JP3621779B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体に関し、特に有機光導電材料を用いた電子写真感光体に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体の光導電材料には、一般的に、セレン(Se)、硫化カドミウム(CdS)、酸化亜鉛(ZnO)、アモルファスシリコン(a−Si)等の無機材料が使用されているが、かかる無機材料を用いた感光体は、暗所で例えば帯電ローラーにより帯電し、次いで、像露光を行い露光部のみの電荷を選択的に消失させて静電潜像を形成し、さらに、現像剤で可視化して画像形成するごとく利用されている。かかる電子写真感光体に要求される基本特性として、(1)暗所で適当な電位に帯電できること、(2)光照射により表面電荷を消失することができる機能を備えていること等であるが、前記無機材料は、各々長所、短所を有している。例えば、セレン(Se)は、前記(1)、(2)の特性は十分満足するが、可撓性がなくフィルム状に加工することが難しく、また、熱や機械的衝撃に鋭敏であるため取扱いに注意を要する等の欠点がある。さらに、アモルファスシリコン(a−Si)は製造条件が難しく、製造コストが高くなるという欠点がある。
【0003】
このため、近年は、電荷発生剤として知られるフタロシアニンやアゾ化合物を電荷発生層に用い、さらにヒドラゾン化合物等の電荷移動剤と結着樹脂とからなる電荷移動層を積層して構成される機能分離型の有機感光体が主流になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来より、かかる有機感光体の電荷移動層の結着樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が最も一般的に用いられていた。
しかしながら、結着樹脂としてビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を用いた場合には、塗工液がゲル化してしまうため、安定的に製品を製造することができず、また、塗工液の寿命が短いため頻繁に塗工液を交換しなければならないことから、コストの高いものとなっていた。
【0005】
また、電子写真装置の各種プロセスには電子写真感光体と接触するプロセスがあり、それらとの摩擦により感光体の表面が摩耗していくが、従来の樹脂は膜減りが多く表面にキズが入り易いため、印刷画像に濃度ムラが発生したりスジが発生するなどの欠点がある。
【0006】
最近は、電子写真感光体の長寿命化が求められるとともに、電子写真装置の小型化が進み、それに伴い電子写真感光体の径は小径化の一途をたどっている。電子写真感光体が小径化されると、印刷用紙1枚当たりに対する電子写真感光体の回転数が増えるため、より一層電子写真感光体の機械特性の向上が求められるようになった。
【0007】
その一方、ポリカーボネートは熱や紫外線によって熱(光)酸化劣化しやすく、熱(光)酸化劣化したポリカーボネートはクラックや硬度低下などを引き起こす。
電子写真装置においては、電子写真プロセスとの接触における摩擦熱や熱定着器の放出熱等の熱によるものや、複写機に一般的に用いられているハロゲンランプからの紫外線の放出、電子写真装置のメンテナンスや電子写真感光体の交換時に室内光に暴露されるなどの紫外線によるものなど、酸化劣化を受ける要因は多数存在する。
【0008】
また、電子写真装置のメンテナンスのときや電子写真感光体を交換するときに、誤って電子写真感光体表面に触れてしまうなどして、指紋や油などが感光層表面に付着してしまったり、電子写真プロセスの帯電工程や除電工程など高電圧を発生させるプロセスにおいてオゾン等の活性物質が発生することもある。
この様な指紋や油の付着や活性物質の暴露などの強い刺激により、感光層は表面にクラックを生じたり、硬度低下、変色などの劣化を引き起こす。
【0009】
電子写真感光体においては、クラック、硬度低下、変色などは致命的な欠陥である。すなわち、クラックの発生は、そのものが印刷画像に表れたり、各種プロセスにおける接触によりクラック部分からの感光層の剥離などを引き起こす。また、膜の硬度低下は電子写真感光体の耐久性の著しい低下、膜表面の荒れによる印刷画像上のカブリ、黒点、スジなどの発生を引き起こす。さらに、感光体の変色は部分的な感度低下による印刷画像上の白ヌケや印字ボケなどを引き起こす。
【0010】
そこで、このような課題を解決するため、種々の樹脂を用いた電子写真感光体が提案されている(例えば、特開平1−26992号公報、特開平3−63652号公報等参照)。
しかし、これらの電子写真感光体においても、機械特性、熱(光)酸化劣化及び対刺激性の点で満足のゆくものは得られていないのが現状である。
【0011】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、機械的特性に優れ、かつ、熱(光)酸化劣化及び刺激に強く、しかも、塗工液の安定性の高い電子写真感光体を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層中に特定のポリカーボネート共重合体と特定の構造の酸化防止剤を用いた電子写真感光体が、前記従来の技術の問題点がなく、しかも長期間にわたって優れた機械的強度及び電子写真特性を維持することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、導電性支持体上に感光層を形成した電子写真感光体において、該感光層中に結着樹脂として一般式〔I〕及び一般式〔II〕で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体と、式〔III〕で表される化合物からなるフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【化1】
〔式中、Xは−CR1R2−(但し、R1及びR2は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。)、炭素数5〜8の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2〜12のα,ω-アルキレン基、−O−、−CO−、−SO−又は−SO2−を表す。〕
【化2】
〔式中、R3及びR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、m及びnは、各々独立に0〜4の整数を表し、Yは一般式〔I〕のXと同様の意味を表す。但し、XとYは互いに同一でも良く、相違していても良い。〕
【化3】
そして、本発明は、上記一般式〔I〕及び一般式〔II〕で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体と、上記式〔III〕で表される化合物からなるモノフェノール系酸化防止剤を組み合わせることにより、感光特性及び結着樹脂との相溶性に優れた感光層が得られるものです。
【0014】
本発明の場合、フェノール系酸化防止剤の添加量は、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、結着樹脂に対して3〜20重量%とすることが好ましい。
【0015】
また、本発明者等は、上記感光層中に特定の紫外線吸収剤を用いた電子写真感光体が、前記従来の技術の問題点がなく、しかも長期間にわたって優れた機械的強度及び電子写真特性を維持することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項記載の発明において、ベンゾトリアゾール系又はサリチル酸系から選ばれる紫外線吸収剤を含有することを特徴とする。
【0017】
この場合、請求項4に記載の発明のように、請求項3に記載の発明において、紫外線吸収剤として式〔IV〕で表される化合物を用いることもできる。
【0018】
【化18】
【0019】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項3に記載の発明において、紫外線吸収剤として式〔V〕で表される化合物を用いることもできる。
【0020】
【化19】
【0021】
紫外線吸収剤の添加量は、請求項6に記載の発明のように、請求項3乃至5に記載の発明において、結着樹脂に対して3〜30重量%とすることが好ましい。
【0022】
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤との両成分の添加量は、請求項7に記載の発明のように、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の発明において、結着樹脂に対して5〜40重量%とすることが好ましい。
【0023】
この場合、紫外線吸収剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜30重量%とすることが好ましい。一方、フェノール系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0024】
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤の添加量が5重量%に満たない場合には、酸化劣化防止及び耐刺激性が弱くなる傾向がある。一方、フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤の添加量が40重量%を超える場合には、電子写真特性、特に高温高湿環境下における残留電位の上昇が見られることがある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子写真感光体の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1〜3は、本発明に係る電子写真感光体の好ましい実施の形態の構成を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、本発明は、導電性支持体1の上に電荷発生層2が形成され、その上に電荷移動層3が形成される正又は負帯電型機能分離型2層構造の電子写真感光体に適用されるものである。この場合、電荷発生層2と電荷移動層3とにより感光層4が形成される。
【0027】
また、図2に示すように、本発明は、導電性支持体1の上に電荷移動層3が形成され、その上に電荷発生層2が形成される正帯電型機能分離型2層構造の電子写真感光体に適用されるものである。この場合、電荷移動層3と電荷発生層2とにより感光層4が形成される。
【0028】
さらに、図3に示すように、本発明は導電性支持体1の上に電荷発生剤と電荷移動剤が分散されている感光層4が形成される正又は負帯電型単層構造の電子写真感光体に適用されるものである。
【0029】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体1としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的には、例えば、アルミニウム、陽極酸化処理されたアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス、真ちゅう等、あるいは、プラスチック、プラスチック表面にアルミニウム、銅、ニッケル等の金属を蒸着又はめっきしたもの等を使用することができる。また、電子写真感光体の形状については、ドラム状、板状、シート状、ベルト状のものを使用することができる。
【0030】
電荷発生層2は、少なくとも電荷発生剤を有するものであり、この電荷発生層2は、その下地となる導電性支持体1上に電荷発生剤を結着樹脂を用いて結着することにより形成することができる。
【0031】
電荷発生層2の形成方法としては、公知の方法等各種の方法を使用することができるが、電荷発生剤を結着樹脂とともに適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗工液を、所定の下地となる導電性支持体1上に塗布し、乾燥させる方法を用いることができる。
【0032】
また、電荷発生剤を真空蒸着することにより電荷発生層2を形成することもできる。
【0033】
電荷発生剤としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的には、例えば、フタロシアニン系、モノアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、テトラキスアゾ系、ポリアゾ系、多環キノン系、インジゴ系、ペリレン系、ベンズイミダゾール等の有機系顔料又は染料、セレン、セレン−砒素、セレン−テルル、セレン−テルル−砒素等のセレン合金、a−Si等の無機系材料を使用することができる。
【0034】
前記電荷発生剤においては、以下に挙げる顔料が好ましく用いられる。
【0035】
【化25】
【0036】
〔式中、Aは金属又は金属酸化物を表す。〕
【0037】
【化26】
【0038】
〔式中、B1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、B2は−CONH−B3又は−CONHN=CH−B3を表す。(但し、B3は置換基を有しても良い芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を示す。)〕
また、B1とB2について、好ましい組み合わせを表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【化27】
【0041】
〔式中、Cはハロゲン原子を表す。〕
【0042】
【化28】
【0043】
〔式中、Dはアルキル基を表す。〕
【0044】
【化29】
【0045】
〔式中、Eはハロゲン原子を表す。〕
【0046】
また、電荷発生層2における結着樹脂としては、特に制限はなく公知のものなど各種のものを使用でき、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩ビ−酢ビ共重合体、ポリビニルアセタール、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリロアミド、ブチラール樹脂などの熱硬化樹脂等を使用することができる。
【0047】
なお、電荷発生層2における結着樹脂として、前記一般式〔I〕及び一般式〔II〕で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体を用いることもできる。
【0048】
電荷移動層3は、少なくとも電荷移動剤を有するものであり、この電荷移動層3は、例えば、その下地となる電荷発生層2上に電荷移動剤を結着樹脂を用いて結着することにより形成することができる。電荷移動層3の形成方法としては、公知の方法等各種の方法を使用することができるが、通常の場合、電荷移動剤を結着樹脂とともに適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗工液を、所定の下地となる電荷発生層2上に塗布し、乾燥させる方法を用いることができる。
【0049】
電荷移動剤としては、公知のものなど各種の電子供与性物質又は電子受容性物質を使用することができる。
【0050】
電子供与性物質としては、例えばポリビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフェン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルピラゾリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリジアセチレン、ポリヘプタジイエン、ポリピリジンジイル、ポリキノリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェロセニレン、ポリペリナフチレン、ポリフタロシアニン等の導電性高分子化合物、低分子化合物として、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール、等の含窒素複素環化合物、フルオレノン、フルオレン、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、エナミン、スチルベン化合物などを使用することができる。
【0051】
前記電子供与性物質において、好ましいものとしては下記一般式で表される化合物である。
【0052】
【化30】
【0053】
〔式中、R5及びR6はアルキル基、フェニル基、ベンジル基又はメトキシフェニル基で相互に同じであっても異なっていてもよく、R7はアルキル基、フェニル基、p−メトキシベンジル基、エトキシ基、ベンジル基、メトキシフェニル基、トリル基又はナフチル基を表し、R8は水素原子、アルキル基、−OR9(R9は炭素数5〜10の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、アルケニル基、アルカジェニル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す)を表す。〕
【0054】
【化31】
【0055】
〔式中、R10〜R13は置換基を有してもよいアルキル基を表す。〕
【0056】
【化32】
【0057】
〔式中、末端のフェニル基は、低級アルキル基及びアルコキシ基からなる群より独立して選択される1個若しくは2個の置換基を有していても良く、R14及びR15は、独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。〕
【0058】
【化33】
【0059】
【化34】
【0060】
【化35】
【0061】
【化36】
【0062】
【化37】
【0063】
【化38】
【0064】
【化39】
【0065】
【化40】
【0066】
【化41】
【0067】
【化42】
【0068】
電子受容性物資としては、例えばトリニトロフルオレノン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン及びこれらの誘導体、及び特願平7−185583号に記載の特定のキノン誘導体、特願平7−234732号及び特願平7−319718号に記載の特定のジフェノキノン誘導体などを使用することができる。
これらの電荷移動剤を単独若しくは2種類以上混合して使用することができる。
【0069】
本発明の電子写真感光体は、その感光層中に結着樹脂として、例えば、以下に挙げる繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体を含有することができる。但し、これらに限定されるものでなく、前記一般式〔I〕及び一般式〔II〕で表される繰り返し単位であればよい。
【0070】
なお、前記ポリカーボネート共重合体における繰り返し単位の組成比は、前記ポリカーボネート共重合体が合成しうる限り、特に限定されない。
【0071】
【化43】
【0072】
【化44】
【0073】
【化45】
【0074】
【化46】
【0075】
【化47】
【0076】
【化48】
【0077】
【化49】
【0078】
【化50】
【0079】
【化51】
【0080】
【化52】
【0081】
【化53】
【0082】
【化54】
【0083】
【化55】
【0084】
【化56】
【0085】
【化57】
【0086】
本発明の電子写真感光体は、その感光層中にフェノール系酸化防止剤を含有するものである。
【0087】
本発明に用いることができるフェノール系酸化防止剤としては、2.6−ジ−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2.4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピオン酸ステアリル−β−(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、n−オクタデシル−3−(3’−5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、2.2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4.4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4.4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1.3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のポリフェノール系等が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
【0088】
これらフェノール系酸化防止剤のうち、モノフェノール系酸化防止剤が感光特性及び樹脂との相溶性に優れ、特に前記式〔III〕で表される化合物を用いることが効果的である。
【0089】
本発明の電子写真感光体は、その感光層中に紫外線吸収剤を含有するものである。
【0090】
本発明に用いることができる紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3.5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル等のサリチル酸系が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層に含有することができる。
【0091】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いる場合には、特に前記式〔IV〕で表される化合物を用いることが効果的である。
【0092】
また、サリチル酸系紫外線吸収剤を用いる場合には、特に前記式〔V〕で表される化合物を用いることが効果的である。
【0093】
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤を同時に添加する場合には、前記したフェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤を適宜に組み合わせることができるが、式〔III〕と式〔IV〕若しくは式〔III〕と式〔V〕のいずれかの組み合わせが最も効果的である。
【0094】
本発明の電子写真感光体に添加されるフェノール系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜20重量%の範囲であることが好ましい。一方、紫外線吸収剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜30重量%とすることが好ましい。
【0095】
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤との両者を添加する場合には、両成分の添加量は、結着樹脂に対して5〜40重量%とすることが好ましい。
【0096】
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤の添加量が5〜40重量%に満たない場合には、酸化劣化防止及び耐刺激性が弱くなる傾向がある。一方、フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤の添加量が5〜40重量%を超える場合には、電子写真特性、特に高温高湿環境下における残留電位の上昇が見られることがある。
【0097】
図3で示される単層型構造の電子写真感光体においては、感光層4の結着樹脂として前記一般式〔I〕及び一般式〔II〕で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体及び上述したフェノール系酸化防止剤及び紫外線吸収剤を含有する。
【0098】
また、本発明に係る電子写真感光体の場合、感光層の帯電時において、導電性支持体から感光層への自由電子の注入を阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用を得るため、さらに、導電性支持体の凹凸による入射光の反射や画像の黒点、白点などを防止する目的で導電性支持体と感光層との間に中間層を設けてもよい。
【0099】
本発明に係る電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に、接着機能、バリヤー機能、支持体表面の欠陥被覆機能などを持つ下引き層を設けてもよい。この下引き層としては、酸化アルミニウム、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂等を用いることができる。それらの下引き層は、単独の樹脂で構成しても良く、2種類以上の樹脂を混合して構成しても良い。また、樹脂中に金属酸化物やカーボンを分散させた下引き層を用いることもできる。
【0100】
さらに、感光層の上に、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の有機薄膜や、シランカップリング剤の加水分解物で形態されるシロキサン構造体からなる薄膜を成膜して表面保護層を設けても良く、その場合には、感光体の耐久性が向上するので好ましい。この表面保護層は、耐久性向上以外の他の機能を向上させるために設けても良い。
【0101】
【実施例】
以下、本発明に係る電子写真感光体の実施例を比較例とともに詳細に説明する。
【0102】
〔実施例1〕
直径30mmのアルミニウムからなる円筒ドラム上に、電荷発生剤としてCGM1(式中、AはTiOである)で表されるオキシチタニウムフタロシアニンと、結着樹脂としてポリビニルブチラールとを用いて分散液を調製し、浸漬塗工により0.1μmの電荷発生層を形成する。
【0103】
次いで、電荷移動剤として化31のCTM2(式中R10、R11はエチル基、R12、R13はベンジル基)で表されるブタジエン化合物と、結着樹脂として化44の樹脂2で表されるポリカーボネート共重合体とを0.8/1の割合でジクロロメタンに溶解し、式〔III〕で表されるフェノール系酸化防止剤を結着樹脂に対して10重量%溶解させ、塗工液を調製する。この際、前記ポリカーボネート共重合体の繰り返し単位の組成(モル)比は、一般式〔I〕/一般式〔II〕=0.1/0.9とする。また、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度は0.76dl/gであった。そして、浸漬塗工によりこの塗工液を電荷発生層上に塗布した後乾燥し、20μmの電荷移動層を形成する。以上のような方法で電子写真感光体を作製した。
【0104】
〔実施例2〕
実施例1のポリカーボネート共重合体の繰り返し単位のモル比を一般式〔I〕/一般式〔II〕=0.5/0.5とし、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度を0.74dl/gとした以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0105】
〔実施例3〕
実施例1のポリカーボネート共重合体の繰り返し単位のモル比を一般式〔I〕/一般式〔II〕=0.8/0.2とし、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度を0.72dl/gとした以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0106】
〔実施例4〕
電荷発生剤として化25のCGM1(式中、AはTiOである)で表されるオキシチタニウムフタロシアニンを用い、これを真空度1.0×10-6mmHgの雰囲気中で加熱し、直径30mmのアルミニウムドラム上に0.08μmの厚さに蒸着して電荷発生層を形成する。
【0107】
次いで、電荷移動剤として化30のCTM1(式中R5、R6はベンジル基、R7はフェニル基、R8はメチル基)で表されるヒドラゾン化合物と化31のCTM2(式中R10〜R13はエチル基)で表されるブタジエン化合物を、結着樹脂として実施例1と同様のポリカーボネート共重合体とをCTM1/CTM2/結着樹脂=0.9/0.1/1の割合でクロロホルムに溶解し、式〔III〕で表されるフェノール系酸化防止剤の添加量を結着樹脂に対して3重量%溶解させ、電荷発生層上に浸漬塗工にて20μmの電荷移動層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0108】
〔実施例5〕
フェノール系酸化防止剤の添加量を結着樹脂に対して10重量%とした以外は実施例4と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0109】
〔実施例6〕
フェノール系酸化防止剤の添加量を結着樹脂に対して20重量%とした以外は実施例4と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0110】
〔比較例1〕
フェノール系酸化防止剤を添加せず、それ以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0111】
〔比較例2〕
フェノール系酸化防止剤に代えて、式〔VI〕で表されるアミン系酸化防止剤を結着樹脂に対して10重量%添加し、それ以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0112】
【化58】
【0113】
〔比較例3〕
フェノール系酸化防止剤に代えて、式〔VII〕で表されるイオウ系酸化防止剤を結着樹脂に対して10重量%添加し、それ以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0114】
【化59】
【0115】
〔比較例4〕
ポリカーボネート共重合体を、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度が0.72dl/gである式〔I〕(式中、Xは−CR1R2−(但しR1、R2はメチル基))で表されるポリカーボネートに代えた以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0116】
〔比較例5〕
ポリカーボネート共重合体を、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度が0.74dl/gである式〔II〕(式中、Yは−CR1R2−(但しR1、R2はメチル基))で表されるポリカーボネートに代えた以外は実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0117】
〔参考例1〕
直径30mmのアルミニウムからなる円筒ドラム上に、電荷発生剤として化26のCGM2(式中B1とB2は表1の(5))で表されるアゾ顔料と、結着樹脂としてポリビニルブチラールとで分散液を作り、浸漬塗工により0.4μmの電荷発生層を形成する。
【0118】
次いで、電荷移動剤として化30のCTM1(式中、R5〜R7はフェニル基でR8はメチル基)で表されるヒドラゾン化合物と、結着樹脂として化44の樹脂2で表されるポリカーボネート共重合体とを0.8/1の割合でジクロロメタンに溶解し、式〔IV〕で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を結着樹脂に対して10重量%溶解させ、塗工液を調製する。この際、前記ポリカーボネート共重合体の繰り返し単位の組成(モル)比は、一般式〔I〕/一般式〔II〕=0.1/0.9とする。また、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度は0.76dl/gであった。そして、浸漬塗工によりこの塗工液を電荷発生層上に塗布した後乾燥し、20μmの電荷移動層を形成する。以上のような方法で電子写真感光体を作製した。
【0119】
〔参考例2〕
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量を結着樹脂に対して3重量%とした以外は参考例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0120】
〔参考例3〕
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量を結着樹脂に対して30重量%とした以外は参考例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0121】
〔参考例4〕
電荷移動剤を化34のCTM5で表されるインドリン化合物に代えるとともに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を式〔V〕で表されるサリチル酸系紫外線吸収剤に代えた以外は参考例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0122】
〔参考例5〕
サリチル酸系紫外線吸収剤の添加量を結着樹脂に対して3重量%とした以外は参考例4と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0123】
〔参考例6〕
サリチル酸系紫外線吸収剤の添加量を結着樹脂に対して30重量%とした以外は参考例4と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0124】
〔比較例6〕
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に代えて、式〔VIII〕で表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を結着樹脂に対して10重量%添加した以外は参考例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0125】
【化60】
【0126】
〔比較例7〕
ポリカーボネート共重合体を、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度は0.72dl/gである式〔I〕(式中、Xは−CR1R2−(但しR1、R2はメチル基))で表されるポリカーボネートに代えた以外は参考例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0127】
〔比較例8〕
ポリカーボネート共重合体を、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度は0.74dl/gである式〔II〕(式中、Yは−CR1R2−(但しR1、R2はメチル基))で表されるポリカーボネートに代えた以外は参考例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0128】
〔実施例13〕
電荷発生剤として化26のCGM2(式中、B1とB2は表1の(5)の置換基である)で表されるアゾ顔料と化25のCGM1(式中、AはSnCl2である)で表されるジクロロスズフタロシアニンを14/0.7の割合でテトラヒドロフラン中で分散し、この分散液に電荷移動剤として化32のCTM3に含まれ式〔IX〕で表されるトリフェニルアミン化合物、結着樹脂として化44の樹脂2で表されるポリカーボネート共重合体を電荷発生剤/電荷移動剤/結着樹脂=11.8/80/100の割合で加える。
【0129】
【化61】
【0130】
さらに、式〔III〕で表されるフェノール系酸化防止剤、式〔IV〕で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を結着樹脂に対してそれぞれ3重量%、10重量%加える。これを再度分散し塗工液を調製する。この塗工液を直径30mmのアルミニウムからなる円筒ドラム上に、浸漬塗工により塗布した後乾燥し、膜厚20μmの感光層を形成した。以上のような方法で電子写真感光体を作製した。
【0131】
〔比較例9〕
酸化防止剤及び紫外線吸収剤を添加せず、それ以外は実施例13と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0132】
〔比較例10〕
ポリカーボネート共重合体を、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度は0.72dl/gである式〔I〕(式中、Xは−CR1R2−(但しR1、R2はメチル基))で表されるポリカーボネートに代えた以外は実施例13と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0133】
〔比較例11〕
ポリカーボネート共重合体を、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度は0.74dl/gである式〔II〕(式中、Yは−CR1R2−(但しR1、R2はメチル基))で表されるポリカーボネートに代えた以外は実施例13と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0134】
〔評価方法〕
以上のように作製した電子写真感光体を感光体評価装置(山梨電子工業社製)を使用し、以下の条件で電子写真特性を評価した。
常温常湿(24℃、40%RH)の環境下にて、−6KVのコロナ放電を行い感光体を帯電させた後、除電光としてタングステンランプを用い200Luxに調整し照射した。そして、その初期表面電位V0(−V)を測定し、その後50Luxの白色光を照射し、残留電位VR(−V)を測定した。
【0135】
その後、熱(光)酸化劣化の疲労加速試験器に移し、感光体を回転させながら1000Luxの白色タングステン光を照射した状態で感光層を流れる電流が50μAになるように帯電器の放電電流を調整し、60分間連続して光照射、帯電を行った。疲労後、感光体を直ちに前記感光体特性評価装置に移し、V0、VRを測定し、疲労前との差をそれぞれ△V0(V)、ΔVR(V)とした。
【0136】
クラック試験は、感光体表面に指紋を付着させ、1週間常温常湿下に放置した後の表面上体を目視により確認した。そして、異常がなかったものを○、クラックが発生したものを×とした。
【0137】
塗工液の安定性評価は、実施例1〜実施例6、参考例1〜参考例6及び比較例1〜比較例8については電荷移動層用の塗工液を、実施例13及び比較例9〜11については感光層用の塗工液を、それぞれ常温常湿下に1カ月放置し、塗工液のゲル化の有無を評価した。判定は、変化のなかったものを○、ゲル化したものを×とした。
【0138】
耐摩擦試験として、実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例5について、ブラシ帯電方式により電子写真感光体を負に帯電し、LED露光、非磁性一成分現像方式、ブレードクリーニング方式により画像形成を行う電子写真装置1に装着し、A4用紙を5,000枚印字させた。
【0139】
また、参考例1〜参考例6及び比較例6〜比較例8については、スコロトロン放電帯電方式により電子写真感光体を負に帯電し、白色光露光、二成分現像方式、ブレードクリーニング、タングステンランプイレースにより画像形成を行う電子写真装置2に装着し、A4用紙30,000枚印字させた。
【0140】
さらに、実施例13及び比較例9〜11については、電子写真感光体を正に帯電させる以外は電子写真装置2と同様の工程により画像形成を行う電子写真装置3に装着し、A4用紙30,000枚印字させた。
【0141】
このようにして印字した画像をそれぞれ目視により評価した。判定は、印字した画像が良好であったものを○、画像に欠陥が生じたものを×とした。また、印字後の感光層の膜厚減少を測定し、Δt(μm)とした。
【0142】
前記評価項目を総合的に判定する基準は以下の通りである。
【0143】
【0144】
総合判定 ○
総合判定◎以外のもので、以下の基準を満たすものがこれに該当する。
【0145】
総合判定 ×
総合判定が◎又は○に当てはまらないものがこれに該当する。
【0146】
以上の評価方法により評価した結果を、実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例5は表2に、参考例1〜参考例6及び比較例6〜比較例8は表3に、実施例13及び比較例9〜11は表4にまとめた。
【0147】
【表2】
【0148】
【表3】
【0149】
【表4】
【0150】
【発明の効果】
表2及び表4から明らかなように、本発明の実施例に係る電子写真感光体は、疲労前後の初期表面電位V0並びに残留電位VRの差が殆どなく、指紋によるクラックの発生が全くないことから、耐刺激性が優れていることが理解される。また、塗工液の劣化が見られず、製造特に大量の塗工液を使用する浸漬塗工に適している。さらに、所定枚数印字後の膜減りも少なく、ロングライフ化が可能になるとともに、接触プロセスにも強く、電子写真装置の小型化にも充分耐えうるものである。
【0151】
これに対し、酸化防止剤若しくは紫外線吸収剤を含有しない比較例1及び比較例9の電子写真感光体は、疲労前後での初期表面電位V0並びに残留電位VRの差が大きく、更にクラックも発生したため、実用に耐えないものであった。
【0152】
また、アミン系酸化防止剤を用いた比較例2の電子写真感光体は、クラックは発生しなかったが疲労後の残留電位VR が大幅に上昇し、5,000枚印字後の画像には印字ボケが発生し、実用には耐えないものであった。
【0153】
さらにまた、硫黄系酸化防止剤を用いた比較例3の電子写真感光体は、指紋によるクラックが発生した。また、疲労前後の初期表面電位V0並びに残留電位VRの差が大きく、5,000枚印字後の画像は白地に黒点が発生するいわゆるカブリが発生した。
【0154】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を用いた比較例6の電子写真感光体は、初期から残留電位VRが高く、印字濃度が薄いため使用できないものであった。
【0155】
一般式〔I〕で表されるポリカーボネートを用いた比較例4、比較例7及び比較例10の電子写真感光体は、疲労後の残留電位VR の上昇が見られ、しかも所定枚数印字後における膜減りが多く、印字後の画像にカブリが発生していた。
【0156】
一般式〔II〕で表されるポリカーボネートを用いた比較例5、比較例8及び比較例11の電子写真感光体は、塗工液がゲル化してしまい、使用できないものであった。しかも所定枚数印字後における膜減りが多く、印字後の画像にカブリが発生していた。
【0157】
以上述べたように、本発明によれば、電気特性が良好で、且つ、熱(光)酸化劣化に強く、しかも機械的特性に優れ、更に塗工液が安定で製造コストの安い電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子写真感光体の好ましい実施の形態の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る電子写真感光体の他の実施の形態の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電子写真感光体の他の実施の形態の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・導電性支持体、2・・・電荷発生層、3・・・電荷移動層、4・・・感光層
Claims (7)
- 導電性支持体上に感光層を形成した電子写真感光体において、該感光層中に結着樹脂として一般式〔I〕及び一般式〔II〕で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体と、式〔III〕で表される化合物からなるフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- フェノール系酸化防止剤の添加量が、結着樹脂に対して3〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- ベンゾトリアゾール系又はサリチル酸系から選ばれる紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の電子写真感光体。
- 紫外線吸収剤の添加量が、結着樹脂に対して3〜30重量%であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤との両成分の添加量が結着樹脂に対して5〜40重量%であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
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