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JP3632932B2 - カテーテルチューブ - Google Patents

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JP3632932B2
JP3632932B2 JP18186994A JP18186994A JP3632932B2 JP 3632932 B2 JP3632932 B2 JP 3632932B2 JP 18186994 A JP18186994 A JP 18186994A JP 18186994 A JP18186994 A JP 18186994A JP 3632932 B2 JP3632932 B2 JP 3632932B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば心臓、血管、消化管、尿道管、腹腔、胆管、子宮等の身体腔内に挿入して用いられるカテーテルチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
身体腔内に挿入して用いられるカテーテルチューブにおいて、カテーテルチューブの先端を目的とする部位の方向へ向けたり、目的とする部位に位置させたりするために、遠隔操作によりその先端部を湾曲させる湾曲機構(首振り機構)を有するカテーテルチューブが開発されている。特に、内視鏡を構成するカテーテルチューブにおいては、観察部位の視野を選択するために、先端部の湾曲機構は、重要な機構の一つとなっている。
【0003】
従来、このような内視鏡としては、その先端部に、複数の節輪を回動自在に順次連結した湾曲部を設け、先端が該湾曲部に固定されたワイヤーを基端側の操作部にて牽引操作することにより、前記湾曲部を湾曲させる構造のものが用いられていたが、近年、内視鏡の細径化を図るために、節輪を用いない構造の湾曲機構が開発されている。
【0004】
その一例として、チューブの長手方向に沿って複数のルーメンが形成されたマルチルーメンカテーテルの湾曲部を除くルーメン内に、中心部に挿通孔を有し、剛性を有する剛性部材を挿入、固定し、その挿通孔内に湾曲部牽引用のワイヤーを設置した構造のカテーテルチューブがある。この場合、前記剛性部材は、湾曲部と非湾曲部の境界付近でマルチルーメンカテーテルに対して固定されるが、その固定方法としては、チューブ外周に熱収縮チューブを設置し、これを収縮させてチューブ外周を締め付け、ルーメンの横断面形状を変形させて、ルーメンの内周面を剛性付与体の外周面に密着させる方法が採られている。
【0005】
一方、先端部湾曲機構を備えるカテーテルチューブとしては、十分な可撓性(柔軟性)を有し、かつ、その反面で、トルク伝達性、耐潰れ性にも優れていなければならない。トルク伝達性や耐潰れ性を向上させるためには、チューブ材料の選択だけでは限界があり、よって、カテーテルチューブの内部や外周部に補強部材を設置することが提案されているが、この補強部材の設置により、次のような問題が生じる。
【0006】
すなわち、例えば網状の補強部材がカテーテルチューブの外周面を覆うように設置された場合、全てのルーメンが補強部材で囲まれることとなるため、前記剛性部材を挿入するルーメンにおいては、熱収縮チューブでチューブ外周を締め付けてもルーメンの横断面形状が十分に変形せず、該ルーメン内に設置した剛性部材をカテーテルチューブに対し固定することができないか、または固定できたとしても、その固定の強度が弱く、離脱し易い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、適度な柔軟性を有し、トルク伝達性、耐潰れ性に優れるとともに、補強部材が全体に存在することによる弊害を除去することができるカテーテルチューブを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、補強部材を設けたカテーテルチューブにおいて、ルーメン内に配置されるコイル等の部材を容易に固定できるように、潰れ易いルーメンまたはルーメンの潰れ易い部分を設けることが可能なカテーテルチューブを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
【0010】
(1) 可撓性を有するチューブ本体を有し、該チューブ本体の長手方向に沿って、補強部材で囲まれている少なくとも1つの第1のルーメンと、その外周が補強部材で囲まれていない少なくとも1つの第2のルーメンとが形成されていることを特徴とするカテーテルチューブ。
【0011】
(2) 前記第1のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対のルーメンである上記(1)に記載のカテーテルチューブ。
【0012】
(3) 前記第1のルーメンは、その外周が補強部材で囲まれている上記(1)または(2)に記載のカテーテルチューブ。
【0013】
(4) 前記第1のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向する2以上のルーメンからなり、前記補強部材は、前記中心軸を含んでこれらのルーメンを囲むように設けられている上記(1)に記載のカテーテルチューブ。
【0014】
(5) 前記第2のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対のルーメンである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0015】
(6) 可撓性を有するチューブ本体を有し、該チューブ本体の長手方向に沿って、複数のルーメンと、それらを囲むように設置された補強部材とが形成され、
前記補強部材は、補強部材の途中部分においてチューブ本体の長手方向に沿って一部欠損していることを特徴とするカテーテルチューブ。
【0016】
(7) 前記複数のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対の第1のルーメンと、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対の第2のルーメンとを有する上記(6)に記載のカテーテルチューブ。
【0017】
(8) 前記第2のルーメン内に、前記チューブ本体の先端部を湾曲させるためのワイヤーが収納されている上記(1)ないし(5)、(7)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0018】
(9) 前記第2のルーメン内に、前記チューブ本体の先端部を除いて配置された、長手方向に対する抗収縮性を有する抗収縮部材が収納されている上記(8)に記載のカテーテルチューブ。
【0019】
(10) 前記抗収縮部材は、平板状の線材を螺旋状に殆ど隙間なく巻回した平板コイルである上記(9)に記載のカテーテルチューブ。
【0020】
(11) 前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンのうちの少なくとも1つのルーメンの内面を低摩擦材料で構成した上記(1)ないし(5)、(7)ないし(10)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0021】
(12) 前記補強部材は、線状体を交差させて網状に形成した編組体である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0022】
(13) 前記編組体は、前記チューブ本体の先端面に露出しないように配設されている上記(12)に記載のカテーテルチューブ。
【0023】
【実施例】
以下、本発明のカテーテルチューブを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明のカテーテルチューブを内視鏡(ファイバースコープ)に適用した場合の第1の実施例を示す全体側面図、図2は、図1に示すカテーテルチューブの先端部の構成を示す斜視図、図3は、図2中のIII −III 線断面図、図4は、図2中のIV−IV線断面図、図5は、図4中のV−V線断面図、図6は、図4中のVI−VI線断面図、図7は、図4中のVII −VII 線断面図である。以下の説明において、図1〜図4中の右側を「基端」、左側を「先端」という。
【0025】
図1〜図7に示すように、本発明のカテーテルチューブ1Aは、チューブ本体2を有する。このチューブ本体2としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のような可撓性を有する高分子材料で構成され、特に、後述する境界部24での熱変形を可能とするために、ポリ塩化ビニルのような熱可塑性樹脂で構成されているのが好ましい。
【0026】
また、カテーテルチューブ1AをX線透視下で確認できるようにするために、チューブ本体2にX線造影性を付与しておくのが好ましく、その方法としては、例えば、チューブ本体2の構成材料中に例えば硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン等のX線不透過物質を配合する方法、このようなX線不透過物質によるマーカーを埋設または表面に付着する方法等が挙げられる。
【0027】
また、挿入する体腔に対する摺動性を向上するために、チューブ本体2の外表面に、例えば親水性ポリマーやフッ素系樹脂のような低摩擦材料をコーティングしてもよい。
【0028】
チューブ本体2の先端部には、後述するワイヤー操作により湾曲する湾曲部21が形成されており、チューブの基端部23には、湾曲部21の湾曲操作やその他の操作を行う操作具9が設置されている。チューブ本体2の湾曲部21と基端部23との間は、中間部22で構成され、中間部22および基端部23は、後述するワイヤー牽引操作によっては湾曲しないような構造となっている。
【0029】
チューブ本体2の内部には、その長手方向のほぼ全長に渡り、4つのルーメン、すなわち、一対の第1のルーメンと、一対の第2のルーメンとが形成されている。
【0030】
図2、図3および図5に示すように、第1のルーメンであるルーメン31および32は、横断面において、それぞれチューブ本体2の中心軸を介して対向するよう配置されており、両ルーメン31、32の先端は、それぞれ、チューブ本体2の先端面に開放している。
【0031】
ルーメン31には、カテーテルチューブ1Aを挿入する身体腔内を観察する観察器具としての光ファイバー束8が収納されている。この光ファイバー束8は、例えば血管のような管状器官(以下、血管で代表する)の内壁へレーザー光を照射する等の医療処置にも使用することができる。
【0032】
光ファイバー束8は、図5に示すように、送光用ファイバー(ライトガイド)81および受光用ファイバー(イメージファイバー)82で構成されており、これらの光ファイバーを例えばエポキシ、アクリル、シリコーンゴム等の樹脂で固めて束状としたものである。
【0033】
また、光ファイバー束8の先端には、レンズ83が装着され、この部分はルーメン31の先端の開口付近に位置している。なお、光ファイバー束8は、ルーメン31に対し、固定的に設置されていても、摺動可能に設置されていてもよい。
【0034】
操作具8の基端側(図1中右側)の図示しない光源より発せられた光は、送光用ファイバー81内を伝達し、その先端から観察部分へ照射され、その反射光を受光用ファイバー82の先端より取り込み、その映像が該ファイバー82内を伝達され、操作具9の基端側の受像部(図示せず)へと導かれる。
【0035】
ルーメン32は、チューブ本体2の先端へ開放しており、その先端開口より血管内に流体を注入し、あるいは、血管内から流体を吸引することができる。具体的には、この第3ルーメン4は、カテーテルチューブ1Aを挿入、留置した血管内へ薬液等を投与するのに用いられ、あるいは、内視鏡により血管内を観察する場合に、視界の妨げとなる血液を押し出すための透明液体(例えば、生理食塩水、ぶどう糖液)を噴射するフラッシュ用チャンネルとしても用いられる。
【0036】
また、ルーメン31、32は、上記の他、ガイドワイヤーや医療処置、診断具等の挿通用チャンネルとして用いることもできる。医療処置、診断具としては、例えば、鉗子類、細胞診ブラシ、注射針、高周波、超音波、電気水圧衝撃波等を発するプローブ類(結石破砕用)が挙げられる。
【0037】
以上のようなルーメン31、32の外周には、図3、図5、図6および図7に示すように、チューブ本体2のほぼ全長に渡り、ルーメン31、32をそれぞれ囲むように補強部材5が埋設されている。本実施例における補強部材5は、線状体を交差させて網状に形成した編組体で構成されている。この場合、線状体の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金等の金属材料や、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ABS樹脂等の樹脂材料、カーボンファイバー等が挙げられる。この線状体としては、前記材料の単線や、同種または異種材料の繊維束を用いることができる。
【0038】
このように、ルーメン31、32の外周に補強部材5が設置され、補強されているので、チューブ本体2が湾曲したとき、それに伴ってルーメン31、32が閉塞または狭窄し難く、また、チューブ本体2が例えばカテーテルチューブ挿入用のシースに設けられた逆流防止弁等により締め付けられても、ルーメン31、32が潰れることによる閉塞または狭窄が防止される。
【0039】
また、図3に示すように、補強部材5は、線状体がチューブ本体2の先端面に露出しないように配設されているため、カテーテルチューブ1Aの血管への挿入時等において、血管内壁等を傷付けることがなく、安全である。
なお、補強部材5は、ルーメン31、32の外周をそれぞれ2重または3重以上に囲んでいてもよい。
【0040】
図4および図5に示すように、第2のルーメンであるルーメン33および34は、横断面において、それぞれチューブ本体2の中心軸を介して対向するよう、かつルーメン31、32と直行する方向に配置されており、両ルーメン33、34の先端は、それぞれ閉塞している。
【0041】
図4、図6および図7に示すように、ルーメン33、34内には、それぞれ、平板状の線材を螺旋状に殆ど隙間なく巻回した平板コイルよりなる抗収縮部材6が収納されている。この抗収縮部材6は、柔軟性を有し、湾曲は可能であるが、その長手方向には実質的に収縮しない抗収縮性を有しており、後述するワイヤー41、42の牽引に伴うチューブ本体2の収縮を防止する。
【0042】
抗収縮部材6の先端部は、チューブ本体2の湾曲部21と中間部22との境界部24付近まで挿入されており、この境界部24において、固定されている。すなわち、ルーメン33、34の外周部は、前記ルーメン31、32と異なり、補強部材5により囲まれておらず、よって、境界部24の外周面を例えば熱収縮チューブ(図示せず)で被覆した状態で加熱、加圧(締め付け)すると、チューブ本体材料が溶融または軟化し、ルーメン33、34の内腔が狭くなり、ルーメン33、34のチューブ本体外周側の内壁面331、341が変形して、各抗収縮部材6の外周面に押圧、密着し、それらの摩擦力により、各抗収縮部材6の先端部がルーメン33、34に対し固定される。
【0043】
この場合、各抗収縮部材6のルーメン33、34に対し固定される部分の外周面に、微小な凹凸(図示せず)を設け、ルーメン33、34の内面との摩擦力を増大させ、より強固な固定が得られるようにしてもよい。また、ルーメン33、34の内面と各抗収縮部材6の外周面とを接着剤等で接着してもよい。
【0044】
各抗収縮部材6のルーメン33、34に対する固定は、その他の箇所、例えば、チューブ本体2の基端部23においてもなされている。なお、固定箇所および固定面積が多過ぎると、抗収縮部材6の柔軟性が損なわれるため、抗収縮部材6は、先端と基端の2箇所程度で固定されるのが好ましい。
【0045】
なお、本発明では、チューブ本体2を前記熱収縮チューブと同様の材料で構成することもできる。この場合には、境界部24に別途熱収縮チューブを装着せず、チューブ本体2が自ら熱収縮して各抗収縮部材6の固定を行う。
【0046】
また、本発明では、熱収縮チューブを用いた固定方法に限らず、例えば、境界部24において、かしめ部材によるかしめにより各抗収縮部材6を締め付け固定してもよく、この場合にも、前記と同様の効果が得られる。
【0047】
ルーメン33、34の各抗収縮部材6の中心部には、それぞれ挿通孔61が形成されており、これら挿通孔61内には、湾曲部21を牽引して湾曲させるためのワイヤー41、42が挿通されている。ワイヤー41、42は、それぞれの挿通孔61の先端開口より露出し、湾曲部21におけるルーメン33、34内に挿通され、ワイヤー41、42の先端は、チューブ本体2の先端付近、すなわちルーメン33、34の閉塞部25に埋設、固定されている。この場合も、ワイヤー41、42の先端は、前記補強部材5と同様、チューブ本体2の先端面に露出しないように配設されており、前記と同様の効果を有する。
【0048】
ワイヤー41、42の先端は、それぞれ、チューブ本体2の中心軸から偏心した位置に固定されているため、ワイヤー41、42のうちの一方を基端側へ牽引すると、図1中の一点鎖線で示すように、湾曲部21は、その牽引したワイヤー側へ湾曲する。この場合、境界部24および基端部23において抗収縮部材6がチューブ本体2に対し固定されているため、ワイヤー41、42の牽引による中間部22の湾曲は、殆ど生じず、抗収縮部材6が存在しない湾曲部21のみが確実に湾曲する。
【0049】
なお、ワイヤー41、42としては、頻回の牽引操作により断線を生じることがない程度の強度および耐久性を有し、また、伸びの少ないものが好ましく、例えばステンレス鋼、超弾性合金等の金属線や、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリイミド等の高張力樹脂繊維、カーボンファイバー等による単線や繊維束が挙げられる。
【0050】
また、ワイヤー41、42の外径は、その構成材料やチューブ本体2の横断面形状、寸法、構成材料等の諸条件により異なるが、ワイヤー41、42を例えばポリアリレートの繊維束で構成した場合、その外径は、30〜500μm 程度、特に、50〜300μm 程度とするのが好ましい。
【0051】
抗収縮部材6の構成材料としては、例えば、ステンレス、炭素鋼、銅または銅合金等の金属材料や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の各種樹脂が挙げられる。
【0052】
また、抗収縮部材6の厚さは、その構成材料やチューブ本体2の横断面形状、寸法、構成材料等の諸条件により異なるが、例えば平板コイルに用いる線材が長方形断面のステンレス材である場合、その厚さは、20μm 〜1mm程度、特に、50〜300μm 程度とするのが好ましい。
【0053】
なお、抗収縮部材6の平板コイルは、一層一条巻きに限られるものではなく、複数層、複数条巻きであってもよい。
【0054】
図1に示すように、カテーテルチューブ1Aの基端側に接続された操作具9は、操作具本体91を有し、該操作具本体91の先端部に形成されたマニホールド部92よりチューブ本体2の基端部23が挿入されている。また、操作具本体91の基端側には、把持部93が形成されており、該把持部93の基端部には、内視鏡の光ファイバー束8を前記ルーメン31へ挿入するためのコネクタ94が装着されている。また、把持部93には、斜め方向に分岐した分岐部95が形成され、該分岐部95の端部には、前記ルーメン32へ例えば液体を注入するコネクタ96が装着されている。コネクタ94およびルーメン31、コネクタ96およびルーメン32は、操作具本体91内で、それぞれ、図示しない管路により接続されている。
【0055】
操作具本体91のマニホールド部92と把持部93との間には、ワイヤー41、42を牽引操作する操作ダイヤル97が回転可能に支持されている。この操作ダイヤル97の回転軸には、図示しない巻き取りリールが固着され、操作ダイヤル97と一体的に回転する。ワイヤー41、42の基端側は、それぞれ、ルーメン33、34の基端から露出して操作具本体91内を通り、前記巻き取りリールに互いに反対方向に巻き付けられている。これにより、操作ダイヤル97を例えば図1中時計回りに回転すると、ワイヤー42が牽引され、ワイヤー41が弛緩して湾曲部21が図1および図4中上方へ湾曲し、操作ダイヤル97を前記と逆方向に回転すると、ワイヤー41が牽引され、ワイヤー42が弛緩して湾曲部21が図1および図4中下方へ湾曲する。
【0056】
図8は、本発明のカテーテルチューブの第2の実施例を示す横断面図である。以下、同図に示すカテーテルチューブ1Bについて、前記カテーテルチューブ1Aと異なる点について説明する。
【0057】
カテーテルチューブ1Bにおいては、ルーメン31および32の内面に、それぞれ、低摩擦材料で構成された被覆層71および72が設けられ、これらの被覆層71、72の外周を囲むように前述した補強部材5が設けられている。このような構成とすることにより、光ファイバー束8をルーメン31内で軸方向に摺動させまたは回転させる場合や、前述した医療処置、診断具をルーメン31内に挿入する際に、摺動抵抗が減少し、これらの操作をより円滑に行うことができる。
【0058】
被覆層71、72の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂等が挙げられる。
また、被覆層71、72の厚さは、特に限定されず、その構成材料やチューブ本体2の外径、形状によっても異なるが、通常は、0.1〜500μm 程度、特に10〜200μm 程度とするのが好ましい。
【0059】
なお、チューブ本体2自体が前述したような低摩擦材料で構成されている場合には、被覆層71、72の形成は不要である。
【0060】
図9は、本発明のカテーテルチューブの第3の実施例を示す横断面図である。以下、同図に示すカテーテルチューブ1Cについて、前記カテーテルチューブ1Aと異なる点について説明する。
【0061】
カテーテルチューブ1Cは、補強部材5の配置が前記と異なっている。すなわち、図9に示すように、補強部材5は、ルーメン31および32と、チューブ本体2の中心軸とを囲むように配設されている。
このような構成によれば、補強部材5の存在により、チューブ本体2の回転操作におけるトルク伝達性が向上する。
【0062】
なお、上記カテーテルチューブ1A〜1Cにおいて、第1のルーメンの一部に、補強部材5で囲まれていない部分があってもよく、また、第2のルーメンの一部に、補強部材5で囲まれた部分があってもよい。
【0063】
図10は、本発明のカテーテルチューブの第4の実施例を示す部分斜視図、図11は、図10中のXI−XI線断面図、図12は、図10中のXII −XII 線断面図である。以下、これらの図に示すカテーテルチューブ1Dについて、前記カテーテルチューブ1Aと異なる点について説明する。
【0064】
カテーテルチューブ1Dにおいては、可撓性を有するチューブ本体2には、前記と同様の4つのルーメン31〜34が形成されており、それらの全てのルーメン31〜34を囲むように、すなわちチューブ本体2の外周面付近に前記と同様の編組体よりなる補強部材5が埋設されている。この場合、補強部材5は、チューブ本体2のほぼ全長に渡って配設されているが、チューブ本体2の先端付近および補強部材5の途中部分である境界部24においては、部分的に欠損している。
【0065】
補強部材5がチューブ本体2の先端付近において欠損していることにより、線状体がチューブ本体2の先端面に露出せず、カテーテルチューブ1Dの血管への挿入時等において、血管内壁等を傷付けることがなく、安全である。
【0066】
また、図12に示すように、補強部材5が境界部24において欠損していることにより、前述したように、境界部24の外周面を例えば熱収縮チューブで締め付けて、各抗収縮部材6をそれらが収納されたルーメン33、34に対し確実に固定することができる。なお、このような補強部材5の欠損部分において、ルーメン31の内壁を変形させて光ファイバー束8をルーメン31の内面に密着固定させることもできる。
【0067】
このようなカテーテルチューブ1Dでは、補強部材5がチューブ本体2の中心軸を囲むように配設されているため、チューブ本体2の回転操作におけるトルク伝達性がさらに向上する。
【0068】
本発明のカテーテルチューブにおいては、第1のルーメンおよび第2のルーメンの数や配置は、図示の構成のものに限定されず、例えば、図示のルーメン31〜34に加え、他の1または2以上のルーメンが付加されているものであってもよい。例えば、チューブ本体2の先端部に、作動流体により拡張、収縮するバルーン(図示せず)を設けたバルーンカテーテルとした場合、バルーン内へ作動流体を供給するためのルーメンを付加することができる。この作動流体供給用のルーメンは、閉塞を防止するために、補強部材5で囲まれているのが好ましい。
【0069】
また、補強部材5としては、図示のごとき編組体に限らず、例えば、線状体をコイル状に巻回したもの、板状のもの等であってもよい。
【0070】
以下、本発明のカテーテルチューブを具体的実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0071】
(実施例1)
図1〜図7に示す構造のカテーテルチューブ1Aを以下の方法で製作した。
各ルーメン31〜34となる内腔をそれぞれ有する4本のルーメンチューブを芯金の外面上に形成し、そのうちの2本の外周に編組体(補強部材5)を巻き付けた。
【0072】
次に、内腔に芯金が挿入された前記4本のルーメンチューブを所望の配置で束ね、さらに、これらを各ルーメンチューブと同様の樹脂材料で横断面が円形となるように固めた。
【0073】
次に、ルーメン33、34よりそれぞれ芯金を抜き取り、それらのルーメンに平板コイル(抗収縮部材6)を挿入し、さらに、各平板コイルの挿通孔内にワイヤー41、42を挿通した。
【0074】
ワイヤー41、42の先端をルーメン33、34の先端部に位置させた状態で、チューブ本体先端を加熱加工し、ルーメン33、34の先端を閉塞するとともに、ワイヤー41、42の先端を固定した。
【0075】
各平板コイルの先端部を境界部24に一致させた状態で、境界部24に熱収縮チューブを巻き付け、200℃の熱風で熱収縮させて、ルーメン33、34を図6に示すように変形させ、各平板コイルをルーメン33、34に対し固定した。
【0076】
次に、ルーメン31、32よりそれぞれ芯金を抜き取り、ルーメン31内に光ファイバー束8を挿入して、本発明のカテーテルチューブを得た。
【0077】
最後に、カテーテルチューブの基端部に図1に示す構成の操作具9を装着して、内視鏡を構成した。
このようにして得られた内視鏡用カテーテルチューブの諸条件は、次の通りである。
【0078】
<チューブ本体>
構成材料:軟質ポリ塩化ビニル(タングステンフィラー含有)
外径:2.5mm
全長:約50cm
ルーメン数:4本
操作ワイヤーおよび平板コイル収納用ルーメン:2本(内径0.5mm)
光ファイバー束収納用ルーメン:1本(内径1.0mm)
医療処置、診断具収納用ルーメン:1本(内径1.0mm)
【0079】
<平板コイル>
構成材料:ステンレス鋼
構造:一条一層密着巻き
外径:約0.5mm
内径:約0.25mm
【0080】
<ワイヤー>
構成材料:ポリアリレート製撚り糸
本数:2
外径:約0.2mm
【0081】
<編組体>
素線構成材料:ステンレス鋼
素線数:各16本(右巻き8本、左巻き8本)
素線径:0.05mm
【0082】
<光ファイバー束>
構成:イメージファイバー(直径約3μm の石英ファイバー約2000本)
ライトガイド(直径約50μm の石英ファイバー25本)
外径:約0.9mm
【0083】
(実施例2)
図8に示す構造のカテーテルチューブ1Bを以下の方法で製作した。
ルーメン31、32となる内腔を有するルーメンチューブ2本と、ルーメン33、34となる内腔を有するルーメンチューブ2本を用意した。前者の2本は、2層構造のチューブであり、内層は、ポリテトラフルオロエチレンで構成されている。
【0084】
ルーメン31、32となる内腔を有するルーメンチューブ2本の外周に、それぞれ、編組体(補強部材5)を巻き付けた。
以下、前記実施例1と同様にして、本発明のカテーテルチューブを製造し、最後に、カテーテルチューブの基端部に図1に示す構成の操作具9を装着して、内視鏡を構成した。
【0085】
このようにして得られた内視鏡用カテーテルチューブの諸条件は、実施例1と同様である。
【0086】
(実施例3)
図9に示す構造のカテーテルチューブ1Cを以下の方法で製作した。
ルーメン31、32となる内腔を有するルーメンチューブ2本と、ルーメン33、34となる内腔を有するルーメンチューブ2本を用意した。
【0087】
次に、ルーメン31、32となる内腔を有するルーメンチューブ2本を束ね、その外周に編組体(補強部材5)を巻き付けた。
【0088】
このルーメン31、32の束と他の2本のルーメンチューブとを所望の配置で束ね、さらに、これらを各ルーメンチューブと同様の樹脂材料で横断面が円形となるように固めた。
【0089】
以下、前記実施例1と同様にして、本発明のカテーテルチューブを製造し、最後に、カテーテルチューブの基端部に図1に示す構成の操作具9を装着して、内視鏡を構成した。
このようにして得られた内視鏡用カテーテルチューブの諸条件は、実施例1と同様である。
【0090】
(実施例4)
図10〜図12に示す構造のカテーテルチューブ1Dを以下の方法で製作した。
芯金の外面上に形成され、各ルーメン31〜34となる内腔をそれぞれ有する4本のルーメンチューブを用意し、これらを所望の配置で束ねた。
【0091】
次に、各ルーメンチューブの束の回りに、編組体(補強部材5)を巻き付け、さらに、各ルーメンチューブと同様の樹脂材料をコーティングして編組体を固定した。続いて、境界部24となる部分の編組体およびコーティングされた樹脂材料を切り取った。
【0092】
次に、各ルーメンチューブを同様の樹脂材料で横断面が円形となるように被覆、固定した。
以下、前記実施例1と同様にして、本発明のカテーテルチューブを製造し、最後に、カテーテルチューブの基端部に図1に示す構成の操作具9を装着して、内視鏡を構成した。
【0093】
このようにして得られた内視鏡用カテーテルチューブの諸条件は、実施例1と同様である。
【0094】
上記実施例1〜4の各カテーテルチューブについて、操作具9の操作ダイヤル97を回転操作して、湾曲部21を湾曲させたところ、いずれも良好に湾曲操作がなされ、ルーメンの潰れによる閉塞、狭窄も生じなかった。
【0095】
次に、上記実施例1〜4の各カテーテルチューブについて、境界部24における平板コイルの固定強度を調べた。その測定方法は、カテーテルチューブを中間部21の任意の位置で切断し、平板コイルのみを先端方向に押し込み、その押込力を測定することにより行った。
【0096】
測定の結果、実施例1〜4の各カテーテルチューブは、いずれも、3.0kgf 以上の押込力が得られ、境界部24において平板コイルが強固に固定されていることが確認された。
【0097】
次に、上記実施例1〜4の各カテーテルチューブについて、回転操作におけるトルク伝達性を調べた。その測定方法は、カテーテルチューブを直線状に伸ばした状態で、その基端側を回転させ、先端部に発生する回転力をトルクゲージにて測定することにより行った。
【0098】
測定の結果、実施例3および4のカテーテルチューブは、特に優れたトルク伝達性を有していた。
【0099】
以上、本発明のカテーテルチューブを図示の各実施例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明のカテーテルチューブの用途も、前述した内視鏡用に限らず、例えば、アブレーションカテーテル等に適用することもできる。
【0100】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のカテーテルチューブによれば、補強部材の設置により、優れたトルク伝達性およびルーメンの耐潰れ性を確保しつつ、ルーメン内に挿入された平板コイルのような部材をチューブ外周面より締め付けて強固に固定することができる。
【0101】
特に、補強部材が、チューブ本体の中心軸を含んで所定のルーメンを囲むように設けられている場合には、トルク伝達性がさらに向上する。
【0102】
また、ルーメンの内面を低摩擦材料で構成した場合には、そのルーメン内に挿入される光ファイバー束や医療処置、診断具等の摺動抵抗が減少し、これらの挿入操作や移動、回転等をより円滑に行うことができる。
【0103】
また、補強部材を編組体とした場合には、軽量でかつ高い補強効果が得られ、カテーテルチューブの細径化にとって有利である。この場合、編組体がチューブ本体の先端面に露出しないように配設されていれば、カテーテルチューブの身体腔内への挿入時等に際し、身体腔の内壁等を傷付けることがなく安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカテーテルチューブの第1の実施例を示す全体側面図である。
【図2】図1に示すカテーテルチューブの先端部の構成を示す斜視図である。
【図3】図2中のIII −III 線断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線断面図である。
【図5】図4中のV−V線断面図である。
【図6】図4中のVI−VI線断面図である。
【図7】図4中のVII −VII 線断面図である。
【図8】本発明のカテーテルチューブの第2の実施例を示す横断面図である。
【図9】本発明のカテーテルチューブの第3の実施例を示す横断面図である。
【図10】本発明のカテーテルチューブの第4の実施例を示す部分斜視図である。
【図11】図10中のXI−XI線断面図である。
【図12】図10中のXII −XII 線断面図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D カテーテルチューブ
2 チューブ本体
21 湾曲部
22 中間部
23 基端部
24 境界部
25 閉塞部
31〜34 ルーメン
331、341 内壁面
41、42 ワイヤー
5 補強部材
6 抗収縮部材
61 挿通孔
71、72 被覆層
8 光ファイバー束
81 送光用ファイバー
82 受光用ファイバー
83 レンズ
9 操作具
91 操作具本体
92 マニホールド部
93 把持部
94 コネクタ
95 分岐部
96 コネクタ
97 操作ダイヤル

Claims (13)

  1. 可撓性を有するチューブ本体を有し、該チューブ本体の長手方向に沿って、補強部材で囲まれている少なくとも1つの第1のルーメンと、その外周が補強部材で囲まれていない少なくとも1つの第2のルーメンとが形成されていることを特徴とするカテーテルチューブ。
  2. 前記第1のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対のルーメンである請求項1に記載のカテーテルチューブ。
  3. 前記第1のルーメンは、その外周が補強部材で囲まれている請求項1または2に記載のカテーテルチューブ。
  4. 前記第1のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向する2以上のルーメンからなり、前記補強部材は、前記中心軸を含んでこれらのルーメンを囲むように設けられている請求項1に記載のカテーテルチューブ。
  5. 前記第2のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対のルーメンである請求項1ないし4のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
  6. 可撓性を有するチューブ本体を有し、該チューブ本体の長手方向に沿って、複数のルーメンと、それらを囲むように設置された補強部材とが形成され、前記補強部材は、補強部材の途中部分においてチューブ本体の長手方向に沿って一部欠損していることを特徴とするカテーテルチューブ。
  7. 前記複数のルーメンは、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対の第1のルーメンと、前記チューブ本体の中心軸を介して対向するよう配置された一対の第2のルーメンとを有する請求項6に記載のカテーテルチューブ。
  8. 前記第2のルーメン内に、前記チューブ本体の先端部を湾曲させるためのワイヤーが収納されている請求項1ないし5、7のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
  9. 前記第2のルーメン内に、前記チューブ本体の先端部を除いて配置された、長手方向に対する抗収縮性を有する抗収縮部材が収納されている請求 項8に記載のカテーテルチューブ。
  10. 前記抗収縮部材は、平板状の線材を螺旋状に殆ど隙間なく巻回した平板コイルである請求項9に記載のカテーテルチューブ。
  11. 前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンのうちの少なくとも1つのルーメンの内面を低摩擦材料で構成した請求項1ないし5、7ないし10のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
  12. 前記補強部材は、線状体を交差させて網状に形成した編組体である請求項1ないし11のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
  13. 前記編組体は、前記チューブ本体の先端面に露出しないように配設されている請求項12に記載のカテーテルチューブ。
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