JP6203682B2 - アリピプラゾール含有水性液剤 - Google Patents
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Description
また、水性液剤のpHは、2.6以上3.5以下であることが好ましい。水性液剤のpHが2.6未満である場合、安定性が低下してしまうおそれがある一方、水性液剤のpHが3.5より大きい場合、アリピプラゾールが析出してしまうおそれがある。
このような構成にすることにより、高濃度のアリピプラゾールが溶解した経口投与に用いる水性液剤(内用液)を提供することができる。
これらの中でも、キシリトールを用いることが好ましく、キシリトールに加えて、プロピレングリコールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
キシリトールの添加量は、例えば、液剤の全重量に対して、1〜40重量%の範囲、好ましくは、5〜30重量%の範囲から選択することができる。
植物性粘稠剤としては、具体的には、デキストリン、ヒプロメロース、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等を例示できる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、デキストリン若しくはヒプロメロースを用いることがさらに好ましい。
上記のように界面活性剤の量を微量にすると、水性液剤を収容する包装体のシール部のシール性を高めることができると推測されるため、水性液剤を確実に密封収容することができる。
矯味剤を添加していれば、苦味をマスキングし、飲みやすくすることができる。
精製水(50ml)にリンゴ酸(1000mg)及びアリピプラゾール(150mg)を入れ、室温25℃でマグネチックスターラーを用いて約3時間撹拌した。溶解しなかった固形物をろ過により除去し、水性液剤を得た。実施例1の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、1.5×10−2mol/Lであった。
リンゴ酸に替えて、L−アスパラギン酸を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、水性液剤を得た。
リンゴ酸を用いず、又はリンゴ酸に替えて表1に示す各添加剤を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、水性液剤を得た。
実施例及び比較例で得られた水性液剤中のアリピプラゾールの溶解度を液体クロマトグラフィーで測定した。結果を表1に示す。
液体クロマトグラフィー測定条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長 217mm)
カラム:内径4.6mm、長さ250cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用フェニルシリル化シリカゲルを充填
カラム温度:40℃
移動相:0.2%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=7:3
流量:0.5mL/min
表2に示す配合処方に従い、アリピプラゾール及び各添加剤を秤量し、精製水を加えて全量を50mlした。アリピプラゾールが溶解するまで、室温25℃でマグネチックスターラーを用いて撹拌し、水性液剤を得た。実施例3〜7の液剤のpHを、下記に記載されているpH測定法により測定したところ、pHは3.11であった。
また、実施例3〜7の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、7.5×10−5mol/Lであった。
[評価基準]
○: アリピプラゾールの析出がない
△: 若干のアリピプラゾールの析出が見られる
×: 明らかにアリピプラゾールの沈殿や析出が見られる
以上の結果から、キシリトールを添加すると、水性液剤に対して0.1%濃度であるアリピプラゾールを溶解することができ、かつ、低温中に保存した場合でも、アリピプラゾールの析出を抑制できることが分かった。
下記表3に示す配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて攪拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し攪拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物とを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し攪拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、室温25℃に冷却し、pH調節剤である2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を滴下し、pHメータ(株式会社堀場製作所製、F―52)によりpHを確認しながら、pHを2.95〜3.13になるように調節した。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
なお、実施例8〜12の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。
pHは、pHメータ(株式会社堀場製作所製、F―52)を用いて、製剤をセンサー部に直接漬けてpHの指示値を読み取り測定した。
作製した水性液剤を以下のように評価した。
上記方法にて作製したアリピプラゾール含有水性液剤を室温25℃にて静置保存し、3日保存後と1ヶ月保存後との沈殿生成の様子について、下記評価基準により外観を目視で評価した。
[評価基準]
○: アリピプラゾール又は防腐剤の析出がない
△: 若干のアリピプラゾール又は防腐剤の析出が見られる
×: 明らかにアリピプラゾール又は防腐剤の沈殿や析出が見られる
評価結果について、表4に示す。
また、実施例9及び実施例10は、3日保存後については、若干のアリピプラゾール又は防腐剤の析出が確認され(評価:△)、1ヶ月保存後については、アリピプラゾール又は防腐剤の析出と沈殿があることが確認された(評価:×)。
また、実施例11及び実施例12は、3日保存後及び1ヶ月保存後の両者とも、アリピプラゾールと防腐剤との沈殿がないことが確認された(評価:○)。
下記表5に示す配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し撹拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物と植物性粘稠剤であるデキストリン1(パインデックス♯2 松谷化学工業社製)、デキストリン2(パインデックス♯3 松谷化学工業社製)、もしくはデキストリン3(パインデックス♯4 松谷化学工業社製)とを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し撹拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
実施例13〜22の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。また、上述したpH測定法で測定した実施例13〜22の水性液剤のpHは3.1であった。
下記表5に示す配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し撹拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物と植物性粘稠剤であるヒプロメロースとを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し撹拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
なお、実施例23の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。また、上述したpH測定法で測定した実施例23の水性液剤のpHは3.1であった。
下記表5に示す植物性粘稠剤が含まれていない配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し撹拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物とを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し撹拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
なお、実施例24の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。また、上述したpH測定法で測定した実施例24の水性液剤のpHは3.1であった。
作製した水性液剤を以下のように評価した。
上記方法にて作製したアリピプラゾール含有水性液剤を4℃にて静置保存し、1週間保存後、2週間保存後、1ヶ月(4週間)保存後、5週間保存後、6週間保存後及び8週間保存後の沈殿生成の様子について、下記評価基準により外観を目視で評価した。
[評価基準]
○: アリピプラゾール又は防腐剤の析出がない
△: 若干のアリピプラゾール又は防腐剤の析出が見られる
×: 明らかにアリピプラゾール又は防腐剤の沈殿や析出が見られる
評価結果について、表6に示す。
上記方法にて作製したアリピプラゾール含有水性液剤をガラス瓶に入れてポリプロピレンキャップで密栓したものを、55℃、75%RH条件下で2週間保存した後、下記測定方法を用いてアリピプラゾールの類縁物質を測定した。結果を表7に示す。
アリピプラゾール(C23H27Cl2N3O2)約3mgに対応する量1mLを正確に量り、移動相2mLを正確に加えてよく振り混ぜた。振り混ぜた液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターで濾過し、濾液を試料溶液とした。
ここでいう定量用アリピプラゾールとは、アリピプラゾール(C23H27Cl2N3O2)総量からアリピプラゾール中の水分量を差し引いた質量を100%としたときに、アリピプラゾール(C23H27Cl2N3O2)の含有率が99.0%以上であるものをいう。定量用アリピプラゾール中の水分量は、日局に記載の水分測定法(カールフィッシャー法)の容量滴定法で測定した。
アリピプラゾールの総類縁物質量(%)は、「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改正について」(平成15年6月24日医薬審第0624001号)に従って、下記の式により算出して、表7に示した。
総類縁物質量(%)=(試料溶液のピークのうち、アリピプラゾール及び溶媒を除くピークであり、かつ、ピーク面積が0.1%以上であるピークの面積の和(総類縁物質量))÷(標準溶液のアリピプラゾールのピーク面積)
また、総類縁物質量を「ピーク面積が0.1%以上のピーク(標準溶液のアリピプラゾールのピーク面積に対して0.1%以上の面積を有するピーク)の面積の和」とした理由は、新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改正について」(平成15年6月24日医薬審第0624001号)に記載されている安全性確認に従ったためである。
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長 217nm)、(2475マルチλ蛍光検出器 Waters社製)
カラム: 内径3.0mm、長さ25cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填
カラム温度 35℃付近の一定温度
移動相: 0.2%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル混液(65:35)
流量: アリピプラゾールの保持時間が約20分になるように調整する
一方、植物性粘稠剤を入れている実施例13〜23は、5週間保存後においても、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認された(評価:○)。また、実施例15は、6週間保存後においても、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認された(評価:○)。さらに、実施例16〜20及び実施例22〜23は、8週間保存後においても、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認された(評価:○)。
さらに、上述した効果の他に、類縁物質を抑制できることが確認された。
Claims (5)
- アリピプラゾールと、リンゴ酸と、溶解補助剤と、防腐剤と、を含み、pHが2.6以上3.5以下であり、前記アリピプラゾールおよび前記防腐剤の析出が抑制された、水性液剤(但し、乳酸、酢酸、酒石酸又はクエン酸を含む場合を除く)。
- 前記水性液剤は、グリシンを含まない、請求項1に記載の水性液剤。
- 前記溶解補助剤が、キシリトールを含むことを特徴とする請求項1に記載の水性液剤。
- 前記溶解補助剤が、プロピレングリコールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含むことを特徴とする請求項3に記載の水性液剤。
- 糖またはセルロース系から選択される植物性粘稠剤をさらに含むことを特徴とする請求
項3または4に記載の水性液剤。
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