JP3691779B2 - 四輪駆動車両の動力伝達機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンで前輪を駆動し、電気モータで後輪を駆動する四輪駆動車両において、電気モータからの動力を後輪に伝達する四輪駆動車両の動力伝達機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの動力を駆動輪に伝達する車両の動力伝達機構として、例えば特開平10−259733号公報に記載されたトランスミッションが知られている。このエンジンは、クランクケース、ミッションケースおよびオイルパンを一体化したケース本体を備えている。このトランスミッションは、ケース本体に軸受を介して回動自在に取り付けられた3つのメインシャフト、カウンタシャフトおよびリバースシャフトと、これらの3つのシャフト上に設けられた変速ギヤ列などを備えている。これらの3つのシャフトでは、メインシャフトおよびカウンタシャフトがほぼ同じ高さに配置され、リバースシャフトがこれらのシャフトよりも高い位置に配置されている。
【0003】
また、エンジンのクランクシャフトの前端部には、オイルポンプが取り付けられており、このオイルポンプは、吸い込み油路を介してオイルパンに接続されている。この吸い込み油路は、ケース本体に形成され、所定長さで上下方向に延びている。オイルポンプは、オイルパンに蓄えられたオイルを、吸い込み油路を介して吸い込むとともに、クランクシャフト内に形成された潤滑油路を介して、各気筒に供給する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなトランスミッションでは、変速ギヤおよび軸受などの回転部品の回転中の摩耗や発熱などを抑制するために、これらの回転部品に対して潤滑油による潤滑が一般に行われる。その場合、変速ギヤ列を、その一部がオイルパンの潤滑油に浸かった状態に配置することで、潤滑油を、変速ギヤ列の回転に伴い、潤滑油に浸かった部分で跳ね上げ(またはかき上げ)、回転部品に行き渡らせる手法や、オイルポンプにより潤滑油を回転部品に供給する手法が一般的である。上記トランスミッションにおいて、例えばギヤ列の一部を潤滑油に浸かった状態にしてギヤ列の潤滑を行う場合、潤滑油をギヤ列全体に行き渡らせようとすると、ギヤ列の配置によっては、ギヤ列全体に占める潤滑油に浸かった部分の割合が大きくなることがあり、その結果、回転抵抗が増大し、その分、燃費が悪化するおそれがある。同じ理由により、3つのシャフトの配置によっては、トランスミッションが大型化してしまい、車両内での搭載スペースが確保しにくくなることがある。また、例えばオイルポンプにより回転部品の潤滑を行う場合、オイルポンプの吸い込み油路が所定長さで上下方向に延びている構成であるため、変速ギヤ列の回転による潤滑油の跳ね上げなどに伴って、多量の気泡が潤滑油内に混入した状態になったときなどには、オイルポンプが潤滑油を円滑に吸い込むことができず、オイルポンプによる潤滑油の供給が円滑に行われなくなるおそれがある。さらに、吸い込み油路をケース本体に形成しなければならないので、その分、装置が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ギヤ列の潤滑を行うことができ、小型化および回転抵抗の低減を両立させることができるとともに、燃費を向上させることができる四輪駆動車両の動力伝達機構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、エンジン3で前輪4を駆動し、電気モータ5で後輪6を駆動するとともに、潤滑油を供給するためのオイルポンプ18を有する四輪駆動車両2において、電気モータ5の動力を後輪6に伝達する四輪駆動車両2の動力伝達機構1であって、電気モータ5の回転軸5a上に設けられたモータ軸ギヤ5bと、回転軸5aと平行で、後輪6と一体に回転する後輪駆動軸13と、後輪駆動軸13上に設けられた差動ギヤ機構12と、回転軸5aと平行な中間ギヤ軸(例えば実施形態における(以下、この項において同じ)減速ギヤ軸10a)と、中間ギヤ軸(減速ギヤ軸10a)上に設けられ、モータ軸ギヤ5bおよび差動ギヤ機構12とともにギヤ列を構成する中間ギヤ(第1減速ギヤ10b、第2減速ギヤ10c)とを有し、中間ギヤ軸(減速ギヤ軸10a)を、中間ギヤ軸(減速ギヤ軸10a)の回転中心CL3が回転軸5aの回転中心CL2と後輪駆動軸13の回転中心CL1を結ぶ線L3よりも下方に位置するように配置した中間ギヤ機構(減速ギヤ機構10)と、ギヤ列の一部およびオイルポンプ18の少なくとも一部が浸かるように、潤滑油を溜めた油溜め部(オイルパン20a)と、を備え、中間ギヤ機構は減速ギヤ機構10で構成され、中間ギヤ軸(減速ギヤ軸10a)上に設けられ、電気モータ5と後輪6の間を接続・遮断するクラッチ10dをさらに備え、クラッチ10dは、作動油圧の供給により作動する油圧作動式のクラッチ10dで構成され、オイルポンプ18は、後輪駆動軸6の軸線方向において差動ギヤ機構12に対して油圧作動式のクラッチ10dと同じ側に配置され、後輪駆動軸13の回転により駆動されることによって、油圧作動式のクラッチ10dに作動油圧を供給することを特徴とする。
【0007】
この四輪駆動車両の動力伝達機構によれば、回転軸上のモータ軸ギヤ、中間ギヤ軸上の中間ギヤおよび後輪駆動軸上の差動ギヤ機構によりギヤ列が構成され、このギヤ列を含む動力伝達系を介して、電気モータの動力が後輪に伝達され、それにより、後輪が駆動される。また、ギヤ列の一部が油溜め部の潤滑油に浸かった状態となっているので、ギヤ列の回転に伴って跳ね上げられた潤滑油により、ギヤ列全体の潤滑が行われる。さらに、中間ギヤ軸は、その回転中心が回転軸の回転中心と後輪駆動軸の回転中心を結ぶ線よりも下方に位置するように配置されているので、これらの回転中心を直線上に並べた場合と比べて、動力伝達機構を小型化できるとともに、中間ギヤ軸の回転中心を両軸の回転中心を結ぶ線よりも上方に配置した場合と比べて、動力伝達機構のギヤ列全体に占める油に浸かった部分の割合を小さくできることにより、ギヤ列を含む動力伝達機構の回転抵抗を低減することができる。したがって、動力伝達機構の小型化および回転抵抗の低減を両立させることができるとともに、回転抵抗の低減により燃費を向上させることができる。さらに、上記のように、ギヤ列全体に占める油に浸かった部分の割合を小さくできることにより、ギヤ列の回転に伴う、気泡の潤滑油への混入を抑制することができる。また、オイルポンプの少なくとも一部が油溜め部の潤滑油に浸かった状態となっているので、従来のような吸い込み油路を例えばケーシングに形成する必要がなくなり、その分、四輪駆動車両をコンパクトにすることができるとともに、オイルポンプにおける潤滑油の吸い込み距離を短くすることができる。以上により、オイルポンプによって、潤滑油を気泡の混入割合の小さい状態で円滑かつ確実に供給することができる。
【0008】
さらに、クラッチが中間ギヤ軸上に設けられているので、これを電気モータの回転軸上に設けた場合よりも、クラッチ接続の際の差回転を小さくできることにより、クラッチ容量を小さくできるとともに、後輪駆動軸上に設けた場合よりも、搭載スペースを比較的に容易に確保することができる。すなわち、クラッチの低容量化と、搭載スペースの確保の容易性とを両立させることができる。また、後輪駆動軸の回転によりオイルポンプが駆動され、それにより作動油圧が油圧作動式のクラッチに供給され、クラッチが作動するとともに、潤滑油による潤滑が行われる。この場合、前述したように、潤滑油への気泡の混入が抑制されるので、オイルポンプにより、作動油圧を安定した状態でクラッチに供給することができる。また、オイルポンプが、後輪駆動軸の軸線方向において差動ギヤ機構に対してクラッチと同じ側に配置されているので、オイルポンプとクラッチの間の油路を、オイルポンプを差動ギヤ機構に対してクラッチと反対側に配置した場合よりも短くすることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の四輪駆動車両2の動力伝達機構1において、四輪駆動車両2の車両本体(ボディ2a)には、後輪6を支持するための複数の支持部材(上下の支持部9a,9b)が車両本体(ボディ2a)の左右方向に延びており、後輪駆動軸13は、後輪駆動軸13の回転軸線が複数の支持部材(上下の支持部9a,9b)に挟まれるように配置され、複数の支持部材(上下の支持部9a,9b)に支持されていることを特徴とする。
【0013】
この四輪駆動車両の動力伝達機構によれば、後輪駆動軸は、その回転軸線が車両本体の左右方向に延びる複数の支持部材に挟まれるように配置され、複数の支持部材に支持されているので、後輪からの負荷がかかる後輪駆動軸をバランスよく堅固に支持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る動力伝達機構について説明する。図1は、本実施形態の動力伝達機構1を適用した四輪駆動車両(以下「車両」という)2の概略構成を示している。同図に示すように、この車両2は、左右の前輪4,4をエンジン3で、左右の後輪6,6を電気モータ(以下「モータ」という)5でそれぞれ駆動する4WDタイプのものである。エンジン3は、車両2の前部に横置きに搭載されており、自動変速機3a、フロント差動ギヤ装置3bおよび前輪車軸3c,3cを介して、前輪4,4に接続されている。
【0015】
モータ5は、図示しないバッテリに接続されており、これから電力が供給されることによって回転する。また、この動力伝達機構1は、動力としてのモータ5のトルクを後輪6,6に伝達するものであり、減速ギヤ機構10およびリヤ差動ギヤ装置11などで構成されている。図2に示すように、動力伝達機構1は、リヤフロアパネル8の下方で、かつ燃料タンク7の後方に配置されている。なお、同図の2点鎖線L1は、最低地上高のラインを示している。これらのモータ5、減速ギヤ機構10およびリヤ差動ギヤ装置11は、図4に示すように、ケーシング20内に一緒に収容されており、このケーシング20の下側部分は、潤滑油を溜めるためのオイルパン20a(油溜め部)を構成している。なお、同図および図2の2点鎖線L2は、オイルパン20aに溜められた潤滑油の油面の高さを示している。
【0016】
また、リヤフロアパネル8には、リヤクロスビーム9(支持部材)が取り付けられている。このリヤクロスビーム9は、図示しないフレームに固定されており、高い剛性を有し、フレームと協働して、車両2のボディ2a(車両本体)の剛性を高めるとともに、リヤサスペンション21を支持している。
【0017】
さらに、リヤクロスビーム9は、リヤフロアパネル8の下面に沿って左右方向に延びる上支持部9aと、この上支持部9aの後ろ斜め下方の位置で左右方向に延びる下支持部9bなどを一体に組み立てることにより、ほぼ矩形の枠状に形成されている(図1参照)。ケーシング20は、後述する後輪駆動軸13の回転中心CL1がこれらの上下の支持部9a,9bの間に、これらと斜め方向にほぼ直線上に並んだ状態で、ボルトおよびラバーブッシュ(いずれも図示せず)などを介して、支持部9a,9bに取り付けられている。これにより、ケーシング20は、リヤクロスビーム9に堅固に取り付けられているとともに、後輪駆動軸13は、前後両側からバランスよく支持されている。
【0018】
さらに、リヤクロスビーム9およびフレームには、リヤサスペンション21,21が取り付けられている。各後輪6は、各リヤサスペンション21を介してフレームおよびリヤクロスビーム9に連結されており、それにより、走行中の振動が減衰される。さらに、排気管22が、エンジン3から車両本体2aの後端部に向かって、燃料タンク7を迂回しながら延びている。
【0019】
一方、図3に示すように、モータ5は、その回転軸5a上にモータ軸ギヤ5bを備えている。このモータ軸ギヤ5bは、回転軸5aに固定され、これと一体に回転する。また、このモータ軸ギヤ5bは、後述するように、減速ギヤ機構10およびリヤ差動ギヤ装置11の各種のギヤ10b,10c,14とともに、動力伝達系の一部をなすギヤ列を構成している。
【0020】
また、減速ギヤ機構10(中間ギヤ機構)は、回転軸5aに平行に設けられ、回転自在の減速ギヤ軸10aと、この減速ギヤ軸10a上に設けられた第1減速ギヤ10bおよび第2減速ギヤ10cと、減速ギヤ軸10aの両ギヤ10b,10c間に設けられたクラッチ10dなどで構成されている。この第1減速ギヤ10b(中間ギヤ)は、減速ギヤ軸10a(中間ギヤ軸)に固定されており、これと一体に回転する。また、第1減速ギヤ10bは、上記モータ軸ギヤ5bよりも大径で、これと常に噛み合っている。これにより、モータ5の回転は、モータ軸ギヤ5bおよび第1減速ギヤ10bを介して、減速ギヤ軸10aに減速された状態で伝達される。さらに、第2減速ギヤ10c(中間ギヤ)も、第1減速ギヤ10bと同様に、減速ギヤ軸10aに固定され、これと一体に回転するとともに、リヤ差動ギヤ装置11の後述する大ギヤ14と常に噛み合っている。
【0021】
さらに、クラッチ10dは、油圧作動式のシンクロクラッチであり、図示しないクラッチ駆動用アクチュエータで押圧駆動されることによって、第1減速ギヤ10bと第2減速ギヤ10cの間にトルクを伝達するとともに、この伝達トルクを入力トルクに対して所定の範囲内の割合(例えば0〜100%)で変更するものである。このクラッチ駆動用アクチュエータは、後述するオイルポンプ18に図示しない作動油路を介して接続されており、オイルポンプ18から油圧が供給されることによって作動し、クラッチ10dを押圧駆動する。この作動油路には、図示しない電磁弁が設けられており、この電磁弁の開度は、図示しない制御装置によって制御される。この電磁弁の開度制御によって、クラッチ駆動用アクチュエータに供給される油圧、すなわちクラッチ駆動用アクチュエータによるクラッチ10dの押圧力が制御される。それにより、モータ5から入力されるトルクは、クラッチ10dによりクラッチ駆動用アクチュエータの押圧力に応じた割合で変更され、リヤ差動ギヤ装置11に伝達される。
【0022】
また、リヤ差動ギヤ装置11は、差動ギヤ機構12と、この差動ギヤ機構12に連結された左右2つの後輪駆動軸13,13などを備えている。左右の後輪駆動軸13,13は、互いに同軸上に配置され、モータ5の回転軸5aおよび減速ギヤ機構10の減速ギヤ軸10aと平行に設けられている。また、減速ギヤ軸10aは、その回転中心CL3が後輪駆動軸13の回転中心CL1と回転軸5aの回転中心CL2を結んだ線L3よりも下方に位置するように、配置されている(図2,図4参照)。
【0023】
一方、差動ギヤ機構12は、プラネタリギヤ・ユニットタイプのものであり、リングギヤ12a、複数(例えば4つ)のプラネタリピニオンギヤ12b、サンギヤ12cおよびプラネットキャリア12dを備えている。このリングギヤ12aは、大小2つのギヤ14,15と一体に形成されたアイドルギヤタイプのものであり、両ギヤ14,15とともに左後輪駆動軸13上に回転自在に設けられている。
【0024】
また、サンギヤ12cは、左後輪駆動軸13、等速ジョイント16a、左後輪車軸17および等速ジョイント16bを介して、左後輪6に連結されている。これにより、サンギヤ12cと左後輪6は、互いに一体に回転する。さらに、複数のプラネタリピニオンギヤ12bは、プラネタリキャリア12dにより互いに一体に連結され、このプラネタリキャリア12dは、右後輪駆動軸13、等速ジョイント16a、右後輪車軸17および等速ジョイント16bを介して、右後輪6に連結されている。これにより、プラネタリキャリア12dと右後輪6は、互いに一体に回転する。
【0025】
一方、上記大ギヤ14は、前記第2減速ギヤ10cよりも大径で、これと常に噛み合っている。これにより、減速ギヤ軸10aの回転は、大ギヤ14と第2減速ギヤ10cの間の減速比により、減速された状態で、差動ギヤ機構12に伝達される。
【0026】
また、ケーシング20内には、オイルポンプ18が収容されている(図4参照)。このオイルポンプ18は、前記クラッチ駆動用アクチュエータへの油圧供給および差動ギヤ機構12などの潤滑を行うものであり、その下半部がオイルパン20a内の潤滑油に常に浸かるように配置されている。また、オイルポンプ18は、オイルパン20aの底面のうちの最も低い部位に対向し、その底面との間に若干の間隔を存する吸い込み口18bと、この吸い込み口18bから吸い込まれた潤滑油を濾過するストレーナ18cとを備えている(図4,5参照)。
【0027】
さらに、オイルポンプ18の吐出口(図示せず)は、前記作動油路を介して前記クラッチ駆動用アクチュエータに接続されている。また、オイルポンプ18の吐出口には、潤滑油路管18d,18eがそれぞれ接続されている(図4および図5参照)。潤滑油路管18dは、オイルポンプ18から上方に延び、その先端から後輪駆動軸13側に折れ曲がっており、先端が後輪駆動軸13の軸受(図示せず)に近接する位置に開口している。さらに、潤滑油路管18eは、オイルポンプ18から上方に延び、その先端が差動ギヤ機構12に近接する位置に開口している。
【0028】
また、オイルポンプ18は、互いに噛み合う2つの歯車(図示せず)を内蔵した歯車ポンプタイプのものであり、一方の歯車は、ポンプ軸18aに連結されている。このポンプ軸18a上に、前記小ギヤ15と常に噛み合う連結ギヤ19が一体に設けられている。これにより、オイルポンプ18は、車輪6の回転中、常に回転駆動されることによって、オイルパン20a内の潤滑油を、作動油路を介してクラッチ駆動用アクチュエータに作動油圧として供給するとともに、潤滑油路管18d,18eを介して、軸受および差動ギヤ機構12にそれぞれ供給する。
【0029】
さらに、以上の各種のギヤ5b,10b,10c,12,19はいずれも、その下部がオイルパン20a内の潤滑油に常に浸かった状態になっており(図2,図4参照)、モータ5の回転に伴って回転することにより、潤滑油がそれぞれのギヤに向かって跳ね上げられ(またはかき上げられ)、それにより、ギヤ列を含む動力伝達系の潤滑が実行される。また、これらのギヤは、潤滑油面に対して、各ギヤの回転中、それに伴う潤滑油の跳ね上げによるギヤ列全体の円滑な潤滑と、回転抵抗の低減とをいずれも適切なバランスで達成できるように、配置されている。
【0030】
以上の動力伝達機構1の動作について説明する。電力供給によりモータ5が回転すると、そのトルクは、以下に述べるように、モータ軸ギヤ5b、減速ギヤ機構10および差動ギヤ機構12で構成されたギヤ列を含む動力伝達系を介して、後輪6,6に伝達される。すなわち、モータ5のトルクは、モータ軸ギヤ5bと第1減速ギヤ10bの噛み合いにより、減速ギヤ軸10aに伝達され、さらに、クラッチ10dにより伝達トルクが変更される。この変更された伝達トルクは、第2減速ギヤ10cと大ギヤ14の噛み合いにより、リヤ差動ギヤ装置11の差動ギヤ機構12のリングギヤ12aに伝達された後、リングギヤ12a、プラネタリピニオンギヤ12bおよびサンギヤ12cなどを介して、左右の後輪6,6に伝達される。
【0031】
以上のような動力伝達系において、モータ5の回転は、モータ軸ギヤ5bと第1減速ギヤ10bの間のギヤ比、および第2減速ギヤ10cと大ギヤ14の間のギヤ比により減速されて、左右の後輪6,6に伝達される。
【0032】
以上の本実施形態の動力伝達機構1では、減速ギヤ軸10aの回転中心CL3が、モータ5の回転軸5aの回転中心CL2と後輪駆動軸13の回転中心CL1を結ぶ線L3よりも下方の位置に配置されている。このような、互いに平行な複数の軸の間に構成されたギヤ列を備える動力伝達機構1では、差動ギヤ機構12において差回転が発生するため、その潤滑を確実に行う必要があるので、潤滑油を溜めるオイルパン20aを差動ギヤ機構12の下側に配置し、差動ギヤ機構12の一部を潤滑油に浸かった状態とする必要がある。また、動力伝達機構1を小型化する観点からは、互いに平行な回転軸5aおよび後輪駆動軸13の間に減速ギヤ軸10aを配置する場合、減速ギヤ軸10aの回転中心CL3を、モータ5の回転軸5aの回転中心CL2と後輪駆動軸13の回転中心CL1を結ぶ線L3よりも下方または上方の位置に配置する方が、これらの回転中心CL1〜CL3を同一線上に並べた配置よりも有利である。その場合、減速ギヤ軸10aの回転中心CL3を下方にずらした配置の方が、上方にずらした配置よりも、潤滑油をギヤ列全体に潤滑させる観点から有利であるとともに、ギヤ列全体に占める油に浸かった部分の割合を小さくできることにより、ギヤ列を含む動力伝達系の回転抵抗を低減することができる。したがって、本発明によれば、上記のような減速ギヤ軸10aの配置により、動力伝達機構1の小型化および回転抵抗の低減を両立させることができるとともに、回転抵抗の低減により良好な燃費を確保することができる。
【0033】
さらに、上記のように、ギヤ列全体に占める油に浸かった部分の割合を小さくできることにより、ギヤ列の回転に伴う、気泡の潤滑油への混入を抑制することができる。また、オイルポンプ18の下半部がオイルパン20a内の潤滑油に浸かった状態となっているので、従来のような吸い込み油路をケーシング20に形成する必要がなくなり、その分、車両2をコンパクトにすることができるとともに、オイルポンプ18における潤滑油の吸い込み距離を短くすることができる。以上により、オイルポンプ18によって、気泡の混入割合の小さい状態の潤滑油を円滑かつ確実に軸受および差動ギヤ機構12に供給することができる。
【0034】
また、このような動力伝達機構1では、クラッチ10dをモータ5の回転軸5aに設けた場合、減速ギヤ軸10aまたは後輪駆動軸13に設けた場合と比較して、モータ5の回転軸5aの回転数が減速ギヤ軸10aおよび後輪駆動軸13よりも大きいため、モータ5の回転中、クラッチ10dを接続する際における接続前後の回転差がより大きくなることにより、より大きなクラッチ容量が必要になる。一方、クラッチ10dを後輪駆動軸13上に設けた場合、後輪駆動軸13の回転数がモータ5の回転軸5aよりも小さいため、クラッチ容量をより小さくすることができるけれども、クラッチ10dを、動力伝達系のうちの比較的サイズの大きい差動ギヤ機構12よりもモータ5側に設けなければならないため、搭載スペースの確保が困難になるとともに、最悪の場合には、動力伝達機構1の大型化を招いてしまう。したがって、本実施形態の動力伝達機構1では、クラッチ10dが減速ギヤ軸10aに設けられているので、クラッチ10dをモータ5の回転軸5aに設けた場合よりも、クラッチを接続する際の回転差を小さくできることにより、クラッチ容量を小さくできるとともに、クラッチ10dを後輪駆動軸13に設けた場合よりも、その搭載スペースを容易に確保することができる。すなわち、クラッチ10dの低容量化と、搭載スペースの確保の容易性とを両立させることができる。
【0035】
また、オイルポンプ18が、後輪駆動軸13の軸線方向において差動ギヤ機構12に対してクラッチ10dと同じ側に設けられているので、オイルポンプ18とクラッチ10dの間の作動油路を、オイルポンプ18を差動ギヤ機構12に対してクラッチ10dと反対側に設けた場合と比較して、短くすることができる。
【0036】
さらに、ケーシング20は、後輪駆動軸13の回転中心CL1が剛性の高いリヤクロスビーム9の上下の支持部9a,9bの間に、これらと斜め方向にほぼ直線上に並んだ状態で、支持部9a,9bに取り付けられているので、リヤクロスビーム9により、後輪6からの負荷がかかる後輪駆動軸13を堅固に支持できるとともに、前後両側からバランスよく支持することができる。
【0037】
なお、実施形態は、オイルポンプ18を後輪駆動軸13で駆動する例であるが、これに限らず、オイルポンプ18を他の駆動源で駆動してもよいことは言うまでもない。例えば、電気モータ5をギヤ列を介してオイルポンプ18に連結することにより、電気モータ5でオイルポンプ18を駆動する構成としてもよい。また、オイルポンプ18を、電気モータおよびポンプ機構を一体に組み込んだ電動オイルポンプとして構成してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明の四輪駆動車両の動力伝達機構によれば、小型化および回転抵抗の低減を両立させることができるとともに、回転抵抗の低減により燃費を向上させることができる。また、オイルポンプによって、潤滑油を気泡の混入割合の小さい状態で円滑かつ確実に供給することができる。さらに、クラッチの低容量化と、搭載スペースの確保の容易性とを両立させることができる。また、オイルポンプとクラッチの間の油路をより短くすることができる。さらに、後輪からの負荷がかかる後輪駆動軸をバランスよく堅固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る動力伝達機構を適用した四輪駆動車両の概略構成図である。
【図2】動力伝達機構の回転軸、中間ギヤ軸および後輪駆動軸の配置を示す図である。
【図3】動力伝達機構の概略構成を示す構造線図である。
【図4】動力伝達機構の概略構成を示す右側断面図である。
【図5】動力伝達機構の概略構成を示す一部を破断した左側面図である。
【符号の説明】
1 動力伝達機構
2 四輪駆動車両
2a ボディ(車両本体)
3 エンジン
4 前輪
5 電気モータ
5a 回転軸
5b モータ軸ギヤ
6 後輪
9a 上支持部(支持部材)
9b 下支持部(支持部材)
10 減速ギヤ機構(中間ギヤ機構)
10a 減速ギヤ軸(中間ギヤ軸)
10b 第1減速ギヤ(中間ギヤ)
10c 第2減速ギヤ(中間ギヤ)
10d クラッチ
12 差動ギヤ機構
13 後輪駆動軸
18 オイルポンプ
20a オイルパン(油溜め部)
CL1 後輪駆動軸の回転中心
CL2 回転軸の回転中心
CL3 減速ギヤ軸の回転中心
L3 回転軸の回転中心と減速ギヤ軸の回転中心を結ぶ線
Claims (2)
- エンジンで前輪を駆動し、電気モータで後輪を駆動するとともに、潤滑油を供給するためのオイルポンプを有する四輪駆動車両において、前記電気モータの動力を前記後輪に伝達する四輪駆動車両の動力伝達機構であって、
前記電気モータの回転軸上に設けられたモータ軸ギヤと、
前記回転軸と平行で、前記後輪と一体に回転する後輪駆動軸と、
当該後輪駆動軸上に設けられた差動ギヤ機構と、
前記回転軸と平行な中間ギヤ軸と、当該中間ギヤ軸上に設けられ、前記モータ軸ギヤおよび前記差動ギヤ機構とともにギヤ列を構成する中間ギヤとを有し、前記中間ギヤ軸を、当該中間ギヤ軸の回転中心が前記回転軸の回転中心と前記後輪駆動軸の回転中心を結ぶ線よりも下方に位置するように配置した中間ギヤ機構と、
前記ギヤ列の一部および前記オイルポンプの少なくとも一部が浸かるように、前記潤滑油を溜めた油溜め部と、
を備え、
前記中間ギヤ機構は減速ギヤ機構で構成され、
前記中間ギヤ軸上に設けられ、前記電気モータと前記後輪の間を接続・遮断するクラッチをさらに備え、
前記クラッチは、作動油圧の供給により作動する油圧作動式のクラッチで構成され、
前記オイルポンプは、前記後輪駆動軸の軸線方向において前記差動ギヤ機構に対して前記油圧作動式のクラッチと同じ側に配置され、前記後輪駆動軸の回転により駆動されることによって、前記油圧作動式のクラッチに作動油圧を供給することを特徴とする四輪駆動車両の動力伝達機構。 - 前記四輪駆動車両の車両本体には、前記後輪を支持するための複数の支持部材が前記車両本体の左右方向に延びており、
前記後輪駆動軸は、当該後輪駆動軸の回転軸線が前記複数の支持部材に挟まれるように配置され、前記複数の支持部材に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の四輪駆動車両の動力伝達機構。
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