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JP3672081B2 - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排ガス通路に排ガス浄化用の複数の触媒を配置した内燃機関の排ガス浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンの排ガスの浄化能力を高めるために、エンジンの排気管の途中に、排ガス浄化用の触媒を2個直列に設置したものがある。このものは、上流側触媒の上流側と下流側触媒の下流側にそれぞれ空燃比センサ(又は酸素センサ)を配置し、これら上流側と下流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比を目標空燃比にフィードバック制御するようにしている。
【0003】
また、V型エンジンでは、気筒群毎(バンク毎)に独立した排ガス通路を設けると共に、各気筒群の排ガス通路を下流側で1本の集合排ガス通路に合流させ、各気筒群の排ガス通路にそれぞれ上流側触媒を配置すると共に、集合排ガス通路に下流側触媒を配置したものがある。このものは、上流側触媒の上流側と下流側にそれぞれ空燃比センサ(又は酸素センサ)を配置し、これら上流側と下流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比を目標空燃比にフィードバック制御するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、将来、益々、厳しくなる排ガス規制に対応するために、各触媒は、排ガス成分の飽和吸着量(ストレージ量)が大きい触媒を採用する傾向がある。このため、排気管に2個の触媒を直列に設置した排ガス浄化システムでは、排ガス流量の少ない低負荷運転時等には、上流側触媒のみでも排ガスがかなり浄化されるため、エンジンから排出される排ガスの空燃比の変化が下流側触媒の下流側のセンサの出力変化に現れるまでの時間が長くかかり、空燃比制御の応答性が悪くなる欠点がある。
【0005】
一方、各気筒群毎に上流側触媒を設置した排ガス浄化システムでは、上流側触媒の上流側と下流側にセンサを設置しているので、空燃比制御の応答性をある程度確保できるが、下流側触媒の下流側の空燃比を検出できないため、触媒系全体の排ガス浄化能力を評価することができず、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような空燃比制御を行うことができない。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、排ガス通路に排ガス浄化用の複数の触媒を配置したシステムにおいて、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような応答性の良い空燃比制御を行うことができる内燃機関の排ガス浄化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の排ガス浄化装置は、排ガス通路に排ガス浄化用の複数の触媒を配置し、各触媒の上流側と下流側にそれぞれ排ガスの空燃比又はガス濃度を検出するセンサを設けた構成としたことを第1の特徴とするものである。このようにすれば、各触媒の上流側と下流側に配置したセンサの出力に基づいて、各触媒毎に現在の排ガス浄化能力(各触媒のストレージ量等)を評価して、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような応答性の良い空燃比制御を行うことができ、排ガス浄化性能を向上できる。しかも、各触媒毎に触媒劣化判定を行うことも可能となる。 更に、請求項1に係る発明は、後述するように、前記複数の触媒のうち上流側触媒の上流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、下流側触媒の上流側のセンサの出力、吸入空気量、上流側触媒の上流側のセンサの出力と該上流側触媒の排ガス成分の吸着量、及び上下流の触媒仕様の関係に基づいて該下流側触媒の排ガス成分の吸着量を推定し、該吸着量の制御目標値からのずれを無くすように空燃比フィードバック制御を補正するフィードバック制御補正手段とを備えていることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、全気筒共通の1本の排ガス通路に、複数の触媒を直列に配置したシステムに適用したり、或は、内燃機関の各気筒群毎に独立して設けた排ガス通路に、それぞれ1個又は複数の触媒を配置したシステムに適用しても良い。この場合も、各気筒群の触媒の上流側と下流側にそれぞれセンサを配置すれば良く、これらのセンサの中で、各気筒群の最下流の触媒の下流側のセンサは、各気筒群の排ガス通路に配置しても良いが、請求項のように、各気筒群の最下流の触媒の下流側のセンサを、各気筒群の排ガスが合流する集合排ガス通路に配置して共通化した構成としても良い。このようにすれば、各気筒群の最下流の触媒の下流側の空燃比又はガス濃度を共通のセンサで検出することができ、センサの個数を削減できる利点がある。
【0009】
この場合、請求項のように、各気筒群の排ガス通路にそれぞれ触媒を配置すると共に、集合排ガス通路にも触媒を配置し、各気筒群の触媒と集合排ガス通路の触媒の上流側と下流側にそれぞれセンサを配置した構成としても良い。これにより、各気筒群の排ガス通路の触媒と集合排ガス通路の触媒とを効率良く使用して排ガス浄化性能を向上できる。
【0010】
また、請求項のように、3個以上の触媒を複数の触媒群に区分し、各触媒群を1つの触媒と見なして各触媒群の上流側と下流側にそれぞれ排ガスの空燃比又はガス濃度を検出するセンサを配置するようにしても良い。このようにすれば、排ガス通路に3個以上の触媒を配置したシステムにおいて、各触媒群毎に現在の排ガス浄化能力(各触媒群のストレージ量等)を評価して、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような応答性の良い空燃比制御を行うことができ、排ガス浄化性能を向上できる。
【0011】
また、請求項のように、空燃比フィードバック制御手段によって上流側触媒の上流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比をフィードバック制御すると共に、サブフィードバック制御手段によって下流側のセンサの出力を空燃比フィードバック制御に反映させる際に、下流側の複数のセンサの中から、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサを内燃機関の運転状態に応じて切り換えるようにしても良い。
【0012】
例えば、排ガス流量の少ない低負荷運転時等には、上流側触媒のみでも排ガスをかなり浄化できるため、空燃比フィードバック制御に反映させる下流側のセンサとしては、上流側触媒の下流側のセンサを用いた方が空燃比制御の応答性が良い。しかし、排ガス流量が多くなると、上流側触媒内で浄化されずに通り抜ける排ガス成分量が多くなるため、上流側触媒と下流側触媒の両方を有効に使用して排ガスを浄化する必要がある。この場合は、下流側触媒の状態も考慮した空燃比フィードバック制御を行うことが好ましいため、空燃比フィードバック制御に反映させる下流側のセンサとしては、下流側触媒の下流側のセンサを用いることが好ましい。従って、請求項のように、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサを内燃機関の運転状態に応じて切り換えるようにすれば、その時点の運転状態(排ガス流量等)に最も適した位置のセンサを使用することができ、全運転領域で、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような応答性の良い空燃比制御を行うことができる。
【0013】
この場合、内燃機関から排出される排ガスの空燃比の変化がセンサの出力変化に現れるまでの応答遅れ時間が該センサの位置に応じて変化するため、請求項のように、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサの位置に応じて該センサの出力の反映方法(例えば空燃比フィードバック制御のゲインの補正や目標空燃比の補正等)を変化させるようにしても良い。このようにすれば、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサの位置に応じて該センサの応答遅れ時間が変化するのに対応して、センサ出力の反映方法を適正化することができる。
【0014】
更に、上流側触媒の下流側のセンサ(上流側触媒の流出ガスの空燃比を検出するセンサ)と、下流側触媒の下流側のセンサ(下流側触媒の流出ガスの空燃比を検出するセンサ)とでは、センサの目標出力(目標空燃比)が異なってくる。そこで、請求項のように、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサの位置に応じて該センサの目標出力を設定するようにしても良い。このようにすれば、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサの位置に応じて該センサの目標出力(目標空燃比)を適正値に設定することができる。
【0015】
一方、請求項のように、空燃比フィードバック制御手段によって上流側触媒の上流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比をフィードバック制御すると共に、サブフィードバック制御手段によって上流側触媒の下流側のセンサの出力を空燃比フィードバック制御に反映させるサブフィードバック制御を行う際に、セカンドフィードバック制御手段によって下流側触媒の下流側のセンサの出力をサブフィードバック制御に反映させるようにしても良い。このようにすれば、サブフィードバック制御とセカンドフィードバック制御の両方の効果により各触媒を流れる排ガスの空燃比を各触媒の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような空燃比にフィードバック制御することができ、触媒系全体の排ガス浄化性能を更に向上することができる。
【0016】
この場合、請求項10のように、下流側触媒の下流側のセンサの出力に応じて上流側触媒の下流側のセンサの目標出力を設定するようにすると良い。つまり、下流側触媒の下流側のセンサの出力(下流側触媒の流出ガスの空燃比)によって下流側触媒の現在の排ガス浄化能力を評価することができるので、上流側触媒の下流側のセンサの目標出力(下流側触媒の流入ガスの目標空燃比)を下流側触媒の下流側のセンサの出力に応じて設定すれば、下流側触媒の流入ガスの空燃比を下流側触媒の現在の排ガス浄化能力に応じた適正な空燃比に制御することができ、下流側触媒の排ガス浄化能力を最大限に発揮させることができる。
【0017】
その際、請求項11のように、上流側触媒の下流側のセンサの目標出力(下流側触媒の流入ガスの目標空燃比)を、下流側触媒の排ガス成分の吸着量が所定値以下となる範囲内又は下流側触媒を流れる排ガスの空燃比が所定の浄化ウインドの範囲内となるように設定すると良い。これにより、下流側触媒の排ガス成分の吸着限界や浄化ウインドを越えたセンサの目標出力の過補正を防止することができる。
【0018】
上流側触媒の下流側のセンサは、空燃比センサ(リニアA/Fセンサ)を用いても良いが、酸素センサが用いられることが多い。上流側触媒の下流側のセンサとして酸素センサを用いる場合は、請求項12のように、酸素センサの目標出力を0.4〜0.65Vの範囲で設定すると良い。このようにすれば、下流側触媒の排ガス成分の吸着量が所定値以下となる範囲内又は下流側触媒を流れる排ガスの空燃比が所定の浄化ウインドの範囲内となるように制御することができる。
【0019】
一方、請求項13のように、セカンドフィードバック制御手段は、下流側触媒の下流側のセンサの出力に応じてサブフィードバック制御の制御ゲインを変化させるようにしても良い。このようにしても、下流側触媒の下流側のセンサの出力(下流側触媒の流出ガスの空燃比)をサブフィードバック制御に反映させて、下流側触媒の流入ガスの空燃比を下流側触媒の現在の排ガス浄化能力に応じた適正な空燃比に制御することができる。
【0020】
更に、請求項14のように、サブフィードバック制御手段とセカンドフィードバック制御手段の少なくとも一方は、該制御手段で用いるセンサ直前の触媒の排ガス成分の吸着量に応じて制御ゲインを変化させるようにしても良い。つまり、触媒の排ガス成分の吸着量は、現在の触媒の排ガス浄化能力を評価するのに適したパラメータであるため、触媒の排ガス成分の吸着量に応じてサブフィードバック制御やセカンドフィードバック制御の制御ゲインを変化させれば、触媒の排ガス浄化能力を精度良く反映させた空燃比フィードバック制御を実施することができる。
【0021】
また、請求項1に係る発明は、少なくとも下流側触媒の上流側のセンサの出力と吸入空気量等に基づいて該下流側触媒の排ガス成分の吸着量を推定し、該吸着量の制御目標値からのずれを無くすように空燃比フィードバック制御をフィードバック制御補正手段により補正するようにしている。つまり、下流側触媒に流入した排ガスの空燃比(下流側触媒の上流側のセンサの出力)と吸入空気量(排ガス流量)とから、下流側触媒に流入した排ガス成分量を算出でき、この排ガス成分量と排ガス浄化能力とから下流側触媒の排ガス成分の吸着量を推定することができる。そして、推定した吸着量の制御目標値からのずれを無くすように空燃比フィードバック制御を補正すれば、下流側触媒の排ガス成分の吸着量を早期に制御目標値に制御することができ、下流側触媒を効率良く使用して排ガス浄化性能を高めることができる。
【0022】
この場合、請求項のように、複数の触媒の合計ストレージ量を越えない範囲で、空燃比フィードバック制御の補正量を設定するようにすると良い。このようにすれば、触媒系全体の排ガス浄化能力を最大限に発揮させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図13に基づいて説明する。
【0024】
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、スロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
【0025】
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。
【0026】
一方、エンジン11の排気管21(排ガス通路)の途中には、排ガス中の有害成分(CO,HC,NOx等)を低減させる上流側触媒22と下流側触媒23が直列に設置されている。この場合、上流側触媒22は、始動時に早期に暖機が完了して始動時の排気エミッションを低減するように比較的小容量に形成され、下流側触媒23は、排ガス量が多くなる高負荷域でも、排ガスを十分に浄化できるように比較的大容量に形成されている。
【0027】
更に、上流側触媒22の上流側には、排ガスの空燃比に応じたリニアな空燃比信号を出力する空燃比センサ24が設けられ、上流側触媒22の下流側と下流側触媒23の下流側には、それぞれ排ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかによって出力電圧VOX2が反転する酸素センサ25,26が設けられている。また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ27や、エンジン回転数NEを検出するクランク角センサ28が取り付けられている。
【0028】
これら各種のセンサ出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)29に入力される。このECU29は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された図2、図3及び図7乃至図10の各プログラムを実行することで、排ガスの空燃比をフィードバック制御する。以下、各プログラムの処理内容を説明する。
【0029】
[燃料噴射量算出]
図2の燃料噴射量算出プログラムは、空燃比のフィードバック制御を通じて要求燃料噴射量TAUを設定するプログラムであり、所定クランク角毎に実行されることで空燃比フィードバック制御手段として機能する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、吸気管圧力PM、エンジン回転数NE等の運転状態パラメータに基づいて基本燃料噴射量TPを算出し、続くステップ102で、空燃比フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。ここで、空燃比フィードバック条件は、エンジン冷却水温THWが所定温度以上であること、運転状態が高回転・高負荷領域ではないこと等であり、これらの条件を全て満たしたときに空燃比フィードバック条件が成立する。
【0030】
上記ステップ102で、空燃比フィードバック条件が不成立と判定された場合にはステップ106に進み、空燃比補正係数FAFを「1.0」に設定して、ステップ105に進む。この場合は、空燃比の補正は行われない。
【0031】
一方、上記ステップ102で、空燃比フィードバック条件成立と判定された場合には、ステップ103に進み、後述する図3の目標空燃比設定プログラムを実行して目標空燃比λTGを設定し、次のステップ104で、上流側触媒22の上流側の空燃比センサ24の出力λ(排ガスの空燃比)と目標空燃比λTGとに基づいて空燃比補正係数FAFを算出する。
【0032】
この後、ステップ105で、基本燃料噴射量TP、空燃比補正係数FAF及び他の補正係数FALLを用いて、次式により燃料噴射量TAUを算出して、本プログラムを終了する。
TAU=TP×FAF×FALL
【0033】
[目標空燃比設定]
次に、図2のステップ103で実行される図3の目標空燃比設定プログラムの処理内容を説明する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサを上流側触媒22下流側の酸素センサ25と下流側触媒23下流側の酸素センサ26の中から選択する。
【0034】
例えば、排ガス流量の少ない低負荷運転時等には、上流側触媒22のみでも排ガスをかなり浄化できるため、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとしては、上流側触媒22の下流側の酸素センサ25を用いた方が空燃比制御の応答性が良い。しかし、排ガス流量が多くなると、上流側触媒22内で浄化されずに通り抜ける排ガス成分量が多くなるため、上流側触媒22と下流側触媒23の両方を有効に使用して排ガスを浄化する必要がある。この場合は、下流側触媒23の状態も考慮した空燃比フィードバック制御を行うことが好ましいため、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとしては、下流側触媒23の下流側の酸素センサ26を用いることが好ましい。
【0035】
また、エンジン11から排出される排ガスの空燃比の変化(上流側触媒22上流側の空燃比センサ24の出力変化)が上流側触媒22の下流側の酸素センサ25の出力変化に現れるまでの遅れ時間が短くなるほど、上流側触媒22内で浄化されずに通り抜ける排ガス成分量が多くなっている(つまり浄化効率が低下している)ことを意味するため、この酸素センサ25の出力変化の遅れ時間が短い場合は、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして、下流側触媒23の下流側の酸素センサ26の出力を用いることが好ましい。
【0036】
そこで、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして下流側触媒23下流側の酸素センサ26を選択する条件は、▲1▼エンジン11から排出される排ガスの空燃比変化(上流側触媒22上流側の空燃比センサ24の出力変化)が上流側触媒22下流側の酸素センサ25の出力変化に現れるまでの遅れ時間(又は周期)が所定時間(又は所定周期)よりも短いこと、又は、▲2▼吸入空気量(排ガス流量)が所定値以上であることとしている。
【0037】
これら2つの条件▲1▼,▲2▼のどちから一方を満たしたときは、下流側触媒23下流側の酸素センサ26を選択し、どちらも満たさない場合は、上流側触媒22下流側の酸素センサ25を選択する。尚、▲1▼と▲2▼の両方の条件を満たしたときに下流側触媒23下流側の酸素センサ26を選択するようにしても良い。
【0038】
このようにして、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサを選択した後、ステップ202に進み、選択した酸素センサの出力電圧VOX2が理論空燃比(λ=1)に相当する目標出力電圧(例えば0.45V)より高いか低いかによって、リッチかリーンかを判定し、リーンのときには、ステップ203に進み、前回もリーンであったか否かを判定する。前回も今回もリーンである場合には、ステップ204に進み、リッチ積分量λIRを、現在の吸入空気量QAに応じて図5に示すマップから求める。
【0039】
このリッチ積分量λIRのマップは、上流側触媒下流側センサ用マップ[図5(a)の上欄]と下流側触媒下流側センサ用のマップ[図5(b)の上欄]が設定され、使用するセンサに応じていずれか一方のマップが選択される。図5(a),(b)のリッチ積分量λIRのマップ特性は、吸入空気量QAが大きくなるほど、リッチ積分量λIRが小さくなるように設定され、吸入空気量QAが小さい領域では、下流側触媒下流側センサ用のマップの方が上流側触媒下流側センサ用マップよりもリッチ積分量λIRが少し大きくなるように設定されている。リッチ積分量λIRの算出後、ステップ205に進み、目標空燃比λTGをλIRだけリッチ側に補正し、そのときのリッチ/リーンを記憶して(ステップ213)、本プログラムを終了する。
【0040】
また、前回リッチで今回リーンに反転した場合には、ステップ206に進み、リッチ側へのスキップ量λSKR を、後述する吸着量学習処理によって得られたリッチ成分ストレージ量OSTRichに応じて図6に示すマップから求める。図6のマップ特性は、リッチ成分ストレージ量OSTRichの絶対値が小さくなるほどリッチスキップ量λSKR も小さくなるように設定されている。スキップ量λSKR の算出後、ステップ207進み、目標空燃比λTGをλIR+λSKR だけリッチ側に補正し、そのときのリッチ/リーンを記憶して(ステップ213)、本プログラムを終了する。
【0041】
一方、前記スキップ202で、酸素センサの出力電圧VOX2がリッチであるときには、ステップ208に進み、前回もリッチであったか否かを判定する。前回も今回もリッチである場合には、ステップ209に進み、リーン積分量λILを現在の吸入空気量QAに応じて図5に示すマップから求める。このリーン積分量λILのマップは、上流側触媒下流側センサ用マップ[図5(a)の下欄]と下流側触媒下流側センサ用のマップ[図5(b)の下欄]が設定され、下流側のセンサとして選択されたセンサに応じていすれか一方のマップが選択される。
【0042】
図5(a),(b)のリーン積分量λILのマップ特性は、吸入空気量QAが大きくなるほど、リーン積分量λILが小さくなるように設定され、吸入空気量QAが小さい領域では、下流側触媒下流側センサ用のマップの方が上流側触媒下流側センサ用マップよりもリーン積分量λILが少し大きくなるように設定されている。リーン積分量λILの算出後、ステップ210に進み、目標空燃比λTGをλILだけリーン側に補正し、そのときのリッチ/リーンを記憶して(ステップ213)、本プログラムを終了する。
【0043】
また、前回はリーン側で今回リッチに反転した場合には、ステップ211に進み、リーン側へのスキップ量λSKL を、後述する吸着量学習処理によって得られたリーン成分ストレージ量OSTLeanに応じて図6に示すマップから求める。図6のマップ特性は、リーン成分ストレージ量OSTLeanが小さくなるほどリーンスキップ量λSKL も小さくなるように設定されている。この後、ステップ212で、目標空燃比λTGをλIL+λSKL だけリーン側に補正し、そのときのリッチ/リーンを記憶して(ステップ213)、本プログラムを終了する。
【0044】
図6のマップから明らかなように、触媒22,23の劣化によってリッチ成分ストレージ量OSTRichやリーン成分ストレージ量OSTLeanが低下してきたときには、リッチスキップ量λSKR やリーンスキップ量λSKL も次第に小さな値に設定されるため、触媒22,23の吸着限界を越えた過補正が行われて有害成分が排出されるのが未然に防止される。以上説明した目標空燃比設定プログラムが特許請求の範囲でいうサブフィードバック制御手段としての役割を果たす。
【0045】
[ストレージ量学習処理]
次に、図3のステップ206,211で用いられるリッチ成分ストレージ量OSTRichとリーン成分ストレージ量OSTLeanを算出するストレージ量学習処理を説明する。ここで、リーン成分ストレージ量OSTLeanは、上流側触媒22と下流側触媒23とを1つの触媒とみなしたときの両触媒22,23の合計のリーン成分(NOx、O2 等)の飽和吸着量であり、リッチ成分ストレージ量OSTRichは、上流側触媒22と下流側触媒23とを1つの触媒とみなしたときの両触媒22,23の合計のリッチ成分(HC、CO等)の飽和吸着量である。
【0046】
ECU29は、例えば車両の走行距離が所定距離になる毎に、図7乃至図10に示す各プログラムを実行して、リッチ成分ストレージ量OSTRich及びリーン成分ストレージ量OSTLeanを算出する。図7に示す学習開始判定プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力電圧VOX2がリーン側許容値VLLとリッチ側許容値VRLとの範囲内(VLL<VOX2<VRL)に収束しているか否かを判定する。出力電圧VOX2が許容値VLL,VRLの範囲内に収束していないときには空燃比λが乱れており、吸着量の学習処理を実行するには適さないと判断して、ステップ302に進み、待機時間カウンタTINをリセットし、次のステップ303で、学習実行フラグXOSTGをクリアする。
【0047】
これに対し、上記ステップ301で、酸素センサ26の出力電圧VOX2が許容値VLL,VRLの範囲内に収束していると判定された場合には、ステップ304に進み、待機時間カウンタTINを「1」だけインクリメントし、次のステップ305で、待機時間カウンタTINの値が待機時間TINL を越えたか否かを判定し、TIN>TINL となった時点、つまり、VLL<VOX2<VRLの状態の継続時間が待機時間TINL を越えた時点で、ステップ306に進み、エンジン11が定常運転状態であるか否かを判定する。この判定は、エンジン回転数NEや吸気管圧力PM等に基づいて行われ、これらの検出値がほぼ一定のときに定常運転状態と判定される。このステップ306で、定常運転状態と判定されれば、ステップ307に進み、学習実行フラグXOSTGがクリアされてから学習インターバル時間Tが経過したか否かを判定し、この学習インターバル時間Tが経過した時点で、ステップ308に進み、学習実行フラグXOSTGをセットして、本プログラムを終了する。
【0048】
この後、ECU29は、図8に示す空燃比変動制御プログラムを起動し、上記図7の学習開始判定プログラムのステップ308で、学習実行フラグXOSTGがセットされていれば、ステップ401からステップ402に進み、補正実行カウンタTC がリッチ補正時間TR を越えたか否か、つまり、リッチ補正時間TR が経過したか否かを判定する。リッチ補正時間TR が経過していないときには、ステップ403に進み、目標空燃比λTGをリッチ目標空燃比λRTとし、次のステップ404で、補正実行カウンタTc を「1」だけインクリメントして本プログラムを終了する。従って、図11に示すように、ステップ402で、リッチ補正時間TR が経過するまで、目標空燃比λTGが理論空燃比(λ=1)よりリッチ側のリッチ目標空燃比λRTに保持される。その結果、排ガス中には、CO、HC等のリッチ成分が増加して触媒22,23にリッチ成分が吸着され、酸素センサ26の出力電圧VOX2は、触媒22,23の吸着量に応じたリッチ側の電圧となる。
【0049】
この後、リッチ補正時間TR が経過した時点で、ステップ402からステップ405に進み、補正実行カウンタTC が、リッチ補正時間TR にリーン補正時間TL を加算した値を越えたか否か、つまり、リッチ補正時間TR の経過後に、更にリーン補正時間TL が経過したか否かを判定する。リーン補正時間TL が経過していないときには、ステップ406に進み、目標空燃比λTGをリーン目標空燃比λLTに設定し、次のステップ404で、補正実行カウンタTC を「1」だけインクリメントして、本プログラムを終了する。
【0050】
従って、図11に示すように、ステップ405で、リーン補正時間TL が経過するまで、目標空燃比λTGが理論空燃比(λ=1)よりリーン側のリーン目標空燃比λLTに保持され、排ガス中のO2 等のリーン成分が増加して、前述したリッチ側の補正により触媒22,23に吸着されたリッチ成分をパージし、酸素センサ26の出力電圧VOX2は理論空燃比付近に回復する。この後、リーン補正時間TL が経過した時点で、ステップ406からステップ407に進み、学習実行フラグXOSTGをクリアして、本プログラムを終了する。
【0051】
この後、ECU29は、図9に示す飽和判定プログラムを起動し、前記図7の学習開始判定プログラムのステップ308で、学習実行フラグXOSTGがセットされていれば、ステップ501からステップ502に進み、図8の空燃比変動制御プログラムのステップ403で実施された目標空燃比λTGのリッチ側への補正によって、酸素センサ26の出力電圧VOX2が飽和判定レベルVSL(VSL>VRL)を越えたか否かを判定する。ここで、飽和判定レベルVSLは、触媒22,23が飽和状態となったときの酸素センサ26の出力電圧に設定されている。酸素センサ26の出力電圧VOX2が飽和判定レベルVSLを越えていなければ、そのまま本プログラムを終了し、飽和判定レベルVSLを越えていれば、ステップ503に進み、飽和判定フラグVOSTOVをセットして、本プログラムを終了する。
【0052】
この後、ECU29は、図10に示すストレージ量算出プログラムを起動し、図8の空燃比変動制御プログラムのステップ407で、学習実行フラグXOSTGがクリアされて1回分の目標空燃比λTGの変動制御が完了していれば、ステップ601からステップ602に進み、飽和判定フラグVOSTOVがセットされているか否かを判定する。飽和判定フラグVOSTOVがセットされていなければ、前回の目標空燃比λTGの変動制御によって触媒22,23の吸着限界を越えなかったと判断して、ステップ603に進み、リッチ補正時間TR 及びリーン補正時間TL に所定の加算時間Ta を加算する。
【0053】
これにより、ステップ602で飽和判定フラグVOSTOVがセットされていと判定される毎に、図8の空燃比変動制御プログラムで実行される目標空燃比λTGの変動制御のリッチ補正時間TR 及びリーン補正時間TL が加算時間Ta づつ延長される(図11参照)。そして、目標空燃比λTGのリッチ側への補正によって、酸素センサ26の出力電圧VOX2が飽和判定レベルVSLを越えて、図9のステップ503で飽和判定フラグVOSTOVがセットされると、本プログラムのステップ602からステップ604に進み、現在の触媒22,23のリッチ成分ストレージ量OSTRichを、物質濃度、吸入空気量QA、リッチ補正時間TR を用いて次式により算出する。
OSTRich=物質濃度×QA×TR
【0054】
ここで、物質濃度は、図12に示す空燃比λをパラメータとする物質濃度のマップを検索して、リッチ目標空燃比λRTに対応する物質濃度を算出する。排ガスの空燃比λがリーン側に偏った場合には、NOx、O2 等のリーン成分が増大し、リッチ側に偏った場合にはCO、HC等のリッチ成分が増大するが、図12のマップでは、物質濃度をO2 を基準として定めているため、リーン側ではO2 の過剰分を正の値で表し、リッチ側ではCOやHCの浄化に必要なO2 の不足分を負の値として表すようにしている。従って、リッチ成分ストレージ量OSTRichは負の値となる。
【0055】
この後、ステップ605に進み、リッチ成分ストレージ量OSTRichの絶対値をリーン成分ストレージ量OSTLeanとして算出し、本プログラムを終了する。
【0056】
次に、本実施形態(1)の空燃比制御の効果を図13を用いて説明する。図13は、高負荷運転時の制御例を示している。高負荷運転時のように排ガス流量が多いときは、上流側触媒22内で浄化されずに通り抜ける排ガス量が多くなり、下流側触媒23で浄化される排ガス量が多くなる。このため、図13に点線で示すように、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサとして上流側触媒22下流側の酸素センサ25を用いて空燃比制御を行うと、実際に排ガスを浄化する下流側触媒23の状態を反映した空燃比制御を行うことができず、下流側触媒23の排ガス成分吸着量がなかなか0に回復せず、下流側触媒23の排ガス浄化能力が低下してしまう。
【0057】
これに対して、本実施形態(1)では、図13に実線で示すように、排ガス流量の多い高負荷運転時等には、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサを下流側触媒23下流側の酸素センサ26に切り換えて空燃比制御を行うので、実際に排ガスを浄化する下流側触媒23の状態を反映した空燃比制御を行うことができ、下流側触媒23の排ガス成分吸着量を早期に0に回復させることができる。これにより、排ガス流量の多い高負荷運転時等でも、下流側触媒23の排ガス浄化能力を十分に確保することができて、2つの触媒22,23で排ガスを効率良く浄化することができる。
【0058】
一方、排ガス流量の少ない低負荷運転時等には、上流側触媒22のみでも排ガスをかなり浄化できることを考慮して、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサを上流側触媒22の下流側の酸素センサ25に切り換えて空燃比制御を行うので、応答性の良い空燃比制御を行うことができる。このように、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサをエンジン運転状態に応じて切り換えることで、全運転領域で、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような応答性の良い空燃比制御を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態(1)では、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサの位置に応じて、目標空燃比のリッチ積分量λIRやリーン積分量λILを変化させるようにしたので、センサの位置に対応した最適なリッチ積分量λIRやリーン積分量λILを用いて空燃比フィードバック制御を行うことができる。
【0060】
尚、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサの位置に応じてフィードバックゲインを変化させるようにしても、ほぼ同様の効果を得ることができる。但し、本発明は、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサの切り換えに対して、リッチ積分量λIR、リーン積分量λIL、フィードバックゲインを変化させずに固定値としても良い。
【0061】
また、本実施形態(1)では、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサの目標出力電圧を固定値(例えば0.45V)としたが、目標空燃比の設定に用いる下流側のセンサの位置に応じて目標出力電圧を変化させるようにしても良い。このようにすれば、目標空燃比の設定に用いる下流側センサの位置に応じて該センサの目標出力電圧を適正値に設定することができる。
【0062】
《実施形態(2)》
次に、図14及び図15を用いて本発明の実施形態(2)を説明する。
【0063】
本実施形態(2)では、ECU29は、図14の目標空燃比設定プログラム及び図15の目標出力電圧設定プログラムを実行して、空燃比フィードバック制御の目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして上流側触媒22下流側の酸素センサ25を選択したときに、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力に応じて上流側触媒22下流側の酸素センサ25の目標出力電圧TGOXを変化させるようにしている。
【0064】
[目標空燃比設定]
図14の目標空燃比設定プログラムでは、まず、ステップ201で、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサを上流側触媒22下流側の酸素センサ25と下流側触媒23下流側の酸素センサ26の中から選択した後、ステップ214に進み、後述する図15の目標出力電圧設定プログラムを実行して、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサの目標出力電圧TGOXを設定する。
【0065】
この後、ステップ215に進み、選択した酸素センサの出力電圧VOX2が目標出力電圧TGOXより高いか低いかによって、リッチかリーンかを判定し、その結果に応じてステップ203〜213で、前記実施形態(1)で説明した方法で、目標空燃比λTGを算出して、そのときのリッチ/リーンを記憶し、本プログラムを終了する。
【0066】
[目標出力電圧設定]
次に、図14のステップ214で実行される図15の目標出力電圧設定プログラムの処理内容を説明する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ901で、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして上流側触媒22下流側の酸素センサ25が選択されているか否かを判定する。もし、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして上流側触媒22下流側の酸素センサ25が選択されていれば、ステップ902に進み、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力電圧をパラメータとする目標出力電圧TGOXのマップから、現在の下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力電圧に応じた目標出力電圧TGOXを算出する。
【0067】
この場合、目標出力電圧TGOXのマップは、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力電圧(下流側触媒23の流出ガスの空燃比)が理論空燃比付近の所定範囲(β≦出力電圧≦α)では、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力が大きくなる(リッチになる)に従って目標出力電圧TGOXが小さくなる(リーンになる)ように設定されている。更に、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力が所定値αよりも大きい領域では、目標出力電圧TGOXが所定下限値(例えば0.4V)となり、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力が所定値βよりも小さい領域では、目標出力電圧TGOXが上限値(例えば0.65V)となるように設定されている。これにより、上流側触媒22下流側の酸素センサ25の目標出力電圧TGOXは、下流側触媒23の排ガス成分の吸着量が所定値以下となる範囲内又は下流側触媒23を流れる排ガスの空燃比が所定の浄化ウインドの範囲内となるように設定される。
【0068】
一方、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして下流側触媒23下流側の酸素センサ26を選択している場合は、ステップ901からステップ903に進み、目標出力電圧TGOXを所定値(例えば0.45V)に設定する。以上説明した目標出力電圧設定プログラムが特許請求の範囲でいうセカンドフィードバック制御手段に相当する役割を果たす。
【0069】
以上説明した実施形態(2)によれば、目標空燃比λTGの設定に用いる下流側のセンサとして上流側触媒22下流側の酸素センサ25を選択したときに、空燃比フィードバック制御の目標空燃比λTG(上流側触媒22上流側の空燃比センサ24の目標出力電圧)を、サブフィードバック制御によって上流側触媒22下流側の酸素センサ25の出力電圧に応じて設定し、更に、上流側触媒22下流側の酸素センサ25の目標出力電圧TGOXを、セカンドフィードバック制御によって下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力に応じて設定するようにしたので、各触媒22,23を流れる排ガスの空燃比を、各触媒22,23の排ガス浄化能力に応じた適正な空燃比にフィードバック制御することができて、各触媒22,23の排ガス浄化能力を十分に発揮させることができ、触媒系全体の排ガス浄化性能を高めることができる。
【0070】
更に、本実施形態(2)では、上流側触媒22下流側の酸素センサ25の目標出力電圧TGOXを0.4〜0.65Vの範囲で設定することで、下流側触媒23の排ガス成分の吸着量が所定値以下となる範囲内又は下流側触媒を流れる排ガスの空燃比が所定の浄化ウインドの範囲内となるように目標出力電圧TGOXを設定するようにしたので、下流側触媒23の排ガス成分の吸着限界や浄化ウインドを越えた目標出力電圧TGOXの過補正を未然に防止することができる。
【0071】
尚、下流側触媒23下流側の酸素センサ26の出力に応じてリッチスキップ量λSKL 及びリーンスキップ量λSKL (サブフィードバック制御の制御ゲイン)を変化させるようにしても良い。このようにしても、下流側触媒23の下流側の酸素センサ26の出力電圧(下流側触媒23の流出ガスの空燃比)に応じて空燃比フィードバック制御の目標空燃比λTGを設定することができ、下流側触媒23の流入ガスの空燃比を下流側触媒23の現在の排ガス浄化能力に応じた適正な空燃比に制御することができる。
【0072】
また、上流側触媒22の排ガス成分の吸着量に応じてサブフィードバック制御の制御ゲインを変化させたり、下流側触媒23の排ガス成分の吸着量に応じてセカンドフィードバック制御の制御ゲインを変化させたりするようにしても良い。触媒22,23の排ガス成分の吸着量は、触媒22,23の排ガス浄化能力を評価するのに適したパラメータであるため、触媒22,23の排ガス成分の吸着量に応じてサブフィードバック制御やセカンドフィードバック制御の制御ゲインを変化させれば、触媒系全体の排ガス浄化能力を精度良く反映させた空燃比フィードバック制御を実施することがでことができる。
【0073】
《実施形態(3)》
次に、図16乃至図18を用いて本発明の実施形態(3)を説明する。
【0074】
本実施形態(3)では、下流側触媒23の上流側には、酸素センサ25に代えて、空燃比センサ(図示せず)を設置している。その他の構成は、前記実施形態(1)と同じである。本実施形態(3)では、ECU29は、図16の下流側触媒吸着量推定プログラムを実行して、上流側触媒22の排ガス成分吸着量と下流側触媒23上流側の空燃比と吸入空気量(排ガス流量)とに基づいて下流側触媒23の排ガス成分吸着量を推定し、図17の目標空燃比設定プログラムを実行して、下流側触媒23の排ガス成分吸着量を0にするように目標空燃比λTGを補正する。以下、各プログラムの処理内容を説明する。
【0075】
[下流側触媒吸着量推定]
図16の下流側触媒吸着量推定プログラムでは、まず、ステップ701で、上流側触媒22の上流側の空燃比センサ24で検出した空燃比λが、予め設定したリッチ側許容値λRLとリーン側許容値λLLとの範囲内に収束しているか否かを判定する。上流側触媒22上流側の空燃比λが許容値λRL,λLLの範囲内に収束しているときには、空燃比λが理論空燃比付近で安定しているため、両触媒22,23の排ガス成分の吸着量がほぼ0であると判断して、以降の処理を行うことなく本プログラムを終了する。
【0076】
一方、上流側触媒22上流側の空燃比λが許容値λRL,λLLの範囲内に収束せずに乱れているときには、ステップ702に進み、図12に示す空燃比λをパラメータとする排ガスの物質濃度のマップを検索して、上流側触媒22上流側の空燃比λから現時点の排ガスの物質濃度を算出する。この後、ステップ703に進み、今回までの吸入空気量積算値QA(TOTAL) を前回までの積算値QA(TOTAL) に今回の吸入空気量検出値QAを加算して求める。
QA(TOTAL) =QA(TOTAL) +QA
更に、今回までの空燃比λの平均値から平均物質濃度を求める。
【0077】
この後、ステップ704に進み、上流側触媒22下流側(下流側触媒23上流側)の空燃比センサで検出した空燃比が理論空燃比付近から変化したか否かを、例えば所定のしきい値を越えたか否かにより判定し、理論空燃比付近であれば、上流側触媒22の排ガス成分の吸着量が飽和量(ストレージ量)に達していないと判断して、上記ステップ701に戻り、吸入空気量積算値QA(TOTAL) と平均物質濃度を求める処理を繰り返す。
【0078】
その後、上流側触媒22下流側の空燃比が理論空燃比付近から変化した時点で、上流側触媒22の排ガス成分吸着量が飽和量(ストレージ量)に達したと判断して、ステップ705に進み、平均物質濃度に吸入空気量積算値QA(TOTAL) を乗算して上流側触媒22の排ガス成分吸着量UOST(TOTAL) を算出する。
UOST(TOTAL) =平均物質濃度×QA(TOTAL)
【0079】
この後、ステップ706に進み、下流側触媒23の上流側の空燃比センサで検出した空燃比λが、リッチ側許容値λRLとリーン側許容値λLLとの範囲内に収束しているか否かを判定する。下流側触媒23の上流側の空燃比λが許容値λRL,λLLの範囲内に収束しているときには、下流側触媒23への排ガス成分の吸着が少ないと判断して、本プログラムを終了する。
【0080】
一方、下流側触媒23の上流側の空燃比λが許容値λRL,λLLの範囲内に収束せずに乱れているときには、下流側触媒23への排ガス成分の吸着量が多いと判断して、ステップ707に進み、今回の下流側触媒23の排ガス成分吸着量の変化量DOSTを、下流側触媒23上流側の空燃比λから求めた排ガスの物質濃度と吸入空気量検出値QAと補正係数Kを用いて次式により推定する。
DOST=物質濃度×QA×K
【0081】
ここで、補正係数Kは、上流側触媒22の排ガス成分吸着量が下流側触媒23の排ガス成分吸着量に及ぼす影響を補正するための補正係数であり、上流側触媒22の排ガス成分吸着量UOST(TOTAL) 、上流側触媒22と下流側触媒23の容量、担持貴金属、表面積等の触媒仕様の関係から求められる。
【0082】
この後、ステップ708に進み、下流側触媒23の吸着量DOST(TOTAL) を前回までの積算値DOST(TOTAL) に今回の吸着量変化量DOSTを加算して求める。
DOST(TOTAL) =DOST(TOTAL) +DOST
【0083】
[目標空燃比設定]
図17の目標空燃比設定プログラムでは、まずステップ801で、下流側触媒23の吸着量DOST(TOTAL) の絶対値が所定値よりも大きいか否かを判定し、下流側触媒23の吸着量DOST(TOTAL) の絶対値が所定値以下であれば、目標空燃比λTGを変更する必要はないと判断して、以降の処理を行うことなく本プログラムを終了する。
【0084】
一方、下流側触媒23の吸着量DOST(TOTAL) の絶対値が所定値よりも大きいと判定された場合は、ステップ802に進み、下流側触媒23の吸着量DOST(TOTAL) が0より大きいか否かによって、下流側触媒23の状態がリーン側にずれているかリッチ側にずれているかを判定する。もし、下流側触媒23の状態がリーン側にずれていれば、ステップ803に進み、下流側触媒23上流側の空燃比λがリーン側許容値λLLの範囲内(λ<λLL)であるか否かを判定し、下流側触媒23上流側の空燃比λがリーン側許容値λLLの範囲内であれば、ステップ804に進み、目標空燃比λTGをリッチ積分量λIRだけリッチ側に補正する。
【0085】
一方、下流側触媒23上流側の空燃比λがリーン側許容値λLL以上にリーン側にずれている場合は、ステップ805に進み、目標空燃比λTGを、リッチ積分量λIRに所定量Bを加算した値(λIR+B)だけリッチ側に補正する。ここで、所定量Bは、目標空燃比λTGの補正により下流側触媒23の排ガス成分吸着量が両触媒22,23の合計のリッチ成分ストレージ量OSTRich(又はリーン成分ストレージ量OSTLean)を越えない範囲で設定される。この場合、所定量Bは、固定値としても良いが、下流側触媒23上流側の空燃比に応じて変化させても良い。
【0086】
また、上記ステップ802で、下流側触媒23の状態がリッチ側にずれていると判定された場合は、ステップ806に進み、下流側触媒23上流側の空燃比λがリッチ側許容値λRLの範囲内(λ>λRL)であるか否かを判定し、下流側触媒23上流側の空燃比λがリッチ側許容値λRLの範囲内であれば、ステップ807に進み、目標空燃比λTGをリーン積分量λILだけリーン側に補正する。
【0087】
一方、下流側触媒23上流側の空燃比λがリッチ側許容値λRL以上にリッチ側にずれている場合は、ステップ808に進み、目標空燃比λTGを、リーン積分量λILに所定量Bを加算した値(λIL+B)だけリーン側に補正する。このようにして、下流側触媒23の排ガス成分吸着量DOSTが0になるように目標空燃比λTGが補正される。以上説明した図16の下流側触媒吸着量推定プログラムと図17の目標空燃比設定プログラムが特許請求の範囲でいうフィードバック制御補正手段としての役割を果たす。
【0088】
以上説明した実施形態(3)では、上流側触媒22の排ガス成分吸着量UOSTと下流側触媒23上流側の空燃比と吸入空気量とに基づいて下流側触媒23の排ガス成分吸着量DOSTを推定し、その排ガス成分吸着量DOSTを0にするように目標空燃比λTGを補正するので、図18に示すように、排ガスの空燃比の乱れが発生しても、下流側触媒23の排ガス成分吸着量を早期に0に回復させることができ、下流側触媒23を効率良く使用して排ガス浄化性能を高めることができる。
【0089】
また、本実施形態(3)では、目標空燃比λTGを補正する所定量Bを、目標空燃比λTGの補正によって下流側触媒23の排ガス成分吸着量が両触媒22,23の合計のリッチ成分ストレージ量OSTRich(又はリーン成分ストレージ量OSTLean)を越えない範囲で設定するようにしているので、両触媒22,23の吸着限界を越えない範囲で触媒系全体の排ガス浄化能力を最大限に発揮させることができる。
【0090】
《実施形態(4)》
以上説明した各実施形態(1)〜(3)では、全気筒共通の1本の排気管21に2個の触媒22,23を直列に配置して、各触媒22,23の上流側と下流側にそれぞれを空燃比センサや酸素センサ等のセンサを配置した構成としたが、排気管21に3個以上の触媒を直列に配置して、各触媒の上流側と下流側にそれぞれセンサを配置した構成にしても良い。
【0091】
また、図19に示すように、エンジン30の各気筒群毎(例えばV型エンジンのバンク毎)に独立して設けた排気管31に、それぞれ1個又は複数の触媒32を配置し、各触媒32の上流側と下流側にそれぞれ空燃比センサや酸素センサ等のセンサ33を配置した構成としても良い。この場合、各気筒群の排気管31の最下流の触媒32の下流側のセンサ33は、各気筒群の排気管31にそれぞれ配置しても良いが、図19に示すように、各気筒群の排気管31の最下流の触媒32の下流側のセンサ33を、各気筒群の排気管31の排ガスが合流する集合排気管34(集合排ガス通路)に配置して共通化した構成とするようにしても良い。このようにすれば、各気筒群の排気管31の最下流の触媒32の下流側の空燃比やガス濃度を共通のセンサ33で検出することができ、センサ33の個数を削減して低コスト化することができる。
【0092】
更に、図20に示すように、エンジン30の各気筒群の排気管31に、それぞれ触媒32を配置すると共に、集合排気管34にも触媒32を配置し、各気筒群の排気管31の触媒32と集合排気管34の触媒32の上流側と下流側にそれぞれセンサ33を配置した構成としても良い。この場合、図20(a)に示すように、各気筒群の排気管31の触媒32の下流側のセンサ33を各気筒群の排気管31にそれぞれ配置しても良いが、図20(b)に示すように、各気筒群の排気管31の触媒32の下流側のセンサ33を集合排気管34に配置して共通化しても良い。図20(a),(b)のいずれの構成でも、各気筒群の排気管31の触媒32と集合排気管32の触媒32とを効率良く使用して排ガス浄化性能を向上することができる。
【0093】
《実施形態(5)》
また、図21に示す本発明の実施形態(5)では、エンジン35の排気管36に3個以上(例えば4個)の触媒37を直列に配置した構成としている。この場合、図21(a)に示す例では、上流側の2個の触媒37からなる触媒群▲1▼と、その下流側の2個の触媒37からなる触媒群▲2▼とに区分し、各触媒群を1個の触媒と見なして各触媒群の上流側と下流側にそれぞれ空燃比センサや酸素センサ等のセンサ38を配置している。
【0094】
この場合、触媒37の区分方法は、制御目的等に応じて適宜変更しても良く、図21(b)に示す例のように、上流側の3個の触媒37からなる触媒群▲1▼と、その下流側の1個の触媒37からなる触媒群▲2▼とに区分し、各触媒群の上流側と下流側にそれぞれセンサ38を配置しても良い。或は、図21(c)に示す例のように、上流側の1個の触媒37からなる触媒群▲1▼と、その下流側の3個の触媒37からなる触媒群▲2▼とに区分し、各触媒群の上流側と下流側にそれぞれセンサ38を配置しても良い。
【0095】
《実施形態(6)》
図22に示す本発明の実施形態(6)では、エンジン39の排気管40に、1つの大型の触媒ケース41と、2つの触媒ケース42とを直列に配置し、上流側の触媒ケース41内には、3個の触媒43を所定の間隔で収納し、下流側の2つの触媒ケース42内には、それぞれ1個の触媒44を収納した構成としている。この場合、図22(a)に示す例では、上流側の触媒ケース41内の3個の触媒41からなる触媒群▲1▼と、その下流側の2つの触媒44からなる触媒群▲2▼とに区分し、各触媒群を1つの触媒と見なして各触媒群の上流側と下流側にそれぞれ空燃比センサや酸素センサ等のセンサ45を配置した構成としている。
【0096】
また、図22(b)に示す例のように、上流側の触媒ケース41内の上流側の2個の触媒42からなる触媒群▲1▼と、上流側の触媒ケース41内の下流側の1個の触媒42及びその下流側の2個の触媒44からなる触媒群▲2▼とに区分し、各触媒群の上流側と下流側にそれぞれセンサ45を配置した構成としても良い。
【0097】
或は、図22(c)に示す例のように、上流側の触媒ケース41内の上流側の1個の触媒42からなる触媒群▲1▼と、上流側の触媒ケース41内の下流側の2個の触媒42からなる触媒群▲2▼と、下流側の2個の触媒44からなる触媒群▲3▼とに区分し、各触媒群の上流側と下流側にそれぞれセンサ45を配置した構成としても良い。
【0098】
以上説明した実施形態(4)〜(6)のいずれの構成でも、各触媒(又は各触媒群)の上流側と下流側に配置したセンサの出力に基づいて各触媒毎(又は各触媒群毎)に現在の排ガス浄化能力(ストレージ量等)を評価して、触媒系全体の排ガス浄化能力を十分に発揮させるような応答性の良い空燃比制御を行うことができ、排ガス浄化性能を向上することができる。しかも、各触媒毎(又は各触媒群毎)に触媒劣化判定を行うことも可能となる。勿論、前記実施形態(1)〜(3)の空燃比制御を行うようにしても良い。
【0099】
尚、上記各実施形態では、各触媒(又は各触媒群)の上流側と下流側に空燃比センサや酸素センサを設置したが、HC濃度やNOx濃度等のガス濃度を検出するセンサを設置しても良い。
【0100】
その他、本発明は、各実施形態(1)〜(6)において、触媒の数を適宜変更しても良い等、種々変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】実施形態(1)の燃料噴射量算出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図3】実施形態(1)の目標空燃比設定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図4】実施形態(1)の酸素センサ出力及び目標空燃比の挙動を示すタイムチャート
【図5】(a)は上流側触媒下流側センサ用のリッチ積分量及びリーン積分量のマップの一例を示す図、(b)は下流側触媒下流側センサ用のリッチ積分量及びリーン積分量のマップの一例を示す図
【図6】リッチ成分ストレージ量(リーン成分ストレージ量)に応じたリッチスキップ量(リーンスキップ量)のマップの一例を示す図
【図7】実施形態(1)の学習開始判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(1)の空燃比変動制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図9】実施形態(1)の飽和判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図10】実施形態(1)のストレージ量算出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図11】実施形態(1)のストレージ量学習時の酸素センサ出力及び目標空燃比の挙動を示すタイムチャート
【図12】空燃比をパラメータとする排ガスの物質濃度のマップの一例を示す図
【図13】実施形態(1)の空燃比制御の実行例を示すタイムチャート
【図14】実施形態(2)の目標空燃比設定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図15】実施形態(2)の目標出力電圧設定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図16】実施形態(3)の下流側触媒吸着量推定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図17】実施形態(3)の目標空燃比設定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図18】実施形態(3)の空燃比制御の実行例を示すタイムチャート
【図19】実施形態(4)を示す排気系の概略構成図
【図20】実施形態(4)の変形例を示すもので、(a)と(b)は各気筒群の排気管の触媒下流側のセンサの配置場所が異なる排気系の概略構成図
【図21】実施形態(5)を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ触媒の区分方法が異なる排気系の概略構成図
【図22】実施形態(6)を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ触媒の区分方法が異なる排気系の概略構成図
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、14…エアフローメータ、20…燃料噴射弁、21…排気管(排ガス通路)、22…上流側触媒、23…下流側触媒、24…空燃比センサ、25,26…酸素センサ、29…ECU(空燃比フィードバック制御手段,サブフィードバック制御手段,フィードバック制御補正手段,セカンドフィードバック制御手段)、30…エンジン(内燃機関)、31…排気管(排ガス通路)、32…触媒、33…センサ、34…集合排気管(集合排ガス通路)、35…エンジン(内燃機関)、36…排気管(排ガス通路)、37…触媒、38…センサ、39…エンジン(内燃機関)、40…排気管(排ガス通路)、41,42…触媒ケース、43,44…触媒、45…センサ。

Claims (14)

  1. 内燃機関の排ガス通路に排ガス浄化用の複数の触媒を配置したものにおいて、
    前記各触媒の上流側と下流側にそれぞれ排ガスの空燃比又はガス濃度を検出するセンサを配置し
    前記複数の触媒のうち上流側触媒の上流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
    下流側触媒の上流側のセンサの出力、吸入空気量、上流側触媒の上流側のセンサの出力と該上流側触媒の排ガス成分の吸着量、及び上下流の触媒仕様の関係に基づいて該下流側触媒の排ガス成分の吸着量を推定し、該吸着量の制御目標値からのずれを無くすように空燃比フィードバック制御を補正するフィードバック制御補正手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
  2. 前記フィードバック制御補正手段は、前記複数の触媒の合計ストレージ量を越えない範囲で、空燃比フィードバック制御の補正量を設定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  3. 内燃機関の各気筒群毎に独立した排ガス通路を設けると共に、各気筒群の排ガス通路を下流側で1本の集合排ガス通路に合流させ、
    各気筒群の排ガス通路にそれぞれ複数の触媒を配置すると共に、各気筒群の触媒の上流側と下流側に配置するセンサのうちの最下流の触媒の下流側のセンサを前記集合排ガス通路に配置して共通化したことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  4. 内燃機関の各気筒群毎に独立した排ガス通路を設けると共に、各気筒群の排ガス通路を下流側で1本の集合排ガス通路に合流させ、
    各気筒群の排ガス通路にそれぞれ触媒を配置すると共に、前記集合排ガス通路にも触媒を配置し、前記各気筒群の触媒と前記集合排ガス通路の触媒の上流側と下流側にそれぞれ排ガスの空燃比又はガス濃度を検出するセンサを配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  5. 内燃機関の排ガス通路に排ガス浄化用の3個以上の触媒を配置したものにおいて、
    前記3個以上の触媒を複数の触媒群に区分し、各触媒群を1つの触媒と見なして各触媒群の上流側と下流側にそれぞれ排ガスの空燃比又はガス濃度を検出するセンサを配置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  6. 前記複数の触媒のうち上流側触媒の上流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
    下流側のセンサの出力を空燃比フィードバック制御に反映させるサブフィードバック制御手段とを備え、
    前記サブフィードバック制御手段は、下流側の複数のセンサの中から、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサを内燃機関の運転状態に応じて切り換えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  7. 前記サブフィードバック制御手段は、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサの位置に応じて該センサの出力の反映方法を変化させることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  8. 前記サブフィードバック制御手段は、空燃比フィードバック制御に反映させるセンサの位置に応じて該センサの目標出力を設定することを特徴とする請求項又はに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  9. 前記複数の触媒のうち上流側触媒の上流側のセンサの出力に基づいて排ガスの空燃比をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
    前記上流側触媒の下流側のセンサの出力を空燃比フィードバック制御に反映させるサブフィードバック制御を行うサブフィードバック制御手段と、
    前記複数の触媒のうち下流側触媒の下流側のセンサの出力をサブフィードバック制御に反映させるセカンドフィードバック制御手段と
    を備えていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  10. 前記セカンドフィードバック制御手段は、前記下流側触媒の下流側のセンサの出力に応じて前記上流側触媒の下流側のセンサの目標出力を設定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  11. 前記セカンドフィードバック制御手段は、前記上流側触媒の下流側のセンサの目標出力を、前記下流側触媒の排ガス成分の吸着量が所定値以下となる範囲内又は前記下流側触媒を流れる排ガスの空燃比が所定の浄化ウインドの範囲内となるように設定することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  12. 前記上流側触媒の下流側のセンサは、酸素センサであり、前記セカンドフィードバック制御手段は、前記酸素センサの目標出力を0.4〜0.65Vの範囲内に設定することを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  13. 前記セカンドフィードバック制御手段は、前記下流側触媒の下流側のセンサの出力に応じてサブフィードバック制御の制御ゲインを変化させることを特徴とする請求項乃至12のいずれかに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  14. 前記サブフィードバック制御手段と前記セカンドフィードバック制御手段の少なくとも一方は、該制御手段で用いるセンサ直前の触媒の排ガス成分の吸着量に応じて制御ゲイン変化させることを特徴とする請求項乃至13のいずれかに記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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