JP3651723B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートバック用のクッション体の背裏面をその少なくとも上縁から両側縁にわたる部分が縁取用突部として残された凹み面に形成してこれに袋状のシートカバーを被覆した車両用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用シートはその背裏をフラット面としたものが主流であったが、最近では実開昭62−56461号公報などに見られるように、背裏にポケット等を取付けたり或いはレッグスペースをより広くするために背裏面を縁取用突部を除いて凹み部に形成したものが提案されている。
【0003】
ところが、このような背裏面に凹み部を形成した車両用シートにおいては、これに被覆されている袋状シートカバーが凹み部に弛みなく添うようにすために多数個の樹脂フックを用いてシートカバーを凹み部内に引き込み固定したり、凹み部の大きさに対応した別物のバックボードを用いてシートカバーを凹み部内に引き込み固定する手段が採られており、この結果、部品点数が多くなって縫製作業性や装着作業性に劣るとともに、生産コストも高くなるという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような従来の問題点を解決して、シートカバーを背裏面の凹み部に添って簡単かつ確実に被覆することができるとともに、部品点数が少なくて優れた縫製作業性および装着作業性も発揮することができ、しかも、生産コストの低廉化を図ることもできる車両用シートを提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記のような課題を解決するためになされた本発明の車両用シートは、シートバック用のクッション体の背裏面をその少なくとも上縁から両側縁にわたる部分が縁取用突部として残された凹み面に形成してこれに袋状のシートカバーをその背裏被覆部を凹み面に添わせて被覆した車両用シートであって、袋状のシートカバーの内側にはそのカマチ被覆部と背裏被覆部との境界部に縦長で前後幅が凹み部の深さに対応する剛性帯板をその一側縁をもって吊り袋と共に縫着し、この吊り袋内に上端を凹み部の上方奥部に位置されて背裏被覆部の上方部分を凹み部の上縁に引き込むエッジワイヤに係合させた緊縛紐を挿通し、この吊り袋の下方より垂下させた緊縛紐の垂下部分を背表側に引き込んでシートバックフレームに係止させることで、この剛性帯板を凹み部の立側面に沿わせることにより背裏被覆部が凹み部に密接するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図面は自動車用フロントシートのフロントバックシートに適用した例を示すものであって、図中1はポリウレタンフォームよりなるバックシート用のクッション体であって、このクッション体1の背裏面はその全周または上縁から両側縁にわたる部分を縁取用突部1aとして残して凹み面2が形成されている。3はクッション体1を覆うファブリック地よりなる袋状のシートカバーであって、このシートカバー3は表面被覆部3aとサイド部を覆うカマチ被覆部3bと背裏面を覆う背裏被覆部3cとよりなり、前記シート表面被覆部3aとカマチ被覆部3bとは縫着部4aにより縫着されるとともに、カマチ被覆部3bと背面被覆部3cとは縫着部4bにより縫着されており、これらの構成は従来のこの種の車両用シートと基本的に同じである。
【0007】
本発明においては、前記シートカバー3のカマチ被覆部3bと背裏面被覆部3cとの境界部となる縫着部4bには縦長で前後幅が凹み部2の深さに対応する剛性帯板5がその一側縁をもって縫着してある。この剛性板5は、例えば、厚みが約0.8〜2mmである程度の弾力性を有する硬質塩化ビニル樹脂等の合成樹脂板からなり、その長さは凹み部2の縦方向の長さの少なくとも2/3以上の長さを有し、凹み部2の立側面2aに添うよう垂直に立てることにより、背裏被覆部3cを前記立側面2aに密着してシャープな凹み形状の意匠を形成するよう作用するものである。そして、この剛性帯板5の上端は凹み部2の上方奥部に位置されて背裏被覆部3cの上方部分を凹み部2の上縁に引き込むエッジワイヤ6に係合させてこのエッジワイヤ6により凹み部2の立側面2aに沿ってクッション体1側へ引き込み固定されており、一方、剛性帯板5の下端も後記するように緊縛紐7をもってシートフレームに係止して剛性帯板5の下方部分が立側面2aの側に向くよう凹み部2の下方奥部に引き込み、この上下の引込みにより剛性帯板5は凹み部2の立側面2aに沿わせることにより剛性帯板5は凹み部2の立側面2aに常時密着した状態に保持され、シートカバー3の背裏被覆部3cを凹み部2に密接させてある。
【0008】
すなわち、図示例では剛性帯板5の長手方向に沿って吊り袋8が前記縫着部4bに共縫いされており、この吊り袋8内には緊縛紐7が挿入されていてその上端を前記エッジワイヤ6に係止され、また、吊り袋8の下方より垂下された緊縛紐7の下方部分7aは背表側またはカマチ側に引き込んでシートバックフレーム11などに係止させることによって剛性帯板5の下方部分を凹み部2の立側面2aに沿わせるようにしてある。なお、緊縛紐7の下方部分7aを凹み部2の下方奥部に引き込み固定する手段は任意であるが、緊縛紐7を伸縮性のあるゴム紐などとしてホグリングなどを用いてシートバックフレームのシートワイヤに引っかけるようにすれば、作業性がよりよくなるうえに緩みが生じにくいので好都合である。
【0009】
次に、図面に示す車両用シートの装着作業の手順につき説明すると、先ず、袋状のシートカバー3を裏返しの状態としてクッション体1の頭部から引っ繰り返しながら装着する点は従来のこの種の車両用シートの装着方法と基本的に同じであるが、本発明においては、シートカバー3をクッション体1の頭部に被せた段階で、前記緊縛紐7の上端を係止しているエッジワイヤ6をクッション体1内へ引き込み固定すると、これにより剛性帯板5は上方部分のみが凹み部2の立側面2a側に90°回転して密着されるから、次いで、シートカバー3をそのまま反転させつつクッション体1の下方部まで引き下ろして装着する。なお、図中9は、前記エッジワイヤ6を保持するよう背裏被覆部3cの裏面側の凹み部2の上縁に対応する位置に縫着された吊り袋である。このようにしてクッション体1にシートカバー3が仮被覆されたならば、上端がエッジワイヤ6に係合させた状態で剛性帯板5の一側縁の縫着部分に共縫いされている吊り袋8に挿通されて該吊り袋8の下方より垂下している緊縛紐7の垂下部分を引いて剛性帯板5の下方部分が立側面2a側に90°回転される方向の力を作用させたうえこれをシートバックフレームに固定すれば、剛性帯板5が凹み部2の立側面2aに完全に密着した状態が保持されることとなり、この結果、背裏被覆部3cは凹み部2の内面に完全に添装されることとなって凹み部2がくっきりと表現されたものとなる。
【0010】
以上のように、本発明のシートカバー3の装着作業は従来のように多数の樹脂ホックや特別なバックボードを用いることがなく極めて簡単に行うことができるものであり、効率的に生産することができるものである。また、部品点数も少なく安価であり、更には剛性帯板5の幅を代えるのみであらゆる深さの凹み部2にも対応することできデザインの自由度も大きいものであるとともに、シートカバー3の背裏被覆部3cをごく自然な状態で屈曲させることができるので優れた立体感を呈することとなり、また風合いおよび十分な柔らかさもあり高品質なものとなる。
【0011】
【発明の効果】
本発明は以上の説明より明らかなように、シートカバーを背裏面の凹み部に添って簡単かつ確実に被覆することができるとともに、部品点数が少なくて優れた縫製作業性および装着作業性も発揮することができ、しかも、生産コストの低廉化を図ることができるなど種々の利点をもつものとなる。
よって本発明は従来の問題点を一掃した車両用シートとして、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態を示す要部の一部切欠斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施の形態を示す要部の横断平面図である。
【図4】シートカバーをクッション体に仮被覆した状態における下方部分の端面図である。
【符号の説明】
1 クッション体
1a 縁取用突部
2 凹み部
2a 立側面
3 袋状のシートカバー
3b カマチ被覆部
3c 背裏被覆部
5 剛性帯板
6 エッジワイヤ
7 緊縛紐
8 吊り袋
Claims (2)
- シートバック用のクッション体(1) の背裏面をその少なくとも上縁から両側縁にわたる部分が縁取用突部(1a)として残された凹み面(2)に形成してこれに袋状のシートカバー(3) を被覆した車両用シートであって、袋状のシートカバー(3) の内側にはそのカマチ被覆部(3b)と背裏被覆部(3c)との境界部に縦長で前後幅が凹み部(2) の深さに対応する剛性帯板(5) をその一側縁をもって吊り袋 (8) と共に縫着し、この吊り袋 (8) 内に上端を凹み部 (2) の上方奥部に位置されて背裏被覆部 (3c) の上方部分を凹み部 (2) の上縁に引き込むエッジワイヤ (6) に係合させた緊縛紐 (7) を挿通し、この吊り袋 (8) の下方より垂下させた緊縛紐 (7) の垂下部分を背表側に引き込んでシートバックフレームに係止させることで、この剛性帯板(5) を凹み部(2) の立側面(2a)に沿わせることにより背裏被覆部(3c)が凹み部(2) に密接するようにしたことを特徴とする車両用シート。
- 緊縛紐 (7) が伸縮性のある紐とした請求項1に記載の車両用シート。
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JP31805496A JP3651723B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | 車両用シート |
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- 1996-11-28 JP JP31805496A patent/JP3651723B2/ja not_active Expired - Fee Related
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