方には後輪フェンダ13が設けられている。
運転席11は、ミッションケース5上のフロアシートに上下軸心回りに回転自在に支持されており、トラクタ1やフロントローダ2を操縦する前向き姿勢と、バックホー3を操縦する後ろ向き姿勢とに姿勢変向自在とされている。
バックホー3は、機枠14の後端に掘削装置15を備えて構成されている。機枠14上には、図4にも示すように、運転者用のステップ16が前方突出状に設けられ、該ステップ16上に操縦レバー17を有する操作ボックス18が立設されている。
【0013】
トラクタ車体6には、フロントローダ2及びバックホー3を装着するための装着フレーム20が設けられている。
この装着フレーム20は、フロントローダ2及びバックホー3からの荷重を支持することによってトラクタ車体6にかかる荷重を軽減する補強フレームとしての機能も有しており、図5に示すように、トラクタ車体6の下部左右側方に配置されていて前後方向に延伸する左右一対のサイドフレーム21と、左右サイドフレーム21の前端を互いに連結するように左右方向に延伸する前フレーム22と、左右サイドフレーム21の後端を互いに連結するように左右方向に延伸する後フレーム23とによって平面視矩形枠状に構成されている。
【0014】
前フレーム22の左右中央側は、連結板等を介してトラクタ車体6の側部に固定されており、この前フレーム22の左右側部にフロントローダ2用の装着部25が形成され、左右サイドフレーム21の後端に、バックホー3用の装着部26が設けられている。
このバックホー3用の装着部26は、図2〜図4にも示すように、左右各サイドフレーム21の後端に設けられていて、左右一対の板材27A,27Aよりなる装着部材27と、装着部材27の下部に設けられていて、上側が開放した凹状の連結部28Aを有する受け部材28と、装着部材27の上部に設けられた左右方向の棒状のマウントバー29とを有しており、装着部材27の中途部は、トラクタ車体6から左右外方に突出する後車軸ケース30に連結されている。
【0015】
前記バックホー3において、図4に示すように、機枠14の前側両側部には左右一対の被装着板31が設けられており、この被装着板31の下部には、左右被装着板31に亘って左右方向に延伸するとともに、前記受け具28の連結部28Aに対して上側から嵌合する連結バー(被装着具)32が設けられている。また、被装着板31の上部には、前記マウントバー29を把持するマウントホルダ33が設けられている。
そして、前記連結部28Aに対して連結バー32を嵌合(連結)した状態で、同連結バー32の軸心回りに機枠14を前側に回動し、ホルダ33によりマウントバー29を上下から挟み込むことによって、装着部26に対してバックホー3が着脱自在に装着されるようになっている。
【0016】
装着部材27の後端縁であって受け部材28の上方には、後方へ突出するガイド部34が形成されており、該ガイド部34の後端は、トラクタ車体6の後面に備えたPTO軸35の後端よりも後方に突出されている。
また、ガイド部34の下縁34Aは、PTO軸35の下側位置において前下方へ若干傾斜されるとともに、その前端が連結部28Aの前側と連続するようになっており、このガイド部34と受け部材28との間に形成される案内路36を介して連結バー32を挿入又は離脱することによって、該連結バー32がPTO軸35やトラクタ車体6の後部に接触することがないようにしている。
【0017】
前記後フレーム23は、角パイプ等によって形成されていて、トラクタ車体6の後部下側を左右方向に通過し、その左右略中央部には、牽引式の作業機を装着するドローバー38を着脱自在に取り付けるドローバーフレーム39が設けられている。
このドローバーフレーム39は、図1〜図3に示すように、左右一対の側板40と、該側板40を互いに連結する上板41及び下板42とを有している。左右側板40の上部及び下部は前方に延長されていて、この上下延長部40A、40Bによって後フレーム23を挟み込むようになっており、上延長部40Aの下縁、下延長部40Bの上縁、及び側板40の前縁が後フレーム23の外周面に溶接にて固着されている。
【0018】
上板41は、後フレーム23の後面下部から後方に延びるように配置され、その前端縁が後フレーム23の後端面に溶接にて固着され、左右両端部が側板40に溶接にて固着されている。下板42は、上板41の下側に所定間隔をおいて配置されるとともに、その左右両端部が側板40に溶接で固着されている。
そして、左右側板40及び上下板41,42によって囲まれる筒内にドローバ38の前端部が挿入されるようになっており、上下板41,42及びドローバ38を上下に貫通する連結ピン43によって、ドローバー38が左右揺動自在に且つ着脱自在にドローバーフレーム39に取り付けられるようになっている。
【0019】
上記のようにドローバーフレーム39を後フレーム23に取り付けることによって、ドローバー38に装着した作業機からの荷重をこの後フレーム23によって受け持つことができるため、従来技術のように、トラクタ車体6にドローバーフレーム39を設けるためにトラクタ車体6の強度を高める必要がなく、車体重量の増加やコスト増を抑えることができるようになる。
また、側板40の上下に形成した延長部40A,40Bによって後フレーム23を上下から挟み込むようにすることで、ドローバーフレーム39と後フレーム23との接合強度を高め、両者の接合部に生じるモーメントに抗することができるようになっている。
【0020】
また、ドローバーフレーム39は、後フレーム23と受け部材28の連結部28Aとの前後間に配設されるようになっているため、連結部28Aに連結バー32を連結する際に、該連結バー32とドローバーフレーム39とが干渉するようなことも防止されている。
トラクタ車体6の後部側には、ロータリ耕耘機等の作業機を昇降自在に装着する3点リンク機構が備えられ、この3点リンク機構のトップリンク(図示略)はトラクタ車体6後面の取付ブラケット53を介して着脱自在に取り付けられ、ロワーリンク45及びチェックチェーン(振止部材)46は、後部フレーム23に設けられた取付部材47,48を介して着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0021】
ロワーリンク用の取付部材47は、左右一対の支持板47A,47Bを有し、各支持板47A,47Bに設けたボス部49に対して、ロワーリンク45を上下揺動自在に支持する枢支ピン50が着脱自在に挿通されるようになっている。
一対の支持板47A,47Bのうち左右内側47Aのものはドローバーフレーム39の側板40にて構成されており、これによって部品点数減を図っている。また、左右外側の支持板47Bは、内側の支持板47Aから所定間隔離れて配置されるとともに、連結板51によって内側の支持板47Aと互いに連結されており、この連結板51によって一対の支持板47A,47B間隔を保持し、枢支ピン50の挿脱等に支障がないように配慮されている。
【0022】
外側の支持板47Bの前端上下には、前方へ延長された上下延長部52A,52Bを備え、この上下延長部52A,52Bによって後フレーム23を上下から挟み込むとともに、上延長部52Aの下縁、下延長部52Bの上縁及び支持板47Bの前縁がそれぞれ後フレーム23の外周面に溶接にて固着されるようになっており、これよって外側の支持板47Bと後フレーム23との接合強度が高められている。
上記のように、ロワーリンク45の枢支ピン50を一対の支持板47A,47Bを有する取付部材47によって左右両持ち状に支持しているため、枢支ピン50の端部に付与される応力集中を少なくし、歪み、変形等を防止することができ、枢支ピン50を取付部材47に対して着脱自在とすることで、交換等を枢支ピン50単独で行えるようになっている。
【0023】
チェックチェーン46は、後端がロワーリンク45の前後中途部に接続され、前端が取付部材48に上下揺動自在に取り付けられるようになっている。この取付部材48は、後フレーム23の左右両端後面に固着された補強板55に対して後方突出状に取り付けられた板材よりなり、その後端部に、チェックチェーン46の枢支ピン46Aが挿通する支持孔48Aを形成している。
このように、ロワーリンク45とチェックチェーン46の取付部材47,48が共に後フレーム23に設けられているため、これらの枢支ピン50,46Aの芯X合わせ(ボス部49と支持孔48Aとの芯X合わせ)を、装着フレーム20の組立て工程において治具等を用いて容易且つ正確に行えるようになっている。
【0024】
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。
例えば、ドローバーフレーム39,取付部材47,48は、後部フレーム23に対して溶接ではなくボルト等の締結具を用いて取り付けるようにしてもよく、ロワーリンク45用の取付部材47の支持板47Aとドローバーフレーム39の側板40とを兼用しているが、これらを別体として設けても良い。
後部作業機3としては、バックホーに限らず他の作業機としてもよく、また、本発明は、前部側のフロントローダ2の有無によって限定されるものではない。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、バックホー等の後部作業機を装着する装着フレームに対してドローバーフレームを設けることにより、牽引式の作業機からの荷重を直接的にトラクタ車体に加えるのを防止し、これによって車体重量増やコスト増等を抑えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる作業機装着装置の要部を示す側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同背面図である。
【図4】後部作業機の連結部分を示す側面図である。
【図5】トラクタ(TLB)の全体側面図である。
【図6】従来技術にかかる作業機装着装置の要部を示す側面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
3 バックホー(後部作業機)
6 トラクタ車体
20 装着フレーム
23 後フレーム
26 バックホー装着部
28A 連結部
31 連結バー(被装着具)
38 ドローバー
39 ドローバーフレーム
45 ロワーリンク
46 チェックチェーン
47 取付部材
48 取付部材
50 枢支ピン
Claims (3)
- トラクタ車体(6)に後部作業機(3)を装着する装着フレーム(20)を備え、この装着フレーム(20)は、トラクタ車体(6)の後部下側に配設された左右方向に延伸する後フレーム(23)と、この後フレーム(23)の後方に配置されていて前記後部作業機(3)側の左右被装着具(32)が連結される左右連結部(28A)とを有し、
前記後フレーム(23)に、左右連結部(28A)間でドローバー(38)を取り付けるドローバーフレーム(39)と、このドローバーフレーム(39)の左右両側に配置されていてロアーリンク(45)を着脱自在に連結する枢支ピン(50)を両持ち状に取り付ける左右一対の取付部材(47)と、このロアーリンク(45)の取付部材(47)の外側方に配置されていてチェックチェーン(46)の端部を揺動自在に取り付ける取付部材(48)とを備えており、
前記左右各取付部材(47)は枢支ピン(50)を両持ち支持する一対の支持板(47A、47B)を有し、ドローバーフレーム(39)側の支持板(47A)はドローバーフレーム(39)の側板で構成されていることを特徴とするトラクタの作業機装着装置。 - 前記支持板(47A、47B)を連結板(51)で間隔を保持して連結していることを特徴とする請求項1に記載のトラクタの作業機装着装置。
- 前記チェックチェーン(46)の取付部材(48)を後フレーム(23)の後面に固着の補強板(55)に対して後方突出状に取り付けていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクタの作業機装着装置。
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