JP3602922B2 - 抗菌性低刺激化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗菌性を有し、細菌,かび等の微生物により汚染されることのない、安定で且つ皮膚に対する刺激性の低い化粧料に関する。さらに詳しくは、抗菌性金属担持セラミックスの1種又は2種以上と抗菌作用を有する植物抽出物の1種又は2種以上を含有して成る、抗菌性の高い低刺激化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧水,乳液,クリーム等、水を含有する化粧料においては、製造時及び使用時における細菌,かび等の微生物の混入による変質を防止するため、種々の防腐防黴剤が使用されてきた。かかる防腐剤としては、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,フェノキシエタノール,ヒノキチオール等のフェノール類、安息香酸及びその塩,サリチル酸及びその塩,デヒドロ酢酸及びその塩,ソルビン酸及びその塩等の酸類、塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩酸アルキルアミノエチルグリシン,塩化ステアリルヒドロキシエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、感光素等が用いられている。
【0003】
しかし、上記の防腐防黴剤には皮膚に対する一次刺激性,感作性或いは光感作性の報告されているものが多く、安全性の面から化粧品原料基準において配合量が規制されており、実際に有効な抗菌活性を示す量を配合できないことが多い。さらに、皮膚に対して発赤,発疹,浮腫といった刺激或いは感作反応を示さなくても、化粧料を使用する際に刺すような痛みやヒリヒリする感じ又はチクチクする感じといった不快感を与えることも知られている。また、化粧料の基剤や他の配合成分との相互作用により、十分な抗菌活性を示さない場合もある。
【0004】
たとえば、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,ソルビン酸等の油溶性防腐防黴剤は、高分子増粘剤や粉体を含む化粧料に配合した場合、吸着等により抗菌活性が低下する。また、界面活性剤を含有する化粧料においては、界面活性剤ミセルへの取り込みによりやはり抗菌活性の低下が見られる。かといって、十分な抗菌活性を期待して多量を配合すると、低温での結晶析出等、製品の安定性上の問題が生じる。
【0005】
また、安息香酸塩,サリチル酸塩,デヒドロ酢酸塩等の水溶性防腐防黴剤は、化粧料のpHが弱酸性でないと有効ではなく、酸性下にて使用する場合であっても、酸性が強くなるに従い水に対する溶解度が低下し、結晶の析出を来すことがある。
【0006】
さらに、第4級アンモニウム類や両性界面活性剤については、皮膚刺激性,眼粘膜刺激性が認められたり、発泡しやすい,酸性側で抗菌活性が低下する,陰イオン性物質との相互作用等の実使用上の問題がある。
【0007】
また、上記の有機系の抗菌剤の他に、無機系の抗菌性組成物として抗菌性金属を担持させたセラミックスが検討され、歯磨き,洗口剤といった口腔用組成物への応用が古くからなされており、アトピー性皮膚炎の治療への応用(特開平6−285131)やこれを含有する抗菌性化粧料(特開平7−101821)が開示されている。しかし、抗菌性金属担持セラミックス単独では、複雑な処方系においては、10重量%程度を配合しても十分な抗菌防黴作用を得ることができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、化粧料基剤や他の配合成分により抗菌活性が低下することなく有効な抗菌作用を示し、且つ可能な限り防腐防黴剤の配合量を少なくして、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さないだけではなく、化粧料使用時の刺すような痛みやヒリヒリ感,チクチク感といった不快感をも与えない化粧料を得ることを目的とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、安定性が高く、皮膚に対する刺激性の低い防腐防黴系を検討した結果、抗菌性金属担持セラミックスの1種又は2種以上と、抗菌作用を有する植物抽出物の1種又は2種以上とを併用して含有させることにより、相乗的に抗菌活性が向上するばかりか、皮膚に対する刺激性や不快感が著しく低減することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明において使用する抗菌性金属担持セラミックスとしては、銀,銅,亜鉛の1種又は2種以上をカルシウム化合物,酸化亜鉛,酸化ジルコニウム,酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ケイ素,タルク及びゼオライトといったセラミックスに担持させたものが好ましく、特にリン酸カルシウム,ヒドロキシアパタイト,炭酸カルシウム等のカルシウム化合物に担持させたものが好ましい。これらは銀,銅,亜鉛より選択した抗菌性金属の塩をセラミックスに担持させた後、抗菌性金属の融点以上の温度で焼成して得ることができる。化粧料への配合量は、0.1〜10.0重量%程度の低濃度で十分である。
【0011】
本発明において、抗菌性金属担持セラミックスと併用する抗菌作用を有する植物抽出物としては、以下に示す植物の1種又は2種以上の抽出物を用いる。抽出には全草を用いても良いが、花,茎,根,種子,果実,樹皮等、各植物において特に抗菌作用の強い成分を多く含有する部位が明らかである場合には、その部位を選択して用いることが好ましい。また、植物をそのまま抽出してもよく、細切,乾燥,粉砕等の処理を行ってから抽出操作を行ってもよい。
【0012】
抽出溶媒としては、水の他、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール,ブタノール,エチレングリコール,プロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,ジエチレングリコール,ジプロピレングリコール,イソプレングリコール,ヘキシレングリコール,グリセリン,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸イソプロピル,エチルエーテル,イソプロピルエーテル,アセトン等の高極性有機溶媒を用いることができる。これらより1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いる。
【0013】
抽出に供せられる植物として、まずイチョウ科のイチョウ(Ginkgo biloba L.)、イネ科のクマザサ(Sasa albo−marginata Makino et Shibata,S. veitchii)、ウマノスズクサ科で生薬「サイシン」の基原植物である、ウスバサイシン(Asiasarum sieboldii F. Maekawa)及びケイリンサイシン(A. heterotropoides var. mandshuricum F. Maekawa)、その近縁植物であるクロフネサイシン(A. dimidiatum F. Maekawa),オクエゾサイシン(A. heterotropoides F. Maekawa),ウスゲサイシン(A. heterotropoides var. seoulense F. Maekawa)が挙げられる。
【0014】
次いで、オトギリソウ科植物のオトギリソウ(Hypericum erectum Thunb.)及びトモエソウ(H. ascyron L.)、カバノキ科植物のシラカンバ(Betula platyphylla Sukatchev var. japonica Hara)が挙げられる。
【0015】
キク科植物では、アルニカ(Arnica montana L.)、カミツレ(Matricaria ch amomilla L.)、生薬「インチンコウ」の基原植物であるカワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)及びハマヨモギ(A. scoparia Waldstein)、ゴボウ(Arctium lappa L.)、トウキンセンカ(Calendula officinalis L.),キンセンカ(C. arvensis L.)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus L.)、ローマカミツレ(Anthemis nobilis L.)が用いられる。
【0016】
キンポウゲ科植物では、オウレン(Coptis japonica Makino)及びその同属植物であるキクバオウレン(C. japonica var. japonica Satake),セリバオウレン(C. japonica var. dissecta Nakai),コセリバオウレン(C. japonica var. major Satake),ミツバオウレン(C. trifolia Salib.),バイカオウレン(C. quinguefolia Miq.)が用いられる。
【0017】
クスノキ科植物のゲッケイジュ(Laurus nobilis L.)、クワ科植物で生薬「ソウハクヒ」の基原植物である、クワ(Morus bombycis Koidz)及びマグワ(M. alba L.)、同じくクワ科の植物であるホップ(Humulus lupulus L.)も用いることができる。
【0018】
シソ科植物では、生薬「エンメイソウ」の基原植物であるヒキオコシ(Isodon japonicus Hara)及びクロバナヒキオコシ(I. trichocarpus Kudo)、生薬「オウゴン」の基原植物であるコガネバナ(Scutellaria baicalensis Georg.)、サルビア(Salvia officinalis L.)、シソ(Perilla frutescens Britton var. acuta Kudo.),その変形種であるチリメンジソ(P. frutescens Britton var. crispa Decne.),及び近縁植物であるアオジソ(P. frutescens viridis),カタメジソ(P. frutescens f. discolor)、タチジャコウソウ(タイム,Tymus vulgaris L.)、セイヨウハッカ(Mentha piperita L.)及びその変種,ハッカ(M. arvensis L. var. piperascens Malin.)、ミドリハッカ(M. viridis L.)、マンネンロウ(ローズマリー,Rosmarinus officinalis L.)、及びラベンダー(Lavandula vera DC.)が用いられる。
【0019】
スイカズラ科植物のスイカズラ(ニンドウ,Lonicera japonica Thunb.)、セリ科植物のウイキョウ(Foeniculum vulgare Mill.)、センキュウ(Cnidium officinale Makino)、ツバキ科植物のチャ(Thea sinensis L.)、及びその同属植物であるトウチャ(T. sinensis L. var. macrophylla Sieb.),アッサムチャ(T. sinensis L. var. assamica Pierre),ウーロンチャ(T. sinensis L. var. viridis Szkzyl.),ベニバナチャ(T. sinensis L. var. rosea Makino)、ドクダミ科で生薬「ジュウヤク」の基原植物であるドクダミ(Houttuynia cordata Thunb.)、トチノキ科植物のセイヨウトチノキ(マロニエ,Aesculus hippocastanum L.)及びトチノキ(A. turbinata Blume)も用い得る。
【0020】
バラ科植物では、モモ(Prunus persica Batsch.)、ノモモ(P. persica Batsch. var. davidiana Maxim.)、オオタカネバラ(Rosa acicularis Lindl.)、タカネバラ(R. acicularis Lindl. var. nipponensis Koehne)、モッコウバラ(R. banksiae Aiton)、カニナバラ(R. canina L.)、センティフォリアバラ(R. centifolia L.)、コケバラ(R. centifolia L. var. mucosa Seringe)、コウシンバラ(R. chinensis Jacq.)、ダマスクバラ(R. damascena Mill.)、フォエティダバラ(R. foetida Herrm.)、ガリカバラ(R. gallica L.)、ギガンテアバラ(R. gigantea Collett et Hemsl.)、サンショウバラ(R. hirtula Nakai)、モスカータバラ(R. moschata Herrm.)、オドラータバラ(R. odorata Sweet.)、ノイバラ(R. multiflora Thunb.)、ヤマイバラ(R. sambucina Koidz.)、テリハノイバラ(R. wichuraiana Crep.)、及び生薬「チユ」の基原植物であるワレモコウ(Sanguisorba officinalis L.)が用いられる。
【0021】
フウロソウ科植物で生薬「ゲンノショウコ」の基原植物である、ゲンノショウコ(Geranium thunbergii Sieb. et Zucc.)と、その同属植物であるアメリカンフウロ(G. carodinianum L.),イブキフウロ(G. dahuricum DC. var.lobutatum Nakai),グンナイフウロ(G. onoei Franch. et Savat.),イヨフウロ(G. shikokianum Matsumura),ハクサンフウロ(G. yesonse Franch. et Savat. var. nipponicum Nakai),タチフウロ(G. japonicum Franch. et Savat.),イチゲフウロ(G. sibiricum L.)や、フトモモ科植物のチョウジ(Syzygium aromaticum Merrill et Perry,Eugenia caryophyllata Thunb.)を用いることもできる。
【0022】
マメ科植物では、生薬「カンゾウ」の基原植物であるカンゾウ(Glycyrrhiza glabra L. var. glandulifera Regel et Herder),シナカンゾウ(G. echinata L.),スペインカンゾウ(G. glabra L.),ウラルカンゾウ(G. uralensis Fisch. et DC.)、及び生薬「クジン」の基原植物であるクララ(Sophora flavescens Aiton)が用いられる。
【0023】
マンサク科植物のハマメリス(Hamamelis virginiana L.)も用い得る。また、ミカン科植物で生薬「オウバク」の基原植物であるキハダ(Phellodendron amurense Rupr.),オオバノキハダ(P. amurense var. japonica Ohwi),ミヤマキハダ(P. amurense var. lavallei Sprag.),ヒロハキハダ(P. amurense var. sachalinense Fr. Schmidt.),黄皮樹(P. chinense Schneid.)、及び同じくミカン科植物のサンショウ(Zanthoxylum piperitum DC.)及びその同属植物であるアサクラザンショウ(Z. piperitum DC. f. inerme Makino),ヤマアサクラザンショウ(Z. piperitum DC. f. brevispinosum Makino)も用いられる。
【0024】
ムラサキ科植物で生薬「シコン」の基原植物であるムラサキ(Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini)、モクセイ科植物のレンギョウ(Forsythia suspensa Vahl.)、シナレンギョウ(F. viridissima Lindl.)、チョウセンレンギョウ(F. koreana Nakai)も用い得る。
【0025】
ユリ科植物では、アロエ属に属する植物が挙げられる。アロエ属に属する植物としては、生薬「アロエ」の基原植物であるAloe ferox Mill.,A. africana Mill.,A. spicata Baker,A. arborescens Mill.,A. succotrina Lam.,A. plicatilis Mill.の他、A. bainesii Th. Dyer.,A. perryi Baker,A. vera L.等が用いられる。また、キダチアロエ(A. arborescens Mill. var. natalensis Berg.)も用いることができる。また、生薬「オウセイ」の基原植物であるナルコユリ(Polygonatum falcatum A. Gray),オオナルコユリ(P. macranthum Koidzumi),及び近縁植物であるカギクルマバナルコユリ(P. sibricum Red.),クルマバナルコユリ(P. stenopyllum Maxim.)も用いることができる。
【0026】
上記の植物抽出物は、抽出物そのままで化粧料に添加することもでき、また抗菌作用を失わない範囲で脱臭,脱色等の精製操作を加えてから配合することもできる。さらに抽出物より抽出溶媒を蒸発,乾固させ、水,エタノール,プロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,グリセリン等の溶媒に再溶解させて添加することもできる。配合量は0.01〜20.0重量%が適当である。
【0027】
【作用】
抗菌性金属担持セラミックス単独では、化粧料組成物に配合する場合、10.0重量%を配合しても十分な抗菌活性を得ることはできなかった。しかしながら、本発明においては植物抽出物と併用することにより相乗的な抗菌作用の増強が認められるため、0.1〜10.0重量%程度の抗菌性金属担持セラミックスにより十分な防菌防黴作用を得ることができる。また本発明においては、少量の抗菌性金属担持セラミックスと植物抽出物により抗菌活性を発揮させるため、皮膚や眼に対する刺激性や不快感を緩和し得る。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明に係る発明は、特に水を多く含有する系や、外相が水相であるO/W型の乳化系に有用であり、化粧水,乳液,クリーム等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション又はクリーム,乳液状又はクリーム状ファンデーション,乳化型アイカラー又はチークカラー,水性懸濁型のアイライナー,乳化型のアイライナー又はマスカラ等のメイクアップ化粧料、クレンジングローション,クレンジングジェル,液体石けん等の洗浄化粧料,シャンプー,ヘアーリンス等の毛髪用化粧料等として提供できる。
【0029】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。まず、本発明に係る化粧水として、実施例1〜実施例3の処方を表1に示す。これらは、表1中(1)〜(7)の各成分を順次(8)に添加し、均一に混合,分散して調製する。
【表1】
【0030】
次いで本発明に係る乳液として、実施例4〜実施例6の処方を表2に示す。これらは次のようにして調製する。まず、表2中(1)〜(6)の油相成分を混合し、加熱融解して75℃に保つ。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合,加熱溶解し、(11)を分散した後75℃とし、これに前記油相を攪拌しながら添加して乳化する。冷却後、40℃にて(12),(13)を添加,混合する。
【表2】
【0031】
次に、本発明に係るクリームである実施例7〜実施例9の処方を、表3に示す。これらは次のようにして調製する。(1)〜(7)の油相成分を混合,加熱して75℃とする。一方、(8)〜(9)の水相成分を混合,加熱溶解し、(10)を分散した後75℃とし、これに前記油相を添加して乳化し、冷却後40℃にて(11),(12)を添加する。
【表3】
【0032】
[実施例10] メイクアップベースクリーム
製法:(9)〜(12)を(4)で練り、これを(5),(6)の水相成分に添加,混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(3)の油相成分を混合,加熱して70℃とし、これを前記水相に攪拌しながら添加して乳化する。乳化後冷却して40℃にて(7),(8)を添加する。
【0033】
[実施例11] 乳液状ファンデーション
製法:(14)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(11)を70℃に加熱し、(8)を加えてよく膨潤させ、これにあらかじめ(7)を(9)に分散させたものを加え、さらに(10)を添加し、溶解させる。(1)〜(6)の油相成分は混合し、加熱,融解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(12),(13)を添加する。
【0034】
[実施例12] クリーム状ファンデーション
製法:(12)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(7)〜(9)を混合,溶解させ、加熱する。(1)〜(6)の油相成分は混合し、加熱,融解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(10),(11)を添加する。
【0035】
[実施例13] 乳化型アイカラー
製法:(5)〜(7)の水相成分を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(11)〜(13)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(4)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(8)〜(10)を添加,混合する。
【0036】
[実施例14] 乳化型チークカラー
製法:(10)〜(12)の水相成分を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(16)〜(18)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(9)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(13)〜(15)を添加,混合する。
【0037】
[実施例15] エマルション型アイライナー
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合,加熱して溶解させる。これに(5)〜(7)の水相成分を混合,加熱し、攪拌しながら加えて乳化する。次いで、この乳化物に(10)〜(14)を加え、コロイドミルを通して分散させた後冷却し、40℃にて(8),(9)を加える。
【0038】
[実施例16] エマルション樹脂型マスカラ
製法:(11)に(2)〜(4)を添加して溶解させ、次いで(5)〜(10)を添加し、コロイドミルを通して分散させる。これに(1)を加え、均一に分散させる。
【0039】
[実施例17] シャンプー
製法:(1)〜(6)を順次(7)に添加し、均一に混合し溶解,分散させる。
【0040】
[実施例18] ヘアーリンス
製法:(10)に(5),(7),(8)を加え、70℃に加熱する。一方、(1)〜(4)を混合,溶解して70℃に加熱する。この油相を攪拌しながら先に調製した水相に徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーにより均一とした後冷却し、40℃にて(6),(9)を添加する。
【0041】
[実施例19] クレンジングジェル
製法:(3),(7)を(11)に添加して均一とした後、(6)を分散させ、(1)及び(2)に(4),(5)を溶解させて加え、70℃に加熱して均一に溶解させる。次いで冷却して40℃にて(9),(10)を添加し、最後に(8)を加えて中和する。
【0042】
次に、上記の実施例につき、抗菌活性,皮膚刺激性及び使用時の不快感について評価を行った。試料としては、実施例1,4,7と実施例10〜実施例19を用いた。また同時に、表4に示す比較例についても同様に評価を行った。
【表4】
【0043】
(1)抗菌活性の評価 細菌として、大腸菌(Escherichia coli),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)、及びアクネ菌(Propionibacterium acnes)を、真菌としてカンジダ(Candida albicans),黒カビ(Aspergillus niger)及びフケ菌(Pityrosporum ovale)を用い、試料1g当たり細菌は106個,真菌は105個を植菌し、37℃及び25℃でそれぞれ培養して、2週間後の生菌数を測定した。なお、抗菌活性は、細菌については2週間後に死滅した場合、真菌については生菌数が1/1000以下となった場合に十分であると判断される。評価結果は表5に示した。
【表5】
【0044】
表5において明らかなように、本発明の実施例においては、いずれも細菌及び真菌の双方に対して十分な抗菌活性が認められていた。これに対し、抗菌性金属担持セラミックス,植物抽出物のいずれか一方しか含有しない比較例1,2,4,6,7及び8においては、十分な抗菌活性が認められていなかった。パラオキシ安息香酸メチルを0.2重量%配合した比較例5においては、緑膿菌に対して合格しておらず、同じくパラオキシ安息香酸メチルを0.3重量%配合したヘアーリンスである比較例9においても、緑濃菌,黒カビ及びフケ菌に対して合格基準を満たさなかった。
【0045】
(2)皮膚刺激性の評価 各試料について、男性パネラー30名を用いて48時間の閉塞貼付試験を行い、表6に示す判定基準により評価し、30名の皮膚刺激指数の平均値を求めた。なお、実施例17〜実施例19と比較例8〜比較例10については、1.0重量%水溶液を試験に用いた。
【表6】
【0046】
(3)使用時の不快感の評価 女性パネラー20名を1群とし、各群に各試料をそれぞれ使用させ、塗布後30秒から1分後の間に感じる刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感について評価させた。評価結果は、「非常に強く感じる;5点」,「やや強く感じる;4点」,「感じる;3点」,「少し感じる;2点」,「微妙に感じる;1点」,「感じない;0点」として評価し、20名の平均値にて示した。この際にも、実施例17〜実施例19及び比較例8〜比較例10については、1.0重量%水溶液により試験を行った。以上の結果は表7にまとめて示した。
【0047】
【表7】
表7において、本発明の実施例については、いずれにおいても皮膚刺激性は認められておらず、使用時の不快感も微妙に感じられる程度である。これに対して、2−フェノキシエタノールを0.5重量%含有するクリームである比較例3、及びクレンジングジェルである比較例10では、若干の皮膚刺激性が認められ、顕著な使用時の不快感が認められていた。また、パラオキシ安息香酸メチルを0.2重量%含有する比較例5,0.3重量%含有する比較例9においても、わずかな紅斑,浮腫の発生と明確な不快感が認められていた。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により抗菌作用が相乗的に強化され、しかも皮膚刺激性のみならず、使用時の刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感もほとんど感じられない抗菌性化粧料を得ることができた。
Claims (4)
- 水を含有する化粧料であって、抗菌性金属担持セラミックスを0.1〜3.0重量%と、アルニカ、ヒキオコシ、オトギリソウ、ドクダミ、ホップ、ハマメリス、キダチアロエ、オウレン、カンゾウ、モモの葉、キハダ、マロニエ、レンギョウ、ムラサキ、ダマスクバラ、ナルコユリ、カミツレ、チャ、イチョウ、タチジャコウソウからなる群から選択される植物の抽出物を0.01〜1.00重量%含有する、抗菌性低刺激化粧料。
- 抗菌性金属担持セラミックスが、銀,銅,亜鉛より選択される1種又は2種以上を担持させたものであることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性低刺激化粧料。
- セラミックスが、カルシウム化合物,酸化亜鉛,酸化ジルコニウム,酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ケイ素,タルク及びゼオライトより選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の抗菌性低刺激化粧料。
- カルシウム化合物がリン酸カルシウム,ヒドロキシアパタイト及び炭酸カルシウムより選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項3に記載の抗菌性低刺激化粧料。
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