JP3696031B2 - 生理用ショーツ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装着性及び着用感に優れた生理用ショーツに関する。
【０００２】
【従来の技術】
生理用ショーツは、経血の漏れや外部への浸み出しを防止するため、通常の女性用ショーツの股布部内側に防水布を追加して縫着した構造となっているのが一般的である。前記生理用ショーツは、スポーツ、就寝時、身体の動きや姿勢の変化等による横漏れ等を防止することが必要であるため、前記防水布の縫着位置や面積が工夫され、また生理用ショーツ全体の構造も、生理用ナプキンの装着性や着用感を優れたものにする工夫がなされている。
【０００３】
特表平９−５０４１９４号公報には、上記のような工夫がなされた生理用ショーツが開示されている。図５は、前記公報に開示された生理用ショーツのうち代表的なものを示したものであり、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は背面図である。
【０００４】
図５に示す生理用ショーツは、前方部１、後方部２及び股下部３で構成されている。前記生理用ショーツは、ウエスト部において前記前方部１及び前記後方部２に沿って取り付けられた弾性リボン４、５で形成されたウエスト弾性体と、前記弾性リボン４と前記弾性リボン５の両側を接合することで形成される一対の脚開口部６、７を有している。
【０００５】
さらに、前記生理用ショーツには、中心線Ｏ−Ｏに沿って、前方部１、股下部３及び後方部２を通る弾性糸１１、１２を有しており、この弾性糸１１、１２の端部は前記弾性リボン４と前記弾性リボン５に接合されている。前記弾性糸１１、１２は、前方部１においては、股下部３の中心線Ｏ−Ｏの近傍から前記弾性リボン４に向かって間隔が徐々に広くなるように配置され、後方部２においては、股下部３の中心線Ｏ−Ｏの近傍から、前記弾性糸１１、１２が互いに平行に、前記弾性リボン５へ向かって延びている。
【０００６】
さらに前記弾性糸１１、１２の配置位置の側方には別の弾性糸１３、１４が取付けられている。この弾性糸１３、１４は、前方部１、股下部３及び後方部２に渡って延び、その端部が前記弾性リボン４及び５に接続されている。この弾性糸１３，１４は、前記中心線Ｏ−Ｏに沿って、前記股下部３から各弾性リボン４及び５に向って間隔が徐々に広くなるように取付けられている。
【０００７】
図５に示した生理用ショーツでは、股下部３においては４本の弾性糸１１、１２、１３、１４により、生理用ナプキンを身体に押し付けるようにし、また弾性糸１１、１２、１３、１４で股下部３を上方に吊上げるようにして、股下部３での生理用ナプキンの横ずれを防止し、生理用ナプキンからの経血の漏れや外部への浸み出しを防止できるようにしている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の生理用ショーツでは、股下部３を吊上げるための弾性部材として４本の細い弾性糸１１、１２、１３、１４を用いている。よって、前方部１の下方位置および後方部２での下方位置では、細い弾性糸１１、１２、１３，１４が間隔を開けた状態で、装着者の肌に局部的に当たるために、着用感触が非常に悪くなる。
【０００９】
また、股下部３に装着される生理用ナプキンを吊上げる機能を有する弾性糸１１、１２、１３、１４が、生理用ショーツの前方部１及び後方部２において弾性リボン４及び５に対してそれぞれ１点で接合された構造である。ここで弾性リボン４及び５がその弾性力により身体のウエスト部へ密着する際、ショーツのずり下がりを防止しているのは主に弾性リボンの両側部であり、腹側と背側（尻側）では、弾性リボンと身体との密着度がやや低くなっているのが一般的である。
【００１０】
したがって、弾性糸１１、１２、１３、１４がそれぞれ１点で弾性バンド及び５に接続されていると、弾性糸の収縮張力が弾性リボン４及び５に局部的に作用することになり、前記腹側および背側（尻側）に当たっている弾性リボン４及び５が股下部３に向って湾曲しやすい。その結果ショーツがずり下がりやすくなる。また弾性糸１１、１２、１３、１４の中央線Ｏ−Ｏに沿う方向の弾性収縮力が低下することになるため、生理用ナプキンを股下部３の内側において身体に弾性的に押圧する力そのものが低下し、生理用ナプキンのずれが発生しやすい。
【００１１】
また基本的に細い弾性糸１１、１２、１３、１４が前方部１および後方部２を形成する布に取付けられた構造であるため、弾性糸１１、１２、１３、１４の部分で前記布に皺が発生しやすい。また前記のように、装着した状態で弾性糸１１、１２、１３、１４の緩みが発生しやすい構造であるため、ショーツをしっかりと引き上げて着用しても、弾性糸の部分で布に皺が発生しやすい。
【００１２】
前記皺は、身体の腹部や背部（尻部）において装着者の肌に違和感を感じさせることになり、着用感触が非常に悪くなる。また前記皺が外装のパンツなどにも影響を与え、外から皺の発生が見える不都合もある。
【００１３】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、股下部に装着される生理用ナプキンを吊上げる機能を発揮する弾性部材の緩みを防止できるようにして、生理用ナプキンの横ずれを防止できるようにするとともに、ずり下がりにくく、皺が発生しにくい生理用ショーツを提供することを目的としている。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に位置する股下部と、前記前身頃の上縁部と前記後身頃の上縁部とで形成された胴回り部と、前記前身頃の両側縁と後身頃の両側縁との接合部の下に形成される一対の脚開口部と、を有する生理用ショーツにおいて、
前記前身頃から前記股下部および前記後身頃に渡って延びる伸縮性素材で形成された吊上げ部材と、少なくとも前記後身頃および前記股下部で、前記吊上げ部材に接合されて前記吊上げ部材の両側から前記脚開口部へ延びる延出布とが設けられ、
前記吊上げ部材には、前記股下部でのショーツ幅寸法よりも幅寸法の短い幅細部が形成され、前記幅細部は前記股下部から前記後身頃の途中まで延び、
前記後身頃では、前記幅細部と前記胴回り部との間で、前記吊上げ部材の両縁部が前記胴回り部に凸側が向けられる湾曲形状とされて、前記吊上げ部材の幅寸法が、前記幅細部から胴回り部の幅寸法の全長に至るまで徐々に大きくなるように変化し、前記前身頃で、前記幅細部から胴回り部の全長に至るまで、前記吊上げ部材の幅寸法が徐々に大きくなり、
前記吊り上げ部材が前記胴回り部の全周に位置していることを特徴とするものである。
【００１５】
また、前記股下部では、前記吊上げ部材の幅寸法Ｗ１が１０ｍｍ以上で４０ｍｍ以下であることが好ましく、さらに好ましくは２０ｍｍ以上で４０ｍｍ以下である。
【００１７】
また、前記前身頃では、前記股下部との境界から前記胴回り部に向けて、前記吊上げ部材の幅寸法が徐々に大きくなっているものとすることができる。
【００１８】
また、前記前身頃における前記吊上げ部材の両縁部は、前記胴回り部に凸側が向けられる湾曲形状であることが好ましい。
【００１９】
前記前身頃においても、前記吊上げ部材から両側方に延びる延出布が設けられ、前身頃に位置する前記延出布の両側部と、前記後身頃に位置する前記延出布とが接合されて、前記脚開口部の周囲全周が前記延出布の素材で形成されているものとすることも可能である。
【００２０】
また、前記前身頃が、前記吊上げ部材を形成する素材のみで形成されてもよい。
【００２１】
前記延出布を形成する素材は、伸縮性を有しないもの、または同じ引張り力を与えたときの伸び量が前記吊上げ部材よりも小さいものである。あるいは前記延出布を形成する素材は、伸縮性を有し、同じ長さまで延ばしたときの収縮応力が前記吊上げ部材を形成する伸縮素材の収縮応力よりも低いものである。
【００２２】
前記において、前記股下部または、前記股下部から前記後身頃に向って延びる部分の内側に、伸縮性で且つ透湿性の防水帯が取り付けられていることが好ましい。
【００２３】
本発明の生理用ショーツは、伸縮性を有する素材で形成された吊上げ部材が、股下部から後身頃の胴回り部に渡って設けられ、この吊上げ部材は股下部から徐々に幅寸法が広くなって前記胴回り部に至っている。よって、胴回り部において吊上げ部材の収縮張力が局部的に作用することがなく、胴回り部の各部に分散して作用する。
【００２４】
よって、ショーツがずり下がりにくくなり、後身頃の全体が背部または尻部に密着しやすくなる。したがって吊上げ部材が緩みにくくなって、股下部において生理用ナプキンが身体に確実に密着させられて横ずれを発生しにくい。さらに後身頃に皺が発生しにくくなる。また後身頃では、吊上げ部材の両側方において伸縮性の低い延出布が設けられているため、この延出布によって、通常のショーツと同様に臀部を支えることができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生理用ショーツについて図面を参照して説明する。
図１及び図２は本発明の第一の実施の形態の生理用ショーツを示すものであり図１（Ａ）は正面図、図１（Ｂ）は背面図、図２はその展開平面図である。
【００２６】
図１と図２に示す生理用ショーツは、前身頃２１、後身頃２２、股下部２３で構成されている。
【００２７】
図１と図２では、前身頃２１、股下部２３、後身頃２２が連続するＹ方向を縦方向とし、これと直交するＸ方向を横方向とする。また横方向の中心で縦方向に延びる中央線をＯ−Ｏとする。
【００２８】
図２に示す、前身頃２１の側縁２１ａと後身頃２２の側縁２２ａとが接合され、前身頃２１の側縁２１ｂと後身頃２２の側縁２２ｂとが接合されることで、胴回り部２４および脚開口部２５、２５を有するショーツが形成される。
【００２９】
前記ショーツの横方向の中心領域では、前記中心線Ｏ−Ｏに沿って、吊上げ部材２６が設けられている。この吊上げ部材２６は、高伸縮性の素材で形成されており、伸縮性の不織布、ゴム糸などの弾性糸が織り込まれた伸縮性の織布、または多数の開孔を有する通気性のゴムシートなどで形成されている。
【００３０】
吊上げ部材２６は、股下部２３において幅寸法がＷ１が１０ｍｍ以上で４０ｍｍ以下好ましくは２０ｍｍ以上で４０ｍｍ以下の幅細部２６ａとなっている。この幅細部２６ａはショーツの股下部２３の最下端Ｏｙを中心として縦方向へ少なくとも５０ｍｍ以上の範囲で延びる股下領域（Ｉ）において形成されている。また前記股下部２３から後身頃２２の中腹部にかかる境界領域（ＩＩ）においても、吊上げ部材２６は幅寸法が前記Ｗ１の範囲の幅細部２６ｂとなっている。
【００３１】
前記領域（Ｉ）（ＩＩ）における前記幅細部２６ａ、２６ｂの幅寸法は一定であってもよいし、あるいは前記数値範囲Ｗ１内で幅寸法が変化していてもよい。
【００３２】
後身頃２２において、前記境界領域（ＩＩ）を超えた位置から胴回り部２４に向って、前記吊上げ部材２６に凹状の湾曲縁部２６ｃ、２６ｃが形成されて、前記吊上げ部材２６のＸ方向の幅寸法が徐々に大きくなっている。そして、後身頃２２の胴回り部２４（胴回り部の後部）においては、吊上げ部材２６の幅寸法が、胴回り部２４のＸ方向の幅寸法の全長と一致している。
【００３３】
吊上げ部材２６の前記幅寸法がＷ１となる前記境界領域（ＩＩ）の長さは、図１（Ｂ）に示すように、ショーツを身体に装着させる立体形状としたときの、ショーツの前記最下端Ｏｙからの高さ寸法をＨとしたときに、前記最下端Ｏｙから前記境界領域（ＩＩ）の上限までの高さ（ＩＩＩ）が、前記高さ寸法Ｈの４／５以下で、１／４以上であることが好ましい。
【００３４】
前記幅寸法Ｗ１は、生理用ナプキンの幅寸法よりも小さくなるように設定されている。生理用ナプキンの本体部分（ウイングを除く部分）の幅寸法は４０〜７０ｍｍの範囲であるため、前記股下部２３に位置する吊上げ部材２６の幅細部２６ａの幅寸法Ｗ１は前記のように１０ｍｍ以上で４０ｍｍ以下であることが好ましい。
【００３５】
前記股下部２３から後身頃２２にかけての境界領域（ＩＩ）における吊上げ部材２６の幅細部２６ｂの幅寸法が前記Ｗ１の範囲であり、この境界領域（ＩＩ）の長さがショーツの高さＨの４／５以下で１／４以上であるため、ショーツを装着したときには、前記幅細部２６ｂが、臀部の谷部に入るように装着される。
【００３６】
前身頃２１では、吊上げ部材２６の幅寸法が前記股下部２３の（Ｉ）の領域を超えた位置からそのまま幅寸法が徐々に大きくなるように、凹状の湾曲縁部２６ｆ、２６ｆを有している。そして前身頃２１の胴回り部２４（胴回り部の前部）では、吊上げ部材２６の幅寸法が胴回り部２４の全長に渡って一致している。また、図１に示すように、ショーツが身体に装着される立体形状となった状態で、後身頃２２の吊上げ部材２６の幅寸法が前記Ｗ１である箇所に対向する前身頃２１において、前記吊上げ部材２６の幅寸法Ｗ２が前記Ｗ１よりも大きくなっている。
【００３７】
前身頃２１において吊上げ部材２６の幅寸法Ｗ２が、後身頃２２での吊上げ部材２６の幅寸法Ｗ１よりも広くなっているため、装着したときに恥骨部分や下腹部に局部的な圧迫感が与えられない。
【００３８】
図２に示すように、前身頃２１の胴回り部においては、前記吊上げ部材２６の縁部２６ｄ、２６ｄが、前身頃２１の側縁２１ａ、２１ｂに一致しており、後身頃２２の胴回り部においても、吊上げ部材２６の縁部２６ｅ、２６ｅが前記後身頃２１の側縁２２ａ、２２ｂに一致している。よって図１に示すように、ショーツが形成された状態では、前記縁部２６ｄと２６ｅが胴回り部分で接合され、ショーツの胴回り２４の全周が前記吊上げ部材２６と同じ素材で形成されている。
【００３９】
そして、胴回り部２４では、その全周に渡って弾性部材２７が取付けられており、胴回り部２４の全周において身体に弾性的に当たるウエストバンドが形成されている。
【００４０】
図１と図２に示す生理用ショーツでは、前記吊上げ部材２６の両側方に延出布３１、３１が設けられている。延出布３１，３１と吊上げ部材２６とは、その境界部において互いに縫合されていてもよいし、またはショーツ全体が前記延出布３１により形成され、その中央部分に前記吊上げ部材２６が重ねられて縫合されているものであってもよい。
【００４１】
前記延出布３１は、織布または不織布などであるが、延出布３１はほとんど伸縮性を呈しない布で形成されている。あるいは、吊上げ部材２６の素材と延出布３１の素材を同じ幅寸法とし、同じ引っ張り力を与えたときに、その伸び量は、吊上げ部材２６の素材の方が延出布３１の素材よりも長くなるよう各素材が選択されている。あるいは、延出布３１が伸縮性素材であり、吊上げ部材２６の素材と延出布３１の素材を同じ幅寸法とし、同じ長さだけ引張ったときに、吊上げ部材２６の素材の収縮応力が、延出布３１の素材の収縮応力よりも強くなるように、各素材が選択されている。
【００４２】
図１と図２に示すものでは、前記延出布３１が、前身頃２１、後身頃２２および股下部２３の全ての領域に渡って設けられている。そして、前身頃２１では、延出布３１の両端部３１ａ，３１ａが前身頃２１の側縁２１ａ、２１ｂと一致し、後身頃２２においての延出布３１の両端部３１ｂ、３１ｂが後身頃２２の側縁２２ａ、２２ｂと一致している。
【００４３】
よって、図１に示すようにショーツが形成された状態では、延出布３１の前記両端部３１ａ、３１ａと、両端部３１ｂ、３１ｂとが接合され、この延出部３１の接合部の下に脚開口部２５、２５が形成されている。すなわち脚開口部２５、２５の周囲全周が、前記延出布３１の素材で形成されている。また脚開口部２５、２５の周縁部には、弾性部材３２が全周に設けられ、脚締付バンドが形成されている。
【００４４】
股下部２３において、前記吊上げ部材２６および延出布３１を含んだ幅寸法Ｗ３は、生理用ナプキンの本体部分の幅寸法とほぼ一致しており、好ましくは３０ｍｍ以上で７０ｍｍ以下である。この股下部２３では、内側に伸縮性で且つ透湿性の防水帯３３が取り付けられている
【００４５】
また股下部２３から後身頃２２に延びる前記延出布３１により尻受け部３１ｃが形成され、股下部２３から前身頃２１に延びる前記延出布３１により、下腹部受け部３１ｄが形成されている。
【００４６】
図１および図２に示す生理用ショーツは、股下部２３の内側に例えばウイング付きなどの生理用ナプキンを設置した状態で着用する。着用状態では、前身頃２１、股下部２３および後身頃２２に渡って伸縮性素材で形成された吊上げ部材２６が設けられているため、ショーツを装着した状態で、股下部２３の内側に設置された生理用ナプキンが、前記吊上げ部材２６の弾性力を受けて、身体に確実に押し付けられるようになる。
【００４７】
ここで、股下部２３では、吊上げ部材２６の幅細部２６ａの幅寸法Ｗ１が生理用ナプキンの本体部分よりも幅が細くなっているため、生理用ナプキンの幅方向での中央部分が前記幅細部２６ａにより身体に押し付けられる。すなわち生理用ナプキンは幅方向の中央部が身体側へ凸形状となる状態で身体に押し付けられるため、生理用ナプキンの本体部分が身体に確実に密着する。また、股下部２３では吊上げ部材２６の幅細部２６ａの両側に延出布３１が延びており、この延出布３１は吊上げ部材２６よりも伸縮性が劣りあるいは吊上げ部材よりの収縮応力の小さい伸縮性素材により形成されているため、生理用ナプキンの前記吊上げ部材２６の両側にはみ出している部分は、前記延出布３１により身体に軽く押圧される状態となる。
【００４８】
また、吊上げ部材２６は境界領域（ＩＩ）において幅寸法がＷ１の幅細部２６ｂとなっているので、幅細部２６ｂは臀部の谷間に入るように装着される。幅細部２６ｂが臀部の谷間に入り込むことにより、股下部では幅細部２６ａが身体の股間部から離れにくくなり、股下部２３において生理用ナプキンの中央部が身体にしっかり押し付けられる。
【００４９】
このような状態で身体に密着している生理用ナプキンは、横方向へ位置ずれしにくく、また中央部が凸形状となって身体に密着しているため、生理用ナプキンからの経血の横洩れが生じにくく、またショーツからの経血の横洩れも生じにくい。
【００５０】
また、図１（Ｂ）に示すように後身頃２２では、吊上げ部材２６に前記幅細部２６ｂに連続する湾曲縁部２６ｃ、２６ｃが形成されて、吊上げ部材２６は幅寸法が徐々に大きくなりながら胴回り部２４に至っている。また前身頃２１においても、吊上げ部材２６は湾曲縁部２６ｆを有することによって幅寸法が徐々に大きくなりながら胴回り部２４に至っている。そして胴回り部２４の周囲全長が前記吊上げ部材２６の素材で形成されている。
【００５１】
前身頃２１と後身頃２２において、特に前記後身頃２２において吊上げ部材２６の幅寸法が徐々に大きくなって胴回り部２４に至る形状であるため、生理用ナプキンを吊上げている吊上げ部材２６の収縮応力が、胴回り部２４において局部的に集中することがなく、前記応力が胴回り部２４の全長に渡って分布した状態となる。
【００５２】
したがって、図５に示した従来例のように胴回り部２４が股下方向へ局部的に湾曲するようなことがなく、胴回り部２４が身体に確実に密着しやすい。すなわち胴回り部２４では弾性部材２７の弾性収縮力および吊上げ部材２６を形成する素材の弾性収縮力によって身体の胴回りに密着する。このとき図１の左右両側部分では、胴回りが身体の腰骨の部分に掛かって下がるのが防止され、また前記のように吊上げ部材２６の収縮応力が背部および腹部において胴回り部２４の全長に渡って分布することになるため、装着中の身体の動きによってショーツがずり下がりにくくなる。
【００５３】
よって、股下部２３において生理用ナプキンを押さえている吊上げ部材２６の幅細部２６ａに緩みが生じにくくなり、股間部に装着されている生理用ナプキンが動きずらくなる。
【００５４】
また、吊上げ部材２６は身体の股間部から臀部の谷部および尻上部にかけて身体に密着するため、吊上げ部材２６の部分に緩みによる皺が発生しにくく、また身体への装着感が優れたものとなる。
【００５５】
図３は本発明の生理用ショーツの第二の実施の形態を示すものであり、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は背面図、図４はその展開平面図である。
【００５６】
図３および図４に示す生理用ショーツでは、図１および図２に示すのとほぼ同じ形状の吊上げ部材２６が設けられている。吊上げ部材２６は股下部２３において幅寸法が前記Ｗ１の幅細部２６ａであり、股下部２３から後身頃２２にかけての境界領域にも前記幅寸法Ｗ１の幅細部２６ｂが設けられている。そして、後身頃２２では、前記幅細部２６ｂに連続する凹状の湾曲縁部２６ｃ、２６ｃが形成され、吊上げ部材２６の幅寸法が徐々に大きくなって胴回り部２４に至っている。
また前身頃２１においても、吊上げ部材２６は湾曲縁部２６ｆ、２６ｆを有しており、吊上げ部材２６は幅寸法が徐々に大きくなって胴回り部２４に至っている。
【００５７】
また前身頃２１においても、吊上げ部材２６は湾曲縁部２６ｆ、２６ｆを有しており、吊上げ部材２６は幅寸法が徐々に大きくなって胴回り部２４に至っている。
【００５８】
図３と図４に示す実施の形態では、図１に示した延出布３１と同じ素材で形成された延出布４１が設けられ、この延出布４１は吊上げ部材２６の両側部から延出している。ただし、図３と図４に示すものでは、延出布４１が股下部２３における幅細部２６ａの両側から、後身頃２２の吊上げ部材２６の両側に至る領域にのみ設けられており、前身頃２１には延出布４１が設けられていない。
【００５９】
図３に示すように、ショーツが形成された状態では、前身頃２１に位置する吊上げ部材２６の幅方向の両端部と、後身頃２２に位置する吊上げ部材２６の幅方向の両端部とが接合されて、胴回り部２４の全周に渡って吊上げ部材２６を構成する素材が連結されている。
【００６０】
また股下部２３では、吊上げ部材２６および延出布４１の全幅寸法が図２に示したのと同じＷ３である。また後身頃２２では、前記延出布４１により尻受け部４１ｃ、４１ｃが形成されている。
【００６１】
図３と図４に示す生理用ショーツも、図１と図２に示したのと同じ機能を有しており、股下部２３に接地される生理用ナプキンが身体に確実に密着させられる。また吊り下げ部材２６の伸縮応力が胴回り部２４の全長に分散するため、ずり下がりがなく皺が発生しにくくなり、身体に確実に密着する。
【００６２】
なお、図４に示すように、延出布４１の縁部に弾性部材４２を設けて脚回り開口部２５を締め付けるバンドを形成してもよい。
【００６３】
上記のように、本発明の生理用ショーツでは、延出布３１が前身頃２１、股下部２３および後身頃２２の全領域に設けられもよいし、延出布４１が股下部および後身頃２２にのみ設けられてもよい。さらに、後身頃２２に尻受け部を形成するような延出布を設けず、股下部２３においてのみ吊上げ部材の両側に延出布を設けたものであってもよい。
【００６４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の生理用ショーツは、生理用ナプキンを凸状に変形させ、その状態で常に身体に密着させることで漏れを防ぐことができる。また吊上げ部材の伸縮応力が胴回りで分散することにより、ショーツがずり下がりにくくなり、よってナプキンを押さえ付ける力が緩むことがなく、皺も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態の生理用ショーツを示すものであり、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は背面図、
【図２】図１に示す生理用ショーツの展開図、
【図３】本発明の第２の実施の形態の生理用ショーツを示すものであり、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は背面図、
【図４】図３に示す生理用ショーツの展開図、
【図５】従来の生理用ショーツを示すものであり、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は背面図、
【符号の説明】
２１ 前身頃
２２ 後身頃
２３ 股下部
２４ 胴回り部
２５ 脚開口部
２６ 吊上げ部材
２６ａ、２６ｂ 幅細部
２６ｃ、２６ｆ 湾曲縁部
３１、４１ 延出布

Claims (9)

1. 前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃との間に位置する股下部と、前記前身頃の上縁部と前記後身頃の上縁部とで形成された胴回り部と、前記前身頃の両側縁と後身頃の両側縁との接合部の下に形成される一対の脚開口部と、を有する生理用ショーツにおいて、
   前記前身頃から前記股下部および前記後身頃に渡って延びる伸縮性素材で形成された吊上げ部材と、少なくとも前記後身頃および前記股下部で、前記吊上げ部材に接合されて前記吊上げ部材の両側から前記脚開口部へ延びる延出布とが設けられており、
   前記吊上げ部材には、前記股下部でのショーツ幅寸法よりも幅寸法の短い幅細部が形成され、前記幅細部は前記股下部から前記後身頃の途中まで延び、
   前記後身頃では、前記幅細部と前記胴回り部との間で、前記吊上げ部材の両縁部が前記胴回り部に凸側が向けられる湾曲形状とされて、前記吊上げ部材の幅寸法が、前記幅細部から胴回り部の幅寸法の全長に至るまで徐々に大きくなるように変化し、前記前身頃で、前記幅細部から胴回り部の全長に至るまで、前記吊上げ部材の幅寸法が徐々に大きくなり、
   前記吊り上げ部材が前記胴回り部の全周に位置していることを特徴とする生理用ショーツ。
2. 前記股下部では、前記吊上げ部材の幅寸法Ｗ１が１０ｍｍ以上で４０ｍｍ以下である請求項１記載の生理用ショーツ。
3. 前記前身頃では、前記股下部との境界から前記胴回り部に向けて、前記吊上げ部材の幅寸法が徐々に大きくなっている請求項１または２記載の生理用ショーツ。
4. 前記前身頃における前記吊上げ部材の両縁部は、前記胴回り部に凸側が向けられる湾曲形状である請求項１ないし３のいずれかに記載の生理用ショーツ。
5. 前身頃においても、前記吊上げ部材から両側方に延びる延出布が設けられ、前身頃に位置する前記延出布の両側部と、前記後身頃に位置する前記延出布とが接合されて、前記脚開口部の周囲全周が前記延出布の素材で形成されている請求項１ないし４のいずれかに記載の生理用ショーツ。
6. 前記前身頃が、前記吊上げ部材を形成する素材のみで形成されている請求項１ないし４のいずれかに記載の生理用ショーツ。
7. 前記延出布を形成する素材は、伸縮性を有しないもの、または同じ引張り力を与えたときの伸び量が前記吊上げ部材よりも小さいものである請求項１ないし６のいずれかに記載の生理用ショーツ。
8. 前記延出布を形成する素材は、伸縮性を有し、同じ長さまで延ばしたときの収縮応力が前記吊上げ部材を形成する伸縮素材の収縮応力よりも低いものである請求項１ないし６のいずれかに記載の生理用ショーツ。
9. 前記股下部または、前記股下部から前記後身頃に向って延びる部分の内側に、伸縮性で且つ透湿性の防水帯が取り付けられている請求項１ないし８のいずれかに記載の生理用ショーツ。

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