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JP3622560B2 - グラフト鎖を有する乳酸系組成物、及びその成形品 - Google Patents

グラフト鎖を有する乳酸系組成物、及びその成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑成分をグラフト基に有する事を特徴とする乳酸系組成物に関する。この生分解性ポリ乳酸系重合体は、包装材料、産業資材、工業用品、容器等の各種用途に使用できるが、特に柔軟性・透明性が必要とされるフィルム、テープ、シートの材料として非常に好適である。
また、可塑剤をグラフト鎖中に含む構造の為、経時安定性を有する。また分岐構造を持つ為、ゴム状弾性域が広く衝撃吸収性にすぐれ衝撃吸収材、制振材・除振材としての用途に好適である。更には、生分解性を有するので、従来のプラスチックの様な廃棄物処理の問題も軽減される。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性ポリマーおよびその成型品が求められ、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂の研究が活発に行われている。特に、乳酸系ポリマーはガラス転移点が60℃、融点が170〜180℃と、熱安定性が高く、しかも透明性に優れているため、現行の汎用樹脂に置き換わるものとして、用途に応じた改良・普及が待ち望まれている。なかでもダイオキシンの発生が危惧される軟質塩化ビニル材料の代替品の開発が望まれているが、乳酸系ポリマーは結晶性が高く、その剛直な分子構造の為、柔軟な物性を具現する事は困難であった。また他の生分解性ポリマーにおいても現時点で透明で柔軟性を有する材料は存在しない。
【0003】
特開平8−199052号公報、特開平8−199053号公報、特開平8−283557号公報等においてポリエチレングリコール等のエーテル結合含有グリコールを用いた(ポリ)エステル系可塑剤を添加した組成物について開示されているが、乳酸系ポリマーは結晶性が高く経時安定性が低い。またフィルム等を成形するには溶融特性に問題があった。
米国特許5180765号において可塑成分として乳酸の低分子量物や乳酸ポリマー原料であるラクチドを可塑剤として添加した組成物が開示されているが、乳酸の低分子量体やラクチドを含む乳酸系ポリマーは熱安定性が低下し、かつ分解も促進される為経時安定性に問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性を有し、可塑性の制御可能な乳酸系共重合体組成物で、かつ経時安定性を備えた組成物を提供する事である。
【0005】
【発明を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討の結果、経時安定性を有し、かつ透明で可塑性を制御しうる組成物を見いだした。
即ち、本発明は、可塑成分を乳酸系ポリマーにグラフト重合する事により透明で柔軟な特性で経時安定性を有し、かつ成形性の優れた組成物を提供する事である。
本発明は、乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)を100〜180℃で溶融混合し、重合反応させた乳酸系グラフト共重合体組成物に関する。さらに、本発明で得られた組成物の成形品に関するものである。
【0006】
以下に、本発明で使用する乳酸系ポリマー(A)、可塑剤(B)について順を追って説明する。
本発明における乳酸系ポリマー(A)とは、乳酸ホモポリマーの他、乳酸コポリマー、ブレンドポリマーをも含むものである。乳酸ホモポリマーとしては、2つのL−乳酸からなるL−ラクタチド、D−乳酸からなるD−ラクチド、L−乳酸とD−乳酸からなるメソ−ラクチドという3種類のラクチド環状2量化したラクチドいずれを主原料としたポリマーでも良く、触媒存在下において重合反応する事により得られる。L−ラクチド、またはD−ラクチドのみを含む共重合体は、結晶化し高融点の共重合体を得ることができる。本発明の共重合体ではこれら3種のラクチドを組み合わせることにより、更に良好な諸特性が得られる。乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラクチドと共重合可能な他の成分とが共重合されたものである。このような他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、及びこれら種々の構成成分より成る各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
【0007】
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールの例としては、ビスフェノールにエチレンオキサイドを付加反応させたものなどの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテルグリコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸の例としては、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、その他特開平6−184417号公報に記載されているもの等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0008】
乳酸系ポリマーは、従来公知の方法で合成させたものである。すなわち、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集44巻3198−3199頁に記載のような乳酸モノマーからの直接脱水縮合、または乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することが出来る。
直接脱水縮合を行う場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いても良い。又、開環重合を行う場合においても、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、又はこれらの混合物のいずれのラクチドを用いても良い。
【0009】
また乳酸系ポリマー中に乳酸成分を重量分率で50%以下の時は、その透明性、耐熱性、または生分解性などポリ乳酸独自の特性が失われる為好ましくない。更に重量平均分子量において10000以下の時は、特に粘・接着剤用途等において十分な接着強度、弾性率が損なわれる為好ましくない。
【0010】
ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出願第261572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 491−495(1985)及び Makromol Chem., 187, 1611−1628(1986)等の文献に様々に記載されている。
この重合反応に用いる触媒は、特に限定されるものではないが、公知の乳酸重合用触媒を用いる事が出来る。例えば、乳酸錫スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等のスズ系化合物、粉末スズ、酸化スズ; 亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物、テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物、酸化ビスマス(III)等のビスマス系化合物、酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム系化合物等を挙げることができる。これらの中でも、スズ又はスズ化合物からなる触媒が活性の点から特に好ましい。これら触媒の使用量は、例えば開環重合を行う場合、ラクチドに対して0.001〜5重量%程度である。重合反応は、上記触媒の存在下、触媒種によって異なるが、通常100〜220℃の温度で行う事ができる。また特開平7−247345号公報に記載のような2段階重合を行う事も好ましい。
【0011】
本発明で用いる可塑剤(B)としては、一般にポリ乳酸やポリ乳酸変性品の可塑化に使用される可塑剤を用いることができる。それら可塑剤の例としては、広くは塩化ビニルポリマー用に開発される多くの可塑剤を利用できるが、好ましくは、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、グリコール酸誘導体、エーテルエステル誘導体、グリセリン誘導体、アルキル燐酸エステル、ジアルキレーテル、ジエステル、トリカルボン酸エステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アルキルアルキレーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキレーテルモノエステル、クエン酸エステル、芳香族炭化水素から選ばれた単一または複数の混合物を用いる事ができる。更に詳細には、可塑剤(B)がフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、エチルフタリルエチルグリコレート、トリエチレングリコールジアセテート、エーテルエステル、アセチルクエン酸トリブチル、トリアセチンから選ばれた単一または複数の混合物が好ましい。
【0012】
溶解度パラメーター(SP)値について、一般にSP値の近いものは相溶性が高い事が知れれている。乳酸系ポリマーのSP値は9.7前後である為、SP値が9.0〜11.0である可塑剤が良い。更に好ましくは9.5〜10.5が良い。特にSP値が乳酸系ポリマーよりも高いほうが低いものに比べ相溶性が高い傾向にある。9.0より小さい、または11.0より大きいと相溶性が悪い為、透明性が低下する。
【0013】
可塑剤(B)の重量平均分子量は100〜5000が好ましく、更に好ましくは200〜3000がよい。重量平均分子量が100より小さい場合、十分な可塑効果が得られず、5000より大きい場合は、十分な可塑効果が得られず、かつその可塑剤の分子特性が顕著となり耐熱性、透明性が低下する為好ましくない。
可塑剤(B)の配合量は、乳酸系ポリマー(A)100重量部に対して5〜500重量部、好ましくは20〜100重量部である。可塑剤が5重量部より少ないと、乳酸系ポリマーの軟化温度を十分に低下させることができず、100重量部より多いと、共重合反応の効率が低下するためである。具体的には、例えば、乳酸系ポリマーの可塑化に有効な配合例として、乳酸系ポリマー100重量部に対してフタル酸ジメチル10〜100重量部、および/またはフタル酸ジエチル10〜100重量部を用いることができる。あるいは、同様にトリアセチンおよび/またはトリエチレングリコールジアセテート、エーテルエステルとして旭電化工業社製RS1000を用いても良い。これらの可塑剤(B)を用いることで、乳酸系ポリマーの透明性、色相を維持したまま、その軟化温度を下げる事ができる。結果として、共重合物の色相を良好に保ち、また成形品に十分な可塑効果が付与できる。
【0014】
なお、乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、10,000以上、好ましくは
50,000〜300,000である。
【0015】
次に製造方法を順に説明する。
乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)とを予め溶融混合する。乳酸系ポリマー(A)を可塑剤(B)で可塑化する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、乳酸系ポリマー(A)100重量部にフタル酸ジメチル10〜50重量部とフタル酸ジエチル10〜50重量部を加え、180℃の押出しで窒素雰囲気下で攪拌・溶融混合して得られる。乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)をあらかじめ溶融混合するときには、水分の混入を防ぐため乾燥窒素気流中で行い、例えば180℃で行うとよい。溶融混合する温度は、乳酸系ポリマー(A)の融解温度以上が好ましく、溶融温度が高すぎると可塑剤(B)が揮発減量されるため、組成物の物性が不十分になるので、具体的には80〜180℃の範囲で行うことが好ましい。
次に得られた混合体にフリーラジカルを発生させ、グラフト化反応を行う。フリーラジカルを発生させる方法としては過酸化物等のラジカル開始剤を添加する方法や、波長が400nm以下で強度120mW/cm以上の電子線を照射する方法など公知の方法が使用できる。例えば混合体100重量部に対して過酸化物を0.1〜10重量部添加し反応を行う。
【0016】
また、乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)を溶融混合するときに、同時にフリーラジカルを発生させ反応することが可能である。例えば、重合反応に2軸の横型反応装置を用いる場合は、乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)をラジカル開始剤と同時に投入してもよく、ラジカル開始剤だけを反応装置の途中から投入してもよい。さらに上記電子線を照射しながら混合反応したり、乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)を溶融混合したものにあらためて電子線を照射して反応を行う事が可能である。
【0017】
ラジカル開始剤だけを途中から投入する場合は、乳酸系ポリマー(A)と可塑剤(B)をあらかじめ溶融混練する事ができるので、ラジカル開始剤投入点での温度を下げる事が可能となりラジカル反応を緩やかに進行させる事ができ、ラジカル開始剤の活性を低下させずに反応させる事が可能となる。反応温度は、120〜180℃の範囲で行う。反応温度が120℃より低いと、十分に反応が進まず、180℃より高い温度での反応はラジカル開始剤の劣化を促進したりフリーラジカルによる乳酸系ポリマーの分解反応が促進される。また可塑剤も減量する為、物性も低下する。2軸の横型反応装置を用いる場合には、反応温度との関係にもよるが、例えば120〜180℃で反応を行なった場合、滞留時間が5〜20分で十分に反応が進行し、乳酸系ポリマーと可塑剤のグラフト共重合体を得ることができる。
【0018】
得られた共重合体には、可塑剤(B)が分子構造中に含まれており、柔軟な性質を有する熱可塑樹脂である。この共重合体は、ポリ乳酸単独の場合よりもむしろ成形温度を低く設定することができ、成形時の分子劣化が少なく、着色しにくく、透明な成形品を得ることができる。また、成形温度を低く設定できるため、成形後の冷却時間を短縮でき、良好な成形性が発揮される。
この共重合体の柔軟性は、用いる可塑剤(B)の組成、および使用量を適宜変えることで、制御可能である。さらに、反応後期、または反応終了後、溶融状態で減圧下にさらすことで、1〜3%程度残留している未反応のラクチドモノマーや反応副生成物が除去できる。
具体的な減圧処理の方法としては、2軸の横型反応装置の後半部分を120〜160℃、1〜50Torrに維持し、3〜15分間滞留・脱揮させることで可能である。このようにしてラクチドモノマーと副生成物を除去した共重合体は、経時安定性が大幅に改善された優れたものを得ることができる。
【0019】
乳酸系ポリマーと可塑剤の単純ブレンド体では、乳酸系ポリマーの結晶化に伴い可塑剤が減量し柔軟性が低下する。また未反応物、副生成物が残留し、加水分解の促進剤として寄与してしまう。
【0020】
本発明の共重合体は、上述の2軸横型反応装置のほかに、公知の反応容器で作成でき、例えば、1軸又は複数軸の撹拌機が配設された竪型反応容器又は横型反応容器、1軸又は複数軸の掻き取り羽根が配設された横型反応容器、又、1軸又は複数軸のニーダーや、1軸又は複数軸の押出機等の反応装置を単独で用いても良く、又は複数基を直列又は並列に接続して用いても良い。
【0021】
また本発明の組成物には、副次的添加物を加えて色々な改質を行う事ができる。副次的添加剤の例としては、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電剤、離型剤、香料、抗菌剤、核形成剤、酸化防止剤や調整剤などの安定剤等、その他の類似のものが挙げられる。さらに、適宜2次可塑剤としてさらに可塑剤を追加して添加して利用することも可能である。
【0022】
本発明及び以下の実施例、比較例において、重合体の重量平均分子量はGPC分析によるポリスチレン換算値、ガラス転移点、結晶化点、融点は走査型示差熱量計(DSC)による測定値である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
本実施例では、以下に示す乳酸系ポリマー、可塑剤、及び過酸化物を使用し実験を行った。
<ポリ乳酸(P1)>
L−ラクチド90重量部に、 D−ラクチド10重量部を加え、不活性ガス雰囲気下溶融混合し、開環重合触媒としてオクチル酸錫を0.24重量部、2軸混練機で撹拌しつつ190℃で15分間重合した後、直径2mmのノズルにより押し出し、水冷し切断する事で低結晶性ポリ乳酸チップC1を得た。
チップC1を、120℃、圧力1.5kg/cmの窒素中で12時間処理し、未反応モノマー(ラクチド)を除去し、チップP1を得た。チップP1の重量平均分子量は163,000、残存モノマー(ラクチド)は、0.5%以下であった。DSCを測定した結果、ガラス転移温度は55.3℃、結晶化温度は144.9℃、融点は175.7℃に観測された。
【0024】
<ポリ乳酸(P2)>
L−ラクチド75重量部に、 D−ラクチド25重量部を加え、不活性ガス雰囲気下溶融混合し、開環重合触媒としてオクチル酸錫を0.24重量部、2軸混練機で撹拌しつつ190℃で15分間重合した後、直径2mmのノズルにより押し出し、水冷し切断する事で非晶性ポリ乳酸チップC2を得た。
チップC2を、120℃、圧力1.5kg/cmの窒素中で12時間処理し、未反応モノマー(ラクチド)を除去し、チップP2を得た。チップP2の重量平均分子量は117,000、残存モノマー(ラクチド)は、1.5%以下であった。DSCを測定した結果、ガラス転移温度は51.7℃、結晶化温度と融点は観測されなかった。
【0025】
<ポリ乳酸(P3)>
L−ラクチド99重量部に、 D−ラクチド1重量部を加え、不活性ガス雰囲気下溶融混合し、開環重合触媒としてオクチル酸錫を0.24重量部、2軸混練機で撹拌しつつ190℃で15分間重合した後、直径2mmのノズルにより押し出し、水冷し切断する事で結晶性ポリ乳酸チップC3を得た。
チップC3を、120℃、圧力1.5kg/cmの窒素中で12時間処理し、未反応モノマー(ラクチド)を除去し、チップP3を得た。チップP3の重量平均分子量は188,000、残存モノマー(ラクチド)は、0.1%以下であった。DSCを測定した結果、ガラス転移温度は60.0℃、結晶化温度は137.3℃、融点は171.3℃に観測された。
【0026】
<可塑剤:トリアセチン(大八化学工業株式会社製)(S1)>
酸価:0.05以下、色相(APHA):20以下、分子量:218、比重(20/20℃):1.160±0.003、溶解度パラメーター(HOY):9.9
【0027】
<可塑剤:アデカサイザーRS−1000(旭電化工業株式会社製)(S2)>
酸価:0.08、色相(APHA):120、分子量:500〜1000、粘度(25℃):43cp、比重(25/25℃):1.10、溶解度パラメーター(HOY):9.7
【0028】
<過酸化物:カヤヘキサAD40C(化薬アクゾ株式会社製)(O1)>
含有量:40%、活性酸素量:4.4%、分子量:290.44、10時間半減期温度:118℃、活性化エネルギー:36.0kcal/kmol (CASNo.78−63−7)
【0029】
(実施例1)
P1を100重量部、S1を40重量部、及びO1を2.5重量部を混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PC1)を得た。そのチップPC1を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPC1を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPC1を用いてDSC測定を行った。
【0030】
(実施例2)
P1を100重量部、S2を40重量部、及びO1を2.5重量部を混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PC2)を得た。そのチップPC2を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPC2を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPC2を用いてDSC測定を行った。
【0031】
(実施例3)
P2を100重量部、S1を40重量部、及びO1を2.5重量部を混合し、160℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PC3)を得た。そのチップPC3を50℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPC3を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPC3を用いてDSC測定を行った。
【0032】
(実施例4)
P2を100重量部、S2を40重量部、及びO1を2.5重量部を混合し、160℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PC4)を得た。そのチップPC4を50℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPC4を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPC4を用いてDSC測定を行った。
【0033】
(実施例5)
P3を100重量部、S1を40重量部、及びO1を2.5重量部を混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PC5)を得た。そのチップPC5を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPC5を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPC5を用いてDSC測定を行った。
【0034】
(実施例6)
P3を100重量部、S2を40重量部、及びO1を2.5重量部を混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PC6)を得た。そのチップPC6を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPC6を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPC6を用いてDSC測定を行った。
【0035】
(比較例1)
P1を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、P1を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップP1を用いてDSC測定を行った。
【0036】
(比較例2)
P2を50℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、P2を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップP2を用いてDSC測定を行った。
【0037】
(比較例3)
P3を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、P3を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップP3を用いてDSC測定を行った。
【0038】
(比較例4)
P1を100重量部とS1を40重量部とを混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PS1)を得た。そのチップPS1を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPS1を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPS1を用いてDSC測定を行った。
【0039】
(比較例5)
P1を100重量部とS2を40重量部とを混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PS2)を得た。そのチップPS2を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPS2を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPS2を用いてDSC測定を行った。
【0040】
(比較例6)
P2を100重量部とS1を40重量部とを混合し、160℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PS3)を得た。そのチップPS3を50℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPS3を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPS3を用いてDSC測定を行った。
【0041】
(比較例7)
P2を100重量部とS2を40重量部とを混合し、160℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PS4)を得た。そのチップPS4を50℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPS4を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPS4を用いてDSC測定を行った。
【0042】
(比較例8)
P3を100重量部とS1を40重量部とを混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PS5)を得た。そのチップPS5を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPS5を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPS5を用いてDSC測定を行った。
【0043】
(比較例9)
P3を100重量部とS2を40重量部とを混合し、180℃の2軸押出機で平均5分間溶融混合し、直径2mmのノズルにより押出し、水冷し切断する事で、乳酸系重合体チップ(PS6)を得た。そのチップPS6を75℃で真空乾燥し絶乾状態にした後、射出成形により名刺大プレート(1mmt)を作成した。又、チップPS6を用いDSC測定を行った。さらに室温(25℃)大気中に3ヶ月放置したチップPS6を用いてDSC測定を行った。
実施例1〜6及び比較例1〜9の結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003622560
【0044】
比較例1〜3のポリマーでは、ガラス転移点が高く、十分な柔軟性は得られない。比較例4〜9のポリマーでは、MFRが測定不可能なほど溶融粘度が低く成形が難しい。更にガラス転移点が上昇し、柔軟性が失われ経時安定性に乏しい。
実施例1〜6のポリマー組成物では、 各種成形が可能であった。又、ガラス転移点が低く柔軟性も十分に備え、透明性も有している事が分かった。更に、経時安定性も向上しており、透明性・柔軟性・成形性・経時安定性のバランスに優れていることがわかる。
【発明の効果】
本発明によれば、乳酸系ポリマーに可塑剤がグラフト重合していることによって、自然環境下で分解可能であり、透明性・柔軟性を持ち合わせ、かつ成形性、経時安定性に優れた生分解性ポリ乳酸系重合体組成物及び成型品を提供することができる。
この生分解性ポリ乳酸系重合体は、包装材料、産業資材、工業用品、容器等の各種用途に使用できるが、特に柔軟性・透明性が必要とされるフィルム、テープ、シートの材料として非常に好適である。また可塑剤をグラフト鎖中に含む構造のため、経時安定性に優れる。

Claims (8)

  1. 重量平均分子量100〜5,000で溶解度パラメーター(SP)値9.0〜11.0である可塑剤(B)が、少なくとも重量分率で50%以上の乳酸成分を含み、重量平均分子量が10,000以上である乳酸系ポリマー(A)にグラフト重合している事を特徴とする乳酸系組成物。
  2. 可塑剤(B)の添加量が乳酸系ポリマー(A)100重量部に対して5〜500重量部である事を特徴とする請求項1記載の乳酸系組成物。
  3. 可塑剤(B)がフタル酸エステル、アジピン酸エステル、グリコール酸誘導体、エーテルエステル誘導体、グリセリン誘導体、アルキル燐酸エステル、ジアルキレーテル、ジエステル、トリカルボン酸エステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アルキルアルキレーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキレーテルモノエステル、クエン酸エステル、芳香族炭化水素から選ばれた単一または複数の混合物である事を特徴とする請求項1又は2記載の乳酸系組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか一項記載の組成物からなる成型品。
  5. 請求項1〜3いずれか一項記載の組成物からなるフィルム。
  6. 請求項1〜3いずれか一項記載の組成物からなるシート。
  7. 請求項1〜3いずれか一項記載の組成物からなる射出成形体。
  8. 請求項1〜3いずれか一項記載の組成物からなる被覆紙。
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