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JP3680778B2 - リニアモータにおける磁石保持構造 - Google Patents

リニアモータにおける磁石保持構造 Download PDF

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    • EFIXED CONSTRUCTIONS
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータにおける磁石保持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリニアモータにおける磁石保持構造は、図9(a),(b)に示すように磁石収納部aと該磁石収納部aよりも幅広のヨーク収納部bが形成された可動子ケースcに、ヨークeに複数の永久磁石dを接着して一体とした永久磁石ブロックfを挿入する。そして、ヨーク収納部bの両側を、長手方向に所定の間隔をおいて上下からかしめることにより、永久磁石ブロックfを可動子ケースcに固定していた(図9(b))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、永久磁石ブロックfの可動子ケースcへの挿入性を確保するために、磁石収納部a及びヨーク収納部bは、何れも永久磁石d及びヨークeの寸法より若干大きく形成されている。従って、上記のようにかしめにより永久磁石ブロックfを可動子ケースcに固定すると、可動子ケースcと永久磁石d間に間隙を生じて、固定子コイルとの距離が大きくなりモータ効率が低下する。また、永久磁石dと固定子コイル間の吸引反発力によって、可動子ケースc内で永久磁石ブロックfが振動し易くなり、異音の原因となる場合がある。さらに、一旦かしめてしまうと永久磁石ブロックfを可動子ケースcから抜きだすことが困難で、分解して再使用するリサイクル性に劣る。
本発明は、永久磁石ブロックの可動子ケースへの挿入性を確保するとともに、可動子ケースと永久磁石間に間隙が形成されないリニアモータにおける磁石保持構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1に記載のリニアモータにおける磁石保持構造は、モータレール内に固定子を配設するとともに、該固定子に対して相対移動可能な可動子をモータレール内に移動自在に組み込んでなり、かつ可動子が、長尺ヨークの長手方向に複数の永久磁石を配列した永久磁石ブロックと、端部から永久磁石ブロックが挿入されることでこれを収納する非磁性体製のケースとからなるリニアモータであって、前記ケースの前記永久磁石ブロック背面との対向面に丸棒状のシャフトを永久磁石ブロックと平行に挿入保持可能な保持部を設け、一方、前記シャフトには、前記保持部へのシャフト挿入時は永久磁石ブロックに接触せず、挿入後シャフトを回動させることにより永久磁石ブロックに弾接する板ばねを係止せしめ、これらシャフトと板ばねにより、永久磁石ブロックをケース内において固定子側に位置決め保持することを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載のリニアモータにおける磁石保持構造は、モータレール内に固定子を配設するとともに、該固定子に対して相対移動可能な可動子をモータレール内に移動自在に組み込んでなり、かつ可動子が、長尺ヨークの長手方向に複数の永久磁石を配列した永久磁石ブロックと、端部から永久磁石ブロックが挿入されることでこれを収納する非磁性体製のケースとからなるリニアモータであって、前記ケースの前記永久磁石ブロック背面との対向面に開口部を設け、該開口部を通り、永久磁石ブロックを長尺弾性体を介して押圧する押圧部材を前記ケースに着脱自在に取付け、これら押圧部材と長尺弾性体とにより、永久磁石ブロックをケース内において固定子側に位置決め保持することを特徴とする。
【0006】
【作用及び発明の効果】
上記請求項1に記載のリニアモータにおける磁石保持構造によれば、永久磁石ブロックをケース内に挿入するとともに、ケースの保持部にシャフトを挿入保持せしめた後、該シャフトを回動する。これにより、シャフトに係止させた板ばねが永久磁石ブロックに弾接し、永久磁石ブロックがケース内で固定子側に押圧される。従って、ケースと永久磁石間に間隔が形成されないとともに、板ばねのダンパ作用により、リニアモータ作動中の永久磁石ブロックの振動を抑えることができる。また、シャフトの回動により、板ばねが永久磁石ブロックに弾接しない状態に戻すことができるから、永久磁石ブロックのケースへの挿入及び抜き出しが容易となり、組付性及びリサイクル性に優れる。
【0007】
請求項2に記載のリニアモータにおける磁石保持構造によれば、ケースの開口部を通り、永久磁石ブロックを長尺弾性体を介して押圧する押圧部材をケースに着脱自在に取付ける。これにより、永久磁石ブロックがケース内で固定子側に押圧される。従って、ケースと永久磁石間に間隔が形成されないとともに、長尺弾性体のダンパ作用により、リニアモータ作動中の永久磁石ブロックの振動を抑えることができる。また、押圧部材はケースに対して着脱自在であるから、永久磁石ブロックのケースへの挿入及び抜き出しが容易となり、組付性及びリサイクル性に優れる。
【0008】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は第1実施形態に係る磁石可動型リニアモータ(以下単にリニアモータという)の断面図、図2はシャフト30と板ばね34の斜視図、図3は可動子ケース25への永久磁石ブロック24の組付方法を示した説明図、図4は可動子ユニット21の一部切欠正面図である。図1に示すようにリニアモータのモータレールであるレール部材1は、アルミ等非磁性体の押し出し一体成形品であって、断面形状が略逆U字形であり、天井壁2の両側の対向壁3,3から固定子ユニット11を支持するための支持突部4,4及び可動子ユニット21装入用の棚部5,5が内側に向かって一体成形されている。対向壁3,3の下端には、それぞれ内側に折曲するハンガレール6,6が形成されている。
【0009】
レール部材1の内部空間は、上記支持突部4,4及び棚部5,5により上段部1a、中段部1b、下段部1cの上下3段に分割されている。そして、上段部1aには固定子ユニット11が配設される。固定子ユニット11は、ヨークを兼用する装着板12に鉄芯入りのコイル13を複数個縦列させ、その中央に磁気センサ14を配置したものである。
【0010】
レール部材1の中段部1bには、可動子ユニット21の上部両側が棚部5,5上に移動自在に装入されている。可動子ユニット21は、厚み方向に着磁された複数の永久磁石22が隣り合うものどうしで極性を互いに異ならせて鉄製のヨーク23に接着して一体とした永久磁石ブロック24を、アルミ等非磁性体製の可動子ケース25内に収納したものである。
【0011】
可動子ケース25には、永久磁石ブロック24の収納部26と該収納部26の下方に後述するシャフト30を永久磁石ブロック24と平行に挿入保持可能な保持部27が、それぞれ長手方向に連続して形成されている。収納部26は、可動子ケース25の天井壁25aからの距離を永久磁石ブロック24の高さ寸法よりも僅かに大きくした位置に設けた支持突部28,28を有している。該収納部26の下方のシャフト保持部27は、対向内面を円弧面とした側壁29,29を有している。該シャフト保持部27は、図4に示すように収納部26よりも短く形成され、両端部を該収納部26の端部の手前で終わらせている。
【0012】
図2に示すように、シャフト保持部27に挿入保持されるシャフト30は、長手方向に係止溝31が形成されている。該係止溝31には、両側に係止段部32が形成されている。さらに、シャフト30の係止溝31の反対側の外周面には、ストッパ33が突出形成されている。シャフト30の係止溝31に係止される板ばね34は、断面略U字形の係止部35と断面円弧形の弾接部36を一体に形成したものである。シャフト30の係止溝31に所定ピッチpの間隔で押し込まれた板ばね34は、係止部35の端部がシャフト30の係止溝31の係止段部32に係合することにより係止される。
【0013】
図3(a)に示すように、永久磁石ブロック24は天地を逆にした可動子ケース25の収納部26に長手方向の端部から挿入する。続いて、同図(b)に示すように、所定ピッチ間隔で板ばね34を係止させたシャフト30を、板ばね34が永久磁石ブロック24に接触しない角度でシャフト保持部27に挿入する。挿入したシャフト30は、図3(c)に示すようにシャフト保持部27内でシャフト30のストッパ33が、シャフト保持部27の一方の側壁29に当接するまで回動させて、板ばね34の弾接部36を永久磁石ブロック24に弾接させる。これにより、永久磁石ブロック24が可動子ケース25の天井壁25aに向かって押圧される。また、板ばね34のターンオーバ作用によりシャフト30は、自然に戻り回動することがない。
【0014】
上記のように永久磁石ブロック24を組付けた可動子ケース25の両端部には、図4に示すようにドア吊下用ハンガ41の走行体42が取り付けられる。走行体42の両側には、モータレール1の対向壁3,3の下端に形成したハンガレール6,6上を走行するローラ43が取り付けられている。取り付けられた走行体42により、可動子ケース25の永久磁石ブロック24の収納部26及びシャフト保持部27の両端部が塞がれる。
【0015】
上記第1実施形態のリニアモータにおける磁石保持構造は、永久磁石ブロック24を可動子ケース25の収納部26に挿入するとともに、可動子ケース25のシャフト保持部27にシャフト30を挿入保持せしめた後、シャフト30を回動すると、該シャフト30に係止させた板ばね34が永久磁石ブロック24に弾接し、永久磁石ブロック24が可動子ケース25内で天井壁25a(固定子ユニット11側)に押圧される。従って、可動子ケース25と永久磁石ブロック24間に間隔が形成されないとともに、板ばね34のダンパ作用により、リニアモータ作動中の永久磁石ブロック24の振動を抑えることができる。また、シャフト30の回動により、板ばね34が永久磁石ブロック24に弾接しない状態に戻すことができるから、永久磁石ブロック24の可動子ケース25への挿入及び抜き出しが容易となり、組付性及びリサイクル性に優れる。
【0016】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について添付図面を参照して説明する。図5は第2実施形態に係るリニアモータの断面図、図6は長尺弾性体61の斜視図である。可動子ケース51には、永久磁石ブロック24の収納部53が長手方向に連続して形成されている。収納部53は、天井壁51aからの距離を永久磁石ブロック24の高さ寸法よりも僅かに大きくした位置に設けた支持突部52,52を有している。収納部53の下方は、該収納部53の対向側壁をそのまま垂下させた対向側壁54,54により開口部55が形成されている。
【0017】
該開口部55には、永久磁石ブロック24を長尺弾性体61を介して押圧する押圧部材56が取付けられている。押圧部材56は、可動子ケース51と同様なアルミ等非磁性体の押し出し一体成形品であって、幅寸法を開口部55の対向側壁54,54の対向内面間の距離に略合致させた対向側壁57,57が形成されるとともに、底面58の中央に押圧突片59が形成されている。押圧突片59は、上端に向かって対向間隔を広げる傾斜面60,60を備えている。該傾斜面60,60と永久磁石ブロック24間には、シリコンゴム製の円形チューブからなる長尺弾性体61(図6)が介在される。
【0018】
上記押圧部材56は、可動子ケース51の開口部55の対向側壁54,54間に装入する。そして、傾斜面60,60と永久磁石ブロック24間に介在させた長尺弾性体61を介して、可動子ケース51の収納部53に収納された永久磁石ブロック24を押圧する(図5)。この状態で、可動子ケース51の対向側壁54,54の外側から、タッピングネジ62,62をねじ込んで押圧部材56を可動子ケース51に固定する。
【0019】
上記第2実施形態のリニアモータにおける磁石保持構造は、可動子ケース51の開口部55を通り、永久磁石ブロック24を長尺弾性体61を介して押圧する押圧部材56がタッピングネジ62,62により可動子ケース51に着脱自在に締着される。これにより、永久磁石ブロック24が可動子ケース51内で天井壁51a(固定子ユニット11側)に押圧される。
【0020】
従って、可動子ケース51と永久磁石ブロック24間に間隔が形成されないとともに、長尺弾性体61のダンパ作用により、リニアモータ作動中の永久磁石ブロック24の振動を抑えることができる。また、押圧部材56は可動子ケース51に対して着脱自在であるから、永久磁石ブロック24の可動子ケース51への挿入及び抜き出しが容易となり、組付性及びリサイクル性に優れる。
【0021】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について添付図面を参照して説明する。図7は第3実施形態に係るリニアモータの断面図、図8は押圧部材77の拡大断面図である。可動子ケース71には、永久磁石ブロック24の収納部73が長手方向に連続して形成されている。収納部73は、天井壁71aからの距離を永久磁石ブロック24の高さ寸法よりも僅かに大きくした位置に設けた支持突部72,72を有している。収納部73の下方は、該収納部73の対向側壁をそのまま垂下させた対向側壁74,74により開口部76が形成されている。また、対向側壁74,74の下端には、対向する係止突部75,75が形成されている。
【0022】
上記開口部76には、永久磁石ブロック24を長尺弾性体81を介して押圧する押圧部材77が取付けられている。押圧部材77は、図8に示すような断面形状のアルミ等非磁性体の押し出し一体成形品であって、中央部に溝状の受け部78が形成されるとともに、該受け部78の両側に係止脚79,79が形成されている。該係止脚79,79の下端には、係止凹部80,80が形成されている。係止脚79,79の上端の対向間隔は、対向側壁74,74の係止突部75,75の対向間隔よりも狭く形成され、下端の対向間隔が係止突部75,75の対向間隔よりもやや広い末広がり状に形成されている。上記受け部78と永久磁石ブロック24間にはシリコンゴム製の円形チューブからなる長尺弾性体81が介在される。
【0023】
上記押圧部材77は、可動子ケース71の開口部76の対向側壁74,74間に装入する。そして、受け部78と永久磁石ブロック24間に介在させた長尺弾性体81を介して、可動子ケース71の収納部73に収納された永久磁石ブロック24を押圧する(図7)。このとき、押圧部材77は、対向側壁74,74の係止突部75,75間を係止脚79,79が対向間隔を狭めて通過し、下端の係止凹部80,80が対向側壁74,74の係止突部75,75に到達すると係止脚79,79の弾力により拡開して係止される。
【0024】
上記第3実施形態のリニアモータにおける磁石保持構造は、可動子ケース71の開口部76を通り、永久磁石ブロック24を長尺弾性体81を介して押圧する押圧部材77を、可動子ケース71の開口部76の対向側壁74,74間に押し込んで、係止脚79,79の下端の係止凹部80,80を対向側壁74,74の係止突部75,75に係止させることにより、押圧部材77を可動子ケース71に装着する。これにより、永久磁石ブロック24が可動子ケース71内で天井壁71a(固定子ユニット11側)に押圧される。
【0025】
従って、可動子ケース71と永久磁石ブロック24間に間隔が形成されないとともに、長尺弾性体81のダンパ作用により、リニアモータ作動中の永久磁石ブロック24の振動を抑えることができる。また、押圧部材77は長尺弾性体81を引き抜くことにより簡単に取り外しできるから、永久磁石ブロック24の可動子ケース71への挿入及び抜き出しが容易となり、組付性及びリサイクル性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るリニアモータの断面図である。
【図2】シャフトと板ばねの斜視図である。
【図3】可動子ケースへの永久磁石ブロックの組付方法を示した説明図である。
【図4】可動子ユニットの一部切欠正面図である。
【図5】第2実施形態に係るリニアモータの断面図である。
【図6】長尺弾性体の斜視図である。
【図7】第3実施形態に係るリニアモータの断面図である。
【図8】押圧部材の拡大断面図である。
【図9】従来例を示した説明図である。
【符号の説明】
1...レール部材
11...固定子ユニット
21...可動子ユニット
22...永久磁石
23...ヨーク
24...永久磁石ブロック
25,51,71...可動子ケース
26,53,73...収納部
27...シャフト保持部
30...シャフト
34...板ばね
36...弾接部
55,76...開口部
56,77...押圧部材
61,81...長尺弾性体
79...係止脚
80...係止凹部

Claims (2)

  1. モータレール内に固定子を配設するとともに、該固定子に対して相対移動可能な可動子をモータレール内に移動自在に組み込んでなり、かつ可動子が、長尺ヨークの長手方向に複数の永久磁石を配列した永久磁石ブロックと、端部から永久磁石ブロックが挿入されることでこれを収納する非磁性体製のケースとからなるリニアモータであって、
    前記ケースの前記永久磁石ブロック背面との対向面に丸棒状のシャフトを永久磁石ブロックと平行に挿入保持可能な保持部を設け、一方、前記シャフトには、前記保持部へのシャフト挿入時は永久磁石ブロックに接触せず、挿入後シャフトを回動させることにより永久磁石ブロックに弾接する板ばねを係止せしめ、これらシャフトと板ばねにより、永久磁石ブロックをケース内において固定子側に位置決め保持することを特徴とするリニアモータにおける磁石保持構造。
  2. モータレール内に固定子を配設するとともに、該固定子に対して相対移動可能な可動子をモータレール内に移動自在に組み込んでなり、かつ可動子が、長尺ヨークの長手方向に複数の永久磁石を配列した永久磁石ブロックと、端部から永久磁石ブロックが挿入されることでこれを収納する非磁性体製のケースとからなるリニアモータであって、
    前記ケースの前記永久磁石ブロック背面との対向面に開口部を設け、該開口部を通り、永久磁石ブロックを長尺弾性体を介して押圧する押圧部材を前記ケースに着脱自在に取付け、これら押圧部材と長尺弾性体とにより、永久磁石ブロックをケース内において固定子側に位置決め保持することを特徴とするリニアモータにおける磁石保持構造。
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