JP3604232B2 - 界面活性剤を含有しない化粧用クリームおよび乳液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚に対して低刺激性の化粧用クリームおよび乳液として、界面活性剤を使用することなく、極めて容易な方法で、長期間保存しても、また、加温下においても、品質に変化を起こすことがなく、安定で、かつ、安全な製品を得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧用のクリームは極めて幅広い比率で、皮膚に水分と油分を補うことのできる代表的な基礎化粧品であり、現在では、その種類も非常に多く、いろいろな名称が内外の文献に散在しているが、組成としては、含有する油分の少ないもの、中庸のもの、多いものの3種に大別することができる。
また、乳液は化粧水とクリームとの中間的性格をもっている基礎化粧品で、化粧水と異なり、一般に水分と油分の乳化物であることは、クリームと同様であるが、特別な例を除いては水分がクリームより多く、したがって、流動性であることが特徴である。
【0003】
上記のように、油性成分と水性成分とから成立している化粧用クリーム類および乳液類においては、界面活性剤が製造上不可欠の成分とされている。
界面活性剤は水溶液中で生ずる親水性の性質によって大まかに、アニオン性、カチオン性、両性あるいは非イオン性に分けられている。
しかし、多くの界面活性剤は、皮膚に適用した時、脂質膜を部分的に溶解する相対的能力があることにより、刺激反応を誘発する(日本化粧品工業連合会発行・技術情報No.207)。また、一般に界面活性剤は、皮膚に存在する毛嚢中の皮脂成分の表面張力を低下させ、刺激性の薬物を皮膚内に侵入させ易くする傾向があるため、しばしば皮膚トラブルの原因となる。
【0004】
たとえば、アニオン性界面活性剤は、皮膚に対する強力な刺激物質として広く知られている。カチオン性界面活性剤は、世評によれば少なくとも同等の刺激性を有するが、細胞毒性はアニオン性界面活性剤よりも強い。一方、非イオン性界面活性剤の刺激能力は最も低いと考えられているが、このような類別化は、それぞれの界面活性剤の刺激性および細胞毒性潜在力の正確な評価を可能にしていない。
ことに近年は、いわゆる敏感肌と呼ばれている、正常健康肌に比べて刺激に対する感受性が異常に高まっている病的な皮膚の所有者が多くなっており、これらの肌に適した基礎化粧品は、より低刺激性であることが要望されているために、界面活性剤を使用することなく、化粧用クリームおよび乳液を製造することが急務とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、化粧用クリームおよび乳液の製造において、皮膚トラブルの原因となっている界面活性剤を使用することなく、長期間保存しても、また、加温下においても、品質に変化を起こすことのない、安定で、かつ、安全な化粧用クリームおよび化粧用乳液を得ることができる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、カルボキシビニルポリマーの水溶液に水酸化カリウムその他のアルカリ性水溶液を加えて中和して得られる水性のゾルに、タルクまたはカオリンあるいは両者の混合物を加えて攪拌混合すると、他品種の無機物質、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタンのような粉末とは異なる挙動を示し、容易に均一な乳化物となることを知り、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、タルクまたはカオリンあるいは両者の混合物に、流動パラフィン、スクワラン、ミリスチン酸オクチルドデシル、シリコン油、ステアリン酸、パルミチン酸など公知の油性物質の1種あるいは2種以上を加えて混合し、これをカルボキシビニルポリマーに水を加えた溶液をアルカリで中和して得られる水性コロイド中に加えて攪拌混合することを特徴とする界面活性剤を含有しない化粧用クリームおよび乳液の製造方法である。
【0008】
タルクは天然の含水ケイ酸マグネシウムで、古来、化粧品ことに白粉あるいはメーキャップの下地用として利用されてきた白色の微細な粉末である。
また、カオリンは天然の含水ケイ酸アルミニウムで、陶土または白陶土とも呼ばれている白色または類白色の粉末である。
このタルクおよびカオリン両者は、共に吸着力が強いために、タルクは医薬用としても吸着剤、撒布剤として用いられ、カオリンはオリブ油と混合して医薬用のパスタとしても利用されている。したがって、これらに流動パラフィンその他の油性物質を加えて混合するときは、油性物質を吸着して、カルボキシビニルポリマーのアルカリ中和物との混合が可能となるであろうことが考察される。
【0009】
カルボキシビニルポリマーは水性合成鎖状高分子体の代表的なもので、水に溶けてpH3程度の酸性を示す白色の粉末である。この水溶液をアルカリで中和すると、溶液の粘度が大となり、同時に透明となるので、水の増粘剤として化粧水その他の基礎化粧品の製造に利用されている。
【0010】
本発明者は、上記のカルボキシビニルポリマーの水溶液に水酸化カリウムその他のアルカリ性物質を加えて中和して得られる水性のゾル(A)に、タルクまたはカオリンあるいは両者の混合物(B)と流動パラフィン、スクワラン、ミリスチン酸オクチルドデシル、シリコン油、ステアリン酸、パルミチン酸などの油性物質の1種あるいは2種以上の混合物(C)を加えて攪拌混合すると、他品種の無機化合物、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタンのような粉末(D)とは異なる挙動を示すことを認めた。すなわち、たとえば、(B)と(C)との混合物を、70〜90℃の加温下で(A)と混合するときは、容易に均一な乳化物が得られるのに対し、(D)と(C)との混合物を、同一条件下で(A)と混合した場合には、相互の親和性に乏しく、均一な系とはなりにくいことが判明した。
【0011】
前記(B)と油性物質(C)との混合比率は、重量比として等量か、もしくは(C)よりも(B)を若干多く使用することが、安定性の見地から望ましいものである。
本発明の化粧用クリームおよび乳液の製造に当たっては、界面活性剤以外の公知の化粧品用配合剤、たとえば、保湿剤、防腐剤、香料など適宜に添加することができる。
【0012】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
カルボキシビニルポリマー1部を精製水88.6部に溶かし、これに水酸化カリウム0.4部を精製水10部に溶解した溶液を攪拌しながら加えると、無色透明な水性ゾル100部が得られる。
別にタルク10部にミリスチン酸オクチルドデシル10部、ステアリン酸1部、ブチルパラベン0.1部を混合加温して均一にし、これを前記のカルボキシビニルポリマーのアルカリ中和液30部を精製水33.9部で希釈したものと混合し、さらにグリセリン15部を加えて攪拌混合すると、均一なクリーム100部が得られる。
【0013】
(実施例2)
実施例1で用いたカルボキシビニルポリマーのアルカリ中和物7.5部を、カオリン2.5部、流動パラフィン2部、パルミチン酸0.25部、ブチルパラベン0.1部を混合加温溶解させたものと混合し、これにグリセリン3.8部、香料0.02部、精製水83.83部を加えて攪拌混合すると、全量100部の均一な乳液が得られる。
【0014】
(実施例3)
実施例1で用いたカルボキシビニルポリマーのアルカリ中和物30部に、タルク5部、カオリン5部、スクワラン5部、シリコン油5部、ステアリン酸2部、ブチルパラベン0.1部を加え、1,3−ブチレングリコール8部、香料0.05部、精製水39.85部を加えて混合加温溶解させると、均一なクリーム100部が得られる。
【0015】
(実施例4)
カルボキシビニルポリマー1部を精製水87部に溶かし、これにL−アルギニン2.18部を精製水7.82部に溶解した溶液を攪拌しながら加えると、無色透明な水性ゾル100部が得られる。
別にタルク7部、カオリン5部、エルカ酸オクチルドデシル10部、イソステアリン酸1部、グリチルリチン酸ステアリル0.1部、ブチルパラベン0.1部、メチルパラベン0.1部の混合物を、前記のカルボキシビニルポリマーのL−アルギニン中和物30部、グリセリン5部、1,3−ブチレングリコール5部、精製水36.7の混合物と、70〜90℃の加温下で混合すると、均一なクリーム100部が得られる。
【0016】
(実施例5)
実施例4に用いたカルボキシビニルポリマーのアルカリ中和水性ゾル15部中に、タルク4部、ミリスチン酸オクチルドデシル3.5部、メチルパラベン0.1部、ブチルパラベン0.1部を混合加温溶解させたものと混合し、これにグリセリン5部、ビタミンB6 0.05部、香料0.01部、精製水72.24部を加えて攪拌混合すると、全量100部の均一な乳液が得られる。
【0017】
(実施例6)
実施例4に用いたカルボキシビニルポリマーのアルカリ中和水性ゾル15部中に、カオリン4部、エルカ酸オクチルドデシル3.5部、メチルパラベン0.1部、ブチルパラベン0.1部を混合加温溶解させたものと混合し、これにグリセリン5部、1,3−ブチレングリコール5部、アラントイン0.1部、香料0.01部、精製水67.19部を加えて攪拌混合すると、全量100部の均一な乳液が得られる。
【0018】
【発明の効果】
本発明により得られる化粧用クリームおよび乳液は、長期の保存に耐え、40℃の恒温に1か月以上保持しても分離などの変化を起こすことがなく、極めて安定で、かつ、界面活性剤を含有していないので、安全な製品である。
Claims (1)
- タルクまたはカオリンあるいは両者の混合物に、流動パラフィン、スクワラン、ミリスチン酸オクチルドデシル、シリコン油、ステアリン酸、パルミチン酸などの油性物質の1種あるいは2種以上を加えて混合し、これをカルボキシビニルポリマーに水を加えた溶液をアルカリで中和して得られる水性コロイド中に加えて攪拌混合することを特徴とする界面活性剤を含有しない化粧用クリームおよび乳液の製造方法。
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JP15046096A JP3604232B2 (ja) | 1996-05-23 | 1996-05-23 | 界面活性剤を含有しない化粧用クリームおよび乳液の製造方法 |
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JP15046096A JP3604232B2 (ja) | 1996-05-23 | 1996-05-23 | 界面活性剤を含有しない化粧用クリームおよび乳液の製造方法 |
Publications (2)
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JPH09315940A JPH09315940A (ja) | 1997-12-09 |
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JP15046096A Expired - Lifetime JP3604232B2 (ja) | 1996-05-23 | 1996-05-23 | 界面活性剤を含有しない化粧用クリームおよび乳液の製造方法 |
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- 1996-05-23 JP JP15046096A patent/JP3604232B2/ja not_active Expired - Lifetime
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