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JP3650430B2 - ガラス繊維編物 - Google Patents

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JP3650430B2 JP12563795A JP12563795A JP3650430B2 JP 3650430 B2 JP3650430 B2 JP 3650430B2 JP 12563795 A JP12563795 A JP 12563795A JP 12563795 A JP12563795 A JP 12563795A JP 3650430 B2 JP3650430 B2 JP 3650430B2
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Nitto Glasstex Co Ltd
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラス繊維編物に関し、特に複雑な立体構造を有するガラス繊維強化樹脂成形体の補強基材として好適なガラス繊維編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維強化樹脂成形体は近年いろんな分野での利用が進展している。これは各種成形技術の開発にともない、それにあったマトリックス樹脂の開発や、補強基材の開発によるところが大きい。
現在一般に利用されているガラス繊維の補強基材は、ストランド形態のものとしては、チョップドストランド、チョップドストランドマット、スワールマット、フィラメント形態のものとしては、ガラスペーパー、フィラメントマット等があり、糸形態のものとしては、織物、スリーブ等があげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
成形体がある程度の大きさを有する立体構造の場合の成形法としては、織物やチョップドストランドマットのような補強基材を切り張りしながら樹脂を塗布含浸させるハンドレイアップ法や、成形体の形状に近い形にプリフォーム法により補強基材を予備成形し、このプリフォームを型に挿入、型内に樹脂を供給して硬化させ成形体を得るマッチドメタルダイ法やRIM法がある。
更に、特殊な形状になるが樹脂を含浸させたガラス繊維をマンドレルに巻き付け硬化成形するフィラメントワインディング法等もある。
しかし、これらの成形技術も、プリフォーム法の場合はプリフォームを製造する設備が必要になり、また、得られたプリフォームのばらつきを少なくするためにはかなりの熟練を要する。FW法の場合もガラス繊維を巻き付ける設備が必要であり、得られる成形体の形状もかなりの制約を受ける。ハンドレイアップ法の場合は当然生産性が悪いという問題を有する。
本発明の目的は、前述の状況を踏まえて、立体構造を有する成形体の成形に好適な補強基材の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究の結果、ガラス繊維編物において、構成糸がガラス繊維糸とガラス繊維バルキー糸との引き揃え糸であるガラス繊維編物とすることにより課題の解決が可能であることを見出だしたものであり、更に、前記引き揃え糸のテックス番手が200〜500の範囲にあり、引き揃え糸中のガラス繊維バルキー糸のテックス番手比率が25〜75%であり、かつ、編物の質量が400〜1100g/m2 であるガラス繊維編物とすることにより課題の解決が可能であることを見出だしたものである。
編物の組織は大きく分けると緯編と経編に分けられる。緯編は更に平編、ゴム編、両面編、パール編等に分けられ、経編はハーフ編、逆ハーフ編、クインズコード編、ダブルアトラス編等に分けられる。本発明のガラス繊維編物は特に組織を限定されることはないが、組織に裏表のないものが望ましい。平編のように組織に裏表のあるものは編物の端部がまくれやすいため、成形型に合わせる場合に作業性が悪い。また、一般的に編物地は緯編の方が経編より伸縮性に富んでいるため、本発明のガラス繊維編物も経編よりは緯編の方が望ましい。緯編の場合もゴム編、リブ編等が伸縮性や製編性の点で望ましい。
【0005】
本発明のガラス繊維編物は、通常のガラス繊維糸とガラス繊維糸にバルキー加工を行ったバルキー糸との引き揃え糸を構成糸とし、引き揃え糸のtex番手が200〜500の範囲にあるものである。ガラス繊維糸は表面が平滑であるため滑りやすく、編物の構成材料としてはあまり適しているとはいえない。ガラス繊維糸だけで編物を編成すると取扱い中に部分的な目ずれが発生しやすく、成形体を形成した場合に、この部分が外観不良となったり、厚さ不同の原因になる。
ガラス繊維のバルキー加工糸は表面にループや毛羽を持つため、糸同志の滑りが抑えられる。ガラス繊維のバルキー加工糸にはシングルエフェクト糸とコアエフェクト糸があるが、本発明の場合はコアエフェクト糸の方が望ましい。これはシングルエフェクト糸の場合は、一本の糸でバルキー加工を行うため加工の程度に限界があるが、コアエフェクト糸の場合コアヤーンに別の糸を絡ませる方式のためバルキーの程度を上げることができるため、糸同志の滑り抵抗を大きくすることが可能である。
構成糸中にバルキー糸をいれることにより、糸同志が滑りにくくなり、編組織が安定化し、取扱い中の目ずれが発生しなくなる。
【0006】
本発明に使用される引き揃え糸のtex番手は200〜500の範囲のものが適当である。これは本発明の編物がFRPの補強材として使用されるためある程度のボリューム効果を有する必要があるためである。薄い編物の場合は成形体の必要厚さを得るためには何層もの積層が必要となりコスト面で編物を使用する効果がなくなる。従って引き揃え糸の番手としては200tex以上必要である。また、引き揃え糸の番手が500texより大きくなると、後で樹脂に含浸させる際に時間がかかり成形サイクルが長くなる。また、成形体をミクロに見た場合、補強材の全く無い部分の占める比率が大きくなるため機械強度の点で問題になる。
【0007】
このような引き揃え糸を用いた本発明のガラス繊維編物は、質量がおおよそ400〜1100g/m2 のものであり、伸縮性を有する補強基材である。
質量が400g/m2 より小さい場合は、引き伸ばして型に合わせたときの編物自体の厚さが薄くなるため一層だけで成形体の必要厚さを得ることが難しくなる。また、質量が1100g/m2 より大きい場合は、樹脂の含浸が悪くなること及び取扱い性も悪くなる。
本発明のガラス繊維編物は、前記したように引き揃え糸がガラス繊維糸とガラス繊維バルキー糸とから構成されており、その構成割合は番手比でガラス繊維バルキー糸が25〜75%である。バルキー糸が併用されることにより糸同志の滑りが抑えられ、取扱い時に目ずれの発生が起こりにくくなる。また、バルキー糸をまぜることにより編物にボリューム効果をもたせることができる。即ち、同じ質量の場合厚さを厚くすることができ、従って、一枚の編物で成形体に必要厚さを有する補強層を形成することが可能になる。更に、バルキー糸自体は糸を構成するフィラメント束が開繊された状態になっていることと、編物が嵩高性を有するため樹脂に対する含浸性が優れている。
【0008】
引き揃え糸中のバルキー糸の比率が25〜75%であることは、25%より小さい場合は、編物の目ずれ防止効果が小さく、また、編物に対するボリューム効果も十分に得られないし、樹脂に対する含浸性も良くない。75%より大きい場合は、製編性が不安定で、例えば編物の幅が変動する等の問題が生ずる。これは普通の糸と比較してバルキー加工糸の方が糸特性のばらつきが大きいためどうしてもその影響が編物に現れることによる。そこで、本発明では普通のガラス繊維糸とバルキー加工糸を併用することにより、その影響を少なくするようにした。
【0009】
本発明のガラス繊維編物は、通常の編機を用いて製編することができるが、編物の伸縮性の点から見ると緯編機を用いることが望ましい。緯編の場合、製編条件としては、ゲージ3〜7/インチ、度目が30〜60、望ましくは45〜55の範囲である。度目が30より小さい場合は、本発明で用いる糸番手に対しては組織がこみすぎて伸性が不十分になる。また60より大きい場合は、組織が粗くなり過ぎ、伸ばした場合に元へ戻る復元力が弱く、取り扱い性が悪くなる。
【0010】
【作用】
本発明のガラス繊維編物は、伸縮性に富むため、立体形状を有する成形体の補強材として有効であり、編物の質量が400〜1100g/m2 の範囲で、構成糸にガラス繊維糸とガラス繊維バルキー糸を併用して用いているため、編物が一定の厚さを有しており、また、樹脂の含浸も良好であるため、一層で用いても十分な機械的強度を発揮することが可能な厚さを有する補強材層を形成することができる。
更に、ガラス繊維糸とガラス繊維バルキー糸を引き揃えて使用しているため、製編性が良く、安定した編組織を有するガラス繊維編物が得られる。
【0011】
【実施例】
<実施例1>
(1)引き揃え糸……ガラス繊維糸1本とガラス繊維バルキー加工糸1本とを引き揃えて使用した。
▲1▼ガラス繊維糸 ECG 75 1/0
▲2▼バルキー糸 コアヤーン、エフェクトヤーンとして、夫々ECG 751/0 1本づつ用いバルキー加工用ジェットノズル中を通しバルキー糸を得た。バルキー糸の番手は168texであった。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
【0012】
<実施例2>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸3本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
<実施例3>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸4本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
【0013】
<実施例4>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸4本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
<実施例5>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸4本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
【0014】
<実施例6>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸2本とバルキー糸2本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
【0015】
<比較例1>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸6本を引き揃えて使用した(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
<比較例2>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸1本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
【0016】
<比較例3>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸4本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
<比較例4>
(1)引き揃え糸……実施例1で用いたガラス繊維糸4本とバルキー糸1本とを引き揃えて使用した。
(2)製編
(1)の引き揃え糸を用い緯編機によりガラス繊維編物を製編した。
Figure 0003650430
【0017】
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られたガラス繊維編物の質量、厚さ、伸縮性、目ずれ発生の有無を調べた。結果を表1に示す。表1における引き揃え糸の構成で、G1はガラス繊維糸1本を示し、B1はガラス繊維バルキー糸1本を示す。また、伸縮性は、編物を手で伸ばしたときの伸し易さにより判断した。
【0018】
【表1】
Figure 0003650430
【0019】
【発明の効果】
本発明のガラス繊維編物は、適度の伸縮性を有するため、立体形状を有するガラス繊維強化樹脂成形体の補強材として有用である。また、ガラス繊維糸とガラス繊維バルキー糸とを引き揃えて用いるためボリューム効果を有し一層で用いても強度を十分に供えた補強材層を形成することができる。更にバルキー糸を併用していることにより通常のガラス繊維糸だけで製編された編物と比較して目ずれが発生しにくい。

Claims (1)

  1. ガラス繊維編物において、構成糸がガラス繊維糸とガラス繊維バルキー糸の引き揃え糸であって、該引き揃え糸のテックス番手が200〜500の範囲にあり、引き揃え糸中のガラス繊維バルキー糸のテックス番手比率が25〜75%であり、かつ、編物の質量が400〜1100g/m 、度目が30〜60であることを特徴とするガラス繊維編物。
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