JP3636236B2 - 含ケイ素高分子化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱、耐燃焼材料として、また炭素材料等として有用な含ケイ素高分子化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、耐熱性のポリマーに関する研究が盛んであり、ポリイミドに代表される種々の炭素系ポリマーが研究されてきたが、ケイ素系ポリマーに関しては、シリコーンを除くと研究例は少ない。本発明者らは、主鎖にエチニレン基、芳香族基、シリレン基を有するポリマーが高い耐熱性を有することに注目した。Si−C≡C結合を形成する反応としては、ハロシランとエチニル化合物との反応、ヒドロシランとエチニル化合物との脱水素反応、ハロシランとエチニル化合物のグリニャール試薬との反応がしられている。まずハロシランとエチニル化合物との反応例としては、アセチレンとクロロシラン化合物とを金属ナトリウムの存在下に反応させる方法がある(H. Schmidbaur et al. Zeitschrift fuer Naturforschung. Vol. 43b, 49-52 (1988))。金属ナトリウムは取扱いが難しく、ジクロロシラン化合物との反応ではポリシランが副生し、収率が低下する可能性がある。金属ナトリウムの代わりに亜鉛を用いた反応例があるが(畠中ら、第41回有機金属化学討論会予稿集A109(p25-27))、この場合クロロシラン化合物では反応せず、ヨードシラン化合物を用いなければならない。ヨードシラン化合物はクロロシラン化合物に比べて合成例が少なく、合成もクロロシラン化合物のように容易ではないので工業的には適さない。その後畠中らはクロロシラン化合物を原料に、亜鉛−銅合金および鉛もしくは塩化鉛の共存下、アセトニトリルを溶媒に用いることでハロシランとエチニル化合物との脱ハロゲン化水素反応が進行することを報告している(H. Sugita et al. Tetrahedron Letters. Vol. 36, 2769-2772 (1995))。
また、この合成法を応用して、含ケイ素高分子化合物を得ている(畠中ら、第42回有機金属化学討論会予稿集A214(p130-131))。例えば化学式(5)(化7)
【0003】
【化7】
である。しかしながら得られる高分子化合物の収率および分子量は低く、実用のためにはさらに改良が必要である。次に脱水素反応の例として、ヒドロシラン化合物とエチニル化合物とを白金やイリジウムなどの遷移金属触媒の存在下で反応させている例がある(M. G. Voronkov et al. Journal of Organometallic Chemistry Vol. 264, 39-48 (1984)等)。しかしながらビニルシランが副生するためエチニルシランの収率が低下してしまう。また銅−アミン系触媒を用いて含ケイ素高分子化合物を合成している例があるが(H. Q. Liu et al. Canadian Journal of Chemistry Vol. 68, 1100-1105 (1990))、この例ではアミンの除去が困難で、水分が存在するとシロキサンが生成してしまう。
【0004】
一方本発明者らが提案しているマグネシアを用いる方法(特開平 5−345825)では収率よく含ケイ素高分子化合物を合成できるが、原料であるヒドロシラン化合物を得るには、クロロシランを還元する工程がはいるので、工業的にはプロセスが一段階増えてしまい経済的ではない。次にハロシランとエチニル化合物のグリニャール試薬との反応例としては、本発明者らが提案している方法があるが(特開平7−102069)、この場合においてもグリニャール化合物の製造工程がはいるので、工業的にはプロセスが一段階増えてしまい経済的ではないという問題がある。
【0005】
また、脱水素反応ではないが、パラジウム−銅−アミン系触媒を用いて、ジエチニルオリゴシリレンとジハロベンゼンまたはジハロチオフェンから合成している例がある(C.H.Yuan et al.,Applied Organometallic Chemistry Vol.8,423〜430(1994))。この方法もまた、アミンが存在するためにシロキサンが生成する恐れがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、ジエチニル化合物と入手容易なジクロロシラン化合物から、目的とする含ケイ素高分子化合物を、取扱いの容易な金属を用いてしかも簡略なプロセスで製造することを課題とし、これにむかって鋭意努力し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、化学式(1)(化8)
【0008】
【化8】
(式中、R1は水素原子または炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表されるジクロロシラン化合物と、化学式(2)(化9)
【0009】
【化9】
(式中、R2 は炭素数6から30のフェニレン基やナフチレン基などの二価の芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表されるジエチニル化合物とを、亜鉛、パラジウム化合物、銅化合物およびトリアルキルアミンの存在下で反応させることを特徴とする化学式(3)(化10)
【0010】
【化10】
(式中、R1は水素原子または炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。R2は炭素数6から30のフェニレン基やナフチレン基などの二価の芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表される含ケイ素高分子化合物の製造方法である。
【0011】
また本発明は、化学式(1) (式中、R1は水素原子または炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表されるジクロロシラン化合物と、化学式(2) (式中、R2は炭素数6から30のフェニレン基やナフチレン基などの二価の芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表されるジエチニル化合物とを、亜鉛、パラジウム化合物、銅化合物およびトリアルキルアミンの存在下に、活性水素を有しない溶媒中または無溶媒で反応させ、次いで化学式(4)(化11)
【0012】
【化11】
(式中、R3は炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基、炭素数0から30のシリル基であって、これらはハロゲン原子、アミノ基、アルコキシ基、などの置換基を含んでいてもよい。Lは水素原子またはリチウム、ナトリウム、カリウムのいずれかの元素である。)で表される化合物で処理することを特徴とする化学式(3) (式中、R1は水素原子または炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。R2は炭素数6から30のフェニレン基やナフチレン基などの二価の芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表される含ケイ素高分子化合物の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における化学式(1) (式中、R1は水素原子または炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表されるジクロロシラン化合物を例示すれば、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、メチルジクロロシラン(MeSiCl2H)、エチルジクロロシラン(EtSiCl2H)、シクロペンチルジクロロシラン(c−C5H9SiCl2H)、シクロヘキシルジクロロシラン(c−C6H11SiCl2H)、n−ヘキシルジクロロシラン(n−C6H11SiCl2H)、n−ドデシルジクロロシラン(n−C12H25SiCl2H)、クロロメチルジクロロシラン(CClH2SiCl2H)、ジクロロメチルジクロロシラン(CCl2HSiCl2H)、トリクロロメチルジクロロシラン(CCl3SiCl2H)、トリフルオロメチルジクロロシラン(CF3SiCl2H)、3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン(CF3(CH2)2SiCl2H)、メトキシメチルジクロロシラン(CH3OCH2SiCl2H)、3−メトキシプロピルジクロロシラン(CH3O(CH2)3SiCl2H)、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルジクロロシラン(Et2N(CH2)3SiCl2H)、ビニルジクロロシラン(CH2=CHSiCl2H)、アリルジクロロシラン(CH2=CHCH2SiCl2H)、エチニルジクロロシラン(CH≡CSiCl2H)、プロパルギルジクロロシラン(CH≡CCH2SiCl2H)、フェニルジクロロシラン(PhSiCl2H)、4−トルイルジクロロシラン(化学式(6))(化12)
【0014】
【化12】
、4−エチニルフェニルジクロロシラン(化学式(7))(化13)
【0015】
【化13】
、メシチルジクロロシラン(化学式(8))(化14)
【0016】
【化14】
、ベンジルジクロロシラン(PhCH2SiCl2H)、2−フェニルエチルジクロロシラン(Ph(CH2)2SiCl2H)、3−フェニルプロピルジクロロシラン(Ph(CH2)3SiCl2H)、3−ブロモフェニルジクロロシラン(化学式(9))(化15)
【0017】
【化15】
、4−クロロメチルフェニルジクロロシラン(化学式(10))(化16)
【0018】
【化16】
、4−シリルフェニルジクロロシラン(化学式(11))(化17)
【0019】
【化17】
、3−(4−メトキシフェニル)プロピルフェニルジクロロシラン(化学式(12))(化18)
【0020】
【化18】
などが挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる化学式(2) (式中、R2は炭素数1から30のアルキレン基、炭素数2から30のアルケニレン基、アルキニレン基、炭素数6から30のフェニレン基やナフチレン基などの二価の芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表されるジエチニル化合物の例を挙げれば、化学式(13)(化19)
【0022】
【化19】
、化学式(14)(化20)
【0023】
【化20】
、化学式(15)(化21)
【0024】
【化21】
、化学式(16)(化22)
【0025】
【化22】
、化学式(17)(化23)
【0026】
【化23】
、化学式(18)(化24)
【0027】
【化24】
、化学式(19)(化25)
【0028】
【化25】
、化学式(20)(化26)
【0029】
【化26】
、化学式(21)(化27)
【0030】
【化27】
、化学式(22)(化28)
【0031】
【化28】
、化学式(23)(化29)
【0032】
【化29】
、化学式(24)(化30)
【0033】
【化30】
、化学式(25)(化31)
【0034】
【化31】
、化学式(26)(化32)
【0035】
【化32】
、化学式(27)(化33)
【0036】
【化33】
、化学式(28)(化34)
【0037】
【化34】
などが挙げられる。
【0038】
本発明により製造される含ケイ素高分子化合物は、上に挙げたようなジクロロシラン化合物とジエチニル化合物から、その含ケイ素高分子化合物の構造に対応する各々の化合物を選び、反応させることにより製造することができる。
【0039】
本発明に用いられるパラジウム化合物は、例えば (PPh3)2PdCl2、PdCl2[Ph2PCH2CH2PPh2、PdCl2(PhCN)2、Pd(NH3)2Cl2、(CH3CO2)2Pd(PPh3)2などがあげられる。銅化合物としてはハロゲン化銅が好ましく、具体的には CuI、CuBr、CuCl である。トリアルキルアミンの例としては、(C2H5)3N、(CH3)3N、(C4H9)3N などである。
【0040】
本発明に用いられる化学式(4)(式中、R3は炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基、炭素数0から30のシリル基であって、これらはハロゲン原子、アミノ基、アルコキシ基、などの置換基を含んでいてもよい。Lは水素原子またはリチウム、ナトリウム、カリウムのいずれかの元素である。)で表される化合物のR3の中で、炭素数1から30のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等があり、炭素数2から30のアルケニル基の具体例としては、アリル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、4−ペンチル基、5−ヘキシル基等がある。また炭素数2から30のアルキニル基の具体例としては、2−プロピニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基等があり、炭素数6から30の芳香族基の具体例としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントラセニル基等がある。また、炭素数0から30のシリル基の具体例としては、シリル基、メチルシリル基、トリメチルシリル基、ジヘキシルシリル基、フェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等がある。
【0041】
化学式(3)(式中、R1は水素原子または炭素数1から30のアルキル基、炭素数2から30のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から30のフェニル基やナフチル基などの芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。R2は炭素数6から30のフェニレン基やナフチレン基などの二価の芳香族基であって、これらはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの置換基を含んでいてもよい。)で表される含ケイ素高分子化合物とは、繰り返し単位中に少なくとも1個のSi−H結合と2個のC≡C結合を有するものであって、この繰り返し部分が少なくとも全高分子の1/3以上を占める。
【0042】
次に本発明における含ケイ素高分子化合物の製造方法について述べる。本発明は、ジクロロシラン化合物とジエチニル化合物とを亜鉛、パラジウム化合物、銅化合物およびトリアルキルアミンの存在下で反応させることが特徴であり、下記の製造法の例のみに限定されるものではない。反応容器内に化学式(1)で表されるジクロロシラン化合物、化学式(2)で表されるジエチニル化合物、亜鉛、パラジウム化合物、銅化合物およびトリアルキルアミンおよび必要に応じて溶媒を仕込む。これらの反応容器への仕込みの順序は特に限定するものではない。これらを同時に、または原料や亜鉛、パラジウム化合物、銅化合物およびトリアルキルアミンないしは両方を反応中に連続してもしくは断続的に反応容器内に供給してもよい。亜鉛は反応前に希塩酸で表面を洗浄し、乾燥したエタノール、次いで乾燥したジエチルエーテルで洗浄して乾燥(真空乾燥等)し、表面を活性化しておくことが好ましい。反応容器内は反応前に高純度窒素、高純度アルゴン等の不活性ガスで置換することが好ましい。反応容器を所定の反応温度に制御しつつ、攪拌しながら所定の時間反応させる。目的の化合物は未反応の亜鉛を濾過し、濾液に所定の後処理を施した後、溶媒等と分離、精製する。
【0043】
反応は無溶媒で行い得るが、活性水素を有しない溶媒中でも行うことが出来る。 例えば、ベンゼン、トルエンやキシレン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリルやベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等を用いてもよい。これらの溶媒は単独でも、2種以上を混合して用いても良い。これらの中で性質面および実用面から好ましいものは、無溶媒またはアセトニトリル99〜50体積%と芳香族系溶媒1〜50体積%の混合溶媒である。
【0044】
溶媒の量はジエチニル化合物1molに対して10〜10000ml、好ましくは100〜8000ml、更に好ましくは500〜5000mlである。
ジクロロシラン化合物の使用量は、ジエチニル化合物1molに対して0.3〜10mol、好ましくは1〜5mol、更に好ましくは1〜3molである。亜鉛の使用量はジエチニル化合物1molに対して1〜30mol、好ましくは1〜20mol、更に好ましくは2〜10molである。
パラジウム化合物の使用量はジエチニル化合物1molに対して0.00001〜0.1mol、好ましくは0.0001〜0.05mol、更に好ましくは0.0005〜0.01molである。
【0045】
銅化合物の使用量はジエチニル化合物1molに対して0.0001〜1mol、好ましくは0.001〜0.5mol、更に好ましくは0.005〜0.1molである。
トリアルキルアミンの使用量はジエチニル化合物1molに対して1〜100mol、好ましくは1〜50mol、更に好ましくは2〜10molである。
反応温度は0〜300℃、好ましくは0〜200℃である。
反応圧力は減圧、常圧、加圧いずれでもよいが、常圧〜5kg/cm2(ゲージ圧力)が好ましい。
反応時間は仕込んだ原料や溶媒の量、反応温度などにより異なるが、0.5〜100時間が適当である。
【0046】
後処理について説明する。反応終了後の液中には未反応の亜鉛、ジクロロシラン化合物が残存している。また生成した含ケイ素高分子化合物の末端にもまだ加水分解性の高いSi−Cl基が残っている。そこで加水分解を防ぐために、まず反応液を濾過し、濾液に化学式(4)で表されるアルコール類またはそのリチウム塩等のアルカリ金属塩、またはアルキルリチウム等の有機金属試薬を少量キャップ剤として加えて、−30〜100℃で数分〜数時間反応させる。 その後、溶媒を減圧留去等の手段により除去して粗生成物を得る。この粗生成物を貧溶媒に分散、沈澱させることにより目的とする含ケイ素高分子化合物を精製することができる。
【0047】
製造された含ケイ素高分子化合物の重量平均分子量は、原料の比率、溶媒の量、溶媒の種類、反応温度等にもよるが、ゲル透過クロマトグラフィー(以下GPCと略称する。)によると、ポリスチレンを基準として200〜1,000,000の範囲にあった。
本発明によれば高収率で高分子量の高分子化合物が得られる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1
ポリ(メチルシリレンエチニレン−1,4−フェニレンエチニレン)の製造例を示す。
70mlのオートクレーブ内にテフロン製の容器を挿入し、磁気攪拌子を設置した。オートクレーブ内を高純度窒素ガスで置換し、メチルジクロロシラン3.45g(30.0mmol)、1,4−ジエチニルベンゼン1.89g(15.0mmol)、亜鉛7.85g(120mmol)、CuI28.6mg(0.15mmol)、Pd(PPh3)2Cl210.5mg(0.015mmol)、トリエチルアミン10mlと、アセトニトリル90体積%、トルエン10体積%の混合溶媒40mlを仕込んだ。亜鉛は仕込む前に希塩酸、乾燥したエタノール、乾燥したジエチルエーテルで洗浄して活性化したものを用いた。オートクレーブを120℃に加温し、7時間攪拌しながら反応を行った。反応中の圧力はゲージ圧で2kg/cm2であった。反応終了後、室温までオートクレーブを冷却した。反応液を高純度窒素ガスで置換したグラスフィルターで濾過し、未反応の亜鉛を除いた。濾液に乾燥したメタノール3mlを加え、1時間室温で攪拌した。溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去すると粘ちょうなオイル状の粗生成物を得た。これを5mlのベンゼンに溶解し、ヘキサン中に分散し沈澱させた。沈澱を濾過、乾燥して収量1.36g(収率54%)で目的とする含ケイ素高分子化合物を得た。含ケイ素高分子化合物は淡黄色の固体で、GPCによる重量平均分子量は24,000、数平均分子量は5,400であった。
【0049】
以下に製造された含ケイ素高分子化合物の分析値を記す。
(1)元素分析(C11H8Si)炭素78.06%(理論値78.52%)、水素4.85%(理論値4.79%)、ケイ素16.50%(理論値16.69%)。
(2)IR(cm-1)3297(w)、2970(w)、2164(s)、1497(m)、1254(m)、1223(m)、1103(m)、880(m)、839(s)、806(m)、741(m)。
2164および839cm-1はSi-H結合の特性振動数である。
(3)1H−NMR(ppm、CDCl3)7.47(s, 4H)、4.62(q, 1H)、0.54(d, 3H)。
7.47ppmはベンゼン環の水素、4.62ppmはSi-Hの水素、0.54ppmはメチル基の水素である。
(4)13C−NMR(ppm、CDCl3)132.0、123.0、106.4、89.5、-2.7。
132.0、123.0ppmはベンゼン環の炭素、106.4、89.5ppmはエチニレン基の炭素、-2.7ppmはメチル基の炭素である。
(5)29Si−NMR(ppm、CDCl3)-60.6。
【0050】
実施例2
ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,4−フェニレンエチニレン)の製造例を示す。
メチルジクロロシランの代わりにフェニルジクロロシラン5.31g(30.0mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行い、淡黄色の固体を収量2.07g(収率60%)で得た。GPCによる重量平均分子量は29,000、数平均分子量は9,600であった。
【0051】
以下に製造された含ケイ素高分子化合物の分析値を記す。
(1)元素分析(C16H10Si)炭素83.14%(理論値83.43%)、水素4.41%(理論値4.38%)、ケイ素12.11%(理論値12.19%)。
(2)IR(cm-1)3071-2962(w)、2163(s)、1497(m)、1430(m)、1237(m)、1117(m)、822(s)、756(m)、697(m)。
【0052】
2163および822cm-1はSi-H結合の特性振動数である。
(3)1H−NMR(ppm、CDCl3)7.80-7.45(m, 9H)、5.12(s, 1H)。
【0053】
7.80-7.45ppmはベンゼン環の水素、5.12ppmはSi-Hの水素である。
(4)13C−NMR(ppm、CDCl3)134.8、132.1、130.7、129.9、128.3、123.0、107.7、88.0。
134.8、130.7、129.9、128.3ppmはフェニル基の炭素、132.1、123.0ppmはフェニレン基の炭素、107.7、88.0ppmはエチニレン基の炭素である。
(5)29Si−NMR(ppm、CDCl3)-63.5。
【0054】
実施例3
ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,3−フェニレンエチニレン)の製造例を示す。
メチルジクロロシランの代わりにフェニルジクロロシラン5.31g(30.0mmol)、1,4−ジエチニルベンゼンの代わりに1,3−ジエチニルベンゼン1.89g(15.0mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行い、淡黄色の固体を収量2.11g(収率61%)で得た。GPCによる重量平均分子量は7,000、数平均分子量は3,200であった。
【0055】
以下に製造された含ケイ素高分子化合物の分析値を記す。
(1)元素分析(C16H10Si)炭素82.45%(理論値83.43%)、水素4.49%(理論値4.38%)、ケイ素11.93%(理論値12.19%)。
(2)IR(cm-1)3070(w)、2162(s)、1591(w)、1476(m)、1430(m)、1167(m)、1115(m)、950(m)、812(s)、735(m)、697(m)、684(m)。
2162および812cm-1はSi-H結合の特性振動数である。
(3)1H−NMR(ppm、CDCl3)7.9-7.3(m, 9H)、5.11(s, 1H)。
7.9-7.3ppmはベンゼン環の水素、5.11ppmはSi-Hの水素である。
(4)13C−NMR(ppm、CDCl3)135.9、134.8、132.9、130.7、129.9、128.4、128.3、122.6、107.2、86.6。
134.8、130.7、129.9、128.3ppmはフェニル基の炭素、135.9、132.9、128.4、122.6ppmはフェニレン基の炭素、107.2、86.6ppmはエチニレン基の炭素である。
(5)29Si−NMR(ppm、CDCl3)-63.5。
【0056】
比較例1
第42回有機金属化学討論会予稿集A214(p130-131)記載の方法に従い、ポリ(フェニルシリレンエチニレン−1,3−フェニレンエチニレン)を製造した。
70mlのオートクレーブ内にテフロン製の容器を挿入し、磁気攪拌子を設置した。オートクレーブ内を高純度窒素ガスで置換し、フェニルジクロロシラン5.31g(30.0mmol)、1,4−ジエチニルベンゼン1.89g(15.0mmol)、亜鉛−銅合金(亜鉛91%、銅5%)7.52gと、アセトニトリル40mlを仕込んだ。亜鉛−銅合金は仕込む前に希塩酸、乾燥したエタノール、乾燥したジエチルエーテルで洗浄して活性化したものを用いた。オートクレーブを100℃に加温し、7時間攪拌しながら反応を行った。反応中の圧力はゲージ圧で2kg/cm2であった。反応終了後、室温までオートクレーブを冷却した。反応液を高純度窒素ガスで置換したグラスフィルターで濾過し、未反応の亜鉛−銅合金を除いた。濾液に乾燥したメタノール3mlを加え、1時間室温で攪拌した。溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去すると粘ちょうなオイル状の粗生成物を得た。これを5mlのベンゼンに溶解し、ヘキサン中に分散し沈澱させた。沈澱を濾過、乾燥して収量1.45g(収率42%)で目的とする含ケイ素高分子化合物を得た。含ケイ素高分子化合物は淡黄色の固体で、GPCによる重量平均分子量は5,700、数平均分子量は3,000であった。
【0057】
【発明の効果】
ジエチニル化合物とジクロロシラン化合物から、耐熱性および耐燃焼性に優れた含ケイ素高分子化合物を簡単なプロセスで製造することが出来る。
Claims (3)
- 化学式(1)(化1)
- 反応を、活性水素を有しない溶媒中または無溶媒で行う請求項1記載の方法。
- 化学式(1)(化4)
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