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JP3648902B2 - ガスクロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents

ガスクロマトグラフ質量分析装置 Download PDF

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JP3648902B2
JP3648902B2 JP01617097A JP1617097A JP3648902B2 JP 3648902 B2 JP3648902 B2 JP 3648902B2 JP 01617097 A JP01617097 A JP 01617097A JP 1617097 A JP1617097 A JP 1617097A JP 3648902 B2 JP3648902 B2 JP 3648902B2
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勝博 中川
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガスクロマトグラフ質量分析装置(以下GC/MSという)を使って化合物の定量と同定を行う分野に用いられ、特に環境中や食品中の残留農薬分析に有効である。
【0002】
【従来技術】
残留農薬の分析にあたっては、ガスクロマトグラフ(GC)を用いた一次スクリーニングと一次選別された試料のGC/MSスキャンモードでの再測定による確認同定が行われる。
【0003】
食品中の残留農薬の分析を例にとって以下に説明する。GCを使った一次スクリーニングでは、スプリットレス注入法を用い、通常1μLのサンプルを注入する。また、検出器として、感度が高い選択的な検出器、例えばECDやFPDまたはMSの選択イオンモニタモード(SIM)を用いる。SIM(Selected Ion Monitoring )法については、特開平8−129001号や特開平8−129002号が参照できる。測定の結果、農薬が検出され、しかもその濃度が基準値を越えた場合、マススペクトルによる確認を行なう。
【0004】
マススペクトルによる確認では、GC/MSを用いる。GCの注入法としてスプリットレス注入法を、測定モードとしてはマススペクトルが測定できるスキャンモードを用いる。スキャンモードはGCを使った確認で用いたSIMモードに比べ感度が低いため、濃度が低い農薬を分析する場合は、サンプルを濃縮後に測定を行う。その測定の結果得られたマススペクトルは予め標品を測定して得られたマススペクトルと比較し、農薬が確かに存在していることを確認する。
【0005】
ここで、一次スクリーニング分析時に濃縮試料や大量試料注入を行わないのは、総注入量が増えるに従いインサート等試料気化室内が試料中の夾雑物で汚染され、分析の定量性が損われる可能性を少なくするためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方式では、GCまたはGC/MS(SIM)で測定後、定量結果を確認し、濃度が基準値を越えたサンプルについて再度、GC/MS(スキャン)で分析するという手順がとられた。そのため、一連のサンプルを連続分析する場合、オペレータが結果を判断し検出されたサンプルを再度分析するという手間がかかった。しかも、スキャンで測定出来る濃度にサンプルを濃縮してから測定することが必要だった。
【0007】
また、たとえ濃縮が必要なくても、結果を確認してGC/MSで分析するまで時間が経過しているため、サンプルが変質する危険性がある。これを避けるために、調整された試料液をスクリーニング分析用と確認・同定分析用に2分割し、一連のスクリーニング分析中は確認・同定用試料液を全数保存しておく必要があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するためには本発明は、注入量可変の試料注入装置と、前記試料注入装置から注入された試料が気化されるPTV型気化室と、前記気化室に一端が接続されたガスクロマトグラフィーカラムと、前記ガスクロマトグラフィーカラムの他端から流出するカラム流出物を検出・測定するものであって選択イオンモニタ(SIM)モードとスキャンモードが切り換え可能な質量分析計と、前記質量分析計から得られるクロマトグラムのターゲット化合物の溶出時間帯を設定・記憶する溶出時間帯記憶装置と、試料に含まれる前記ターゲット化合物の量を判定するための比較値を設定・記憶するための信号記憶装置と、前記溶出時間帯記憶装置に設定・記憶された時間に、SIMモードの前記質量分析計の検出信号値と、前記信号記憶装置に設定・記憶された比較値を比較し、検出信号値が比較値よりも大きい場合に再測定信号を発し、前記試料注入装置から注入される試料量を増大し、かつ、前記質量分析計をスキャンモードに切りかえ、同一試料を再測定するための比較・制御装置を有することを特徴とするガスクロマトグラフ質量分析装置からなる。
【0009】
すなわち、本発明のGC/MSは、少量の試料注入とSIMモードの組み合せで一次スクリーニングのための分析を行う。当該分析の結果得られたターゲット化合物の濃度が一定濃度を越えたか否かを比較・制御装置で判断し、越えた場合は、質量分析計の測定モードをスキャンモードに変更し、試料注入量を増加して同一試料を再度分析してターゲット化合物のマススペクトルを測定しターゲット化合物の確認・同定を行う。
【0010】
従来のスプリットレス注入装置を使用する場合は、最大注入量が通常2μLに限られるが、本発明に使用するPTV(Program Temperature Vaporizer )型気化室(例えば特願平7−205259号)は100μLオーダーでの試料注入が可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例に従い本発明を説明する。
【0012】
図1は本発明にかかるGC/MSの構成図である。
【0013】
試料注入装置1はシリンジ2、試料瓶5をセットしたターレット4、シリンジ2の動作ターレット4の回転等の制御とともにシリンジ2のバレルの動作量を制御することにより、PTV型気化室6へ注入する試料量も制御するコントローラ3よりなっている。
【0014】
ガスクロマトグラフィーカラム7は一端がPTV型気化室6に、他端が質量分析計8に接続されており、試料中の農薬等の成分が分離される。ガスクロマトグラフィーカラム7はキャピラリー、ワイドボア、充てんカラム等ガスクロマトグラフィーで通常に使用されるいずれのカラムも使用可能であるが、キャピラリーカラムやワイドボアカラムが望ましい。
【0015】
質量分析計8は磁場分散形、四極子形いずれでもよく、また、SIMモードとスキャンモードを切り換える切り換え装置81が付いている。SIMモードでは特定のイオン種を検出するので高感度検出が可能であるが、スキャンモードではマススペクトルを測定するのでSIMモードに比較して感度が劣る。
【0016】
溶出時間帯記憶装置10はターゲット化合物の保持時間と当該保持時間の許容幅を記憶する。この保持時間はターゲット化合物の標準試料をGC/MSで分析して、そのクロマトグラムから直接データを取り込み設定することもできるし、あるいは、手動で保持時間を入力することもできる。保持時間の許容幅は実試料分析結果のクロマトグラムのピーク群からターゲット化合物ピークを判定するためのものであり、保持時間に一定値を乗ずる、許容幅を時間で設定する等により設定される。
【0017】
信号記憶装置11は一次スクリーニングの合否判定のための値を記憶する。当該値はクロマトグラムのピークの最大信号値を使用するか、ピーク面積値を使用することができる。さらに、ターゲット化合物の標準試料をGC/MSで分析して、そのクロマトグラムから直接データを取り込むこともできるし、あるいは、手動で信号値を入力することもできる。
【0018】
比較・制御装置12は一次スクリーニングの合否判定を行う。すなわち、溶出時間帯記憶装置10に記憶されている一定時間に質量分析計8の出力信号と信号記憶装置11に記憶されている信号値を比較し、出力信号が信号値を超えると再測定信号を発する。再測定信号は、回路13を伝って切り換え装置81に至り、そこで、質量分析計8をSIMモードからスキャンモードに切り換える。さらに再測定信号は、回路13を伝ってコントローラ3に至り、ターレット4上の再測定試料をシリンジ2の試料吸引位置に位置付け、かつ、試料注入量を増加して再測定を行う。
【0019】
この再測定により、マススペクトルが得られ、試料中のターゲット化合物の有無の確認が行われる。
【0020】
次いて、本発明のGC/MSを使用した分析手順を説明する。図2はこれら分析手順をフローチャートで示したものである。
【0021】
(1) 前処理された複数の試料液をそれぞれ試料瓶51、52、53に入れ、ターレット4にセットする。
【0022】
(2) 試料瓶から1μLの試料液をPTV型気化室6に注入し、質量分析計はSIMモードで測定する。
【0023】
(3) 前記測定結果からターゲット化合物の同定と定量を行う。
【0024】
(4) 測定結果が予め設定された値を越えた場合には再測定を行う。再測定は(2) と同一の試料瓶から100μLをPTV型気化室6に注入して、質量分析計はスキャンモードで測定する。
【0025】
(5) 次の試料瓶から1μLの試料液をPTV型気化室6に注入し、質量分析計はSIMモードで測定する。
【0026】
上記実施例では、一次スクリーニングで判別された試料を直後に再測定しているが、例えばオートサンプラのターレットの容量限度数まで一次スクリーニングを先行して行った後に判別された試料を再測定してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、オペレータによる一次スクリーニング結果判定不用で、一連の試料の再測定によるマススペクトルの採取まで自動で行うことができる。
【0028】
また、従来往々に必要であった再測定のための試料液の濃縮が不用で時間と手間を省くことができる。
【0029】
さらに、一次スクリーニングから再測定までの時間を短くすることができるので試料液の変質を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるGC/MSの構成図である。
【図2】分析手順のフローチャートである。
【符号の説明】
1 試料注入装置
2 シリンジ
3 コントローラ
4 ターレット
5 試料瓶
6 PTV型気化室
7 ガスクロマトグラフィーカラム
8 質量分析計
81 切り換え装置
9 レコーダ
10 溶出時間帯記憶装置
11 信号記憶装置
12 比較・制御装置
13 回路

Claims (1)

  1. 注入量可変の試料注入装置と、前記試料注入装置から注入された試料が気化されるPTV型気化室と、前記気化室に一端が接続されたガスクロマトグラフィーカラムと、前記ガスクロマトグラフィーカラムの他端から流出するカラム流出物を検出・測定するものであって選択イオンモニタ(SIM)モードとスキャンモードが切り換え可能な質量分析計と、前記質量分析計から得られるクロマトグラムのターゲット化合物の溶出時間帯を設定・記憶する溶出時間帯記憶装置と、試料に含まれる前記ターゲット化合物の量を判定するための比較値を設定・記憶するための信号記憶装置と、前記溶出時間帯記憶装置に設定・記憶された時間に、SIMモードの前記質量分析計の検出信号値と、前記信号記憶装置に設定・記憶された比較値を比較し、検出信号値が比較値よりも大きい場合に再測定信号を発し、前記試料注入装置から注入される試料量を増大し、かつ、前記質量分析計をスキャンモードに切りかえ、同一試料を再測定するための比較・制御装置を有することを特徴とするガスクロマトグラフ質量分析装置。
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