JP3648132B2 - キノロン系抗菌薬液体製剤及びその包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光安定性に優れたキノロン系抗菌薬液体製剤及びその包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、キノロン系抗菌薬は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲で優れた抗菌作用を有していることから、これを主剤とした多くの製剤が開発されている。キノロン系抗菌薬製剤としては、錠剤、細粒剤、顆粒剤のものもあるが、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、各種の液剤化粧料等の液体製剤としても多々検討され製剤化されている。しかし、キノロン系抗菌薬は光安定性が低い。即ち、着色変化し易いばかりでなく、キノロン系抗菌薬自体が分解してしまい、その有効性が低下してしまう欠点がある。このため、キノロン系抗菌薬製剤については、光安定性を向上させるための技術の開発が多々図られている。特開平7−204251号公報に開示されている技術もその一つである。
【0003】
特開平7−204251号公報に開示されている技術は、キノロン系抗菌薬製剤の包装材を、波長450nm以下の光の透過率が50%以下である透明な素材とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、包装素材を前記した所定の物理的特性のものにするだけでは、キノロン系抗菌薬について、光安定性を十分に確保することはできない。即ち、アルミニウム薄材等の遮光性材により包装する場合には、キノロン系抗菌薬の光安定性を確保することが可能である。しかし、キノロン系抗菌薬製剤に関して、点眼液等の液剤については、外部からの視認による品質検査等を容易に行なうことが可能なように、その包装は透明性を有する包装材によることが要請される。従って、キノロン系抗菌薬製剤の包装体については、外部からの光の入射を完全に遮断する包装体の構成とすることはできない。このため、特に、キノロン系抗菌薬を液体製剤とする場合には光による影響を受け易いから、キノロン系抗菌薬液体製剤及びその包装体について、その含有するキノロン系抗菌薬の光安定性を十分に確保することが望まれるところである。
【0005】
そこで、本発明は、光安定性に優れ、キノロン系抗菌薬の有効性を長期間に亘り確保することができるキノロン系抗菌薬液体製剤及びその包装体の提供を目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤は、キノロン系抗菌薬に対して緩衝作用を有する少なくとも1種又は2種以上のリン酸塩溶液にキノロン系抗菌薬を溶解させ、酸またはアルカリ剤によりこの溶解溶液のPHを5.5〜7.5にすると共に、中性塩により浸透圧比を0.85〜1.20(245〜345mOsM)に調整し、リン酸塩の配合量を無水物として0.5〜3.3wt/v%として光安定性を向上させてなることを特徴とする。
【0007】
1種又は2種以上のリン酸塩溶液中で、その緩衝作用を受けて、含有するキノロン系抗菌薬は、上記した所定範囲のPH値及び浸透圧比の下で、その抗菌性能等の光安定性を著しく向上させる作用が発揮される。
【0008】
本発明におけるキノロン系抗菌薬とは、縮合ピリドンカルボン酸骨格を有する合成抗菌薬であり、例えば、オフロキサシン、レボフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、トスフロキサシン、スパフロキサシン、ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ピペミド酸、ピロミド酸等を挙げることができる。また、本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤とは、キノロン系抗菌薬を含有する液体製剤をいい、例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、ローション剤等を挙げることができる。
【0009】
本発明の液体製剤中のキノロン系抗菌薬の配合量は、キノロン系抗菌薬や製剤の種類により異なって一定しないが、好ましくは、0.1〜1.0wt/v%である。例えば、点眼剤や点鼻剤としては、0.3〜0.5wt/v%であることが好適条件である。
【0010】
リン酸塩としては、リン酸のアルカリ金属塩、これらの結晶水付加物、又はこれらの混合物を挙げることができる。このリン酸塩溶液としては、例えば、水溶液としたものを挙げることができる。
【0011】
本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤中のリン酸塩の配合量は、無水物として、0.5〜3.3wt/v%であることが好ましく、特に好ましくは、緩衝効果及び等張化の理由から、1.0〜2.5wt/v%である。この配合量が、0.5wt/v%未満であると、適正なPHを維持できなくなる欠点があり、3.3wt/v%を超えると、高張となる等の欠点がある。
【0012】
本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤のPHについては、低いPHの場合、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を添加することにより、また、高いPHの場合には、希塩酸等を添加することにより調整することができる。このPHが5.5〜7.5であれば、液体製剤中に含有されるキノロン系抗菌薬について、その生体への適用性が著しく向上する作用が効果的に発揮される。このPHが、5.5未満であると、眼粘膜や鼻粘膜等に対する刺激が強くなり過ぎる欠点があり、このような欠点は、7.5を超える場合も同じである。このため、より安定な状態でキノロン系抗菌薬の液剤が得られる点から、PH6.0〜7.0であることが好ましい。
【0013】
本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤の浸透圧比は、例えば、塩化ナトリウム等の中性塩を添加することにより調整することができる。この浸透圧比が0.85〜1.20(245〜345mOsM)であるときには、キノロン系抗菌薬の生体への適用性が効果的に向上する。この浸透圧比が、0.85未満、あるいは1.20を超えると、浸透圧比が低くなり過ぎて、あるいは高くなり過ぎて、眼粘膜、鼻粘膜等に対する刺激が強くなり過ぎる欠点がある。より安定な状態でキノロン系抗菌薬の液剤が得られる点から、浸透圧比は、0.95〜1.1(273〜316mOsM)であることが好ましい。
【0014】
また、PHが5.5〜7.5又は/及び浸透圧比が0.85〜1.20(245〜345mOsM)の範囲外となると、上記したような強い刺激に加えて、キノロン系抗菌薬の吸収性の低下をきたす欠点もある。
【0015】
本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤については、製剤の種類に応じて任意成分として各種の成分を添加することができる。この任意成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリビニルピロリドン、塩化ベンザルコニウム、l−メントール、抗酸化剤等を挙げることができる。
【0016】
本発明の液体製剤については、上記した各配合成分を、常温あるいは加熱条件下で、混合溶解させることにより製造することができる。
【0017】
次に、本発明の包装体は、上記した本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤を透明性材製の包装容器内に充填してなることを特徴とする。
【0018】
この本発明の包装体としてキノロン系抗菌薬液体製剤の包装容器としては、液剤を充填する容器として機能する透明性素材からなるものであれば、ガラス材、合成樹脂材等の各種素材のものを使用することができる。この包装容器は、包袋と称せられるものを含む。
【0019】
また、この包装容器については、無色透明性乃至半透明性のもののほか、白色、青色、緑色等に着色された透明性乃至半透明性のものを使用することができる。このうち、キノロン系抗菌薬を分解させる光に対する透過率が少なく、光安定性の向上に効果的に寄与する点から、緑色透明性乃至半透明性のものであることが好ましい。
【0020】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
(実施例1〜2)
【0021】
【表1】
【0022】
表1の組成原料を使用して、次の工程により製造した。先ず、常温下で、80%量の精製水にリン酸二水素ナトリウムの2水塩を添加攪拌して、溶解後オフロキサシンを添加攪拌して溶解する。これにリン酸水素二ナトリウム12水塩を添加し攪拌して溶解させ、これに食塩を添加し、精製水の残量を加えてPHを調整し、ろ過することにより澄明な点眼液を得て、これを実施例1の検体試料とした。また、実施例1と同様に、塩化ベンザルコニウム、リン酸二ナトリウム2水塩、オフロキサシン、リン酸水素ナトリウム12水塩、亜硫酸ナトリウム及び食塩を順に添加溶解させて、実施例2の検体試料とした。
【0023】
(試験例1)キノロン系抗菌薬の光安定性試験
実施例1の点眼液を無色透明性のガラス製瓶(円筒形状、5mL容量)に充填して密閉し、これを実施例1の包装体の試料とした。この試料のガラス製瓶を横倒した状態で配置し、これに対して上方から昼光色蛍光灯を1000Lux/hrの光強度で照射した。
【0024】
また、市販品(商品名:タリビッド点眼液、オフロキサシンを0.3wt%含有する。)を上記同様のガラス製瓶内に充填して比較例1の試料とし、また、生理食塩水にオフロキサシンを添加溶解し、これを希塩酸を添加することによりPHを調整して、これを比較例2の試料とした。これら比較例1及び2の試料に対しても上記同一の条件で光を照射した。
【0025】
これらについて、光照射量が、30万Lux・hr、60万Lux・hr及び120万Lux・hrとなる期間ごとに、検体試料中のオフロキサシンの含有量を定量した。この試験を実施例1及び2と、比較例1及び2の試料についてそれぞれ3回ずつ行い、定量した3回の平均値を結果として、各検体試料中のオフロキサシンの残存率及び分解物の生成率を算出して表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
試料中のオフロキサシンの定量法は、次のとおりである。先ず、試料1mL(オフロキサシン3mgに対応する容量)に、内標準溶液5mL及び0.05モル/L塩酸試液を加えて50mLとし、これを試料溶液とする。別に、オフロキサシン標準品を0.06gに、0.05モル/L塩酸試液を加えて100mLとする。この溶液5mLに、内標準溶液5mL及び0.05モル/L塩酸試液を加えて50mLとし、これを標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液の20μLにつき、次の条件で、日局一般試験法液体クロマトグラフ法により試験を行い、内標準物質のピーク面積に対するオフロキサシンのピーク面積の比QT 及びQS を求め、次の計算式に基づいて算出した。
【0028】
なお、0.05の数値は、希釈換算係数である。また、内標準溶液は、塩酸ナファゾリン水溶液(1→250)である。
(操作条件)
検出器:紫外線光光度計(測定波長:294nm)
カラム:内径=約5mm、長さ=15〜30cmで、ステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填。
【0029】
カラム温度:25℃付近の一定温度。
【0030】
移動槽:水/アセトニトリル/酢酸混液(重量部比29:20:1)の1000mLに、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム1.4gを加えて溶かした。
【0031】
流量:オフロキサシンの保持時間が約27分となるように調整。
【0032】
カラムの選定:標準溶液20μLにつき、上記の条件で操作するとき、オフロキサシン、内標準物質の順に溶出すると共に、その分離度が3以上のものを用いる。
【0033】
純度試験法は、次のとおりである。先ず、検体試料1mL(オフロキサシン3mgに対応する量)に、0.05モル/L塩酸試液を加えて50mLとし、これを試料溶液とする。次いで、定量法項の条件で日局一般試験法液体クロマトグラフ法により試験を行なうとき、試料溶液のオフロキサシン以外のピークを光分解物のピークとし、総ピーク面積値に対する割合を求めることによった。
【0034】
表2に示したオフロキサシンの残存率についての対比特性を、またそれを図1に示した。図1に示すように、比較例1、2の検体試料の残存率特性γ、δとの対比において、実施例1、2の試料の場合、その残存率特性α、βは極めて高く、優れた光安定性を有していることを確認することができる。
【0035】
(試験例2)充填容器の種類の違いと光安定性の確認試験
実施例1の試料を各種容器に充填した包装体に対して、光安定性の試験を試験例1と同一の条件により各3回行い、各試料中のオフロキサシンの含有量を定量し、その定量した3回の平均値を結果として表3に示した。なお、各試料中のオフロキサシンの定量法は、試験例1と同一の方法によった。
【0036】
【表3】
【0037】
表3中、試料記号aはPE(ポリエチレン)製の青色透明容器、同bはPE製の緑色透明容器、同cはPE製の白色透明容器、同dは対照1のタリビッド点眼液用の既成のPE製の青色透明容器、同eは比較例1のタリビッド耳科用液の既成のPE製の緑色透明容器、及び同fはアルミニウムホイルで遮光した記号cの容器に、それぞれ実施例1の検体試料を充填した包装体である。また、試料記号gは比較例1の試料を同既成のPP製の緑色透明容器に充填した包装体である。なお、既成とは、市販品で使用されていた包装容器をいう。
【0038】
表3の結果から、各検体試料中のオフロキサシンの残存率を表4に示した。
【0039】
【表4】
【0040】
表4に示したオフロキサシンの残存率については、図2に示した。図2に示すように、特に、実施例1の包装体dの特性は、これと同一の容器による比較例1の包装体gの特性との対比において、より高い残存率を示しており、また、実施例1の包装体a〜eの特性についても、比較例1の包装体gの特性との対比において、いずれも高い残存率を示していることから、実施例1の検体試料によれば、優れた光安定性が発揮されることが分かる。また、緑色透明容器の包装体bによる場合には、遮光した包装体fによる場合と同等の光安定性が発揮されることも分かる。
【0041】
(試験例3)純度試験
試験例2の各包装体a〜gにおける試料に含有される分解生成物の量を求め、その結果を表5に示した。なお、純度試験法は、前記試験例1の場合と同様である。
【0042】
【表5】
【0043】
表5に示した結果から、オフロキサシンの純度特性を図3に示した。図3に示すように、各包装体a〜gにおけるオフロキサシンの純度特性についても、試験例2による結果と全く同じ傾向であることが分かる。
【0044】
(実施例3〜6)
【0045】
【表6】
【0046】
表6に示す組成原料を、実施例1に準じた製造法により、実施例3〜6の点眼液をそれぞれ得た。前記した実施例1及び2、並びに実施例3〜6の点眼液の5mLを白色透明性のPP(ポリプロピレン)製容器内にそれぞれ充填し、これらの包装体を検体試料とした。
【0047】
上記した実施例1〜6の各点眼液の調製時のPH及び浸透圧比と共に、これらの実施例1〜6の包装体をそれぞれ窓辺に2週間放置し、放置後の点眼液の着色度の変化を求めて、その結果を表7に示した。
【0048】
【表7】
【0049】
着色度の測定は、APHA(American Public Healthy Association )法によった。即ち、JOCS3.2.1.2−1996、基準油脂分析試験法に準じ、波長λ=450nmにおける検体の吸光度を測定し、最小二乗法より求めた次式より求めた。
【0050】
APHA=吸光度/0.0003−4
また、前記比較例2の液剤5mLを白色透明性のPP製容器内に充填して比較例3の包装体試料とし、前記比較例1の点眼剤5mLを既成の青色透明性のPE製容器内にそれぞれ充填したものを比較例4の包装体試料、また、比較例1の点眼剤を比較例3の試料と同様の白色透明性のPP製容器内にそれぞれ充填して比較例5の包装体試料とした。これら比較例1〜3の包装体試料についても、上記同様に、それぞれ窓辺に2週間放置し、放置後の点眼液の着色度の変化を求めて、その結果を表8に示した。
【0051】
【表8】
【0052】
表7及び表8に示した結果から、比較例3との対比において、実施例1〜6の点眼液については、いずれも着色度の変化がより低く、また、表2に示した結果から、比較例3〜5との対比において、オフロキサシンの残存量も多い。この結果、実施例1〜6の点眼液中のオフロキサシンについては、光安定性が高いことが分かる。
【0053】
(実施例7)
【0054】
【表9】
【0055】
表9に示すレボフロキサシン処方の組成原料をそれぞれ常温下で混合、溶解して、実施例7の点眼液を得た。この点眼液の5mLを白色透明のPP製容器に充填し、これを実施例7の包装体試料とした。
【0056】
表9中、比較例2の液剤を白色透明性のPP製容器内に充填した比較例6と、比較例7(市販品、商品名:クラビッド点眼液、レボフロキサシン0.5wt%含有)の点眼液5mLを青色透明性のPE既成容器内にそれぞれ充填し、それぞれの包装体試料とし、また上記同様のクラビッド点眼液を白色透明性のPP製容器内に充填した包装体を比較例8の包装体試料を調製した。
【0057】
上記した各包装体を検体試料とし、これらの検体試料の包装体をそれぞれ窓辺に2週間放置し、1週間後及び2週間後の各点眼液の着色度の変化と、1週間後のレボフロクサシンの残存量及び分解物の発生率を求めて、その結果を表10に示した。着色度は実施例3と同じ方法、レボフロキサシンの残存量は、オフロキサシンについての試験例1の方法に準じて行なった。
【0058】
【表10】
【0059】
表10に示した結果から、比較例6〜8との対比において、実施例7の点眼液については、いずれも1週間後及び2週間後における着色度の変化がより低く、しかもレボフロキサシンの残存量も多く、しかも分解物の発生率も低い。この結果から、実施例7の点眼液中のレボフロキサシンについては、光安定性が高いことが分かる。
【0060】
(実施例8)
【0061】
【表11】
【0062】
表11に示すレボフロキサシン処方の組成原料を使用して、次の工程により実施例8のローション液を製造した。先ず、常温下で、PEG400、グリセリン及びラウロマゴールBL−25を添加して混合攪拌し、これに精製水の半量を添加攪拌後、リン酸二水素カリウムとレボフロキサシンとを順に添加して溶解させた。これに精製水の半量及びリン酸二ナトリウム12水塩を添加して攪拌して澄明液状のローション液をそれぞれ得た。これらのローション液の100mLをPE製容器に充填し、これを包装体試料とした。
【0063】
表11中の比較例9は、PEG400、グリセリン及びラウロマゴールBL−25を精製水の半量中に添加する第一工程を40〜50℃の加熱下で行なう以外は、実施例8と同じ工程により得た、澄明液状のローション液を、100mLをPE製容器に充填し、これを包装体試料とした。
【0064】
これらの試料包装体を、前述と同様にそれぞれ5mLのPP製白色透明容器に充填し、それぞれ窓辺に2週間放置し、放置後のローション液の着色度の変化及びレボフロクサシンの残存量を求めて、その結果を表12に示した。着色度は試験例実施例3と同じ方法、レボフロキサシンの残存量は、オフロキサシンについての試験例1の方法に準じて行なった。
【0065】
【表12】
【0066】
表12に示した結果から、比較例9との対比において、実施例8のローション液については、いずれも着色度の変化に差はないが、レボフロキサシンの残存量はより多い。この結果、実施例8のローション液中のレボフロキサシンについては、光安定性が高いことが分かる。
【0067】
(実施例10)
【0068】
【表13】
【0069】
表13に示すレボフロキサシン処方の組成原料を使用して、次の工程により実施例10の点鼻液を製造した。先ず、常温下で、精製水の350mL量中にポリビニルピロリドン及び塩化ベンザルコニウムを順に添加し攪拌して溶解した。これにl−メントールをグリセリンに溶解させたものを添加溶解し、リン酸二カリウム及びレボフロキサシンとを順に添加して溶解させ、リン酸水素ナトリウム12水塩を溶解させた後、精製水を添加して全量を500mLとし、実施例10の点鼻液を得た。この点鼻液の10mLをPE製容器に充填し、これを包装体試料とした。
【0070】
上記したローション液を前記した白色透明性のPP製容器に充填して包装体試料とし、その調製時のPH及び浸透圧比と共に、これらの検体試料の包装体をそれぞれ窓辺に1週間及び2週間放置し、各放置後の点鼻液の着色度の変化及びレボフロキサシンの残存量を求めて、その結果を表14に示した。着色度は実施例3と同じ方法、レボフロキサシンの残存量は、オフロキサシンについての試験例1の方法に準じて行なった。
【0071】
【表14】
【0072】
表14に示した結果から、実施例10の点鼻液については、いずれも着色度の変化がより低く、しかもレボフロキサシンの残存量も多い。この結果、実施例10の点鼻液中のレボフロキサシンについては、光安定性が高いことが分かる。この実施例10では、点鼻液として製造したが、これを点耳液として使用することもできる。
【0073】
【発明の効果】
上述したように本発明は構成されるから、次のような効果が発揮される。本発明のキノロン系抗菌薬液体製剤によれば、優れた光安定性のものが得られるから、長期間に亘りその優れた性能を有効に発揮させることができる。
【0074】
このように本発明によれば、キノロン系抗菌薬液体製剤自体の光安定性が確保されるから、特別な仕様の包装が必要とされないから、製剤製品としての包装体を安価に製造することが可能である。
特に、緑色透明性の包装材の包装体として構成する場合には、キノロン系抗菌約液体製剤について包装を遮光構成にした場合と同等の光安定性を得ることができる。
【0075】
特に、緑色透明性の包装材の包装体として構成する場合には、キノロン系抗菌約液体製剤について包装を遮光構成にした場合と同等の光安定性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキノロン系抗菌薬液体製剤の包装体と市販品との光照射後におけるオフロキサシンの残存量の対比特性図である。
【図2】本発明に係るキノロン系抗菌薬液体製剤の各種包装容器による包装体と市販品との光照射後におけるオフロキサシンの残存量の対比特性図である。
【図3】本発明に係るキノロン系抗薬液体製剤の各種包装容器による包装体と市販品との光照射後における残存するオフロキサシンの純度の対比特性図である。
【符号の説明】
α、β 実施例1及び2の包装体の残存率特性
a 青色透明性容器の包装体による残存率及び分解生成物量の特性
b 緑色透明性容器の包装体による残存率及び分解生成物量の特性
c 白色透明性容器の包装体による残存率及び分解生成物量の特性
d 既存の青色透明性容器の包装体による残存率及び分解生成物量の特性
e 既存の緑色透明性容器の包装体による残存率及び分解生成物量の特性
f 遮光性容器の包装体による残存率特性
g 市販の包装体による残存率及び分解生成物量の特性
Claims (3)
- キノロン系抗菌薬に対して緩衝作用を有する少なくとも1種又は2種以上のリン酸塩溶液にキノロン系抗菌薬を溶解させ、酸またはアルカリ剤によりこの溶解溶液のPHを5.5〜7.5にすると共に、中性塩により浸透圧比を0.85〜1.20(245〜345mOsM)に調整し、リン酸塩の配合量を無水物として0.5〜3.3wt/v%として光安定性を向上させてなることを特徴とするキノロン系抗菌薬液体製剤。
- さらに、亜硫酸塩を配合した請求項1に記載されたキノロン系抗菌薬液体製剤。
- 請求項1又は2のキノロン系抗菌薬液体製剤が、緑色透明性乃至半透明性材製の包装容器内に充填されてなることを特徴とするキノロン系抗菌薬液体製剤の包装体。
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