JP3679651B2 - L型同軸コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はL型同軸コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のコネクタとしては、図3のごとくのものが知られている。図3に示されるコネクタ50において、同軸ケーブルCは外皮C1内に、シールド線C2、誘電体C3そして中心導体C4を順に有している。この中心導体C4は端子51に半田接続される。端子51は、金属片を屈曲して形成されていて結線部52と接触部53とを有している。結線部52は一端寄りに山部52Aそして他端寄りに立上り壁部52Bを有し、該立上り壁部52Bにスリット52Cが形成されており、該スリット52Cにて中心導体C4を所定位置に収めている。その際、立上り壁部52Bは中心導体C4の先端の位置決めを行なう。上記山部52Aと立上り壁部52Bは、それらの中間で中心導体C4を結線部52に半田付けする際に、両端側への半田の流れを防止する機能をも有している。また、上記接触部53は、上記山部52Aの位置から紙面に直角な方向で間隔をもつ二位置で紙面に平行な面をもつ舌片状をなしており、上記結線部52とは一体に形成されている。
【0003】
かかる端子51は絶縁体54により保持される。この絶縁体は、円筒状の本体部55と中蓋部56とを有している。本体部55は中央に中空孔部55Aが形成され、上面55Bが平坦をなしており、上記端子51の接触部53が上記中空孔部55Aに収められて上面55Bが結線部52上に載置されている。該本体部55の上面位置からは半径外方の一方に延出して肩部57が設けられており、ケーブルCの誘電体C3の部分を支えている。又、本体部55の上面位置から、上記肩部57とは半径外方の反対側の周部にて中蓋部56が延出しているが、該中蓋部56は下述する外部導体の外蓋部と共に折曲されて、図3のごとく端子52を覆っており、その先端部が肩部57と平行に位置している。
【0004】
金属板で作られた外部導体58は筒状部59と外蓋部60とを有している。筒状部59は上記絶縁体54の本体部55を収容すると共に、両者の間に筒状の環状空間61を形成する。外蓋部60は、上記絶縁体の中蓋部56と同様に筒状部59から延出しているが、図3のごとくこの中蓋部56を押すように折曲されている。外蓋部60はその先端部はケーブルCを包囲するように丸められ該ケーブルを保持している。
【0005】
一方、相手コネクタ70は、端子71、絶縁体72そして外部導体73を有している。端子71は部分的に絞り加工を受けて軸状に突出形成された接触部71Aと、底部から板状に延出する接続部71Bとを有している。外部導体73は筒状部73Aを有している。
【0006】
かくして、上記コネクタ50はその環状空間61に相手コネクタ70の筒状部73Aを受け入れながら筒状部59と結合され、同時に互の端子53と71とが嵌合する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる同軸コネクタにあっては、コネクタの高さ寸法を小さくすること、すなわち、低背化の要請が強い。
【0008】
図3のコネクタの高さは、絶縁体の本体部55の高さ、ケーブル(誘電体C3)の直径、中蓋部56の厚さ、そして外蓋部60の厚さの和となっており、最低限、この寸法となる。しかも、本体部55の高さには肩部57の厚さそしてその位置をも考慮せねばならず、本体部自体を肩部と無関係に低背化することもできず、結果として上記高さに甘んじなければならない。なお、安定した嵌合に最低限必要な外部導体の高さがあるため、これを受け入れる環状空間の高さを低くするには限界がある。
【0009】
さらには、ケーブルの中心導体C4と端子51の結線部52がケーブルの軸線方向にて絶縁体の肩部57の範囲まで及んでいるために、この方向でもコネクタは、これ以上小さくできない。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑み、高さ方向そしてケーブルの長さ方向での小型化を可能とする同軸コネクタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るL型同軸コネクタは、同軸ケーブルの中心導体が結線される結線部と相手コネクタの対応接触部と接触接続される接触部を有する端子と、該端子を包囲するようにして支持する絶縁体と、該絶縁体を収める外部導体とを備えている。
【0012】
かかる同軸コネクタの上記端子は結線部におけるケーブルの延出方向と相手コネクタへの挿着方向とがほぼ直角をなしている。又、絶縁体は、端子の接触部を収める中空部が形成された本体部と、該本体部の上面に配される端子の結線部を該上面に押圧するように屈曲される中蓋部とを有している。そして、外部導体は、絶縁体の本体部を収容する筒状部と、該筒状部から延出して形成され屈曲時に上記中蓋部を屈曲のための押圧力を与えると共に先端部でケーブルを保持する外蓋部とを有している。
【0013】
該筒状部と該絶縁体の本体部との間には、相手コネクタの対応接触部を受け入れ接触接続するための環状空間があり、該環状空間はコネクタのケーブル収容部と連通しており、該ケーブルは、該環状空間に露出している。該環状空間には、相手コネクタの外部導体の先端がケーブル収容部付近まで挿入される。
【0014】
本発明では、絶縁体は中蓋部がその屈曲時に上記筒状部の直径円内に位置しており、上記絶縁体の上面に配される端子の結線部での該上面から壁部上端までの高さはケーブルの誘電体の直径よりも小さく設定されていることを特徴としている。
【0015】
上述の構成の本発明のコネクタによれば、中蓋部が筒状部の直径円内に位置しているので、絶縁体の本体部の上面を低くすることにより、筒状部の高さに係りなく、コネクタの高さが小さくなる。又、中蓋部が上記筒状部により阻止されずにケーブルの誘電体を圧縮することができ、その分上記高さをさらに小さくできる。
【0016】
本発明では、絶縁体は、本体部から半径外方に延出せるケーブル支持のための支持面が形成された肩部を有しているようにすることができる。この場合、絶縁体の肩部と中蓋部とが異なる位置にあるので、ケーブルの可撓性そして弾性縮径性を利用して、該ケーブルを撓み変形そして加圧圧縮せしめて、両部の高さ範囲をケーブル径内に収めることができ、上記肩部を設けることがコネクタの低背化に障害とはならない。
【0017】
上記の肩部を設ける場合には、絶縁体の本体部の上面が肩部の支持面よりも下方に没して位置していることがコネクタの低背化のために好ましい。その際、絶縁体の本体部と肩部との間に、ケーブルの変形を許容する隙間が形成されていることとするならば、上記のケーブルの撓みそして縮径が楽に行なわれる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面の図1及び図2にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本実施形態のL型同軸コネクタの組立前の状態での各部材を分離して示す斜視図である。
【0021】
図1にて、コネクタは端子10、絶縁体20そして外部導体30を有している。
【0022】
端子10は、帯状金属材を加工して作られキャリア11に対し定間隔位置で複数設けられている。各端子10は、結線部12と接触部13とを有しており、結線部12の平坦部12AへケーブルCの中心導体C4が半田結線された後に、切離部14でキャリア11から切り離されて独立したものとなる。上記端子10の結線部12には、両端部12Bで立設された壁部15,16を有し、上記接触部13は該両壁部15,16間で側縁から舌片状をなして下方に垂下している。一方の壁部15には上記中心導体C4を受け入れるための溝部15Aが形成されている。該壁部15は上記溝部15Aを形成するとともに、その外側面はケーブルの誘電体C3の端面を当接させる機能も有している。他方の壁部16は、キャリア11と端子10とを連結する部分17に形成された窓部17Aの一端側から切り起こされた部分により形成されており、中心導体C4の先端と対面する。両接触子13は下部が内側に湾曲していて喉部13Aを形成している。
【0023】
絶縁体20は、絶縁材料をモールド成形することにより作られていて、略円筒状の本体部21と、該本体部21の上部位置から半径外方の一方に延出する肩部22と、肩部22と半径外方で反対側に位置し上方に延出する中蓋部23とを有している。
【0024】
上記絶縁体20の本体部21には、上記端子10の舌片状の接触部13を収容する中空部24が上下に貫通して形成され、その両端側の上面25の縁部は上記端子10の結線部12を載置する面を形成している。上記本体部21の上部周縁はフランジ部26が形成され、上記中空部24の両側位置に側壁部27が立ち上がって設けられている。この側壁部27は、特には必須のものではない。
【0025】
上記肩部22には、好ましい形態として、両側に案内壁28が立設されているが、これは後述する中蓋部23が屈曲せられるとき、その案内をするためのものであり、必須のものではない。又、本実施形態では、肩部22と本体部21の間に間隙22Aが形成されている。上記上面25よりも上方に突出する上記案内壁28、側壁部27そしてその他の本体部の部分は、すべて、上記上面25上にケーブルの誘電体C3を配したときにそれよりも低い位置となっているように高さ寸法が定められている。
【0026】
上記中蓋部23は、後に上記上面25と平行となるように屈曲されるが、その際、上記上面25の範囲に収まるような寸法となっている。
【0027】
外部導体30は、金属板を加工して作られており、筒状部31と外蓋部32とを有している。
【0028】
筒状部31は、上記絶縁体20の本体部21を同心位置に収容し、該本体部21との間に相手コネクタの筒状の外部導体を受け入れる環状空間12を形成するような径となっている。該筒状部31には、側方に延出して絶縁体20の肩部22(及びその案内壁28)を側方から囲む囲繞部33が設けられている。外蓋部32は、くびれた基部32Aで、後に筒状部31の方向へ屈曲されるが、その際、筒状部31の範囲を覆う平蓋部32Dとその範囲外にあってケーブルCの外皮C1部分そしてシールド線2C部分を把持するように塑性変形される把持部32C,32Bをそれぞれ有している。又、該把持部32C,32Bと平蓋部32Dとの間には、上記肩部22の下側に回り込むように、溝部32Fで折り曲げられ該肩部22を支持・補強する突出片32Eが設けられている。
【0029】
環状空間2とケーブル収容部は連通して、該環状空間2に該ケーブルの誘電体C3が露出しているため、相手コネクタの外部導体の先端は、ケーブルの収容部付近まで挿入可能になり、安定した嵌合に最低限必要な外部導体の高さ(有効嵌合長)と誘電体C3の高さと外蓋部32の高さの和が、コネクタの高さになる。なお、該環状空間2は有効嵌合長より長くなければならない。
【0030】
かかる構成の本実施形態のコネクタは次の要領で組み立てられ使用される。
【0031】
▲1▼ 図1に示されるごとくのケーブルCの中心導体C4を端子10の溝部15Aへ収めて結線部12の平坦部12A上に配し、ここで半田結線する。その際、半田は両端の壁部15,16によりここから流れて接触部13の内側に付着することはない。
【0032】
▲2▼ 次に、この端子10及びこれに結線されたケーブルCを絶縁体20上に配置する。その際、端子10の接触部13は絶縁体20の中空部24へ収容され、結線部12の両端部12Bは絶縁体20の上面25にて支えられ、該ケーブルCの誘電体C3の部分が絶縁体20の肩部22にて支えられる。
【0033】
▲3▼ しかる後に、図2に見られるごとく、外部導体30の外蓋部32をその基部32Aでほぼ直角に屈曲させ、この外蓋部32で絶縁体20の中蓋部23を圧してこれも同様に屈曲させる。そして、外部導体30の把持部32B,32Cを筒状に湾曲変形させてケーブルのシールド線C2そして外皮C1の部分をそれぞれ把持せしめる。こうすることにより、絶縁体20の中蓋部23と肩部22は、図2に見られるようにケーブルCの長手方向で異なる範囲に位置しているので、誘電体C3の部分を上下から圧し撓み変形とともに圧縮変形させる。その結果、半径方向にて外部導体30の筒状部31の範囲でのケーブルの誘電体C3と絶縁体20の中空部24とが、高さ方向において、肩部22と誘電体C3と同位置で同寸法となる。すなわち、図3の従来のものに比し、高さ寸法は、中蓋部の厚さ(図2にて高さ)寸法だけ小さくなる。又、上記ケーブルの変形時において、絶縁体20には、本体部21と肩部22との間に隙間22Aが形成されているので、ケーブルの一部がここに逃げ込んで変形しやすくなる。
【0034】
▲4▼ このようにして組み立てられたコネクタ1は、図2のごとく、相手コネクタ70と結合される。なお、この相手コネクタ70は図3の従来と同じであり、各部に同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、以上のごとく、環状空間とケーブル収容部が連通して、該環状空間に該ケーブルが露出しているため、相手コネクタの外部導体の先端は、ケーブルの収容部付近まで挿入可能になり、安定した嵌合に最低限必要な外部導体の高さ(有効嵌合長)とケーブルの高さと外蓋部の高さの和が、コネクタの高さになるため、コネクタの高さ寸法を小さくできる。又、絶縁体の本体部に肩部を設ける場合でも、ケーブルの可撓性そして弾性縮径を利用して、肩部と中蓋部とを異なる位置でケーブルを圧縮保持することにより、両者をケーブルの径内に収められることとなり高さ寸法を小さくできる。また、本体部と肩部との間に隙間を形成した場合は、相手コネクタの外部導体の先端は、ケーブルの収容部付近まで挿入可能になり、これによりコネクタ高さ寸法を小さくできる。結線部を肩部よりも内方に位置せしめることができ、これにより長さ方向でも寸法を小さくできる。コネクタが大幅に小型化され、その結果、これを採用する電子機器の高密度実装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のコネクタの各部材を組立前の分離状態で示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタの組立後の断面図である。
【図3】従来のコネクタの断面図である。
【符号の説明】
10 端子
12 結線部
12A 平坦部
13 接触部
15,16 壁部
15A 溝部
20 絶縁体
21 本体部
22 肩部
22A 隙間
23 中蓋部
15 上面
30 外部導体
31 筒状部
32 外蓋部
Claims (6)
- 同軸ケーブルの中心導体が結線される結線部と相手コネクタの対応接触部と接触接続される接触部を有する端子と、該端子を包囲するようにして支持する絶縁体と、該絶縁体を収める外部導体とを備え、上記端子は結線部におけるケーブルの延出方向と相手コネクタへの挿着方向とがほぼ直角をなし、絶縁体は、端子の接触部を収める中空部が形成された本体部と、該本体部の上面に配される端子の結線部を押圧するように屈曲される中蓋部とを有し、外部導体は、絶縁体の本体部を収容する筒状部と、該筒状部から延出して形成され屈曲時に上記中蓋部を屈曲のための押圧力を与える外蓋部とを有し、該筒状部と該絶縁体の本体部との間に相手のコネクタの対応接触部を受け入れ接触接続するための筒状の環状空間を形成しているL型同軸コネクタにおいて、該環状空間とケーブル収容部は連通し、該環状空間にケーブルが露出していて、該環状空間に相手コネクタの外部導体の先端がケーブル収容部付近まで挿入可能となっており、絶縁体は中蓋部がその屈曲時に上記筒状部の直径円内に位置しており、上記絶縁体の上面に配される端子の結線部での該上面から壁部上端までの高さはケーブルの誘電体の直径よりも小さく設定されていることを特徴とするL型同軸コネクタ。
- 絶縁体は、本体部から半径外方に延出せるケーブル支持のための支持面が形成された肩部を有していることとする請求項1に記載のL型同軸コネクタ。
- 絶縁体の本体部の上面が肩部の支持面よりも下方に没して位置していることとする請求項2に記載のL型同軸コネクタ。
- 絶縁体は、本体部と肩部との間に、ケーブルの変形を許容する隙間が形成されていることとする請求項2又は請求項3に記載のL型同軸コネクタ。
- 端子は、ケーブルの軸線を含む面での結線部の断面が略U字状をなして、ケーブルの中心導体の半田結線のための平坦部と、該平坦部の上記軸線方向両端にて垂立する壁部を有し、一方の壁部に中心導体の挿入のためのスリット状の溝部が形成され、他方の壁部が中心導体の先端に対向して位置していることとする請求項1に記載のL型同軸コネクタ。
- 同軸ケーブルの中心導体が結線される結線部と相手コネクタの対応接触部と接触接続される接触部を有する端子と、該端子を包囲するようにして指示する絶縁体と、該絶縁体を収める外部導体とを備え、上記端子は結線部におけるケーブルの延出方向と相手コネクタへの挿着方向とがほぼ直角をなし、絶縁体は端子の接続部を収める中空部が形成された本体部と、該本体部の上記端子の上面に屈曲され高さ方向にて該上面との中間にケーブル収容部を形成する中蓋部とを有し、外部導体は、絶縁体の本体部を収容する筒状部と、該筒状部から延出して形成され屈曲時に上記中蓋部を屈曲のため押圧力を与えると共に先端部でケーブルを保持する外蓋部とを有し、該筒状部と該絶縁体の本体部との間には相手のコネクタの対応接触部を受け入れ接触接続するための筒状の環状空間を形成しているL型同軸コネクタにおいて、該環状空間とケーブル収容部は連通し、該環状空間にケーブルが露出していて、該環状空間に相手コネクタの外部導体の先端がケーブル収容部付近まで挿入可能となっていることを特徴とするL型同軸コネクタ。
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