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JP3602623B2 - 運搬装置 - Google Patents

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JP3602623B2
JP3602623B2 JP28902995A JP28902995A JP3602623B2 JP 3602623 B2 JP3602623 B2 JP 3602623B2 JP 28902995 A JP28902995 A JP 28902995A JP 28902995 A JP28902995 A JP 28902995A JP 3602623 B2 JP3602623 B2 JP 3602623B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床面に形成された開口を通して上下方向に物品を運搬するための床面開口装置を用いて上下方向に物品を運搬するための運搬装置に関し、特に地下工事現場などにおいて、平坦な地上床面に設けられた開口を通して地下作業場などに物品を搬入搬出するのに有用な運搬装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下鉄や地下道路の工事、トンネル掘削工事、ビルなど大型建築物の地下工事などにおいては、資材や機械類を地上から床面下の工事現場に搬入し、また床面下の工事現場で発生した掘削土砂や不要となった資材・機械類を地上に搬出するなどの作業が頻繁に行われている。これらの運搬は、従来は例えば、地下工事現場の上方に多数の覆工板を面一に張り並べて形成した仮床の一部の覆工板を除去して開口を形成し、この開口の上方に架構を設け、または床上の開口周辺にクレーン装置などを配備し、搬入する物品はトラックなどでこの開口の近傍まで輸送して一旦、開口縁部の床上に荷降ろしし、荷降ろしした物品を改めてクレーン装置に積載し、開口を通して床下に降ろし、床下ではこの物品をクレーン装置から再度荷降ろしして、更に適当な輸送手段を用いて床下の所要地点まで運んでいた。床下の物品を搬出する場合には、上記と逆の手順で搬出作業が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の運搬方法はきわめて煩雑で、人手を要するばかりでなく、床面開口は常時開かれていて、しかもその周辺にはクレーン装置や荷降ろしされた物品が置かれているので、床上作業上の大きな支障となり、また夜間や休日の保安や物品管理にも多くの労力とコストが費やされた。更に最近では、工事の大型化が進むとともに省力化の要求もあって、物品を大型トラックに積載したまま、発送元から直接に床下工事現場へ搬送したいという要望が高まってきた。
【0004】
ところが、上記の開口から物品を積載した大型トラックを上下方向に運搬するには、きわめて大型の装置が必要になり、これを支持する仮床の支柱や梁などの強度も対応して強化する必要があって、事実上実施困難である。このため、例えば工事現場の周辺の地面を掘削してトラック輸送用の工事道路またはトンネルを仮設するなどの方法もとられるが、この方法は特に地下作業現場が深い場合には、周辺に広大な空地を必要とし、また仮設費用も莫大なものとなる。
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、従ってその目的は、床面に形成された開口を通して上下方向に物品を運搬するに際して、床上設備を必要とせずに大型トラックなどによる搬入搬出作業を可能にし、また使用しない時には容易に閉じて平坦な床面を形成することができる運搬装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、床面に形成された開口を通して上下方向に物品を運搬するための床面開口装置と、この床面開口装置の下方に配設された昇降機とを有する運搬装置であって、前記床面開口装置は、上記開口の縁部に床面と面一に固定されて設けられた枠部材と、この枠部材の内縁に嵌合して面一に開口を覆う蓋部材とからなり、この蓋部材と枠部材とが、開口の少なくとも1対の対向する縁部に、それぞれ着脱自在に係合し得る係止手段を有してなり、前記昇降機は、この昇降機の配設レベルにおいて水平方向に移動可能とされて前記床面に形成されている開口の下方およびこの昇降機の配設レベルよりさらに下方に掘り下げられている竪坑の上部坑口の上方に位置し得るフレームと、フレームに搭載されて該フレームから前記竪坑内に垂下可能な垂下台と、その垂下台を竪坑内において昇降自在に垂下させる垂下機構とを有し、かつ、前記垂下台上には、前記床面開口装置における蓋部材を搭載し得る荷受部と、その荷受部を垂下台上において昇降させる昇降機構が搭載され、該荷受部と前記蓋部材とがそれぞれの互いに対向する位置に着脱自在に係合し得る係止手段を有してなることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を実施例により、図面を用いて詳しく説明する。以下の説明ならびに図面において、符号Gは床面を表すが、この「床面G」は必ずしも地表レベルの床面のみを意味するものではなく、一般にトラックなどの搬送手段によって作業現場に物品を搬入し、あるいは作業現場から物品や土砂などを搬出する際の起点となる床面を意味する。また以下の説明において、「第一地下床面M」、「第二地下床面W」の語は、必ずしも地下レベルの床面のみを意味するものではなく、一般に床面Gより下層に形成された床面を意味し、第二地下床面Wは第一地下床面Mより鉛直方向低位にある床面を意味する。
【0011】
(実施例1)
図1は、本発明の運搬装置における床面開口装置(以下、単に「開口装置」と記す)の一実施例を示している。図1において、符号Gは床面を示し、この床面Gは、図示しない架構の上に敷き詰められた多数の覆工板1,…によって形成され、この床面Gの下方は、床下作業空間Sの一部を形成している。この床面Gには、例えば物品を積載したトラックを上下方向に運搬するに十分な大きさの長方形の開口2が形成されている。この開口2の寸法は、例えば3230mm×8530mmである。
【0012】
この開口2には、その縁部に床面Gと面一に枠部材11が固定されて設けられ、この枠部材11の内縁16の内側が開口2とされている。枠部材11の外縁寸法は、例えば6000mm×12000mmであり、内縁寸法は、開口2の寸法、すなわち例えば3230mm×8530mmである。
枠部材11には、その内縁16に面一に嵌合する蓋部材12が設置されている。この蓋部材12の寸法は、例えば3200mm×8500mmである。そして、この枠部材11と蓋部材12とが、実施例1の開口装置10を構成している。
【0013】
この枠部材11と蓋部材12とは、開口2の1対の対向する縁部2a,2bのそれぞれの側部17,18に、それぞれ着脱自在に係合し得る係止手段13,14を有している。この実施例における係止手段13は、蓋部材12に向けて油圧または空気圧によって自在に進退するピンを有するピン部材(13)からなり、係止手段14は、このピンを受けるピン受け部材(14)からなっている。また、この実施例では、係止手段13,14の組合せが、開口2の4隅の近傍に、それぞれ対向して設けられている。
【0014】
この開口装置10は、搬入搬出作業を行わないときは、ピン部材13のピンがピン受け部材14の内部に挿入されていて、これによって蓋部材12が枠部材11に固定されているので、蓋部材12と枠部材11とは覆工板1,…と共に平坦な床面Gを形成し、床面G上には実質的な突起や付属物がなく、またその上に重量物が乗っても落下することはない。
【0015】
物品の搬入搬出を行う場合は、蓋部材12を、床上から例えば移動式クレーンなどで懸垂し、または床下から例えばパレットリフトなどで支え、この状態でピン部材13のピンを引っ込めてピン受け部材14から外すと、枠部材11と蓋部材12との係合が解除され、蓋部材12は床上へも床下へも随意に移動できるようになる。蓋部材12が移動されれば、そこには開口2が形成されるので、この開口2を通して物品を床面Gの上下方向に運搬することができる。
運搬終了時には、直ちに蓋部材12を枠部材11に嵌合して開口2を閉じ、対応するピン部材13をピン受け部材14と係合させれば、蓋部材12は枠部材11に係止され、平坦な床面Gが形成される。
【0016】
実施例1の開口装置10を用いれば、物品の搬入搬出を行うときのみ開口2を形成することができ、それ以外のときは開口が存在せず、床面Gは平坦に広がっているので、床上が作業場または道路などとして有効に利用できる。またこの開口装置10は、例えば覆工板1,…で形成された床面G上の任意の場所の覆工板を除去して設置することができ、また不要となった開口装置10は除去してその部分を覆工板1,…で覆うことによって容易に床面Gに復元することができるので、床下作業の進捗状況に合わせて、作業現場に物品を輸送する運搬路線を短縮することができる。
【0017】
上記実施例において、開口2の形状は長方形としたが、その形状は特に限定されるものではなく、正方形、ひし形、台形、楕円形、円形など任意の形状であってよい、この開口2の形状に応じて枠部材11の内縁形状および蓋部材12の形状が変化することはいうまでもない。しかし、例えばこの開口2を通じてトラックなどを運搬する目的には、そのトラックなどの投影面を含む大きさの長方形とすることが好ましい。
また、開口2の対向する縁部2a,2bに設ける係止手段は、縁部の左右対向する位置に設けることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば千鳥掛けの位置に設けてもよく、それぞれの縁部に設ける係止手段の数は、同じでも異なっていてもよい。
【0018】
(実施例2)
本発明の運搬装置における開口装置の他の実施例を図2に示す。以下の図および説明において、図1で示したものと同一の部位または機構は、同一番号を付してその説明を省略または簡略化する。
図2において、床面Gは多数の覆工板1,…によって形成され、この床面Gには、長方形の開口2が形成されている。
【0019】
この開口2には、その縁部に床面Gと面一に枠部材11が固定されて設けられ、この枠部材11の内縁16の内側が開口2とされている。この枠部材11には、その内縁16に面一に嵌合する蓋部材12が設置されている。そして、この蓋部材12は、実施例2においては、開口2の長手方向に分割された二つの分割蓋部材12a,12bからなっている。
【0020】
枠部材11と、それぞれの分割蓋部材12a,12bとは、開口2の長手方向の縁部2a,2bに、それぞれ着脱自在に係合し得る係止手段13,14を有している。この実施例における係止手段13は、蓋部材12に向けて油圧または空気圧によって自在に進退するピンを有するピン部材(13)からなり、係止手段14は、このピンを受けるピン受け部材(14)からなっている。
【0021】
この開口装置10は、搬入搬出作業を行わないときは、ピン部材13のピンがピン受け部材14の内部に挿入されていて、これによって双方の分割蓋部材12a,12bがいずれも枠部材11に固定されているので、分割蓋部材12a,12bと枠部材11とは覆工板1,…と共に平坦な床面Gを形成し、床面G上には実質的な突起や付属物がなく、またその上に重量物が乗っても落下することはない。
【0022】
物品の搬入搬出を行う場合は、分割蓋部材12a,12bのいずれか一方、または必要なら双方を、床上から例えば移動式クレーンなどで懸垂し、または床下から例えばパレットリフトなどで支え、この状態でピン部材13のピンを引っ込めてピン受け部材14から外すと、外された分割蓋部材と枠部材11との係合が解除され、その分割蓋部材12aまたは12bは、床上へも床下へも随意に移動できるようになる。分割蓋部材12aまたは12bが移動されれば、そこには移動された分割蓋部材に対応した開口が形成されるので、この開口を通して物品を床面Gの上下方向に運搬することができる。
【0023】
運搬終了時には、移動された分割蓋部材12aまたは12bを枠部材11に嵌合して開口を閉じ、対応するピン部材13をピン受け部材14と係合させれば、この分割蓋部材12aまたは12bは、枠部材11に係止され、平坦な床面Gが形成される。
【0024】
実施例2の開口装置10は、蓋部材12が2枚の分割蓋部材12a,12bからなるものであるが、この分割数は2枚に限定されるものではなく、3枚またはそれ以上に分割されていてもよい。従って、例えば地下鉄や地下道路など、延長された地下施設の工事においては、その工事線に沿って、地上の床面Gに、細長い枠部材11を設置し、これに嵌合する複数の分割蓋部材12a,12b,…,12nを配設すれば、工事の進捗状況に応じて、必要時に必要箇所の分割蓋部材12nのみを除去して開口を形成し、物品の搬入搬出を行うことができる利点がある。また、特に長い物品の搬入搬出を行う場合には、必要枚数の分割蓋部材を除去することによって対応できる利点もある。
【0025】
上記において、「長方形の開口2」とは、工事線に沿って長さ方向に湾曲、または分岐しているものも含まれると理解されるべきであり、この場合には、枠部材11および分割枠部材12nも、その湾曲や分岐に対応して屈曲、または変形していてもよい。
【0026】
次に、上記の開口装置を用いた本発明の運搬装置の実施例を説明するが、それに先立ち、本発明の運搬装置に関連する2つの参考例を説明する。なお、それらの参考例は本発明の実施例ではないが、説明の便宜上、以下ではそれらの参考例を「実施例3」および「実施例4」とし、本発明の本来の実施例を「実施例5」としている。
(実施例3)
本発明の運搬装置に関連する参考例を実施例3として図3に示す。図3において、符号Mは、床面Gの下層に設けられた地下床面であり、符号M1 は、昇降機構を設置するために、地下床面Mから更に一定深さhだけ掘り下げられた設置面を示している。
【0027】
この運搬装置は、実施例1に示したものと同様の開口装置10と、この開口装置10の下方に配設された昇降機20とからなっている。
この昇降機20は、開口装置10の蓋部材12を搭載し得る昇降自在の荷受部21を有し、この荷受部21と前記蓋部材12とは、それぞれの互いに対向する位置に着脱自在に係合し得る係止手段22,23を有している。
【0028】
この実施例における荷受部21の係止手段22は、蓋部材12に向けて油圧または空気圧によって自在に進退するピンを有するピン部材(22)からなり、蓋部材12の係止手段23は、このピンを受けるピン受け部材(23)からなっている。昇降機20による蓋部材12の昇降を行わないときは、ピン部材22のピンは引っ込められていて、ピン受け部材23との係合は解除されている。従って開口装置10と昇降機20とは切り離されている。
【0029】
荷受部21を昇降させる機構は、この実施例においては一般にX型昇降機構として知られているもので、このX型昇降機構30は、等長のアーム24,25がその中心部xで回動自在に結合され、それぞれアーム24,25の一方の端部(上端部)に歯車26,27が取り付けられ、この歯車26,27が、アーム24,25の開角が変化するとき、荷受部21の下部に水平に配設されたガイドラック28,29と噛み合って往復運動できるようになっている。
【0030】
このアーム24,25の他方の端部(下端部)は、それぞれ水平方向両側に同時に伸縮し得る、油圧または空気圧で作動するシリンダ31のそれぞれの可動ロッド32,33に回動可能に連結されている。そして、この荷受部21とアーム24,25とシリンダ31とからなるX型昇降機構30は台座34に取り付けられ、この台座34が設置面Mに設置されている。
【0031】
このX型昇降機構30は、シリンダ31を伸縮することで可動ロッド32,33間の距離を変化させると、アーム24,25の中心部xにおける開角が変化し、アーム上端部の歯車26,27が互いに水平反対方向にガイドラック28,29と噛み合って移動し、これに伴って荷受部21が昇降するようになっている。荷受部21が上昇したとき、この荷受部21の上面は蓋部材12の底面と接触し、互いの係止手段22,23によって着脱自在に係合できるようになっている。また荷受部21が蓋部材12を搭載した状態で下降したとき、搭載された蓋部材12の上面が地下床面Mと面一となるように、基礎面Mの深さhが設定されている。
【0032】
上記の構成を有する実施例3の運搬装置を、開口装置10と昇降機20とが切り離されている休止状態から作動するには、先ずシリンダ31を収縮し、荷受部21を上昇させてその上面を蓋部材12の裏面と接触させ、荷受部21に付属したピン部材22のピンを対応する蓋部材12のピン受け部材23に挿入し、荷受部21と蓋部材12とを係合する。この蓋部材12の上には、例えば物品を積載したトラックTなどが載置されている。
【0033】
次に、係止手段13,14を解除側に作動して蓋部材12と枠部材11とを切り離し、次いでシリンダ31を伸長すると、荷受部21が、トラックTなどを載せた蓋部材12と係合したまま下降するので、蓋部材12の上面が地下床面Mと面一になったとき、下降運動を停止する。この状態では、蓋部材12の上面が地下床面Mと面一にされているので、トラックTなどはそのまま発進し、地下床面M上を目的地点まで走行することができる。
【0034】
このとき、床面Gには開口2が開いているから、これを閉塞するには、シリンダ31を作動して蓋部材12と荷受部21とを上昇させ、蓋部材12の上面が枠部材11と面一になったとき、上昇を停止すればよい。この状態では、そのまま次のトラックを載せて下降することもできるし、または蓋部材12と枠部材11とを係合し、必要なら荷受部21と蓋部材12との係合を解除して切り離し、荷受部21のみを降下させて待機することもできる。
【0035】
実施例3の運搬装置を用いれば、例えば発送元から物品を積載したままのトラックなどを、開口2の近辺で物品の荷降ろしや積み替えを行うことなく、そのまま床下の所要地点まで運送することができ、運送工数が著しく削減される。また、床面Gには何らの突起物もなく、開口2は使用後に直ちに閉塞することができるので、広く平坦な床面Gが形成され、床上を、例えば作業場や臨時道路などとして有効に利用することができる。また、作業休止時などには、トラックや物品を床下に移動して保管することができるので、保安コストも削減できる。
【0036】
(実施例4)
本発明の運搬装置に関連する参考例を実施例4として図4に示す。この運搬装置は、実施例1に示したものと同様な枠部材11と蓋部材12とからなる二つの開口装置10A,10Bと、床下に設置された昇降機40とからなり、この昇降機40は、床面Gの下方を水平方向に移動し得る水平移動手段を有している。
【0037】
図4において、この作業現場は、床面Gが、図示しない架構の上に敷き詰められた多数の覆工板1,…によって形成され、この床面Gには、上下方向に物品を移動運搬するための二つの開口2,2が、互いに並列して形成されている。この開口2,2は同形に形成され、その寸法はいずれも、例えば実施例1の開口と同様に、3230mm×8530mmである。
床面Gの下方には地下床面Mが形成されている。そして更に、この地下床面Mには、上記の二つの開口2,2の鉛直投影面とそれらを結ぶ面内に、一定深さhの設置面Mが形成されている。
【0038】
この運搬装置の昇降機40は、基本的には実施例3のものと同様な構成を有する。すなわち、荷受部21と開口装置10の下方に配設されたX型昇降機構30とを有している。ただし、この場合はX型昇降機構30を設置する台座41の下方に車輪42,…が取り付けられている。また設置面Mには、車輪42,…を受けるレール43が敷設されていて、車輪42,…がレール43上を回転移動することによって、X型昇降機構30が、例えば一方の開口装置10Aの鉛直下方から他方の開口装置10Bの鉛直下方へと随時に水平移動できるようになっている。
設置面Mの深さhは、昇降機40の荷受部21が開口装置10の蓋部材12を搭載したまま下降したとき、蓋部材12の上面が地下床面Mと面一となるように設定されている。
【0039】
この運搬装置は、例えば次のようにして使用することができる。例えば床面G上において、搬入搬出用トラックの配送路線が混乱することを避けるために、二つの開口装置の一方10Aを搬入口とし、他方10Bを搬出口とする。搬入用開口装置10Aの蓋部材12上には物品を積載したトラックTなどを配置する。
【0040】
先ず、レール43上で昇降機40を移動し、荷受部21が搬入用開口装置10Aの蓋部材12の鉛直下方に配置されるように設定し固定する。次いで、X型昇降機構30を作動して荷受部21を上昇させて蓋部材12と接触させ、それぞれの係止手段22,23によって係合するとともに、搬入用開口装置10Aの係止手段13,14を解除側に作動して、搬入用トラックTが載った蓋部材12と枠部材11とを切り離す。次にX型昇降機構30を下降側に作動して、蓋部材12が地下床面Mと面一になる下降位置まで下降させる。この状態では、蓋部材12が地下床面Mと面一にされているので、蓋部材12上のトラックTは蓋部材12から移動して地下床面M上の目的地点に向けて発進することができる。
【0041】
トラックTなどを送りだした運搬装置は、一旦X型昇降機構30を上昇させて蓋部材12を搬入用開口装置10Aの枠部材11に嵌合し、係止手段13,14を作動してこれらを係合し、また係止手段22,23を解除側に作動して荷受部21と蓋部材12とを切り離す。
この状態では、次の搬入用トラックTを蓋部材12の上に配置することができる。
【0042】
一方、昇降機40は、X型昇降機構30を下降させ、この状態でレール43上を搬出用開口装置10Bの鉛直下方まで移動して固定し、X型昇降機構30を上昇させて荷受部21と搬出用開口装置10Bの蓋部材12とを係合し、同時に搬出用開口装置10Bの蓋部材12と枠部材11とを切り離し、蓋部材12を地下床面Mのレベルまで下降させる。この状態で、地下床面M上に待機させた搬出用トラックを載せ、X型昇降機構30を上昇させ、係止手段13,14を作動して搬出用開口装置10Bの枠部材11と蓋部材12とを係合させる。この状態で搬出用トラックTは床面G上を走行することができる。
昇降機40は、係止手段22,23を解除側に作動して荷受部21と蓋部材12とを切り離し、X型昇降機構30を降下し、搬入用開口装置10Aの鉛直下方に移動させれば、次の搬入のための待機状態となる。
【0043】
実施例4の運搬装置は、2組の開口装置10A,10Bと、それらの開口装置の鉛直下方間を水平に移動し得る昇降機40とからなるものであるので、物品の搬入、搬出を路線の混乱なく円滑かつ高能率で行うことができる。上記の例では2組の開口装置10A,10Bの一方を搬入用、他方を搬出用としたが、この運搬装置の使い方は上記に限定されるものではなく、例えば搬入用開口装置と搬出用開口装置とを交互に切り替えて用いてもよく、また地下の工事現場の移動に合わせて一方から他方へと切り替えて用いてもよい。
【0044】
実施例4の運搬装置は、2組の開口装置10A,10Bと、1組の昇降機40とを用いたが、これらの数は限定されるものではない。また実施例4における開口装置10は実施例1に示したものと同様なものを用いたが、この代わりに、実施例2に示したものと同様な開口装置を用いてもよい。この場合は、レール43の敷設方向を、図2における開口2の長手方向に沿うようにすれば、分割蓋部材12a,12bのいずれからでも物品の搬入搬出ができるようになる。
また、昇降機40を移動するレール43も、1ラインに限定されるものではなく、複線または、ロータリー転轍機などを用いた星型配置などの構成で用いることもできる。
【0045】
(実施例5)
本発明の運搬装置の本来の実施例を実施例5として図5に示す。この運搬装置は、昇降機50が、床面Gの下方に形成された第一地下床面Mの上を水平方向に移動し得る水平移動手段を有するとともに、この昇降機50が、第一地下床面Mより更に下方に形成された第二地下床面Wに荷受部52を昇降自在に垂下し得る垂下機構53を有するものである。
【0046】
図5において、この作業現場は、床面Gが、図示しない架構の上に敷き詰められた多数の覆工板1,…によって形成され、この床面Gには、上下方向に物品を移動運搬するための二つの開口2,2が、間隔を隔てて平行に形成されている。この開口2,2は同形に形成され、その寸法はいずれも、例えば実施例1の開口と同様に、3230mm×8530mmである。
【0047】
床面Gの少なくとも開口2,2を含む面の下方には、第一地下床面Mが形成されている。この第一地下床面Mの一部分には、物品を更に下方の第二地下床面Wに運搬するための竪坑Hが形成されている。
第一地下床面Mは、この実施例では、竪坑Hの坑口を跨いで、両側にそれぞれ少なくとも竪坑Hの坑口と同面積の広がりを持って形成され、2つの開口2,2は、竪坑Hの坑口からずれた上記の第一地下床面Mの上方の床面Gに形成されている。
【0048】
図5において、この運搬装置は、第一地下床面Mに設置された昇降機50と、床面Gの開口2,2の縁部に床面と面一に固定されて設けられた枠部材11と、この枠部材11の内縁に面一に嵌合する蓋部材12とからなっている。この枠部材11と蓋部材12とは、実質的に実施例1の開口装置10と同様に形成されている。
そして、昇降機50は、荷受部52を前記蓋部材12に向けて昇降させる昇降機構54と、第二地下床面Wに向けて前記荷受部52を昇降自在に垂下させる垂下機構53とを有している。
【0049】
この昇降機50は、図6に詳細を示すように、直方体状のフレーム60を有していて、このフレーム60は、基台63の下部に車輪62,62が取り付けられていて、この車輪62,62が、第一地下床面Mに沿って水平方向に延びて竪坑Hの上部坑口の両側を通る2本一対のレール61,61上を、水平方向に移動し得るようになっている。これによって、この昇降機50は、第一地下床面M上を水平方向に移動することができる。
【0050】
床面Gに配設された蓋部材12と昇降機の荷受部52との間には、蓋部材12がこの荷受部52と係合して、荷受部52とともに下方に向けて移動し得る着脱自在の係止手段(図示省略)が設けられている。この係止手段は、実施例1に示したものと同様なピン部材とピン受け部材とからなるものである。
【0051】
この蓋部材12は、枠部材11とも着脱自在に係合するようになっていて、この係合によって、この運搬装置を使用しないときは、開口2が蓋部材12によって覆われ、覆工板1,…と面一に平坦な床面Gを形成している。
搬入搬出を行うときは、枠部材11と蓋部材12との係合が解除されるとともに、蓋部材12と荷受部52とが係合され、蓋部材12がこの荷受部52とともに下方に向けて移動し得るようになっている。
【0052】
この運搬装置は、概略上記の構成を有するので、搬入に際しては、例えば物品を積載したトラックTを床面Gと面一に固定された蓋部材12の上に停車させ、昇降機50を移動してこの蓋部材12の鉛直下方に設置し、昇降機構54を上昇作動させて荷受部52を蓋部材12の裏側に接触させ、蓋部材12と荷受部52とを係合させるとともに枠部材11と蓋部材12との係合を解除し、昇降機構54を下降させて、蓋部材12とトラックTとを搭載した荷受部52を、第一地下床面Mのレベルまで降ろし、この昇降機50をレール3、3に沿って竪坑Hの上部坑口まで水平移動し、垂下機構53を用いて荷受部52を第二地下床面Wに向けて降ろすことによって、物品を、トラックTに積載したまま第二地下床面Wに運搬することができる。
【0053】
第二地下床面Wから床面Gへ物品を搬出する場合は、例えば上記の操作により第二地下床面Wに搬入した空トラックに、第二地下床面Wにおいて物品を積載し、前記と逆の操作によって積載トラックTを床面Gに運搬すれば、床面Gにおいて積み替えなどの作業を要せず、そのまま物品を目的地に向けて輸送することができる。
【0054】
以下、この運搬装置の各部の詳細について説明する。
図6に示すように、昇降機50は直方体状のフレーム60を有していて、このフレーム60は、基台63の四隅に支柱64,64,…が立設され、その上端部に平面視長方形の天部フレーム65が架設されてなっている。
このフレーム60には、前記荷受部52と昇降機構54とを搭載して第二地下床面Wまで垂下するための垂下台66と、この垂下台66を昇降させるための垂下機構53とが備えられている。
【0055】
垂下機構53は、図6および図7(a)(b)に示すように、基台63の相対向する2辺の上面にそれぞれ設置されたウインチ機構67,67からなり、各ウインチ機構67は、以下のような構成となっている。
図7(a)(b)に示すように、基台63の上面には、互いに平行なガイドレール68,68が敷設されている。そして、これらガイドレール68,68上には、互いに対向する電動ウインチ69,69がそれぞれ移動自在に設けられている。また、図7(a)に示すように、各電動ウインチ69の下方には、ガイドレール68,68と平行なボールねじ70とが軸受70a、70aに回転自在に支持されており、このボールねじ70には、電動ウインチ69の下面に取り付けられた可動ブラケット71bが螺合して設けられている。また、各電動ウインチ69の駆動軸72にはスプロケット73が取り付けられており、このスプロケット73は、前記ボールねじ70に取り付けられたスプロケット74にチェーン75を介して連結されている。
ここで、一方の電動ウインチ69のボールねじ70と、対向する他方の電動ウインチ69のボールねじ70とでは、その螺条方向が逆方向に形成されている。
【0056】
また、各電動ウインチ69の駆動軸72には、ワイヤーロープ80を巻き取る巻胴81が取り付けられている。巻胴81には、その胴面に、例えば100mのワイヤーロープ80を重ね合わせることなく一重に巻き取るための螺旋状の溝(図示せず)が形成されている。この巻胴81においても、一方の電動ウインチ69の巻胴81と、対向する他方の電動ウインチ69の巻胴81とでは、ワイヤーロープ80が逆方向に巻き取られるようになっている。
図6に示したように、このような電動ウインチ69,69,…の巻胴81,81,…に巻かれたワイヤーロープ80,80,…は、シーブ82,82,…を介して、その下端部に前記の垂下台66が取り付けられた構成となっている。
【0057】
上記の垂下機構53においては、電動ウインチ69,69,…を一斉に作動させて巻胴81,81,…からワイヤーロープ80,80,…を繰り出せば、垂下台66が下降し、電動ウインチ69,69,…を逆転させれば、ワイヤーロープ80,80,…が巻き取られて垂下台66が上昇する。
このとき、図7(a)に示したように、各電動ウインチ69を作動させると、駆動軸72の回転が、スプロケット73,74およびチェーン75を介して伝達されて、ボールねじ70が回転する。すると、各電動ウインチ69は、このボールねじ70の回転に伴って、可動ブラケット71bと一体にガイドレール68,68上を移動するので、これによって、各巻胴81からのワイヤーロープ80の繰り出し角度(フリートアングル)が一定とされる。
【0058】
図5および図6に示したように、垂下台66の上面には、昇降機構54が設置され、さらにその上面には物品を搭載するための板状の荷受部52が備えられている。
昇降機構54の方式は、特に限定されるものではないが、例えば図8(a)(b)に示すように、荷受部52の下面に固定された、油圧または空気圧で作動する上部シリンダ85と、垂下台66の上面に固定された下部シリンダ86と、これら上部シリンダ85、下部シリンダ86それぞれの両端部に設けられて、水平方向外方に向けて伸縮駆動されるロッド87,87,…と、上下のロッド87,87,…間においてパンタグラフ状にリンク結合された一定長のアーム部材88,88,…からなる伸縮部89とから構成されている。
【0059】
この昇降機構54では、図8(a)に示した折り畳まれた状態から、各ロッド87,87,…を一斉に収縮させると、伸縮部89が上下方向に伸長し、これによって荷受部52が押し上げられるようになっている。また、図8(b)に示したように伸縮部89が上下方向に伸長した状態から、各ロッド87,87,…を伸長させれば、伸縮部89が上下方向に収縮して、荷受部52は下降する。
【0060】
図5に示したように、昇降機構54の両側面にはガイドローラ91,…が設けられており、前記垂下機構53で垂下台66を昇降させるときに、これが竪坑Hに鉛直方向に取り付けられたガイドレール92に沿ってガイドされるようになっている。
【0061】
開口2周辺の床面Gは、覆工板1で覆われている。この床面Gは、以下のようにして第一地下床面Mの上に架設されている。
図9、図10、および図11に示すように、第一地下床面M(図示せず)上に、平面視グリッド状に中間杭3,3,…が立設され、その上端部には、水平桁材4,4,…が互いに平行に架設され、これら水平桁材4上には、これと直交する受桁5,5,…が一定間隔を隔てて架設されている。
これら受桁5,5,…上には、例えば2000mm×1000mmの覆工板1,1,…が敷き詰められ、床面Gを形成している。
【0062】
この床面Gに長方形の開口2が形成されており、この開口2は、これと略同じ寸法の蓋部材12で覆われている。
開口2の縁部には、覆工板1に代えて枠部材11が設置されている。この枠部材11と蓋部材12と荷受部52との間には、この運搬装置の不使用時には蓋部材12と枠部材11とを係合し、使用時には蓋部材12を荷受部52とともに下方に向けて移動することができるように、着脱自在の係止手段が設けられている。この係止手段は、ピン部材とピン受け部材とからなるものである。その一例を、図12(a)(b)および(c)によって詳しく説明する。
【0063】
図12(a)および(b)に示すように、開口の対向する縁部に沿って、枠部材11の側部の複数箇所に、開口2の水平内側に向けて出没するジョイントピン13aを備えた油圧シリンダ13bが設けられ、ピン部材13を形成している。一方、蓋部材12の側部には、前記ジョイントピン13aと対向する位置に、これが嵌入される位置決め穴14aを有するピン受け部材14が設けられている。
これにより、各油圧シリンダ13bを伸縮させて、ジョイントピン13aを位置決め穴14aに挿入・抜出することによって、蓋部材12が枠部材11に着脱される構成となっている。
【0064】
また、図12(a)に示すように、この蓋部材12の下面には、複数箇所に鉛直下方に向けて突出するガイドピン23cが形成されている。
この蓋部材12を支持する荷受部52(例えば図11参照)の上面には、ガイドピン23cに対応する位置に位置決め穴(図示せず)が形成されており、これにガイドピン23cを嵌入することにより、蓋部材12が荷受部52上で位置決めされるようになっている。
【0065】
図12(c)に示すように、この荷受部52には、水平方向外側に向けて出没するジョイントピン22aを備えた油圧シリンダ22bが備えられている。この油圧シリンダ22bを伸縮させて、ジョイントピン22aを蓋部材12の各ピン受け部材23に形成された位置決め穴23aに出し入れすることによって、荷受部52と蓋部材12とが着脱自在に係合される構成になっている。
【0066】
上記の運搬装置は、例えば以下のようにして設置される。
図5に示したように、床面Gの下方を一次掘削して、第一地下床面Mを形成するとともに、所定の位置に竪坑Hを掘削して下部坑口を第二地下床面Wに連通させ、図9ないし図11に示したように、第一地下床面Mに中間杭3,3,…を立設し、水平桁材4,4,…、受桁5,5,…を架設する。
これとともに、図5に示すように、第一地下床面M上にレール61,61を敷設し、竪坑Hの内壁面にガイドレール92,92…を設置した後、昇降機50を、例えば2基、地上から第一地下床面Mに搬入し、レール61,61上に設置する。
【0067】
この後、床面Gにおいて、受桁5,5,…上に覆工板1,1,…を敷設する。また、床面Gの例えば道路沿いなどの位置には、例えば2箇所に開口2,2を形成し、それぞれの開口2の縁部に枠部材11を設置し、これに蓋部材12をはめ込む。このとき、図12(a)に示したように、枠部材11に備えられた油圧シリンダ13bを伸長させ、ジョイントピン13aを蓋部材12のピン受け部材14の位置決め穴14aに嵌入しておく。
【0068】
次に、上記の構成からなる運搬装置を用いて、床面Gから第二地下床面Wへ、機器・資材などの物品をトラック積載したまま搬入する方法について説明する。
図5において、まず、物品を積載したトラックTを、いずれか一方の開口2の蓋部材12上に停車させる。そして、2基のうち、いずれか一方の昇降機50をレール61に沿って水平方向に走行させて、上記蓋部材12の鉛直下方に移動させる。
【0069】
続いて、昇降機50の昇降機構54を作動し、荷受部52を上昇させる。そして、この荷受部52が上方の蓋部材12の下面に押しつけられ、ガイドピン23c(図12(a)参照)が荷受部52の位置決め穴(図示せず)に嵌入されたとき、荷受部52の上昇を停止する。次いで、図12(c)に示したように、各油圧シリンダ22bを伸長させて、ジョイントピン22aを蓋部材12の位置決め穴23aに挿入して、荷受部52と蓋部材12とを一体に連結する。
【0070】
次いで、図12(b)に示したように、枠部材11の各油圧シリンダ13bを収縮させてジョイントピン13aを蓋部材12の位置決め穴14aから抜き、蓋部材12と周囲の枠部材11との係合を解除する。
そして、図5に示したように、昇降機構54を下降作動させ、荷受部52を垂下台66上に下降させる。
この後、昇降機50をレール61に沿って走行させ、竪坑Hの上方まで移動して停止する。
【0071】
次いで、図6に示したように、垂下機構53のウインチ機構67,67を作動させて各電動ウインチ69からワイヤーロープ80を繰り出し、垂下台66を蓋部材12ごと、竪坑H内に下降させていく。
このようにして、垂下台66が竪坑Hの底部にまで達した時点で、蓋部材12上のトラックTを第二地下床面Wに向けて発進させる。
【0072】
積載した物品を降ろした空トラックT、または第二地下床面Wにおいて物品が積載されたトラックTは、荷受部52と係合した蓋部材12上に停車させる。
次に垂下機構53を上昇作動させて、各電動ウインチ69でワイヤーロープ80を巻き上げ、垂下台66を上昇させていく。そして、垂下台66が上昇端、すなわち第一地下床面Mにまで上昇したら、その状態で昇降機50をレール61,61に沿って、開口2の鉛直下方にまで移動する。
【0073】
続いて、昇降機構54を作動させて荷受部52を上昇させる。そして、蓋部材12が枠部材11と同レベルに達した時点で上昇動作を停止させ、図12(a)に示したように、枠部材11の各油圧シリンダ13bを伸長させてジョイントピン13aで蓋部材12を枠部材11に係合する。そして、蓋部材12上のトラックTを発進させればよい。
【0074】
上記の昇降機50の動作を、一方の昇降機50と他方の昇降機50とで交互に、すなわち、一方の昇降機50が竪坑Hを使用している間に、他方の昇降機50にトラックTを搭載して、第一地下床面Mで待機させておき、前記一方の昇降機50が竪坑Hから離れた時点で、これと入れ代わりに他方の昇降機50を竪坑H上に移動するようにすれば、竪坑Hの稼動率を向上することができ、従って運搬作業が効率化される。
【0075】
上記の方法では、物品の搬入搬出に際して開口2が開いたままになる。これを避けたい場合は、例えば蓋部材12を荷受部52とともに下方へ引き込まず、トラックTをこの位置に停車させる前に、荷受部52を床面Gのレベルにまで上昇させて荷受部52と枠部材11とを係合固定し、クレーンなどを用いて蓋部材12を開口2から取り外して床面G上に置き、次いでトラックTを直接荷受部52に搭載し、地下に搬入した後に、直ちに蓋部材12を枠部材11にはめ込んで互いに係合させれば、開口2は運搬作業中も閉じておくことができる。
【0076】
上記実施例5の運搬装置においては、昇降機50を2基用いる構成としたが、もちろん、1基のみでも、あるいは3基以上を用いる構成としてもよい。
また、開口2のサイズや設置数や位置については、第一地下床面Mおよび第二地下床面Wのロケーションや必要とされる機器・資材などの大きさ、搬入搬出の頻度、地盤構造などに応じて決定すればよく、例えば地下鉄や地下道路などの進捗状況に応じては、地表の路側帯などに沿って延長された第一地下床面Mを形成し、その上部に、実施例2に示した分割蓋部材を多数枚連続した開口装置を設置することによって、工事の進展に応じた箇所で物品の地下への搬入搬出が可能になる。
【0077】
上記の実施例において、昇降機構54はパンタグラフ式のものを用いたが、これに限定されるものではない。例えば実施例3で用いたようなX型昇降機構30(図3,4参照)、流体シリンダを垂直に伸縮して荷台を上下させる方式、スイングバーを用いる方法などいずれでもよい。これらの昇降機構は一般に公知である。
【0078】
上記の各実施例において、枠部材11と蓋部材12と、また蓋部材12と荷受部21(または52)とを着脱自在に係合し得る係止手段としては、ピン部材とピン受け部材とからなる方式のものを用いたが、係止手段はこれに限定されるものではなく、出し入れ自在の鈎(または爪)と鈎(爪)受けを用いる方法、水平面内で回転し得る半切円盤とその受け部材を用いる方法など、いずれも用いることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の運搬装置は、その床面開口装置が、床面の開口の縁部に床面と面一に固定されて設けられた枠部材と、この枠部材の内縁に面一に嵌合して開口を覆う蓋部材とからなり、この枠部材と蓋部材とが、開口の少なくとも1対の対向する縁部に、それぞれ着脱自在に係合し得る係止手段を有するものであるので、開口の開閉に床上設備を必要とせず、開口が閉じられているときは床上が平坦であり、しかもこの開口を覆う蓋部材の取り外しが容易で、大型トラックなどによる搬入搬出作業が効率よく行えるようになる。
【0081】
そして、本発明の運搬装置は、上記の床面開口装置と、この床面開口装置の下方に配設された昇降機とからなり、この昇降機が前記蓋部材を搭載し得る昇降自在の荷受部を有し、この荷受部と前記蓋部材とが、それぞれの互いに対向する位置に着脱自在に係合し得る係止手段を有してなるものであるので、例えば物品を積載したトラックなどを床上で荷降ろしせず、蓋部材または分割蓋部材に載せたまま床下の作業現場に搬送することができ、物品の運搬がきわめて効率の高いものとなる。
【0082】
また、本発明の運搬装置は、昇降機が前記床面の下方を水平方向に移動し得る水平移動手段を有しているので、複数の開口の間で移動可能となり、昇降機構1台当りの稼動率が高まるとともに輸送路線が整理され、搬入搬出のサイクルが短縮される。また夜間などの作業休止時には、資材などを床面下に保管することができ、保安上も有利となる。
【0083】
さらに、本発明の運搬装置は、昇降機が配設された水平位置より更に下方に、前記荷受部を昇降自在に垂下し得る垂下手段を有するものであるので、床上から途中の荷降ろしや積み替えを要せずに、昇降機が配設された第一地下床面より更に深部の作業現場に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運搬装置における床面開口装置とその設置現場の一例を示す平面図と立断面図である。
【図2】本発明の運搬装置における床面開口装置とその設置現場の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の運搬装置に関連する参考例とその設置現場の一例を示す立断面図である。
【図4】本発明の運搬装置に関連する参考例とその設置現場の一例を示す立断面図である。
【図5】本発明の実施例である運搬装置とその設置現場の一例を示す立断面図である。
【図6】図5に示した運搬装置とその設置現場の部分を示す立断面図である。
【図7】(a)(b) 図5に示した運搬装置のウインチ機構を示す正面図(a)と側面図(b)である。
【図8】(a)(b) 図5に示した運搬装置の昇降機構を示す収縮時(a)と伸長時(b)を示す側面図である。
【図9】本発明の運搬装置とその設置現場の架構の一例を示す立断面図である。
【図10】図9に対応する平面図である。
【図11】図9に対応する直交面から見た立断面図である。
【図12】(a)(b)(c) 本発明の運搬装置に用いた係止手段の一例を示す部分切除立断面図(a)、部分切除平面図(b)、および他の部分切除立断面図(c)である。
【符号の説明】
1……覆工板
2……開口
10……床面開口装置
11……枠部材
12……蓋部材
12a,12b……分割蓋部材
13……ピン部材(係止手段)
13a……ジョイントピン
14……ピン受け部材(係止手段)
17……枠部材側部
18……蓋部材側部
22……ピン部材(係止手段)
22a……ジョイントピン
23……ピン受け部材(係止手段)
50……昇降機
52……荷受部
53……垂下機構
54……昇降機構
60……フレーム
66……垂下台
G……床面
H……竪坑
M……第一地下床面(昇降機の配設レベル)
W……第二地下床面
T……トラック

Claims (1)

  1. 床面に形成された開口を通して上下方向に物品を運搬するための床面開口装置と、この床面開口装置の下方に配設された昇降機とを有する運搬装置であって、
    前記床面開口装置は、上記開口の縁部に床面と面一に固定されて設けられた枠部材と、この枠部材の内縁に嵌合して面一に開口を覆う蓋部材とからなり、この蓋部材と枠部材とが、開口の少なくとも1対の対向する縁部に、それぞれ着脱自在に係合し得る係止手段を有してなり、
    前記昇降機は、この昇降機の配設レベルにおいて水平方向に移動可能とされて前記床面に形成されている開口の下方およびこの昇降機の配設レベルよりさらに下方に掘り下げられている竪坑の上部坑口の上方に位置し得るフレームと、フレームに搭載されて該フレームから前記竪坑内に垂下可能な垂下台と、その垂下台を竪坑内において昇降自在に垂下させる垂下機構とを有し、
    かつ、前記垂下台上には、前記床面開口装置における蓋部材を搭載し得る荷受部と、その荷受部を垂下台上において昇降させる昇降機構が搭載され、該荷受部と前記蓋部材とがそれぞれの互いに対向する位置に着脱自在に係合し得る係止手段を有してなることを特徴とする運搬装置。
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