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JP3610983B2 - アスコルビル−ホスホリル−コレステロール - Google Patents

アスコルビル−ホスホリル−コレステロール Download PDF

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Description

【0001】
【関連出願】
本発明は、1995年5月15日に出願された係属中の出願第08/440,765号の部分継続出願である。
【0002】
【発明の分野】
本発明は、新規L−アスコルビン酸誘導体の合成および使用に関する。このL−アスコルビン酸誘導体はコレステロールを包含する。得られる生成物は、安定であり、化粧品に許容される担体に容易に組み込むことができ、酵素的に生物可逆性である。
【0003】
【先行技術】
食品製造における酸化防止剤としてのL−アスコルビン酸の使用が既知である。例えば、Steinhart,Pro−and AntioxidativeEffect of Ascorbic Acid on L−Trypto phan in the Fe3+/Ascorbic Acid/0,J.Agric.Food Chem.,Vol.41,pp.2275−2277(1993)は、食品において遊離基を除去する働きをし、急速な酸化を受ける酸化防止剤としてのL−アスコルビン酸の使用を記載している。
【0004】
同様に、局所製剤における遊離L−アスコルビン酸は、低い安定性を示し、部分酸化および非酸化崩壊によって分解する傾向を有する。崩壊したアスコルビン酸は活性を失い、その結果得られる製品は、化粧品に望ましくない褐色を示す故に審美的外観を失う。
【0005】
コレステロールは、特に摂取される場合に健康に有害であると考えられているが、L−アスコルビン酸によって必要とされる、皮膚バリヤー修復におけるコレステロールの利点が既知である。例えば、Nenon,Structural B asis for the Barrier Abnormality Following Inhabit ations of HMG CoA Reductase in Murine Epidermis,J.Invest.Dermatol.,Vol.98,pp.209−219(1992)は、コレステロール合成がHMG CoA還元酵素の調節によって阻害される場合の、皮膚バリヤー修復メカニズムの欠陥を記載している。
【0006】
現在のところ、L−アスコルビン酸とコレステロールの機械的混合は、L−アスコルビン酸の不安定性の故に不安定な生成物を生じる。例えば、Katoの米国特許第4939128号は、化粧品用ではなく、疾患の治療用、局所皮膚科用または皮膚用の、アスコルビン酸の燐酸エステルの使用を開示しており、アスコルビン酸のある種の燐酸エステルが向上した酸素掃去特性を有することを開示している。同特許における燐酸エステルの1つは、コレスタニル基で置換されている。コレステロールの明白な不存在、およびコレステリル基の特定の記載は、L−アスコルビン酸とコレステロールの結合体が実用的でないかまたは望ましくないことを認めるものである。
【0007】
アスコルビン酸を、ヨーロッパ出願第92104149.7号に記載のようにグリシルレチン基と、および米国特許第3151127号に記載のようにトコフェリル基と、共役結合させる試みがなされている。米国特許第4564686号および第5306713号は、酸化防止剤としての下記構造を有するトコフェリルアスコルビルホスフェートを開示している:
【0008】
【化1】
Figure 0003610983
【0009】
さらに、Sakamoto,Measurement Method of Efficacy of Antidandruff Cosmetics and Developmentof the Ne w Active Commercial Product,IFSCC,Yokohama,Vol.B206,pp.823−864(1993)は、L−アスコルビン酸に結合したトコフェリルの使用を開示している。結合したトコフェリルは、アスコルビル基のための抗酸化性防腐剤であるが、コレステロールと異なりトコフェリルは皮膚にとって天然の基質でない故に、皮膚治療薬としてのアスコルビル−トコフェリルの使用は問題を有する。
【0010】
L−アスコルビン酸に結合したコレステロールを有し、皮膚における天然の酸性ホスファターゼによるデカップリング後でさえ充分な作用活性を保持する。安定な製剤が必要とされている。この製剤は、コラーゲン産生の増加および皮膚を白くすることを含むL−アスコルビン酸の有利な特性;ならびに、開放コレステロールの利点、即ち、向上した皮膚の弾力性、抵抗性、色および保湿性を付与する。従って、コレステロールのL−アスコルビン酸への結合を共有結合的および生物可逆的に行う方法が必要とされている。
【0011】
【発明の要旨】
本発明は、コレステロールを含むL−アスコルビン酸の新規誘導体の安定な組成物を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、化粧品用の、L−アスコルビン酸に結合したコレステロールの安定な組成物を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、多くのスキンケアの利点を有する安定な組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、化粧品賦形剤に容易に導入することができ、酵素的に生物可逆性であり、および長期間の貯蔵寿命を有する、安定な組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、結果として生じる分子の安定化のために、コレステロールをL−アスコルビン酸に共有結合的におよび生物可逆的に結合させる方法を提供することである。
【0016】
本発明は、簡単に言えば、前記の目的および利点を達成するための、コレステロールを含むL−アスコルビン酸の誘導体である。そのような誘導体は、例えば、3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールまたはそれらの異性体および塩が挙げられる
【0017】
本発明のこれらおよび他の目的は、下記の発明の説明によって明らかにされる。
【0018】
【好ましい実施態様の詳細な説明】
本発明の組成物は、L−アスコルビン酸の新規誘導体を包含する。該誘導体は、L−アスコルビン酸とコレステロールとを結合させることによって生成される。好適な局所賦形剤に容易に導入することができる新規誘導体は、3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール、3'−(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレステロールならびにそれらの異性体および塩から成る群から選択される。例示化合物は、3'−(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレステロール(式II)のような3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール(式I)の異性体を包含する。両式が下記に示される。
【0019】
【化2】
Figure 0003610983
【0020】
L−アスコルビン酸がホスホリルまたはホスフェートによってコレステロールに結合されるので、前記L−アスコルビン酸誘導体はアスコルビル−ホスホリル−コレステロールとも称される。
【0021】
本発明のアスコルビル−ホスホリル−コレステロール化合物において、共役アスコルビン酸は耐崩壊性になる。コレステリル基は、担体成分として機能し、皮膚の非極性の最も外側の保護層(即ち、表皮角質層)を通る極性アスコルビン酸の送達を促進し、局所適用におけるアスコルビン酸の生物学的利用能を高める。
【0022】
皮膚に存在するホスファターゼのような天然酵素は、コレステロールとアスコルビン酸とのホスホリルまたはホスフェート結合を徐々に開裂し、その結果、遊離L−アスコルビン酸およびコレステロールの表皮角質層への持続放出が生じる。放出されるコレステロールは、皮膚にとって天然の基質であり、存在しない場合には体によって産生される補充物質である。局所適用されるコレステロールは、弾力性、色、および乾燥に対する抵抗性を向上させる。
【0023】
基本的な局所製剤は、約0.0001〜約100重量%のL−アスコルビン酸誘導体を含んで成る。好ましい実施態様においては、約0.05〜約50重量%のL−アスコルビン酸誘導体が、化粧品に許容される賦形剤に存在する。より好ましい実施態様においては約0.10〜約20重量%、さらに好ましい実施態様においては約1.0〜約10重量%のL−アスコルビン酸誘導体が、化粧品に許容される局所用賦形剤と組み合わされる。L−アスコルビン酸誘導体の塩、即ち、アンモニウム、カルシウム、リチウム、カリウム、またはナトリウムを、L−アスコルビン酸誘導体と一緒に、化粧品に許容される局所用賦形剤に組み込むことができる。エタノールアミンのような有機アミンとの塩も、L−アスコルビン酸誘導体と組み合わせて使用することができる。
【0024】
好適な局所用賦形剤は、従来のローション、クリーム、またはゲルを包含する。「生理学的に許容される局所用賦形剤」または「好適な局所用賦形剤」は、過度の毒性を伴わずにヒト組織と直接的に接触して使用するのに適している薬品、化粧品、薬剤または不活性成分を意味する。
【0025】
第一のまたはより基本的なローションは、約0.10〜約20.0重量%のL−アスコルビン酸誘導体を含んで成り、その他は水であるか、または水を包含する。L−アスコルビン酸誘導体が3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール(式I)または3'−(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレステロール(式II)であるのが最も好ましく、および、L−アスコルビン酸誘導体がそれらの異性体および/または塩であるのが好ましい。
【0026】
第二のローションは、約0.10〜約20.0重量%のL−アスコルビン酸誘導体、約0.001〜約1.5重量%のシックナーまたは増粘剤を有し、その他は水であるかまたは水を包含する。第二のローションは、最高約1.0重量%の香料も含有することができる。
【0027】
L−アスコルビン酸誘導体と一緒に使用するのに適している増粘剤の例は、キサンタンガム、ブライン耐性キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボポール、およびアラビアゴム、ポリアクリルアミドイソパラフィンエマルジョン(Seppic Co.,Franceから、商品名SEPPIGEL 305として入手可能)、V−ガム(vee−gum)、または珪酸アルミニウムマグネシウム、あるいはそれらの組み合わせを包含する。増粘剤は、キサンタンガムまたはヒドロキシエチルセルロースあるいはそれらの組み合わせであるのが好ましい。
【0028】
第三のローションは、約0.10〜約20.0重量%のL−アスコルビン酸誘導体の他に、約0.50〜約1.40重量%の増粘剤、約0.50〜約6.0重量%の皮膚軟化剤、約4.8〜約14.5重量%の乳化剤を包含し、その他は水であるかまたは水を包含する。それは、約0.35〜約0.45重量%の防腐剤も含有することができる。
【0029】
第三のローションにおいては、増粘剤が、約0.25〜約0.70重量%のキサンタンガム、および約0.25〜約0.70重量%のヒドロキシエチルセルロースであるのが好ましい。保湿剤にもなり得る皮膚軟化剤は、グリセリンであるのが好ましい。乳化剤は乳化剤の組み合わせ、即ち、約2.0〜約8.0重量%のプロピレングリコールデカピテート、約1.8〜約4.0重量%のPeg40 Stearate、および約1.0〜約2.5重量%のSteareth−2であるのが好ましい。防腐剤は、約0.15〜約0.20重量%の二ナトリウムEDTAまたはEDTA塩、および約0.20〜約0.25重量%のメチルパラベンであるのが好ましい。
【0030】
第二の化粧品賦形剤、クリームは、約0.10〜約20.0重量%のL−アスコルビン酸誘導体、約0.1〜約1.20重量%の増粘剤、約0.1〜約15重量%の乳化剤も含んで成り、その他は水であるかまたは水を包含する。それは、最高約1重量%の香料も含有することができる。
【0031】
第二の、それほど好ましくないクリームは、約0.5〜約4.0重量%の皮膚軟化剤、好ましくはグリセリン;約2.0〜約6.0重量%の皮膚軟化剤/保湿剤、好ましくはプロピレングリコール;乳化剤、好ましくは約1.8〜約3.0重量%のSteareth−20、約0.8〜約2.0重量%のSteareth−2、約1.0〜約2.5重量%のセチルアルコール、および約0.9〜約3.5重量%のグリセロールモノステアレート;増粘剤、例えば約0.25〜約0.6重量%のキサンタンガムおよび約0.25〜約0.6重量%のヒドロキシエチルセルロース;ならびに防腐剤、好ましくは約0.15〜約0.2重量%の二ナトリウムEDTAまたはEDTA塩を含有する。
【0032】
そのようなローションおよびクリームは従来の均質化法によって製造することができるが、そのようなローションおよびクリームはミクロ液化法によっても製造することができ、該方法は、エマルジョン粒度を高圧を適用せずに製造されたクリームおよびローションの粒度の約1/400に劇的に減少させる高圧ホモジナイザーにおいてそのようなクリームおよびローションの水相および油相を同時混合することを含む。ミクロ液化は、従来の乳化剤および界面活性剤を使用せずに、有効量のL−アスコルビン酸誘導体を含有する微細安定性クリームおよびローションの製造を可能にする。
【0033】
ゲル賦形剤中のL−アスコルビン酸誘導体に関しては、第一の、または好ましいゲルは、約0.10〜約20重量%のL−アスコルビン酸誘導体、約0.30〜約2.0重量%の増粘剤を含有し、その他は水を包含する。第二の、またはそれほど好ましくないゲルは、約0.10〜約20.0重量%のL−アスコルビン酸誘導体;約2.0〜約6.0重量%の皮膚軟化剤/保湿剤、好ましくはプロピレングリコール;約0.4〜約1.5重量%の増粘剤、好ましくはヒドロキシエチルセルロース;および防腐剤、好ましくは約0.15〜約0.20重量%の二ナトリウムEDTAまたはEDTA塩、および約0.20〜約0.25重量%のメチルパラバンを含有する。
【0034】
充分な量(好ましくは約3.0〜約7.5重量%)の水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、エタノールアミン、ジエタノールアミンまたは尿素を使用して、ローション、クリーム、またはゲル製剤のpHを生理学的に許容されるレベルに調節することができる。
【0035】
前記のように、前記ローション、クリーム、およびゲル製剤に使用される皮膚軟化剤はグリセリンであり、皮膚軟化剤/保湿剤はプロピレングリコールである。そのような皮膚軟化剤の他に、他の殆どの従来の皮膚軟化剤、例えば、鉱油、ペトロラタムパラフィン、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、ペルヒドロスクアレン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコーン−グリコールコポリマー、トリグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、エトキシル化グルセリド、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸およびアルコール、ラノリンおよびラノリン誘導体、多価アルコールエステル、ステロール、蜜蝋誘導体、多価アルコールおよびポリエーテル、ならびに脂肪酸のアミドを、L−アスコルビン酸誘導体、あるいはローション、クリーム、またはゲル製剤と組み合わせることができる。他の好適な皮膚軟化剤が、その内容が引用によりここに援用されるSagarin,Cosmetics,Scie nce and Technology,2nd Ed.,vol.1,pp.32−43(1972)に見い出される。
【0036】
前記製剤において、乳化剤は、カチオン、アニオン、ノニオン、両性、またはそれらの組み合わせであってもよい。ノニオン乳化剤が好ましい。前記のように、ノニオン乳化剤、プロピレングリコールデカピテート、PEG 40 Stearate、Steareth−20、Steareth−2、およびセチルアルコールが、種々の製剤に使用される。他のノニオン乳化剤の例は、商業的に入手可能なソルビタン、アルコキシル化脂肪アルコール、およびアルキルポリグリコシドである。アニオン乳化剤は、石鹸、硫酸アルキル、燐酸モノアルキルおよびジアルキル、スルホン酸アルキル、およびイセチオン酸アシルを包含する。他の好適な乳化剤は、その内容が引用によりここに援用するMcCutcheon,Detergents and Emulsifiers,North AmericanEdition,pp.317−324(1986)に見い出される。
【0037】
他の好適な防腐剤は、前記のDistoma EDTAおよびメチルパラベンの他に、アルカノール、特にエタノールおよびベンジルアルコール、パラベン、ソルベート、尿素誘導体、およびイソチアゾリノンを包含する。
【0038】
好適な保湿剤は、尿素、PCA、アミノ酸、ある種のポリオール、および吸湿性を有する他の化合物を包含する。
【0039】
本発明は、生理学的に許容される賦形剤中の有効量を、通常1日に1回または2回、皮膚領域に局所適用することを包含する。有効量および適用回数は、特定の皮膚、個人の年齢および身体状況、ならびに当業者の知識の範囲の要因によって変化する。
【0040】
約0.05〜約10重量%、より好ましくは約0.05〜約5重量%の量のL−アスコルビン酸誘導体が、角質溶解剤および皮膚を白くする物質と一緒に、局所組成物に存在し得る。角質溶解剤は、サリチル酸およびベンゾイルペルオキシドを包含する。皮膚を白くする物質は麹酸、ベンゾキノン、甘草誘導体、マグネシウムアスコルビルホスフェート、グリセルヘチン酸およびそれの誘導体を包含する。
【0041】
約0.001〜約25重量%の量のL−アスコルビン酸誘導体を、有機および無機日焼け止め剤、例えば、桂皮酸誘導体(メンチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ベンジル、アルファフェニルシンナモニトリル、およびブチルシンナモイルピルベート)、二酸化チタン、酸化亜鉛、ベンジリデン樟脳、アントラニレート、およびナフトスルホネートと一緒に使用することができる。桂皮酸誘導体が好ましい。
【0042】
約0.001〜約10重量%、より好ましくは約0.001〜5重量%のL−アスコルビン酸誘導体を、(a)レチノイド、(b)ホルモン化合物、(c)α−ヒドロキシ酸またはポリヒドロキシα−ヒドロキシ酸、あるいは(d)α−ケト酸と一緒に製剤化することができる。
【0043】
レチノイドは、例えば、レチノール、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酢酸レチニル、イソトレチノインおよび合成レチノイド擬似体を包含する。ホルモン化合物は、例えば、エストリオール、エストラジオール、エストロンまたは複合エストロゲンを包含する。α−ヒドロキシ酸またはポリヒドロキシα−ヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、酒石酸、グロン酸、および他のカルボン酸、ならびにそれらのモノマー、ポリマー、環状または非環状誘導体を包含する。α−ケト酸は、例えば、ビルビン酸、2−オキソプロパン酸、2−オキソブタン酸、2−オキソペンタン酸などを包含する。
【0044】
下記成分を含有する局所製剤においてL−アスコルビン酸誘導体を使用して、付加的利益を得ることができる:
【0045】
ビタミン、酵素補助アクター、例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD3、1,25−ジヒドロキシビタミンD3、ビタミンB1、リボフラビン、ビタミンK、ビタミンE、トコトリエノールおよびそれらの誘導体、ニコチン酸およびそれのエステル、パントテン酸およびそれのエステル、パンテノール、葉酸およびそれの誘導体、コリン、カルニチン、および正規のビタミン状態を有さない物質または「疑似ビタミン」、例えば、ビタミンFまたはシス、シス−リノール酸、ビタミンMまたはプテロイルグルタミン酸、ビタミンB10およびB11、胡麻種子因子、テルミチン、ペニシン、インセクチン、ヒポマイシン、マイコイン、ビタミンLまたはアントラニル酸、ビタミンL2またはアデニルチオメチル−ペントース、マイオイノシトールまたはシス−1,2,3,5−トランス−4−6−シクロヘキサンヘキソールおよびそれのエステル、特にフィチン酸、ラエトリルまたは1−マンデロ−ニトリル−β−グルクロン酸、アミグダリン、ビタミンB15またはパンガミン酸、ビタミンB13またはオロチン酸、ビタミンH3またはプロカインヒドロクロリド、ビタミンUまたはメチオニンおよびピロロキノリンのメチル−スルホニウム塩、または有効量の抗菌剤、例えば、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナフチフィン、トルナフテート、アンホテリシンB、ニスタチン、5−フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロギン、それらの中で、トルナフテート、ハロプロギン、およびミコナゾールが最も好ましい。一方または両方の好ましいものを含む製剤において、L−アスコルビン酸誘導体が、約0.001〜約10、より好ましくは約0.001〜約5重量%の量において存在する。
【0046】
約0.001〜約20重量%のL−アスコルビン酸誘導体を、下記物質の1つまたはそれ以上と一緒に使用することができる:
【0047】
(1)自己褐色化剤、例えば、ジヒドロキシアセトンおよびラウソン(前者が最も好ましい);
【0048】
(2)抗細菌剤、例えば、エリスロマイシン、テトラサイクリンおよび関連化合物、特にドキシサイクリンおよびメタサイクリン、セファロスポリン、ペニシリン、マクロライド、ノボビオシン、バンコマイシン、オレアンドマイシン、パロモマイシン、ロイコマイシン、アンホマイシンから成る群から選択されるペプチド化合物(マクロライド分子がポリペプチド化合物より好ましい)、キノロン誘導体、および細菌細胞壁合成、膜機能、RNA代謝、プリン、ピリミジンおよびタンパク質合成、呼吸または燐酸化を阻害する他の化合物;
【0049】
(3)局所麻酔薬、例えば、リドカイン、ベンゾカイン、ブタンベン、ブタカイン、テトラカイン、丁子油、オイゲノール(リドカインおよびベンゾカインが最も好ましい);
【0050】
(4)皮膚バリヤー機能に不可欠の脂質化合物、例えば、セラミド、必須脂肪酸およびそれらのエステル、特にグリセリド、ω−ヒドロキシ脂肪酸、および、カルボキシルヒドロキシルを介してアルカノールで誘導されるエステル、またはω−ヒドロキシルにおいて他の脂肪酸で誘導されるエステル(後者のタイプが最も好ましい)、リン脂質で誘導されるエステル。脂質化合物は、単一分子成分として、あるいは、合成、動物源または植物源から誘導される脂質の複合混合物として、局所組成物に加えることができる;
【0051】
(5)抗アレルギー剤、ならびにH1および/またはH2抗ヒスタミン剤、例えば、ジフェニルヒドラミン、クレミゾール、アンタゾリン、テナルジン、フェニルトロキサミンシトレート、三環式抗アレルギー剤、例えば、ケトチフェン、ジチアデンおよびチアデンの3−チエニルスルフィド、H2−レセプタ−ブロッカー、特に、ブリムアミド、メチアミドおよびシメチジエン、クロモル酸およびそれの塩;
【0052】
(6)L−アスコルビン酸誘導体を、炎症を鎮める局所抗炎症薬と一緒に使用することができる。これらの薬剤は、約0.001〜約10%、好ましくは約0.5〜約1%の濃度であり、抗炎症薬の濃度は使用される薬剤の有効性に依存して調節される。L−アスコルビン酸誘導体と一緒に使用し得るステロイド性抗炎症薬の例は、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシロン、α−メチルデキサメタゾン、デキサメタゾンホスフェート、ベクラメタゾンジプロピオネート、ヒドロコルチゾンバレレート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、プレドニゾロン、プレドニゾン、およびそれらの混合物(プレドニゾロンおよびヒドロコルチゾンが最も好ましい);
【0053】
(7)Rainsford,Antiinflammatory and Anti−Rheumat ic Drugs,Vols.I−III,CRC Press.Boca Raton,Florida(1985)に記載のような非ステロイド性抗炎症剤も使用することができる。好適な非ステロイド性抗炎症剤の特定の例は、オキシカム(例えば、ピロキシカム、イソキシカム)、フェナミックアシッド誘導体、メクロフェナミックアシッド誘導体(例えば、ナトリウムメクロフェナメート)、フルフェナミックアシッド誘導体、メフェナミックアシッド誘導体、プロピオン酸エステル、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン(イブプロフェンが最も好ましい);ピラゾリジンジオン(フェニルブタゾンが最も好ましい);酢酸誘導体、例えば、ジクロフェネック、フェンクロフェナック、インドメタシン、スリンダック(インドメタシンが最も好ましい);サリチル酸誘導体、例えば、アスピリン、ジサルアシッド、ベノリレート(アスピリンおよびジサルアシッドが最も好ましい)。
【0054】
本発明の組成物は、当業者に既知の、アロエベラ抽出物、Rubis属(Rubia Cordifolio抽出物)、Commiphom属(Commiphora Mukul)抽出物、ヤナギ樹皮、カミツレ花、ウサギギク花、コンフリー根、コロハ種子などのような、抗炎症活性を有することが示されている、自然起源の安全な抗炎症物質も含有することができる。
【0055】
没食子酸誘導体(例えば、没食子酸プロピル)、バイオ−フラボノイド(例えば、クエルセチン、ルチン、ダイゼイン、ゲニステイン)、フェルリックアシッド誘導体(例えば、エチルフェルレート、ナトリウムフェルレート)、6−ヒドロキシ−2,5,7,テトラ−メチルクロマン−2−カルボン酸のような、フェノールヒドロキシ官能基を有する酸化防止剤を含有する製剤に、約0.001〜約20重量%のL−アスコルビン酸誘導体を使用することができる。該組成物は、有効濃度の水溶性酸化防止剤、例えば、尿酸、レダクチン酸、タンニン酸、ロスマリニックアシッド、およびカテキンも含有することができる。さらに、L−アスコルビン酸誘導体を、酸化窒素シンターゼ阻害剤と一緒に製剤化して、特に電磁線および電離線あるいは化学的または生化学的攻撃性化合物の作用への応答における、皮膚赤味、血管拡張、および炎症反応を減少させることができる。酸化窒素シンターゼ阻害剤は、約0.05%〜約10%、最も好ましくは約1%〜約3%の濃度において添加することができる。酸化窒素シンターゼ阻害剤は、グアニジン誘導体、特にモノアミノグアニジンおよびメチルグアニジン、L−アルギニン誘導体、特にNG−ニトロ−L−アルギニンおよびそれのエステル、NG−モノメチル−L−アルギニン、2−イミノピペリジンおよび他の2−イミノアザ複素環から成る群から選択される。
【0056】
該誘導体が含有することができる他の可能な酸化防止剤は、グルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸、および他のスルフヒドリル化合物のような、還元または非還元形態の1個またはそれ以上の官能基(−SH)を有する酸化防止剤である。スルフヒドリル酸化防止剤の濃度は、化粧品用途においては組成物に対して0.5%より高くてはならないが、有効性を考慮して指定される医薬用途においてはそれより高い。該組成物は、無機酸化防止剤、例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、または他の無機塩、および酸化状態+4の硫黄を含有する酸も含有することができる。無機硫黄含有酸化防止剤の好ましい濃度は、約0.01〜約0.5重量%であり、最も好ましい濃度は約0.1〜約0.4重量%である。
【0057】
約0.025〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約3重量%、最も好ましくは約0.5〜約1重量%の、電子スピン−トラップであることが既知の化合物、例えば、ニトロン、N−t−ブチルニトロン、およびα−[4−ピリジル1−オキシド]−N−t−ブチルニトロン、または1分より長い半減期を有する遊離基を形成することが既知の、他の化合物と一緒に、L−アスコルビン酸誘導体を使用することができる。
【0058】
脂肪族、環状、または芳香族アミド、シトロネラ油、テルピネオール、シネオール、インドセンダン油、ならびにテレフタル酸およびそれのエステルのような防虫剤を含有する組成物において、約0.001〜約50重量%のL−アスコルビン酸誘導体を使用することができる。他の好適な防虫剤が、U.S.Department ofAgricultureからのTechnical Bulletin No.1549、またはAgricultural Handbook Nos.69,340および461に記載されている。
【0059】
皮膚冷却化合物、例えば、メタノール、メンチルグリセロール、不斉カーボネート、チオカーボネートおよびウレタン、J.Cosmet,Cham.,vol.29,p.185(1978)に記載されているN−置換カルボキシアミド、尿素またはホスフィンオキシド、乳酸メンチルおよびメントングリセリンアセタールを含有する局所組成物にも、約0.001〜約50重量%のL−アスコルビン酸誘導体が適している。
【0060】
抗真菌剤、抗アレルギー剤、色素脱失剤、抗炎症剤、麻酔剤、界面活性剤、加湿剤、剥離剤、安定剤、防腐剤、潤滑剤、キレート化剤、および皮膚浸透促進剤のような、他の化粧品および医薬活性物質および典型物質と一緒に、L−アスコルビン酸誘導体を使用することができる。これらの成分と一緒に使用される場合に、L−アスコルビン酸誘導体は、追加の皮膚科的および/または化粧品利益を付与する。
【0061】
L−アスコルビン酸誘導体を、ミクロエマルジョンの形態において製剤化することもできる。ミクロエマルジョン系は一般に、有効量のL−アスコルビン酸誘導体、最高18%の炭化水素、最高40%の油、最高25%の脂肪アルコール、最高30%のノニオン界面活性剤、および最高30%の水を含有する。
【0062】
L−アスコルビン酸誘導体は、水中油または油中水エマルジョン、軟膏、ステック、スプレー、テープ、パッチの形態において、引用によりここに援用する米国特許第4254105号に記載の水中油中水のような多相エマルジョン組成物として、製剤化される局所製剤に使用するのに好適であり有利である。L−アスコルビン酸誘導体は、引用によりここに援用する米国特許第4960764号に記載の水中油シリコン液タイプのトリプルエマルジョンとして製剤化することもできる。
【0063】
L−アスコルビン酸誘導体は、例えばMezei,J.Pharma ceut.Pharmacol.,vol.34,pp.473−474(1982)に記載の方法またはそれの変更法によって、リポソーム製剤として製造することもできる。そのような組成物において、L−アスコルビン酸誘導体の液体粒子をリポソーム小胞に捕捉し、次に最終製剤に組み込むことができ、リポソームのシェルは燐脂質であるが、他の好適な脂質(例えば、皮膚脂質)で置き換えることもできる。次に、例えば、引用によりここに援用するMezei,Topics in Pharma ceutical Sciences,Breimerら、Eds.,pp.345−358,Elsevier Science Publishers BV,New York(1985)に記載の製造方法、局所リポソームの使用および組成物によって、または、引用によりここに援用するSzokaら、Proc.Nat.Acad.Sciences,vol.75,pp.4194−4198(1978),およびDiplosesら、J.Soc.Cosmetic Chemists,vol.43,pp.93−100(1992)に記載の、逆相蒸発法によって、リポソームを前記の担体系に加えることができる。
【0064】
好適なポリマー材料、例えば、ゼラチン、架橋ゼラチン、ポリアミド、ポリアクリレートなどのような好適なポリマー材料から成るシェルを有するポリマー小胞に、L−アスコルビン酸誘導体を捕捉することができる。そして、これらの小胞は、ここに記載のあらゆる組成物に組み込むことが出来る。
【0065】
限定されないが、グリシン、アラニン、バリン、セリン、チオニン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、シスチン、システイン、トリプトファン、セリン、フェニルアラニン、シトルリン、クレアチン、プロリン、3−または4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリシン、オルニチンおよびそれの誘導体、3−アミノプロパン酸および他のアミノカルボン酸、カナバニン、カナリン、ホモアルギニン、タウリン、アミノアルドン酸およびアミノ糖、アミノウロン酸、アミノアルダン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、ヒアロビウロン酸、コンドロシン、脱硫酸化ヘパリン、ノイラミン酸またはシアリン酸、メチオニンスルホン、グリシルグリシン、コンドロイチン、D,L−スフィンゴシン、スフィンゴミエリン、オフィジン、グルカゴン、ホモカルノシン、ホスファチジルセリン、ココアンホグリシン、ホスファチジルエタノールアミン、システインスルフィン酸、グルタチオン、両性無機オキシド、ポリアミドアミン、ポリアミドアミン基剤デンドリマー、ナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、およびポリエチレンアミンを包含する群から選択される、1種類またはそれ以上の両性および擬似両性化合物を使用して、pH3.5〜8.0、最も好ましくはpH3.7〜5.6に中和することによって、皮膚に対する全身活性および穏和性を高めることができる。
【0066】
約0.001〜約20のL−アスコルビン誘導体をある種のキレート化剤と一緒に使用する場合も、組成物の有効性および穏和性が高められる。キレート化剤は、約0.01〜約25重量%、より好ましくは約0.5〜約10重量%、最も好ましくは約1〜約5重量%である。キレート化剤の好適な例は、エチレン−ジアミン−テトラ−酢酸(エチレンジオキシ)−ジエチレン−ジニトリロ−テトラ−酢酸、サリチルアルドキシム、キノリノール、ジアミノシクロヘキサン−テトラ−酢酸、ジエチレン−トリアミノペンタ−酢酸、ジメチルグリオキシム、ベンゾインオキシム、トリエチレンテトラミン、デスフェリオキサミンまたはそれらの混合物のような、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄および/または銅イオンに高親和性を有するキレート化剤を包含する。
【0067】
驚くべきことに、目の周辺の細かいシワ、または口の周辺の「カラスの足跡」または細かいシワ、不規則な色素沈着、血色不良、皮膚の回復力および弾力性の喪失を含む、光老化および内因性老化の両方の皮膚的老化徴候を処置する局所製剤において、L−アスコルビン酸誘導体が活性剤として有効であることが見い出された。本発明の化合物は、内包成長毛髪、毛包炎、および偽性髭毛包炎のような、爪、小皮、および毛髪に関する障害の治療にも有効である。本発明の化合物は、毛髪を柔軟にし、毛髪内包成長の除去を促進し、特にシェービングに有効である。
【0068】
L−アスコルビン酸誘導体は、既知の日焼け止め剤によって付与される紫外線に対する保護も強化する。
【0069】
本発明は、L−アスコルビン酸分子のコレステロール分子へのカップリング方法にも関する。カップリングは、アスコルビル基の2位または3位、およびコレステリル成分の3'位における、生物可逆性リン酸結合によって行うのが好ましい。得られる組成物も本発明に包含される。
【0070】
1.0当量のトリエチルアミンを基剤として含有する乾燥ジエチルエーテル(4A分子篩で乾燥)に、−10℃においてコレステロールを溶解することによって、共役3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールを製造することによって、式Iが形成された。オキシ塩化リン(1.0当量)を加えて、コレステリルホスホロジクロリデートを生成した。
【0071】
コレステリルホスホロジクロリデートの融点は121〜122℃であり、赤外(KBrペレット)分析は、1298波長におけるP=O吸収、および1019波長におけるP−O−C吸収を示し、ヒドロキシル吸収は示さなかった。次に、コレステリルホスホロジクロリデートを、室温において3時間にわたって、1.0当量のトリエチルアミンを含有するテトラヒドロフラン中で、5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸と反応させた。この反応によって、コレステリル5,6−イソプロピリデン−2−ホスホロクロリデートL−アスコルビン酸およびそれの異性体コレステリル5,6−イソプロピリデン−3−ホスホロクロリデートL−アスコルビン酸の混合物を得た。
【0072】
異性湿分をTHF水溶液中で加水分解し、Amberlyst−15、強酸性スルホン酸イオン交換樹脂と一緒に、室温で数時間攪拌した。次に、THFおよび水を除去した。最終生成物3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールを酢酸エチルで抽出し、KOH 1当量で中和した。得られる溶液を凍結乾燥して、モノカリウム塩形態を得た。
【0073】
この新規方法は、コレステロールとL−アスコルビン酸の共有および生物可逆性カップリングを可能にし、その結果、アスコルビン酸の安定化、ならびにアスコルビン酸およびコレステロールの生物学的利用能が高められる。
【0074】
本発明の化合物は一般に、コレステロールとハロゲノホスホ・リレーティング剤との反応、(b)得られる生成物と5,6−ヒドロキシル保護L−アスコルビン酸とのカップリング、(c)水での生成物の加水分解、(d)保護基の酸性樹脂による除去、および(e)生成物の凍結乾燥および再結晶による精製、によって合成される。該誘導体は溶液において安定であり、酸化防止活性を示し、繊維芽細胞におけるコラーゲンの産生を促進する。
【0075】
【実施例1】
ホスホジエステル酸およびそれのモノカリウム塩の製造
【0076】
コレステリルホスホジクロリデートを、下記手順によって合成した。250mLの二首19/22ST丸底フラスコを、その反応に選択した。そのフラスコは、血清キャップ(窒素流入針を有する)、攪拌バー、および19/22〜24/40ST 125mLのサイドアームを取り付けた滴下漏斗を有した。この装置を火炎乾燥し、窒素流入に冷却した。滴下漏斗に、4.64g(12ミリモル)のσ99+%コレステロール、75mLのエーテル(活性4A分子篩で乾燥)、および1.214g(12モル、1.672mL)の乾燥(KOH上)トリエチルアミンを装填した。
【0077】
フラスコに、28mLの乾燥エーテルおよび1.84g(12モル、1.118mL)のオキシ塩化リンを装填し、氷/メタノール浴(−10℃)で冷却した。コレステロール−トリエチルアミンを含有するエーテルを、20〜30分にわたって、速い速度で滴下した。その溶液を室温に温め、2.5時間攪拌した。
【0078】
沈殿した固形物を、Buchner漏斗で濾過し、攪拌しながら水で3回洗浄した。濾液中のエーテルが蒸発するまで、Buchner漏斗から空気を導入した。次に、固体沈殿物を第二Buchner漏斗で濾過し、コレステリルホスホジクロリデートを真空デシケーター中で五酸化リンで乾燥した。この実験によって、3.90g(65%)の第一採収固形物、融点121〜122℃、および1.74g(29%)の第二採収物質、融点117〜118℃を生成した。IR分析(KBrペレット)は、2947波長における(C−H)吸収、2878波長における(=C−H)吸収、1466波長における(C=C)吸収、1298波長における(P=O)吸収、および1019波長における(P−O−C)吸収を示した。
【0079】
アスコルビンコレステリルホスホジエステルクロリデートを、下記に概説される手順によって合成した。
【0080】
攪拌バー、血清キャップ、窒素流入針、および50mLの滴下漏斗を取り付けた50mLの三首19/22ST丸底フラスコを、この実験に選択した。この装置を火炎乾燥し、窒素流下に冷却した。滴下漏斗に、503mg(1ミリモル)のコレステリルホスホロジクロリデ−ト(融点122℃)および15mLの乾燥THFを装填し、その混合物を氷/メタノール浴(−10℃)で冷却した。その冷却混合物に、216mg(1ミリモル)のσ5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸、15mLの乾燥THF、および0.14mL(101mg、1ミリモル)の乾燥(KOH)トリエチルアミンを加えた。添加後、その混合物を室温に温め、3時間攪拌した。
【0081】
TLC(25%メタノール/トルエン)分析によって、反応の終了が示された。THCは、生成物が2−0および3−0のレジオアイソマーの混合物であることも示した。沈殿したトリエチルアミンヒドロクロリドを、ヒダ付き濾紙で濾過した。THFを回転蒸発によって除去して、0.66g(97%)の粗結晶質アスコルビンコレステリルホスホジエステルクロリデートを得た。
【0082】
アスコルビンコレステリルホスホジエステル酸を、下記の手順によって製造した。60mLのTHF中の粗アスコルビンコレステリルホスホジエステルクロリデート(6.76g、9.9ミリモル)を、30mLの水、および水で3回濯いだ20gの湿ったAmberlyst−15と合わせた。得られる混合物を、室温で55時間勢いよく攪拌した。Amberlyst−15をヒダ付き濾紙で濾過し、20mLの1:1 THF/水で1回濯いだ。大部分のTHFを窒素流で除去して、53mLの濃厚な濁った水性懸濁液を得た。
【0083】
53mLのTHFをその懸濁液に加えて、ほぼ清澄な、粗ホスホジエステル酸の1:1 THF/水溶液106mLを得た。その1:1 THF/水溶液をC−18逆相シリカゲル(472g)のカラムに装填し、1:1 THF/水で溶離して、ホスホジエステル酸を精製した。THFを窒素流で除去して、水性懸濁液中の精製ホスホジエステル酸215mLを得た。予側合計収量は1.74g(28%)であり、実際の単離収量は1.84g(30%)であった。逆相HPLC分析は、90%の純度を示した。
【0084】
初めに、二酸の1%水溶液を1当量の標定水酸化カリウム溶液で処理し、次に凍結乾燥することによって、アスコルビンコレステリルホスホジエステル二酸モノカリウム塩を製造した。ホスホジエステル二酸(579mg、0.927ミリモル)を57.9mLの水に溶解し、9.44mLの0.0986N水酸化カリウム溶液(0.931ミリモル)で処理した。次に、その中和した溶液を凍結乾燥して水を除去し、603mg(98%)のモノカリウム塩を綿毛状白色固形物として得た。
【0085】
【実施例2】
逆相C−18クロマトグラフィーによる精製
【0086】
Evans,Chromatographea,Vol.13,pp.5−10(1980)に従って、逆相C−18シリカゲルを1kgのスケール上に準備した。90:1の装填比において1:1のTHF/水を使用し、次に、THFを窒素流で除去し、水を凍結乾燥によって除去して、ホスホジエステル酸の90%のレベルまでの精製が得られた。逆相薄層クロマトグラフィーによる他の溶媒系の検査は、(i)精製レベルの向上、(ii)回転蒸発によって除去し得る効果的な分離媒体の識別、および(iii)低充填比の使用を可能にする、良好な潜在性を有する。逆相C−18シリカゲルは再使用可能である故に、この方法は1000gまでの精製の良好な潜在性を有する。
【0087】
好適な溶媒系は、THF/メタノール、THF/エタノール、THF/イソプロパノール、ジオキサン/メタノール、ジオキサン/エタノール、ジオキサン/イソプロパノール、エーテル/メタノール、エーテル/エタノール、エーテル/イソプロパノール、酢酸エチル/メタノール、酢酸エチル/エタノール、酢酸エチル/イソプロパノール、塩化メチレン/エタノール、塩化メチレン/メタノール、塩化メチレン/イソプロパノール、DME/メタノール、DME/エタノール、およびDME/イソプロパノールを包含する。
【0088】
コレステロールとの共役結合は、極性アスコルビン酸を、表皮角質層から容易に吸収されるより非極性の親油性アスコルビル基に変換する。表皮角質層を通った後、吸収された化合物が、その下の繊維芽細胞に効果を及ぼすことができる。生物可逆性アスコルビン酸およびコレステロールの利点は、前記に説明した。驚くべきことに、該共役化合物は、皮膚の保全性、弾力性、および回復力を高めるコラーゲンの合成を促進する。他の詳細は実施例3に記載される。
【0089】
【実施例3】
繊維芽細胞試験
【0090】
この実施例は、培養したヒトの皮膚の繊維芽細胞において、コラーゲンの産生を促進する3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールの能力を示す試験を概説するものである。種々の投与量の3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールを用いて、当分野で認可されている[3H]−ProlineIncorporation Asseyを行った。Juva,Anal.Bioche m.,Vol.15 pp.77−83(1966);Booth,Biochem.Biophys. Acta,Vol.675,pp.117−122(1981)。
【0091】
0μg/mL、11.3μg/mL、22.5μg/mL、および45μg/mLの3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールを用いて、合計48時間にわたって繊維芽細胞を培養した。最初の24時間後に、[3H]−標識プロリンをその培養物に加えた。次の24時間後に、細胞を採収し、コラーゲン生合成アッセイに使用する。
【0092】
プロテアーゼ阻害剤を加えて、コラーゲンおよび他のタンパク質の崩壊を防止する。0.4M NaClおよび0.01M トリス(pH7.5)を含有する溶液に、細胞層をこすり取って入れる。抽出物に超音波をあてて細胞膜を粉砕する。細胞含有溶液の分離容量(各1mL)を、脱イオン水の数回の交換に対して一晩透析する。残留物を透析から採取し、6N塩酸で120℃において一晩加水分解する。2Mクロラミン−Tを使用して、酸化法によってアッセイを行う。試料を、新たに合成された[3H]−ヒドロキシプロリンの量(新たなコラーゲン合成の指数)を表す放射能計数に関して分析する。
【0093】
下記表に示されるように、3'−(L−アスコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロールが、ヒトの皮膚の繊維芽細胞によるコラーゲンの産生を投与量に依存して増加させることが見い出された。
【0094】
【表1】
Figure 0003610983
【0095】
本発明に関する種々の変更および代替が、本発明の開示に基づいて理解される。これらの変更および追加は、請求の範囲によって規定される本発明の範囲および意図に含まれるものとする。

Claims (21)

  1. 約0.1〜約20.0重量%の、3'−(L−アス コルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール、3' −(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレス テロールまたはこれらの塩からなる群から選択される化 合物、約0.5〜約1.4重量%の増粘剤、約0.5〜約6.0重量 %の皮膚軟化剤、約4.8〜約14.5重量%の乳化剤、およ び水を含有するローション。
  2. 前記塩が、アンモニウム塩、カルシウム 塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および有 機アミン塩からなる群から選択される請求項1に記載の ローション。
  3. 水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、 水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、 エタノールアミン、ジエタノールアミン、および尿素か らなる群から選択される化合物の十分な量を用いて、局 所製剤のpHが生理学的に許容されるレベルに調節されて なる請求項1または2に記載のローション。
  4. 最高約1重量%の香料をさらに含んでなる 請求項1〜3のいずれかに記載のローション。
  5. 前記増粘剤が、約0.25〜約0.70重量%の、 キサンチンガム、ヒドロキシエチルセルロースまたはこ れらの組合せである請求項1〜4のいずれかに記載のロ ーション。
  6. 約0.35〜約0.45重量%の防腐剤をさらに含 んでなる請求項1〜5のいずれかに記載のローション。
  7. 前記防腐剤が、約0.15〜約0.20重量%のED TA塩、および約0.20〜約0.25重量%のメチルパラベンで ある請求項6に記載のローション。
  8. 前記皮膚軟化剤がグリセリンであり、前記 乳化剤が、約2.0〜約8.0重量%のプロピレングリコール デカピテート、約1.8〜約4.0重量%のペグ40ステアレー ト、および約1.0〜約2.5重量%のステアレス−2の組み 合わせである請求項1〜7のいずれかに記載のローショ ン。
  9. 約0.1〜約20.0重量%の、3'−(L−アス コルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール、3' −(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレス テロールまたはこれらの塩からなる群から選択される化 合物、約0.1〜約1.2重量%の増粘剤、約0.1〜15重量% の乳化剤、および水を包含することを特徴とするクリー ム。
  10. 前記塩が、アンモニウム塩、カルシウム 塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および有 機アミン塩からなる群から選択される請求項9に記載の クリーム。
  11. 水酸化アンモニウム、水酸化カルシウ ム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ ム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、および尿 素からなる群から選択される化合物の十分な量を用い て、局所製剤のpHが生理学的に許容されるレベルに調節 されてなる請求項9または10に記載のクリーム。
  12. 最高約1重量%の香料をさらに含んでな る請求項9〜11のいずれかに記載のクリーム。
  13. 約0.1〜約20.0重量%の、3'−(L−ア スコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール、 3'−(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレ ステロールまたはこれらの塩からなる群から選択される 化合物、約0.3〜約2.0重量%の増粘剤、および水を包含 するゲル。
  14. 前記塩が、アンモニウム塩、カルシウム 塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および有 機アミン塩からなる群から選択される請求項13に記載の ゲル。
  15. 水酸化アンモニウム、水酸化カルシウ ム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ ム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、および尿 素からなる群から選択される化合物の十分な量を用い て、局所製剤のpHが生理学的に許容されるレベルに調節 されてなる請求項13または14に記載のゲル。
  16. 最高約1重量%の香料をさらに含んでな る請求項13〜15のいずれかに記載のゲル。
  17. 約0.1〜約20.0重量%の、3'−(L−ア スコルビル−2−o−ホスホリル)−コレステロール、 3'−(L−アスコルビル−3−o−ホスホリル)−コレ ステロールまたはこれらの塩からなる群から選択される 化合物、約2.0〜約6.0重量%の皮膚軟化剤/保湿剤、約 0.4〜約1.5重量%の増粘剤、約0.35〜約0.45重量%の防 腐剤、および水を含んでなるゲル。
  18. 前記塩が、アンモニウム塩、カルシウム 塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および有 機アミン塩からなる群から選択される請求項17に記載の ゲル。
  19. 水酸化アンモニウム、水酸化カルシウ ム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ ム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、および尿 素からなる群から選択される化合物の十分な量を用い て、局所製剤のpHが生理学的に許容されるレベルに調節 されてなる請求項17または18に記載のゲル。
  20. 最高約1重量%の香料をさらに含んでな る請求項17〜19のいずれかに記載のクリーム。
  21. 前記皮膚軟化剤/保湿剤がプロピレング リコールであり、前記防腐剤が約0.15〜約0.20重量%の EDTA塩、および約0.20〜約0.25重量%のメチルパラベン である請求項17〜20のいずれかに記載のゲル。
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