JP3684601B2 - 記録情報の編集方法及び編集装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は音声データなどを記録できる記録媒体についての編集装置、及び記録情報の編集方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスク、レーザディスク、ビデオCDのように再生専用の記録媒体や、光磁気ディスクを用いたミニディスクや磁気テープを用いたDATなどユーザーが音楽データ等を記録することのできる記録媒体が各種普及している。
ここにあげたような記録媒体では、音声や映像以外のデータとして管理情報が記録され、記録/再生動作の際に記録再生装置側でアクセスすべき位置等が把握できるようにしている。
【0003】
ここで、データ書き換え可能なミニディスクシステム例にあげると、ディスクの内周側位置には管理情報としてP−TOC(プリマスタードTOC)、U−TOC(ユーザーTOC)を記録するエリアが設けられている。
P−TOCではディスク上の基本的なエリア構成等が記録され、またU−TOCは記録された各トラックのアドレスや未記録領域(フリーエリア)のアドレス、さらにトラック録音日時情報や文字情報が記録されるように構成されている。このユーザーTOCは記録や編集動作に応じて書き換えられるようになされている。
【0004】
例えばミニディスク記録装置で或る楽曲の録音を行なおうとする際には、記録装置はU−TOCからディスク上のフリーエリアを探し出し、ここにトラックとなる音声データを記録していく。また、再生装置においては再生すべき楽曲(トラック)が記録されているエリアをU−TOCから判別し、そのエリアにアクセスして再生動作を行なう。さらに、トラックを消去する場合は、U−TOC上でそのトラックをフリーエリアに組み込むことで実行される。また、トラックの分割,連結などはU−TOC上で該当するトラックのアドレスを変更することで実現される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでミニディスク記録装置による録音動作の一つとしては、CDプレーヤ、テーププレーヤなどからの再生音声をダビングするという使用形態が考えられる。そして、ダビング時の音声信号の伝送のための接続形態としてはアナログ音声信号によるライン接続と、デジタルデータを光伝送するデジタル接続があり、ユーザーは任意にいづれかを選択できる。
【0006】
このようなダビング録音として、例えば10曲入のCDからダビングするような場合を例にあげると、記録装置で録音されたミニディスク上でも、録音終了時点で録音データが10トラックに分けられている状態であることが好ましい。つまり、音声ソースとなるCD上と同様にトラックが分割されていることで、ユーザーはミニディスク上ですぐさま所望の曲をサーチして再生させることができる。このため、デジタル接続の場合は、伝送データに含まれているトラックナンバ情報やインデックス情報、もしくはトラック内での経過時間情報などを用いて、記録装置側で録音中に自動的にトラックナンバが更新されるようにし、これによってCD側と同様に各トラック(各楽曲)が分割設定されるようにしている。
【0007】
一方、音声情報しか伝送されないアナログ接続の場合は、このような処理はできないため、図23(a)のように伝送されてくる音声情報として一定時間(例えば3秒)以上、無音(所定レベル以下)の期間が存在したら、そこを曲と曲の切れ目と判断して、図23(b)のようにトラックナンバを更新するようにしている。
通常はこのような無音検出に応じてトラックナンバを更新していくことで、録音終了時点では、例えばCDなどのソース側の記録媒体と同様のトラック分割状態が設定されていることになる。
【0008】
ところがダビングソース側の再生音声としても種々のものがあり、無音検出では正確にトラックナンバを更新できないといった事態も多々生じることになる。例えばライブコンサートを収録したCDなどでは曲と曲の間に観客の拍手や声などが録音されているため、無音状態とならない。また曲と曲がメドレー形式でつながっている場合もある。これらの場合、ミニディスク記録装置側ではトラックナンバの更新ポイントを検出できず、複数のトラックを1つのトラックとして記録してしまうことになる。
例えば図24(a)のようにCD側から再生される音声がM1 〜M4 のトラック(4曲)とされていたが、これがライブ録音などで曲と曲の間に無音期間がなかった場合、ミニディスク側では図24(b)のようにM1 〜M4 までのトラックが1つのトラックM1 として録音されてしまう。
【0009】
また逆に、曲の途中で無音状態が発生する部分があった場合は、記録装置側ではそこをトラックナンバの更新ポイントと誤認してしまい、トラック分割を行なってしまう。つまり、1つのトラックを2つのトラックにわけた状態で記録してしまう。
例えば図25(a)のようにCD側から再生されるトラックM2 の途中において無音部分があった場合、図25(b)のようにミニディスク側ではトラックM2 が2つのトラックM2 ,M3 として録音されてしまう。
【0010】
このように適正にトラック分割が行なわれなかった場合は、ユーザーは録音後の編集操作で、間違って分割されたり連結されたポイントを探して、連結処理又は分割処理を行なえばよいのであるが、これは面倒な操作となってしまう。
例えば実際にトラック分割ポイントであるのに分割されていないポイントを探すためには、早送りサーチを続けてそのポイントを探さなければならない。またメドレーでつながっている曲など、場合によっては適正な分割ポイントがユーザーにも分からないといったこともある。
【0011】
また、無音検出をやめてユーザーが録音中に所要のタイミングでトラック分割操作を行なっていくこともできるが、これは録音している機器につきっきりにならねばならず、またトラック分割操作タイミングを間違えないようにしなければならないため、面倒かつ困難なものとなってしまう。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような問題に鑑みて、ユーザーが各トラックの再生時間を入力することで、それに基づいてトラックが分割されるようにすることで、アナログ接続によって録音されるデータについての正確なトラック設定を容易に実行できるようにすることを目的とする。
【0013】
このため、記録データとともに、記録データを、1つの記録データ単位となるトラック毎に管理する管理情報が記録される記録媒体に対する記録情報の編集方法において、記録動作前、記録動作中、もしくは記録動作後において、トラック毎に再生時間情報を入力する入力手順と、記録中に入力される無音部分を検知する検知手順と、上記検知手順で無音が検知された場合に、上記入力手順で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて無音検知に基づく分割位置が適正か否かを判断する判断手順と、上記判断手順で適正でないと判断された場合には上記入力手順で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて分割位置を修正する修正手順と、上記修正手順にて修正された分割位置に基づいて上記記録媒体の管理情報を更新する更新手順とを備える。
【0014】
上記分割位置の修正は上記無音検知に基づいて決定された分割位置で2分割された記録データを結合処理する。
【0015】
また、編集装置として、記録データとともに、記録データを、1つの記録データ単位となるトラック毎に管理する管理情報が記録される記録媒体に対する記録情報の編集装置において、記録動作前、記録動作中、もしくは記録動作後において、トラック毎に再生時間情報を入力する入力手段と、記録中に入力される無音部分を検知する検知手段と、上記検知手段で無音が検知された場合に、上記入力手段で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて無音検知に基づく分割位置が適正か否かを判断する判断手段と、上記判断手段で適正でないと判断された場合には、上記入力手段で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて分割位置を修正する修正手段と、上記修正手段にて修正された分割位置に基づいて上記記録媒体の管理情報を更新する更新手段とを備える。
【0016】
上記分割位置の修正は上記無音検知に基づいて決定された分割位置で2分割された記録データを結合処理する。
【0028】
【作用】
CDなどのパッケージソフトでは、添付されている解説書(ライナーノート)などから各トラック(楽曲)の演奏時間を知ることができる。そこで、各トラックについて再生時間を入力するようにすれば、記録装置ではそれに応じて最適なトラック分割を行なうことが可能となる。
【0029】
【実施例】
以下、図1〜図22を用いて、本発明の第1〜第3の実施例として、光磁気ディスク(ミニディスク)記録再生装置を例にあげ、次の順序で説明する。なお、記録再生装置の構成、トラックフォーマット、P−TOCセクター、U−TOCセクターについては、各実施例共通に説明する。
1.記録再生装置の構成
2.トラックフォーマット
3.P−TOCセクター
4.U−TOCセクター
5.第1の実施例(ディバイド設定処理に基づく録音後の編集)
6.第2の実施例(ディバイド設定処理に基づく録音中の編集)
7.第3の実施例(録音後のトラック毎のディバイド位置編集)
【0030】
1.記録再生装置の構成
図1は記録再生装置の要部のブロック図を示している。
図1において、1は例えば音声データトラックが記録されている光磁気ディスクを示している。
ディスク1に記録されている楽曲等の音声データは、44.1KHz サンプリングで16ビット量子化によるデジタルデータが変形DCT(Modified Discreate Cosine Transform )圧縮技術により約1/5に圧縮され、さらにEFM変調及びCIRCエンコードが施されたデータとされている。
【0031】
この光磁気ディスク1はスピンドルモータ2により回転駆動される。3は光磁気ディスク1に対して記録/再生時にレーザ光を照射する光学ヘッドであり、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力をなし、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力をなす。
【0032】
このため、光学ヘッド3はレーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏向ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系、及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。対物レンズ3aは2軸機構4によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0033】
また、6aは供給されたデータによって変調された磁界を光磁気ディスクに印加する磁気ヘッドを示し、光磁気ディスク1を挟んで光学ヘッド3と対向する位置に配置されている。光学ヘッド3全体及び磁気ヘッド6aは、スレッド機構5によりディスク半径方向に移動可能とされている。
【0034】
再生動作によって、光学ヘッド3により光磁気ディスク1から検出された情報はRFアンプ7に供給される。RFアンプ7は供給された情報の演算処理により、再生RF信号、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、グルーブ情報(光磁気ディスク1にプリグルーブ(ウォブリンググルーブ)として記録されている絶対位置情報)等を抽出する。そして、抽出された再生RF信号はエンコーダ/デコーダ部8に供給される。また、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号はサーボ回路9に供給される。
絶対位置情報がFM変調されて記録されているグルーブ情報はアドレスデコーダ10に供給され、復調及びデコード処理が施されて絶対位置情報とされ、マイクロコンピュータによって構成されるシステムコントローラ11に供給されることになる。
【0035】
サーボ回路9は供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号や、システムコントローラ11からのトラックジャンプ指令、アクセス指令、スピンドルモータ2の回転速度検出情報等により各種サーボ駆動信号を発生させ、2軸機構4及びスレッド機構5を制御してフォーカス及びトラッキング制御をなし、またスピンドルモータ2を一定線速度(CLV)に制御する。
【0036】
再生RF信号はエンコーダ/デコーダ部8でEFM復調、ACIRC等のデコード処理された後、メモリコントローラ12によって、一旦、D−RAMにより形成されているバッファRAM13に書き込まれる。なお、光学ヘッド3による光磁気ディスク1からのデータの読み取り及び光学ヘッド3からバッファRAM13までの系における再生データの転送は1.41Mbit/secで、しかも間欠的に行なわれる。
【0037】
バッファRAM13に書き込まれたデータは、再生データの転送が0.3Mbit/sec となるタイミングで読み出され、エンコーダ/デコーダ部14に供給される。そして、変形DCT処理による音声圧縮処理に対するデコード処理により量子化16ビットの出力デジタル信号とされる。
【0038】
出力デジタル信号は、D/A変換器15によってアナログ信号とされ端子16Aに供給される。そして、端子16より所定の回路部を経てヘッドホンやライン出力端子に供給される。または、エンコーダ/デコーダ部14からの出力デジタル信号はアナログ化されずに端子16Dより光出力端子に供給される。
【0039】
エンコーダ/デコーダ部8で検出されるデータとして記録されているアドレス情報や制御動作に供されるサブコードデータはシステムコントローラ11に供給され、各種の制御動作に用いられる。
さらに、記録/再生動作のビットクロックを発生させるPLL回路のロック検出信号、及び再生データ(L,Rチャンネル)のフレーム同期信号の欠落状態のモニタ信号もシステムコントローラ11に供給される。
【0040】
また、システムコントローラ11は光学ヘッド3におけるレーザダイオードの動作を制御するレーザ制御信号SLPを出力しており、レーザダイオードの出力をオン/オフ制御するとともに、オン制御時としては、レーザパワーが比較的低レベルである再生時の出力と、比較的高レベルである記録時の出力とを切り換えることができるようになされている。
【0041】
光磁気ディスク1に対して記録動作が実行される際には、マイク入力端子もしくはライン入力端子から入力されたアナログ音声信号が端子17Aに供給される。そして、A/D変換器18において44,1KHz サンプリング、量子化16ビットのデジタルデータとされた後、エンコーダ/デコーダ部14に供給される。又は、光入力端子から入力されるデジタル音声信号は端子17Dからエンコーダ/デコーダ部14に供給される。
【0042】
エンコーダ/デコーダ部14では入力されたデジタル音声信号に対して、変形DCT処理による音声圧縮エンコードを施す。エンコーダ/デコーダ部14によって圧縮された記録データはメモリコントローラ12によって一旦バッファRAM13に書き込まれ、また所定タイミングで読み出されてエンコーダ/デコーダ部8に送られる。そしてエンコーダ/デコーダ部8でACIRCエンコード、EFM変調等のエンコード処理された後、磁気ヘッド駆動回路6に供給される。
【0043】
磁気ヘッド駆動回路6はエンコード処理された記録データに応じて、磁気ヘッド6aに磁気ヘッド駆動信号を供給する。つまり、光磁気ディスク1に対して磁気ヘッド6aによるN又はSの磁界印加を実行させる。また、このときシステムコントローラ11は光学ヘッドに対して、記録レベルのレーザ光を出力するように制御信号を供給する。
【0044】
19はユーザー操作に供されるキーが設けられた操作入力部であり、再生キー、サーチキー、AMSキー、停止キー、録音キーなどが設けられる。また、編集操作のためのキーも設けられ、データトラックに対して各種編集動作が実行されるようになされている。
編集動作としては、指定した楽曲(トラック)を消去するトラック消去、トラックを指定した箇所で2つのトラックに分割するトラック分割(ディバイド)、指定した2つのトラックを連結して1つのトラックとするトラック連結(コンバイン)、記録されているトラックの曲順を変更するトラック移動(ムーブ)、指定した楽曲についての曲名や装填されているディスクに対するディスクタイトルを入力し記憶させるネームイン処理、記録されている曲名やディスクタイトルを消去するネームイレーズ処理などが用意されている。
さらに本実施例では、後述するディバイド設定処理のためのモードキーや時間情報を入力ことができるキーが設けられている。
【0045】
20は表示部であり、再生時や録音時の動作状況、再生/録音中のトラックナンバ、進行時間、モード状態、トラックに対応した文字情報等をシステムコントローラ11の制御に応じて表示する。
【0046】
システムコントローラ11は記録/再生/編集等の各種動作を制御するためにマイクロコンピュータによって構成されている。11aはシステムコントローラ11内におけるRAMであり、例えばS−RAMによって構成されている。
【0047】
ディスク1に対して記録/再生動作を行なう際には、ディスク1に記録されている管理情報、即ちP−TOC、U−TOCは、バッファRAM13に読み込まれて保持される。例えばディスク装填時にこの読み出しが行なわれる。このためバッファRAM13は、上記した記録データ/再生データのバッファエリアと、管理情報を保持するエリアが分割設定されている。
システムコントローラ11はバッファRAM13に読み込んだ管理情報に応じてディスク1上の記録可能な領域や、再生すべきトラックのアドレスを判別して、各種制御を行なうことになる。
【0048】
また、U−TOCはデータの記録や消去に応じて編集されて書き換えられるものであるが、システムコントローラ11は記録/消去動作のたびにこの編集処理をバッファRAM13に記憶されたU−TOC情報に対して行ない、所定のタイミングでバッファRAM13上のU−TOCをディスク1のU−TOCエリアに記録するようにしている。
【0049】
2.トラックフォーマット
ここでミニディスクシステムにおけるディスク上のトラックフォーマットについて説明する。
ミニディスクシステムでのトラックフォーマットは図18のように4セクターの(1セクタ=2352バイト)サブデータ領域と32セクターのメインデータ領域からなるクラスタCL(=36セクタ−)が連続して形成されており、1クラスタが記録時の最小単位とされる。1クラスタは2〜3周回トラック分に相当する。なお、アドレスは1セクター毎に記録される。
4セクターのサブデータ領域はサブデータやリンキングエリアとしてなどに用いられ、TOCデータ、オーディオデータ等の記録は32セクターのメインデータ領域に行なわれる。
【0050】
また、セクターはさらにサウンドグループに細分化され、2セクターが11サウンドグループに分けられている。そして、424バイトのサウンドグループ内にはデータがLチャンネルとRチャンネルに分けられて記録されることになる。1サウンドグループは11.61msec の時間に相当する音声データ量となり、1クラスタは再生時間として約2秒のデータ量となる。
なお、Lチャンネル又はRチャンネルのデータ領域となる212バイトをサウンドフレームとよんでいる。
【0051】
音声データの記録されるセクターのフォーマットは図19のように設定されている。
このセクター(2352バイト)において、先頭の12バイトは同期データとされる。続いて3バイトがクラスタアドレス及びセクターアドレス用に設定され、続く1バイトがモードとされ、ヘッダとされる。
【0052】
ヘッダにつづいて4バイトがサブヘッダとされ、サブヘッダにつづくバイト、即ちセクターの第21バイト目〜第2352バイト目までの2332バイトがデータエリア(Data0 〜Data2331)とされている。
この2332バイトのデータエリアには212バイトのサウンドフレームが11単位(=5.5 サウンドグループ)記録されることになる。
【0053】
3.P−TOCセクター
次に、ディスク1においてトラックの記録/再生動作などの管理を行なう管理情報として、まずP−TOCセクターについて説明する。
P−TOC情報としては、ディスクの記録可能エリア(レコーダブルユーザーエリア)などのエリア指定やU−TOCエリアの管理等が行なわれる。なお、ディスク1が再生専用の光ディスクであるプリマスタードディスクの場合は、P−TOCによってROM化されて記録されている楽曲の管理も行なうことができるようになされている。
【0054】
図20はP−TOC用とされる領域(例えばディスク最内周側のROMエリア)において繰り返し記録されるP−TOC情報の1つのセクター(セクター0)を示している。なお、P−TOCセクターはセクター0〜セクター4まで存在するが、セクター1以降はオプションとされている。
【0055】
P−TOCセクター0のデータ領域(4バイト×588 の2352バイト)は、先頭位置にオール0又はオール1の1バイトデータによって成る同期パターンを及びクラスタアドレス及びセクターアドレスを示すアドレス等が4バイト付加され、以上でヘッダとされる。
また、ヘッダに続いて所定アドレス位置に『MINI』という文字に対応したアスキーコードによる識別IDが付加され、P−TOCの領域であることが示される。
【0056】
さらに、続いてディスクタイプや録音レベル、記録されている最初の楽曲の曲番(First TNO)、最後の楽曲の曲番(Last TNO) 、リードアウトスタートアドレスLOA 、パワーキャルエリアスタートアドレスPCA 、U−TOCのスタートアドレスUSTA 、録音可能なエリア(レコーダブルユーザーエリア)のスタートアドレスRSTA 等が記録される。
【0057】
続いて、ピット形態で記録されている各楽曲等を後述する管理テーブル部におけるパーツテーブルに対応させるテーブルポインタ(P-TNO1 〜P-TNO255) を有する対応テーブル指示データ部が用意されている。
【0058】
そして対応テーブル指示データ部に続く領域には、テーブルポインタ(P-TNO1 〜P-TNO255) に対応されることになる、(01h) 〜(FFh) までの255個のパーツテーブルが設けられた管理テーブル部が用意される。なお本明細書において『h』を付した数値はいわゆる16進表記のものである。
それぞれのパーツテーブルには、或るパーツについて起点となるスタートアドレス、終端となるエンドアドレス、及びそのパーツのモード情報(トラックモード)が記録できるようになされている。
【0059】
各パーツテーブルにおけるトラックのモード情報とは、そのパーツが例えばオーバーライト禁止やデータ複写禁止に設定されているか否かの情報や、オーディオ情報か否か、モノラル/ステレオの種別などが記録されている。
【0060】
管理テーブル部における(01h) 〜(FFh) までの各パーツテーブルは、テーブルポインタ (P-TNO1〜P-TNO255) によって、そのパーツの内容が示される。つまり、第1曲目の楽曲についてはテーブルポインタP-TNO1として或るパーツテーブル(例えば(01h) )が記録されており、この場合パーツテーブル(01h) のスタートアドレスは第1曲目の楽曲の記録位置のスタートアドレスとなり、同様にエンドアドレスは第1曲目の楽曲が記録された位置のエンドアドレスとなる。さらに、トラックモード情報はその第1曲目についての情報となる。
なお、実際にはテーブルポインタには所定の演算処理によりP−TOCセクター0内のバイトポジションで或るパーツテーブルを示すことができる数値が記されている。
【0061】
同様に第2曲目についてはテーブルポインタP-TNO2に示されるパーツテーブル(例えば(02h) )に、その第2曲目の記録位置のスタートアドレス、エンドアドレス、及びトラックモード情報が記録されている。
以下同様にテーブルポインタはP-TNO255まで用意されているため、P−TOC上では第255曲目まで管理可能とされている。
そして、このようにP−TOCセクター0が形成されることにより、例えば再生時において、所定の楽曲をアクセスして再生させることができる。
【0062】
なお、記録/再生可能な光磁気ディスクの場合いわゆるプリマスタードの楽曲エリアが存在しないため、上記した対応テーブル指示データ部及び管理テーブル部は用いられず(これらは続いて説明するU−TOCで管理される)、従って各バイトは全て『00h』とされている。
ただし、全ての楽曲がROM形態(ピット形態)で記録されているプリマスタードタイプのディスク、及び楽曲等が記録されるエリアとしてROMエリアと光磁気エリアの両方を備えたハイブリッドタイプのディスクについては、そのROMエリア内の楽曲の管理に上記対応テーブル指示データ部及び管理テーブル部が用いられる。
【0063】
4.U−TOCセクター
続いてU−TOCとしてU−TOCのセクター0及びセクター2の説明を行なう。なお、U−TOCセクターとしてはセクター0〜セクター7まで構成することができ、セクター1及びセクター4はトラックやディスクに対応する文字情報を記録できるエリアとされ、またセクター2は録音日時情報を記録できるエリアとされている。これらは本発明と直接関係ないため説明を省略する。
【0064】
図21はU−TOCセクター0のフォーマットを示しており、主にユーザーが録音を行なった楽曲や新たに楽曲が録音可能なフリーエリアについての管理情報が記録されているデータ領域とされる。
例えばディスク1に或る楽曲の録音を行なおうとする際には、システムコントローラ11は、U−TOCセクター0からディスク上のフリーエリアを探し出し、ここに音声データを記録していくことになる。また、再生時には再生すべき楽曲が記録されているエリアをU−TOCセクター0から判別し、そのエリアにアクセスして再生動作を行なう。
【0065】
図21に示すU−TOCセクター0には、P−TOCと同様にまずヘッダが設けられ、続いて所定アドレス位置にメーカーコード、モデルコード、最初の楽曲の曲番(First TNO)、最後の楽曲の曲番(Last TNO)、セクター使用状況(Used sectors)、ディスクシリアルナンバ、ディスクID等のデータが記録される。
【0066】
さらに、ユーザーが録音を行なって記録されている楽曲の領域やフリーエリア等を後述する管理テーブル部に対応させることによって識別するため、対応テーブル指示データ部として各種のテーブルポインタ(P-DFA,P-EMPTY ,P-FRA ,P-TNO1〜P-TNO255) が記録される領域が用意されている。
【0067】
そしてテーブルポインタ(P-DFA〜P-TNO255) に対応させることになる管理テーブル部として(01h) 〜(FFh) までの255個のパーツテーブルが設けられ、それぞれのパーツテーブルには、上記図20のP−TOCセクター0と同様に或るパーツについて起点となるスタートアドレス、終端となるエンドアドレス、そのパーツのモード情報(トラックモード)が記録されている。
さらにこのU−TOCセクター0の場合、各パーツテーブルで示されるパーツが他のパーツへ続いて連結される場合があるため、その連結されるパーツのスタートアドレス及びエンドアドレスが記録されているパーツテーブルを示すリンク情報が記録できるようにされている。
【0068】
この種の記録再生装置では、1つの楽曲のデータを物理的に不連続に、即ち複数のパーツにわたって記録されていてもパーツ間でアクセスしながら再生していくことにより再生動作に支障はないため、ユーザーが録音する楽曲等については、録音可能エリアの効率使用等の目的から、複数パーツにわけて記録する場合もある。
【0069】
そのため、リンク情報が設けられ、例えば各パーツテーブルに与えられたナンバ(01h) 〜(FFh) によって、連結すべきパーツテーブルを指定することによってパーツテーブルが連結できるようになされている。
つまりU−TOCセクター0における管理テーブル部においては、1つのパーツテーブルは1つのパーツを表現しており、例えば3つのパーツが連結されて構成される楽曲についてはリンク情報によって連結される3つのパーツテーブルによって、そのパーツ位置の管理はなされる。
なお、実際にはリンク情報は所定の演算処理によりU−TOCセクター0内のバイトポジションとされる数値で示される。即ち、304+(リンク情報)×8(バイト目)としてパーツテーブルを指定する。
なお、プリマスタードディスク等においてピット形態で記録される楽曲等については通常パーツ分割されることがないため、前記図20のとおりP−TOCセクター0においてリンク情報はすべて『(00h) 』とされている。
【0070】
U−TOCセクター0の管理テーブル部における(01h) 〜(FFh) までの各パーツテーブルは、テーブルポインタ(P-DFA,P-EMPTY ,P-FRA ,P-TNO1〜P-TNO255) によって、以下のようにそのパーツの内容が示される。
【0071】
テーブルポインタP-DFA は光磁気ディスク1上の欠陥領域に付いて示しており、傷などによる欠陥領域となるトラック部分(=パーツ)が示された1つのパーツテーブル又は複数のパーツテーブル内の先頭のパーツテーブルを指定している。つまり、欠陥パーツが存在する場合はテーブルポインタP-DFA において(01h) 〜(FFh) のいづれかが記録されており、それに相当するパーツテーブルには、欠陥パーツがスタート及びエンドアドレスによって示されている。また、他にも欠陥パーツが存在する場合は、そのパーツテーブルにおけるリンク情報として他のパーツテーブルが指定され、そのパーツテーブルにも欠陥パーツが示されている。そして、さらに他の欠陥パーツがない場合はリンク情報は例えば『(00h) 』とされ、以降リンクなしとされる。
【0072】
テーブルポインタP-EMPTY は管理テーブル部における1又は複数の未使用のパーツテーブルの先頭のパーツテーブルを示すものであり、未使用のパーツテーブルが存在する場合は、テーブルポインタP-EMPTY として、(01h) 〜(FFh) のうちのいづれかが記録される。未使用のパーツテーブルが複数存在する場合は、テーブルポインタP-EMPTY によって指定されたパーツテーブルからリンク情報によって順次パーツテーブルが指定されていき、全ての未使用のパーツテーブルが管理テーブル部上で連結される。
【0073】
テーブルポインタP-FRA は光磁気ディスク1上のデータの書込可能なフリーエリア(消去領域を含む)について示しており、フリーエリアとなるトラック部分(=パーツ)が示された1又は複数のパーツテーブル内の先頭のパーツテーブルを指定している。つまり、フリーエリアが存在する場合はテーブルポインタP-FRA において(01h) 〜(FFh) のいづれかが記録されており、それに相当するパーツテーブルには、フリーエリアであるパーツがスタート及びエンドアドレスによって示されている。また、このようなパーツが複数個有り、つまりパーツテーブルが複数個有る場合はリンク情報により、リンク情報が『(00h) 』となるパーツテーブルまで順次指定されている。
【0074】
図22にパーツテーブルにより、フリーエリアとなるパーツの管理状態を模式的に示す。これはパーツ(03h)(18h)(1Fh)(2Bh)(E3h) がフリーエリアとされている時に、この状態が対応テーブル指示データP-FRA に引き続きパーツテーブル(03h)(18h)(1Fh)(2Bh)(E3h) のリンクによって表現されている状態を示している。なお上記した欠陥領域や未使用パーツテーブルの管理形態もこれと同様となる。
【0075】
ところで、全く楽曲等の音声データの記録がなされておらず欠陥もない光磁気ディスクであれば、テーブルポインタP-FRA によってパーツテーブル(01h) が指定され、これによってディスクのレコーダブルユーザーエリアの全体がフリーエリアであることが示される。そして、この場合残る(02h) 〜(FFh) のパーツテーブルは使用されていないことになるため、上記したテーブルポインタP-EMPTY によってパーツテーブル(02h) が指定され、また、パーツテーブル(02h) のリンク情報としてパーツテーブル(03h) が指定され・・・・・・、というようにパーツテーブル(FFh) まで連結される。この場合パーツテーブル(FFh) のリンク情報は以降連結なしを示す『(00h) 』とされる。
なお、このときパーツテーブル(01h) については、スタートアドレスとしてはレコーダブルユーザーエリアのスタートアドレスが記録され、またエンドアドレスとしてはリードアウトスタートアドレスの直前のアドレスが記録されることになる。
【0076】
テーブルポインタP-TNO1〜P-TNO255は、光磁気ディスク1にユーザーが記録を行なった楽曲について示しており、例えばテーブルポインタP-TNO1では1曲目のデータが記録された1又は複数のパーツのうちの時間的に先頭となるパーツが示されたパーツテーブルを指定している。
【0077】
例えば1曲目とされた楽曲がディスク上でトラックが分断されずに、つまり1つのパーツで記録されている場合は、その1曲目の記録領域はテーブルポインタP-TNO1で示されるパーツテーブルにおけるスタート及びエンドアドレスとして記録されている。
【0078】
また、例えば2曲目とされた楽曲がディスク上で複数のパーツに離散的に記録されている場合は、その楽曲の記録位置を示すため各パーツが時間的な順序に従って指定される。つまり、テーブルポインタP-TNO2に指定されたパーツテーブルから、さらにリンク情報によって他のパーツテーブルが順次時間的な順序に従って指定されて、リンク情報が『(00h) 』となるパーツテーブルまで連結される(上記、図22と同様の形態)。このように例えば2曲目を構成するデータが記録された全パーツが順次指定されて記録されていることにより、このU−TOCセクター0のデータを用いて、2曲目の再生時や、その2曲目の領域へのオーバライトを行なう際に、光学ヘッド3及び磁気ヘッド6をアクセスさせ離散的なパーツから連続的な音楽情報を取り出したり、記録エリアを効率使用した記録が可能になる。
【0079】
5.第1の実施例(ディバイド設定処理に基づく録音後の編集)
以上のような管理情報が記録されているディスクに対する上述した構成の記録再生装置により実現できる第1の実施例を説明する。なお、各実施例での録音動作としてはCDプレーヤなどからのアナログライン入力音声(端子17Aの入力)を録音する動作を想定して説明する。
この第1の実施例としては、録音前、録音中、もしくは録音後においてユーザーがディスク1に録音しようとする各トラック(再生装置側から供給される音声信号に設定されている各トラック)について、時間情報を入力するディバイド設定処理を行なうようにする。そして記録再生装置は録音後においてディバイド設定処理で入力された各トラックの時間情報に応じてディバイドポイントを適正化する処理を行なうものである。
【0080】
なお、録音中は、記録再生装置のシステムコントローラ11は3秒以上の無音部分の検出を行なって自動的にトラック分割を行なっていってもよいし、もしくは録音中のトラック分割は実行しないようにしてもよい。無音検出によるトラック分割が行なわれた場合において、ディバイドポイントが不適性であった場合は録音後の処理でディバイドポイントが適性化されることになり、また録音中に全くトラック分割がなされなかった場合は、録音後の処理で適正なディバイドポイントが設定されてトラック分割が行なわれることになる。
【0081】
まずディバイド設定処理について説明する。図2はディバイド設定処理を実行するためのシステムコントローラ11の処理を示す。
ユーザーは録音前、録音中、録音後の任意の時点でディバイド設定操作を行なう。所定の操作でディバイド設定モードとされると、システムコントローラ11は処理をステップF101からF102に進め、まず変数nを1にセットする。
そして第nトラック、つまり最初に第1トラックの再生時間についてユーザーに対して入力要求を行なう(F103)。例えば表示部20に入力用の表示を実行させる。なお、ここで第1トラックといっているのは、今回録音を行なうことになる最初のトラックであり、例えば10曲入CDの全曲についてトラックナンバ順に再生させてディスク1に録音する場合は、そのCDの第1トラック(1曲目)となる。
【0082】
ユーザーは録音する第1トラックについて、CDの解説書などをみながら、操作部19からその再生時間を入力する (F105→YES)。するとシステムコントローラ11は、入力された再生時間を第1トラックの再生時間TT(1) としてRAM11aに記憶する(F106)。そして、変数nをインクリメントし(F107)、ステップF103に戻る。つまり、続いて第2トラックの再生時間について入力要求を行なうことになる。
【0083】
ユーザーはこのように第1トラックから最後のトラックまで、それぞれ再生時間を入力していく。そして例えば10曲入CDのダビングであれば、第10トラックについての再生時間まで入力した時点、つまり変数n=11となっている時点で、ディバイド設定モードの終了操作を行なう。すると処理はステップF104からF108に進み、システムコントローラ11は変数n−1の値、つまり『10』を再生装置側から供給される全トラック数TNPBとしてRAM11aに記憶し、処理を終える。
【0084】
この操作が録音終了前にされることにより、システムコントローラ11はこれから録音する、もしくは録音中の音声データが録音終了時点で何トラックのデータとなるべきものであるか、及び各トラックについての再生時間が把握される。又、録音後に上記操作がされた場合は、録音された音声データが、何トラックで構成されていなければならないものであるかが分かることになり、また各トラックについての再生時間が把握される。
【0085】
なお、このディバイド設定処理としては、図3のように実行してもよい。
図3の処理例では、ユーザーが所定の操作を行なってディバイド設定モードとされたら、まず録音させる音声データのトラック数を入力させるものである。つまり先にトラック数mの入力要求を行ない(F203)、入力されたら (F204→YES)、その入力値mを再生装置側から供給される全トラック数TNPBとしてRAM11aに記憶する(F204)。
次に変数nを1にセットし(F205)、第nトラック、つまり最初に第1トラックの再生時間についてユーザーに対して入力要求を行なう(F206)。
【0086】
ユーザーが録音する第1トラックについて操作部19からその再生時間を入力したら (F207→YES)、システムコントローラ11は、入力された再生時間を第1トラックの再生時間TT(1) としてRAM11aに記憶する(F208)。そして、変数n=mでなければ (F209→NO) 、変数nをインクリメントし(F210)、ステップF206に戻る。つまり、続いて第2トラックの再生時間について入力要求を行なうことになる。この処理を繰り返し、つまりユーザーは第1〜第mトラックまで、それぞれ再生時間を入力していくことになる。そして第mトラックについての再生時間を入力した時点では変数n=mとなり (F209→YES)、処理を終える。
【0087】
以上の図2又は図3に例にあげた処理により、ディバイド設定処理としてシステムコントローラ11には録音するトラック数TNPB及び各トラックの再生時間TT(1) 〜TT(m) が取り込まれることになる。
【0088】
図4は録音開始後のシステムコントローラ11の処理を示している。
録音開始前に上記のディバイド設定処理がなされたか否かに関わらず、ユーザーによって録音操作がなされたら、まずシステムコントローラ11は録音前の状態におけるU−TOCセクター0から、その時点での最後のトラックナンバ(Last TNO) を取り込み、これを録音前のトラック数PastTNとして記憶する。録音のためにバージンディスクが装填されている場合は録音前のトラック数PastTN=0となり、また例えば3曲が既に録音されているディスクに対して、それらを消去せずに録音を行なう場合は、録音前のトラック数PastTN=3となる。なお、図4には示していないが、過去に記録されていた楽曲に対して上書き記録する場合は、その消去される楽曲(トラック)数に応じて録音前のトラック数PastTNが設定されることになる。つまり、録音前のトラック数PastTNは、今回の録音終了後において、今回の録音にかかるトラックを判別する情報とするものである。即ち、今回の録音にかかる先頭のトラックは、トラックナンバがPastTN+1となるトラックである。
【0089】
続いて録音動作に入る(F303)。記録再生装置の録音時の動作は上述した通りであり、ここではシステムコントローラ11の制御については詳述を避けるが、端子17Aに供給される音声信号に対して音声圧縮処理等が施され、ディスク1に記録されていく。このときシステムコントローラ11は、無音検出に応じてトラック分割を行なっていってもよい。
【0090】
録音動作が終了したら (F304→YES)、システムコントローラ11はその時点でディバイド設定がなされていたか否かを判別する(F305)。つまり、録音開始前もしくは録音中に、システムコントローラ11がユーザーの操作に基づいて上述した図2又は図3の処理でディバイド設定処理を行ない、RAM11aに録音するトラック数TNPB及び各トラックの再生時間TT(1) 〜TT(m) が取り込まれているか否かを確認する。
【0091】
もしディバイド設定処理が行なわれていなかったら、ステップF306に進み、録音終了後におけるユーザーの操作、つまり録音後においてディバイド設定処理が実行されることを待機する。ここで録音終了後にユーザーがディバイド設定モードとする操作を行なったら、ステップF307に進み、図2又は図3のディバイド設定処理を行なうことになる。
録音前、録音中、もしくは録音後においてもディバイド設定処理が行なわれなかったら、そのまま処理を終える (F306→NO) 。
【0092】
録音前、録音中、もしくは録音後のいづれかにおいてディバイド設定処理が行なわれた場合は、システムコントローラ11は録音後においてステップF308以降のディバイドポイント適正化処理に移ることになる。
まず、録音したトラック数TNRCを判別するために、その時点のU−TOCセクター0における最後のトラックナンバ(Last TNO)を確認する。つまりこれはステップF303での録音処理に伴って更新された値であり、その時点のディスク1における総トラック数である。この最後のトラックナンバ(Last TNO)から録音前の時点で取り込んでおいた録音前のトラック数PastTNを減算することで、今回の録音処理(F303)で録音されたトラック数TNRCが得られる(F308)。例えば今回バージンディスクに録音したのであれば、録音前のトラック数PastTN=0であるので、録音したトラック数TNRC=最後のトラックナンバ(Last TNO)となる。また、例えば3曲が既に録音されていたディスクに追加録音した場合は、録音前のトラック数PastTN=3であるので、録音したトラック数TNRC=(Last TNO)−3となる。
【0093】
次に変数nを1にセットする(F309)。そして、記録側のトラックナンバをあらわす変数Xとして、変数nに録音前のトラック数PastTNを加算する(F310)。つまりこのときの変数Xの値は、今回の録音処理にかかる最初のトラックのトラックナンバとなる。
【0094】
次にディスク1上に録音された第Xトラックの演奏時間を算出する(F311)。
この算出は第Xトラックとしてのアドレス量、つまりクラスタ数、セクター数から時間情報に換算することで行なわれる。クラスタ数、セクター数はU−TOC上に記録される第Xトラックにかかるパーツについてエンドアドレスからスタートアドレスを減算することで得られる。なお、そのトラックが複数のパーツにわかれて録音されている場合は、各パーツについてエンドアドレスからスタートアドレスを減算して得たアドレス量を加算することになる。
【0095】
図18で説明したように1クラスタは36セクターからなり、このうち32セクターにデータが記録される。そしてミニディスクシステムでは44.1KHz で512サンプルのデータを1サウンドグループとして扱い、1セクターは5.5 サウンドグループであるため、1サウンドグループ、1セクター、1クラスタの各再生時間は次のように求められる。
1サウンドグループの再生時間=512/(44.1×1000)
1セクターの再生時間={512/(44.1×1000)}×5.5
1クラスタの再生時間={512/(44.1×1000)}×176
従って算出したアドレス量(何クラスタ、何セクター)からの時間への変換は、クラスタ数をZ、セクター数をYとしたとき、
(Z×32+Y)×512/(44.1×1000)
として求められる。
【0096】
次にステップF312では算出した第Xトラックの再生時間を変数RTTにセットする。
そして、トラックXの再生時間RTTと、録音する最初のトラックの再生時間としてディバイド設定処理でユーザーが入力した再生時間TT(n) (=TT(1) )を比較する(F313)。
【0097】
ここで、RTT>TT(1) である場合とは、例えば録音中に無音検出によるトラック分割を行なっていたとしても、第Xトラック(録音した最初のトラック)が適正な位置で分割されていなかった場合である。つまり、本来第(X+1)トラックとなるべきデータまでもが第Xトラックとして管理されている状態である。
そこで処理をステップF314に進め、まずユーザーが入力した再生時間TT(n) をアドレス量ADD に換算する。
この換算はまず総セクター数YYとして
YY=(44.1×1000)TT(n) /512
で求める。そして得られた総セクター数YYについて32で割った値がクラスタ数Z、そのときのあまりの値がセクター数Yとなる。つまりアドレス量ADD はZクラスタ、Yセクターとなる。
【0098】
次に、第Xトラックのスタートアドレスにアドレス量ADD を加えた値をディバイドポイントP−DVとする(F315)。つまりスタートアドレスから、時間的にみて再生時間TT(n) 後の再生ポイントがディバイドポイントP−DVとなる。なお、第Xトラックが複数のパーツに分けられて記録されている場合は、パーツ毎にアドレス量を加算していくことでディバイドポイントP−DVがみつけられる。
【0099】
ディバイドポイントP−DVが得られたら、そこでディバイド処理を行なうことになる(F316)。
ステップF316のディバイド処理としては、例えば図6、図7、図9のような処理例が考えられる。
図6はステップF315で得られたディバイドポイントP−DVでそのままトラック分割してしまう例である。
【0100】
この処理としては、まずその時点で第(X+1)トラックとされているトラック以降の各トラックナンバを繰り上げる(F401)。この時点で第(X+1)トラックはなくなるが、ここでディバイドポイントP−DVの次のアドレスP−DV+1から第Xトラックのエンドアドレスまでの時間的に連続するデータを、第(X+1)トラックとして管理するようにする(F402)。そして、第Xトラックとしては、エンドアドレスをディバイドポイントP−DVのアドレスとする(F403)。
最後に、ディバイド処理によりトラック数が1つ増えるため、最後のトラックナンバ(Last TNO)を、1を加えた値に更新する(F404)。
これにより、第Xトラックの途中でトラック分割が行なわれ、それまで第Xトラックの後半部分とされていたデータが第(X+1)トラックとされることになる。
【0101】
図7、図9の例はステップF315で得られたディバイドポイントP−DVを調整するものである。即ち、ユーザーが入力した再生時間TT(n) は必ずしも正確とはいいきれないため、図7の例では無音検出で、また図9の例ではリハーサル再生により、ディバイドポイントP−DVを調整できるようにしている。
【0102】
図7の場合、ステップF315でディバイドポイントP−DVが得られたら、まずそのディバイドポイントP−DVを中心として前後α時間分の領域を再生してみる(F411)。例えば図8(a)のように本来、トラックXとトラックX+1の切れ目で無音部分がある場合に、ディスク1上ではトラック分割されていなかった場合を考える。例えば録音中に無音検出によるトラック分割を行なっていなかった場合や、無音検出を行なっていたが、無音期間が3秒未満であってトラック分割がされなかったような場合である。
ここでユーザーが入力した再生時間TT(n) に基づいて得たディバイドポイントP−DVが図8(b)のように無音部分より多少ずれた地点となっていたとする。
【0103】
このときステップF411の処理で、図8に示すようにP−DV−αのアドレスからP−DV+αのアドレスまでを再生してみる。なお、このとき実際にスピーカ等から音声出力をする必要はない。
この再生処理で無音期間が検出されたら、ステップF412からF413に進んで、その無音期間内に相当するアドレスがディバイドポイントP−DVとなるようにディバイドポイントP−DVの値を更新する。なお、この場合の無音検出としては無音状態が3秒未満であっても無音期間と判断する。例えば0.5秒程度以上の無音状態を無音期間と判断すればよい。
なお、この再生動作中に無音期間が検出されなかった時は、ディバイドポイントP−DVは更新しない (F412→NO) 。
【0104】
このように無音検出を行なってみて、無音期間があった場合はディバイドポイントP−DVをその位置に更新する。
その後、ステップF414〜F417では、図6のステップF401〜F404と同様の処理を行なってトラック分割を行なうことになる。つまり図8(c)のようにトラックが分割される。この処理例を採用することで、より正確なポイントでのトラック分割が可能となる。
【0105】
また図9の処理例では、ステップF315でディバイドポイントP−DVが得られたら、まずそのディバイドポイントP−DVから、その後β時間分の領域を再生させる(F421)。例えば図10(a)のように本来、トラックXとトラックX+1の切れ目とされる位置で、ディスク1上では図10(b)のようにトラック分割されていなかった場合を考える。
ここでユーザーが入力した再生時間TT(n) に基づいて得たディバイドポイントP−DVが図10(b)のように本来の切れ目より多少ずれた地点となっていたとする。
【0106】
このときステップF421の処理で、図10に示すようにP−DVのアドレスからP−DV+βのアドレスまでをリハーサル再生させる。このときは実際にスピーカ等から音声出力をすることになる。
ユーザーはこの再生音声を聞いて、分割ポイントがこれで良ければ分割OKの操作を行なう(F422)。また分割ポイントを修正させたい場合は、ディバイドポイントの変更操作を行なう(F423)。そしてディバイドポイントの変更操作が行なわれたら、図10に示すようにディバイドポイントP−DVを更新する。そしてステップF421に戻って、新たなディバイドポイントP−DVからリハーサル再生を行なう。
【0107】
このようにリハーサル再生を行なってユーザーにディバイドポイントを調整させ、あるディバイドポイントからのリハーサル再生に対して分割OK操作がされたら、ステップF422からF425に進んむ。そして、ステップF425〜F428では、図6のステップF401〜F404と同様の処理を行なってトラック分割を行なうことになる。つまり、図10(c)のようにトラックが分割される。この処理例を採用することで、より正確なポイントでのトラック分割が可能となる。
【0108】
図4のステップF316でディバイド処理が行なわれたら、ステップF318でそのときの変数Xがそのときの最後のトラックナンバ(Last TNO)と一致しているか否かを確認し、一致していなければ、変数nをインクリメントして(F319)、ステップF310に戻る。そして変数Xはn+PastTNO とされるため、録音した第2のトラックの処理に移ることになる。
そして同様にステップF311,F312 の処理を行ない、ステップF313でトラックXの再生時間RTTと、録音する第2のトラックの再生時間としてディバイド設定処理でユーザーが入力した再生時間TT(n) (=TT(2) )を比較する。
【0109】
ここで、RTT<TT(2) であったとする。この場合とは、例えば曲の途中に無音部分があって、録音中に無音検出に基づいて誤ってトラック分割を行なってしまったような場合である。つまり、本来第Xトラック(第2トラック)となるべきデータが、前半が第Xトラック(録音されている第2のトラック)、後半が第(X+1)トラック(録音されている第3のトラック)として管理されている状態である。
そこで処理をステップF317に進め、第Xトラックと第(X+1)トラックを連結するコンバイン処理を行なう。
【0110】
この処理は図11に示すように、まず第Xトラックのスタートアドレスから、第(X+1)トラックのエンドアドレスまでの時間的に連続しているデータが、第Xトラックとして管理されるようにU−TOCを書き換える(F501)。つづいてこの処理により第(X+1)トラックがなくなったため、第(X+2)トラック以降の各トラックのトラックナンバを繰り下げる(F502)。最後に、この処理に伴ってトラック数が1つ減るため、最後のトラックナンバ(Last TNO)を1減算した値に更新する(F503)。
【0111】
図4のステップF317でコンバイン処理が行なわれたら、ステップF318でそのときの変数Xがそのときの最後のトラックナンバ(Last TNO)と一致しているか否かを確認し、一致していなければ、変数nをインクリメントして(F319)、ステップF310に戻る。そして変数Xはn+PastTNO とされるため、録音した第3のトラックの処理に移ることになる。
そして同様にステップF311,F312 の処理を行ない、ステップF313でトラックXの再生時間RTTと、録音する第3のトラックの再生時間としてディバイド設定処理でユーザーが入力した再生時間TT(n) (=TT(3) )を比較する。
【0112】
ここで、RTT=TT(3) であれば、ディスク1上ではトラックX(録音した第3のトラック)は本来のトラック分割地点で分割され、次のトラックに移っていることになる。このためディバイドポイントの変更は不要であり、ステップF318に進む。
なお、ディバイドポイントはセクターアドレス単位で設定されるため、RTTとTT(n) が完全に一致することはあまりないと考えられる。このため、ステップF313でRTT=TT(n) と判断するのは、完全一致のときのみではなく、一致範囲としてある程度、幅を持たせることが好ましい。つまり実際にはRTT≒TT(n) であるか否かの判断を行なう。
【0113】
以上のような処理を変数nをインクリメントしながら繰り返していくことで、録音された全トラックについてディバイドポイントの適正化がおこなわれることになる。そしてステップF318でX=Last TNOとなった時点でステップF320に進み、これまでバッファRAM13上でディバイドポイント適正化のために更新したU−TOCデータを、ディスク1に書き込むことで、ディバイドポイント適正化処理は終了され、この時点で再生側と同様のトラック分割状態が得られることになる。
【0114】
このディバイドポイント適正化処理によるトラック分割状態の変移を図5に示す。本来CDなどの再生側では図5(a)のようにトラックM1 〜M6 が存在したとする。
ここで、実施例の記録再生装置では録音中に無音検出によるトラック分割を行なっていたが、トラックM2 とM3 の間に無音期間がなく、またトラックM4 の途中に無音期間が生じていたとすると、録音したディスク1に関しては録音終了時点で図5(b)のようにトラックが管理されていることになる。
【0115】
この場合、図4のディバイドポイント適正化処理において、まず変数n=1の時点(バージンディスクに録音したと仮定して、X=1の時点)ではステップF313でRTT=TT(n) と判断されるため、ディバイドポイントの変更処理は行なわれない。
続いて変数n=2の時点(X=2の時点)で、ステップF313でRTT>TT(n) と判断される。そしてステップF315で図5(c)のようにディバイドポイントP−DVが設定される。
【0116】
そして図6の処理で(又は図7もしくは図9の処理でバイドポイントP−DVが調整された後)、まず図5(d)のようにトラックM3 〜M6 がトラックM4 〜M7 に繰り上げられ、続いて図5(e)のようにP−DV+1のアドレスからトラックM2 のエンドアドレスまでが新たなトラックM3 とされる。そして図5(f)のようにトラックM2 のエンドアドレスはバイドポイントP−DVのアドレスとされる。この時点でトラックM2 は図5(a)と同様の状態に管理されることになる。
【0117】
続いてX=3とされた時点ではステップF313でRTT=TT(n) と判断され、処理は行なわれないが、その次にX=4の時点で、ステップF313でRTT<TT(n) と判断され、ステップF317のコンバイン処理に入る。
まず図5(g)の状態からトラックM4 のスタートアドレスからトラックM5 のエンドアドレスまでが、図5(h)のようにトラックM4 とされる。そして、図5(h)ではトラックM5 がなくなるため、トラックM6 ,M7 が図5(i)のようにトラックM5 ,M6 とされる。
以降、X=5の時点及びX=6の時点では処理は行なわれず、最終的に図5(j)の状態となり、即ち、図5(a)と同様のトラック管理状態が得られることになる。
【0118】
以上の第1の実施例の処理により、アナログライン録音の場合も、再生側と同様のトラック状態が得られることになり、録音後にユーザーが手動で適正な分割地点を探してディバイドもしくはコンバイン操作をしていくということは不要になる。
【0119】
6.第2の実施例(ディバイド設定処理に基づく録音中の編集)
次に第2の実施例を説明する。
この第2の実施例としては、録音前においてユーザーがディスク1に録音しようとする各トラック(再生装置側から供給される音声信号に設定されている各トラック)について、時間情報を入力するディバイド設定処理を行なうようにする。そして記録再生装置は録音中にディバイド設定処理で入力された各トラックの時間情報に応じてディバイドポイントを設定していく処理を行なうものである。なおこの場合、システムコントローラ11は録音中の無音検出は行なわない。
【0120】
図12は第2の実施例となるシステムコントローラ11の処理を示す。録音操作が行なわれると、システムコントローラ11は処理をステップF601からF602に進める。なお、録音操作を行なう前の時点で、ユーザーは図2又は図3のディバイド設定処理を行なっていることが必要である。
【0121】
まずシステムコントローラ11は録音前の状態におけるU−TOCセクター0から、その時点での最後のトラックナンバ(Last TNO) に対して1を加算し、これを録音する最初のトラックのトラックナンバRTNOとする(F602)。
録音のためにバージンディスクが装填されている場合はトラックナンバRTNO=1となり、また例えば3曲が既に録音されているディスクに対して、それらを消去せずに録音を行なう場合は、トラックナンバRTNO=4となる。
【0122】
続いて変数nを1にセットする(F603)。また、録音開始位置のアドレスをSTとして取り込む(F604)。そして録音処理を開始する(F605)。
ここで、システムコントローラ11は内部タイマを0分0秒にリセットし、カウントを開始する(F606)。なお、このタイマとしては、録音時間表示のためのタイマを用いればよい。
【0123】
録音開始後は、システムコントローラ11はタイマによる時間と、図2又は図3のディバイド設定処理でユーザーが入力した各トラックの再生時間TT(n) の比較処理を行なう(F607)。
まず、最初のトラックの再生時間TT(1) とタイマのカウント時間を比較していき、タイマ時間が再生時間TT(1) と一致した時点でステップF608に進んで、そのときの録音を行なっているアドレスをアドレスEDとして取り込む。
そして、STとして保持しておいたアドレスをスタートアドレス、EDとして取り込んだアドレスをエンドアドレスとして、これがトラックナンバRTNOのトラックとして管理する(F609)。つまり、録音動作にかかる第1トラックのスタートアドレスとエンドアドレスを設定し、トラック分割を行なうことになる。
【0124】
続いてSTの値としてED+1の値をセットし(F610)、さらに変数nをインクリメントし(F611)、さらに録音トラックナンバRTNOをインクリメントして、ステップF606に戻る。
そしてタイマをリセット/スタートし、ステップF607でタイマの時間と再生時間TT(n) の比較処理を行なう。つまり、タイマがユーザーが2曲目として入力した再生時間TT(2) に達することを待機する。
タイマが再生時間TT(2) に達っしたら、ステップF608以降に進み、同様に第2トラックのスタートアドレス及びエンドアドレスを設定してトラック分割を行なうことになる。
【0125】
録音終了操作が行なわれたらステップF613からF614に進んで録音動作の停止処理を行ない、ステップF609で設定されていた各トラックのスタートアドレス及びエンドアドレスに基づいてバッファRAM13内でU−TOCを更新する(F615)。つまり、録音中のトラック分割処理がU−TOC上で反映されるようにする。そして所定タイミングでバッファRAM13上で更新されたU−TOCデータをディスク1に書き込むことになる(F616)。
【0126】
この処理により、予め行なわれていたディバイド設定処理に基づいて録音中にトラック分割がされることになる。例えば図13(a)に示すようにM1 〜M4 のトラックが記録されたCDなどからの再生信号を録音する場合を考える。ユーザーは録音前に各トラックの再生時間TT1 〜TT4 を入力していくことになるが、この再生時間TT1 〜TT4 に基づいてトラック分割ポイントが設定されるため、録音終了時点でディスク1の録音データに関するトラック管理状態は図13(b)のようになり、つまり、正確にトラック分割されていることになる。
【0127】
次に、この第2の実施例の変形例を説明する。以上説明した処理ではユーザーが入力した各トラックの再生時間TT1 〜TT(n) によりディバイドポイントが設定されることになるが、場合によってはこの入力する再生時間TT1 〜TT(n ) が必ずしも正確とはいえない場合もある。
このため、変形例としては、再生時間TT1 〜TT(n) と無音検出を併用して録音中にトラック分割を実行していくようにするものである。
図14は第2の実施例の変形例としてのシステムコントローラ11の処理である。この処理においてステップF701〜F705は図12のステップF601〜F605と同様である。
【0128】
この変形例では、内部タイマとしてタイマT1 とタイマT2 の2つを用意する。ステップF706ではタイマT1 のリセット/スタートを行なう。このタイマT1 は図12のタイマと同様に、録音進行時間表示のために用いているタイマを利用すればよい。
【0129】
そしてステップF707ではタイマT1 が、ユーザーの入力した再生時間TT(n) よりZ秒だけ短い時間であるTT(n) −Z秒の時間に達したか否かを判断する。そして、ユーザーの入力したディバイドポイント(TT(n) )よりもZ秒前の時点となったら、ステップF708以降に進む。
この時点以降はステップF711で無音検出を行なうことになる。
【0130】
また、タイマT1 が入力再生時間TT(n) −Z秒の時間となって無音検出を開始した後、タイマT1 が入力再生時間TT(n) の時間となったら、ステップF708からF709に進み、そのときのアドレスをアドレスDEDとしてセットし、さらにタイマT2 をリセットしてスタートさせる(F710)。
この無音検出は、無音期間が検出されるまで、もしくは無音期間が検出されなくてもタイマT1 が再生時間TT(n) +Z秒の時間となるまで続けられる。
【0131】
入力された再生時間TT(n) に相当するポイントが、実際のトラック分割ポイントとは完全に一致していなくても、通常はさほど離れているものではないため、再生時間TT(n) に相当するポイント又はその付近に無音期間が存在することが多い。そこで、再生時間TT(n) −Z秒から無音検出を開始して、録音されるデータ上で無音部分が検出されたら(F711)、ステップF713でその時のディスク1上のアドレスをアドレスEDとして取り込む。なお、無音期間が検出された場合はタイマT2 を0分0秒にリセットする(F714)。
【0132】
また、本来のトラック分割地点でも無音期間がない場合もあるが、このような場合に対応するために、タイマT1 が再生時間TT(n) +Z秒の時間に達しても無音期間が検出できなかった場合は、タイマT1 が再生時間TT(n) の時間となったときにセットしておいたアドレスDEDをアドレスEDとする (F712→F715) 。この場合は、タイマT2 のカウントを停止させるが、リセットせずにそのときの値を保持させておく(F716)。
【0133】
ステップF713又はF715でアドレスEDがセットされたら、ステップF717でSTとして保持しておいたアドレスをスタートアドレス、EDとして取り込んだアドレスをエンドアドレスとして、これがトラックナンバRTNOのトラックとして管理する。つまり、n=1の時点では、録音動作にかかる第1トラックのスタートアドレスとエンドアドレスを設定し、トラック分割を行なうことになる。
このとき、入力した再生時間TT(1) が実際の分割ポイント、つまり無音期間と多少ずれていても、その無音期間が分割ポイントとして修正されてトラック分割が行なわれる。また、無音期間がない場合は、再生時間TT(1) に相当するポイントでトラック分割が行なわれる。
【0134】
続いて以降のトラックの処理に進むため、STの値としてED+1の値をセットし(F718)、さらに変数nをインクリメントし(F719)、さらに録音トラックナンバRTNOをインクリメントする(F720)。また、タイマT1 にタイマT2 の値をセットして(F721)、タイマT1 のカウントを開始させ(F722)、ステップF707に戻る。タイマT1 にタイマT2 の値をセットするのは、無音期間が検出されなかった場合には再生時間TT(n) のポイントにさかのぼってトラック分割が行なわれるためであり、つまりこの場合、次のトラックとなるデータの録音が既に進行してしまっているため、その分の時間ずれを補正するものである。なお、無音検出でトラック分割された場合は、タイマT2 はステップF714でゼロリセットされているため、ステップF721ではタイマT1 はゼロリセットされることになる。
【0135】
その後同様に第2トラック以降のトラックについてステップF707以降の処理が繰り返される。そして録音終了操作が行なわれたらステップF723からF724に進んで録音動作の停止処理を行ない、ステップF717で設定されていた各トラックのスタートアドレス及びエンドアドレスに基づいてバッファRAM13内でU−TOCを更新する(F725)。つまり、録音中のトラック分割処理がU−TOC上で反映されるようにする。そして所定タイミングでバッファRAM13上で更新されたU−TOCデータをディスク1に書き込むことになる(F726)。
【0136】
この処理により、予め行なわれていたディバイド設定処理に基づいて録音中にトラック分割がされるとともに、場合によってはディバイドポイントが自動的により適正な位置に修正されてトラック分割されることになる。
例えば図15(a)に示すようにM1 〜M4 のトラックが記録されたCDなどからの再生信号を録音する場合を考える。ユーザーは録音前に各トラックの再生時間TT1 〜TT4 を入力していくことになるが、この再生時間TT1 〜TT4 が実際の曲と曲の間の無音期間に対して図示するように多少ずれていたとする。ところが、図14の処理では、そのズレが修正されて無音期間がディバイドポイントとなるため、録音終了時点でディスク1の録音データに関するトラック管理状態は図15(b)のようになり、つまり、より適正にトラック分割されていることになる。
【0137】
以上の第2の実施例の処理によっても、アナログライン録音の場合において再生側と同様のトラック状態が得られることになり、録音後にユーザーが手動で適正な分割地点を探してディバイドもしくはコンバイン操作をしていくということは不要になる。
【0138】
7.第3の実施例(録音後のトラック毎のディバイド位置編集)
次に第3の実施例を説明する。
この第3の実施例としては、録音後においてユーザーがあるトラックを指定し、そのトラックについて時間情報を入力することで、ディバイド位置の補正を行なうようにするものである。
【0139】
図16はディバイド位置補正のためのシステムコントローラ11の処理を示している。
ユーザーによってディバイド位置補正モードの操作がなされたら、まずシステムコントローラ11は変数Xを0にセットする(F802)。そしてAMSキーによるトラック指定操作を待つ(F803)。
AMSキーが押されたら、変数Xをインクリメントし(F804)、第Xトラックの先頭位置にアクセスして(F805)、その位置でポーズ(一時停止)状態で待機する(F806)。
【0140】
これによって、ユーザーが何回かAMSキーを操作することで、或るトラックが指定され、そのトラックの先頭位置で待機することになる。例えば3回AMSキーを操作すると、第3トラックが指定された状態となる。
待機状態ではユーザーの時間入力を待つ(F807)。例えばユーザーが第3トラックについてディバイドポイントを修正したいと思った場合は、AMSキーを3回押したあと、その第3トラックの再生時間を入力することになる。
【0141】
再生時間が入力されたら、ステップF808に進み、入力された再生時間をアドレス量ADD 、つまり何クラスタ何セクターかに換算する。この換算方法は第1の実施例で説明したとおりである。
そして、現在のポーズ中のアドレスに対してアドレス量ADD を加算し、これをディバイドポイントP−DVとする(F809)。つまりその第Xトラックのスタートアドレスから、時間的にみて入力された再生時間後の再生ポイントがディバイドポイントP−DVとなる。なお、第Xトラックが複数のパーツに分けられて記録されている場合は、パーツ毎にアドレス量を加算していくことでディバイドポイントP−DVがみつけられる。
【0142】
続いて、現在ポーズ状態で待機しているアドレスから、ディバイドポイントP−DVまでの時間的に連続しているデータについて、その間にディバイドポイントが存在しているか否かを確認する(F810)。つまりディバイドポイントP−DVが現在のトラックナンバ(X)と異なるトラックナンバ(例えばX+1)のトラックに含まれている場合は、そのトラックは不要なディバイドポイントにより誤って分割されている状態であると判断できる。
この場合はステップF811に進み、第Xトラックと第(X+1)トラックの連結処理を行なう。この処理は図11で説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
【0143】
また、実際には本来第Xトラックであるところが、ディスク1上では第X〜第(X+2)トラックというように、さらに多数に誤って分割されている場合もあるため、ステップF811の処理の後は再びステップF810に戻って誤った分割ポイントがまだ存在するか否かを確認する。そしてまだ存在した場合は、再びステップF811で、その時点での第Xトラックと第(X+1)トラックの連結処理を行なう。このステップF811の処理で、第XトラックのスタートアドレスからディバイドポイントP−DVまでの間に誤ったディバイドポイントが存在していても、それらは全て連結処理により修正される。
【0144】
次にステップF812では算出されたディバイドポイントP−DVにおいて、実際にディバイドされているか否かを確認する。
つまり、ディバイドポイントP−DVがU−TOC上で第Xトラックと第(X+1)トラックの境界となっているか否かを確認する。ディバイドポイントであれば、それは正しいディバイド処理がされていたものであり、ディバイドポイントP−DVにアクセスして(F815)、ポーズ状態で待機させ(F816)、また変数Xをインクリメントして(F817)、ステップF803に戻る。
【0145】
なお、ディバイドポイントはセクターアドレス単位で設定されるため、算出されたディバイドポイントP−DVと実際のディバイドポイントが完全に一致することはあまりないと考えられる。このため、ステップF812では、一致範囲としてある程度、幅を持たせることが好ましい。また、その範囲に含まれる場合は、ディバイドポイントP−DVより前に実際のディバイドポイントが存在していても、ステップF810で誤ったディバイドポイントとする判断は行なわないようにすることはいうまでもない。
【0146】
一方、算出されたディバイドポイントP−DVのアドレスが実際のディバイドポイントとなっていなかった場合は、まずディバイドポイントP−DVにアクセスして(F813)、その地点でディバイド処理を行なう(F814)。このディバイド処理としては、図6、図7、図9のいづれかの処理が行なわれれば良い。
そしてディバイド処理が終了したら、その位置でポーズ状態で待機させ(F816)、また変数Xをインクリメントして(F817)、ステップF803に戻って次の操作を待機する。
【0147】
ユーザーが終了操作を行なった場合は、ステップF818からF819に進み、その時点で更新されたバッファRAM13上のU−TOCデータをディスク1に書き込んで処理を終える。
【0148】
以上のような処理により、ユーザーが指定したトラックについて再生時間を入力することで、そのトラックに関するディバイドポイントが自動的に補正されることになる。
例えば再生側の本来のトラックとして図17(a)のようにトラックM1 〜M6 が存在していたとする。そしてこれを録音したところ、ディスク1上のデータは図17(b)のように管理されてしまったとする。
【0149】
ここで、ユーザーはトラックM2 を指定して再生時間を入力すると、図17(c)のように本来のトラックM2 とM3 の境界でディバイド処理され、トラックM2 が正しく管理されることになる。
また続いてトラックM3 の再生時間を入力すると、図17(d)のように本来のトラックM3 とM4 の境界でディバイド処理され、トラックM3 が正しく管理される。
【0150】
またユーザーがトラックM5 を指定して再生時間を入力すると、図17(e)のようにトラックM5 とM6 として誤って分割されていたトラックが連結され、トラックM5 が正しく管理されることになる。
【0151】
以上の第3の実施例の処理により、アナログライン録音の場合も、録音後の簡単な操作で、再生側と同様のトラック状態が得られることになり、録音後にユーザーが手動で適正な分割地点を探してディバイドもしくはコンバイン操作をしていくという煩雑な操作は不要になる。
【0152】
以上各種実施例を説明してきたが、各実施例において実際の処理手順などは各種変形例が考えられることはいうまでもない。
また実施例はミニディスクシステムに適用したもので説明してきたが、本発明はこれ以外のシステムに対応する記録装置としても実現できる。
【0153】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、他の機器からの再生音声のダビング録音などの際に、各トラック、もしくは所要のトラックについての再生時間を入力することで、それに応じてトラック分割ポイントの設定がなされるため、録音した側でも適正なトラック分割状態が得られる。このためアナログライン録音後においてトラック分割ポイントを修正するための煩雑な作業は不要となるという効果があり、操作性、使用性は格段に向上する。
また、ユーザーに時間入力に基づく編集処理であるため、もともとのトラックに関わらず、ユーザーが任意にトラック分割ポイントを設定することもでき、例えば組曲の楽章ごとにトラック分割を実行させることなど、多様な編集動作を自動的に行なわせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の記録再生装置のブロック図である。
【図2】実施例のディバイド設定処理のフローチャートである。
【図3】実施例の他のディバイド設定処理のフローチャートである。
【図4】第1の実施例のディバイドポイント適正化処理のフローチャートである。
【図5】第1の実施例のディバイドポイント適正化処理によるトラック状態変化の説明図である。
【図6】各実施例のディバイド処理のフローチャートである。
【図7】各実施例の他のディバイド処理のフローチャートである。
【図8】実施例の他のディバイド処理の説明図である。
【図9】各実施例のさらに他のディバイド処理のフローチャートである。
【図10】実施例のさらに他のディバイド処理の説明図である。
【図11】各実施例のコンバイン処理のフローチャートである。
【図12】第2の実施例のディバイドポイント設定処理のフローチャートである。
【図13】第2の実施例のディバイドポイント設定動作の説明図である。
【図14】第2の実施例の変形例のディバイドポイント設定処理のフローチャートである。
【図15】第2の実施例の変形例のディバイドポイント設定動作の説明図である。
【図16】第3の実施例のディバイドポイント補正処理のフローチャートである。
【図17】第3の実施例のディバイドポイント補正動作の説明図である。
【図18】ミニディスクのトラックフォーマットの説明図である。
【図19】ミニディスクのデータセクターの説明図である。
【図20】ミニディスクのP−TOCセクター0の説明図である。
【図21】ミニディスクのU−TOCセクター0の説明図である。
【図22】ミニディスクのU−TOCセクター0のリンク構造の説明図である。
【図23】無音検出によるトラックナンバ更新の説明図である。
【図24】アナログライン録音による録音側のトラック管理状態例の説明図である。
【図25】アナログライン録音による録音側のトラック管理状態例の説明図である。
【符号の説明】
1 ディスク
3 光学ヘッド
5 スレッド機構
6 磁気ヘッド駆動回路
6a 磁気ヘッド
7 RFアンプ
8 エンコーダ/デコーダ部
9 サーボ回路
10 アドレスデコーダ
11 システムコントローラ
11a RAM
12 メモリコントローラ
13 バッファRAM
14 エンコーダ/デコーダ部
17A 入力端子
19 操作入力部
20 表示部
Claims (4)
- 記録データとともに、記録データを、1つの記録データ単位となるトラック毎に管理する管理情報が記録される記録媒体に対する記録情報の編集方法において、
記録動作前、記録動作中、もしくは記録動作後において、トラック毎に再生時間情報を入力する入力手順と、
記録中に入力される無音部分を検知する検知手順と、
上記検知手順で無音が検知された場合に、上記入力手順で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて無音検知に基づく分割位置が適正か否かを判断する判断手順と、
上記判断手順で適正でないと判断された場合には上記入力手順で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて分割位置を修正する修正手順と、
上記修正手順にて修正された分割位置に基づいて上記記録媒体の管理情報を更新する更新手順とを備えたことを特徴とする編集方法。 - 上記分割位置の修正は上記無音検知に基づいて決定された分割位置で2分割された記録データを結合処理することを特徴とする第1項記載の編集方法。
- 記録データとともに、記録データを、1つの記録データ単位となるトラック毎に管理する管理情報が記録される記録媒体に対する記録情報の編集装置において、
記録動作前、記録動作中、もしくは記録動作後において、トラック毎に再生時間情報を入力する入力手段と、
記録中に入力される無音部分を検知する検知手段と、
上記検知手段で無音が検知された場合に、上記入力手段で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて無音検知に基づく分割位置が適正か否かを判断する判断手段と、
上記判断手段で適正でないと判断された場合には、上記入力手段で入力されたトラック毎の再生時間情報に基づいて分割位置を修正する修正手段と、
上記修正手段にて修正された分割位置に基づいて上記記録媒体の管理情報を更新する更新手段とを備えたことを特徴とする編集装置。 - 上記分割位置の修正は上記無音検知に基づいて決定された分割位置で2分割された記録データを結合処理することを特徴とする第3項記載の編集装置。
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