JP3626288B2 - 顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散性に優れ、耐衝撃性が高く、衝撃時の応力が低く、衝撃時吸収エネルギーが大きく、曲げ強度、引張強度等の剛性が低く、かつ耐熱変形性が高く、更に成形加工性に優れたスチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂、特にABS系樹脂はその優れた剛性、耐衝撃性、耐熱変形性等を有するため、各種雑貨、自動車の内外装材、ジャー炊飯器、電子レンジ、掃除機等の家電製品のハウジング、部品や電話機、ファクシミリ等OA機器のハウジング、部品などに広く使用されている。近年、特に自動車の内外装材では、高温下での寸法安定性、表面外観等の特性と共に、米国等の側突規制に見られる様に衝突時の安全性確保が望まれている。
【0003】
これらの特性を満足させるために各種の検討が行われているが、いまだ十分な特性を有するものが得られていない。
例えば、特開昭59−20346号ではゴム強化スチレン系樹脂に特定の可塑剤を添加する方法が開示されているが、耐熱変形性が低く、可塑剤の揮発もあり、満足できるものではない。特定の組成を有するポリプロピレン系樹脂の使用も検討されているが、ヒケによる成形品表面外観不良、ソリによる寸法安定性不良や他材料との接着性に劣るという欠点を有している。また、部品の内側へポリエチレン発泡体を充填させることも実施されているが、製造工程の複雑化、経済性の点から問題があった。
【0004】
他方、ABS系樹脂とアクリル酸エステル系共重合体の組成物については、耐薬品性が改良できることで知られている。例えば、特開昭58−179257号ではゴム含有スチレン系樹脂とゲル含有率の高いアクリル酸エステル系共重合体からなる組成物、特開昭63−17954号ではゴム含有マレイミド−スチレン系共重合体とABS樹脂とアクリル酸エステル系共重合体からなる組成物が耐薬品性を向上させることが記載されている。しかし、これらの組成物では、本発明の目的とする衝撃時の応力が低く、衝撃時吸収エネルギーが大きく、かつ耐衝撃性が高く、成形加工性に優れた組成物は得られない。更に特開昭63−17954号等に記載されているゴム含有マレイミド−スチレン共重合体とABS樹脂とアクリル酸エステルからなる組成物に顔料を添加して使用すると、成形品に色ムラが発生するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の如き問題を解消し、顔料分散性に優れた、曲げ強度、引張強度等の剛性が低く、耐衝撃性が高く、衝撃時の応力が低く、衝撃時吸収エネルギーが大きく、かつ耐熱変形性が高く、更に成形加工性に優れたスチレン系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、シアン化ビニル化合物を共重合した低Tgのアクリル酸エステル系共重合体(I)と芳香族ビニル化合物を49%以上共重合したマレイミド系共重合体(II)及びアルキル(メタ)アクリレート系酸基含有ラテックスを用いた凝集肥大法により製造したゴムを使用したグラフト共重合体(III)からなる樹脂組成物が、顔料分散性に優れ、かつ剛性が低く、耐衝撃性が高く、衝撃時の応力が低く、衝撃時吸収エネルギーが大きく、かつ耐熱変形性が高く、更に成形加工性に優れたスチレン系樹脂組成物が得られることを見出し本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(I)アルキルアクリレート40〜85重量%、シアン化ビニル化合物15〜40重量%、芳香族ビニル化合物45重量%以下及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなる、Tgが20℃以下かつゲル含有量が10重量%以下のアクリル酸エステル系共重合体5〜50重量部、
(II)シアン化ビニル化合物10〜40重量%、マレイミド系化合物5〜50重量%、芳香族ビニル化合物10〜85重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)重合してなり、かつ芳香族ビニル化合物を49モル%以上含有するマレイミド系共重合体20〜80重量部、
体積平均粒径が100〜1000nmの、ジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体及びアクリル系ゴム重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム重合体(A)、及びシアン化ビニル化合物15〜45重量%、芳香族ビニル化合物85〜55重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%からなる単量体混合物(合計100重量%)を重合してなるグラフト部(B)からなり、グラフト率が10〜70%であるグラフト共重合体(III)15〜60重量部(合計100重量部)からなり、
ゴム重合体(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びクロトン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜50重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレート(d)50〜95重量%、及び(c)、(d)と共重合可能な単量体(e)0〜40%を重合させることにより調製した酸基含有ラテックス(S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体であり、かつ
アクリル酸エステル系共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が各々0.3〜1.2dl/gであり、かつゴム重合体含量が樹脂中5〜50重量%である顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物を内容とする。
【0008】
本発明におけるアクリル酸エステル系共重合体(I)は、アルキルアクリレート40〜85重量%、剛性の点から好ましくは50〜82重量%、更に好ましくは55〜80重量%、シアン化ビニル化合物15〜40重量%、耐衝撃性、顔料分散性の点から好ましくは、20〜37重量%、更に好ましくは22〜35重量%、芳香族ビニル化合物45重量%以下、加工性の点から好ましくは35重量%以下、更に好ましくは2〜30重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは、0〜20重量%、更に好ましくは0〜10重量%(合計100重量%)を重合してなり、剛性の点からTgが20℃以下、好ましくは10℃以下、更に好ましくは0℃以下かつ、加工性の点からゲル含有量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
ゲル含有量とはメチルエチルケトンの2%溶液を23℃で24時間放置し、100メッシュの金網で濾過して濾過残渣を乾燥し、(濾過残渣重量/元の重量)×100で表した値である。また、アクリル酸エステル系共重合体(I)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)は、0.3〜1.2dl/g、好ましくは0.4〜1.0dl/g、とくに好ましくは0.45〜0.9dl/gである。0.3dl/g未満では耐衝撃性が、1.2dl/gを越えると加工性が低下する。
【0009】
アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0010】
アルキルアクリレートが40重量%未満では、剛性が高く、耐衝撃性が低く、また衝撃時の応力が高く、衝撃時のエネルギー吸収が低くなり、85重量%を越えると、耐熱変形性低く、剥離しやすくなる。また、シアン化ビニル化合物が15重量%未満では、剥離しやすく、顔料分散性も低下し、衝撃時のエネルギー吸収が低くなり、40重量%を越えると剥離しやすく、顔料分散性も低下し、剛性が高く、耐衝撃性が低く、また衝撃時の応力が高く、衝撃時のエネルギー吸収が低くなる。
また、芳香族ビニル化合物が45重量%を越えると耐衝撃性が低く、衝撃時のエネルギー吸収が低くなる。
【0011】
本発明におけるマレイミド系共重合体(II)は、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、マレイミド系化合物5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、芳香族ビニル化合物10〜85重量%、好ましくは20〜75重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%(合計100重量%)からなり、かつ芳香族ビニル化合物を49モル%以上含有する単量体混合物を重合してなる共重合体である。共重合体(II)は、シアン化ビニル化合物が10重量%未満では耐衝撃性が、40重量%を越えると加工性が、マレイミド系化合物が5重量%未満では耐熱性が、50重量%を越えると加工性が、芳香族ビニル化合物が10重量%未満では加工性が、85重量%を越えると耐衝撃性が、各々低下する。
【0012】
単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の比率は特に重要であり、単量体混合物中の含有量が49モル%以上、好ましくは50モル%以上である。芳香族ビニル化合物の比率が49モル%未満では、熱安定性、耐衝撃性、耐金型汚染性が著しく低下する。
好ましくは、共重合体(II)は、耐衝撃性、加工性の点から、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜1.2dl/g、更に好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは、0.40〜0.9dl/gである。
【0013】
マレイミド系共重合体(II)のシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等が、マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、等が挙げられる。工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレン、マレイミド系化合物としてはN−フェニルマレイミドが特に好ましい。
これらは、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸及びそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−エチルヘキシル、グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0014】
本発明において特に重要なのは、グラフト共重合体(III)であり、かつグラフト共重合体(III)におけるゴム重合体(A)である。
ゴム重合体(A)は、酸基含有ラテックス(S)を使用する肥大法により製造され、体積平均粒径が100〜1000nm、好ましくは200〜900nm、更に好ましくは、250〜800nmの、ジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体よりなる群より選ばれる少なくとも1種のゴム重合体である。
ゴム重合体(A)の具体例としては、酸基含有ラテックス(S)を使用する肥大法により製造されたポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル酸エステルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のオレフィン系重合体、ポリアクリル酸エステルゴム、エチレン−アクリル酸エステルゴム等のアクリル系ゴム重合体が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0015】
ゴム重合体(A)は、ゴムラテックス100重量部(固形分)に対してアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びクロトン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜50重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレート(d)50〜95重量%、及び(c)、(d)と共重合可能な単量体(e)0〜40%を重合させることにより調製した酸基含有ラテックス(S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体である。
特に、ゴム重合体(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びクロトン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜25重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルアクリレート(d1)5〜30重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルメタクリレート(d2)80〜20重量%、(c)、(d1)、(d2)と共重合可能な、芳香族ビニル単量体、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する単量体及びシアン化ビニル化合物(e)0〜40%を重合させることにより調製した酸基含有ラテックス(S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体が、顔料分散性、衝撃時エネルギー吸収、衝撃強度の点から好ましい。また、酸基含有ラテックスの使用量は、ゴムラテックス100重量部(固形分)に対して0.1〜15重量部(固形分)添加して凝集肥大を行わせて得られるゴム重合体が、顔料分散性、衝撃時エネルギー吸収、衝撃強度、製造安定性の点から好ましい。
【0016】
酸基含有ラテックス(S)に用いられる不飽和酸(c)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸が例示でき、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。アルキルアクリレート(d1)としては、アクリル酸と炭素数1〜12の直鎖或いは側鎖を有するアルコールのエステルが使用され、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が例示でき、特にアルキル基の炭素数1〜8のものが好ましい。これらは単独また2種以上組み合わせて使用することができる。アルキルメタクリレート(d2)としては、メタクリル酸と炭素数1〜12の直鎖或いは側鎖を有するアルコールのエステルが使用され、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が例示でき、特にアルキル基の炭素数1〜8のものが好ましい。これらは単独また2種以上組み合わせて使用できる。これらの単量体と共重合可能な単量体(e)としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体やアクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物である。これらは単独また2種以上組み合わせて使用できる。また、その他の共重合可能な単量体として、メタクリル酸アリル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸トリアリルのような分子中に2つ以上の重合性の官能基を有するような単量体が挙げられる。これらは単独また2種以上組み合わせて使用できる。
【0017】
グラフト共重合体(III)は、ゴム重合体(A)及びシアン化ビニル化合物15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは22〜35重量%、芳香族ビニル化合物85〜55重量%、好ましくは80〜60重量%、更に好ましくは78〜65重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%からなる単量体混合物(合計100重量%)を重合してなるグラフト部(B)からなり、グラフト率が10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。シアン化ビニル化合物、芳香族化合物、共重合可能な単量体及びグラフト率が上記の範囲外では、顔料分散性、耐衝撃性、加工性が低下する。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等であり、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸及びそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−エチルヘキシル、グリシジル等のメタアクリル酸エステル系単量体、マレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体である。
【0018】
本発明の範囲の組成が得られれば、アクリル酸エステル系共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II)、グラフト共重合体(III)はいかなる重合法、開始剤連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製造したものでもかまわない。例えば、公知の塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法等、本発明の範囲内の組成に制御できればどの重合法によって製造したものでもよい。グラフト共重合体(III)は、グラフト率を制御しやすい点から、乳化重合法が好ましい。
【0019】
また本発明の範囲であれば、いかなる開始剤、連鎖移動剤、乳化剤を用いて製造したものでもかまわない。開始剤は、過硫酸カリウム等の熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイド等のレドックス系開始剤等公知の開始剤が使用できる。連鎖移動剤はt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレン等公知の連鎖移動剤が使用できる。乳化剤としてはオレイン酸ソーダ、パルミチン酸ソーダ、ロジン酸ソーダ等の脂肪酸金属塩系乳化剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、炭素数12〜20のアルキルスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等のスルホン酸金属塩系乳化剤等の公知の乳化剤が使用できる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
本発明の組成物は、通常よく知られた酸化防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤を必要に応じて適宜使用できる。特に、スチレン系樹脂に用いられるフェノール系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系の安定剤、抗酸化剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びオルガノポリシロキサン、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、高級脂肪酸のアミド又はビスアミド及びその変性体、オリゴアミド、高級脂肪酸の金属塩類等の内部滑剤、外滑剤等は本発明になる組成物を成形用樹脂として、より高性能なものとするために用いることができる。
これらは、単独でもまた2種以上混合して使用できる。
【0021】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、更に他のスチレン系樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等の1種又は2種以上を50重量%以下、好ましくは40重量%以下、特に好ましくは35重量%以下で混合して、目的の性能に調整することができる。
【0022】
本発明のアクリル酸エステル系共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II)、グラフト共重合体(III)の樹脂混合物は、その製造方法によって異なるが、例えば、これらをラテックス、スラリー、溶液、粉末、ペレット等の状態あるいはこれらの組み合わせにて混合して製造できる。重合後のアクリル酸エステル系共重合体(I)のラテックス、マレイミド系共重合体(II)のラテックス及び/又はグラフト共重合体(III)のラテックスからポリマー粉末を回収する場合は通常の方法、例えばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類金属の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムのようなアルカリ金属の塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸のような無機酸及び有機酸を添加することでラテックスを凝固した後、脱水乾燥する方法で実施できる。またスプレー乾燥法も使用できる。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、アクリル酸エステル系共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II)、グラフト共重合体(III)の単独あるいはこれら2種以上の混合物からなる粉末、ペレットに対し、上記の安定剤、必要ならば滑剤、顔料等を配合し、バンバリミキサー、ロールミル、1軸押出し機、2軸押出し機等公知の溶融混練機にて混練することができる。
安定剤の使用する量の一部を分散液の状態でこれら樹脂のラテックスあるいはスラリーに添加することもできる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて更に詳細に説明するが、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。以下の記載において、「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。
また、以下の記載において、略号はそれぞれ下記の物質を示す。
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AN:アクリロニトリル
St:スチレン
tDM:t−ドデシルメルカプタン
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
PMI:N−フェニルマレイミド
αS:α−メチルスチレン
BMA:ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
【0025】
実施例1〜10及び比較例1〜6
(1)アクリル酸エステル系共重合体(I)の製造
▲1▼アクリル酸エステル系共重合体(I−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。
純水 250部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部
EDTA 0.01部
硫酸第一鉄 0.0025部
反応器を攪拌しながら窒素気流下に65℃まで昇温させた。65℃、到達後、BA74部、AN26部、tDM0.35部、CHP0.3部の混合物を連続的に7時間で滴下した。またジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを重合時間1時間目に0.5部、3時間目に0.5部追加した。滴下終了後、65℃で1時間攪拌を続け、重合を終了した。重合転化率は、99%であった。還元粘度は0.58dl/gであった。ゲル含有量は0%であった。結果を表1に示す。
【0026】
▲2▼アクリル酸エステル系共重合体(I−2)の重合
共重合体(I−1)と同様の方法で、単量体をBA66部、AN27部、St7部及びtDM0.35部、CHP0.3部として、共重合体(I−2)を製造した。重合転化率は、99%であった。還元粘度は0.62dl/gであった。ゲル含有量は0%であった。結果を表1に示す。
【0027】
▲3▼アクリル酸エステル系共重合体(I−3)の重合
共重合体(I−1)と同様の方法で、単量体をBA29部、2EHA30部、AN31部、St10部、及びtDM0.3部、CHP0.3部として、共重合体(I−3)を製造した。重合転化率は、98%であった。還元粘度は0.55dl/gであった。ゲル含有量は0%であった。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(2)マレイミド系共重合体(II)の製造
▲1▼マレイミド系共重合体(II−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。
純水 250部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部
EDTA 0.01部
硫酸第一鉄 0.0025部
反応器を攪拌しながら窒素気流下に65℃まで昇温させた。65℃、到達後、PMI20部、AN20部、St60部(単量体混合物中のSt量は54モル%)、tDM0.3部、CHP0.3部の混合物を連続的に7時間で滴下した。またジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを重合時間1時間目に0.5部、3時間目に0.5部追加した。滴下終了後、65℃で1時間攪拌を続け、重合を終了した。重合転化率は、99%であった。還元粘度は0.61dl/gであった。結果を表2に示す。
【0030】
▲2▼マレイミド系共重合体(II−2)の重合
共重合体(II−1)と同様の方法で、単量体をPMI32部、AN15部、St53部(単量体混合物中のSt量は52モル%)、及びtDM0.3部、CHP0.3部として、共重合体(II−2)を製造した。重合転化率は、98%であった。還元粘度は0.63dl/gであった。結果を表2に示す。
【0031】
▲3▼共重合体(II−3)の重合
共重合体(II−1)と同様の方法で、単量体をPMI8部、AN27部、St50部、dS15部(単量体混合物中のSt量は52モル%)、及びtDM0.3部、CHP0.3部として、共重合体(II−3)を製造した。重合転化率は、99%であった。還元粘度は0.59dl/gであった。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
(3)ゴム重合体(A)の製造
▲1▼ゴム重合体(A−1)の製造
第一段階として、ゴム重合体(A−1)に肥大化させるために必要な未肥大ゴム重合体(B)を製造した。
100L重合機に以下の物質を仕込んだ。
純水 230部
過硫酸カリウム 0.2部
tDM 0.2部
重合機内の空気を真空ポンプで除いた後、以下の物質を仕込んだ。
オレイン酸ナトリウム 0.6部
ロジン酸ナトリウム 2部
ブタジエン 100部
系の温度を60℃まで昇温し、重合を開始した。重合は25時間で終了し、重合転化率は96%であった。未肥大ゴム重合体(B)の粒径は85nmであった。
【0034】
第二段階として、未肥大ゴム重合体(B)からゴム重合体(A−1)に肥大化させるために必要な酸基含有ラテックス(S−1)を以下のように製造した。
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。
純水 200部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.6部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.5部
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.01部
硫酸第一鉄 0.0025部
反応器を攪拌しながら窒素気流下に70℃まで昇温させた。70℃に到達後、BMA25部、BA5部、tDM0.1部、CHP0.15部の単量体混合物を2時間かけて滴下後、更にBMA50部、BA4部、MAA16部、tDM0.5部、CHP0.15部を4時間かけて滴下し、滴下終了後、70℃で1時間攪拌を続け重合を終了し、酸基含有ラテックス(S−1)を得た。重合転化率は99%であった。結果を表3に示す。
【0035】
第三段階として、未肥大ゴム重合体(B)のラテックス100部(固形分)に先に製造した酸基含有ラテックス(S−1)3.5部(固形分)を60℃で添加後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−1)の製造を行った。ゴム重合体(A−1)の粒径は、表4に示すように450nmであった。
【0036】
▲2▼ゴム重合体(A−2)の製造
酸基含有ラテックス(S−1)と同様にして表3に示す単量体混合物を使用し、酸基含有ラテックス(S−2)を製造した。未肥大ゴム重合体(B)のラテックス100部(固形分)に先に製造した酸基含有ラテックス(S)2部(固形分)を60℃で添加後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−2)の製造を行った。ゴム重合体(A−2)の粒径は、表4に示すように620nmであった。
【0037】
▲3▼ゴム重合体(A−3)の製造
酸基含有ラテックス(S−1)と同様にして表3に示す単量体混合物を使用し、酸基含有ラテックス(S−3)を製造した。未肥大ゴム重合体(B)のラテックス100部(固形分)に先に製造した酸基含有ラテックス(S)5.5部(固形分)を60℃で添加後、攪拌を1時間続けて肥大化させ、ゴム重合体(A−3)の製造を行った。ゴム重合体(A−3)の粒径は、表4に示すように320nmであった。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
(4)グラフト共重合体(III)の製造
▲1▼グラフト共重合体( III−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、以下の物質を仕込んだ。
純水 280部
ゴム重合体(A−1)(固形分) 65部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部
EDTA 0.01部
硫酸第一鉄 0.0025部
反応器を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。60℃到達後にAN11部、St24部、CHP0.2部の混合物を連続的に5時間で滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌を続け、重合を終了し、グラフト重合体( III−1)を得た。表5に示す如く、重合転化率は98%で、グラフト率は35%であった。
【0041】
▲2▼グラフト共重合体( III−2)の製造
グラフト共重合体( III−1)と同様の方法で、ゴム重合体(A−1)75部にAN8部、St17部、CHP0.2部にて重合させ、グラフト共重合体( III−2)を製造した。表5に示す如く、重合転化率は99%で、グラフト率は24%であった。
【0042】
▲3▼グラフト共重合体( III−3)の製造
グラフト共重合体( III−1)と同様の方法で、ゴム重合体(A−1)にかえてゴム重合体(A−2)を使用して重合させ、グラフト共重合体( III−3)を製造した。表5に示す如く、重合転化率は98%で、グラフト率は32%であった。
【0043】
▲4▼グラフト共重合体( III−4)の製造
グラフト共重合体( III−1)と同様の方法で、ゴム重合体(A−1)にかえてゴム重合体(A−3)を使用して重合させ、グラフト共重合体( III−4)を製造した。表5に示す如く、重合転化率は98%で、グラフト率は42%であった。
【0044】
▲5▼グラフト共重合体( III−5)の製造
グラフト共重合体( III−2)と同様の方法で、上述の未肥大ゴム重合体(粒径85nm)を使用し、グラフト共重合体( III−5)を製造した。表5に示す如く、重合転化率は98%で、グラフト率は41%であった。
【0045】
▲6▼グラフト共重合体( III−6)の製造
グラフト共重合体( III−1)と同様の方法で、ゴム重合体(A−1)にかえて日本ゼオン株式会社製Nipol LX111NF(粒径350nm)を使用し、グラフト共重合体( III−6)を製造した。表5に示す如く、重合転化率は98%で、グラフト率は33%であった。
【0046】
【表5】
【0047】
(5)スチレン系樹脂組成物の製造
(1)で製造したアクリル酸エステル系共重合体(I)のラテックス、(2)で製造したマレイミド系共重合体(II)のラテックス及び(4)で製造したグラフト共重合体(III)のラテックスを表6に示す所定量の割合で混合し、フェノール系抗酸化剤を加えた後、塩化カルシウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥して、スチレン系樹脂組成物の粉末を得た。ついで得られた樹脂パウダー100部にエチレンビスステアリルアミドと二酸化チタン1部、カーボン0.05部を配合し、株式会社タバタ製201ブレンダーで均一にブレンドした。更に株式会社タバタ製40mm1軸押出機で、250℃で溶融混練して、スチレン系樹脂組成物のペレットを製造した(実施例1〜10、比較例1〜6)。特性及び物性を下記の方法で測定・評価した。
【0048】
〔還元粘度の測定〕
アクリル酸エステル系共重合体(I)あるいはマレイミド系共重合体(II)のラテックスに塩化カルシウムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥して得た樹脂粉末を、0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液として、30℃で還元粘度を測定した。
〔グラフト共重合体のグラフト率〕
グラフト共重合体(III)のパウダーを、メチルエチルケトンに溶解して、遠心分離し、メチルエチルケトン可溶分と不溶分を得た。この不溶分と可溶分との比率から、グラフト率を特定した。
〔ゴム重合体の粒径〕
ゴム重合体ラテックスについて、パシフィックサイエンス社製のナイコンプ粒径測定機を用いて測定した。
〔重合時の転化率〕
重合時の転化率は、ガスクロ分析より、計算した。
【0049】
〔スチレン系樹脂組成物の特性〕
耐衝撃性は、IZOD衝撃強度で評価した。IZOD衝撃強度は、ASTMD−256規格(1/4インチ厚み)の方法にて23℃にて測定した(単位:kgcm/cm)。引張強度(単位:kg/cm2 )、引張伸び(単位:%)は、ASTMD638規格にて1号ダンベルを使用し、23℃で評価した。
曲げ強度(単位:kg/cm2 )、曲げ弾性率(単位:kg/cm2 )は、ASTMD790規格の方法にて23℃で評価した。
耐熱性(HDT)は、ASTM D648の18.6kg/cm2 荷重の熱変形温度で評価した(単位:℃)。
上述のIZOD衝撃強度、引張り強度、引張り伸び、曲げ強度、曲げ弾性率、耐熱性に使用する試験片は、株式会社ファナック製FAS100B射出成形機を使用し、シリンダー温度260℃で成形し、評価に供した。
【0050】
流動性は、株式会社ファナック製FAS100B射出成形機を使用し、シリンダー温度250℃、射出圧力1350kg/cm2 にて、3mm厚みのスパイラル形状の金型内における樹脂の流動長(単位:mm)で評価した。
顔料分散性は、株式会社ファナック製FAS100B射出成形機を使用し、シリンダー温度260℃、1.5mm厚み×100mm×150mmの平板成形品の色ムラの度合いを目視により5点法で評価した。
5点・・・色ムラなし。
4点・・・色ムラ、薄く若干あり。
3点・・・色ムラ薄くあり。
2点・・・色ムラがかなり濃く激しい。
1点・・・色ムラが濃く激しい。
【0051】
衝撃時の応力、エネルギー吸収は、2mm厚み×100mm×150mmの平板成形品について、23℃、高さ1.5m、5kg錘の落下による荷重−時間変化をダイナタップ社製計装化衝撃試験機にて測定し、最大荷重を衝撃時の応力〔KN〕、荷重−時間変化の積分値〔J〕をエネルギー吸収とした。衝撃時の応力は小さいほど、その他の特性はいずれも数値が大きいほど優れていることを示す。
【0052】
表6の結果から、実施例1〜10に代表される本発明のスチレン系樹脂組成物は、特に顔料の分散性、衝撃時の応力、吸収エネルギーに優れ、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性も良好なことが明らかである。
【0053】
【表6】
【0054】
【発明の効果】
叙上のとおり、本発明のスチレン系樹脂組成物は、特に顔料の分散性、衝撃時の応力、吸収エネルギーに優れるとともに、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性も良好である。
Claims (2)
- (I)アルキルアクリレート40〜85重量%、シアン化ビニル化合物15〜40重量%、芳香族ビニル化合物45重量%以下及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)を重合してなる、Tgが20℃以下かつゲル含有量が10重量%以下のアクリル酸エステル系共重合体5〜50重量部、
(II)シアン化ビニル化合物10〜40重量%、マレイミド系化合物5〜50重量%、芳香族ビニル化合物10〜85重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)重合してなり、かつ芳香族ビニル化合物を49モル%以上含有するマレイミド系共重合体20〜80重量部、
(III)体積平均粒径が100〜1000nmの、ジエン系ゴム重合体、オレフィン系ゴム重合体及びアクリル系ゴム重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム重合体(A)、及びシアン化ビニル化合物15〜45重量%、芳香族ビニル化合物85〜55重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%からなる単量体混合物(合計100重量%)を重合してなるグラフト部(B)からなり、グラフト率が10〜70%であるグラフト共重合体15〜60重量部(合計100重量部)からなり、
ゴム重合体(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びクロトン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜50重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレート(d)50〜95重量%、及び(c)、(d)と共重合可能な単量体(e)0〜40%を重合させることにより調製した酸基含有ラテックス(S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体であり、かつ
アクリル酸エステル系共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が各々0.3〜1.2dl/gであり、かつゴム重合体含量が樹脂中5〜50重量%である顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物。 - ゴム重合体(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びクロトン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜25重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルアクリレート(d1)5〜30重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルメタクリレート(d2)80〜20重量%、(c)、(d1)、(d2)と共重合可能な、芳香族ビニル単量体、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する単量体、及びシアン化ビニル化合物(e)よりなる群から選ばれる少なくとも1種0〜40%を重合させることにより調製した酸基含有ラテックス(S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体である請求項1記載の顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物。
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