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JP3632876B2 - 遮音構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高性能の自動車用遮音構造体に係り、更に詳しくは、高い吸音性能と遮音性能を両立させた自動車用遮音構造体に関するもので、自動車用吸遮音材、フロアーインシュレーター及びダッシュパネルに取り付けられる自動車用ダッシュインシュレーター等の自動車用内装吸遮音材として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用内装材、特にフロアインシュレーターやダッシュインシュレーターには良好な遮音性能と吸音性能が要求されており、従来、かかる自動車用遮音構造体としては、フェルトやウレタンフォームが使用されることが多かった。しかしながら、フェルトは、賦形性が悪いことに起因してパネルとの密着性が悪くなるので、一般的に吸遮音性能が劣る。また、フロアーインシュレーター等に使用されると、敷設されているワイヤーハーネス等による凹凸を吸収できないことがあり、カーペット表皮に凹凸が発生し、見栄えが悪くなることがある。更に、解繊した繊維には天然繊維が含まれているため、品質上の安定性に欠ける。加えて繊維間の結合が弱いために、経時的なへたりを生じるという欠点があった。
【0003】
一方、ウレタンフォームを遮音構造体として用いる場合には、カーペット表皮とウレタンフォームとの接着工程が必要となり、高コストとなる。発泡成形型中にカーペット表皮とウレタン発泡原料を投入して一体成形する方法も開発されているが、樹脂注入、発泡固着工程が必要となるため生産性が劣るほか、設備も大規模になり、また、ウレタン発泡材の原料を用いるため作業環境が悪く、排気設備も必要となる。更に、ウレタンフォームはリサイクルが困難であり、環境上問題となるため好ましくなく、フェルトに比べて硬いため遮音性能も劣っている。
【0004】
かかる欠点を改善するために、特開昭62−223357号公報、特開平4−272263号公報及び特開平4−185754号公報には、ポリエステル等の合成繊維不織布を用いた遮音構造体が開示されている。
ところで、熱融着繊維(バインダー繊維)を用いるサーマルボンドタイプの合成繊維製不織布は、バインダー繊維の配合量、繊維径、見かけ密度を変えることで、ばね定数や吸音性能をコントロールすることが可能である。即ち、共振点のチューニングが可能であり、ノイズ入力の大きな周波数と遮音構造体の共振点をずらすことで良好な遮音性能が得られる。
【0005】
しかしながら、ノイズ入力の大きな周波数が広い領域に亘る場合、共振点のチューニングのみでは遮音が不十分であり、遮音構造体の高ダンピング化が必要となる。ところが、従来のフェルトやウレタンフォームや合成繊維不織布を用いた遮音構造体で高ダンピングを実現するのは難しく、そのコントロールも困難なのが現状である。このため、遮音構造体を多層構造とし、構造体の一層をメルトブロー製法により得られる超極細繊維不織布から成る遮音構造体が考案されている(特願平7−151549号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記多層型遮音構造体を用いることにより、ダンピング性能に優れ、且つ、ダンピング特性のコントロールが可能である。しかしながら、この多層型遮音構造体では超極細繊維層が主たる音の入射面に対して反対側又は中間に位置するため、超極細繊維不織布のもつ大きな特徴である高吸音性が発揮できていない。また、超極細繊維不織布はもともと動ばね定数が非常に大きく、超極細繊維層に対して他の層の厚さが十分確保されていない場合、ばね定数が増加し遮音性能が低下する等の課題があった。更に、吸遮音構造体の性能は主に吸音性能とばね特性で決まるが、この2つの性能は二律背反的な側面を持ち、高吸音性と低ばね化は両立が難しかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超極細繊維不織布の持つ大きな特長である高吸音性を維持しつつ、ばね定数を低く抑えることで、高吸音性と高遮音性(低ばね化)とを兼備した自動車用遮音構造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、上述の如き超極細繊維不織布の高い吸音性能は膜共振吸音形態と多孔質構造吸音形態の二種類の吸音形態の混和に起因していることと、超極細繊維不織布の動ばね定数はそのほとんどを空気ばねが占めていることとを知見した。そこで、遮音構造体を多層化して超極細繊維不織布を主たる音の入射面となる表面層に配し、表面層の厚さや密度及び反対側に位置する内面層の厚さや密度等を特定したところ、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の自動車用遮音構造体は、主たる音の入射方向から順に表面層、内面層及び背面層から成る三層構造を成し、この表面層又は背面層と内面層とは繊維配合の異なる繊維集合体から成り、この表面層と背面層とがメルトブロー製法により得られる繊維径0.1〜10μmの繊維から成る平均見かけ密度0.03〜0.06g/cm、厚さ5〜15mmのポリプロピレン製不織布で構成され、上記内面層の厚さが上記表面層及び背面層のうちの厚さの厚い層に対して2〜5倍であることを特徴とする。
【0010】
【作用】
上述の如く、本発明者らは、ポリプロピレン製超極細繊維不織布の高い吸音性能は膜共振吸音形態と多孔質構造吸音形態の二種類の吸音形態の混和に起因していることと、ポリプロピレン製超極細繊維不織布の動ばね定数はそのほとんどを空気ばねが占めていることを解明した。
【0011】
即ち、ポリプロピレン製超極細繊維不織布は従来の合成繊維不織布に比べて繊維径が細いため繊維表面積が非常に大きく流動空気との摩擦が大きい。このためポリプロピレン製超極細繊維不織布は通気抵抗が極めて大きく、不織布の表層の一部が膜として作用し膜共振による吸音を起こしている。従来の合成繊維不織布にはみられない500Hz付近の高い吸音性能は主にこのことに起因している。
【0012】
本発明では、ポリプロピレン製超極細繊維不織布を多層化した遮音構造体の主たる音の入射面となる表面層に配設することで膜共振により吸音を起こさせ、ポリプロピレン製超極細繊維不織布単独とほぼ同等の高い吸音性能を得ることができる。
また、遮音構造体を主たる音の入射方向から順に表面層、内面層、背面層から成る三層構造体とし、表面層と背面層とをポリプロピレン製超極細繊維不織布とすれば、主たる音源のみならず反射音等に対しても高い吸音性能を持たせることができる。
【0013】
ところで、動ばね定数は繊維ばねと空気ばねで構成されているが、その高い通気抵抗性が災いしてポリプロピレン製超極細繊維不織布の空気ばねは繊維ばねに対して数倍から十数倍に達しており、ポリプロピレン製超極細繊維不織布単独では動ばね定数が非常に大きく遮音性能は低くなる。そこで、本発明では、ポリプロピレン製超極細繊維不織布の厚さに対して2〜5倍の厚さを有する通気抵抗の小さいポリエステル繊維製不織布と積層し、遮音構造体全体の空気ばねを低下させることで動ばね定数を大幅に小さくしている。
【0014】
以上の知見より、本発明においては、遮音構造体を多層化し、主たる音の入射面となる表面層にポリプロピレン製超極細繊維不織布を配し、音の入射面に対して反対側に位置する内面層に、表面層に対して2〜5倍の厚さを持たせることにより、優れた吸音性能と遮音性能を両立させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動車用遮音構造体について詳細に説明する。
本発明の多層型遮音構造体は、上述のごとく、表面層と内面層とを備えるが、主たる音の入射面を表面層、音の入射面に対して反対側に位置する面を内面層と称する。また、三層構造をなす場合には、主たる音の入射方面から順に表面層、内面層及び背面層と称する。
本発明の遮音構造体の構成の概略を図1及び2に示す。
【0016】
本発明の遮音構造体において、表面層及び背面層を構成する不織布はメルトブロー製法により得られる超極細繊維から成る。繊維の材質としては、コスト、製造の容易さからポリプロピレンが好ましい。また、内面層を構成する不織布は、コスト、成形性、耐久性、加工後の性能安定性等から判断してポリエステル繊維製であることが好ましい。
【0017】
また、上記表面層及び背面層はメルトブロー製法により得られる繊維径0.1〜10μmの超極細繊維から成る不織布で構成することが必要である。これは、繊維径が0.1μm未満の繊維の入手が困難であり、また緩衝材としての剛性を得難く、他方、繊維径が10μmを超えると膜吸音を起こすほどの通気抵抗が得られず、吸音性能が悪化することがあるためである。
【0018】
表面層及び背面層の平均見かけ密度は,0.03〜0.06g/cmの範囲とすることを要す。平均見かけ密度が0.03g/cm未満では、フロアーインシュレーターとして用いられた場合、クッション性が極端に低下し、内面層を硬くしても荷重時の沈み込みが生じることがある。また、0.06g/cmを超えると遮音性能、乗り心地等の低下が生じ、成形時の追従性も悪化することがあるためである。
【0019】
更に、表面層及び背面層の厚さは、5〜15mmの範囲とすることを要す。この厚さが5mm未満では超極細繊維性不織布の効果が小さく、高い吸音性能は得られないことがある。他方、厚さが15mmを超えると積層体全体の厚さが厚くなりすぎて設置上問題となることがある。
【0020】
一方、内面層の厚さは、表面層の厚さの2〜5倍とすることが必要である。三層構造の場合は、内面層の厚さは、表面層、背面層のうち厚さの厚い層に対して2〜5倍とすることが好ましい。2倍未満では、超極細繊維製不織布の空気ばねを大きく低下させることができず、動ばねが大きくなり遮音性が劣ることがある。他方、5倍を超えると積層体全体の厚さが厚くなりすぎて設置上問題となることがあるためである。
【0021】
また、内面層を構成する不織布は1〜50デニールの範囲の繊維径を有する繊維から成ることが好ましく、また、平均見かけ密度が0.01〜0.07g/cmの範囲とすることが好ましい。
繊維径が1デニール未満では適度なクッション性が得難く、また耐久性も低下することがある。更に、防糸速度が大幅に低下したり、カード通過性が悪く不織布の品質が悪化するおそれがある。他方、50デニールを超えると不織布が硬くなり過ぎ、動ばね定数が大きくなり遮音性が低下することがある。また、平均見かけ密度が0.01g/cm未満では、クッション性、耐久性が大幅に低下し、0.07g/cmを超えると内面層の空気ばねが大きくなり超極細繊維製不織布の空気ばねを低下させることができず、遮音性が劣るほか、軽量化の要求にも反することになる。
【0022】
また、本発明においては、内面層を構成する不織布を少なくとも2種類のポリエステル繊維から構成し、60〜95重量%の繊維1をポリエチレンテレフタレート繊維とし、5〜40重量%の繊維2を、鞘部の融点が繊維1のそれより100℃以上低い共重合ポリエステルである芯鞘構造を有するポリエステル繊維とすることが好ましい。
ここで、繊維1をポリエチレンテレフタレート繊維とするのは、バインダー繊維との融点の差を確保し、選択できるバインダー繊維の融点幅を広くするためである。
【0023】
また、繊維2はバインダー繊維として機能する。繊維2の鞘部の融点を繊維1より100℃以上低くするのは、融点の差が100℃未満であると表面層及び背面層を構成しているポリプロピレン性の超極細繊維の融点と重なってしまうため、成形時の温度条件が厳しくなるためである。場合によっては、超極細繊維が溶融し所期の性能が得られない可能性もある。融点差は大きすぎても問題になることはないので特に限定されるものではないが、150℃以上では繊維2の融点が下がりすぎて取扱が困難となる。また、繊維2の芯部の材質も特に限定されるものではないが、バインダー繊維として機能させやすくするために、ポリエチレンテレフタレートとするのが好ましい。
【0024】
繊維1を60〜95重量%、繊維2を5〜40重量%とするのは以下の理由による。即ち、繊維1が60重量%未満、繊維2が40重量%を超えるとバインダー繊維量が多すぎてコストの上昇やクッション性の悪化を招くことがある。また、繊維1が95重量%を超え、繊維2が5重量%未満であると、バインダー繊維量が少なすぎて成形性や耐久性が低下することがある。
【0025】
また、積層構造体全体の厚さは、良好な吸音、遮音性能を保ち、且つ設置上問題とならないように20〜50mm程度とすることが好ましい。
また、本発明の遮音構造体は、自動車等のダッシュインシュレーターやフロアーインシュレーターとして好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例、参考例、比較例及び従来例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0027】
参考例2
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合2デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0028】
参考例3
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合2デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.06g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0029】
参考例4
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合13デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ30mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0030】
参考例5
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合2デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ25mm、平均見かけ密度0.06g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0031】
参考例6
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:90%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):10%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0032】
(実施例
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層及び背面層に、繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0033】
(実施例
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層及び背面層に、繊維配合2デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0034】
(実施例
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ10mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合2デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.06g/cmのポリエステル製不織布を内面層に、メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ6mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を背面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0035】
(実施例
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合13デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ30mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を内面層に、メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を背面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0036】
(従来例1)
30mmのクリアランスを有する注入発泡型内にポリオールとしてプロピレンオキサイド1,2,6−ヘキサントリオール:100部、水:2部、界面活性剤:1部、カーボンブラック:0.5部から成るA液とトリレンジイソシアナート:100部、シリコンオイル:0.5部から成るB液をポリオールに対してイソシアナート1.25倍当量を低圧注入して発泡させ、厚さ30mm、平均見かけ密度0.06g/cmのウレタンフォームを得て自動車用遮音構造体とした。
【0037】
(従来例2)
豊和繊維工業製、厚さ30mm、平均見かけ密度0.06g/cmのフェルト(商品名フェルトップ)を用い、自動車用遮音構造体とした。
【0038】
(従来例3)
繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ30mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を用い、自動車用遮音構造体とした。
【0039】
(従来例4)
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ30mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を用い、自動車用遮音構造体とした。
【0040】
(比較例1)
繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ20mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を表面層に、メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0041】
(比較例2)
繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ10mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を表面層に、メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ20mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0042】
(比較例3)
メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ2mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を表面層に、繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ30mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0043】
(比較例4)
繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ10mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を表面層及び背面層に、メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ10mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0044】
(比較例5)
繊維配合6デニール×51mmのポリエステル繊維:80%、2デニール×51mmの芯鞘タイプのバインダー繊維(鞘部融点110℃):20%で厚さ8mm、平均見かけ密度0.05g/cmのポリエステル製不織布を表面層及び背面層に、メルトブロー製法により得られる平均繊維径3μm、厚さ30mm、平均見かけ密度0.04g/cmのポリプロピレン製超極細繊維不織布を内面層に用い、積層して自動車用遮音構造体を作成した。
【0045】
(性能評価)
上記実施例1〜4、参考例1〜6、従来例1〜3及び比較例1〜5において得られた自動車用遮音構造体について100〜1600Hzの垂直入射吸音率を測定した。また、振動伝達率測定法を用いて共振周波数よりばね定数を求めた。振動伝達率測定法では大気中の測定から全体ばね定数が、真空中の測定から繊維ばね定数がそれぞれ求められ、その差が空気ばね定数となる。
表1に各実施例、従来例及び比較例の物性データ、吸音率測定結果(500Hz、1000Hz)、及び各ばね定数測定結果を示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003632876
【0047】
表1より、実施例で作成された各種自動車用遮音構造体は、従来例に比べ、高い吸音率を維持しつつ、ばね定数が低く抑えられており、高吸音性と低ばね化が両立した自動車用遮音構造体であることが確認された。
また、表1より、本発明の範囲にない比較例の自動車用遮音構造体は、高吸音性と低ばね化の両立が果たされておらず、実施例の自動車用遮音構造体に比し、性能が劣ることが確認された。
【0048】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、遮音構造体を多層化し超極細繊維不織布を主たる音の入射面となる表面層に配し、表面層の厚さや密度及び反対側に位置する内面層の厚さや密度等を特定したため、超極細繊維不織布の持つ大きな特長である高吸音性を維持しつつ、ばね定数を低く抑えることで、高吸音性と高遮音性(低ばね化)が両立した自動車用遮音構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遮音構造体の構成例(二層)を示す概略図である。
【図2】本発明の遮音構造体の構成例(三層)を示す概略図である。

Claims (5)

  1. 主たる音の入射方向から順に表面層、内面層及び背面層から成る三層構造を成し、この表面層又は背面層と内面層とは繊維配合の異なる繊維集合体から成り、この表面層と背面層とがメルトブロー製法により得られる繊維径0.1〜10μmの繊維から成る平均見かけ密度0.03〜0.06g/cm、厚さ5〜15mmのポリプロピレン製不織布で構成され、上記内面層の厚さが上記表面層及び背面層のうちの厚さの厚い層に対して2〜5倍であることを特徴とする自動車用遮音構造体。
  2. 上記内面層が、1〜50デニールの繊維径を有するポリエステル繊維から成る平均見かけ密度0.01〜0.07g/cmのポリエステル不織布であることを特徴とする請求項記載の自動車用遮音構造体。
  3. 上記内面層を構成する不織布が少なくとも2種類のポリエステル繊維から成り、60〜95重量%を占める繊維1がポリエチレンテレフタレート繊維であり、5〜40重量%を占める繊維2が鞘部の融点が繊維1のそれより100℃以上低い共重合ポリエステルである芯鞘構造を有するポリエステル繊維であることを特徴とする請求項記載の自動車用遮音構造体。
  4. 上記積層構造体全体の厚さが20〜50mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の自動車用遮音構造体。
  5. 車両のダッシュインシュレーター又はフロアインシュレーターとして用いることを特徴とする請求項記載の自動車用遮音構造体。
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