JP3617716B2 - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、耐熱性、曲げ弾性率、および成形加工性などに優れ、かつ、成形後に、有機溶剤、ガソリン、およびワックスリムーバーなどに対して優れた耐性を有するポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、機械、自動車、電機、電子などの分野における部品などとして広く用いられている。
【0003】
このようなポリカーボネート樹脂の中でも、芳香族系ポリカーボネート樹脂はガラス転移温度が高く、高い耐熱性が期待される反面、その加工において、十分な流動性が得られない場合が多い。そのため、芳香族系ポリカーボネート樹脂を加工するためには300℃付近の比較的高い加工温度が要求され、また、射出成形などで芳香族系ポリカーボネート樹脂を成形する場合には、比較的高い射出速度および圧力が要求される。また、ポリカーボネート系樹脂は、各種の有機溶剤、ガソリンなどに接触した場合、成形体表面に亀裂が発生したり、溶解するなど耐薬品性に問題があり、特に、射出成形などで成形する場合には、比較的高い射出速度および圧力で成形するため、成形体に歪みが残留して、残留歪み部分での亀裂発生が顕著である。
【0004】
一方、ポリエチレンテレフタレートは、機械的特性、電気的特性、および耐薬品性などに優れ、かつ、それ自身の結晶融点以上に加熱すれば、良好な成形流動性を示すので、従来から繊維、フィルム、成形用材料などとして広く用いられている。
【0005】
このようなポリエチレンテレフタレートの特性を利用して、ポリカーボネート樹脂における流動性および耐薬品性などの問題点を改善する試みがなされている。例えば、特公昭36−14035号公報、特公昭39−20434号公報、特開昭59−176345号公報には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂をポリカーボネート樹脂に添加した組成物が提案されている。
【0006】
しかし、ポリカーボネート樹脂とポリエステル系樹脂とからなる組成物は、ポリカーボネート樹脂に比べ、流動性および耐薬品性はある程度改善されるものの、耐熱性が低下する。このような問題を改善するため、一般に、ガラス繊維や無機粉体などの強化充填剤が組成物に添加される。例えば、特開平4−85360号公報には、耐衝撃性改良剤とマイカとを添加した組成物が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ポリカーボネート系樹脂に対しては、上記のような特性の要求に加えて、優れた成形加工性、耐熱性、および耐薬品性を同時に満足することが求められている。なぜなら、コストダウンを達成するために、以下の2つの要求が大きいからである:(1)例えば、自動車用途および電気部品用途などにおいて、メッキや塗装などの廃止が検討されていること;および(2)部品点数の減数のための部品の一体化が進められていること。
【0008】
(1)メッキや塗装などの廃止に関しては、メッキや塗装は、成形品の外観向上と共に保護膜としての機能も有しているので、メッキや塗装を省略すると、成形品と溶剤とが直接接触することになる。従って、溶剤と直接接触する部位に用いられる材料に対しては、従来よりもはるかに高い耐溶剤性が要求されている。例えば、自動車用途においては、従来より必要とされていたガソリンなどに対する耐性に加えて、灯油、有機溶剤、界面活性剤などを主成分とするワックスリムーバーなどに代表される混合溶剤への耐性が要求される。
【0009】
(2)部品の一体化を達成するためには、より複雑でかつ大きな形状の部品を成形すること、あるいは、より薄肉で微小な形状の部品を成形することが必要である。そのため、より複雑で、かつ大きな形状に対応できるような成形加工性と、薄肉成形体でも熱変形のない耐熱性および弾性率とが同時に要求される。
【0010】
上記(1)の問題点に対応して、耐薬品性を改善する目的で、特開平3−140359号公報では、ポリカーボネート樹脂および熱可塑性ポリエステルに、さらにポリオレフィンを添加した組成物が提案されている。しかし、このような組成物では、混合溶剤であるワックスリムーバーに対する耐性は満足できるものではない。
【0011】
上記(2)の問題点に対応して、成形加工性を改良する目的で、特開昭51−89558号公報には、熱可塑性ポリエステルおよびポリカーボネート樹脂に、さらにエチレン−エチルアクリレートを添加した組成物が提案されている。また、特開昭62−48760号公報では、熱可塑性ポリエステルを主成分とし、ポリカーボネート樹脂およびエチレン−エチルアクリレートを添加した組成物が提案され、特開昭62−48761号公報では、さらに充填剤を添加した組成物が提案されている。しかし、このような組成物では、成形加工性が向上する一方で耐熱性が不十分であり、特に熱可塑性ポリエステルを主成分とする場合には、耐熱性がきわめて不十分である。
【0012】
従って、優れた成形加工性、耐熱性、および耐薬品性を同時に有するポリカーボネート系樹脂組成物が望まれている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、優れた成形加工性、耐熱性、および耐薬品性を同時に有するポリカーボネート系樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、主成分としてのポリカーボネート樹脂およびポリエチレンテレフタレート系樹脂を含有する樹脂組成物に、珪酸塩化合物と特定のオレフィン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体とを併用して添加することにより、優れた成形加工性、耐熱性、および耐薬品性(特に、耐ワックスリムーバー性)を同時に有する組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂および(B)ポリエチレンテレフタレート系樹脂を95/5〜50/50の重量比で含有する樹脂組成物100重量部と;(C)珪酸塩化合物0.5〜100重量部と;(D)少なくとも1種のオレフィン単位、および1〜10個の炭素原子を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を、40/60〜95/5の重量比で有する共重合体0.5〜15重量部とを含有し、該共重合体のメルトインデックス値は、2〜500g/10分である。
【0016】
好適な実施態様においては、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、(E)ガラス転移温度が0℃以下である弾性体0.5〜15重量部をさらに含有する。
【0017】
好適な実施態様においては、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、(F)強化充填剤0.5〜100重量部をさらに含有する。
【0018】
好適な実施態様においては、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、(G)エポキシ化合物0.01〜15重量部をさらに含有する。
【0019】
好適な実施態様においては、上記珪酸塩化合物は、タルク、マイカ、カオリン、およびスメクタイトからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0020】
好適な実施態様においては、上記共重合体は、5〜350g/10分のメルトインデックス値を有するエチレン−エチルアクリレート共重合体である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)は、熱可塑性ポリカーボネート樹脂であり、好ましくは、2価フェノール化合物と、ジフェニルカーボネートのような2価以上の炭酸エステルまたはホスゲンとの反応により製造される芳香族系ポリカーボネート樹脂である。
【0022】
ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクルルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどが挙げられる。好ましいビスフェノール化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。これらのフェノール化合物は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0023】
さらに、ポリカーボネート系樹脂として、3官能以上の多価フェノール化合物との共重合体もまた使用され得る。多価フェノール化合物としては、1,1,1,−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが好ましく用いられる。
【0024】
さらに、難燃性を高めるために、ポリカーボネート系樹脂として、リン化合物との共重合体、あるいはリン化合物で末端封止されたポリマーが使用され得る。さらに、耐候性を高めるために、ポリカーボネート系樹脂として、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノールとの共重合体が使用され得る。
【0025】
ポリカーボネート系樹脂の重合時の末端停止剤としては、公知の末端停止剤が使用され得る。末端停止剤の具体例としては、p−tert−ブチルフェノール、フェノール、p−クミルフェノール、p−tert−オクチルフェノールなどが挙げられる。
【0026】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは10000〜60000であり、さらに好ましくは15000〜45000、最も好ましくは18000〜35000である。粘度平均分子量が10000未満では、得られる樹脂組成物の強度および耐熱性などが不十分である場合が多い。粘度平均分子量が60000を超えると、成形加工性が不十分である場合が多い。
【0027】
このようなポリカーボネート樹脂は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。2種以上を組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されない。例えば、モノマー単位が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、および/または分子量が異なるものが任意に組み合わせられ得る。
【0028】
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレート系樹脂(B)は、酸成分としてテレフタル酸またはそのエステル形成能を有する誘導体を用い、グリコール成分としてエチレングリコールまたはそのエステル形成能を有する誘導体を用いて得られるエチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするポリエステル樹脂である。
【0029】
上記酸性分およびグリコール成分は、所望の特性(例えば、成形加工性、耐熱性、耐薬品性)を損なわない範囲で、公知の共重合可能な成分と共重合され得る。このような共重合可能な成分としては、8〜22個の炭素原子を有する2価以上の芳香族カルボン酸、4〜12個の炭素原子を有する2価以上の脂肪族カルボン酸、および8〜15個の炭素原子を有する2価以上の脂環式カルボン酸のようなカルボン酸類、ならびにこれらのエステル形成性誘導体;3〜15個の炭素原子を有する脂肪族化合物、6〜20個の炭素原子を有する脂環式化合物、および6〜40個の炭素原子を有する芳香族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化合物類、ならびにこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0030】
上記カルボン酸類としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボシフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸、またはそのエステル形成能を有する誘導体が挙げられる。
【0031】
上記水酸基含有化合物類としては、例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、またはそのエステル形成能を有する誘導体が挙げられる。
【0032】
さらに、p−オキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸のようなオキシ酸およびこれらのエステル形成性誘導体、ε−カプロラクトンのような環状エステル、なども使用可能である。さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド)ブロックおよび/またはランダム共重合体、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのテトラヒドロフラン付加重合体、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール単位を高分子鎖中に一部共重合させたものを用いることもできる。このような共重合可能な成分は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂中に好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下の割合で共重合され得る。
【0033】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(フェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=1:1(重量比)混合溶媒を用い、25℃で測定される)は、好ましくは0.35dl/g以上であり、より好ましくは0.4〜1.2dl/g、さらに好ましくは0.55〜0.95dl/gである。固有粘度が0.35dl/g未満では、耐熱性や耐薬品性が不十分である場合が多い。
【0034】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。2種以上を組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されない。例えば、共重合モル比が異なるもの、および/または分子量が異なるものが任意に組み合わせられ得る。
【0035】
本発明においては、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂との混合比は、重量比で、95/5〜50/50、好ましくは90/10〜55/45、さらに好ましくは85/15〜60/40の範囲である。ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂との混合物中のポリエチレンテレフタレート系樹脂の重量比が5未満の場合には、成形加工性が不十分である場合が多い。ポリエチレンテレフタレート系樹脂の重量比が50を超える場合には、耐熱性が不十分である場合が多い。
【0036】
本発明の組成物に含有される珪酸塩化合物(C)は、主に耐熱性および曲げ弾性率を改善する目的で使用される。さらに、珪酸塩化合物を含有させることにより、組成物の成形加工性が向上し得る。このような珪酸塩化合物は、代表的には、SiO2単位の化学組成を含む化合物である。本発明の組成物中での珪酸塩化合物の形状は特に限定されないが、代表的には、粉体状、粒状、針状、板状などである。このような珪酸塩化合物は、天然物であっても合成されたものであってもよい。このような珪酸塩化合物の具体例としては、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、珪藻土、スメクタイトなどが挙げられる。なかでもタルク、マイカ、カオリン、スメクタイトが好ましく、マイカが特に好ましい。
【0037】
珪酸塩化合物の平均粒径(顕微鏡写真を画像処理することにより求められる円に換算した場合の粒径)は、好ましくは0.05〜40μm、さらに好ましくは、0.1〜35μm、最も好ましくは0.3〜30μmである。平均粒径が0.05μm未満では耐熱性改善効果が不十分である場合が多い。平均粒径が40μmを越えると、耐衝撃性などのポリカーボネート樹脂本来の特性が損なわれる場合が多い。
【0038】
珪酸塩化合物は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などの表面処理剤で処理され得る。シラン系カップリング剤としては、例えば、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニル系シランなどが挙げられる。チタネート系カップリング剤としては、例えば、モノアルコキシ型、キレート型、コーディネート型などのカップリング剤が挙げられる。
【0039】
珪酸塩化合物を表面処理剤で処理する方法は特に限定されず、通常の方法が採用され得る。例えば、層状珪酸塩に該表面処理剤を添加し、溶液中で、または加熱しながら撹拌または混合することにより、表面処理が行われ得る。
【0040】
本発明の組成物における珪酸塩化合物の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂および上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の合計量100重量部に対して0.5〜100重量部、好ましくは1〜60重量部、さらに好ましくは2〜40重量部である。含有量が0.5重量部未満では、耐熱性や曲げ弾性率の向上効果が不十分である場合が多い。含有量が100重量部を越えると、該珪酸塩化合物を添加加工する際の加工性や得られる組成物の耐衝撃性などが不十分である場合が多い。
【0041】
本発明の組成物に含有される、少なくとも1種のオレフィン単位と1〜10個の炭素原子を有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位とを有する共重合体(D)は、主として耐薬品性改良の目的で用いられる。
【0042】
このような共重合体は、一般に、少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル重合することにより得られるが、重合方法はこれに限られるものではなく、一般的に知られている公知の種々の重合方法を用いて重合することができる。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などの任意の共重合形態をとり得る。
【0043】
このような共重合体のオレフィン単位を構成するオレフィンは、好ましくはエチレンまたはα−オレフィンである。このようなオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。特に好ましいオレフィンはエチレンである。
【0044】
共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を構成するアルキルエステルは、1〜10個の炭素原子を有する。好ましくは炭素数が1〜8個であり、さらに好ましくは炭素数が1〜6個である。炭素数が10を超えると、相溶性が低下し、従って、得られる樹脂組成物中での共重合体の分散が不十分である。その結果、耐薬品性改善の効果が不十分である場合が多い。
【0045】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。特に好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メチルアクリレートおよびエチルアクリレートである。
【0046】
共重合体中における、上記オレフィン単位と上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位との共重合比は、重量比で、40/60〜95/5、好ましくは45/55〜90/10、さらに好ましくは50/50〜85/15である。共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の重量比が5未満では、耐薬品性改良効果が不十分である場合が多い。共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の重量比が60を超えると、溶融時(例えば、成形加工時)の熱安定性が不十分である場合が多い。
【0047】
本発明の組成物に用いられる共重合体のメルトインデックス(MI)は、190℃、2kg荷重条件で、JIS K6730に準拠して測定される。本発明の組成物に用いられる共重合体のMI値は、2〜500g/10分、好ましくは4〜400g/10分、さらに好ましくは5〜300g/10分である。MI値が2未満では、得られる樹脂組成物中での共重合体の分散が不十分である。その結果、耐薬品性改善の効果が不十分である場合が多い。MI値が500を超えると、溶融時(例えば、成形加工時)の熱安定性が不十分である場合が多い。
【0048】
このような共重合体は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。2種以上を組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されない。例えば、共重合成分が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、および/またはMI値が異なるものが任意に組み合わせられ得る。
【0049】
本発明の組成物における上記共重合体の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂および上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の合計量100重量部に対して0.5〜15重量部、好ましくは1〜12重量部、さらに好ましくは1.5〜10重量部である。含有量が0.5重量部未満では、耐薬品性改良の効果が不十分である場合が多い。含有量が15重量部を超えると、耐熱性が不十分である場合が多い。
【0050】
好ましくは、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、ガラス転移温度が0℃以下、好ましくは−20℃以下である弾性樹脂(E)をさらに含有し得る。このような弾性樹脂を含有することにより、耐衝撃性がさらに向上し得る。弾性樹脂の具体例としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルアクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレンゴムなどのジエン系ゴム;ポリブチルアクリレートなどのアクリル系ゴム;エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)などのポリオレフィン系ゴム;シリコン系ゴムが挙げられる。このような弾性樹脂は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0051】
上記弾性樹脂は、好ましくは、コア/シェル型グラフト共重合体である。特に好ましいコア/シェル型グラフト共重合体は、少なくとも1種の弾性樹脂成分10〜90重量部と、少なくとも1種のビニル化合物10〜90重量部とのグラフト共重合体である。
【0052】
上記コア/シェル型グラフト共重合体の製造に用いられるゴム成分は、好ましくは、ガラス転移温度が0℃以下のものである。このようなゴム成分の具体例としては、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体、ブタジエン−メタアクリル酸エステル共重合体などのジエン系ゴム;ポリブチルアクリレートなどのアクリル系ゴム;エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)などのポリオレフィン系ゴム;シリコン系ゴムが挙げられる。コア/シェル型グラフト共重合体の製造に用いるビニル化合物としては、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーが好適に使用され得る。例えば、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリルが、アクリル酸エステルとしてはアクリル酸ブチルが、メタクリル酸エステルとしてはメタクリル酸メチルが、そして芳香族ビニル化合物としてはスチレン、α−メチルスチレンが好ましく使用され得る。
【0053】
上記弾性樹脂の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂および上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜12重量部、最も好ましくは2〜10重量部である。含有量が0.5重量部未満では、耐衝撃性の向上効果が不十分であることが多い。含有量が15重量部を超えると、耐熱性が不十分であることが多い。
【0054】
好ましくは、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、強化充填剤(F)をさらに含有し得る。強化充填剤を含有することにより、耐熱性および曲げ弾性率などがさらに向上し得る。強化充填剤の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。好ましい強化充填剤は、ガラス繊維、カーボン繊維などの繊維状強化剤であり、作業性の面から、集束剤で処理されたチョップドストランドガラス繊維が特に好ましい。強化充填剤は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。さらに、好ましくは、樹脂と強化充填剤との密着性を高めるために、強化充填剤表面がカップリング剤で処理され得、あるいは、バインダーが使用され得る。
【0055】
上記カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物が挙げられる。バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。ただし、カップリング剤およびバインダーは、これらに限定されるものではない。
【0056】
上記強化充填剤の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂および上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは1〜90重量部、最も好ましくは2〜80重量部である。強化充填剤の含有量が0.5重量部未満では、補強効果が不十分である場合が多い。強化充填剤の含有量が100重量部を超えると、押出加工性、成形加工性が不十分である場合が多い。
【0057】
強化充填剤としてガラス繊維を用いる場合には、その直径は1〜20μm程度であることが好ましく、その長さは0.01〜50mm程度であることが好ましい。長さが短すぎると、補強効果が不十分である場合が多い。長さが長すぎると、成形品の表面性、押出加工性、成形加工性などが不十分である場合が多い。
【0058】
好ましくは、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、エポキシ化合物(G)をさらに含有し得る。エポキシ化合物を含有することにより、溶融時(例えば、成形加工時)の熱安定性がさらに向上し得る。エポキシ化合物は、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物の具体例としては、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジルテトラヒドロフタルイミド、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、ネオヘキセンオキシド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらエポキシ化合物は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0059】
上記エポキシ化合物の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂および上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜15重量部、さらに好ましくは0.05〜12重量部、最も好ましくは0.1〜10重量部である。エポキシ化合物の含有量が0.01重量未満では、熱安定性改善効果が不十分である場合が多い。含有量が15重量部を超えると、流動性、耐熱性、耐衝撃性が不十分である場合が多い。
【0060】
好ましくは、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、特性(例えば、熱安定性)をさらに向上させるために、熱安定剤をさらに含有し得る。熱安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。熱安定剤は、単独で、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用され得る。
【0061】
さらに、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物には、必要に応じて、公知の添加剤が添加され得る。添加剤の代表例としては、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、有機あるいは無機の核剤、結晶化促進剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤、多官能性化合物およびその反応触媒などが挙げられる。
【0062】
さらに、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、その特性(例えば、機械的特性、成形性)を損なわない範囲で、他の任意の熱可塑性または熱硬化性樹脂をさらに含有し得る。このような樹脂としては、例えば、上記以外の飽和または不飽和ポリエステル系樹脂、上記以外のポリエステルカーボネート系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂、ポリエステルエステルエラストマー系樹脂、ポリエステルエーテルエラストマー系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0063】
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、本発明の組成物は、上記各成分を任意の方法で混合、溶融することにより得られ得る。本発明の組成物は、例えば、単軸押出機、2軸押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練することにより得られ得る。さらに、組成物に含有される成分が液体である場合は、液体供給ポンプなどを用いて2軸押出機に途中添加して製造することも可能である。このようにして得られる本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、通常、ペレット状である。
【0064】
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工法は特に限定されず、熱可塑性樹脂に通常用いられる成形方法が採用され得る。成形方法の具体例としては、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、中空成形、押出成形、シート成形、カレンダー成形、ロール成形、プレス成形、積層成形、溶融キャスト法によるフィルム成形、紡糸などが挙げられる。
【0065】
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、種々の用途に好適に使用され得る。特に好ましい用途は、家電、OA機器部品、自動車部品などの射出成形品、ブロー成形品、押出成形品などである。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に明記しない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。実施例における評価項目は以下の通りである。
【0067】
▲1▼試料の作成:
ペレット化された組成物を120℃で5時間乾燥した後、75t射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃および金型温度70℃で、厚み1/8インチ、1/4インチの試験片(幅12mm、長さ127mm)をそれぞれ作製した。この試料を、以下の▲2▼〜▲5▼の試験に使用した。
【0068】
▲2▼耐混合溶剤性:
1/8インチ試験片に1%曲げ歪みを与え、ワックスリムーバーST−7(ユシロ化学(株)製)を塗布した後、80℃に保たれたオーブン中で24時間加熱処理し、表面外観変化(すなわち、クラックの発生度合い)を目視により評価した。
【0069】
○:外観変化無し
△:3mm未満のクラック発生有り
×:3mm以上のクラック発生有り
▲3▼耐ガソリン性:
1/8インチ試験片に1%曲げ歪みを与え、ガソリン(日本石油(株)製、レギュラーガソリン)を塗布した後、23℃で10分間放置し、表面外観変化(すなわち、クラックの発生度合い)を目視により評価した。
【0070】
○:外観変化無し
△:3mm未満のクラック発生有り
×:3mm以上のクラック発生有り
▲4▼耐熱性:
1/4インチ試験片を用い、ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaで荷重たわみ温度の測定を行い、耐熱性を評価した。
【0071】
▲5▼耐衝撃性:
1/8インチ試験片から試験片を作成し、ASTM D−256に従って、−20℃でノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定し、耐衝撃性を評価した(単位:J/m)。
【0072】
▲6▼流動性:
ペレット化された組成物を120℃で5時間乾燥した後、JIS K−7210に準じて、キャビティー温度270℃、予熱時間5分でB法フローを測定し、流動性を評価した。
【0073】
▲7▼成形加工性:
ペレット化された組成物を120℃で5時間乾燥した後、75t射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、射出圧力98MPa、および金型温度70℃で、120mm×120mm×2mmの板状成形体を30ショット連続して成形した。得られた成形体について表面外観性を目視により評価した。
【0074】
○:外観良好
×:フラッシュ、シルバー、ガスによる表面性不良等の外観不良有り
▲8▼熱安定性:
ペレット化された組成物を120℃で5時間乾燥した後、75t射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃で10分間滞留させた後、金型温度70℃で120mm×120mm×2mmの板状成形体を成形した。得られた成形体について表面外観性を目視により評価した。
【0075】
○:外観良好〜若干黄色に変色
△:黄色に変色有り、フラッシュ、シルバー、ガスによる表面性不良等の外観不良有り
×:黄色に変色大、フラッシュ、シルバー、ガスによる表面性不良等の外観不良大
(実施例1)
粘度平均分子量が約22000のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(A1)60重量部、固有粘度が約0.75dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)40重量部、および、エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D1)(三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A709:エチルアクリレート含有量=35重量%、MI値=25g/10分)5重量部をドライブレンドした。次いで、この混合物を、シリンダー温度を280℃に設定したベント付き2軸押出機(日本製鋼所株式会社製、TEX44)のホッパーに供給すると共に、マイカ(C1)(山口雲母株式会社製、A−21S)15重量部を途中添加して溶融押出することにより、ペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を以下の実施例2〜5の結果と併せて表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
(実施例2〜5)
上記表1に示す各成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を上記表1に示す。
【0078】
なお、使用した各成分の特性は以下の通りである:
(A)ポリカーボネート樹脂として、
・ポリカーボネート樹脂(A2):粘度平均分子量が約27000のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂
(B)ポリエチレンテレフタレート系樹脂として、
・ポリエチレンテレフタレート樹脂(B2):固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂
(C)珪酸塩化合物として、
・マイカ(C2):山口雲母株式会社製、A−41S
・タルク(C3):日本タルク株式会社製、ミクロエースK−1
・カオリン(C4): ENGELHARD製、SATINTON No.5
(D)オレフィンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体として、
・エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D2):三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A713(エチルアクリレート含有量=25重量%、MI=20g/10分)
・エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D3):三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A704(エチルアクリレート含有量=25重量%、MI=275g/10分)
・エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D4):三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A707(エチルアクリレート含有量=17重量%、MI=25g/10分)。
【0079】
(比較例1〜8)
表2に示す各成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を表2に示す。
【0080】
なお、使用した各成分の特性は以下の通りである:
(C)比較の無機化合物として、
・炭酸カルシウム(C5)(試薬)
(D)比較のオレフィンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体として、
・エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D5):三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A715(エチルアクリレート含有量=25重量%、MI=800g/10分)
・エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D6):三井デュポンポリケミカル株式会社製、EVAFLEX−EEA A714(エチルアクリレート含有量=25重量%、MI=0.5g/10分)。
【0081】
【表2】
【0082】
表1と表2とを比較すると明らかなように、本発明の組成物はいずれも、耐熱性、成形加工性、流動性および耐薬品性のいずれにおいても優れていることがわかる。
【0083】
(実施例6)
ポリカーボネート樹脂(A1)60重量部、ポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)40重量部、エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D1)5重量部、および、弾性樹脂(E1)(呉羽化学株式会社製、パラロイドEXL−2602:ブタジエンゴム含有コア/シェル型グラフト共重合体)5重量部をドライブレンドした。次いで、この混合物を、シリンダー温度を280℃に設定したベント付き2軸押出機(日本製鋼所株式会社製、TEX44)のホッパーに供給すると共に、マイカ(C1)(山口雲母株式会社製、A−21S)15重量部を途中添加して溶融押出することにより、ペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を以下の実施例7および比較例9の結果と併せて表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
(実施例7)
上記表3に示す各成分を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を上記表3に示す。
【0086】
(比較例9)
上記表3に示す各成分を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を上記表3に示す。
【0087】
表3から明らかなように、弾性樹脂を添加することにより、組成物の耐衝撃性がさらに向上することがわかる。
【0088】
(実施例8)
ポリカーボネート樹脂(A1)75重量部、ポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)25重量部、および、エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D1)7重量部をドライブレンドした。次いで、この混合物を、シリンダー温度を280℃に設定したベント付き2軸押出機(日本製鋼所株式会社製、TEX44)のホッパーに供給すると共に、マイカ(C1)(山口雲母株式会社製、A−21S)15重量部およびガラス繊維(F1)(日本電気硝子株式会社製、T−195H/PS)5重量部を途中添加して溶融押出することにより、ペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を以下の実施例9の結果と併せて表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
(実施例9)
上記表4に示す各成分を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を上記表4に示す。
【0091】
表4から明らかなように、ガラス繊維を添加することにより、組成物の耐熱性がさらに向上することがわかる。
【0092】
(実施例10)
ポリカーボネート樹脂(A1)60重量部、ポリエチレンテレフタレート樹脂(B1)40重量部、エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D1)5重量部、弾性樹脂(E1)3重量部、および、エポキシ化合物(G1)(油化シェルエポキシ株式会社製、エピコート828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)0.8重量部をドライブレンドした。次いで、この混合物を、シリンダー温度を280℃に設定したベント付き2軸押出機(日本製鋼所株式会社製、TEX44)のホッパーに供給すると共に、マイカ(C1)(山口雲母株式会社製、A−21S)15重量部を途中添加して溶融押出することにより、ペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を以下の実施例11〜〜および比較例11の結果と併せて表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】
(実施例11〜13)
上記表5に示す各成分を用いたこと以外は、実施例10と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を上記表5に示す。
【0095】
なお、使用した各成分の特性は以下の通りである:
(G)エポキシ化合物として、
・エポキシ化合物(G2)(旭電化工業株式会社製、アデカスタブEP−22)
・エポキシ化合物(G3)(東都化成株式会社製、YDCN−704P)。
【0096】
(比較例10)
上記表5に示す各成分を用いたこと以外は、実施例10と同様にしてペレット化された組成物を得た。得られた組成物を上記評価に供した。評価結果を上記表5に示す。
【0097】
表5から明らかなように、エポキシ化合物を添加することにより、組成物の熱安定性がさらに向上することがわかる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた成形加工性、耐熱性、および耐薬品性(例えば、耐溶剤性)を同時に有するポリカーボネート系樹脂組成物が提供される。
Claims (6)
- (A)ポリカーボネート樹脂および(B)ポリエチレンテレフタレート系樹脂を95/5〜50/50の重量比で含有する樹脂組成物100重量部と、
(C)珪酸塩化合物0.5〜100重量部と、
(D)少なくとも1種のオレフィン単位、および1〜10個の炭素原子のアルキルエステルを有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を、40/60〜95/5の重量比で有する共重合体0.5〜15重量部とを含有し、
該共重合体のメルトインデックス値が、2〜500g/10分である、ポリカーボネート系樹脂組成物。 - (E)ガラス転移温度が0℃以下である弾性樹脂0.5〜15重量部をさらに含有する、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- (F)強化充填剤0.5〜100重量部をさらに含有する、請求項1または2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- (G)エポキシ化合物0.01〜15重量部をさらに含有する、請求項1〜3記載のいずれかのポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記珪酸塩化合物が、タルク、マイカ、カオリン、およびスメクタイトからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記共重合体が、5〜350g/10分のメルトインデックス値を有するエチレン−エチルアクリレート共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
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