JP3613489B2 - 平版印刷版支持体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体の製造方法に関するものであり、特にアルミニウム、アルミニウム合金を用いた製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷版用アルミニウム支持体、特に平版印刷版用支持体としては、アルミニウム、アルミニウム合金が用いられている。
一般に、アルミニウム板を平版印刷版基板として使用するためには、感光材との適度な密着性と保水性を有し、更に均一に粗面化されていることが必要である。均一に粗面化されているということは、生成されたピットの大きさが適度に揃っており、かつその様なピットが全面均一に生成していることが必要である。また、このピットは、版材の印刷性能である汚れ難さ、耐刷性等に著しい影響を及ぼし、その良否は版材製造上重要な要素になっている。
基板の粗面化方法としては、機械的粗面化、化学的粗面化、電気化学的粗面化等あるが、電気化学的粗面化法としては、交流電解エッチング法が一般的に採用されており、電流波形としては、普通の正弦波交流電流、矩形波などの特殊交番波形電流が用いられている。そして、黒鉛等適当な電極を対極とし、交流電流により粗面化処理を行っている。電気化学的粗面化処理は通常1回おこなわれるが、必要に応じては同じ処理を2回繰り返したり、異なる条件で粗面化処理を重ねあわせたり、求める性能に対して各種方法で粗面化が行われている。
そして、本発明者らは、特開平3−79799号公報によって、電源波形から均一な砂目立てが出来ることを提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年品質向上のユーザーからの要求はますます大きくなり、また、高速化に伴い、クロスストロークの発生が高速化に伴い益々発生しやすくなり、これらの解決は生産性向上から必須であった。
そこで、本発明は、上記問題点を解消し、クロスストロ−クの発生を有効に抑え、印刷特性を向上させた平板印刷版支持体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、硝酸液中での微量成分に着目し、鋭意検討を行った結果、本発明に至ったのである。すなわち、本発明は、アルミニウム板を、金属イオンを含む硝酸電解液中にて、鉄イオンが4〜40mg/l、銅イオンが0.2〜5mg/lで交番電流によって電気化学的に粗面化することを特徴とする平版印刷版支持体の製造方法によって達成された。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
使用されるアルミニウム板には、純アルミニウム、アルミニウム合金が含まれる。アルミニウム合金としては、種々な物が使用出来、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ニッケル、ビスマス等の合金とアルミニウムの合金が用いられる。アルミニウム合金は、種々あるが、オフセット印刷用版材として例えば、特公昭58−6635号公報では、FeとSi成分を限定し、金属間化合物を特定している。また、特公昭55−28874号公報では、冷間圧延率、中間鈍純を行い、電解粗面化の電圧印加方法を限定している。特公昭62−41304、特公平1−46577、特公平1−46578、特公平1−47545、特公平1−35910、特公昭63−60823、特公昭63−60824、特公平4−13417、特公平4−19290、特公平4−19291、特公平4−19293、特公昭62−50540、特開昭61−272357、特開昭62−74060、特開昭61−201747、特開昭63−143234、特開昭63−143235、特開昭63−255338、特開平1−283350各号公報、EP272528、米国特許4902353、同4818300、EP394816、米国特許5019188、西ドイツ特許3232810、米国特許435230、EP239995、米国特許4822715、西ドイツ特許3507402、米国特許4715903、西ドイツ特許3507402、EP289844、米国特許5009722、同4945004、西ドイツ特許3714059、米国特許4686083、同4861396、EP158941各号明細書等に示されているアルミニウム合金のみならず、一般的なものもすべて含まれる。板材の製造方法としては、熱間圧延を使用した方法とともに連続鋳造で行なう方法も最近出願されている。例えば東ドイツ特許252799号明細書では、双ロール方式で行なわれた板材が紹介されている。EP223737、米国特許4802935、同4800950号各明細書では、微量合金成分を限定した形で出願されている。EP415238号明細書では、連鋳、連鋳+熱延を提案している。
本発明では、このようなアルミニウム板に各種表面処理、転写等を行い、均一な凹凸を有する印刷原板を得ることが出来、その上に、ジアゾ化合物等の感光層を設けることにより、優れた感光性平版印刷版を得ることが出来る。何れにおいても、適切な材料を選ぶことが必要である。
【0006】
次に、これらのアルミニウム板の処理条件を示す。本発明は、電解粗面化に関するものであるが、各種粗面化の組み合わせとしては、特公昭57−16918等あり、この様な処理と組み合わせても良い。まず、機械的粗面化の前に必要に応じて行う処理について説明する。
前者の場合は、トリクレン等の溶剤、界面活性剤が用いられている。後者では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリエッチング剤を用いる方法が広く用いられている。特開平2−026793号公報では、脱脂処理について記載がされている。例えば、溶剤脱脂方法としては、ガソリン、ケロシン、ベンジン、ソルベントナフサ、ノルマルヘキサン等の石油系溶剤を用いる方法、トリクロルエチレン、メチレンクロライド、パークロルエチレン、1,1,1−トリクロルエタン等の塩素系溶剤を用いる方法がある。アルカリ脱脂方法としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等のソーダ塩の水溶液を用いる方法、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、二号ケイ酸ナトリウム、三号ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩の水溶液を用いる方法、第一燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の燐酸塩水溶液を用いる方法等がある。アルカリ脱脂方法を用いる場合、処理時間、処理温度によって、アルミニウム表面が溶解する可能性があり得るので、脱脂処理については、溶解現象が伴わないようにする必要がある。界面活性剤による脱脂処理としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性活性剤の水溶液が用いられ、各種の市販品等を用いることが出来る。脱脂方法としては、浸漬法、吹き付け法、液を布等に含ませて擦る方法等用いることが出来る。また、浸漬や吹き付け法には、超音波を用いてもよい。機械的粗面化としては、転写、ブラシ、液体ホーニング等あり、まず、転写より説明する。
【0007】
本発明における凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法としては、種々の方法を使用することが出来る。即ち、前述の特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号各公報の他、転写を数回行うことを特徴とした特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特開平6−24168号公報記載の方法も適用可能である。
また、放電加工・ショットブラスト・レーザー・プラズマエッチングなどを用いて、微細な凹凸を食刻したロールを用いて繰り返し転写を行うことや、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを復数回繰り返し転写させても良い。
転写ロールヘ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−08635号、特開平3−066404号、特開昭63−065017号各公報などが公知となっている。また、ロール表面にダイス、バイトまたはレーザーなどを使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面は、公知のエッチング処理などをおこなって、形成した角形の凹凸が丸みを帯びるような処理をおこなってもよい。表面の硬度を上げるために焼き入れ、ハードクロムメッキなどを行なってもよいことは勿論である。
【0008】
また、ブラシによる粗面化としては、ナイロンブラシによる粗面化の他、ワイヤーブラシによる粗面化等も含まれる。また高圧水による粗面化としては特開昭59−21469号公報、特開昭60−19595号公報、特開昭60−18390号公報等に示されている。
【0009】
この様に凹凸を作成したのち必要に応じて、アルミニウム板の平滑化、均斉化等を目的として、アルミニウム表面を酸、アルカリで化学処理する。特に、電気化学的粗面化を行なう場合には転写後そのまま引き続いて行なう場合、粗面化が不均一になる。この様な化学処理に使用される酸、アルカリの具体例としては、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等のソーダ塩の水溶液を用いる方法、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、二号ケイ酸ナトリウム、三号ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩の水溶液を用いる方法、第一燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、へキサメタリン酸ナトリウム等の燐酸塩水溶液を用いる方法等がある。処理条件としては、濃度0.01%〜50重量%、温度20℃〜90℃、時間5秒〜5分間から適宜選択される。エッチング量としては、アルミニウムの材質や、求める品質により適宜選択される。特開昭54−65607、特開昭55−125299各号公報では、電気化学的粗面化の前処理を提案している。特開昭63−235500、特開昭63−307990、特開平1−127388、特開平1−160690、特開平1−136789、特開平1−136788、特開平1−178497、特開平1−308689、特開平3−126871、特開平3−126900、特開平3−173800各号公報等に各種前処理が含まれているが、本発明は、これらに限っているわけではない。しかしながら、この様に、酸、アルカリの水溶液によりアルミニウム表面を化学処理すると、その表面に不溶解残渣部すなわちスマットが生成する。このスマットは、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸または、これらの混合物により除去することが出来る。本発明に於いて、電気化学的粗面化処理されるアルミニウム表面は、スマットの無い清浄な面であることが望ましい。しかし、電解液が酸であり、デスマット作用を持つ場合等これを省くことができる。
【0010】
この様にして処理されたアルミニウム板に必要に応じて、電気化学的粗面化が行なわれる。本発明は、その電解液中に含まれるFe、Cu量に関するものであり、Feを4〜40mg/l、Cuを0.2〜5mg/lとすることにより、電解性、クロスストロークの低減が可能である。
Fe、Cuの調整方法としては、硫酸鉄、硫酸銅で調整する方法、金属を溶解させる方法等があるが、上記成分にすることが重要である。
【0011】
電気化学的粗面化については、特公昭48−28123号公報、英国特許896563号明細書に記載されている。上記電解グレイニングは、従来正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開昭55−158298、特開昭56−28898、特開昭52−58602、特開昭52−152302、特開昭54−85802、特開昭60−190392、特開昭58−120531、特開昭63−176187各号公報、特開平1−5889、特開平1−280590、特開平1−118489、特開平1−148592、特開平1−178496、特開平1−188315、特開平1−154797、特開平2−235794、特開平3−260100、特開平3−253600、特開平4−72079、特開平4−72098、特開平3−267400、特開平1−141094各号公報に記載の方法も適用できる。
周波数としては、電解コンデンサーに用いられるアルミニウム箔の電解粗面化にて提案されているものも使用できる。例えば、米国特許4276129、同4676879号明細書等である。
【0012】
電解液としては、硝酸を主体とした溶液が好ましく、硝酸1〜50g/l、Al0.1〜50g/lの濃度、特に硝酸5〜15g/l、Al0.3〜5g/lの濃度が好ましい。液温は15℃〜70℃、特に20℃〜50℃が適している。電解槽、電源としては、色々提案されているが、米国特許4203637号明細書、特開昭56−123400、特開昭57−59770、特開昭53−12738、特開昭53−32821、特開昭53−32822、特開昭53−32823、特開昭55−122896、特開昭55−132884、特開昭62−127500各号公報、特願昭62−2065831、特願昭62−2065841、特願昭58−173674、特願昭63−54783、特願平2−53758各号明細書等がある。また、上述した特許以外にも、色々提案されている。例えば、特開昭52−58602、特開昭52−152302、特開昭53−12738、特開昭53−12739、特開昭53−32821、特開昭53−32822、特開昭53−32833、特開昭53−32824、特開昭53−32825、特開昭54−85802、特開昭55−122896、特開昭55−132884、特公昭48−28123、特公昭51−7081、特開昭52−133838、特開昭52−133840、特開昭52−133844、特開昭52−133845、特開昭53−149135、特開昭54−146234各号公報に記載のもの等ももちろん適用できる。
【0013】
また、Fe、Cu以外に、アンモニア(NH3)を100mg/l以下で使用しても良好な結果を得ることができる。
【0014】
かくして得られたアルミニウム板に必要に応じて、アルカリまたは、酸にて処理を行なう。特開昭56−51388号公報のようにアルカリ処理し、特開昭53−12739号公報のように硫酸によってデスマット処理を行なう。また、特開昭53−115302号公報のように燐酸処理したり、特開昭60−8091、特開昭63−176188、特開平1−38291、特開平1−127389、特願平1−188699、特開平3−177600、特開平3−126891、特開平3−191100各号公報等も用いることが出来る。
【0015】
この様に得られたアルミニウム支持体の表面に、陽極酸化皮膜を形成させるのが好ましい。電解液としては、硫酸、燐酸、クロム酸、しゅう酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいは、これら2種類以上組み合わせた水溶液または非水溶液中で、アルミニウムを陽極として電流を流すと、アルミニウム表面に、陽極酸化皮膜を形成させることが出来る。陽極酸化の処理条件は、使用される電解液によって種々変化するので、一概にいえないが一般的には、電解液の濃度が、1〜80重量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/cm2、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分が適当である。電解装置としては、特開昭48−26638、特開昭47−18739、特公昭58−24517各号公報等に紹介されている。また、特開昭54−81133、特開昭57−47894、特開昭57−51289、特開昭57−51290、特開昭57−54300、特開昭57−136596、特開昭58−107498、特開昭60−200256、特開昭62−136596、特開昭63−176494、特開平4−176897、特開平4−280997、特開平6−207299、特開平5−24377、特開平5−32083、特開平5−125597、特開平5−195291各号公報にかかれている方法ももちろん使用できる。処理液としては、特開平3−253596、特開昭62−82089、特開平1−133794、特開昭54−32424、特開平5−42783各号公報等に記載の液ももちろん使用できる。
【0016】
上述の様に、陽極酸化皮膜を形成した後、各支持体と感光組成物との密着を最適なものとするために、陽極酸化皮膜をエッチングした後、水蒸気並びに、熱水で封孔処理をして、経時安定性の良い、現像性の良好な、非画像部の汚れのない感光性印刷版を与える支持体の封孔処理装置があり(特公昭56−12518号公報)、この様な装置で皮膜生成後処理を行なっても良い。また、特開平4−4194、特開平5−202496、特開平5−179482各号公報等に記載の装置、方法で封孔処理を行なっても良い。
【0017】
他に、米国特許第2946638号明細書に記載されている弗化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3201247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1108559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1091433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1134093号明細書や英国特許第1230447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3307951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号や特開昭58−18291号の各公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理や、米国特許第3860426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば酢酸亜鉛など)を含む親水性セルロース(例えばカルボキシメチルセルロースなど)の下塗り層を設けたり、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合体の下塗りによって親水化処理を行ったものや、特開昭62−019494号公報に記載されているリン酸塩、特開昭62−033692号公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−097892号公報に記載のリン酸変性デンプン、特開昭63−056498号公報に記載のジアミン化合物、特開昭63−130391号公報記載のアミノ酸の無機または有機酸、特開昭63−145092号公報に記載のカルボキシル基または水酸基を含む有機ホスホン酸、特開昭63−165183号公報に記載のアミノ基とホスホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に記載の特定のカルボン酸誘導体、特開平3−215095号公報に記載のリン酸エステル、特開平3−261592号公報に記載の1個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載のリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記載のフェニルホスホン酸などの脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1−307745号公報に記載のチオサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−282637号公報に記載のリンの酸素酸のグループを持つ化合物などの下塗りや、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行なう事もできる。
【0018】
本発明の支持体には、以下に例示する感光層を設けて感光性平板印刷板とすることができる。
〔I〕 o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルおよびフェノール・クレゾール混合のノボラック樹脂を含有する感光層を設ける場合。
o−キノンジアジド化合物はo−ナフトキノンジアジド化合物であり、例えば米国特許第2,766,118号、同第2,767,092号、同第2,772,972号、同第2,859,112号、同第3,102,809号、同第3,106,465号、同第3,635,709号、同第3,647,443号の各明細書をはじめ、多数の刊行物に記されており、これらは、好適に使用することができる。これらの内でも、特に芳香族ヒドロキシ化合物のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルまたはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸エステル、及び芳香族アミノ化合物のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドまたはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸アミドが好ましく、特に米国特許第3,635、709号明細書に記されているピロガロールとアセトンとの縮合物にo−ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル反応させたもの、米国特許第4,028,111号明細書に記されている末端にヒドロキシ基を有するポリエステルにo−ナフトキノンジアジドスルホン酸、またはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸をエステル反応させたもの、英国特許第1,494,043号明細書に記されているようなp−ヒドロキシスチレンのホモポリマーまたはこれと他の共重合し得るモノマーとの共重合体にo−ナフトキノンジアジドスルホン酸、またはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸をエステル反応させたもの、米国特許第3,759,711号明細書に記されているようなp−アミノスチレンと他の共重合し得るモノマーとの共重合体にo−ナフトキノンジアジドスルホン酸、またはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸をアミド反応させたものは非常に優れている。
【0019】
これらのo−キノンジアジド化合物は、単独で使用することができるが、アルカリ可溶性樹脂と混合して用いた方が好ましい。好適なアルカリ可溶性樹脂には、ノボラック型フェノール樹脂が含まれ、具体的には、フェノールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾ−ルホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂などが含まれる。さらに米国特許第4,028,111号明細書に記されているように上記のようなフェノール樹脂と共に、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8のアルキル基で置換されたフェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用すると、より一層好ましい。
また、露光により可視像を形成するためにo−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド、p−ジアゾジフェニルアミンの無機アニオン塩、トリハロメチルオキサジアゾール化合物、ベンゾフラン環を有するトリハロメチルオキサジアゾール化合物等の化合物などが添加される。一方画像の着色剤としては、ビクトリアブルーBOH、クリスタルバイオレット、オイルブルー、等のトリフェニルメタン染料が用いられる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
さらに、感脂化剤として特公昭57−23253号公報に記載されているような炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール、例えばt−ブチルフェノール、N−オクチルフェノール、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとを縮合させたノボラック樹脂、または、このようなノボラック樹脂のo−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホン酸エステル(例えば、特開昭61−242446号公報に記載されている)を含有させることができる。
また、現像性を良化させるためにさらに特開昭62−251740号公報に記載されているような非イオン界面活性剤を含有させることができる。
以上の組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどがあり、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
これらの成分からなる感光性組成物が、固形分として0.5〜3.0g/m2設けられる。
【0020】
〔II〕ジアゾ樹脂と水不溶性かつ親油性光分子化合物を含有する感光層を設ける場合。
ジアゾ樹脂としては、例えばp−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドの縮合物と、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩との有機溶媒可溶の反応生成物であるジアゾ樹脂無機塩、また米国特許第3,300,309号明細書に記載されているような、前記縮合物とスルホン酸類例えばp−トルエンスルホン酸またはその塩、ホスフィン酸類例えばベンゼンホスフィン酸またはその塩、ヒドロキシル基含有化合物例えば、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸またはその塩等の反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂有機酸塩等が挙げられる。
本発明において、好適に用いることができる他のジアゾ樹脂は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リンの酸素酸基およびヒドロキシル基のうち少なくとも一つの有機基を有する芳香族化合物と、ジアゾニウム化合物、好ましくは芳香族ジアゾニウム化合物とを構造単位として含む共縮合体である。
そして上記の芳香族環としては、好ましくはフェニル基、ナフチル基をあげることができる。
前述のカルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リンの酸素酸基、及びヒドロキシル基のうち少なくとも一つを含有する芳香族化合物としては種々のものが挙げられるが、好ましいのは、4−メトキシ安息香酸、3−クロロ安息香酸、2,4−ジメトキシ安息香酸、p−フェノキシ安息香酸、4−アニリノ安息香酸、フェノキシ酢酸、フェニル酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、1−ナフタレンスルホン酸、フェニルリン酸、フェニルホスホン酸である。前述の共縮合ジアゾ樹脂の構成単位をなす芳香族ジアゾニウム化合物には、例えば特公昭49−48001号公報に挙げられているようなジアゾニウム塩を用いることができるが、特に、ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩類が好ましい。
ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩類は、4−アミノ−ジフェニルアミン類から誘導されるが、このような4−アミン−ジフェニルアミン類としては、4−アミノジフェニルアミン、4−アミノ−3−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−2−メトキシジフェニルアミン、4′−アミノ−2−メトキシジフェニルアミン、4′−アミノ−4−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−3−メチルジフェニルアミン、4−アミノ−3−エトキシジフェニルアミン、4−アミノ−3−β−ヒドロキシエトキシジフェニルアミン、4−アミノ−ジフェニルアミン−2−スルホン酸、4−アミノ−ジフェニルアミン−2−カルボン酸、4−アミノ−ジフェニルアミン−2′−カルボン酸等が挙げられ、特に好ましくは、3−メトキシ−4−アミノ−4−ジフェニルアミン、4−アミノジフェニルアミンである。
また、酸基を有する芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂以外のジアゾ樹脂として、特開平4−18559号、特開平3−163551号、及び特開平3−253857号各公報に記載された酸基を含有するアルデヒドまたはそのアセタール化合物で縮合したジアゾ樹脂も好ましく用いることができる。
ジアゾ樹脂の対アニオンとしては、ジアゾ樹脂と安定に塩を形成し、かつ該樹脂を有機溶媒に可溶となすアニオンを含む。これらは、デカン酸及び安息香酸等の有機カルボン酸、フェニルリン酸等の有機リン酸及びスルホン酸を含み、典型的な例としては、メタンスルホン酸、トルフルオロメタンスルホン酸などのフルオロアルカンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、ジシクロヘキシルスルホコハク酸、カンファースルホン酸、トリルオキシ−3−プロパンスルホン酸、ノニルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ノニルフェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ジブチルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ジアミルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ジノニルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ジブチルフェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ジノニルフェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、スルホサルチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、p−アセチルベンゼンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−クロロ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ブトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ブトキシナフタレンスルホン酸、ドデシルオキシナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、ナフタリン−1−スルホン酸、ナフタリン−2−スルホン酸、1,8−ジニトロ−ナフタレン−3,6−ジスルホン酸、ジメチル−5−スルホイソフタレート等の脂肪族並びに芳香族スルホン酸、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,2,3−トリヒドロシキシベンゾフェノン、2,2′,4−トリヒドロキシベンゾフェノン等の水酸基含有芳香族化合物、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸等のハロゲン化ルイス酸、HClO4,HIO4等の過ハロゲン酸等が挙げられるが、これに限られるものではない。これらの中で、特に好ましいものは、ブチルナフタレシスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ヘキサフルオロリン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸である。
【0021】
本発明に使用するジアゾ樹脂は、各単量体のモル比及び縮合条件を種々変えることにより、その分子量は任意の値として得ることができるが、本発明の目的とする使途に有効に供するためには分子量が約400〜100,000のもの、好ましくは、約800〜8,000のものが適当である。
水不溶性かつ親油性高分子化合物としては、下記(1)〜(15)に示すモノマーをその構造単位とする通常1〜20万の分子量をもつ共重合体が挙げられる。
(1)芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類及びヒドロキシスチレン類、例えばN−(4−ヒドロキジフェニル)アクリルアミドまたはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−,m−,p−ヒドロキシスチレン、o−,m−,p−ヒドロキシフェニル−アクリレートまたはメタクリレート、
(2)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、
(3)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、
(4)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等の(置換)アルキルアクリレート、
【0022】
(5)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の(置換)アルキルメタクリレート、
(6)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド類、
(7)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
(8)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、
(9)スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類、(10)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類、
【0023】
(11)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類、
(12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジンアクリロニトリル、メタクリロニトリル等
(13)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド、
(14)N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノ)スルホニルフェニルメタクリルアミド、N−(1−(3−アミノスルホニル)ナフチル)メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミド等のメタクリル酸アミド類、及び上記と同様の置換基を有するアクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルナフチル)メタクリレート等のメタクリル酸エステル類、及び上記と同様の置換基を有するアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド
(15)N−(2−(メタクリロイルオキシ)−エチル)−2,3−ジメチルマレイミド、ビニルシンナメート、などの、側鎖に、架橋性基を有する不飽和モノマー。更に、上記モノマーと共重合し得るモノマーを共重合させてもよい。
(16)米国特許第3,751,257号明細書に記載されているフェノール樹脂および例えばポリビニルフォルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のようなポリビニルアセタール樹脂。
(17)ポリウレタンをアルカリ可溶化した特公昭54−19773号、特開昭57−904747号、同60−182437号、同62−58242号、同62−123452号、同62−123453号、同63−113450号、特開平2−146042号に記載された高分子化合物。
また上記共重合体には必要に応じて、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等を添加してもよい。
【0024】
本発明の支持体に用いる感光性組成物には、露光による可視画像と現像後の可視画像を得ることを目的としてさらに色素を用いることができる。
該色素としては、例えば、ビクトリアピュアブルーBOH〔保土ケ谷化学社製〕、オイルブルー#603〔オリエント化学工業社製〕、パテントピュアブルー〔住友三国化学社製〕、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルバイオレット、メチルグリーン、エリスロシンB、ベイシックフクシン、マラカイトグリーン、オイルレッド、m−クレゾールパープル、ローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミナフトキノン、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルアセトアニリド等に代表されるトリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、キサンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系またはアントラキノン系の色素が有色から無色あるいは異なる有色の色調へ変化する変色剤の例として挙げられる。
一方、無色から有色に変化する変色剤としては、ロイコ色素及び、例えばトリフェニルアミン、ジフェニルアミン、o−クロロアニリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニルアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,p′,p″−トリス−ジメチルアミノトリフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニルメチルイミン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルトリフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p′,p″−トリアミノトリフェニルメタンに代表される第1級または第2級アリールアミン系色素が挙げられる。特に好ましくは、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系色素が有効に用いられ、さらに好ましくはトリフェニルメタン系色素であり、特にビクトリアピュアブルーBOHである
【0025】
本発明の支持体に用いられる感光性組成物には、更に種々の添加物を加えることができる。
例えば、塗布性を改良するためのアルキルエーテル類(例えばエチルセルロース、メチルセルロース)、フッ素系界面活性剤類や、ノニオン系界面活性剤(特にフッ素系界面活性剤が好ましい)、塗膜の柔軟性、耐摩耗性を付与するための可塑剤(例えばブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー、この中で特にリン酸トリクレジルが好ましい)、画像部の感脂性を向上させるための感脂化剤(例えば特開昭55−527号公報記載のスチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコールによるハーフエステル化物、p−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などのノボラック樹脂、p−ヒドロキシスチレンの50%脂肪酸エステル等)、安定剤{例えば、リン酸、亜リン酸、有機酸(クエン酸、シュウ酸、ジピコリン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、酒石酸等)}、現像促進剤(例えば高級アルコール、酸無水物等)等が好ましく用いられる。
【0026】
上述の感光性組成物を支持体上に設けるには、感光性ジアゾ樹脂、親油性高分子化合物、及び必要に応じて種々の添加剤の所定量を適当な溶媒(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、メチルセロソルブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレンジクロライド、ジメチルスルホキシド、水またはこれらの混合物等)中に溶解させ感光性組成物の塗布液を調整し、これを支持体上に塗布、乾燥すればよい。
用いられる溶媒は単独でもよいが、メチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、乳酸メチルのような高沸点溶媒と、メタノール、メチルエチルケトンのような低沸点溶媒との混合物とするとさらに好ましい。
塗布する際の感光性組成物の固形分濃度は1〜50重量%の範囲とすることが望ましい。この場合、感光性組成物の塗布量は、おおむね、0.2〜10g/m2(乾燥重量)程度とすればよくさらに好ましくは、0.5〜3g/m2とするとよい。
【0027】
〔III〕光二量化型感光性組成物及び光重合性感光性組成物をふくむ感光層を設ける場合
光二量化型感光性組成物としてはマレイミド基やシンナミル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、シンナミリデンアセチル基やカルコン基などを側鎖、または主鎖に有するポリマーが挙げられ、マレイミド基を側鎖に有するポリマーとして、特開昭52−988号(対応米国特許4,079,041号)公報や、独国特許第2,626,769号明細書、ヨーロッパ特許第21,019号明細書、ヨーロッパ特許第3,552号明細書や、ディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラーレ・ケミー(Die Angewandte Makromolekulare Chemie)115(1983)の163〜181ページに記載されているポリマーや、特開昭49−128991号、同49−128992号、同49−128993号、同50−5376号、同50−5377号、同50−5379号、同50−5378号、同50−5380号、同53−5298号、同53−5299号、同53−5300号、同50−50107号、同51−47940号、同52−13907号、同50−45076号、同52−121700号、同50−10884号、同50−45087号各公報、独国特許第2,349,948号、同第2,616,276号各明細書に記載されているポリマーなどを挙げることができる。
これらのポリマーを、アルカリ水に可溶性または膨潤性とするためには、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、及びアルカリ水に対し解離するpKaが6〜12の酸基などを、ポリマー中に含めたものが有用である。必要により上記酸基を有するモノマー13種類と、マレイミド基を有するモノマーを共重合させることもできる。
【0028】
酸基を有するマレイミドポリマーの酸価は30〜300の範囲が好ましく、このような酸価を有するポリマーの中でも、ディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラーレ・ケミー(Die Angewandte Makromolekulare Chemie)128(1984)の71〜91ページに記載されているような、N−〔2−(メタクリロイルオキシ)エチル〕−2,3−ジメチルマレイミドとメタクリル酸あるいはアクリル酸との共重合体が有用である。更にこの共重合体の合成に際して第3成分のビニルモノマーを共重合することによって目的に応じた多元共重合体を容易に合成することができる。例えば、第3成分のビニルモノマーとして、そのホモポリマーのガラス転移点が室温以下のアルキルメタアクリレートやアルキルアクリレートを用いることによって、共重合体に柔軟性を与えることができる。
【0029】
シンナミル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、シンナミリデンアセチル基やカルコン基などを側鎖、または主鎖に有する光架橋性ポリマーとしては、米国特許第3,030,208号、米国特許出願709,496号、同第828,455号の各明細書に記載されている感光性ポリエステルがある。
これらの光架橋性ポリマーをアルカリ水可溶化したものとしては、次のようなものがあげられる。
即ち、特開昭60−191244号公報中に記載されているような感光性ポリマーを挙げることができる。
更に、特開昭62−175729号、特開昭62−175730号、特開昭63−25443号、特開昭63−218944号、特開昭63−218945号の各公報に記載されている感光性ポリマーなどを挙げることができる。
また、これらを含む感光層には増感剤を使用することが出来るが、そのような増感剤としてはベンゾフェノン誘導体、ベンズアンスロン誘導体、キノン類、芳香族ニトロ化合物、ナフトチアゾリン誘導体、ベンゾチアゾリン誘導体、チオキサントン類、ナフトチアゾール誘導体、ケトクマリン化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ナフトフラノン化合物、ビリリウム塩、チアビリリウム塩などを挙げることが出来る。このような感光層には必要に応じて塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエンなどのモノマーの少なくとも一種との共重合体、ポリアミド、メチルセルロース、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体などの結合剤や、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレートなどのフタル酸ジアルキルエステル、オリゴエチレングリコールアルキルエステル、リン酸エステルなどの可塑剤などを使用することが出来る。また、感光層の着色を目的として、染料もしくは顔料や焼出し剤としてpH支持薬等を添加するものも好ましい。
【0030】
光重合性感光性組成物としては、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、ビシナールポリタケタルドニル化合物、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−位が炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組み合わせ、ベンゾチアゾール系化合物、トリハロメチル−s−トリアジン化合物、アクリジン及びフェナジン化合物、オキサジアゾール化合物などが含まれ、これらとともに、アルカリ水可溶性または膨潤性で、かつフィルム形成可能な高分子重合体としては、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸メチル(またはメタクリル酸エステル)共重合体、無水マレイン酸共重合体にペンタエリスリトールトリアクリレートを半エステル化で付加させたものや酸性ビニル共重合体などが挙げられる。
【0031】
〔IV〕電子写真用感光層
例えば、米国特許第3,001,872号明細書に開示さているZnO感光層を用いることもできる。また、特開昭56−161550号、特開昭60−186847号、特開昭61−238063号各公報などに記載されている電子写真感光体を用いた感光層を用いてもよい。
支持体上に設けられる感光層の量は、塗布後の乾燥重量で、約0.1〜約7g/m2、好ましくは0.5〜4g/m2の範囲である。
【0032】
本発明法による平版印刷版用支持体の製造方法において、支持体と感光層との密着性を高めるためや、現像後に感光層が残らないようにするため、またはハレーションを防止するなどの目的で、必要に応じて中間層を設けてもよい。
密着性向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミに吸着するリン酸化合物、アミノ化合物、カルボン酸化合物などからなっている。現像後に感光層が残存しないように溶解性の高い物質からなる中間層は、一般に溶解性の良好なポリマーや、水溶性ポリマーからなっている。更にハレーション防止のためには、中間層は一般に染料やUV吸収剤を含む。中間層の厚さは任意であり、露光した時に、上層の感光層と均一な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、5〜40mg/m2が特に良好である。
【0033】
塗布された感光層上には相互に独立して設けられた突起物により構成されるマット層を設けることもできる。
マット層の目的は密着露光におけるネガ画像フィルムと感光性平版印刷版との真空密着性を改良することにより、真空引き時間を短縮し、さらに密着不良による露光時の微小網点のつぶれを防止することである。
マット層の塗布方法としては、特開昭55−12974号公報に記載されているパウダリングされた固体粉末を熱融着する方法、特開昭58−182636号に記載されているポリマー含有水をスプレーし乾燥させる方法などがあり、どの方法でもよいが、マット層自体が実質的に有機溶剤を含まない水性アルカリ現像液に溶解するか、あるいはこれにより除去可能な物が望ましい。
【0034】
以上のようにして作成された感光性平版印刷版は、画像露光された後、常法により現像を含む処理によって樹脂画像が形成される。例えば、前記〔I〕の感光層を有する感光性平版印刷版の場合は、画像露光後、米国特許第4,259,434号明細書に記載されているようなアルカリ水溶液で現像することにより露光部分が除去されて、平版印刷版が得られ、〔II〕の感光層を有する感光性平版印刷版の場合には、画像露光後、米国特許第4,186,006号明細書に記載されているような現像液で、未露光部の感光層が現像により除去されて平版印刷版が得られる。また、特開昭59−84241号、特開昭57−192952号、及び特開昭62−24263号の各公報に記載されているようなポジ型平版印刷版を現像する際に用いられる水性アルカリ現像液組成物を使用することもできる。
【0035】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明するるが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)−1
JIS1050材のアルミニウム支持体を、15%苛性ソーダ水溶液に浸し、アルミニウム溶解量が5g/m2になる様にエッチングし、3%硝酸液に30秒間浸しデスマット処理を行いその後十分水洗した。その後、温度43℃にて、特開平3−79799の波形で60HZの周波数で、立ち上がり時間が1.5secになる様電圧を変化させ、電流波形を作成し処理スピード50m/minにて電気化学的粗面化を行った。
【0036】
【表1】
【0037】
これらのサンプルをA〜Qとした。
別に、1050材をトリクレン洗浄し、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン水懸濁液を用い、回転数300rpmにて表面を砂目立てし、水洗後、苛性ソーダ15%液、60℃にてアルミ溶解量が9g/m2になる様エッチングし、硝酸1%液にてデスマットした後、表1の電解粗面化条件にて電気化学的に粗面化を行った。表1のA〜Qに対応する条件で行ったサンプルをa〜qとする。
これらのサンプルをデスマットして、SEM写真にてピット生成を観察した。その後、A〜Qのサンプルについては、苛性ソーダ5%の液にて0.3g/m2エッチング、水洗し、15%55度硫酸にて20秒浸しデスマット処理を行い、硫酸15%の液にて、2.7g/m2陽極酸化皮膜を生成させた。
また、a〜qのサンプルについては、苛性ソーダ15%の液にて1.1g/m2エッチング、水洗し、15%55℃硫酸にて20秒浸しデスマット処理を行い、硫酸15%の液にて、2.7g/m2陽極酸化皮膜を生成させた。
これらのサンプルを、(A)〜(Q)、(a)〜(q)とした。
【0038】
この様に作成した基板に下記組成物を乾燥後の塗布重量が2.0g/m2になる様に塗布して感光層を設けた。
感光層組成
ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール、アセトン樹脂とのエステル化合物
(米国特許第3635709号明細書実施例−1記載のもの) 0.75g
クレゾールノボラック樹脂 2.00g
オイルブルー603(オリエント化学) 0.04g
エチレンジクロライド 16g
2−メトキシエチルアセテート 12g
この様にして作られた印刷版を、真空焼枠中で、透明ポジティプフイルムを通して、1mの距離から3kwのメタルハライドランプにより50秒露光を行った後、S1O2/Na2Oのモル比が、1.74の珪酸ナトリウムの5.26%水溶液で現像した後、印刷し水を絞った時の汚れ難さ、耐刷力、クロスストロ−クを確認した。
結果を表2、3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
なお、表2、3において、クロスストロ−クは以下の基準で評価されている。即ち、○はクロスストロ−クが殆ど見えないレベル、○△はクロスストロ−クが判別されるレベル、△は実技状限界のレベル、△×は実技上の工夫により使用可能なレベル、×は全く実用性の悪いレベルをそれぞれ示す。
また、汚れ難さは以下の基準で示されている。即ち、◎は極めて汚れにくく優れた性能、◎○は非常に汚れにくく優れた性能、○は汚れにくく優れた性能、○△は汚れにくく実用的な性能、△は辛うじて実用となる性能、△×は実用的でない性能、×は汚れ易く実用性の無い性能をそれぞれ示す。
以上のことから、Fe、Cuの濃度を、それぞれ、4〜40mg/l、0.2〜5mg/lとすることで、クロスストロ−クの発生を抑えて、印刷性能を向上させることができることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、アルミニウム板を、金属イオンを含む硝酸電解液中にて、鉄イオンが4〜40mg/l、銅イオンが0.2〜5mg/lで交番電流によって電気化学的に粗面化することにより、クロスストロ−クの発生を抑えて、印刷性能に優れる平版印刷版を製造することができる。
Claims (1)
- アルミニウム板を、金属イオンを含む硝酸電解液中にて、鉄イオンが4〜40mg/l、銅イオンが0.2〜5mg/lで交番電流によって電気化学的に粗面化することを特徴とする平版印刷版支持体の製造方法。
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