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JP3612702B2 - 赤外線透過膜及びこれを用いた赤外線センサーカバー - Google Patents

赤外線透過膜及びこれを用いた赤外線センサーカバー Download PDF

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  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
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  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線透過膜、これを用いた赤外線センサーカバー及び赤外線センサーユニットに係り、更に詳細には、自動車等の乗り物の車間検知センサーに好適に利用できる赤外線透過膜、これを用いた赤外線センサーカバー及び赤外線センサーユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、赤外線センサーに用いられる赤外線を透過させるカバーとしては、透明又は半透明であるものを一般的に利用していた。しかし、外部からセンサー本体が見えてしまうため、意匠性を損なうことがあった。また、センサー本体を隠蔽させるために赤外線センサーカバーに可視光線を吸収するカーボンブラック等を使用した場合、センサー本体は隠蔽されるが、赤外線を通さなくなってしまうという問題があった。
また、車間距離測定のための赤外線センサーを自動車車両等のラジエターグリルの奥に設置する場合、ラジエターグリルが赤外線センサーの障害となるため、ラジエターグリルを取り除くか、又は赤外線光路上にあるラジエターグリルを切り取る必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、自動車等のラジエターグリル部は、車のデザインとして重要な部分であるため意匠性が要求されており、最近の傾向では高級感を出すためにめっきが多く使用され、光沢感のある赤外線センサーカバーが要求されている。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、赤外線の透過性と赤外線センサー本体の隠蔽が両立され、且つめっきのような光輝感のある意匠性を有する赤外線透過膜、これを用いた赤外線センサーカバー及び赤外線センサーユニットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定のミラーコート層と所定の色材層とを組合せたことにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の赤外線透過膜は、ミラーコート層上に色材層を被覆した積層構造を全部又は一部に有する赤外線透過膜であって、
上記ミラーコート層は、高屈折率物質層及び低屈折率物質層を交互に一層ずつ又は複数層ずつ積層して成り、
上記色材層は、少なくとも1種の色材を含み、可視光線を一部の波長範囲で吸収し且つ赤外線を透過する機能を有し、
赤外線透過率が80%以上であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の赤外線センサーカバーは、上記赤外線透過膜が、赤外線透過性基材の表面及び/又は裏面の全部又は一部に被覆され、赤外線透過率が70%以上であることを特徴とする。
【0008】
更に、本発明の赤外線センサーカバーの好適形態は、表面の全部又は一部が保護材層で被覆されていることを特徴とする。
【0009】
更にまた、本発明の赤外線センサーカバーの他の好適形態は、上記ミラーコート層、上記色材層及び上記赤外線透過性基材から成る群より選ばれた少なくとも1種の部位に、上記保護材層に含まれる保護材を混入して成ることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の赤外線センサーユニットは、赤外線センサーカバーを備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の赤外線透過膜につき詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0012】
本発明の赤外線透過膜は、ミラーコート層上に色材層を被覆した積層構造を全部又は一部に有する。
ここで、上記ミラーコート層は、高屈折率物質層及び低屈折率物質層を交互に、一層ずつ又は複数層ずつ積層して成る。このような積層構造を採用することにより、被覆対象物にめっきのような光輝感を発現させ高級感を与え得る。また、隠蔽性が向上する。
また、ミラーコート層を構成する高屈折率物質及び低屈折率物質としては、CaF、NaF、NaAlF、LiF、MgF、SiO、LaF、NdF、Al、CeF、PbF、MgO、ThO、SnO、La、SiO、In、Nd、Sb、ZrO、CeO、TiO、ZnS、Bi、ZnSe、CdS、Sb、CdTe、Si、Ge、Te及びPbTeなどを挙げることができ、これらの中から高屈折率物質と低屈折率物質の2種類を任意に選択して使用できる。このとき、上記高屈折率物質の屈折率は1.5〜5.5、上記低屈折率物質層の屈折率は1.2〜3.0であることが好ましい。かかる屈折率を有する物質を積層すれば被覆対象物にめっきのような光輝感を発現させ高級感を与え、また隠蔽性が向上し易い。
更に、上記高屈折率物質及び低屈折率物質は、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びスパッタリング法などにより薄層(0.1〜0.2μm程度)とすることが望ましい。例えば、TiOの薄層とSiOの薄層とを交互に計30層積層してミラーコート層を形成することができる。
【0013】
また、上記色材層は、少なくとも1種の色材を含み、可視光線を一部の波長範囲で吸収し且つ赤外線を透過する機能を有する。
このとき色材層が吸収する可視光線の波長範囲は、400〜700nmであることが望ましい。このときは所望の隠蔽性を有する赤外線透過膜が得られるからである。
上記色材としては、赤外線(波長範囲750〜1000nm)を透過する染料又は顔料を使用でき、代表的には、カドウミウムレッド、コバルトブルー、イソインドリノン、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、ペリレンレッド、ビスマスエロー及びアゾ系化合物などが挙げられる。これら色材は単独での使用に限られず、2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記色材層には、色材のバインダー成分として、一般に知られている塗膜形成ポリマーを添加することが望ましく、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びアミノ樹脂などを使用できる。更に、硬化剤として、例えばアルコキシメチロールメラミン樹脂、イソシアネート化合物又はブロックイソシアネート化合物、ポリ酸無水物及びポリエポキシ化合物などを添加したり、溶剤の揮発時に膜を形成するポリマー(ニトロセルロース樹脂や高分子アクリル樹脂など)や空気中の酸素や湿気と反応して膜を形成するポリマー(アルキド樹脂など)を添加することもできる。更にまた、上記ポリマーや硬化剤を溶解又は分散させ得る溶剤、例えばトルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素などを添加してもよい。なお、上記溶剤は有機系溶剤に限定されず、無機系溶剤として水などを使用してもよい。
【0014】
更に、本発明の赤外線透過膜は、赤外線透過率が80%以上であることを特徴とする。80%未満では、赤外線センサーカバーの一部に使用すると、赤外線センサーの機能が低下するからである。
なお、上述のミラーコート層の赤外線透過率は90〜100%であるため、色材の配合量や色材層の層厚などを調整して所望の赤外線透過率を確保することが望ましく、例えば、上記色材の配合量を上記バインダー成分100重量部に対し、0.1〜100重量部程度とすることができる。
【0015】
次に、本発明の赤外線センサーカバーにつき説明する。
かかる赤外線センサーカバーは、上述の赤外線透過膜を、赤外線透過性基材の表面及び/又は裏面の全部又は一部に被覆して成る。これより、赤外線センサーの赤外線光路上であっても、所望形状のカバーを設置でき、赤外線センサーの隠蔽のみならず、外部からの意匠性も確保できる。
例えば、図1に示すように、上述の赤外線透過膜10(色材層3及びミラーコート層2)の裏面に赤外線透過性基材1及び保護材層4を被覆した赤外線センサーカバーや、図2に示すように、上述の赤外線透過膜10の表面に赤外線透過性基材1及び保護材層4を被覆した赤外線センサーカバーを例示できる。
【0016】
ここで、上記赤外線透過性基材としては、赤外線透過性を有する一般的な透明基材又は半透明基材などを使用でき、具体的には、ガラスやポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン・テレフタレート・イソフタレート共重合体等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリ4弗化エチレン、エチレン・4弗化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル樹脂、ポリカーボネート等のカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂等を使用できる。なお、これらは単独で使用することもできるし、2種以上を任意に組合せて使用することもできる。
【0017】
また、本発明の赤外線センサーカバーは、赤外線透過率が70%以上であることを特徴とする。70%未満では上記赤外線センサーカバーが赤外線光路上で障害となり、赤外線センサーを正常に作動させることが困難となるためである。
【0018】
更に、本発明の赤外線センサーカバーの表面の全部又は一部に、保護材層を被覆することができる。これより、赤外線センサーカバーの傷付き性や耐候性を向上できる。かかる保護材層に含まれる保護材としては、代表的には、アクリルシリコーン系塗料、シリコーン変性アルキド系塗料及びシリコーン変性ウレタン系塗料等が例示できる。
【0019】
また、上記保護材としては、紫外線域に吸収スペクトルを有し、可視光線及び赤外線が透過される紫外線吸収剤を使用でき、このときは更に耐候性が向上し得るので有効である。かかる紫外線吸収剤としては、可視光から赤外光の波長域の光を吸収しないものが望ましく、具体的にはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系等を例示できる。なお、これら紫外線吸収材には更にヒンダードアミン系光安定剤を添加することもできる。このときは更に耐候性が向上する。また、これら紫外線吸収剤又は光安定剤は、樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度であることが望ましい。
【0020】
次に、本発明の赤外線センサーカバーユニットについて説明する。
かかる赤外線センサーカバーユニットは、上述の赤外線センサーカバーを備えることを特徴とする。これより、従来の赤外線センサーユニットに比べ、赤外線センサーの隠蔽性が高く、赤外線センサーの機能を低下させることがなく且つ自由に形状等を設計できるため意匠性も向上する。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】
以下の実施例及び比較例では、図1に示すような構成を有する赤外線センサーカバーを製造し、得られた赤外線センサーカバーの赤外線透過率及び色材層の可視光線透過率を測定し評価した。なお、各例で得られた赤外線センサーカバーは、後述するように、任意形状のマスキング処理により色材層を含む部位と含まない部位とを有する。
【0023】
(実施例1〜4)
透明なポリカーボネート(LS2:日本GEプラスチックス製)で成形した赤外線センサーカバーの表面にTiO2−SiO2で構成される計30層のコールドミラー処理を行い、その上に任意の形状をマスキングした後、黒色のアゾ系染料(KAYASET BLACK:日本化薬製)を樹脂100重量部に対して0.8重量部配合したアクリルウレタン塗料(R241:日本ビーケミカル製)を乾燥膜厚で19〜62μm塗装し、本例の赤外線センサーカバーを得た。
【0024】
(実施例5〜7)
ペリレン系赤色顔料(ペリントマルーン R6436:バイエル製)、シアニン系青色顔料(シヤニンブルーG314:山陽色素製)、及びビスマス系黄色顔料(イルガカラーエロー2GLMA:チバ・スペシャリティーケミカルズ製)を同量ずつ配合した混合顔料を樹脂100重量部に対して2.5重量部配合したアクリルウレタン塗料(R241:日本ビーケミカル製)を乾燥膜厚で11〜36μm塗装した以外は、実施例1と同様な操作を繰返して、本例の赤外線センサーカバーを得た。
【0025】
(比較例1〜4)
黒色の赤外線反射・透過性顔料(CHROMOFINE BLACK:大日精化工業製)を樹脂100重量部に対して2.5重量部配合したアクリルウレタン塗料(R241:日本ビーケミカル製)を乾燥膜厚で17〜53μm塗装した以外は、実施例1と同様な操作を繰返して、本例の赤外線センサーカバーを得た。
【0026】
(比較例5〜8)
黒色の赤外線反射顔料(PALIOGEN BLACK:BASF製)を樹脂100重量部に対して1.25重量部配合したアクリルウレタン塗料(R241:日本ビーケミカル製)を乾燥膜厚で14〜51μm塗装した以外は、実施例1と同様な操作を繰返して、本例の赤外線センサーカバーを得た。
【0027】
(比較例9)
黒色の顔料(カーボンブラック)を配合したアクリルウレタン塗料(R241(BKH3):日本ビーケミカル製)を乾燥膜厚で10μm塗装した以外は、実施例1と同様な操作を繰返して、本例の赤外線センサーカバーを得た。
【0028】
(性能評価)
各例で得られた赤外線センサーカバーのマスキングをした部分(色材層を含まない部分)と黒い色材を塗布した部分(色材層を含む部分)について、400〜900nmの分光透過率を紫外線可視分光光度計(UV−265FV:島津製作所製)によって測定し、850nmの透過率を赤外線透過率とした。
また、色材層の可視光線透過率の測定は、透明なPETフィルムに実施例及び比較例と同じ色材を同じ膜厚で塗布し、500nmの光線透過率を可視光の透過率とし、20%以下であれば隠蔽しているとした。各例の評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003612702
【0030】
表1に示すように、実施例1〜4及び実施例5〜7で得られた赤外線センサーカバーは、本発明の好適形態であり、膜厚が大きくなっても赤外線透過率は殆ど減少せず赤外線透過率は70%以上に確保されていることがわかる。一方、比較例1〜4、比較例5〜8及び比較例9で得られた赤外線センサーカバーは、本発明の好適範囲外のものであり、所望の赤外線透過率及び可視光線透過率を有しないことがわかる。
【0031】
以上、本発明を実施例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、本発明において、赤外線センサーカバーの各構成部位(色材層、赤外線透過性基材及び保護材層)を製造する際には、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤等の充填剤及び強化剤などの各種添加剤を適宜加えることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、所定のミラーコート層と所定の色材層とを組合せることとしたため、赤外線の透過性と赤外線センサー本体の隠蔽が両立され、且つめっきのような光輝感のある意匠性を有する赤外線透過膜、これを用いた赤外線センサーカバー及び赤外線センサーユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の赤外線センサーカバーの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の赤外線センサーカバーの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 赤外線透過性基材(透明基材)
2 ミラーコート層(高屈折率物質+低屈折率物質)
3 色材層(IR透過色材)
4 保護材層
10 赤外線透過膜(ミラーコート層+色材層)

Claims (7)

  1. ミラーコート層上に色材層を被覆した積層構造を全部又は一部に有する赤外線透過膜であって、
    上記ミラーコート層は、高屈折率物質層及び低屈折率物質層を交互に一層ずつ又は複数層ずつ積層して成り、
    上記色材層は、少なくとも1種の色材を含み、可視光線を一部の波長範囲で吸収し且つ赤外線を透過する機能を有し、
    赤外線透過率が80%以上であることを特徴とする赤外線透過膜。
  2. 上記高屈折率物質層の屈折率が1.5〜5.5であり、上記低屈折率物質層の屈折率が1.2〜3.0であることを特徴とする請求項1記載の赤外線透過膜。
  3. 請求項1又は2記載の赤外線透過膜が、赤外線透過性基材の表面及び/又は裏面の全部又は一部に被覆され、赤外線透過率が70%以上であることを特徴とする赤外線センサーカバー。
  4. 表面の全部又は一部が保護材層で被覆されていることを特徴とする請求項3記載の赤外線センサーカバー。
  5. 上記ミラーコート層、上記色材層及び上記赤外線透過性基材から成る群より選ばれた少なくとも1種の部位に、上記保護材層に含まれる保護材を混入して成ることを特徴とする請求項4記載の赤外線センサーカバー。
  6. 上記保護材として、紫外線域に吸収スペクトルを有し、可視光線及び赤外線が透過される紫外線吸収剤を用いること特徴とする請求項5記載の赤外線センサーカバー。
  7. 請求項3〜6のいずれか1つの項に記載の赤外線センサーカバーを備えることを特徴とする赤外線センサーユニット。
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