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JP3655664B2 - 高周波ナイフ - Google Patents

高周波ナイフ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、経内視鏡的に体内に挿入し、粘膜等の生体組織を高周波切開する高周波ナイフに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、経内視鏡的に体腔内の粘膜を切除する場合に用いられるものとして、米国特許第4,503,855号明細書に示されているような高周波スネアがある。この高周波スネアではループワイヤを設け、これのループを切除しようとする粘膜の隆起した部分に引っ掛けてそれに高周波電流を流して粘膜を切除するものである。
【0003】
しかし、このような高周波スネアでは切除できる粘膜の大きさが、そのスネアループの大きさによって制限されてしまう。また、最大に広げたループワイヤを粘膜に掛けようとしても締め付ける際に滑ってループワイヤのみが収縮するだけになってしまうことが多く、ループワイヤを最大に広げたときの大きさよりも、かなり小さな範囲でしか粘膜を切除することができない。広い範囲で粘膜部分を切開する上で処置できないという問題があった。
【0004】
そこで、より広い範囲の粘膜部分を切除しようとする場合、特開平4−329944号公報で示すような高周波切開具や特開昭63−130061号公報で示すような電気メスを併用して行ったり、高周波スネアを用いずに高周波切開具や電気メスで切開を行うことによって切除するものである。つまり、広い範囲の粘膜部分の周囲の全周に予め高周波切開を施し、その切り口に沿って十分大きく広げたループワイヤを掛けるようにすることによって病変粘膜部分を大きく切除できるようにするものである。また、病変粘膜部分の周囲にわたって直接、高周波切開具や電気メスで切開を行うことによって切除するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した前記電気メスは電気絶縁性シースの先端から針状のナイフを突没させる構造のものであり、また、前記高周波切開具は長尺のステンレスパイプの先端に電極を有する構造のものである。そして、これらのナイフや電極を粘膜や腹腔壁に穿刺し、高周波電流を通電しながら、それを移動させることによって切開または切除していくことになる。
【0006】
この場合、特開平4−329944号公報のような高周波切開具ではこれを不用意に粘膜に穿刺すると、その先端の電極が固有筋層にまで刺入されてしまうことがあり、粘膜に刺し込んだナイフの先端にも通電がなされるので、粘膜を切開する際に切開が不要な深部の固有筋層まで焼灼してしまう虞があり、熟練した術者が慎重に行う必要がある。
また、特開昭63−130061号公報のような電気メスでも、これを粘膜に刺入すると、その先端の電極が固有筋層にまで刺入されてしまうことがあり、また、その状態で処置すると、切開が不要な深部の固有筋層まで焼灼してしまうことになるため、前記同様の問題が起きる。
【0007】
これを防ぐために先端側のナイフや電極より手前の部分の電気絶縁体を太くする等のストッパを設けるとすれば、使い勝手が悪くなるとともに観察視野を妨げることになり、また、経内視鏡的に導入して簡便に使用することができなくなるという問題が生じる。
【0008】
本発明は前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、経内視鏡的にも簡便に使用でき、粘膜の切開中において、切開すべきでない深部組織への刺入や不要な焼灼を防止し得る高周波ナイフを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
請求項1に係る発明は、電気絶縁性を有する本体部材と、前記本体部材から突出する導電性の突出部と、前記突出部に形成され、その突出方向に交差する向きの横幅を有し、通電することで接触した生体組織を切開することが出来る切開部と、前記切開部の横幅よりも広い横幅を有し、前記切開部の先端側に位置して設けられた電気絶縁体と、から成る高周波ナイフである。
請求項2に係る発明は、前記本体部材は、管状に形成された部材から成り、前記本体部材の内孔には、前記切開部を前記本体部材から突没させる為の操作ワイヤが進退自在に配置され、前記本体部材の先端部には、前記突出部の切開部が通過可能な孔を有したストッパ部材が配置され、前記突出部の基端には前記ストッパ部材の孔を通過できないストッパ受部を設け、前記操作ワイヤを前進させたとき、前記ストッパ受部が前記ストッパ部材に当たり、前記本体部材から突出する前記突出部の突出長さを規制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載された高周波ナイフである。
このような構成により、例えば、粘膜切開時において切開すべきでない下層組織には電気絶縁体が先に接触して、その下層の組織の焼灼や刺通を防止し得る。
【0010】
【実施例】
<第1の実施例>
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施例に係る高周波ナイフを説明する。
(構成)
図1に示すように、この高周波ナイフ1は図示しない内視鏡のチャンネル内に挿通され得る挿入部として本体部材を可撓管2で構成してなり、この可撓管2の基端部には操作部3が取着されている。可撓管2は密巻きコイル4とこれの外周を被覆するテトラフロロエチレン製チューブからなる絶縁チューブ5によって構成されている。密巻きコイル4の先端には筒状のストッパ部材6が連結されている。ストッパ部材6の外周は前記絶縁チューブ5の先端部分によって密巻きコイル4と面一に被覆されている。これによって可撓管2は電気的絶縁性を有する本体部材を構成する。
【0011】
前記ストッパ部材6の孔7の内面には先端側を細くしたテーパ部8と、このテーパ部8を間にしてその前後に位置する小径部9と大径部10が形成されている。そして、ストッパ部材6は前記孔7の内面を通じて後述する電極用ナイフ(部)11を可撓管2の先端側外部へ突没させる案内を行うようになっている。
【0012】
前記電極用ナイフ11は、挿入部としての可撓管2内に挿通された操作ワイヤ12の先端に連結されている。操作ワイヤ12の基端は前記操作部3に設けた操作用スライダ13に連結されていて、その操作用スライダ13を前後に押し引き移動させることによって操作ワイヤ12を進退させるようになっている。操作用スライダ13には高周波発生装置(図示しない)に通じる図示しないコードを電気的に接続するための接続口14が設けられている。
【0013】
前記ナイフ11は導電性材料で形成した比較的細い直線状の線材からなり、このナイフ11の基端には前記ストッパ部材6のテーパ部8の内面に当接し得るストッパ受部16が設けられている。また、このナイフ11はそのストッパ受部16を介して前記操作ワイヤ12の先端に接続されている。操作用スライダ13を進退させることによって操作ワイヤ12を押し引き操作すれば、このナイフ11を図2で示すように可撓管2の先端開口から外部へ突出させて露出できる。
【0014】
前記ナイフ11の先端にはそのナイフ11の外径よりも大径の電気的絶縁性の絶縁チップ17が設けられている。この絶縁チップ17は、例えばセラミックなどの耐熱性電気絶縁体で形成されている。図3に示すように、ナイフ11の先端には膨隆部18を設け、この膨隆部18を設けたナイフ11の先端部は絶縁チップ17に設けた孔19に嵌め込むとともに封止剤20で固着し、これにより絶縁チップ17がナイフ11から脱落しないように取着してある。絶縁チップ17の先端部分には球面21を有しており、絶縁チップ17の後端形状は偏平に裁断されている。また、絶縁チップ17の後端周縁部22は僅かに面取りがなされている。なお、絶縁チップ17の形状としては図4に示すように全体が球状のものでもよい。
(作用)
前記構成の高周波ナイフ1の動作について説明する。まず操作用スライダ13を前進させて操作ワイヤ12を前方へ押し出すと、電極用ナイフ11は可撓管2の先端に向かって移動し、ストッパ部材6の孔7によって案内されて外部に突き出す。この際、ナイフ11の基端に設けられたストッパ受部16は、前記孔7の大径部10内を通って案内されるが、図2で示すようにストッパ受部16がテーパ部8の内面に突き当たって嵌着されることによって、ナイフ11は外部へのそれ以上の突き出しが抑制されるとともに仮固定される。
【0015】
逆に、操作用スライダ13を後退させて操作ワイヤ12を後方に引き込むと、ストッパ受部16がテーパ部8の内面から外れ、ナイフ11は可撓管2の基端側に向かって移動する。そして、最終的に絶縁チップ17が可撓管2の先端縁またはストッパ受部16に突き当たることによって可撓管2内におけるそれ以上の後退が抑制される。また、可撓管2の先端開口を絶縁チップ17で塞ぐ。
【0016】
次に、この高周波ナイフ1を用いて体腔内部位についての、いわゆるストリップバイオプシーを行う際の動作について、図5を参照しながら説明する。
まず最初に図示しない内視鏡を通じて同じく図示しない注射針を体腔内に導き入れ、その体腔内における切開すべき病変粘膜部分25の粘膜下層に生理食塩水を注入してその病変粘膜部分25を隆起させる(図5(a)を参照)。
次に、公知の高周波ナイフ26(例えば前述した特開平4−329944公報に示される高周波切開具)を同じく経内視鏡的に導入して病変粘膜部分25の周囲の粘膜の一部に穴27を開ける初期切開を行う(図5(a)を参照)。
【0017】
続いて、ナイフ11を可撓管2内に引き込んだ状態の高周波ナイフ1を同じく内視鏡のチャンネルを介して体腔内に導入し、その高周波ナイフ1の先端部を内視鏡の先端から突出させる(図5(b)を参照)。そして、前記初期切開の穴27にナイフ11の先端を差し込み(図5(c)を参照)、高周波電流を供給しながら、ナイフ11を移動させ、病変粘膜部分25の周囲を切開する(図5(d)を参照)。その後に、その切り口に沿って、別に導入した図示しない内視鏡用高周波スネアの十分大きく広げたスネアループを掛けて病変粘膜部分25を大きく切除する。
(効果)
この実施例の高周波ナイフ1によれば、病変粘膜部分25の周囲を切開する際、切開してはならない下層の組織(固有筋層)28には接触してもそれは図6で示すようにナイフ11の先端に設けられた電気的絶縁性の絶縁チップ17であるので、その組織28を焼灼することがない。また、絶縁チップ17がナイフ11の外径より大径であるため、下層の組織(固有筋層)28に突き刺さることもない。
<第2の実施例>
図7を参照して、本発明の第2の実施例を説明する。この第2の実施例における高周波ナイフ1は絶縁チップ17の外径Aを可撓管2の外径Bと略等しくし、ナイフ11を引き込んだ際の、絶縁チップ17の基端と可撓管2の先端の間の段差を小さく少なくするようにしたものである。それ以外の構成は前述した第1の実施例のものと同一である。
【0018】
このような構成によって、絶縁チップ17の外径がより大きくできるため、下層の組織(固有筋層)28に対して、より刺さりにくくなると共に、絶縁チップ17の基端と可撓管2の先端の間の段差が少ないので、粘膜へ引っ掛かることなく、スムーズに差し込むことができる。
<第3の実施例>
図8を参照して、本発明の第3の実施例を説明する。この実施例の高周波ナイフ1は絶縁チップ17の形状が、先端側に平面31を有する円盤状とし、その厚みCを、その絶縁チップ17の外径Dより小さくしたものである(C<D)。これ以外の構成は前述した第1の実施例と同じである。
この構成によると、絶縁チップ17の厚みCが小さいので、ナイフ11を移動させて切開する際、絶縁チップ17が粘膜内から外れにくくなる。
<第4の実施例>
図9を参照して、本発明の第4の実施例を説明する。この実施例の高周波ナイフ1はそのナイフ11の先端に絶縁チップ17を着脱自在に設けたものである。すなわち、ナイフ11の先端部にはおねじ32が設けられ、一方、絶縁チップ17の基端にはそのおねじ32と螺合するめねじ穴33が設けられている。このナイフ11と絶縁チップ17のねじ関係はその逆でも構わない。それ以外の構成は前述した第1の実施例と同じである。
【0019】
前記構成によると、ナイフ11の先端に絶縁チップ17が着脱できるので、絶縁チップ17を取り外せば、可撓管2からその中に挿通されたナイフ11及び操作ワイヤ12を引き抜くことができる。このため、高周波ナイフ1の洗浄が確実かつ簡単に行える。
<第5の実施例>
図10を参照して、本発明の第5の実施例を説明する。この実施例の高周波ナイフ1は、絶縁チップ17が先端に固着されたナイフ11を、ストッパ受部16に対して着脱自在に設けたものである。すなわち、ナイフ11の基端部分におねじ41を設け、ストッパ受部16の先端部分にはそのおねじ41と螺合するめねじ穴42が設ける。ナイフ11とストッパ受部16のねじ関係はその逆でも構わない。それ以外の構成は前述した第1の実施例と同じである。
【0020】
この構成によると、ナイフ11が着脱できるので、ナイフ11が消耗した場合には、この部分のみを交換できるので、他の部分を引き続き使用でき、経済的である。また、ナイフ11を取り外せば、可撓管2からその中に挿通された操作ワイヤ12を引き抜くことができるため、高周波ナイフ1の洗浄が確実かつ簡単に行える。
[付記]以上説明した実施例等の態様から以下のような事項が得られる。
(1)電気的絶縁性を有する可撓性シースから突没する電極を具備した高周波ナイフにおいて、前記電極の先端に、その電極よりも大径の電気絶縁体を設けたことを特徴とする高周波ナイフ。
(2)前記電気絶縁体は、耐熱性電気絶縁体であることを特徴とする付記第1項に記載の高周波ナイフ。
(3)前記電気絶縁体は、前記可撓性シースの外径とほぼ同径であることを特徴とする付記第1、2項に記載の高周波ナイフ。
(4)前記電気絶縁体は、少なくとも先端側に球面を有することを特徴とする付記第1、2、3項に記載の高周波ナイフ。
(5)前記電気絶縁体は、先端側に平面を有することを特徴とする付記第1、2、3項に記載の高周波ナイフ。
(6)前記電気絶縁体は取外し自在であることを特徴とする付記第1、2乃至5項に記載の高周波ナイフ。
(7)前記電気絶縁体及び電極は取外し自在で、かつ相互に固定されていることを特徴とする付記第1、2乃至5項に記載の高周波ナイフ。
(前記各付記項毎の目的・効果)従来技術は本発明のものと同じである。
(付記第1項)
本発明に同じである。
(付記第2項)
目的:切開時の安全性をより向上させる。
効果:切開時に発生する熱による絶縁体の劣化を防止できる。
(付記第3項)
目的:切開時の穴から粘膜内への高周波ナイフの挿入性の向上を図る。
効果:絶縁体基端と可撓管先端の間の段差が少ないので、粘膜へ引っ掛かることなく、スムーズに差し込むことができる。
(付記第4項)
目的:切開時の操作性の向上を図る。
効果:絶縁体の先端側が球面なので、ナイフを移動して切開する際に、下層組織との摩擦が少なく、スムーズに移動させることができる。
(付記第5項)
目的:切開時の操作性の向上を図る。
効果:絶縁体の厚みが小さいので、ナイフを移動させて切開する際に、絶縁体が、粘膜内から外れにくくなる。
(付記第6項)
目的:洗浄性の向上を図る。
効果:絶縁体が着脱できるので、可撓管から、その中に挿通されたナイフ及び操作ワイヤを引き抜くことができ、このため、洗浄が容易かつ確実に行える。
(付記第7項)
目的:経済性を図る。
効果:ナイフが着脱できるので、ナイフが消耗した場合に、この部分のみ交換して、他の部分を引き続き使用でき、経済的である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、例えば病変部の周囲を切開する際に、切開してはならない下層の組織にナイフを刺入したり、焼灼したりすることがなく確実かつ容易に切開が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る高周波ナイフの全体の断面図。
【図2】同じくその第1の実施例に係る高周波ナイフの先端部分の断面図。
【図3】同じくその第1の実施例に係る高周波ナイフの電極用ナイフの断面図。
【図4】前記高周波ナイフの絶縁チップの変形例を示す側面図。
【図5】(a)〜(d)は前記高周波ナイフを用いてストリップバイオプシーを行う際の手順の説明図。
【図6】前記高周波ナイフを用いて粘膜を切開する際の断面図。
【図7】(a)は第2の実施例に係る高周波ナイフの先端部分の、絶縁チップの引込み状態の平面図、(b)は同じくその高周波ナイフの先端部分の、絶縁チップの突出状態の平面図。
【図8】第3の実施例に係る高周波ナイフの先端部分の、絶縁チップの突出状態の平面図。
【図9】(a)(b)は第4の実施例に係る高周波ナイフの先端部分の断面図。
【図10】第5の実施例に係る高周波ナイフの先端部分の断面図。
【符号の説明】
1…高周波ナイフ、2…可撓管、3…操作部、4…密巻きコイル、5…絶縁チューブ、6…ストッパ部材、7…孔、8…テーパ部、11…電極用ナイフ、12…操作ワイヤ、16…ストッパ受部、17…絶縁チップ、25…病変粘膜部分。

Claims (2)

  1. 電気絶縁性を有する本体部材と、
    前記本体部材から突出する導電性の突出部と、
    前記突出部に形成され、その突出方向に交差する向きの横幅を有し、通電することで接触した生体組織を切開することが出来る切開部と、
    前記切開部の横幅よりも広い横幅を有し、前記切開部の先端側に位置して設けられた電気絶縁体と、
    から成る高周波ナイフ。
  2. 前記本体部材は、管状に形成された部材から成り、前記本体部材の内孔には、前記切開部を前記本体部材から突没させる為の操作ワイヤが進退自在に配置され、前記本体部材の先端部には、前記突出部の切開部が通過可能な孔を有したストッパ部材が配置され、前記突出部の基端には前記ストッパ部材の孔を通過できないストッパ受部を設け、前記操作ワイヤを前進させたとき、前記ストッパ受部が前記ストッパ部材に当たり、前記本体部材から突出する前記突出部の突出長さを規制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載された高周波ナイフ。
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