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JP3658343B2 - ライディングシミュレーション装置 - Google Patents

ライディングシミュレーション装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基台に対してロール軸およびピッチ軸の回りに揺動可能な模擬車体を備え、前記基台に接続された一対の直動アクチュエータの伸縮動作により、前記模擬車体の動作をシミュレーションするライディングシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乗車員の模擬操作により模擬車体を動作させるライディングシミュレーション装置が採用されている。この種のライディングシミュレーション装置では、通常、ロール軸およびピッチ軸のそれぞれに直結させたモータ等の駆動源の作用下に、前記各軸を回動させることによって模擬車体を揺動させるように構成されている。
【0003】
ところが、最近、教習所における普通二輪車や小型二輪車の教習や、二輪車の安全教育の一環として原動機付き自転車の教習が望まれている。このため、特開平6−51695号公報に開示されている現行タイプの二輪車再現機能を損なうことなく、廉価に製造することが可能なライディングシミュレーション装置として、一対の直動アクチュエータにより模擬車体をロール軸とピッチ軸の各軸回りに回動し得るように構成したパラレルリンク式のライディングシミュレーション装置が提案されている(特開2001−092344号公報)。このライディングシミュレーション装置は、従来の装置に比較して、装置構成を大幅に簡素化することができ、これによって、任意の場所に設置することが可能になるとともに、廉価なライディングシミュレーション装置を提供することができるという利点を備えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の直動アクチュエータでは、通常、ラジアル荷重による障害(耐久性の低下等)を確実に回避するために、直動ガイドが設けられている。これにより、製造コストが高騰するとともに、構造が複雑化するという問題が指摘されている。
【0005】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単かつ安価な構成で、直動アクチュエータにラジアル荷重が作用することを確実に阻止することが可能なライディングシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るライディングシミュレーション装置では、一対の直動アクチュエータが、それぞれ、基台に第1自在継手を介して連結されるシャフト部材と、模擬車体に第2自在継手を介して連結されるとともに、前記シャフト部材に螺合するボールねじナットを内包し、前記ボールねじナットが回転駆動されることにより該ボールねじナットと一体的に進退可能なアクチュエータ本体部とを備えている。そして、各直動アクチュエータの一方の支点が、第1自在継手に連結されたシャフト部材の揺動中心位置に設定されるとともに、前記各直動アクチュエータの他方の支点が、アクチュエータ本体部内に設定されている。
【0007】
このため、直動アクチュエータに引っ張り荷重や圧縮荷重が付与されても、前記直動アクチュエータにラジアル荷重が作用することがない。これにより、従来の直動ガイドを不要にして構成の簡素化を図ることができ、ライディングシミュレーション装置全体の製造コストの削減が有効に可能になる。
【0008】
また、アクチュエータ本体部内の支点位置が、ボールねじナットの中心位置に設定されるため、各直動アクチュエータの両支点間に荷重が付与されても、ラジアル荷重やモーメント荷重が作用することがない。これにより、直動アクチュエータの負荷を低減することができ、前記直動アクチュエータの耐久性を有効に向上させることが可能になる。
【0009】
さらにまた、直動アクチュエータは、アクチュエータ本体部内に固定されるステータと、前記アクチュエータ本体部内に回転自在に収容される中空状ロータと、前記シャフト部材に螺合し前記中空状ロータに連結されて回転するとともに、前記アクチュエータ本体部と一体的に該シャフト部材に沿って進退可能な前記ボールねじナットとを備えている。従って、簡単な構成で、直動アクチュエータ全体をコンパクトに構成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る二輪車のライディングシミュレーション装置10の概略側面図であり、図2は、このライディングシミュレーション装置10の概略平面図である。
【0011】
ライディングシミュレーション装置10は、脚部11によって支持される基台12と、基台12上に後述するロール軸18の軸回りとピッチ軸22の軸回りとの2軸の回転自由度をもって支持される模擬車体14とを備える。
【0012】
基台12上の略中央には支持台16が固定されており、この支持台16上には、模擬車体14の車長方向(矢印A方向)に延在するロール軸18が、一対の軸受20を介して支持されている。図3に示すように、ロール軸18の上方には、これに直交する模擬車体14の車幅方向(矢印B方向)に延在するピッチ軸22が、一対の軸受24を介して支持されている。軸受24は支持板26の裏面に固着されるとともに、この支持板26の上面にはメインフレーム28が固着されている。
【0013】
メインフレーム28の車長方向後方には、図1に示すように、斜め上方に延びるリヤフレーム30が配設され、このリヤフレーム30上には、乗車員(図示せず)が着座するためのシート31が設けられている。メインフレーム28の車長方向前方には、上方に延びるフロントコラム32が配設され、前記フロントコラム32の上部にステアリング軸36が回転自在に支持される。
【0014】
ステアリング軸36の上端にハンドル34が取り付けられるとともに、前記ステアリング軸36の下端部にステアリング制御部40が連結される。ハンドル34には、ステアリング制御部40を介して運転状態に応じた操行負荷が与えられるように構成されている。
【0015】
ライディングシミュレーション装置10には、ロール軸18の軸線方向(本実施形態では前方)にオフセットした位置に、ロール軸18の軸線を含みピッチ軸22に直交する面に関して対称に左右一対の直動アクチュエータ50、50が配設される。
【0016】
各直動アクチュエータ50は、図1、図3および図4に示すように、基台12に第1自在継手52を介して連結されるボールねじ部(シャフト部材)54と、模擬車体14に第2自在継手56を介して連結されるとともに、前記ボールねじ部54に螺合するボールねじナット58を内包し、前記ボールねじナット58が回転駆動されることにより、該ボールねじナット58と一体的に矢印C方向に進退可能なアクチュエータ本体部60とを備える。
【0017】
第1自在継手52は、基台12に固定された下部ヨーク62と、ボールねじ部54に固定された上部ヨーク64とを、十字状金具66を介して連結したフック形の自在軸継手で構成されている。第2自在継手56は、フロントコラム32の前面両側に突設したブラケット68を備え、前記ブラケット68の両端に配設される軸受70には、車体前後方向に向かう軸72を介してフォーク状金具74が支持される。
【0018】
図4に示すように、フォーク状金具74の二股部には、軸72に直交する軸76が互いに対向して設けられている。フォーク状金具74の二股部間にアクチュエータ本体部60が挿入された状態で、前記フォーク状金具74の軸76が軸受78を介してアクチュエータ本体部60に枢着されている。
【0019】
アクチュエータ本体部60には、サーボモータ80とブレーキ機構82とが同軸的に連結される。サーボモータ80は、アクチュエータ本体部60にねじ止めされるモータハウジング84と、このモータハウジング84内に固定されるステータ86と、前記モータハウジング84内に回転自在に収容され、中央に中空部88が形成されたロータ90とを備える。
【0020】
ロータ90の外周には、環状のマグネット92が固着されており、ステータ86を構成するコイル86aは、モータハウジング84の内側に環状に配置されており、前記コイル86aに対向する前記マグネット92の軸方向の寸法に対応して矢印C方向の寸法が設定されている。
【0021】
ロータ90の一端側に設けられた大径部90aの外周面と、アクチュエータ本体部60の内周面との間に、第1および第2ベアリング94、96が介装される。ロータ90の他端側の小径部90bの外周面と、アクチュエータ本体部60の内周面との間に、第3ベアリング98が介装されている。
【0022】
ロータ90の大径部90aには、ボールねじナット58と、前記ロータ90の回転角度を検知するためのエンコーダ100とが一体的にねじ止めされる。ボールねじナット58にボールねじ部54が螺合しており、このボールねじ部54は、アクチュエータ本体部60を貫通して矢印C方向に延在している。
【0023】
ブレーキ機構82は、アクチュエータ本体部60にねじ止めされるとともに、前記ブレーキ機構82を構成するケーシング102と基台12との間には、蛇腹部材104が配設されている。
【0024】
各直動アクチュエータ50では、図4に示すように、一方の支点106が、第1自在継手52に連結されたボールねじ部54の揺動中心位置に設定されるとともに、他方の支点108が、アクチュエータ本体部60内に設定される。具体的には、アクチュエータ本体部60内の支点108の位置は、ボールねじナット58の中心位置に設定される。
【0025】
このように構成されるライディングシミュレーション装置10の動作について、以下に説明する。
【0026】
直動アクチュエータ50では、一対のアクチュエータ本体部60を同時に上動または下動させると、模擬車体14には、ピッチ軸22を支点とした前上がりまたは前下がりの回動、すなわち、ピッチ動作が与えられる。一方、両直動アクチュエータ50のアクチュエータ本体部60を互いに上下反対方向に移動させると、模擬車体14には、ロール軸18を支点とした横方向の回動、すなわち、ロール動作が与えられる。
【0027】
直動アクチュエータ50の動作を概略的に説明すると、図4に示すように、まず、サーボモータ80に電力が供給されることにより、ステータ86のコイル86aに通電される。このため、ステータ86とこのステータ86に対向する環状のマグネット92との作用下に磁界が発生し、サーボモータ80を構成するロータ90が所定の方向に回転する。
【0028】
ロータ90を構成する大径部90aの端部には、ボールねじナット58がねじ止めされており、前記ロータ90の回転作用下に、前記ボールねじナット58が一体的に回転する。ボールねじナット58はボールねじ部54に螺合しており、前記ボールねじナット58が、アクチュエータ本体部60と一体的に前記ボールねじ部54に沿って矢印C方向に移動する。これにより、アクチュエータ本体部60は上動または下動して、模擬車体14にピッチ動作またはロール動作が付与されることになる。
【0029】
従って、ライディングシミュレーション装置10では、乗車員によるアクセル操作やブレーキ操作に応じてピッチ動作を与えるとともに、乗車員の体重移動に応じてロール動作を与えることにより、乗車員に実車走行時と同様の車体挙動を体感させることができる。
【0030】
この場合、本実施形態では、図4に示すように、各直動アクチュエータ50の一方の支点106が、第1自在継手52に連結されたボールねじ部54の揺動中心位置に設定されるとともに、前記各直動アクチュエータ50の他方の支点108が、アクチュエータ本体部60内に設定されている。具体的には、アクチュエータ本体部60内の支点108の位置が、ボールねじナット58の中心位置に設定されている。
【0031】
このため、乗車員により模擬車体14の動作をシミュレーションする際に、直動アクチュエータ50に引っ張り荷重や圧縮荷重が付与されても、ボールねじナット58およびボールねじ部54にラジアル荷重が作用することがない。これにより、従来の直動ガイドを不要にして構成の簡素化を図ることができ、ライディングシミュレーション装置10全体の製造コストの削減が有効に達成されるという効果が得られる。
【0032】
例えば、図5に示すように、直動アクチュエータ50の他方の支点108aが、ボールねじ部54の軸中心からずれた位置に設定されている場合、支点106、108a間に引っ張り荷重または圧縮荷重が付与されると、ボールねじナット58と前記ボールねじ部54との間にモーメントが作用する。従って、直動アクチュエータ50に過度の荷重(モーメント荷重)が付与されてしまい、前記直動アクチュエータ50自体の耐久性が低下するおそれがある。
【0033】
また、図6に示すように、直動アクチュエータ50の他方の支点108bが、ボールねじ部54の軸方向一方にずれた位置に設定されている場合や、図7に示すように、直動アクチュエータ50の他方の支点108cが、ボールねじ部54の軸方向他方にずれた位置に設定されている場合がある。
【0034】
ここで、支点108b、108cがボールねじ部54の軸上から僅かでもずれていると、支点106、108b間または支点106、108c間に引っ張り荷重または圧縮荷重が付与される際に、ボールねじナット58と前記ボールねじ部54との間に作用するモーメント荷重や、前記ボールねじ部54に作用する偏荷重が、相当に大きな値になってしまうおそれがある。
【0035】
これにより、本実施形態では、支点106が第1自在継手52に連結されたボールねじ部54の揺動中心位置に設定されるとともに、支点108がボールねじナット58の中心位置に設定されることにより、簡単な構成で、ラジアル荷重やモーメント荷重が作用することがなく、耐久性の向上を容易に図ることが可能になる。
【0036】
また、直動アクチュエータ50は、アクチュエータ本体部60内に固定されるステータ86と、前記アクチュエータ本体部60内に回転自在に収容される中空状のロータ90と、ボールねじ部54に螺合し前記ロータ90に連結されて回転するとともに、前記アクチュエータ本体部60と一体的に前記ボールねじ部54に沿って進退可能なボールねじナット58とを備えている。従って、簡単な構成で、直動アクチュエータ50全体を有効にコンパクト化することができるという効果が得られる。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係るライディングシミュレーション装置では、各直動アクチュエータの一方の支点が、第1自在継手に連結されたシャフト部材の揺動中心位置に設定されるとともに、前記各直動アクチュエータの他方の支点が、アクチュエータ本体部内に設定されている。このため、直動アクチュエータにラジアル荷重やモーメント荷重が作用することがない。これにより、従来の直動ガイドを不要にして構成の簡素化を図ることができ、製造コストの削減が有効に可能になるとともに、耐久性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る二輪車のライディングシミュレーション装置の概略側面図である。
【図2】前記ライディングシミュレーション装置の概略平面図である。
【図3】前記ライディングシミュレーション装置の、図1中、III−III線断面図である。
【図4】前記ライディングシミュレーション装置を構成する直動アクチュエータの一部断面説明図である。
【図5】前記直動アクチュエータの他方の支点がボールねじ部の軸中心位置からずれた位置に設定されている場合の説明図である。
【図6】前記直動アクチュエータの他方の支点がボールねじ部の軸方向一方にずれた位置に設定されている場合の説明図である。
【図7】前記直動アクチュエータの他方の支点がボールねじ部の軸方向他方にずれた位置に設定されている場合の説明図である。
【符号の説明】
10…ライディングシミュレーション装置 12…基台
14…模擬車体 18…ロール軸
22…ピッチ軸 28…メインフレーム
30…リヤフレーム 32…フロントコラム
36…ステアリング軸 50…直動アクチュエータ
52、56…自在継手 54…ボールねじ部
58…ボールねじナット 60…アクチュエータ本体部
68…ブラケット 80…サーボモータ
82…ブレーキ機構 84…モータハウジング
86…ステータ 86a…コイル
88…中空部 90…ロータ
92…マグネット 100…エンコーダ
106、108、108a〜108c…支点

Claims (3)

  1. 基台に対してロール軸およびピッチ軸の回りに揺動可能な模擬車体を備え、前記基台に接続された一対の直動アクチュエータの伸縮動作により、前記模擬車体の動作をシミュレーションするライディングシミュレーション装置であって、
    前記各直動アクチュエータは、前記基台に第1自在継手を介して連結されるシャフト部材と、
    前記模擬車体に第2自在継手を介して連結されるとともに、前記シャフト部材に螺合するボールねじナットを内包し、前記ボールねじナットが回転駆動されることにより該ボールねじナットと一体的に進退可能なアクチュエータ本体部と、
    を備え、
    前記各直動アクチュエータの一方の支点が、前記第1自在継手に連結された前記シャフト部材の揺動中心位置に設定されるとともに、
    該各直動アクチュエータの他方の支点が、前記アクチュエータ本体部内に設定されることを特徴とするライディングシミュレーション装置。
  2. 請求項1記載のライディングシミュレーション装置において、前記アクチュエータ本体部内の支点位置が、前記ボールねじナットの中心位置に設定されることを特徴とするライディングシミュレーション装置。
  3. 請求項1または2記載のライディングシミュレーション装置において、前記直動アクチュエータは、前記アクチュエータ本体部内に固定されるステータと、
    前記アクチュエータ本体部内に回転自在に収容される中空状ロータと、
    前記シャフト部材に螺合し前記中空状ロータに連結されて回転するとともに、前記アクチュエータ本体部と一体的に該シャフト部材に沿って進退可能な前記ボールねじナットと、
    を備えることを特徴とするライディングシミュレーション装置。
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