JP3615811B2 - アルデヒド及びその誘導体の合成用の触媒 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はアルデヒド及びその誘導体の合成方法に関する。本発明は特に、酸、エステル又はそれらの誘導体の蒸気相還元によるアルデヒドの合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ウラン、酸化プラセオジム及び酸化イットリウムの中から選択した触媒を使用して、相当する酸又はエステルを350〜450℃の温度で還元して芳香族飽和アルデヒド又は脂肪族飽和アルデヒドを製造することは従来技術で知られている(米国特許第4,328,373号)。
【0003】
例えばクロム、マンガン、鉄、コバルト若しくは亜鉛の中から、又は元素周期表の第III属元素(例えばアルミニウム、スカンジウム、イットリウム若しくはガドリニウム)の中から選択した添加剤を含む酸化ジルコニウムを主成分とする触媒の存在下で、相当する酸又はエステルを還元して芳香族アルデヒドを製造することも知られている(ヨーロッパ特許第150 961号)。この方法は300℃を超える温度で実施されている。
【0004】
アルデヒドの製造に必要な温度条件を考慮すると、前記方法では熱感受性酸(例えばフェノール酸)からアルデヒドを製造することはできない。同様に、これらの方法では不飽和酸から不飽和アルデヒドを製造することはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では前記欠点を克服することができる。本出願人は実際に、ルテニウム−スズバイメタル触媒によって、
−より低い温度で酸を水素化して、熱感受性酸をアルデヒドに還元することができるか、
−不飽和酸若しくは不飽和エステルを選択的に不飽和アルデヒドに還元することができるか、又は
−芳香族飽和酸若しくは脂肪族飽和酸からアルデヒドを高収率で製造することができることを実証した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従って本発明は、カルボン酸、カルボン酸エステル又は無水カルボン酸を還元してアルデヒドを製造する方法を目的とする。該方法は、ルテニウム−スズ型バイメタル触媒の存在下において蒸気相で反応させることを特徴とする。
【0007】
本明細書内では、ルテニウム−スズ型バイメタル触媒とは少なくともルテニウムとスズとを活性元素として含んでいる触媒を意味する。
【0008】
Ru/Sn/B型触媒〔J. Cat., 121,165−173(1990)〕及び液相での不飽和脂肪酸から不飽和脂肪アルコールへの還元でのこの触媒の使用〔J. Cat., 121,174−182(1990)〕は既に文献に記載されている。しかしながら、これらの文献のいずれも、酸からアルデヒドを製造するためにルテニウム−スズ型バイメタル触媒を使用することができるとは示唆していない。
【0009】
本発明は特に、一般式:
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Rは水素原子、1個〜40個の炭素原子を有する任意に置換される炭化水素基であって例えば飽和若しくは不飽和で線状若しくは分枝状の非環式脂肪族基であるもの、又は炭素環式若しくは複素環式で飽和、不飽和若しくは芳香族で単環式若しくは多環式の基を示す)で表されるアルデヒドの製造に適している。このアルデヒドの製造は、式:
【0012】
【化2】
【0013】
{式中、
Rは先に定義した通りであり、
R’は先に定義した如き基Rであるか、又は式:
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R″はRについて定義した通りである)で表される基であって、2つの基RとR″とは互いに結合して、5個〜7個の原子を有して無水物官能基を含む飽和環又は不飽和環を形成し得、またこれら2つの基RとR″とは2つのビシナル原子を介して全体で二環式オルト縮合(ortho−condense)系の架橋を形成し得る}で表されるエステル、無水物又は酸を還元することからなる。
【0016】
使用するカルボン酸またはその誘導体が式II(式中、Rは1個〜20個の炭素原子を有する任意に置換された炭化水素基を示す)に適合していることが好ましい。
【0017】
本発明方法は、全てのモノカルボン酸又はポリカルボン酸、例えば飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸、炭素環式又は複素環式であって、飽和、不飽和又は芳香族の単環式又は多環式のカルボン酸、及び環式置換基例えば飽和、不飽和又は芳香族の複素環式又は炭素環式の置換基を有する飽和、不飽和の脂肪族カルボン酸に適用される。
【0018】
本発明方法は、脂肪族飽和カルボン酸(例えばフルオラール(fluoral))又は脂肪族不飽和カルボン酸、特にカルボン酸、カルボン酸エステル若しくは無水カルボン酸官能基のカルボニル基と共役二重結合を有するカルボン酸からアルデヒドを製造するのに非常に適している。
【0019】
本発明方法は芳香族カルボン酸、特に安息香酸、とりわけヒドロキシ安息香酸及びハロゲン化安息香酸、好ましくはフルオロ安息香酸からアルデヒドを合成するのに非常に適している。
【0020】
本明細書では、芳香族化合物は、文献、特に“Advanced Organic Chemistry”(Jerry MARCH、第3版、John Wiley and Sons、1985年、37ページ以降)に定義されているような従来の芳香族性の意味で使用している。
【0021】
安息香酸は、少なくとも1個のCOOH官能基を有する全ての芳香族化合物を意味する。
【0022】
本発明方法に基づけば、本発明の条件下では気体状になり得る任意のカルボン酸を使用することができる。
【0023】
従って、式II(式中、残基Rは置換又は非置換の炭化水素基であって例えば飽和若しくは不飽和で線状若しくは分枝状の非環式脂肪族基であるもの、又は炭素環式若しくは複素環式で飽和、不飽和若しくは芳香族で単環式若しくは多環式の基を示す)に適合するカルボン酸を出発材料として使用することができる。
【0024】
式II(式中、Rは任意に置換された単環式又は多環式の芳香族炭化水素残基を示す)のカルボン酸は本発明方法を実施するのに特に適している。
【0025】
カルボキシル官能基の還元反応を妨げない限り、環上には任意の置換基が存在し得る。
【0026】
Rが一般式III:
【0027】
【化4】
【0028】
〔式III中、
nは0〜5の、好ましくは0〜3の整数であり、
QはR1 、即ち以下の基又は官能基:
1個〜6個の、好ましくは1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、
2個〜6個の、好ましくは2個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルケニル基(例えばビニル、アリル)、
1個〜6個の、好ましくは1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基)、
2個〜6個の炭素原子を有するアシル基、
式:
−R2 −OH
−R2 −COOR5
−R2 −CHO
−R2 −NO2
−R2 −CN
−R2 −(NR5 )2
−R2 −CO−(NR5 )2
−R2 −SH
−R2 −X
−R2 −CF3
{前記式中、R2 は原子価結合又は1個〜6個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和の二価炭化水素基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン)であり、R5 は水素原子又は1個〜6個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基であり、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素原子、臭素原子若しくはフッ素原子である}で表される基のいずれかであり、QはR3 、即ち次のより複雑な基:
式:
【0029】
【化5】
【0030】
(式中、R1 及びR2 は先に定義した通りであり、mは0〜5の、好ましくは0〜3の整数である)で表される基、及び
式:
−R2 −A−R4
{式中、R2 は先に定義した通りであり、R4 は1個〜6個の、好ましくは1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基、又は式:
【0031】
【化6】
【0032】
で表される基であり、Aは式:
【0033】
【化7】
【0034】
(式中、R6 は水素原子又は1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基、好ましくはメチル基若しくはエチル基である)で表される基のいずれかである}のいずれかである〕に適合する芳香族炭化水素残基、特にベンゼン残基であることが好ましい。
【0035】
nが1より大きいときには、基Qは同一であっても異なってもよく、またベンゼン環の連続する2個の炭素原子同士はケタール架橋(例えば核外メチレンジオキシ基又は核外エチレンジオキシ基)によって結合し得る。
【0036】
nが0,1,2又は3であることが好ましい。
【0037】
前述した全ての残基Rの中では、一般式II(式中、Rは一般式IIIに適合する芳香族残基を示す)に適合するカルボン酸又はその誘導体を本発明方法で使用することが好ましい。式III中では、
nは0,1,2又は3に等しく、
Qは以下の基又は官能基:
水素原子、
1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基、
1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルコキシ基、
メチレンジオキシ基若しくはエチレンジオキシ基、
−OH基、
−CHO基、
NH2 基、
フェニル基、
ハロゲン原子、
CF3 基
のいずれかである。
【0038】
式II(式中、同一であるか又は異なる基Qは水素原子、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基又は−CHO基である)で表される化合物を選択することが更に好ましい。
【0039】
式IIIに適合する基Rの例としては特に、フェニル基、トリル基又はキシリル基及びビフェニル基、1,1’−メチレンビフェニル基、1,1’−イソプロピリデンビフェニル基、1,1’−オキシビフェニル基、1,1’−イミノビフェニル基が挙げられ得る。これらの基を先に定義した如き1個以上の基Q(好ましくはヒドロキシル基又はハロゲン原子)で置換することができる。
【0040】
Rは更に芳香族多環式炭化水素残基を示し得る。環同士はオルト縮合系及びオルト・ペリ縮合系を形成し得る。特にナフタレン残基が挙げられ得る。これらの環は1個〜4個の、好ましくは1個〜3個の基R1 で置換することができる。R1 は先に一般式IIIの芳香族炭化水素残基の置換基について定義した通りである。
【0041】
カルボン酸の一般式IIでは、Rは更に、環内に一般には3個〜7個の、好ましくは6個の炭素原子を有する、飽和した又は環内に1個又は2個の不飽和結合を含む炭素環式残基を示し得る。この環を1個〜5個の、好ましくは1個〜3個の基R1 で置換することができる。R1 は先に一般式IIIの芳香族炭化水素残基の置換基について定義した通りである。
【0042】
基Rの好ましい例としては、1個〜4個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基で任意に置換されたシクロヘキシル基又はシクロヘキセニル基が挙げられ得る。
【0043】
前述した如く、Rは飽和又は不飽和で、線状又は分枝状の非環式脂肪族残基を示し得る。
【0044】
特にRは好ましくは1個〜12個の炭素原子を有する飽和した又は鎖上に1個以上の、一般には1個〜3個の不飽和結合を含む線状又は分枝状の非環式脂肪族残基を示す。この不飽和結合は単純二重結合、共役二重結合又は三重結合であり得る。
【0045】
炭化水素鎖は場合によっては式:
【0046】
【化8】
【0047】
(式中、R6 は水素又は1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基、好ましくはメチル基若しくはエチル基を示す)で表される基のいずれかで中断され(interrompue)且つ/又は式:
−OH,−COOR5 ,−CHO,−NO2 ,−CN,−NH2 ,−SH,−X,−CF3
(式中、R5 は先に定義した通りである)で表される置換基のいずれかを有し得る。
【0048】
本発明の好ましい実施態様では、Rは以下の式:
【0049】
【化9】
【0050】
(式中、同一であるか又は異なるR7 ,R8 及びR9 は、水素原子、1個〜10個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基、1個〜10個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルケニル基、1個〜10個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミン官能基、ハロゲン原子又は−CF3 基の中から選択する)に適合する。
【0051】
R7 及び/又はR8 及び/又はR9 が不飽和基であることが好ましい。
【0052】
式IV中で、3個の基R7 ,R8 ,R9 のいずれかがカルボン酸、カルボン酸エステル又は無水カルボン酸のカルボニル基と共役二重結合を有することが更に好ましい。
【0053】
式II(式中、Rは環式置換基を任意に有し得る飽和又は不飽和で線状又は分枝状の非環式脂肪族残基である)で表されるカルボン酸又はその誘導体を使用することもできる。環とは飽和、不飽和又は芳香族で炭素環式又は複素環式の環を意味する。
【0054】
非環式脂肪族残基を原子価結合又は式:
【0055】
【化10】
【0056】
(式中、R6 は先に定義した通りである)で表される基のいずれかによって環に結合し得る。
【0057】
環式置換基の例としては、脂環式置換基、芳香族置換基又は複素環式置換基、特に環内に6個の炭素原子を含む脂環式置換基又はベンゼン置換基を挙げることができる。これらの環式置換基自体は、同一であるか又は異なる1個、2個、3個、4個又は5個の基R1 を任意に有する。R1 は先に一般式IIIの芳香族炭化水素残基の置換基について定義した通りである。
【0058】
このような基の例としては中でも、ベンジル基が挙げられ得る。
【0059】
カルボン酸の一般式IIでは、Rは更に、環内に特に5個又は6個の原子(その内1個又は2個は窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のようなヘテロ原子である)を含む飽和又は不飽和の複素環式残基を示し得る。この複素環の炭素原子を全部又はその一部分だけ基R1 で任意に置換することができる。R1 は先に一般式IIIの芳香族炭化水素残基の置換基について定義した通りである。
【0060】
Rは更に、定義した多環式の複素環式残基(例えば、各環内に少なくとも1個のヘテロ原子を含み、互いにオルト縮合系若しくはオルト・ペリ縮合系を形成する少なくとも2個の芳香族若しくは非芳香族の複素環からなる基であるか、又は互いにオルト縮合系若しくはオルト・ペリ縮合系を形成する少なくとも1個の芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環と少なくとも1個の芳香族若しくは非芳香族の複素環とからなる基)を示し得る。これらの環の炭素原子を全部又はその一部分だけ基R1 で任意に置換することができる。R1 は先に一般式IIIの芳香族炭化水素残基の置換基について定義した通りである。
【0061】
複素環式型基Rの例としては中でも、フリル基、ピロリル基、チエニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、キノリル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基及びインドリル基を挙げることができる。
【0062】
式IIに適合するカルボキシル基を少なくとも1個含んでいるカルボン酸としては特に以下のカルボン酸を使用する。
【0063】
−脂肪族飽和モノカルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、イソブチル酸、バレリアン酸、イソバレリアン酸、ピバリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)、
−脂肪族飽和ジカルボン酸(例えば蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸)、
−脂肪族不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸(例えばアクリル酸、プロピオル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、セネシオ酸、チグリン酸、オレイン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸)、
−飽和又は不飽和炭素環式カルボン酸(例えばしょう脳酸、クリサンテミン酸)、
−複素環式カルボン酸(例えばフランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピロールカルボン酸、ピラジンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸)、
−芳香族炭素環式カルボン酸(例えば安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンカルボン酸、トルエン酸)、
−アリール脂肪族飽和カルボン酸、特にアリールプロピオン酸(例えば2−フェニルプロピオン酸、2−〔4−(2−ブチル)フェニル〕プロピオン酸、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸)又は不飽和酸(例えば2−フェニルプロペン酸、ケイ皮酸)、
−脂肪族又は芳香族ハロゲン化カルボン酸(例えばモノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノクロロプロピオン酸、α−ブロモプロピオン酸、α−ブロモブチル酸、トリフルオロ酢酸、o−モノフルオロ安息香酸、m−モノフルオロ安息香酸、p−モノフルオロ安息香酸、2,3−ジフルオロ安息香酸、2,4−ジフルオロ安息香酸、2,5−ジフルオロ安息香酸、3,4−ジフルオロ安息香酸、2,3,6−トリフルオロ安息香酸、2,4,5−トリフルオロ安息香酸、2,3,4,5−テトラフルオロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、α,α,α−トリフルオロ−o−トルイル酸、α,α,α−トリフルオロ−m−トルイル酸、α,α,α−トリフルオロ−p−トルイル酸、o−モノクロロ安息香酸、m−モノクロロ安息香酸、p−モノクロロ安息香酸、2,3−ジクロロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸、2,6−ジクロロ安息香酸、3,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,3,5−トリクロロ安息香酸、2,3,6−トリクロロ安息香酸、2−クロロ−4,5−フルオロ安息香酸、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸、o−モノブロモ安息香酸、m−モノブロモ安息香酸、p−モノブロモ安息香酸)、
−脂肪族、脂環式、アリール脂肪族ヒドロキシ酸(例えばグリコール酸、乳酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酒、1−ヒドロキシシクロプロパンカルボン酸、2−ヒドロキシフェニルプロパン酸、2−ヒドロキシケイ皮酸、3−ヒドロキシケイ皮酸、4−ヒドロキシケイ皮酸)、
−以下のヒドロキシ安息香酸(2−ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸(イソバニリン酸)、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸(バニリン酸)、3−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸(シリンギン酸)、5−ヒドロキシイソフタル酸、3−アミノサリチル酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−アミノ安息香酸、3−ニトロサリチル酸、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メチル−2−ニトロ安息香酸、3,5−ジイオドサリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(プロトカテク酸)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、
−アルコキシ酸及びフェノキシ酸(例えばメトキシ酢酸、フェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、フェノキシプロピオン酸、2,4−ジクロロフェノキシプロピオン酸、p−ヒドロキシフェノキシプロピオン酸、m−クロロフェノキシプロピオン酸、4−フェノキシ安息香酸、4−カルボキシ−4−フェノキシ安息香酸、ピペロニル酸)、
−オキソ酸(例えば2−アセチル安息香酸、4−アセチル安息香酸、2−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル安息香酸)、
−アシルオキシ酸(例えば3−ベンゾイルオキシプロピオン酸、2−アセトキシ安息香酸、4−アセトキシ安息香酸)、
−アミド酸(例えば2−アセトアミドアクリル酸、2−アセトアミド安息香酸、3−アセトアミド安息香酸、N−4−アセトアミド安息香酸)、
−N−が保護基、例えば以下の基(アシル(アセチル、ベンゾイル)、BOC(ブチルオキシカルボニル)、CBZ(カルボベンゾキシ)、FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、MSOC(2−メタンスルフェニルエトキシカルボニル))で任意に保護されているアミノ酸。
【0064】
以下のアミノ酸が挙げられ得る:
−脂肪族アミノ酸:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
−ヒドロキシル化アミノ酸:セリン、トレオニン、
−硫化アミノ酸:システイン、メチオニン、
−ジカルボキシルアミノ酸及びこれらのアミド:アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、
−2つの塩基を有するアミノ酸:リシン、アルギニン、ヒスチジン、
−芳香族アミノ酸:フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、
−イミノ酸:プロリン、ヒドロキシプリロン。
【0065】
例示的且つ非制限的に引用したこれら全ての化合物の中で、本発明方法は特に以下の化合物に適用される:
−サリチル酸及び4−ヒドロキシ安息香酸、
−酢酸、プロピオン酸及びヒドロキシ基、ハロゲン基、フェニル基又はフェニルオキシ基で置換して得られたこれらの誘導体、
−安息香酸及びC1 −C4 アルキル基、アセトキシ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、メトキシ基又はエトキシ基で置換して得られたこれらの誘導体、
−脂肪族又は芳香族ハロゲン化カルボン酸(例えばモノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノクロロプロピオン酸、α−ブロモプロピオン酸、α−ブロモブチル酸、トリフルオロ酢酸、o−モノフルオロ安息香酸、m−モノフルオロ安息香酸、p−モノフルオロ安息香酸、2,3−ジフルオロ安息香酸、2,4−ジフルオロ安息香酸、2,5−ジフルオロ安息香酸、3,4−ジフルオロ安息香酸、2,3,6−トリフルオロ安息香酸、2,4,5−トリフルオロ安息香酸、2,3,4,5−テトラフルオロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、α,α,α−トリフルオロ−o−トルイル酸、α,α,α−トリフルオロ−m−トルイル酸、α,α,α−トリフルオロ−p−トルイル酸、o−モノクロロ安息香酸、m−モノクロロ安息香酸、p−モノクロロ安息香酸、2,3−ジクロロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸、2,6−ジクロロ安息香酸、3,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,3,5−トリクロロ安息香酸、2,3,6−トリクロロ安息香酸、2−クロロ−4,5−フルオロ安息香酸、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸、o−モノブロモ安息香酸、m−モノブロモ安息香酸、p−モノブロモ安息香酸)、
−ニコチン酸。
【0066】
前述した如く、先に規定したようなカルボン酸をそのエステルの形態で使用することもできる。この場合、式IIにおいて、R’は好ましくは1個〜10個の炭素原子を有する、任意に置換された脂肪族基を示す。R’が1個〜6個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基であることが更に好ましい。好ましい基R’の例としては、メチル基、エチル基又はヘキシル基が挙げられ得る。
【0067】
好ましいエステルは前述したカルボン酸のリストから得られるものである。
【0068】
本発明に基づいて、カルボン酸をその無水物の形態で使用することができる。
【0069】
無水カルボン酸の例としては特に、前述したカルボン酸の無水物及び環式無水物が挙げられ得る。
【0070】
実際に無水物が式II(式中、R’は式:
【0071】
【化11】
【0072】
で表される基である)に適合するときに、2つの基RとR″とは互いに結合して、5個〜7個の原子を有し、無水物官能基を含む飽和環又は不飽和環を形成し得る。これらの基は好ましくは2個〜6個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキレン基を形成し、更に好ましくは−(CH2 )t −(tは2〜4である)基を形成する。
【0073】
このような環式無水物の例としては、無水琥珀酸又は無水マレイン酸が挙げられ得る。
【0074】
無水物が式II(式中、R’は式:
【0075】
【化12】
【0076】
で表される基である)に適合するときに、2つの基RとR″とは2個のビシナル原子を介して全体で二環式オルト縮合系の架橋を形成し得る。
【0077】
環は無水物官能基の酸素原子を含み、また好ましくは5個又は6個の原子を有するので、好ましい化合物は二環式であり、ベンゼン環と複素環とからなっている。このような環式無水ポリカルボン酸の例としては、無水フタル酸が挙げられ得る。
【0078】
本発明方法は気相で実施する。有利には100℃〜500℃の温度で、更に好ましくは200℃〜400℃の温度で反応させる。温度は出発材料としての酸と、探求される反応速度とに応じて当業者によって調節されるものと考える。
【0079】
更には、温度を大幅に上昇させて、触媒を予め活性化させることが特に有利であり得る。特に触媒を約500℃近くの温度で、好ましくは450℃の温度で予め活性化させることができる。水素流下で活性化させるのが有利である。
【0080】
実際の本発明方法は、所望量の触媒を反応器内に、場合によっては2つの石英床(lits de quartz)の間に導入して、試薬の接触を促進することからなる。次いで反応器の温度を水素流下において、触媒を活性化させ得る所定値まで上昇させ、次に反応温度に戻す。次に所望流量の酸を注入し、生成したアルデヒドを回収する。
【0081】
好ましくは、酸を加熱して蒸発させた後に直接気体状で注入する。
【0082】
しかしながら、反応のために酸を不活性溶媒中の溶液で注入することもできる。不活性溶媒としては特に脂肪族炭化水素(例えばヘキサン)、脂環式炭化水素(例えばシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン)又はエーテル類(例えばジメトキシエタン)が挙げられ得る。
【0083】
高温作用下では、このように注入した酸を第1の石英床で蒸発させる。次いで大気圧又は蒸気相に適合し得る低圧力(数バール、例えば0.5〜10バール)下で水素を注入することができる。水素を不活性ガス(例えば窒素又はヘリウム)で希釈することもできる。
【0084】
有利には触媒1mlに対して0.1〜10リットル/時の流量の水素と、10ml/時以下の、好ましくは0.5〜5ml/時の液体流量の酸とを注入する。
【0085】
反応終了後に、任意の適切な手段(例えば蒸留又は結晶化)によってアルデヒドを回収する。場合によっては、特にフルオラールの場合には、水和形態のアルデヒドを製造することができる。
【0086】
各種型の触媒を本発明で使用することができる。特に、使用する触媒は担持型であっても、担持型でなくてもよい。
【0087】
一般にルテニウムの含量は触媒の0.1〜50重量%である。
【0088】
塊状型触媒(catalyseur massique)を使用する場合には、ルテニウムの含量は触媒の10〜50重量%である。
【0089】
しかしながら好ましい実施態様では、担持形態の触媒を使用する。このために、担体は金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び/若しくは酸化ジルコニウム)、硝酸を使用する公知の処理で任意に活性化されたカーボン、アセチレンブラック又は樹脂の中から選択することができる。担体が試薬と直接相互作用する危険性を制限するために、比表面積のあまり大きくない担体を選択することが一般に好ましい。
【0090】
担持型触媒の場合には、ルテニウム含量は担体(種類、比表面積)及び探求される反応速度に応じて当業者によって調整される。
【0091】
一般に触媒中のルテニウム含量は有利には0.1〜20.0重量%の間で、更に好ましくは0.5〜3.0重量%の間で選択する。
【0092】
例えば、触媒中のルテニウム含量が0.1〜1重量%のときの担体の比表面積(B.E.T.)は50〜100m2 /gの間で選択するのが有利である。
【0093】
スズ(Sn)/ルテニウム(Ru)のモル比が1〜10、更に好ましくは2〜6の触媒を本発明で使用するのが有利である。
【0098】
本発明方法の他の好ましい実施態様は、ルテニウムとスズとを含み、硼素を含まない新規バイメタル触媒を使用することからなる。活性元素を担持するのが好ましい。
【0099】
この触媒を製造するには、公知である従来の担持型金属触媒の製造技術を適用することができる。
【0100】
触媒の製造方法の1つは例えば、選択した元素からなる適切な化合物を少なくとも1種溶解して製造した溶液中に担体を導入することからなる。溶媒、好ましくは水を蒸留して担体に活性元素を付着させる。溶媒は、好ましくは5〜20mmHgの間で選択した減圧下で蒸発させて除去することができる。このようにして得られた接触塊を水素流で還元する。
【0101】
他の従来型製造方法では、公知の方法で化合物を沈澱し、このようにして得られた接触塊を水素で還元することによって、金属元素を含む化合物を担体に付着させる。
【0102】
勿論、数種の金属元素を順次担体に付着させることができるが、同時に付着させることが好ましい。
【0103】
本発明の触媒の製造に使用する金属元素を含む化合物の種類は重要ではない。
【0104】
ルテニウム及びスズのような金属自体を使用することができる。
【0105】
本発明の触媒の製造に使用可能な化合物の例としては、塩化ルテニウムIII、塩化ルテニウムIV、五フッ化ルテニウム、酸化ルテニウムII、酸化ルテニウムIV、アンモニア性オキシ塩化ルテニウムRu2 (OH)2 Cl4 ,7NH3 ,5H2 O及び酢酸ルテニウムをルテニウム化合物として、また酸化スズ、塩化スズ、硝酸スズ、カルボキシル化スズ、アルコール化スズ、又はスズが水素原子及び/若しくは好ましくは1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基に結合されている金属有機化合物をスズ化合物として挙げることができる。好ましい塩は次の通りである:ルテニウム化合物(例えば塩化ルテニウムIII)、スズ化合物(例えば塩化スズII、塩化スズIV、酢酸スズII、オクタン酸スズII、エチルヘキサン酸スズ)。
【0106】
従って、本発明の他の目的は、任意に担持させた、モル比が1〜10のスズとルテニウムとからなるバイメタル触媒である。
【0107】
好ましい触媒のモル比は4〜6である。
【0108】
本発明は、芳香族アルデヒド、特に式:
【0109】
【化13】
【0110】
(式中、
nは0,1,2又は3であり、
Qは以下の基又は官能基:
水素原子、
1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルキル基、
1個〜4個の炭素原子を有する線状若しくは分枝状アルコキシ基、
メチレンジオキシ基若しくはエチレンジオキシ基、
−OH基、
−CHO基、
NH2 基、
フェニル基、
ハロゲン原子、
CF3 基
のいずれかである)に適合するアルデヒドの製造に非常に適している。
【0111】
本発明によって多数のアルデヒドを製造することができ、これらのアルデヒドは薬剤中間体及び/又は農芸化学中間体(例えば3,4−ジフルオロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド)として使用する。
【0112】
本発明方法はとりわけクマリンの製造に使用され得るサリチル酸アルデヒドの製造で特に重要である。本発明方法に基づいて製造したサリチル酸アルデヒドをクマリン合成の出発材料として使用することができる。クマリンは、文献に多く記載されている公知の環化段階によって得られる。酢酸ナトリウムの存在下でサリチル酸アルデヒドと無水酢酸とを反応させるPerkin反応に基づくクマリンの製造を特に挙げることができる(KIRK−OTHMER−Encyclopedia of Chemical Technology 7. p198,3eme edition)。
【0113】
本発明方法は、他の芳香族アルデヒド(例えば3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、バニリン、ベラトルアルデヒド、p−アニスアルデヒド及びピペロナール)の製造にも適している。
【0114】
本発明は、種々のアルデヒドの合成にも使用できる。本発明は飽和アルデヒド(例えばフルオラール又はアセトアルデヒド)の製造に役立ち得る。本発明はとりわけビタミンA又はビタミンEの合成中間体であるテルペン(プレナール(prenal)、シトラール等)の化学において、特に不飽和アルデヒドの合成に適している。
【0115】
本発明は、式:
【0116】
【化14】
【0117】
(式中、同一であるか又は異なるR10及びR11は約1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基、並びに1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基で任意に置換されたフェニル基及びナフチル基の中から選択する)で表されるアルデヒドの製造に特に適している。
【0118】
アルデヒドの例としては、プレナール及びシンナムアルデヒドを挙げることができる。
【0119】
本発明方法を使用して、酸と同時に又は反応終了後に導入したアルコールとアルデヒドとを反応させて、誘導体形態のアルデヒド(例えばアセタール又はヘミアセタール)を製造するにしても、本発明の範囲を逸脱するものではない。従来から使用されているアルコールの例としてはメタノール又はエタノールが挙げられ得る。
【0120】
【実施例】
例示的且つ非制限的な以下の実施例によって本発明を説明する。
【0121】
参考例1
(予め40mlの水に溶解した)0.37gのRuCl3,xH2O(xは約2に等しい)を1リットルの三つ口フラスコ内に導入した。120mlの水に溶解した1.5gのSnCl2,2H2Oを、撹拌しながら30分で加えた。
【0122】
撹拌しながら25gのγ−アルミナを加えた。15分間撹拌し続けた。そこで撹拌を止め、16時間放置した。その後、撹拌しながら25mlの水を加えた。
【0123】
5.5gのNaBH4 を500mlの水に溶解し、この溶液を室温で触媒に滴下した。2段階で:
−1時間撹拌し
−撹拌せずに16時間放置して
還元した。
【0124】
一旦還元を実施すると、触媒を濾過し、次いで500mlの水で5回、500mlのエタノールで1回洗浄した。
【0125】
次いで、触媒を室温で乾燥した。触媒Ru−Sn−B/γAl2 O3 を得た。
Sn/Ru=4.7(mol/mol)、即ちRu1.2%(wt/wt),Sn3%(wt/wt)であった。
【0126】
参考例2
参考例1に基づいて製造した触媒1mlを、直径が18mmのガラス製管状反応器内の2つの石英(5ml)台の間に配した。2.5リットル/時の水素流下において450℃で1時間この触媒台を還元した。次いで温度を240℃に下げた。プッシュ式注入器を使用して、セネシオ酸をトルエンに溶解した溶液(18%wt/wt酸/トルエン)を4ml/時の流量で注入した。反応で発生した気体を縮合した。2時間の反応後に、縮合物を分析して、セネシオ酸の転化率TT及び実際のプレナール収率を出した。
【0127】
TT=(最初に存在する酸のモル数−残った酸のモル数)÷最初に存在する酸のモル数
RR=得られたモル数÷使用したモル数
RT=RR÷TT
240℃で2時間反応させた後に、TT=65%,RR=38%であった。
【0128】
参考例3
ルテニウムの含量を0.63%(wt/wt)として、Sn/Ruのモル比が異なる触媒を参考例1に基づいて製造した。参考例2に基づいてセネシオ酸をプレナールに還元した。
【0129】
【表1】
【0130】
参考例4
Sn/Ruのモル比を4.2mol/molと一定にして、ルテニウム含量の異なる触媒を参考例1に基づいて製造した。参考例2に基づいてセネシオ酸をプレナールに還元した。
【0131】
【表2】
【0132】
参考例5
異なる担体を使用して、ルテニウム含量が0.63%(wt/wt)でSn/Ru=4.2(mol/mol)の触媒を参考例1に基づいて製造した。参考例2に基づいてセネシオ酸を還元する間にこれらの触媒を比較した。
【0133】
【表3】
【0134】
参考例6
参考例2に基づいてH2下、異なる温度で1時間活性化し、次いで240℃で反応させた触媒Ru−Sn−B/γAl2O3(ルテニウム含量は0.63%(wt/wt)でSn/Ru=4.2)上でセネシオ酸の還元を比較した。
【0135】
【表4】
【0136】
参考例7
セネシオ酸を異なる3種の溶媒で18%(wt/wt)に希釈した。参考例1に基づいてKBH4 で化学的に還元した触媒(ルテニウム含量0.6%、Sn/Ru=γAl2O3に対して4.2(mol/mol))上で、参考例2に基づく酸の還元を比較した。
【0137】
【表5】
【0138】
*セネシオ酸に対して化学量論的比率のH2 Oを加えた。
【0139】
参考例8
記載した触媒を使用して、参考例2の条件下で種々のアルデヒドを合成することができた。
【0140】
【表6】
【0141】
参考例9
ジメトキシエタン酸性溶液を使用し参考例2に基づいて反応させた。以下の表に示す結果が得られた。
【0142】
【表7】
【0143】
参考例10
参考例1に基づいて製造した触媒2mlを、直径が18mmのガラス製管状反応器内の2つの石英(5ml)台の間に配した。但し、γ−アルミナの代わりにSiO2XOL30を使用した。2.5リットル/時の水素流下において450℃で1時間この触媒台を還元した。次いで温度を275℃に下げた。プッシュ式注入器を使用して、3,4−ジフルオロ安息香酸を含むトルエン溶液(10%wt/vol酸/トルエン)を3ml/時の流量で注入した。反応で発生した気体を縮合した。2時間の反応後に、縮合物を分析して、転化率及び実際のアルデヒド収率RRを出した。
【0144】
TT=100%
RR=65%。
【0145】
SiO2 XOL30の代わりにSiO2 OX50(Degussa)を使用して300℃で反応させると、以下の収率が得られた。
【0146】
TT=100%
RR=80%。
【0147】
参考例11
参考例1に基づいて製造した触媒1mlを、直径が18mmのガラス製管状反応器内の2つの石英(5ml)台の間に配した。2リットル/時の水素流下において450℃で1時間この触媒台を還元した。次いで温度を300℃に下げた。プッシュ式注入器を使用して、無水安息香酸を含むトルエン溶液(10%wt/vol無水物/トルエン)を2ml/時の流量で注入した。反応で発生した気体を縮合した。6時間の反応後に、縮合物を分析して、転化率TT及び実際のアルデヒド収率RRを出した。
【0148】
TT=86%
RR=39%。
【0149】
実施例1
(予め40mlの水に溶解した)0.375gのRuCl3,xH2Oを500mlの撹拌式反応器内に導入した。150mlの水に溶解した1.5gのSnCl2,2H2Oを、撹拌しながら30分で加えた。
【0150】
撹拌しながら25gのSiO2 OX50(Degussa)を加えた。15分間撹拌し続けた。そこで撹拌を止め、16時間放置した。その後、20mmHgで80℃に加熱して乾燥蒸発させた。
【0151】
炉内にて20mmHg、40℃で残留物を乾燥した。
【0152】
Sn/Ru=4.0(mol/mol)、即ちRu0.6%(wt/wt)の触媒Ru−Sn/SiO2 を得た。
【0153】
実施例2
実施例1に基づいて製造した触媒1mlを、直径が18mmのガラス製管状反応器内の2つの石英(5ml)台の間に配した。2.0リットル/時の水素流下において450℃で1時間この触媒台を還元した。次いで温度を200℃に下げた。プッシュ式注入器を使用して、絶えず2.0リットル/時の水素流下で1ml/時の流量のトリフルオロ酢酸を注入した。反応で発生した気体を縮合した。
【0154】
5時間の反応後に、縮合物を分析して、以下の結果を得た。
【0155】
トリフルオロ酢酸のTT=68%
フルオラール一水塩のRR=64%。
【0156】
実施例3
実施例1に基づいて製造した触媒1mlを、直径が18mmのガラス製管状反応器内の2つの石英(5ml)台の間に配した。3.0リットル/時の水素流下において450℃で1時間この触媒台を還元した。次いで温度を400℃に下げた。プッシュ式注入器を使用して、絶えず3.0リットル/時の水素流下で1ml/時の流量の酢酸を注入した。反応で発生した気体を縮合した。
【0157】
5時間の反応後に、気相クロマトグラフィーにより縮合物を分析して、以下の結果を得た。
【0158】
酢酸のTT=87%
アセトアルデヒドのRR=30%。
【0159】
実施例4
実施例1に基づいて製造した触媒1mlを、直径が18mmのガラス製管状反応器内の2つの石英(5ml)台の間に配した。3.0リットル/時の水素流下において450℃で1時間この触媒台を還元した。次いで温度を300℃に下げた。プッシュ式注入器を使用して、絶えず3.0リットル/時の水素流下において10重量%のサリチル酸を1,2−ジメトキシエタンに溶解した溶液を8ml/時の流量で注入した。反応で発生した気体を縮合した。
【0160】
2時間の反応後に、気相クロマトグラフィーにより縮合物を分析して、以下の結果を得た。
【0161】
サリチル酸のTT=50%
サリチル酸アルデヒドのRR=30%
フェノールのRR=6%。
【0162】
実施例5
温度計と、蒸留塔と、還流冷却器と、冷却器と、分離器とを備えた三つ口フラスコ内に、
−実施例4に基づいて製造し、蒸留して回収したサリチル酸アルデヒド(600mmol)と、
−酢酸(3.47g)に溶解した無水酢酸(1.90mmol)とを導入した。
【0163】
還流させて、酢酸(3.47g)に溶解した酢酸ナトリウム(2.1mmol)を導入した。
【0164】
蒸留塔頭部の温度が約118℃になるように還流を維持して、酢酸を蒸留した。
【0165】
2時間50分の反応の後に、気相クロマトグラフィーによってクマリンを蒸留装置内に加え、それによってクマリンの収率を81%と測定することができた。
Claims (8)
- スズとルテニウムからなり、担体上に担持されていてもよいバイメタル触媒であって、スズ/ルテニウムのモル比が2〜10であることを特徴とするアルデヒドを合成するための触媒。
- スズ/ルテニウムのモル比が2〜6である請求項1に記載の触媒。
- 金属成分を担体上に担持させ、得られた接触塊を水素で還元したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒。
- ルテニウムの含量が触媒の0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒。
- ルテニウムの含量が、塊状型触媒のときには触媒の10〜50重量%であり、担持型触媒のときには触媒の0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項4に記載の触媒。
- ルテニウムの含量が、担持型触媒のときには触媒の0.5〜3重量%であることを特徴とする請求項4又は5に記載の触媒。
- 担持型触媒であって、担体を金属酸化物、カーボン、アセチレンブラック及び樹脂の中から選択することを特徴とする請求項1に記載の触媒。
- 金属酸化物が酸化アルミニウム及び/又は酸化ケイ素である請求項7に記載の触媒。
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