JP3668839B2 - 液晶表示装置とその製造方法、及び液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶テレビや携帯用OA機器等に使用される液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、一般に多く用いられている液晶表示装置はTN型(ツイスティッドネマチック型)が主流である。近年、OCB(オプティカルコンペンセイテッドベンド)型液晶表示装置(πセルと呼ぶ場合もある)についても様々に報告されている。このモードは高速応答、広視野角という特長がある。OCB型液晶表示装置の詳細については、「社団法人電気通信学会 信学技報 EDI98-144 199頁」を参考にされたい。
【0003】
ここで、従来のOCB型液晶表示装置について、図21を用いて簡単に説明する。図21は、従来のOCB型液晶表示装置の概略断面図であり、図21(a)は、従来のOCB型液晶表示装置の電圧無印加状態の概略断面図、図21(b)は、同じく電圧印加状態の概略断面図である。
【0004】
OCB型液晶表示装置1を構成する基板2・3間には、ネマチック液晶が注入されており、電圧の印加していない液晶の配向状態はスプレイ状態4(図21(a))と呼ばれるものである。電源投入時等にこの液晶層に比較的大きな電圧を印加することで、このスプレイ配向からベンド配向(図21(b))へと転移させる。このベンド配向状態5を用いて表示を行うのがOCBモードの特徴であり、電圧の大きさを変化させることでパネルの透過率を変化させる装置である。このようなOCB型液晶表示装置の電圧-透過率特性を図22に示す。透過率は印加する電圧を上げることで低下していく。
【0005】
OCB型液晶表示装置は、通常、液晶パネル内部の液晶がベンド配向を維持するような電圧範囲内で動作させる。即ち、ある特定の電圧以下になると、スプレイ配向状態が安定になるためスプレイ配向転移が発生する。この電圧を転移電圧VLとする。このベンド配向からスプレイ配向への転移が起こると、白レベル表示の透過率が図22(印加電圧<VL)のように急激に低下する。図22は、OCB型液晶表示装置の電圧-透過率特性を示すグラフである。このとき、観察する角度によって見え方が大きく異なる問題がある。更に、この転移は不可逆変化であり、一旦スプレイ配向が発生した画素は、その後、液晶表示装置上で表示欠陥(輝点など)として残り、その正常表示動作を妨げる。
【0006】
また、TN型液晶表示装置などには、表示画像を鮮明に見せるための尖鋭化回路が設けられることがある。尖鋭化回路とは、液晶基板間電圧の矩形波に微分波をのせて液晶表示装置を駆動させる回路である。
【0007】
また、特開平7−49509号公報において、平行ラビング処理の液晶表示装置(OCB型液晶表示装置とほぼ同等)を用い、位相差板と液晶層を合わせた位相差が 所定の関係を満たす液晶表示装置を提案している。この関係では、第1の電圧で前記位相差が(M+1)λ/2、第2の電圧ではMλ/2となることが特徴である。ここでMは整数、λは可視光波長である。
【0008】
液晶表示装置は、液晶自体が自己発光しないために外部からの照射光が必要である。この外部照射光の照射光源をバックライト素子と定義する。現在主流となっているバックライト素子の一つである冷陰極管は主に蛍光ランプ、導光板、拡散板、プリズムシート、偏光変換素子で構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記OCB型液晶表示装置では、特定の駆動条件や特定の温度範囲において表示欠陥が発生する課題、コントラストが低下する課題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、液晶パネル内に封止された液晶に電圧を印加する電圧印加手段を有し、前記電圧印加手段によって印加電圧を変化させて表示を行い、前記液晶がベンド配向状態で表示を行う液晶表示装置であって、前記液晶に印加される電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は減少して極小値を示した後、さらなる電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は増加し、黒レベルの表示を行う際に前記電圧印加手段によって前記液晶に印加される黒レベル表示電圧値が前記極小値に対応する電圧となるように、前記液晶表示装置の駆動条件に対応して前記黒レベル表示電圧値を調整可能な調整機構を備える、液晶表示装置により達成される。前記構成とすることにより、黒レベル表示電圧値を調整する黒レベル電圧調整機構により、黒レベル表示電圧値を調整することができ、高いコントラスト表示を維持することが可能となる。また、液晶に印加する電圧を増加する際、光透過率がいったん減少した後、増加に転ずる場合に発生する階調反転表示を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の前記目的は、液晶パネル内に封止された液晶に電圧を印加する電圧印加手段を有し、前記電圧印加手段によって印加電圧を変化させて表示を行い、前記液晶がベンド配向状態で表示を行う液晶表示装置であって、前記液晶に印加される電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は減少して極小値を示した後、さらなる電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は増加し、白レベルの表示を行う際に前記電圧印加手段によって前記液晶に印加される白レベル表示電圧値を前記液晶表示装置の使用温度または駆動条件に対応して調整可能な機構を備える、液晶表示装置により達成される。前記構成とすることにより、最適な白レベル表示電圧値が得られるため、明るい表示を示す液晶表示装置を実現することができる。
【0070】
以上説明した液晶表示装置には、液晶の複屈折量を変化させて表示を行うモードの液晶表示装置を適用することができる。より具体的には、一対の基板に接する液晶のプレチルト方向が、前記基板間の中心面に対して面対称な位置関係になるように、略平行配向した構成、例えば、OCB型液晶表示装置を適用することができる。
【0071】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0072】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置の一部分を示す斜視図である。
【0073】
OCB型液晶表示装置20は、相互に平行配置した基板10と11との間に、液晶分子12を含む液晶層13が挿入されて液晶パネルを構成している。前記基板10・11の相互に対向する表面には、図示せぬが、それぞれ液晶層13に電界を印加するための透明電極、及び液晶分子の配向を規制するための配向膜が形成されている。また、前記基板10(または基板11)にはTFT素子が形成され、アクティブマトリクス基板を構成している。
【0074】
前記配向膜は、基板面内における配向方位が相互に同じ方向に、すなわち平行配向になるように配向処理されている。そして、基板10・11表面から離れるに従って液晶分子12は徐々に立ち上がり、液晶層13の厚さ方向のほぼ中央において液晶分子のチルト角が90度になるベンド配向となる。また、基板10・11の外側には、偏光板15・16と光学補償板17・18が配置され、前記2枚の偏光板15・16は、偏光軸が相互に直交あるいは平行に配置され、その偏光軸と液晶分子の配向方位とは45度の角度になるよう配置されている。そして、高電圧を印加したオン状態と低電圧を印加したオフ状態との液晶層の屈折率異方性の差を利用して、前記偏光板、光学補償板を通してその偏光状態を変化させ光の透過率を制御して表示させることになる。
【0075】
本実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置の透過率と印加電圧の関係は、従来の技術と同様に図22に示すような特性を示した。ここで、白レベルを表示するためにはほぼVLの電圧を印加し、黒レベルを表示するためには輝度がほぼ最小になる電圧を用いた。ここで白レベルとは各画素の輝度を最大とする場合であり、黒レベルとは各画素の輝度を最小とする場合とした。実際に黒色を表示するにはRGBの全画素を黒レベルとする場合として表記上区別する。
【0076】
従来の技術でも述べたように、OCB型液晶表示装置において白レベル表示電圧値が転移電圧VLを下回るとスプレイ配向が発生し、輝点などの表示欠陥が生じる。これは偏光がスプレイ配向した液晶およびベンド配向した液晶内部を通過するときに、それぞれから受ける複屈折量が大幅に異なるためである。
【0077】
従来の技術でも述べたように、尖鋭化回路とは基板間電圧の矩形波に微分波をのせることによって表示画像をより鮮明にする回路であるので、OCB型液晶表示装置に尖鋭化回路を組み合わせると、表示画像を鮮明にすることができる。図23にその概念図を示す。この例は縦方向に白黒の帯を出した時のものである。映像信号のみでは矩形波であるが、ここで尖鋭化回路を通すことで、その微分波形を重畳させ、電圧が変わる短期間にピーク電圧をさらに印加する。これによって映像のエッジが強調され、尖鋭感のある表示が得られる。
【0078】
しかし、OCB型液晶表示装置に尖鋭化回路を用いて表示を行ったところ、スプレイ配向による表示欠陥が発生するという問題が生じた。その原因は、ほぼ転移電圧VLに設定されている白レベル表示電圧値に微分波の波高分ΔVwが重畳された結果、基板間電圧が転移電圧VLを下回ることになり、ベンドからスプレイへの配向転移が発生したためである。
【0079】
そこで、本実施の形態では、従来の尖鋭化回路に基板間電圧の下限値(リミット電圧と定義する)を設定できるような機構として電圧制限手段である電圧制限回路(リミッタ回路)23を設置した。その概念図を図2に示す。図2(a)、(b)は、実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置に尖鋭化回路22および電圧制限回路23を設置した場合のブロック図である。
【0080】
この機構によって、もし印加する基板間電圧が転移電圧VLを下回った場合には、リミット電圧をVLに設定し、基板間に基板間電圧VLの電圧を印加するようにした。
【0081】
このリミット電圧を、図2(b)に示すような機構によって表示電圧値の調整時に変動しないように一定値とした。
【0082】
図2(b)において、31は黒レベル表示電圧VBを発生する黒レベル電圧発生回路であり、32は白レベル表示電圧VWを発生する白レベル電圧発生回路である。この黒レベル電圧発生回路31及び白レベル電圧発生回路32は、図示せぬ制御回路からの制御信号により、黒レベル表示電圧VBが固定または希望する値に調整可能とされ、白レベル表示電圧VWが固定または希望する値に調整可能とされている。36は階調電圧生成回路である(尚、後述する実施の形態3で階調制御については詳しく説明する)。また、25は、電圧制限回路23のリミット電圧を調整する制限電圧調整手段するためのリミッター電圧生成回路である。そして、リミッター電圧生成回路25は電圧制限回路23に接続されており、リミッター電圧生成回路25によって電圧制限回路回路23に電圧が印加されてリミット電圧が設定される。
【0083】
実際に、尖鋭化回路22にリミッタ回路23を設置し、そのリミット電圧をVLに設定してOCB型液晶表示装置に図3のような電圧波形で駆動させ、表示を行った。図3は、実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置に尖鋭化回路および電圧制限回路を設置した場合の電圧波形の概念図である。
【0084】
ここで、従来の尖鋭化回路と異なるのは、白レベル表示時の微分波高分ΔVWを電圧制限回路(リミッタ)によって除去したことである。このようして、尖鋭化回路によって映像のエッジが強調され、尖鋭感のある表示が得られたOCB型液晶表示装置において、ベンド配向からスプレイ配向への配向転移による表示欠陥の発生を抑制することができる。
【0085】
尚、後述する実施の形態2で述べるが、前記リミット電圧を調整する機構を装置に内蔵することで、多少の白レベル表示電圧値の変動(例えば、使用温度の変化や液晶パネルのばらつき)に対応して、多少の白レベル表示電圧値の変動にも対応できる。
【0086】
(実施の形態2)
本実施の形態は、OCB型液晶表示装置を使用する全温度範囲内でベンドからスプレイへの配向変化に伴う表示欠陥を発生させないものである。
【0087】
本願発明者らは、ベンドからスプレイへの配向転移(即ち、通常の表示配向状態から非表示配向状態への変化)が起こる転移電圧VLに温度依存性があることを見い出した。表1に転移電圧と温度の関係を示す。室温では転移電圧が2.5Vであったが、0℃付近からこの転移電圧は上昇し−20℃では3Vに到った。
【表1】
【0088】
実際にOCB型液晶表示装置を駆動させると、室温においては表示欠陥が生じなかったが、低温においてはベンドからスプレイへの配向転移による表示欠陥が発生した。これは温度低下により転移電圧VLが上昇し、白レベル表示電圧値を上回ったためである。使用温度範囲内において表示欠陥を発生させないためには、各使用温度での転移電圧VL以上の電圧で駆動する必要がある。
【0089】
(実施の形態2−1)
実施の形態2−1では、白レベル表示電圧値を全温度範囲の転移電圧VL以上のほぼ一定値に設定した。また、本実施の形態では使用温度範囲を−20℃以上とした。尚、車載用のモニタ等に使用される場合を考慮して、−20℃を使用温度の下限としている。
【0090】
このとき、各温度での転移電圧VLにおける最大値をVLmaxとすると、本実施の形態においては、VLmax=3.0Vとなった。尚、前記転移電圧VLmaxはプレチルトに依存し、そのプレチルトを決定するものは液晶材料や配向膜である。本実施の形態の場合には、液晶材料としてZL1−2293(商品名、(株)メルク製)、配向膜としてAL−1052(商品名、(株)JSR)を用いた。
【0091】
このように構成された液晶表示装置を、最低駆動電圧を3.0Vとして駆動し、全ての使用温度(−20〜80℃)でこの3.0V以上の電圧で駆動することにより、ベンド配向からスプレイ配向への配向転移による表示欠陥の発生を抑制することができる。
【0092】
また、使用温度に対応して白レベル表示電圧値を調整する電圧調整手段(詳細については後述する実施の形態2−2にて記す)を必要としないため、機器のコストを低く抑えることができる。ただし、室温でも白レベル表示電圧値を必要以上に高く設定することになるため、明るさが低くなる問題があるが、後述する実施の形態2−2によってその問題は解決することができる。
【0093】
(実施の形態2−2)
実施の形態2−2では、OCB型液晶表示装置の各使用温度における白レベル表示電圧値が常に各温度のVLを下回らないように駆動する電圧の最小電圧値を決定する手段として、次のような電圧決定機構を設置した。
【0094】
即ち、図4に示すような電圧決定機構によって、常に各温度のVLを下回らないような白レベル表示電圧値の自動設定を行った。
【0095】
液晶表示装置21に読み取り専用内部記憶装置ROMを設け、前記表1に示した温度特性データを記憶させる。
【0096】
液晶表示装置21の外部温度を検出することのできる位置(例えば、液晶表示素子の表面近傍)にサーミスタSを内蔵し、該サーミスタSによって外部使用温度を検知する。この外部温度を検知する機構を温度検出手段と呼ぶ。
【0097】
前記温度特性データと外部使用温度とを判断部22で照合し、装置を使用している温度において、VLを下回らないような白レベル表示電圧値を常に決定する。そして、その決定に基づいて前記外部使用温度に対応して白レベル表示電圧値の最適化を図る。
【0098】
このような構成とすることにより、液晶表示装置のコストがアップするが、室温での白レベル表示電圧値を必要以上に高く設定することにならないので、その温度に応じた最適な白レベル表示電圧値が得られるため、明るさを損なうことがなく、明るい表示を示す液晶表示装置とすることができる。また、液晶表示装置に多少の温度分布があるため、検出した温度と液晶表示装置内の温度に多少の差異がある場合がある。このため、実用上は0.1Vのマージンをもたせた構成としてもよい。
【0099】
また、本実施の形態では、−20℃までを動作保証温度とした構成を考えた。しかし、例えば外気温度の使用温度が一時的に低下し、動作温度が−20℃以下となった場合には、スプレイ配向転移による表示欠陥を生じる。このような状況を想定し、一旦発生した表示欠陥を正常な表示状態へと復元する復元手段を設けてもよい。具体的な一例として、電源投入時に印加するスプレイ配向からベンド配向へと転移させる転移波形と同様な波形を任意に印加することができるような機構が考えられる。
【0100】
(実施の形態2−3)
本実施の形態は、使用者が各温度に対して最適な白レベル表示電圧値に調整する機構を液晶表示装置に具備したものである。使用温度が低くなりスプレイ配向が発生する場合には、使用者が手動で白レベル表示電圧値を高くすることで対処した。
【0101】
ただし、本実施の形態では、一旦スプレイ配向が発生するため、復元手段としてスプレイ配向からベンド配向に転移させる転移波形を印加する手段及びスイッチを別途設ける必要がある。
【0102】
このようにして、使用者は、各使用温度に対して最適な白レベル表示電圧値を調整することができる。
【0103】
(実施の形態3)
本実施の形態では、黒レベル表示電圧値を調整する黒レベル電圧調整機構により低コントラスト化、階調反転表示を抑制する。
【0104】
図22に示したように、OCB型液晶表示装置の電圧-透過率特性には次のような特徴がある。液晶層にかかる電圧(>VL)の増加に伴い透過率は単調に減少し極小値(その時の電圧をVHとする)を示した後、更なる電圧の増加によって透過率が単調に増加していく。ここで、透過率が極小値を有することがOCB型液晶表示装置の特徴である。これは電圧の増加に対して透過率が単調に減少していくだけの、従来素子(例えはTN型液晶表示装置)とは対照的である。
【0105】
この極小値の電圧を用いて黒レベル表示を行うことが理想的である。このときに最良のコントラストが得られる。また、この極小値以上の電圧で駆動をすると、電圧の増加に対して透過率が逆に増加する現象が発生する。これを階調反転と呼んでおり表示する上で問題となる。
【0106】
OCB型液晶表示装置において高いコントラストを得るため、および階調反転表示を抑制するためには、この黒レベル電圧調整機構によって黒レベル表示電圧値を極小値VHに調整することが特に重要となる。
【0107】
従来のTN型液晶表示装置で用いられていた電圧調整法は、ソース電圧振幅と対向基板の間の振幅、即ち、基板間電圧の振幅を一定した電圧調整法であった。つまり、黒レベル表示電圧値だけでなく白レベル表示電圧値も同時に変化させてきた。
【0108】
この方法をOCB型液晶表示装置に適用して黒レベル表示電圧値の調整を行った時、白レベル表示電圧値が転移電圧VLを下回ると、ベンド配向からスプレイ配向へと配向転移が発生し表示欠陥が発生する問題があった。また、白レベル表示電圧値が高くなりすぎると、明るさが低下する問題があった。OCB型液晶表示装置では、白レベル表示電圧値は転移電圧VL以上と制限される、この電圧で固定することが望ましい。
【0109】
そこで、これらの表示品位の低下を抑制するために本実施の形態では白レベル表示電圧値を固定したまま黒レベル表示電圧値を調整する機構を組み込んだ。この機構により表示欠陥、明るさ低下の抑制と同時に黒レベル表示電圧値の調整による高いコントラストが得られた。
【0110】
図5にその概念図を示す。表示素子の出荷時にその液晶パネルに最適な黒レベル表示電圧値となるように電圧を調整させた。この調整の際、白レベル表示電圧値は動かないようにした。具体的には、図5のような表示入力信号-ソース電圧のガンマ補正機構を導入した。具体的な実現方法として、後述する図7に示すような抵抗分割、ガンマテーブルが考えられる。また、図7は画像信号が4ビット(16階調)の例たが、これに限るものではない。他、画像信号が8ビット(256階調)などの場合でも本発明は効果がある。
【0111】
本実施の形態では、黒レベル表示電圧値の調整を行うと同時に最適なガンマ補正も行った。ここでそれぞれのガンマ補正曲線は相似形であり、白レベル表示電圧値から黒レベル表示電圧値にいたるまでの曲線の形は一定とした。この機構によって高いコントラストと正しい階調表示変化が得られた。この黒レベル表示電圧値を使用者が調整できる調整機構を液晶表示装置装置に具備してもよい。
【0112】
次に、図6及び図7を参照して、本実施の形態3の具体的な構成及びその動作について説明する。図6は本実施の形態3に係る液晶表示装置の駆動回路部の具体的な構成を示すブロック図であり、図7は階調駆動電圧生成回路の具体的構成を示す回路図である。説明の便宜上、画像信号はデジタル信号であり、階調データが4ビット(D1〜D4)構成とされ、16階調表示を行う液晶表示装置として説明することにする。
【0113】
図6において、31は黒レベル表示電圧VBを発生する黒レベル電圧発生回路であり、32は白レベル表示電圧VWを発生する白レベル電圧発生回路である。この黒レベル電圧発生回路31及び白レベル電圧発生回路32は可変抵抗で構成されており、制御回路33からの制御信号により、黒レベル表示電圧VBが固定または希望する値に調整可能とされ、白レベル表示電圧VWが固定または希望する値に調整可能とされている。
【0114】
36は階調電圧生成回路であり、該階調電圧生成回路36、前記黒レベル電圧発生回路31及び白レベル電圧発生回路32とにより階調電圧発生回路37を構成している。
【0115】
前記階調電圧生成回路36は黒レベル表示電圧VBと白レベル表示電圧VW間で16個の階調電圧V1〜V16を生成する。ここで、最小電圧V1は白レベル表示電圧VWであり、最高電圧V16は黒レベル表示電圧VBである。なお、階調電圧生成回路36は、後述するように制御回路33からのγ補正データによりγ補正を行う機能を有する。
【0116】
なお、制御回路33には温度センサ34が接続されている。この温度センサ34は液晶表示装置の使用環境温度を検出するものであり、この温度センサ34からの検出温度に応じて制御回路33は白レベル電圧発生回路32の可変抵抗の値を調整する。これにより、温度変化に応じた最適な白レベル表示電圧VWが自動的に設定されることになる。また、制御回路33には手動調整つまみ35a,35b,35cが接続されている。手動調整つまみ35aは白レベル表示電圧VW調整用のスイッチであり、手動調整つまみ35bは黒レベル表示電圧VB調整用のスイッチであり、手動調整つまみ35cはγ補正用のスイッチである。このような手動調整つまみ35a,35bを使用者が操作することにより、白レベル表示電圧VWや黒レベル表示電圧VBを個別に微調整することができ、使用者の好みに応じた画質を得ることができる。また、手動調整つまみ35cを使用者が操作することにより、希望するγ特性を有する階調性が得られることになる。
【0117】
次いで、階調電圧生成回路36の具体的な構成を図7を参照して説明する。高電圧の黒レベル表示電圧VBと低電圧の白レベル表示電圧VW間には、直列に接続された3つの可変抵抗r1,r2,r3が介在している。この可変抵抗r1,r2,r3には、制御回路33からのγ補正データが供給され、γ補正データに対応した抵抗値に調整されるように構成されている。黒レベル表示電圧VB用の端子と可変抵抗r1との接続点P1は、個別接続ランL1を介して共通ラインL5に接続されており、この個別接続ランL1にはスイッチSW1が介在している。また、可変抵抗r1と可変抵抗r2との接続点P2は、個別接続ランL2を介して共通ラインL5に接続されており、この個別接続ランL2にはスイッチSW2が介在している。また、可変抵抗r2と可変抵抗r3との接続点P3は、個別接続ランL3を介して共通ラインL5に接続されており、この個別接続ランL3にはスイッチSW3が介在している。また、可変抵抗3と白レベル表示電圧VW用の端子との接続点P4は、個別接続ランL4を介して共通ラインL5に接続されており、この個別接続ランL4にはスイッチSW4が介在している。これらのスイッチSW1〜SW4は、デジタル画像信号の各ビットデータD1〜D4の論理レベルに対応してスイッチング態様が変化するように構成されている。例えば、[D1,D2,D3,D4]=[0,0.0,0]のときは、スイッチSW1〜SW4が全てOFFとなり、共通ラインL5に白レベル表示電圧VW(=第1階調電圧V1)が出力される。同様にして、D1〜D4の論理レベルに対応してスイッチSW1〜SW4のスイッチング態様が変化し、V2〜V16(=黒レベル表示電圧VB)が生成される。こうして、デジタル画像信号の階調に応じた階調信号電圧が生成されることになる。
【0118】
なお、γ特性を変化させる場合は、手動調整つまみ35cを操作すれば、それに応じて各可変抵抗r1〜r3の抵抗値が変化し、これにより、V2〜V15の電圧レベルが変化する。また、手動調整つまみ35a,35bを予め操作しておけば、V1,V2の電圧レベルを希望する値に設定することができる。従って、これら手動調整つまみ35a,35b,35cの操作により、希望する階調性を得ることが可能となる。
【0119】
上記構成の駆動回路により以下の電圧設定が可能となる。
【0120】
(1)本実施の形態3のように、黒レベル表示電圧値と白レベルを表示する電圧値である白レベル表示電圧値とを独立に調整することが可能である。そして、黒レベル表示電圧値の調整時に白レベルの表示を行う電圧値である白レベル表示電圧値が変動しないような電圧設定が可能である。従って、電圧調整時に、白レベル表示電圧値が転移電圧VLを下回ることはなく、ベンド配向からスプレイ配向へと配向転移が発生し表示欠陥が発生するような問題がなくなる。
【0121】
(2)後述する実施の形態4のように、黒レベル表示電圧値を各色(RGB)ごとに設定することが可能となる。
【0122】
(3)後述する実施の形態5のように、白レベル表示電圧値を各色(RGB)ごとに設定することが可能となる。
【0123】
上記のようにして電圧設定が可能であるが、この電圧設定は液晶表示装置の製造時または製造後のいずれにおいても行うことができる。液晶表示装置の製造時には、前記のような黒レベル表示電圧値を調整する工程を有することにより、低コントラスト化、階調反転表示を抑制した液晶表示装置を得ることができる。
【0124】
前述した方式では、出荷時ならびに使用者が黒レベル表示電圧値を調整する方式であった。更に、この電圧の補正を自動検出する機構を具備させてもよい。これは電圧を徐々に変化させる電圧変動機構と光量を検出する光量検出機構を備えることで実現できた。具体例を以下に示す。
【0125】
フォトダイオード(PD)などの透過光量を検知する素子を液晶表示装置に搭載し表示輝度を検知させる。電圧変動機構によって液晶にかかる電圧を増減させ、PDなどで検知した輝度の減少方向に電圧値をフィードバックしていく。輝度が最小を示す電圧を検出する。
【0126】
前記構成のように、黒レベルの表示を行う電圧値を黒レベル表示電圧値としたとき、該黒レベル表示電圧値を調整する黒レベル電圧調整手段、より具体的には、白レベル表示電圧値を固定したまま、黒レベル表示電圧値を調整する機構を具備することにより、常に高いコントラスト表示を維持することが可能となった。
【0127】
(実施の形態4)
本実施の形態は黒レベル表示電圧値を各色ごとに設定したことに特徴がある。
【0128】
本願発明者らの詳細な検討により、OCB型液晶素子では電圧-透過率特性に透過光波長依存性があることが実験により明らかにされた。図8(a)は、本実施の形態で用いたOCB型液晶表示装置の黒レベル表示付近での透過率と印加電圧の関係を示すグラフである。黒レベル表示電圧値付近では図8(a)のような、VH(青)(=6.0V)<VH(緑)、VH(赤)(=6.5V)という特性があった。
【0129】
このように、OCB型液晶表示装置において、透過率が極小値となる電圧VHが各色ごとで異なっているのは、黒レベル表示を行うときに液晶層の有する位相差量がゼロではなく、上下に配置した位相差板の位相差量と相殺して液晶表示装置全体として位相差量をゼロとしているためである。つまり液晶層は位相差を有し、この位相差量の波長依存性によって透過率が極小値となる電圧VHが異なってくる。これはOCB型液晶表示装置に限った問題ではない。複屈折量を制御するモードや位相差板を有する構成の液晶表示装置に特有の課題である。
【0130】
一方、従来のTN型液晶表示装置においてはそのような波長依存性がほとんど現れない。その理由は、TNモードは基板内部の液晶の旋光性により光の透過を制御するモードであり、液晶層の厚みdの制御により透過光の波長依存性が小さくなるように設計されているためである。
【0131】
OCB型液晶表示装置において、従来TN型液晶表示装置などで用いられてきたように、RGB(赤、緑、青)表示を同一の黒レベル表示電圧値で設定すると、黒色がわずかに色づきコントラストが低下して表示される問題が生じた。例えば、6.5Vで設定すると、青の光がわずかに漏れてくる問題や青色での階調反転が発生する問題がある。
【0132】
そこで、本実施の形態では、良好なコントラストを得るために、R、G、Bの画素の黒レベル表示電圧値をそれぞれ透過率が極小となる電圧値VH(R)、VH(G)、VH(B)に設定した。
【0133】
具体的には、前記実施の形態3(図6、図7)で説明した構成を用いて、R、G、Bごとに黒レベル表示電圧値を設定した。図8(b)に示すように、37R・37G・37Bは、それぞれR、G、Bごとに階調制御するための階調電圧発生回路であり、該階調電圧発生回路37R・37G・37Bは制御回路33に接続されている。そして、前記制御回路33により、R,G,Bの画素の黒レベル表示電圧値をそれぞれ透過率が極小となる電圧値VH(R)、VH(G)、VH(B)に設定することができる。
【0134】
図8に示したこの例では、R,Gの画素には6.5Vの電圧で黒レベル表示になるように設定し、Bには6.0Vの電圧で黒レベル表示になるよう設定した。
【0135】
ここで、白レベル表示電圧値はベンド配向からスプレイ配向へ転移する転移電圧で決定することとしたため、RGB波長依存性はないとした。この方式では最大の明るさが得られるために、最大コントラストが実現された。
【0136】
前記電圧設定は液晶表示装置の製造時または製造後のいずれにおいても行うことができる。液晶表示装置の製造時には、前記複数種の色表示の少なくとも1種の色表示で異なる黒レベル表示電圧値に調整する黒レベル調整工程を有することにより、低コントラスト化、階調反転表示を抑制した液晶表示装置を得ることができる。
【0137】
ここで、実施の形態3で説明した具体的機構を用いて、白レベル電圧値を固定した状態で黒レベル表示電圧値を調整してもよい。ここで、この機構をR,G,Bそれぞれで別個に調整する機構としてもよい。
【0138】
また、上記のように、本実施の形態では、R,Gの画素には6.5Vの電圧で黒レベル表示になるように設定し、Bには6.0Vの電圧で黒レベル表示になるよう設定した。ここでは、R,G,Bそれぞれ独立に黒レベル表示電圧値の調整を実施したが、以下のような黒レベル調整手段を有する調整機構とすることもできる。即ち、各色表示の黒レベル表示電圧値のうち、Bに対応する黒レベル表示電圧値を設定する際に、R,Gに対応する黒レベル表示電圧値を連動させる1系統の電圧調整機構とすることもできる。また、次のような2系統の電圧調整機構とすることもできる。即ち、R,Gの黒レベル表示電圧値が連動し調整する系統とBの黒レベル表示電圧値を調整する系統が独立した2系統の調整機構とすることもできる。
【0139】
(実施の形態5)
前記実施の形態4では、黒レベル表示電圧値付近の透過光の波長依存性を考慮したが、本実施の形態では白レベル表示電圧値付近での色の再現性を向上させた。本実施の形態のOCB型液晶表示装置における印加電圧と透過率の関係を図9に示す。
【0140】
尚、本実施の形態では、複数種の色画素を有するカラーフィルタを用いて色表示を行うよう構成されている。また、カラーフィルタの代わりに、後述する実施の形態13で説明するシーケンシャルカラー照明方式に基づくバックライト素子を用いることもできる。
【0141】
図9に示すように、全体的に青色の透過率が高く、緑、赤の順で透過率が低くなる問題があった。これは液晶層の複屈折量を制御して表示を行うモード特有の課題である。その原因は液晶層の有する位相差量が波長依存を有するためである。液晶層の有する位相差量は2πΔnd/λで一般に示される。ここでΔnは液晶層の有する複屈折量、dは液晶層の厚み、λが波長、πは円周率である。この位相差量が波長λの関数になっていることが波長依存を有する原因である。青の波長は他の光に比べて短いため、青の光が受ける位相差量は大きくなる。
【0142】
もし、ここでスプレイ配向転移が発生しなかったとすれば、図12のような特性になるはずである。これは光学シミュレーションによって得られた結果である。このように、比較的高い電圧で青は透過率のピークを有し、赤は比較的低電圧でピークとなる。この各色で透過率がピークをとる電圧値を白ピーク電圧値と定義し、RGBそれぞれの白ピーク電圧値をVRwp、VGwp、VBwpと表記する。このピークにおける各色の透過率IR,IG,IBはほぼ等しい結果であった。
【0143】
よって、液晶表示装置を最大の明るさで駆動するためには、このピークを用いて表示を行うのが理想的ではある。ただし、本実施の形態においては、白ピーク電圧値は全てVL以下であったため、VL以下の駆動電圧を使用できない。よって、転移電圧VL以上の電圧を白レベル表示電圧値として用いて表示を行う必要があった。
【0144】
RGBの各画素で同一の白レベル表示電圧値で駆動した場合には、前述したように青の透過率が赤や緑の透過率に対して高くなるため、白表示が青っぽくなるという問題があった。黒表示付近と比較した時、白表示付近では人間の視覚はその色調変化に対して非常に敏感である。従って、白レベル表示電圧値付近での色の再現性の調整は非常に重要である。
【0145】
ただしこの方式では明るさは比較的高くとれるために、高いコントラストが得られる特徴がある。
【0146】
(実施の形態5−1)
この白表示が青っぽくなる問題を解決するため、本発明では、白レベル表示電圧値を各画素で変化させた。図10、図11に示すように、各色での白レベル表示電圧値を変化させた。この時、
VRw≦VGw<VBw
の関係があり、青透過の画素における白レベル表示電圧値が高いことが特徴である。特に、白表示時の色合いは、青の強さに影響を受けやすいため、青の光強度の調整が非常に重要であることを本願発明者らは見い出した。
【0147】
特に、図10は、各色の透過率が一定になるように白レベル表示電圧値を設定した場合であり、確実な色再現性を実現し、高い色純度を実現することができた。しかし、明るさやコントラストが低下する問題があった。
【0148】
図11は、中庸的な条件であり、現実的な色純度と明るさを両立する手法である。どちらの手法によっても各画素で同一の白レベル表示電圧値で駆動した場合に比べ、格段に高い色再現性を実現することができた。
【0149】
(実施の形態6)
前記実施の形態5では、各色の白ピーク電圧値VRwp、VGwp、VBwpが転移電圧VLを下回っていた。
【0150】
そこで、本実施の形態では、液晶層の厚みdを増大させることによって、各色の白ピーク電圧値を転移電圧VL以上にすることを実現した。本実施の形態では、液晶材料はそのままで、液晶層の厚みdを10μmまで増大させた。これによって、高輝度、高コントラストを実現した。
【0151】
液晶層の厚みdを10μmまで増大させた結果、図13のように、各色の透過率の白ピーク電圧値が転移電圧VLを上回った。これは次のような2つの理由による。
【0152】
即ち、1つは、転移電圧VLがOCB型液晶表示装置に使用する液晶材料で決定し、液晶層の厚みに依存しないためであると考えられる。この事実を本願発明者らは実験によって見い出した。
【0153】
また、2つ目の理由は、液晶層の厚みdの増大によって印加電圧に対する透過率のピークが高電圧側へシフトしたためである。これは液晶層の厚みdの増大によって透過光が液晶から受ける位相差Δndが増加し、前述した式より、液晶層の有する位相差量 2πΔnd/λの絶対値が増加するためである。
【0154】
このときには、図13に示すように、各色で最大の透過率を得る電圧が異なっている。そのため、白レベル表示電圧値はそれぞれで変化させる必要があった。
【0155】
本実施の形態では、各色画素ごとの白レベル表示電圧値VRw、VGw、VBwを各色の白ピーク電圧値VRwp、VGwp、VBwpに設定した。即ち、VRw(=VRwp)<VGwp(=VGwp)<VBwp(=VBwp)のように設定した。これによって、高輝度、高コントラストを実現した。このときには、駆動電圧が転移電圧VLよりも大きいため、スプレイ配向転移による表示欠陥は発生しなかった。
【0156】
ただし、この方法では駆動電圧が非常に大きくなる問題があった。実施の形態5のように5μmの液晶層の厚みで実現した場合には、駆動電圧は約6Vであった。ところが、本実施の形態で10μmの液晶層の厚みにすると、駆動電圧は約2倍必要となり、12Vの駆動電圧になった。このため通常のTFTアクティブマトリクス基板は使用できなかった。
【0157】
本実施の形態では、MIM型の高電圧タイプのアクティブマトリクス基板を用いて実現した。また、同時に消費電力が非常に大きくなるという問題が発生するが、スプレイ配向転移による表示欠陥は発生しない液晶表示装置を得ることができた。
【0158】
本実施の形態は、非常に高い表示品位を実現する手法である。ただし駆動電圧の高電圧化が必要である。それに対し、前記実施の形態5は通常のアクティブマトリクス基板を用いて実現する方式である。
【0159】
(実施の形態7)
前記実施の形態6では、液晶層の厚みを増大させることによって、白レベル表示電圧値として透過率が最大となる白ピーク電圧値を用いた表示が可能となった。
【0160】
本実施の形態では、黒書き込み方式を用いた場合の色バランスのとれた白表示を実現した。黒書き込み方式とは1フレーム内で表示データ書き換え以外に画面ブランキングのための黒書き込みを追加した駆動方法であり、転移電圧VL以下の表示電圧でもスプレイ配向転移による表示欠陥を発生させない表示が実現できる。図15を用いて具体的に説明する。図15は、黒書き込み方式について説明するための概略図である。
【0161】
印加電圧がVL以下となると、スプレイ配向状態が安定になるためベンド配向からスプレイ配向への配向転移が発生する。このベンド配向からスプレイ配向への転移が起こると、表示欠陥が生じて透過率が低下してしまうのであるが、図15(a)に示す一点鎖線のように、VL以下でも透過率が低下するのを抑制する方法が黒書き込み方式である。例えば、図15(b)に示すように、16.7msの1フィールド内での表示データの書き換え以外に、1ms程度の黒書き込みを行うことにより、VL以下でも透過率が低下するのを抑制でき、輝度を向上することができる。尚、黒書き込み方式についての詳細は、IDW'99 Proceedings of The Sixth International Display Workships P.37-40を参照されたい。
【0162】
本実施の形態において、黒書き込み方式を用いた場合、透過率と印加電圧の関係は図14に示す通りであった。ここで、赤透過の白ピーク電圧値VRwpに赤透過、緑透過、青透過の白ピーク電圧値VRw、VGw、VBwを同一に設定した場合、白が赤っぽく表示され、更に緑透過、青透過の階調反転による表示上の問題が発生した。また、青透過の白ピーク電圧値VBwpに赤透過、緑透過、青透過の白ピーク電圧値VRw、VGw、VBwを同一に設定した場合、階調反転は発生しないが、白が青っぽく表示される問題が発生した。
【0163】
本実施の形態では、各色画素の色ごとの白レベル表示電圧値VRw、VGw、VBwを各色の白ピーク電圧値VRwp、VGwp、VBwpに設定した。即ちVRw(=VRwp)<VGwp(=VGwp)<VBwp(=VBwp)のように設定した。これによって、色バランスのとれた白表示が実現できた。また、階調反転による表示上の問題も発生しなかった。
【0164】
本実施の形態は、色バランスを維持したまま、明るさが最大にとれるという利点があった。
【0165】
(実施の形態8)
実施の形態では、黒書き込み方式時に白レベル表示電圧値を各色画素ごとに同一に設定することによって、色バランスのとれた白表示を実現した。
本実施の形態では、黒書き込み方式において、各色画素ごとに画面ブランキングのための黒書き込みの時間を異ならせることによって、白表示時の色バランスを実現した。我々は、黒書き込みの時間を制御することによって、輝度を制御できることを見いだした。更にこれを各色画素の表示ごとの変化させることによって白表示時の色バランスを調整できることを発見した。
【0166】
具体的には、赤透過、緑透過、青透過の3枚のOCB型液晶表示装置を組み合わせて表示を行う投射型液晶表示装置を用いた。まず、白レベル表示電圧値は、
VRw=VGw=VBw=VBwp
のように一定値に設定した。ここでこの白レベル表示電圧値における各色画素ごとの透過率をIR’、IG’、IBする。各色画素ごとにおける黒書き込みの時間をtb(赤)、tb(緑)、tb(青)としたとき、即ち、
tb(青)= tb(赤)×(IB/IR’)
tb(緑)= tb(赤)×(IG’/IR’)
のように設定した。このように黒書き込み時間を各色画素ごとに設定することで、各色画素からの透過光量がほぼ等しくなり、色バランスがとれた白レベル表示が実現された。
【0167】
なお、ここでは白レベル表示電圧値を各色画素ごとに一定であるとしたが、必ずしも各白レベル表示電圧値が一定である必要はなかった。各色画素における黒書き込み時間の関係が
tb(青)>tb(緑)≧tb(赤)
であることが、白表示を行う際の色バランスの調整に重要であった。
【0168】
(実施の形態9)
実施の形態9について、図16を用いて説明する。本実施の形態では、液晶表示装置を構成する各色画素の有効画素面積を、各色ごとに設定することにより高コントラスト、色の高純度を実現した。ここで、有効画素面積とは、各色画素において実際に表示に寄与する画素の面積のことである。
【0169】
従来のTN型液晶表示装置などでは、透過率に波長依存性がほぼ無かったため、各色画素は等面積であった。即ち、図16(a)に示すように、カラーフィルタ90を構成するR・G・Bおよびブラックマトリックス90MとTFT素子92を構成するTFT部93…および表示部94…の面積が各色画素ごとに等しい構成であった。尚、実際には、前記TFT素子92等は基板上に形成されるが、該基板やバックライトについては図示していない。
【0170】
一方、OCB型液晶表示装置では、前記実施の形態5で示したように、IB(青強度)>IG(緑強度)>IR(赤強度)のような関係があり、白レベル表示電圧値を同一として駆動を行うと青みがかかった表示となる。また、各色の透過率を一定として白レベル表示電圧値を設定するとコントラストが低下する。
【0171】
そこで、本実施の形態では、OCB液晶表示装置において、各色画素の有効画素面積を青画素の面積を基準として、緑画素は(IB/IG)倍、赤画素は(IB/IR)倍とした。
【0172】
即ち、本願発明者らは、この構成を図16(b)のように、カラーフィルタ95、ブラックマトリックス95MおよびTFT素子96のTFT部97…および表示部98…の面積を各色画素ごとに変化させることによって実現した。
【0173】
より具体的に説明すると、青画素を構成する表示部98Bの面積を基準にして、緑画素を構成する表示部98Gの面積を(IB/IG)倍、赤画素を構成する表示部98Rの面積を(IB/IR)倍とした。また、カラーフィルタ95G・95R、およびTFT部97G・97Rについても同様にカラーフィルタ95B、TFT部97Bを基準に、それぞれ(IB/IG)倍、(IB/IR)倍とした。
【0174】
このような構成とすることにより、図示せぬバックライト素子からの光が、同一の白レベル表示電圧値においても、各色(R・G・B)でほぼ等しい透過率とすることができ、色の高純度、高コントラストが実現された。
【0175】
(実施の形態10)
前記実施の形態9では各画素の有効画素面積を各色画素ごとに異なるように設計することによって、色の高純度および高コントラストを実現した。
【0176】
本実施の形態では、各色画素の透過率を、カラーフィルタの各色画素の透過率を異ならせることによって制御し、白表示時の色バランスを調整した。この時、各色画素の有効画素面積は同一とした。具体的には、各色画素に対応したカラーフィルタの透過率を青画素の透過率を基準として、緑画素は(IB/IG)倍、赤画素は(IB/IR)倍とした。この構成によって、同一の白レベル表示電圧値においても各色画素でほぼ等しい透過率が得られ、色の高純度、高コントラストが実現された。
【0177】
このような構成は、有効画素面積が一定である従来通りのTFT素子およびカラーフィルタ、ブラックマトリックスの構造を用いたまま白表示の色バランスの調整が実現できる
方法である。
【0178】
また、前記複数種の色画素のうち少なくとも一つの色画素に対する液晶層の厚みが、他の色画素に対する液晶層の厚みとは異なるような構成とすることができる。具体的には、図16(c)に示すように、R,G,Bごとにカラーフィルタ80R・80G・80Bの厚みを変化させることによって、液晶層85の厚みを変化させて、液晶層85a、液晶層85b、液晶層85cを構成する。これにより、各液晶層85a・85b・85cに電圧を印加した場合、液晶層85a・85b・85cから受ける複屈折量を80R、80G、80B毎に等しくすることができ、カラーフィルタ80R・80G・80Bの透過率を同一とすることができる。従って、白表示の色バランスの調整が実現できる
【0179】
(実施の形態11)
実施の形態5に述べたように、OCB型液晶表示装置では白表示をした場合の表示が青っぽく表示される問題があった。
【0180】
この問題はOCB型液晶表示装置に限るものではない。この青っぽく表示される現象は、液晶層の有する位相差量が波長依存を有し、青い光即ち短波長の光でその位相差量が大きくなるためである。液晶層の有する複屈折量Δnと液晶層の厚みdの積をΔndとすると、Δnd/λが位相差に比例する量になる。ここでλは波長である。
【0181】
よって、液晶層の有する位相差量2πΔnd/λは光の波長に依存し、短波長の光ほど位相差量が大きくなる。ここでπは円周率である。このため、短波長の光ほど液晶の受ける光変調量は一般に大きくなる。従って、液晶層の複屈折量を制御することによって表示を行うモードでは、白表示をしたときに青っぽく表示される問題は共通である。
【0182】
そこで、前記問題を解決するために、本実施の形態では、バックライト素子の発光の色度分布を最適化した。図17、図18を用いて説明する。図17は、従来のバックライト素子の発光特性を示すグラフである。図18は、実施の形態11における赤の発光強度を強くしたバックライト素子の発光特性を示すグラフである。
【0183】
従来のバックライト素子は、図17のような発光分散特性を有していた。本実施の形態では、図18に示すように、赤の発光強度を向上させた。これによって、液晶素子全体の白表示をした場合の色バランスを保つことができた。
【0184】
尚、本実施の形態では、複屈折量を調整したのではないため、黒の色再現性が悪くなる問題があった。このとき、黒の色度座標は赤っぽくなる結果であったが、極めて高い色純度の再現性が要求される映像機器以外の用途(例えばOA機器用など)においては、ほとんど問題にならなかった。これは人間の目の感覚が、白の色変化には敏感であるが、黒の色変化にはさほど敏感でないためである。尚、本実施の形態のように、バックライト素子の特性を変化させる手法は、比較的容易に実現するすることのできる方式である。
【0185】
また、本実施の形態では、バックライト素子の発光の色度分布を最適化することによって色バランスを保つことのできる構成を説明しているが、その他に、偏光板によって色バランスを保つこともできる。更には、偏光板を用いる以外にも、例えば、着色手段、具体的にはプリズムシートを設けても良い。また、前記バックライト素子に着色性を有する散乱手段、具体的には拡散板や、前記バックライト素子を構成する導光板に設けられた散乱ドットを設けても良い。
【0186】
以下に具体例について説明する。
【0187】
(実施の形態11−1)
本検討によれば、赤を表示するための光強度を規定するためには、610nm付近の光の強度を測定すればよく、青を表示するためには、430nm付近の光を測定すればよい。本実施の形態では、バックライト素子の赤の光強度を強くすることを特徴とし、これを定量化するためには青の光強度を基準としてその比をとることが有効であった。
【0188】
従来のバックライト素子は、図17に示したように、610nm±10nmの光強度と430nm±10nmの光強度(輝度)の比が1.78であった。
【0189】
本形態の効果が見られるためには、バックライト素子の発光波長のうち赤の表示色に対応する波長の光強度と青の表示色に対応する波長の光強度を輝度で比較すると2倍以上でなければならなかった。色度座標ではxが0.32以上でなければならなかった。この基準は、OCB型液晶表示装置が比較的高い色純度の再現性が要求されるOA機器用に用いられる場合に適用された。極めて高い色純度の再現性が要求される映像機器にOCB型液晶表示装置を用いる場合、色度座標のxが0.36以上であることが望まれる。色度座標のxが0.4以上であれば、ほぼ完全に色純度の再現性が実現できた。
【0190】
(実施の形態12)
前記実施の形態11において、本願発明者らは、従来に比べて赤色付近の波長範囲内の発光強度が強いバックライト素子を用いて、白表示した場合の色バランスを保つことができた。
【0191】
しかしこの場合、黒表示時の黒が赤っぽくなるという結果となり、OCB型液晶表示装置を映像機器用途に用いたとき問題となった。これは映像機器においては極めて高い色純度が要求されるためである。
【0192】
そこで、前記問題に対応するために本実施の形態では、白表示時の色バランスを維持したまま、黒表示時の高い色純度を実現した。具体的には、黒表示時に青の光の透過率が他の緑、赤の光の透過率に較べて高い偏光板を用いることで高い色純度の黒表示を実現した。
【0193】
偏光板は通過しようとする光に対して、透過(白表示)時には波長依存性がなく、吸収(黒表示)時の漏れ光に対しては吸収体の吸収率の波長依存を制御することによって波長依存を持たせることが可能である。これによって、白表示時の色バランスを維持したまま、黒示時の高い色純度を実現することが可能となった。
【0194】
(実施の形態13)
本実施の形態では、色表示手段として複数種の色表示を行うバックライト素子を用いたシーケンシャルカラー照明方式を用いた場合の黒表示および白表示時の色の調整を実現した。
【0195】
シーケンシャルカラー照明方式とは、図19(a)に示すように、1フィールド期間が、R、G、Bの3つのフィールドに分割され、それぞれのフィールド期間に特定のカラー画像の書き込みと特定のカラーの光源の点灯が行われるものである、具体的な構成は図19(b)に示すように、液晶パネル132の背面(図面で下方)側にシーケンシャルカラー照明方式のバックライト素子131が設けられており、該バックライト素子131の側方に赤色の発光素子131R、緑色の発光素子131G、青色の発光素子131Bが配置された構成である。前記シーケンシャルカラー照明方式は、カラーフィルタ方式と比較して、カラーフィルタが不要なため、明るい表示性能を示すものである。
【0196】
そして、前記シーケンシャルカラー照明方式においても、実施の形態4に適用し、各色画素ごとの黒レベル電圧値の調整を行うことによって、階調反転および低コントラスト化が抑制できた。
【0197】
また、前記シーケンシャルカラー照明方式を実施の形態6に適用し、前記白表示において、各色表示ごとに発光するバックライト素子のパルス時間およびパルス高を制御することによって、色バランスを調整した。ここで図19(a)に示すように、赤表示、緑表示、青表示のバックライト素子の発光パルス時間をtl(赤)、tl(緑)、tl(青)また、発光パルス高をIl(赤)、Il(緑)、Il(青)と定義する。そして、
tl(青)<tl(緑)≦tl(赤)および、
Il(青)<Il(緑)≦Il(赤)
のように設定することにより、色バランスのとれた白表示を実現することができた。この時、白レベル表示電圧値は各色表示で一定とした。
【0198】
(その他の事項)
以上、実施の形態1から実施の形態13まで述べてきたが、本発明はOCB型液晶表示装置に限るものではない。液晶の複屈折量を制御して表示を行うモードであればいずれでも有効である。
【0199】
また、黒レベルを表示させた際の液晶層の有する複屈折量が0でない液晶表示装置、および位相差が0でない位相差板を用いた液晶表示装置においても同様に有効である。
【0200】
例えば、図20に示すような、コントラストが10以上の特性を示すR−OCB型液晶表示装置においても同様に有効であった。図20に示すように、R−OCB型液晶表示装置は、上から拡散板40、偏光板41、位相差板42、ガラス基板43、液晶44、反射電極45、ガラス基板46の積層構造となっており、反射電極45上に形成された図示せぬ配向膜を垂直配向型とすることにより、該ガラス基板46上の液晶44を垂直配向させた構成である。このようなR−OCB型液晶表示装置は、高視野角、高速応答性、高輝度性能を有するものである。尚、R−OCB型液晶表示装置の詳細については、SID 96 DIGEST p618-621を参照されたい。
【0201】
また、実施の形態3から実施の形態13には、平行方向にラビングされたASV(アドバンストスーパーブイ)モードが適用することができる。
【0202】
また、位相差量を制御して表示を行うモードでは、黒レベルを表示させた時の低コントラスト化や階調反転、また白レベルを表示させた時、青っぽく表示される問題があった。これは高いコントラストを有する表示素子で特に問題になった。コントラストが200以上の表示素子では、本発明の色調整は必須であり、100以上の表示素子にも本発明の色調整手段を具備することが望ましい。また、本発明は、パソコン画面等を表示するOA表示ではさほど問題にならないが、自然画を一般に表示するTVなどの映像表示を行う表示機器では特に必要とされるものである。
【0203】
また、本発明の液晶表示装置は、透過光量が最も小さい表示を行う電圧を印加した場合の液晶の有する位相差と透過光量が最も大きい表示を行う電圧を印加した場合の液晶の有する位相差の差がλ/2よりも小さい構成とすることにより、階調性が安定し、コントラストが良好な液晶表示装置とすることができる。図24を用いて説明する。
【0204】
図24は、複屈折モードの液晶表示装置における白表示電圧の設定方法を示すグラフ(電圧−透過率特性)であり、図24(a)は、白表示電圧を複屈折量のピークに合わせた場合を示すグラフ、図24(b)は、白表示電圧を複屈折量のピークに合わせない場合を示すグラフである。
【0205】
図24(a)に示すように、従来の複屈折モードの液晶表示装置においては、複屈折量のピーク(位相差λ/2)位置に白表示電圧Va16を合わせてIa16(16階調で表した場合の最大階調を意味する)を決定していた。尚、実線は、通常の液晶層の厚みを有する液晶表示装置、破線は、ばらつきにより狭くなった場合の液晶層を有する液晶表示装置を意味している。
【0206】
液晶層の厚みが狭くなると、破線は実線に対して左側(紙面上)へシフトし、そのためIa16がIa'16に低下する。その場合、Ia16より1階調低いIa15も低下しIa'15となる。ここで、Ia16−Ia15(通常の階調差)とIa'16−Ia'15(ばらついた場合の階調差)とを比較すると、両者に大きな階調差の相違が生ずる。
【0207】
しかし、図24(b)に示すように、本発明の液晶表示装置では、複屈折量のピーク(位相差λ/2より小さい)位置に白表示電圧Vb16を合わせず、ピーク位置からずれた位置に合わせてIb16を決定した。
【0208】
このように構成することで、液晶層がばらついて破線に示すようにピークがずれたとしても、Ib16−Ib15(通常の階調差)とIb'16−Ib'15(ばらついた場合の階調差)とを比較すると、両者には大きな相違は見られない。これは電圧―透過率特性のカーブの緩慢な位置を用いることにより達成されるものである。よって、液晶層のばらつきにも対応でき、階調性が安定し表示性能に優れた液晶表示装置を得ることができるのである。
【0209】
また、前述のように、実施の形態1から13まで説明してきたが、それぞれの液晶表示装置を適宜組み合わせることにより、個々の実施の形態の持つ特徴を組み合わせた液晶表示装置を作製することができる。
【0210】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の構成によれば、本発明の課題を十分に達成することができる。
【0211】
即ち、本発明によって、OCB型液晶表示装置において特定の駆動条件、特定の温度範囲で表示欠陥が発生する課題、コントラストが低下するという課題が克服できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置の一部分を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置に尖鋭化回路および電圧制限回路を設置した場合のブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るOCB型液晶表示装置に尖鋭化回路および電圧制限回路を設置した場合の電圧波形の概念図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るOCB型液晶表示装置における温度環境に最適な白レベル表示電圧値を設定するシステムの概念図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るOCB型液晶表示装置における表示入力信号-ソース電圧のガンマ補正曲線を示すグラフである。
【図6】実施の形態3に係る液晶表示装置の駆動回路部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図7】階調駆動電圧生成回路の具体的構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係るOCB型液晶表示装置の黒レベル表示電圧値付近での電圧-透過率の特性を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態5に係るOCB型液晶表示装置における印加電圧と透過率の関係を図9に示す。
【図10】実施の形態5における色純度重視の場合の電圧-透過率特性を示すグラフである。
【図11】実施の形態5におけるコントラスト重視、色純度重視の中庸的な電圧-透過率特性を示すグラフである。
【図12】実施の形態5に係るOCB型液晶表示装置のシミュレーションにおける電圧-透過率特性を示すグラフである。
【図13】実施の形態6に係るOCB型液晶表示装置における電圧-透過率特性を示すグラフである。
【図14】実施の形態7に係るOCB型液晶表示装置における電圧-透過率特性を示すグラフである。
【図15】黒書き込み方式について説明するための概略図である。
【図16】本発明の実施の形態9に係る液晶表示装置の構成を示す概略図であり、図16(a)は、従来のTN型液晶表示装置の構成を示す概略図、図16(b)は、本発明のOCB型液晶表示装置の構成を示す概略図、図16(c)は、本発明のOCB型液晶表示装置の他の構成を示す概略図である。
【図17】従来のバックライト素子の発光特性を示すグラフである。
【図18】本発明の実施の形態11における赤の発光強度を強くしたバックライト素子の発光特性を示すグラフである。
【図19】シーケンシャル照明方式の原理を説明するための概略図である。
【図20】R−OCB型液晶表示装置の概略断面図である。
【図21】従来のOCB型液晶表示装置の概略断面図であり、図21(a)は、従来のOCB型液晶表示装置の電圧無印加状態の概略断面図、図21(b)は、同じく電圧印加状態の概略断面図である。
【図22】OCB型液晶表示装置の電圧-透過率特性を示すグラフである。
【図23】従来のOCB型液晶表示装置に、尖鋭化回路(電圧調整回路なし)を設置した場合の電圧波形の概念図である。
【図24】複屈折モードの液晶表示装置における白表示電圧の設定方法を示すグラフであり、図24(a)は、白表示電圧を複屈折量のピークに合わせた場合を示すグラフ、図24(b)は、白表示電圧を複屈折量のピークに合わせない場合を示すグラフである。
【符号の説明】
1 液晶表示装置
2・3 基板
4 スプレイ状態
5 ベンド配向状態
10・11 基板
12 液晶分子
13 液晶層
15・16 偏光板
17・18 光学補償板
20 液晶表示装置
21 液晶表示装置
22 先鋭化回路
23 電圧制限回路
25 リミッター電圧生成回路
31 黒レベル電圧発生回路
32 白レベル電圧発生回路
33 制御回路
34 温度センサ
35a,35b,35c 手動調整つまみ
36 階調電圧生成回路
37 階調電圧発生回路
40 拡散板
41 偏光板
42 位相差板
43 ガラス基板
44 液晶
45 反射電極
46 ガラス基板
85・90・95 カラーフィルタ
82・92・96 TFT素子
80M・90M・95M ブラックマトリックス
132 液晶パネル
131 バックライト素子
131R 赤色の発光素子
131G 緑色の発光素子
131B 青色の発光素子
V1 最小電圧
r1,r2,r3 可変抵抗
P1・P2・P3・P4 接続点
L1・L2・L3・L4・L5 個別接続ラン
L5 共通ライン
SW1・SW2・SW3・SW4 スイッチ
VB 黒レベル表示電圧
VW 白レベル表示電圧
Claims (13)
- 液晶パネル内に封止された液晶に電圧を印加する電圧印加手段を有し、前記電圧印加手段によって印加電圧を変化させて表示を行い、前記液晶がベンド配向状態で表示を行う液晶表示装置であって、
前記液晶に印加される電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は減少して極小値を示した後、さらなる電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は増加し、
黒レベルの表示を行う際に前記電圧印加手段によって前記液晶に印加される黒レベル表示電圧値が前記極小値に対応する電圧となるように、前記液晶表示装置の駆動条件に対応して前記黒レベル表示電圧値を調整可能な調整機構を備える、液晶表示装置。 - 前記黒レベル表示電圧値と白レベルを表示する電圧値である白レベル表示電圧値とが独立して調整可能である、請求項1記載の液晶表示装置。
- 白レベルの表示を行う電圧値である白レベル表示電圧値が一定である、請求項1記載の液晶表示装置。
- 光量を検出する光量検出手段を有し、
前記光量検出手段により輝度を検知し、前記輝度が減少する方向に前記液晶に印加される電圧を変化させる、請求項1記載の液晶表示装置。 - R、G、Bの各画素を有すると共に、前記R、G、Bの各画素ごとに前記黒レベル表示電圧値が調整可能となっている、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記R、G、Bの色表示を行う色表示手段を有し、前記R、G、Bの色表示手段のうち、少なくとも一つの色表示手段に対する黒レベル表示電圧値が、他の色表示手段に対する黒レベル表示電圧値とは異なる、請求項5記載の液晶表示装置。
- 前記R、G、Bの色表示手段は、カラーフィルタである、請求項6記載の液晶表示装置。
- 前記R、G、Bの色表示手段は、複数種の色表示を行うために前記液晶パネルの背面側に設けられたバックライト素子であり、該バックライト素子はシーケンシャルカラー照明方式に基づく、請求項6記載の液晶表示装置。
- 液晶パネル内に封止された液晶に電圧を印加する電圧印加手段を有し、前記電圧印加手段によって印加電圧を変化させて表示を行い、前記液晶がベンド配向状態で表示を行う液晶表示装置であって、
前記液晶に印加される電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は減少して極小値を示した後、さらなる電圧の上昇に伴って前記液晶の透過率は増加し、
白レベルの表示を行う際に前記電圧印加手段によって前記液晶に印加される白レベル表示電圧値を前記液晶表示装置の使用温度または駆動条件に対応して調整可能な調整機構を備える、液晶表示装置。 - 少なくとも一枚の基板と、複数種の色表示を行う色表示手段と、を有し、
白レベルを表示する電圧値を白レベル表示電圧値とするとき、前記複数種の色表示手段のうち少なくとも一つの色表示手段に対する白レベル表示電圧値が、他の色表示手段に対する白レベル表示電圧値と異なる、請求項9記載の液晶表示装置。 - 前記色表示手段は、複数種の色画素を有するカラーフィルタである、請求項10記載の液晶表示装置。
- 前記色表示手段は、複数種の色表示を行うために前記液晶パネルの背面側に設けられたバックライト素子であり、該バックライト素子はシーケンシャルカラー照明方式に基づくものである、請求項10記載の液晶表示装置。
- R、G、Bの各画素を有すると共に、前記R、G、Bの各画素ごとに前記白レベル表示電圧値が調整可能となっている、請求項9に記載の液晶表示装置。
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