JP3632991B2 - トラクタの操向旋回装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、トラクタの操向旋回装置に関する。操向旋回時にハンドルの操向に連動して、前輪増速、操向ブレーキ、及び作業機の上昇等を自動的に行わせるものである。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
操向旋回時にハンドルの操向に連動して、後輪操向ブレーキ5を効かせる形態では、ブレーキ力の圧力によっては円滑な旋回を行い難い。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、畔際等での旋回を円滑に行わせることができる装置を提供せんとするものであり、次のような技術的手段を講じた。
即ち、ステアリングハンドル1の前輪2操向角が所定角度以上に操作されると自動的にリフトアーム3を上昇させると共に前輪増速装置4を増速位置に切替えて前輪2を後輪13よりも高速で回転させ、且つ旋回内側の後輪操向ブレーキ5の制動を自動で行わせるように構成したトラクタの操向旋回装置において、後輪操向ブレーキ5を制動するブレーキアーム19と左右一対のブレーキペダル17,17とを夫々ロッド18,18を介して連動連結し、ブレーキペダル17,17の踏み込みによって後輪操向ブレーキ5が作動するように構成する一方、自動で後輪操向ブレーキ5を作動させる自動旋回油圧回路6を設け、この自動旋回油圧回路6中には油圧ポンプP1から送り出された作動油を一定圧力に維持する減圧弁7を設けて、この減圧弁7で一定圧にされた作動油を前輪増速装置4の増速切替弁9と後輪操向ブレーキ5の操向ブレーキ弁22に送るようになし、この操向ブレーキ弁22の上手にコントローラからの指令によって圧力を設定圧力に制御する比例減圧弁10を設け、ステアリングハンドル1操作に連動した自動モードでは、ブレーキシリンダ20のピストン21が伸長することによって前記ブレーキアーム19を押して旋回内側のブレーキ装置を作動させるように構成したことを特徴とするトラクタの操向旋回装置の構成とする。
【0004】
【作用、及び発明の効果】
ステアリングハンドル1で前輪2を操向して旋回するとき、この操向角によって上昇弁が出力されてリフトアーム3が非作業高さに上昇され、増速切替弁9が出力されて増速クラッチ8により前輪増速装置4が伝動されて前輪2が後輪よりも高速となり、又操向ブレーキ弁の出力によって後輪操向ブレーキ5が制動される。前輪2が変速駆動されながらこの操向と後輪の操向ブレーキ5制動とによって旋回される。旋回時の操向ブレーキ圧はコントローラからの指令によって操向旋回の行い易い圧力に調節設定される。
【0005】
【発明の効果】
この発明においては、自動モード時にステアリングハンドル1を回動して機体を旋回させると、作業機は自動的に上昇し、前輪2は増速駆動され、一方の後輪は制動されるので畦際での旋回操作が簡単となる。この場合、増速切替弁9と操向ブレーキ弁22には減圧弁7で一定圧にした作動油を送り込むようにしたので自動旋回油圧回路6構成が簡潔になる。
また、人為的なブレーキペダル17の踏み込みによっても従来と同じように旋回内側のブレーキを作動させることができ、ブレキペダル17を用いた人為操作の場合にはロッド18を引いてブレーキアーム19を引き、自動ではブレーキシリンダ20のピストン21を伸長させてブレーキアーム19を押してブレーキを掛けるようにしたので、ブレーキ装置の構成が簡潔で組立等も簡単に行える。
【0006】
【実施例】
トラクタ車体11は、ステアリングハンドル1によって操向自在の左右一対の前輪2と、操縦席12後部の左右一対の後輪13とを有して、エンジンによって各々伝動して走行する。リフトアーム3は、この車体11の後部において油圧シリンダ14のピストン15の伸縮作動によって上下回動される。
【0007】
前輪増速装置4は、車体11のミッションケース内に設けられ、主変速装置や副変速装置等を経て後輪13連動の後輪デフ装置へ至る伝動装置の途中から分岐して、前輪2連動の前輪デフ装置へ至る間の伝動装置において、湿式多板形態の増速クラッチの切替によって、前輪2へ伝動しない中立位置の後輪駆動(2WD)から、前輪2を後輪13とほぼ同速に駆動する前後輪駆動(4WD)と、前輪2を後輪13よりも変速の駆動とする前輪増速駆動(4WDF)とに切替えて伝動することができる。
【0008】
後輪操向ブレーキ5は、前記後輪デフ装置から左右の後輪13へ伝動する各車軸16に対して独立的に制動しうる構成とし、左右一対のブレーキペタル17の操作で、ロッド18を介してブレーキアーム19を連動して後輪操向ブレーキ5を制動することができる。
又、ブレーキシリンダ20のピストン21を介しても、このブレーキアーム19を押して制動することができ、このブレーキシリンダ20の油圧回路23は、コントローラからの出力によって切替作動されるソレノイドバルブからなる操向ブレーキ弁22と比例減圧弁10とを有する。
【0009】
自動旋回油圧回路6は、油圧ポンプP1によってリリーフ弁24を経て送られる油圧が、減圧弁7によって一次圧側と二次圧側とに分流されて、この一次圧側の回路にリフトアーム3を作動する油圧シリンダ14、及びこの上昇制御弁25、下降制御弁26、更には作業機Wをローリング制御するローリングシリンダ27、及びこのローリング制御弁28等を配置している。29は分流弁である。
【0010】
前記二次圧側の回路に、前記増速切替弁9によって制御される増速クラッチ8のクラッチシリンダ30が設けられ、又、比例減圧弁10、及び操向ブレーキ弁22によって制御される後輪操向ブレーキ5のブレーキシリンダ20が各々連通される。該比例減圧弁10の圧力はコントローラからの出力によって適切な圧力に調節することができる。
【0011】
31はパワステアリングで、油圧ポンプP2の油圧回路に設けられる。Tはタンクポートである。ステアリングハンドル1の軸には、この軸の回動を検出するステアリングセンサ32が設けられ、このステアリングセンサ32による操向角をコントローラ33に入力して、前記上昇制御弁25や、増速切替弁9、及び操向ブレーキ弁22等を出力することができる。
【0012】
例えば、ステアリングハンドル1を左側へ回動して左側旋回するときは、このステアリングハンドル1の切り角が一定以上になったことをステアリングセンサ32で検出し、コントローラ33からの出力によって上昇制御弁25が作動されて、リフトシリンダ14へ油圧が送込まれ、ピストン15を作動してリフトアーム3が上昇され、作業機Wが地面から上昇され非作業位置となる。
【0013】
これと同時に、減圧弁7を経る二次圧力のもとに、増速切替弁9の作動によって増速クラッチシリンダ30の増速クラッチ8が作動され、これまで後輪駆動(2WD)又は前後輪駆動(4WD)で駆動されていた車輪伝動は、増速クラッチ8の入りで前輪2の駆動が後輪13のほぼ二倍の変速度に回転される。更には、操向ブレーキ弁22の切替によって左側のブレーキシリンダ20の油圧力が、比例減圧弁10で調節設定された圧力のもとに送込まれて、左側の後輪操向ブレーキ5Lが制動される。この結果、操縦席は作業畝端部において、ステアリングハンドル1の旋回操作を行うのみで、作業機Wの上昇、前輪増速駆動、及び後輪13の操向ブレーキ5の制動等を自動的に行って、速かな旋回を行うことができ、操作が簡単であり、又、操向ブレーキ5は、減圧弁7と比例減圧弁10とによる2段階の減圧によって安定した油圧による制動を受ける。
【0014】
図3において、上例と異なる点は、前記比例減圧弁10に代えて、固定絞り34を有した弱制動とこのような絞りを有しない強制動とに切替えできるブレーキ力切替弁35を設けたもので、手動操作のスイッチによりソレノイド36で切替えできる。図4において、上例と異なる点は、前記左右のブレーキシリンダ20に代えて、ピストン径及び受圧面積の異なるエリアA,Bを形成したブレーキシリンダ37を設け、この各エリアA,Bに対する油圧切替を行う切替弁38を設ける。この切替弁38は手動で操作するもよいが、他の操向旋回操作と連動させる構成とするもよい。ブレーキシリンダ37は大径部と小径部との二段に形成され、これに嵌合するピストン39も小径部39Aと大径部39Bとに形成して、各エリアA,Bに対する油圧供給によって、ピストン39の押圧力が異なる構成としている。なお大径部39Bは小径部39Aと一体のスピンドル部40とこの外周に嵌合するリング部41とからなり、エリアBに供給される油圧力は、これらスピンドル部40とリング部41との端面の面積に仂く油圧の総和として、スピンドル部40を押圧Cして操向ブレーキ5L,5Rを制動する。この場合、ピストン39の小径部39Aの面積は、リング41における大径部39Bの面積よりも狭く形成している。
【0015】
このためエリアAの油圧力に切替えられたときは、後輪操向ブレーキ5の制動力は弱く、又、エリアBの油圧力に切替えられたときは、後輪操向ブレーキ5の制動力は強く仂くことになる。図示しないが、リング41の左側端面であるエリアB内にリング41を右方に戻すスプリングを内装しておくと、油路中立時にリング41が右方に戻るから、強制動と弱制動に切り替えた時のピストン39のストロ−クに差を生じない。
【0016】
図5〜図7において、上例と異なる点は、前記リフトアーム3による作業機Wの上昇を後輪操向ブレーキ5L,5Rに対して優先的に為めに、前記作業機Wを上昇させる上昇制御弁25から油圧シリンダ14に至る間の上昇回路42から、操向ブレーキ5のブレーキ制御回路43を分岐させて、このブレーキ制御回路43にシーケンスバルブ44を設ける。ステアリングハンドル1の切り角によって、前記のように上昇制御弁25が作動されると、油圧シリンダ14に油圧が立ち、作業機W上昇圧力に達するまでは、ブレーキ制御回路43ではシーケンスバルブ44によって油圧が通らない。
【0017】
シーケンスバルブ44は、調節ボルト45で圧力調節自在のばね46で押圧されるスプール47を、バルブケース48に収容してなり、作業機Wを上昇する油圧シリンダ14への供給油圧力までは、後輪操向ブレーキ5のブレーキシリンダ20への油圧力を送らないで、これ以上の油圧力になるとピストン15により作業機Wを上昇し、バネ46に抗してスプール47が下から押し上げられて開き、ブレーキ制御回路43をとうして、操向ブレ−キ弁22による切替えられた側の後輪操向ブレ−キ5L、又は5Rが制動される。
【0018】
図8において、上例と異なる点は、後輪操向ブレ−キ5を、ブレ−キカバ−49に形成のブレ−キシリンダ20にピストン21を設け、油圧回路23からの油圧力でピストン21を押圧して、プレッシャプレ−ト50を介して後輪操向ブレ−キ5L、又は5Rを押圧制動する構成とし、又、このプレッシャプレ−ト50を、ボ−ル51で受けるカム52で案内させて、操作機構で連動して回動されるクランクア−ム53で係合回動させて、該後輪操向ブレ−キ5L,5Rに押し圧されて制動する構成としている。54はこのブレ−キカバ−49をミッションケ−ス55の側面に着脱するボルトである。
【0019】
56は後輪デフ装置、57は後車輪、58は車輪軸、59はアクスルハウジング、60は後車軸57と車輪軸58との間を噛合伝動するギヤ、61はデフロック機構である。前記後輪操向ブレ−キ5は該後車軸57に設けられる。図9において、上例と異なる点は、前記プレシャプレ−ト50とピストン21とを一体成形の構成としたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動旋回油圧回路図。
【図2】そのブロック回路図。
【図3】一部別実施例を示す油圧回路図。
【図4】一部別実施例を示す油圧回路図。
【図5】一部別実施例を示す油圧回路図。
【図6】その一部の拡大図。
【図7】その作動を示す拡大図。
【図8】ミッションケ−ス部の一部正面図。
【図9】その一部別実施例を示す一部正面図。
【符号の説明】
1 ステアリングハンドル
2 前輪
3 リフトア−ム
4 前輪増速装置
5 後輪操向ブレ−キ5
6 自動旋回油圧回路
7 減圧弁
8 増速クラッチ
9 増速切替弁
10 比例減圧弁
Claims (1)
- ステアリングハンドル1の前輪2操向角が所定角度以上に操作されると自動的にリフトアーム3を上昇させると共に前輪増速装置4を増速位置に切替えて前輪2を後輪13よりも高速で回転させ、且つ旋回内側の後輪操向ブレーキ5の制動を自動で行わせるように構成したトラクタの操向旋回装置において、後輪操向ブレーキ5を制動するブレーキアーム19と左右一対のブレーキペダル17,17とを夫々ロッド18,18を介して連動連結し、ブレーキペダル17,17の踏み込みによって後輪操向ブレーキ5が作動するように構成する一方、自動で後輪操向ブレーキ5を作動させる自動旋回油圧回路6を設け、この自動旋回油圧回路6中には油圧ポンプP1から送り出された作動油を一定圧力に維持する減圧弁7を設けて、この減圧弁7で一定圧にされた作動油を前輪増速装置4の増速切替弁9と後輪操向ブレーキ5の操向ブレーキ弁22に送るようになし、この操向ブレーキ弁22の上手にコントローラからの指令によって圧力を設定圧力に制御する比例減圧弁10を設け、ステアリングハンドル1操作に連動した自動モードでは、ブレーキシリンダ20のピストン21が伸長することによって前記ブレーキアーム19を押して旋回内側のブレーキ装置を作動させるように構成したことを特徴とするトラクタの操向旋回装置。
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JP18209894A JP3632991B2 (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | トラクタの操向旋回装置 |
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JP2003109042A Division JP3743434B2 (ja) | 2003-04-14 | 2003-04-14 | トラクタ |
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