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JP3667077B2 - 静電チャック - Google Patents

静電チャック Download PDF

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JP3667077B2 JP4710098A JP4710098A JP3667077B2 JP 3667077 B2 JP3667077 B2 JP 3667077B2 JP 4710098 A JP4710098 A JP 4710098A JP 4710098 A JP4710098 A JP 4710098A JP 3667077 B2 JP3667077 B2 JP 3667077B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶・半導体製造装置等においてウエハ等の被固定物を静電的に吸着保持して処理したり、搬送するための静電チャックに関するものである。特に、耐蝕性に優れる為、エッチング工程等のハロゲンプラズマ中で用いられる静電チャックに関する。特に、耐食性にすぐれるため、エッチング工程などのハロゲンプラズマ中で用いられる静電チャックに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、半導体製造用装置において、シリコンウエハ等の半導体を成膜やエッチングするためにはシリコンウエハの平坦度を保ちながら保持する必要があるが、このような保持手段としては機械式、真空吸着式、静電吸着式が提案されている。これらの保持手段の中で静電的にシリコンウエハを保持することのできる静電チャックはシリコンウエハの加工を行うに際して要求される加工面の平坦度や平向度を容易に実現することができ、さらにシリコンウエハを真空中で加工処理することができるため、半導体の製造に際して最も多用されている。
【0003】
従来の静電チャックは、電極板の上にアルミナ、サファイヤ等からなる絶縁層を形成したもの(特開昭60−261377号)、絶縁基板の上に導電層を形成し、さらにその上に絶縁層を形成したもの(特開平4−34953号)、絶縁基板内に導電層を組み込んだもの(特開昭62−94953号)などが提案されている。
【0004】
近年、半導体素子の集積回路の集積度が向上するに従い、静電チャックの精度が高度化し、さらに耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性に優れたセラミックス製静電チャックが要求されるようになってきた。特に窒化アルミニウムは他のセラミックス材料に比べて熱伝導性に優れていることから、これを用いた静電チャックが検討されている。
【0005】
一般に絶縁体の体積固有抵抗値は温度が上昇するに伴い低下する性質を有する。例えば、窒化アルミニウムは、室温では1016Ω・cmから300℃で1011Ω・cm以下に減少し、残留吸着などの問題が発生して安定した動作を得るのは困難であり、使用温度に制限がある。特に、最も需要が多い200℃以下の温度領域での使用を考えると、抵抗が1016Ω・cm以上となり、上記温度領域では大きな吸着力が得られない問題があった。
【0006】
そこで、特開平2−160444号には、絶縁層を2層以上積層するとともにそれぞれの層に対応する電極及び電気回路、スイッチングを設けて、室温から400℃の幅広い温度領域の使用に耐えられるような構造が提案されている。また、特開平4−300137号には、静電チャック内にヒータ、熱電対などの温度検出器を取付け、外部に制御部を設けて温度変化にともなって電源部を制御して吸着力を安定させ、使用温度範囲を広げることも提案されている。さらに、特開5−315435号には、誘電体層を複数の抵抗率の異なる材質で形成し、使用温度によって電圧印加の切り替えを行う方法を提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
静電チャックの被固定物載置面を形成する誘電体層としては、これまで主として窒化アルミニウムやアルミナなどが検討されているが、従来のこれらの誘電体では、低温から高温まで安定した吸着力を得るには至っておらず、温度範囲を広げるために、前述のように静電チャックの構造を変えたり、電気的な制御を行う必要があった。
【0008】
しかし、前述したように絶縁層を2層以上積層して電極層を増やしたものや複数の抵抗率の異なる材質を誘電体層として用いた場合、電気回路も複雑となり、静電チャック自体の構造が複雑になるために、静電チャック自体の製造が煩雑となり、そのために製品の信頼性が低下したり、コストが高くなるといった欠点があった。
また、ヒータを内蔵してその温度を検知し、印加電圧を制御する方法においても静電チャック内に熱電対などの温度検知器を内蔵するために検知器が故障すると使用不可能となるという問題があり、またこの方法においてもセラミック材料の持つ特性は本質的に変化しないことから、その使用範囲には自ずと限界があることには変わりがない。
【0009】
さらに、従来の誘電体では、エッチング処理工程等のハロゲンプラズマ中で用いられる場合、耐プラズマ性が充分とは言えず、その結果、被固定物載置面が荒れたり、プラズマによる浸食によってパーティクルが発生しウエハ表面への回路形成に影響を与える等の問題があった。
【0010】
従って、本発明は、室温付近での温度領域においても良好な吸着特性を有するとともに、ハロゲンガス等に晒されるような使用環境下でも優れた耐食性を有する静電チャックを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に対して静電チャックの被固定物載置面を形成する誘電体について検討を重ねた結果、少なくとも被固定物載置面をCeAlO3 を主体とするセラミックスによって形成することにより、0〜70℃において温度依存性の小さい静電吸着性に優れた静電チャックが得られることを見いだし、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明の静電チャックは、被固定物載置面を有する誘電体層と、電極とを具備し、前記誘電体層の少なくとも被固定物載置面が、CeAlO3 を主体とし、0〜70℃における体積固有抵抗が108 〜1012Ω・cmの範囲内のセラミックスからなることを特徴とするものである。また、この前記静電チャックは、ハロゲンガスやそのプラズマに晒されるような静電チャックとして特に有用である。
【0013】
【作用】
通常、静電チャックによれば、少なくとも0〜70℃、好ましくは−30℃〜100℃の体積固有抵抗が108 〜1012Ω・cmであることが−50℃から200℃の温度領域で使用する上で要求される。また、抵抗値は吸着力と密接に関与しており温度に対する抵抗変化が小さなものが吸着力の安定性に優れている。
【0014】
使用する温度範囲によって要求される抵抗の温度依存性が異なってくるが、−50℃から200℃の使用温度範囲を考えると、0〜70℃の抵抗値が108 〜1012Ω・cmであることが必要となってくる。
【0015】
本発明の静電チャックにおいて用いられるCeAlO3 は温度に対する抵抗変化が小さく、例えば0〜70℃までの温度変化に対する抵抗変化が小さく、具体的には、−50℃〜150℃、好ましくは−30℃〜100℃の体積固有抵抗が108 〜1012Ω・cmである。その結果、−50℃〜200℃の温度領域におけるウエハの吸着特性が安定化し、また残留吸着の発生しない静電チャックが得られる。
【0016】
また、本発明によれば、静電チャックとして格別に複雑な構造をとる必要がなく、本発明の材料を用いる事によって静電チャック自体の構造が簡単になり、低コストで広範囲な温度領域における使用を可能とし、電気回路を含めて組み込まれる装置自体の簡略化も実現出来、また静電チャックとして信頼性、長期安定性が保証される。
【0017】
また、本発明におけるCeAlO3 は、フッ素や塩素等のプラズマに対して、従来より耐プラズマ性に優れている窒化アルミニウムに比較してもさらに優れた耐食性を有する。これは、プラズマに晒された時に表面にCeのハロゲン化物が形成される結果、このハロゲン化物が保護層となりプラズマによるエッチングの進行を抑制する作用をなすためである。
【0018】
その結果、特にプラズマ中にて使用される静電チャックとして用いることにより、静電チャックの長寿命化を図るとともに、材料の消耗による絶縁性低下やパーティクルの発生を防止することができる。
【0019】
【発明の実際の形態】
図1に本発明の静電チャックの一例を示す。図1の静電チャックは、室温における体積固有抵抗が1014Ω・cm以上の絶縁体からなる絶縁基板1の表面に電圧が印加される電極層2が形成されており、さらにその電極層2上に誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、少なくともシリコンウエハ等の被固定物4を載置するための載置面5に形成され、さらには、絶縁基体1の装置内に露出している基体面全体に形成される。なお、絶縁基体1内にはヒータ6を内蔵させても何ら差し支えない。さらには冷却媒体の流路を設けて静電チャックを冷却することも可能である。
【0020】
本発明によれば、上記誘電体層3をCeAlO3 を主体とし、少なくとも0℃〜70℃、好ましくは−30℃〜100℃のの体積固有抵抗が108 〜1012Ω・cmのセラミックス(以下、CeAlO3 系セラミックスという場合がある。
【0021】
)によって形成することにより抵抗の温度依存性の小さく、安定した吸着力が得られる。
【0022】
上記の抵抗特性を有するCeAlO3 系セラミックスは、例えば、通常の粉末焼結法で製造することが出来る。具体的には、CeO2 とAl2 3 の原料粉末を2:1のモル比で混合したものを1400〜1600℃の酸化性雰囲気中で仮焼してCeAlO3 化合物を合成した後、これを粉砕してCeAlO3 粉末を得る。そして、このCeAlO3 粉末を所定形状に成形後、1500〜1900℃の還元雰囲気中で焼成することにより作製することができる。
【0023】
この時、CeAlO3 粉末に対して、緻密化を促進するために、焼結助剤として種々の金属酸化物を1〜10体積%の割合で添加してもかまわない。焼結助剤としては、Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属酸化物、Y、Er、Yb等の希土類元素酸化物、TiO2 、ZrO2 、Cr2 3 、Al2 3 、SiO2 、B2 3 から選ばれる1種類以上の酸化物またはその混合物を用いることが出来る。それらの中でも、Y2 3 が焼結性の点で最も望ましい。但し、これらの焼結助剤の添加によっても前記温度範囲における体積固有抵抗が108 〜1012Ω・cmを逸脱しないように留意すべきである。
【0024】
焼成にあたっては、常圧下で焼成できる他、ホットプレス法、ガス加圧焼結法または熱間静水圧焼成法等を用いて緻密化を促進しても構わない。例えば、ホットプレス法では窒素雰囲気中で1500〜1650℃の温度で焼結させることができる。また、200気圧の窒素雰囲気中で1400〜1600℃の温度で焼成し相対密度99%以上の焼結体を得ることができる。
【0025】
本発明の静電チャックによれば、これまで、被固定物載置面がCeAlO3 系の焼結体の場合について説明したが、本発明によれば、この載置面は必ずしも焼結体である必要はなく、CVD法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法等の化学気相成長法や物理的気相成長法などの薄膜形成方法によって、200μm以上の厚みで絶縁基板1の表面に被覆したセラミックコーティング層により形成しても当然に同様な効果が発揮される。
【0026】
【実施例】
CeO2 とAl2 3 を2:1のモル比で混合し、1550℃のフオーミングガス(窒素/水素=88:12体積比)中で、X線回折により結晶相を調べ、CeAlO3 の単一結晶相となるまで仮焼処理を繰り返し施した。
【0027】
得られた平均粒径が1μmのCeAlO3 仮焼粉末に対して、表1の各種添加物を焼結助剤として添加混合した後、その混合物をプレス成形し、1700℃の窒素ガス中で3時間焼成して相対密度99%の焼結体を得た。そして、得られた焼結体を加工して直径50mm、厚さ2mmの円板を作製し表面をラップして平均表面粗さRaを0.5μmとした。
【0028】
抵抗測定は、真空中400℃のアニールの後にドライ窒素を導入し、窒素雰囲気の降温時に測定を行い、0〜70℃の温度領域での抵抗を測定した。
【0029】
さらに、耐プラズマ性の評価として、RIE(リアクティブイオンエッチング)装置においてCF4 +Arガスを用いてエッチングテストを行い、AlNのエッチング速度を1とした時の相対速度を表1に示した。
【0030】
次に、室温(25℃)雰囲気下で使用するのに好適な静電チャックを試作し、その吸着特性について測定を行った。
まず、純度99%、平均粒径1.2μmのAlN粉末に有機バインダーと溶媒のみを加えて泥漿を作製し、ドクターブレード法により厚さ0.5mm程度のグリーンシートを複数枚成形してそれらを積層して絶縁基板を形成するための成形体を得た。そして、その一主面にタングステン粉末にAlN粉末を5体積%混合したタングステンペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布して静電吸着用電極をなす金属膜を形成した。
【0031】
一方、前記のようにして調製したCeAlO3 粉末および添加剤からなる混合物に、さらにバインダーと溶媒を加えて泥漿を製作し、ドクターブレード法により厚さ0.5mm程度のグリーンシートを成形し誘電体層用の成形体を得た。
【0032】
そして、静電吸着用電極層をなす金属膜を備えた絶縁基板用成形体の表面に、誘電体層用の成形体を積層して、80℃、50kg/cm2 の圧力で熱圧着した。しかるのち、上記積層体に切削加工を施して円板状とし、該円板状の積層体を真空脱脂したあと、1900℃程度の焼成温度で10体積%の水素(H2 )を含む水素/窒素混合雰囲気下で3時間焼成することにより、絶縁基板および誘電体層ともに相対密度99%以上の、外径200mm、厚み8mmで、かつ内部に膜厚15μmの静電吸着用電極層を備えた板状体を形成した。そして、誘電体層をなすCeAlO3 系セラミックスの表面を研磨して載置面を形成して静電チャックを形成した。
【0033】
そして、作製した静電チャックに対して、室温(25℃)下において、吸着面5に8インチ径のシリコンウエハを載置して静電吸着用電極層との間に300Vの電圧を印加することによりシリコンウエハを載置面に吸着保持させ、この状態でシリコンウエハを剥がすのに必要な力を吸着力として測定した。結果は、表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0003667077
【0035】
表1の結果から明らかなように、本発明のCeAlO3 系セラミックスは、0〜70℃において108 〜1012Ω・cmの安定した抵抗値を示し、その結果、25℃における静電チャックの吸着特性も良好なものであった。また、このCeAlO3 系セラミックスは、ハロゲンガス中においても優れた耐食性を示し、静電チャックの長寿命化が図れることがわかった。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、静電チャックにおける誘電体層をCeAlO3 系セラミックスにより形成することにより、安定した体積固有抵抗、安定した吸着力を得ることができるとともに、ハロゲンガスやそのプラズマに晒される条件下で使用した場合においても、優れた耐久性を示し静電チャックの長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 電極層
3 誘電体層
4 被固定物
5 載置面
6 ヒータ

Claims (2)

  1. 被固定物載置面を有する誘電体層と、電極層とを具備する静電チャックにおいて、前記誘電体層の少なくとも被固定物載置面が、CeAlO3 を主体とし、0〜70℃における体積固有抵抗が108 〜1012Ω・cmの範囲内のセラミックスからなることを特徴とする静電チャック。
  2. 前記被固定物載置面が、ハロゲンガスあるいはそのプラズマに晒されることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
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