JP3609172B2 - 光ファイバの切断機および接続機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバどうしを接続するに際して接続対象の光ファイバの先端部を切断するための切断機、および先端部を切断した光ファイバどうしを接続するための接続機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、光ファイバどうしを接続するには、接続対象の光ファイバの先端部を所定形状に切断して口出部をそれぞれ形成したうえで、双方の光ファイバの先端どうしを突き合せて融着接続することが一般的であり、そのための融着接続機が既に実用化されている。
【0003】
ところで、従来一般の融着接続機では、接続に際して双方の光ファイバの先端を所定の位置に正確に位置決めする必要がある。特に、各光ファイバの先端の横方向および高さ方向の位置決めはV溝台に口出部の裸光ファイバを固定することで正確に行なわれるが、軸方向の位置決めは各光ファイバの切断後の口出し長を一定にすることにより光ファイバの被覆部を所定の位置に固定することで行なわれている。ここで、以下のような理由により軸方向の位置決めは厳密に行なう必要があった。
【0004】
すなわち、従来一般の融着接続機においては、まず接続対象の光ファイバどうしをそれらの先端の間に所定の間隙を確保した状態で対向配置し、それから双方の光ファイバを互いに接近する方向に押出してそれらの先端どうしを徐々に接近させつつ先端部を電極により融着接続するようにしている。そして、融着に先立って双方の光ファイバの先端の間に確保すべき間隙の寸法は適正かつ厳密に設定されねばならず、したがって双方の光ファイバの軸方向の位置決めを厳密に行なうことが必要なのである。
【0005】
従来においては、切断すべき光ファイバをホルダにセットした後、切断機においてホルダが長手方向に確実に固定されないものであるために、切断された光ファイバの切断長そのものが一定ではなかった。そして、接続機においても、ホルダが長手方向に固定されていないため、光ファイバの長手方向位置が一定ではなかった。その結果、上記の誤差が重畳されて接続機において光ファイバの先端位置が確定されなかった。そのため、従来の接続機にはホルダをセットした後、光ファイバの先端位置を調整する手段を備えていた。
【0006】
このため、従来においてはたとえば顕微鏡や画像処理により光ファイバの軸方向位置を確認しつつ手動により位置補正を行なっていたが、近年においてはたとえば図7に示すような位置決め手段を用いて自動的に光ファイバの位置決めを行なうようにしたものも提案されている。
【0007】
図7に示すものは、電極aの両側に、互いに離接する方向に移動可能な移動台bを対向配置(図7では左側のもののみを図示してある)するとともに、電極aの間に、厚み寸法が厳密に設定された突当板cを退避可能に配置した構成のものである。
【0008】
この位置決め手段では、まず図7(a)に示すように、電極aの間に突当板cを配置しておくとともに、予め口出部dを形成した光ファイバeをそれぞれ移動台bの所定の位置に保持することで双方の光ファイバeをそれらの先端どうしの間に適当な間隔(最終的に確保するべき間隙δより充分に大きい間隔)をおいた状態でセットする。そして、移動台bをそれぞれ前進させ、(b)に示すように双方の光ファイバeの先端を突当板cに当接させた後、(c)に示すように突当板cを電極aの間から側方へ退避させる。これにより、双方の光ファイバeの先端の間には突当板cの厚み寸法と位置に一致する適正な間隙δが確保された状態で、軸方向の所定の位置で常に位置決めされる。この状態を起点として光ファイバeどうしを所定の移動量まで徐々に接近させつつ融着接続を行なうのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものでは、融着に際しての光ファイバeの軸方向位置決めを自動的にかつ精度良く行なうことができるものの、光ファイバeを移動台bにセットしてからあらためてその位置決めを行なわねばならず、また、当然に移動台bやそれを前進させるための駆動機構、そのガイド機構、突当板Cやそれを退避させるための機構、等が不可欠であるから、その全体構成が複雑で高価なものとならざるを得ず、小型化、低コスト化、高速化を図ることがきわめて困難なものである。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複雑な位置決め手段を要することなく、融着に際して光ファイバの軸方向位置決めを極めて簡単にかつ精度良く行い得る有効な手段を備えてなる光ファイバの切断機および接続機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバの切断機は、光ファイバの先端部付近をホルダにより保持したうえで、該ホルダを装着して前記光ファイバの先端部を所定の状態に切断する構成のものであって、前記ホルダは、本体部と、該本体部に対して開閉可能に連結された蓋部と、該蓋部を閉じることで前記本体部と前記蓋部とにより光ファイバの先端の口出部の手前を上下から挟み込み、かつ、前記本体部の前後に取り付けられたガイド部材とを備え、前記切断機と前記ホルダのそれぞれには、該ホルダが装着される際に互いに係合して前記ホルダを光ファイバ軸線方向の所定の位置に位置決めする機構が1組のみ、光ファイバと重なる位置に設けられていることを特徴とするものである。この場合、前記ホルダに設けられている位置決め機構は該ホルダの下面に設けられたテーパピンもしくはテーパホールであるとともに、当該切断機に設けられている位置決め機構は前記ホルダのテーパピンもしくはテーパホールに係合するテーパホールもしくはテーパピンであることが好適である。
【0012】
また、本発明の光ファイバの接続機は、光ファイバの先端部付近をホルダにより保持したうえで、該ホルダを装着して前記光ファイバの先端を互いに突き合わせて接続する構成のものであって、前記ホルダは、上述した切断機と同一構成のホルダであり、本体部と、該本体部に対して開閉可能に連結された蓋部と、該蓋部を閉じることで前記本体部と前記蓋部とにより光ファイバの先端の口出部の手前を上下から挟み込み、かつ、前記本体部の前後に取り付けられたガイド部材とを備え、前記ホルダからの口出し長が一定長をなすように切断された光ファイバとこれを保持するホルダを2台用い、双方の光ファイバを接続対象の光ファイバとし、これらの接続対象の光ファイバをそれぞれ保持したホルダを装着するために、前記接続機と前記ホルダのそれぞれには、該ホルダが装着される際に互いに係合して前記ホルダを光ファイバ軸線方向の所定の位置に位置決めする機構が1組のみ、光ファイバと重なる位置に設けられていることを特徴とするものである。この場合、前記ホルダに設けられている位置決め機構は該ホルダの下面に設けられたテーパピンもしくはテーパホールであるとともに、当該接続機に設けられている位置決め機構は前記ホルダのテーパピンもしくはテーパホールに係合するテーパホールもしくはテーパピンであることが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る切断機および接続機の一実施例を図2および図3を参照して説明するが、本実施例の切断機Bおよび接続機Cはいずれも図1に示すホルダAを共通して使用することを前提とするものであるので、まず、そのホルダAについて説明する。
【0014】
図1は光ファイバ2を保持した状態のホルダAを示すものであって、(a)は側断面図、(b)は正面図である。このホルダAは、本体部3と、本体部3に対してピン4により開閉可能に連結された蓋部5とを有し、蓋部5を閉じることで本体部3と蓋部5とにより光ファイバ2の先端の口出部の手前を上下から挟み込み、かつ、本体部3の前後に2枚ずつ取り付けられたガイド部材6により光ファイバ2を両側から挟み込み、それによって光ファイバ2を前後左右にずれる余地なく強固に保持し得るものである。本体部3の下面は平坦面とされ、そこには下端側に向って径寸法が漸次縮小されたテーパ状をなすテーパピン7が突設されている。このテーパピン7は、切断機Bおよび融着接続機Cに対してこのホルダAを装着する際にその位置決めを行なうためのものであって、切断機Bにおけるテーパホール14(後述)および接続機Cにおけるテーパホール26(後述)とともに位置決め機構を構成するものである。
【0015】
図2は上記ホルダAを本実施例の切断機Bに装着した状態を示すものである。上記ホルダAに保持されている光ファイバ2の口出部1の被覆は事前に除去されている。切断機Bは上記ホルダAに保持されている光ファイバ2の口出部1を一定長に切断する、つなり口出し長を一定にするためのもので、ホルダAを装着するための基台10と、基台10の前部に設けられた切断刃11と、切断刃11に対向する刃押え12と、それら切断刃11および刃押え12の前後の位置で光ファイバ2の口出部1を押える押え部材13を有している。そして、基台10上面には、ホルダAを装着する際にそのホルダAの下面に突出して設けられている上記のテーパピン7が自ずと密着嵌合するテーパホール(位置決め機構)14が形成され、それらテーパピン7とテーパホール14とが互いに係合することでこの切断機Bに対するホルダAの位置決めが自ずとなされるようになっている。なお、図2に示すように、切断機Bにおける位置決め機構は光ファイバの軸方向位置決めを行う位置決め機構として働き、切断機Bはこの位置決め機構を1組のみ採用するとともに、光ファイバと重なる位置に設けるものである。
【0016】
すなわち、この切断機Bのテーパホール14にテーパピン7を嵌合させた状態でホルダAを装着することにより、切断機Bに対するホルダAの装着位置は前後左右にずれる余地はなく、ホルダAは常に適正な一定位置に装着されることになる。したがって、その状態で口出部1を切断することにより口出部1は常に一定位置で切断されることになる。つまり、図2に示すように切断機Bのテーパホール14の中心位置から切断刃11までの距離をLとした場合、この切断機BにホルダAを装着して口出部1を切断することにより、ホルダAのテーパピン7の中心位置をホルダAの基準位置とすれば、切断された光ファイバ2の先端は常にホルダAの基準位置から距離Lの位置となる。
【0017】
したがって、接続対象の一対の光ファイバ2をそれぞれ別個にホルダAに保持し、それらホルダAを上記切断機Bに順次装着して口出部1に対する切断を行なうことにより、双方の光ファイバ2の先端位置はホルダAの基準位置に対して自ずと一定になる。そこで、それらのホルダAを図3に示すように接続機Cに対向させた状態で装着し、そこで融着接続を行なうこととする。
【0018】
図3に示す本実施例の接続機Cは、基台たる固定クランプ台20と、その固定クランプ台20に対してピン21により上下方向に揺動可能に連結された揺動クランプ台22を有し、固定クランプ台20の上面に一方のホルダAを、揺動クランプ台22の上面に他方のホルダAを装着し、V溝台24およびファイバクランプ25により双方の光ファイバ2の口出部1を保持してそれらの先端どうしを対向させるものとされている。
【0019】
この接続機Cには、各ホルダAを装着するべき位置にそれらホルダAのテーパピン7が密着嵌合する状態で係合する(したがって切断機Bに設けられているテーパホール14と同一形状の)テーパホール26がそれぞれ形成されている。この結果、テーパホール26の中心が前記ホルダAの基準位置に一致する。ここで、前記ホルダAの基準位置と光ファイバ2先端間の距離Lは、接続機Cの固定クランプ台20のテーパホール26の基準位置に距離Lを加えた位置が接続機Cの融着開始時点の所定の位置に一致するように定められている。そして、これらのテーパホール26間の相互間隔(双方のテーパホール26の基準位置間の距離)は、揺動クランプ台22を融着開始時点の姿勢とした状態において、上記L寸法の2倍に上述のδ寸法(融着開始時点に双方の光ファイバ2の先端間に確保すべき間隙の適正寸法)を加えた値に厳密に設定されている。
【0020】
また、固定クランプ台20には、融着に際して揺動クランプ台22の下部延出部22aを下方に押圧することで揺動クランプ台22を揺動させるための駆動源としてのソレノイド27が組込まれているとともに、揺動クランプ台22の融着開始時点の位置を規制するストッパ28と、融着終了時点の位置を規制するためのストッパ29がそれぞれ組込まれ、これらストッパ28,29の位置は揺動クランプ台22の融着開始時点の位置、融着完了時点に位置に対応して予め調整されている。さらに、固定クランプ台20と揺動クランプ台22との上部相互間には、双方を離間する方向に付勢する押しバネとしてのスプリング30と、揺動クランプ台22の揺動速度を制御するためのダンパ31が介装されている。
【0021】
上記構成の接続機Cでは、上記のスプリング30により揺動クランプ台22を固定クランプ台20から離間する方向に付勢して下部延出部22aをストッパ28に当接させている状態を融着開始時点の姿勢とし、その状態で、接続対象の光ファイバ2を保持している双方のホルダAをそれぞれ固定クランプ台20および揺動クランプ台22に装着し、光ファイバ2の裸光ファイバ部分をV溝台24に装着する。これにより双方の光ファイバ2の先端どうしが自ずと対向し、しかも上述したように双方の光ファイバ2の軸方向位置決めが自ずと厳密になされて、双方の先端の間には適正な間隙δが自ずと確保されることになる。
【0022】
そこで、ソレノイド27を駆動して揺動クランプ台22の下部延出部22aを押し下げ、揺動クランプ台22をスプリング30の付勢力に抗して図3において反時計回りに揺動させ、かつダンパ31により揺動速度を適正に制御することにより、揺動クランプ台22に装着しているホルダAを適正速度で前方へ押し出しつつ、図示を略した電極により融着接続を行なう。揺動クランプ台22の下部延出部22aの先端がストッパ29に当接すると揺動が停止し、その時点で融着接続が完了する。
【0023】
以上のように、本実施例の接続機Cは、上記の切断機BによってホルダAからの口出し長を一定長に切断した双方の光ファイバ2をそれぞれホルダAに保持したままで装着することのみで、それら双方の光ファイバ2の軸方向位置決めを自ずと厳密に行なうことができるものである。したがって2台のホルダAと切断機Bと接続機Cを1セットとして用いることにより、図7に示した従来例のように光ファイバeを移動台bにセットしてからあらためて移動台bを移動させることで厳密な位置決めを行なうといった作業が一切不要となり、また、そのような作業を行なうための高精度が要求される格別な位置決め手段も不要であり、その結果、装置全体の簡略化、小型化、低コスト化、高速化を充分に図ることが可能である。
【0024】
特に、図3に示すとおり、上記実施例ではテーパ形状のテーパピン7とテーパホール14、26とを位置決め機構とし、1組のみ採用したので、それらが嵌合した際にはいわゆるテーパ作用により遊びがなくなって自ずと高精度の位置決めを行い得るとともに、切断機Bおよび接続機Cに対するホルダAの着脱を容易に行えるという利点がある。つまり、テーパ形状とすることなく通常の90°ピン及び溝とした場合には、抜き差しのために遊びが必要であり、その遊びにより位置決め精度が低下するが、テーパ形状とすることでそのような不具合は回避できる
【0025】
なお、上記実施例においては、テーパピン7とテーパホール14,26との嵌合によりホルダAの軸方向および横方向の位置決めは自ずと高精度でなされるが、テーパピン7とテーパホール14,26の断面が円形である場合にはそれらを嵌合させた際に相対回転する余地があるから、必要であればホルダAの相対回転を規制する構成を付加すれば良く、たとえば回転を拘束する適宜のストッパを併用したり、テーパピンとテーパホールとに回転を拘束するためのキーとキー溝とを形成したり、テーパピンとテーパホールを楕円形や角形等の非円形断面とする等の構成が考えられる。
【0026】
また、上記実施例では、ホルダAにテーパピン7を設け、切断機Bおよび接続機Cにテーパホール17,26を設けたが、それとは逆に、切断機Bおよび接続機Cにテーパピンを上面側に突出させて設け、ホルダAの下面にはそれが嵌合するテーパホールを設けることでも良い。
【0027】
また、上述したように通常はホルダAの装着においては光ファイバ2の軸方向の位置決めのみを厳密に行なえば良く、幅方向や高さ方向の位置決めはさほどの精度が要求されないので、ホルダAに設ける位置決め機構としては上記のようなテーパピン7に代えて図4(a)に示すように光ファイバ2の幅方向に延在するテーパ断面形状の突条41を設けたり、あるいは同図(b)に示すようなテーパ断面形状の溝42を設けても良い。ホルダAにそのような突条41や溝42を設ける場合、切断機Bおよび接続機Cに設ける位置決め機構は、上記の突条41が係合するテーパ断面形状の溝、あるいは上記の溝42が係合するテーパ断面形状の突条としておくことは言うまでもない。
【0028】
また、図4(a)に示したものの変形例として、図5(a)に示すようにホルダAの前面側および後面側の壁部の下部にそれぞれテーパ状の面取り部43,44を形成しておき、それら面取り部43,44を切断機Bおよび接続機Cに設けた斜面部45,46に対して密着させた状態で係合させることによっても同様に厳密な位置決めを行なうことができるし、さらには同図(b)に示すように後面側にのみ面取り部44と斜面部46とを設けてホルダAの前面側は直立壁部47とし、その直立壁部47を切断機Bおよび接続機Cに位置決め用として設けたストッパ48の後面側の直立壁部49に対して密着させることでも同様に厳密な位置決めを行なうことができる。つまり、この図5に示す実施例の場合には、面取り部43,44、斜面部45,46、直立壁部47,49がホルダAの軸方向位置決めのための位置決め機構を構成することになる。なお、図5(a)の場合はホルダAの長手方向中心位置および切断機Bと接続機Cの両斜面部45,46間の中心位置が基準位置となり、同図(b)の場合はホルダAの直立壁部47と切断機Bと接続機Cの直立壁部49の位置が基準位置となる。
【0029】
以上で説明した実施例およびその変形例は、いずれもテーパ作用を利用してホルダAの軸方向位置決めを行なうようにしたものであるが、本発明はテーパ作用を利用して位置決めを行なうことに限定されるものではなく、要はホルダを装着する際にそのホルダが切断機および接続機に対して係合することでホルダの軸方向位置決めが自ずと厳密になされれば良いのであり、したがってたとえば図6(a),(b)に示すような実施例がさらに考えられる。
【0030】
図6(a),(b)に示す実施例は、いずれも図5(b)に示したものと同様に、切断機Bおよび接続機Cに直立壁部49を有するストッパ48を設けておくとともに、ホルダAの装着位置の後方側にはこのホルダAを前方へ付勢する付勢手段50あるいは付勢手段51を設け、それら付勢手段50,51によりホルダAを前方へ押出すことでその前部の直立壁部47をストッパ48の直立壁部49に対して密着させることでホルダAの軸方向位置決めを行なうように構成したものである。図6(a)に示すものにおける付勢手段50はホルダAを押板50aを介して押しバネ50bにより前方に付勢するように構成され、同図(b)に示すものにおける付勢手段51は、軸51aを中心に回動可能なレバー51bの基端側を押しバネ51cにより後方側へ付勢することでレバー51bの先端側によりホルダAを前方側に押圧するように構成されていて、いずれもホルダAを前方へ押圧してその前部の直立壁部47をストッパ48の直立壁部49に密着させた状態でホルダAと切断機Bおよび接続機Cとを係合させることによりホルダAの軸方向位置決めを行なうようにしたものである。つまり、この図6に示す実施例の場合は、ホルダAの直立壁部47と、切断機Bおよび接続機Cの直立壁部49および付勢手段50,51とによって、ホルダAの軸方向位置決めを行なうための位置決め機構が構成されているのである。図6に示す実施例の場合、図5(b)の場合と同様にホルダAの直立壁部47および切断機Bと接続機Cの直立壁部49の位置が基準位置となる。
【0031】
なお、図4、図5、図6に示す実施例の場合には、ホルダAの幅方向の固定は、切断機Bや接続機Cのホルダ装着部の側面に簡単な構造のストッパを設けることにより行なうと良く、高さ方向の固定もホルダAをスプリング等で押えることにより行なえば良い。但し、図6(b)に示す実施例の場合は高さ方向の固定は特に必要はない。
【0032】
以上で本発明の実施例を説明したが、ホルダ、切断機、接続機の各部の具体的な構成、すなわちホルダにおける光ファイバを保持するための構成、切断機における光ファイバを切断するための構成、接続機における光ファイバの接続のための構成等は、本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて上記各実施例に限定されることなく種々の設計的な変更を行ない得るものであることは言うまでもない。さらに本発明は多心テープ型光ファイバにも適用可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明の切断機は、光ファイバをホルダに保持してそのホルダを装着することで光ファイバの先端部を切断するとともに、そのホルダが装着される際にホルダが切断機に対して係合して光ファイバの軸方向位置決めを行う位置決め機構を1組のみ、光ファイバと重なる位置に有しているので、光ファイバはホルダが切断機に対して係合して光ファイバの軸方向位置決めを行う位置決め機構により支持された状態となる。ゆえに、この切断機を用い光ファイバの口出部の切断を行うことにより、ホルダからの光ファイバの口出し長を常に一定とすることができる。また、本発明の接続機は、上記切断機によってホルダからの口出し長が一定長をなすように切断された光ファイバとこれを保持するホルダを2台用い、双方の光ファイバを接続対象の光ファイバとし、これらの接続対象の光ファイバをそれぞれ保持したホルダを装着することで光ファイバどうしを対向配置するとともに、各ホルダが装着される際に各ホルダが接続機に対して係合して光ファイバの軸方向位置決めを行う位置決め機構を1組のみ、光ファイバと重なる位置に有しているので、ホルダを装着することのみで自ずと光ファイバの軸方向位置決めが自ずと適正にかつ厳密になされるものである。したがって、本発明に係る接続機は、従来のように接続に際してあらためて光ファイバを軸方向に移動させてその位置決めを行うような必要がなくなり、このため、装置全体の構造の簡略化、小型化、低コスト化、高速化を図ることができる。また、本発明に係る切断機および接続機はいずれも、位置決め機構としてテーパピンとテーパホールとを互いに嵌合させる構成を採用すれば、いわゆるテーパ作用により自ずと高精度の位置決めを行い得るとともにホルダの着脱を容易に行い得る。さらに、本発明に係る切断機および接続機はいずれも、上記位置決め機構を1組のみ、光ファイバと重なる位置に採用したことにより、光ファイバの幅方向の位置決めも同時に行い得るので、光ファイバの幅方向固定用のガイド部材を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切断機および接続機に適用するホルダの一実施例を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は正面図である。
【図2】本発明の切断機の一実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明の接続機の一実施例を示す側断面図である。
【図4】本発明の切断機および接続機に適用するホルダの他の2例を示す部分斜視図である。
【図5】本発明の切断機および接続機における位置決め機構の他の2例を示す断面図である。
【図6】本発明の切断機および接続機における位置決め機構のさらに他の2例を示す断面図である。
【図7】従来の接続機の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
A ホルダ
B 切断機
C 接続機
1 口出部
2 光ファイバ
7 テーパピン(位置決め機構)
14,26 テーパホール(位置決め機構)
41 突条(位置決め機構)
42 溝(位置決め機構)
43,44 面取り部(位置決め機構)
45,46 斜面部(位置決め機構)
47,49 直立壁部(位置決め機構)
50,51 付勢手段(位置決め機構)
Claims (4)
- 光ファイバの先端部付近をホルダにより保持し、該ホルダを装着して前記光ファイバの先端部を所定の状態に切断する構成の光ファイバの切断機であって、
前記ホルダは、本体部と、該本体部に対して開閉可能に連結された蓋部と、該蓋部を閉じることで前記本体部と前記蓋部とにより光ファイバの先端の口出部の手前を上下から挟み込み、かつ、前記本体部の前後に取り付けられたガイド部材とを備え、
前記切断機と前記ホルダのそれぞれには、該ホルダが装着される際に互いに係合して前記ホルダを光ファイバ軸線方向の所定の位置に位置決めする機構が1組のみ、光ファイバと重なる位置に設けられていることを特徴とする光ファイバの切断機。 - 請求項1記載の光ファイバの切断機であって、
前記ホルダに設けられている位置決め機構は該ホルダの下面に設けられたテーパピンもしくはテーパホールであるとともに、当該切断機に設けられている位置決め機構は前記ホルダのテーパピンもしくはテーパホールに係合するテーパホールもしくはテーパピンであることを特徴とする光ファイバの切断機。 - 光ファイバの先端部付近をホルダにより保持し、該ホルダを装着して前記光ファイバの先端を互いに突き合わせて接続する構成の光ファイバの接続機であって、
前記ホルダは、本体部と、該本体部に対して開閉可能に連結された蓋部と、該蓋部を閉じることで前記本体部と前記蓋部とにより光ファイバの先端の口出部の手前を上下から挟み込み、かつ、前記本体部の前後に取り付けられたガイド部材とを備え、
前記ホルダからの口出し長が一定長をなすように切断された光ファイバとこれを保持するホルダを2台用い、双方の光ファイバを接続対象の光ファイバとし、これらの接続対象の光ファイバをそれぞれ保持したホルダを装着するために、前記接続機と前記ホルダのそれぞれには、該ホルダが装着される際に互いに係合して前記ホルダを光ファイバ軸線方向の所定の位置に位置決めする機構が1組のみ、光ファイバと重なる位置に設けられていることを特徴とする光ファイバの接続機。 - 請求項3記載の光ファイバの接続機であって、
前記ホルダに設けられている位置決め機構は該ホルダの下面に設けられたテーパピンもしくはテーパホールであるとともに、当該接続機に設けられている位置決め機構は前記ホルダのテーパピンもしくはテーパホールに係合するテーパホールもしくはテーパピンであることを特徴とする光ファイバの接続機。
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