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JP6203682B2 - アリピプラゾール含有水性液剤 - Google Patents

アリピプラゾール含有水性液剤 Download PDF

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JP6203682B2 JP2014124712A JP2014124712A JP6203682B2 JP 6203682 B2 JP6203682 B2 JP 6203682B2 JP 2014124712 A JP2014124712 A JP 2014124712A JP 2014124712 A JP2014124712 A JP 2014124712A JP 6203682 B2 JP6203682 B2 JP 6203682B2
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Description

本発明は、アリピプラゾールを含有する水性液剤に関する。
アリピプラゾールは、統合失調症等の治療薬として有用であり、錠剤、散剤、内服液等の経口投与用製剤が提供されている。内服液等の水性液剤は、用量調整が容易である、錠剤等の固形製剤に比して嚥下困難性が少ない等の利点があり、有用である。しかしながら、アリピプラゾールは水にほとんど溶解せず、溶解した場合であっても保存温度に依存して再析出するため、アリピプラゾール含有水性液剤の製造は困難である。
特許第4401077号公報
本発明は、投与に適した十分な濃度を有する、アリピプラゾール含有水性液剤を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有する有機酸によりアリピプラゾールの水性溶媒への溶解度を向上し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、アリピプラゾールと、下記式(1)であらわされる化合物とを含む、水性液剤を提供する。
Figure 0006203682
(式(1)中、Rはメチレン基又はエチレン基であり、Aはヒドロキシル基、アミノ基及びメルカプト基からなる群より選択される。)
式(1)であらわされる化合物としては、リンゴ酸が特に好ましい。
また、前記リンゴ酸に加え、キシリトールを含むことがさらに好ましい。
また、前記キシリトールに加え、プロピレングリコールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを含むことがさらに好ましい。
また、糖またはセルロース系から選択される植物性粘稠剤を含むことがさらに好ましい。
本発明の水性液剤は、投与治療に適した十分な量のアリピプラゾールを溶解することができる。
本発明の水性液剤には、水性溶媒中にアリピプラゾール及び式(1)であらわされる化合物が溶解している。該化合物の存在により、水性液剤中のアリピプラゾールの溶解度が向上する。
また、水性液剤のpHは、2.6以上3.5以下であることが好ましい。水性液剤のpHが2.6未満である場合、安定性が低下してしまうおそれがある一方、水性液剤のpHが3.5より大きい場合、アリピプラゾールが析出してしまうおそれがある。
アリピプラゾールは、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イルブトキシ]−3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オンであり、統合失調症や双極性障害の治療に有効な抗精神病剤の一つである。
Figure 0006203682
(式(1)中、Rはメチレン基又はエチレン基であり、Aはヒドロキシル基、アミノ基及びメルカプト基からなる群より選択される。)
式(1)であらわされる化合物の具体例としては、リンゴ酸、アスパラギン酸、メルカプトコハク酸等を挙げることができる。これらの中でリンゴ酸は、アリピプラゾールの溶解度を向上する効果が顕著であるばかりでなく、水性液剤に爽やかな酸味を付与できることから、経口投与用の水性液剤には特に好適に用いることができる。
本発明の水性液剤中のアリピプラゾールの濃度は特に制限されないが、経口投与に用いる水性液剤(内用液)を調製する場合であれば、例えば、0.05〜0.5重量%の範囲から選択することができ、0.1〜0.5重量%の範囲から選択することが好ましく、0.3〜0.5重量%の範囲から選択することがさらに好ましい。
このような構成にすることにより、高濃度のアリピプラゾールが溶解した経口投与に用いる水性液剤(内用液)を提供することができる。
例えば、式(1)であらわされる化合物のモル濃度は、特に制限されないが、例えば、3.0×10−5mol/L〜1.5×10−2mol/Lである。
また、水性液剤中に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/L〜7.5×10−5mol/Lであることがさらに好ましい。このような構成にすることにより、アリピプラゾールの溶解度をさらに向上させることができる。なお、リンゴ酸の分子量は134.09として計算した。
本発明の水性液剤に用いられる水性溶媒の典型例は、水である。使用する水としては、特に限定はなく、精製水、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。液剤に対する水の含有量は、65〜90重量%の範囲から選択されることが好ましく、70〜87重量%の範囲から選択することがさらに好ましい。
本発明の水性液剤はアリピプラゾールの溶解度の向上を目的として、さらに溶解補助剤を含んでいてもよい。具体的には、キシリトール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポピドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルグリコール等を例示できる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、キシリトールを用いることが好ましく、キシリトールに加えて、プロピレングリコールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
キシリトールとリンゴ酸とを組み合わせて用いると、投与治療に適した十分な量のアリピプラゾールを溶解することができ、かつ、冷蔵庫、寒期等の低温中に保存した場合でも、アリピプラゾールの析出を抑制させることができる。
キシリトールの添加量は、例えば、液剤の全重量に対して、1〜40重量%の範囲、好ましくは、5〜30重量%の範囲から選択することができる。
また、キシリトールとプロピレングリコールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとを組み合わせて用いた場合、プロピレングリコールの添加量は、液剤の全重量に対して6〜25重量%の範囲、好ましくは、12〜20重量%の範囲から選択することができ、かつ、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの添加量は、液剤の全重量に対して0.5〜5重量%の範囲、好ましくは、0.5〜3重量%の範囲から選択することができる。それにより、アリピプラゾールの水性溶媒に対する溶解度をさらに向上させることができ、かつ、室温下において下記に記載する防腐剤を添加した場合でも、アリピプラゾールと防腐剤との析出を抑制させることができる。
また、糖またはセルロース系から選択される植物性粘稠剤をさらに含むと、冷蔵庫、寒期等の低温環境中に保存した場合でも、アリピプラゾールと防腐剤との析出を長期間抑制させることができ、かつ、アリピプラゾールの類縁物質の増加を抑制することができる。
植物性粘稠剤としては、具体的には、デキストリン、ヒプロメロース、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等を例示できる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、デキストリン若しくはヒプロメロースを用いることがさらに好ましい。
植物性粘稠剤の添加量は、液剤の全重量に対して0.1〜3重量%の範囲、好ましくは、0.2〜2重量%の範囲から選択することができる。植物性粘稠剤の添加量が、液剤の全重量に対して0.1重量%未満である場合、冷蔵庫、寒期等の低温環境中の保存下で、アリピプラゾールと防腐剤とが析出されやすくなるおそれがある。一方、植物性粘稠剤の添加量が、液剤の全重量に対して3重量%超である場合、液剤の粘性が高くなるため、服用時における苦みが増すおそれがある。
デキストリンを使用する場合、デキストリンの添加量は、液剤の全重量に対して0.1〜3重量%の範囲、好ましくは、0.2〜2重量%の範囲から選択することができる。ヒプロメロースを使用する場合、ヒプロメロースの添加量は、液剤の全重量に対して0.1〜0.8重量%の範囲、好ましくは、0.1〜0.5重量%の範囲から選択することができる。上記範囲内であると、冷蔵庫、寒期等の低温環境中に保存した場合でも、アリピプラゾールと防腐剤との析出を長期間効果的に抑制させることができ、かつ、アリピプラゾールの類縁物質を効果的に抑制させることができる。
本発明の水性液剤は、さらに、製薬上許容される防腐剤、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤、等張化剤、pH調整剤、矯味剤、香料等の適宜な添加剤を含んでいてもよい。
防腐剤としては、通常医薬品として用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸イソピロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、アミノエチルスルホン酸、ソルビン酸、ソルビン酸塩、プロピレングリコール、クロロブタノール等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。防腐剤を配合して保存性を高めておけば、長期間経過時の製品劣化(微生物汚染)を防ぐことができる。
抗酸化剤としては、通常医薬品として用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、エデト酸ナトリウム水和物、エリソルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、リン酸、トコフェロール等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。抗酸化剤を配合していれば、製品中の成分の酸化を抑制することができる。
界面活性剤は、微量であれば含まれていてもよい。微量とは液剤の全重量に対して0〜1.0重量%の範囲、好ましくは0〜0.8重量%の範囲から選択することができる。通常、医薬品として用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、チロキサポール、ミリスチン酸ポリオキシル、ポリソルベート80、ポロキサマーおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
上記のように界面活性剤の量を微量にすると、水性液剤を収容する包装体のシール部のシール性を高めることができると推測されるため、水性液剤を確実に密封収容することができる。
緩衝剤としては、pHを維持することができるものであれば特に制限するものではないが、例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
等張化剤としては、浸透圧を体液に合わせるために用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
pH調整剤としては、酸性またはアルカリ性の度合を調整するために用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、乳酸、二酸化炭素、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
矯味剤としては、通常医薬品として用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、スクラロース、アスパルテーム、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水アメ、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア、ソーマチン、エリスリトール、ソルビトール、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
矯味剤を添加していれば、苦味をマスキングし、飲みやすくすることができる。
香料としては、通常医薬品として用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、オレンジフレーバー、バナナフレーバー、イチゴフレーバー、バニラフレーバーや各エッセンス類を加えてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
なお、ゲル化剤は、微量であれば含まれていてもよく、具体的には、液剤に対して0重量%〜0.005重量%のゲル化剤が含まれていてもよい。ゲル化剤としては、通常医薬品として用いられるものであれば特に制限するものではないが、例えば、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン、カラヤガム末、カルメロースナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合してもよい。
本発明の水性液剤の製造方法は、例えば、第一撹拌工程、第二撹拌工程、第三撹拌工程、冷却工程、pH調節工程、濾過工程を含み得る。
第一撹拌工程は、溶解補助剤に防腐剤を添加し溶解させた後、精製水を加えて、撹拌する工程である。撹拌の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、マグネチックスターラー、プロペラ撹拌、ホモミキサー、ホモジナイザーなどを用いることができる。
第二撹拌工程は、第一撹拌工程で得られた混合物に対して、所定の温度に加温し撹拌しながら、溶解補助剤とリンゴ酸と抗酸化物とを添加し溶解する工程である。所定の温度は、15℃以上60℃以下であることが好ましい。また、撹拌の方法としては、第一撹拌工程と同様の方法が挙げられる。
第三撹拌工程は、第二撹拌工程で得られた混合物に対して、所定の温度に加温し撹拌しながら、主薬であるアリピプラゾールを添加し溶解する工程である。撹拌の方法としては、第一撹拌工程と同様の方法が挙げられる。
冷却工程は、第三撹拌工程で得られた混合物を冷却する工程である。冷却する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、混合物を入れた容器を水浴に浸す方法などが挙げられる。
pH調節工程は、冷却工程で得られた混合物を所定のpH値に調節する工程である。所定のpH値に調節する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、クエン酸、塩酸等を使用して調節することが挙げられる。
濾過工程は、pH調節工程で得られた混合物を最終容量になるように精製水を加え、濾過し、水性液剤を得る工程である。濾過する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、カートリッジフィルタ、セラミックフィルタを使用して濾過することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に記載するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されない。
(実施例1)
精製水(50ml)にリンゴ酸(1000mg)及びアリピプラゾール(150mg)を入れ、室温25℃でマグネチックスターラーを用いて約3時間撹拌した。溶解しなかった固形物をろ過により除去し、水性液剤を得た。実施例1の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、1.5×10−2mol/Lであった。
(実施例2)
リンゴ酸に替えて、L−アスパラギン酸を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、水性液剤を得た。
(比較例)
リンゴ酸を用いず、又はリンゴ酸に替えて表1に示す各添加剤を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、水性液剤を得た。
(試験評価)
実施例及び比較例で得られた水性液剤中のアリピプラゾールの溶解度を液体クロマトグラフィーで測定した。結果を表1に示す。
なお、液体クロマトグラフィーの測定条件は下記の通りである。
液体クロマトグラフィー測定条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長 217mm)
カラム:内径4.6mm、長さ250cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用フェニルシリル化シリカゲルを充填
カラム温度:40℃
移動相:0.2%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=7:3
流量:0.5mL/min
Figure 0006203682
表1に示すように、リンゴ酸またはLーアスパラギン酸を添加したときに、アリピプラゾールの溶解度が高くなることが確認された。
(実施例3〜7)
表2に示す配合処方に従い、アリピプラゾール及び各添加剤を秤量し、精製水を加えて全量を50mlした。アリピプラゾールが溶解するまで、室温25℃でマグネチックスターラーを用いて撹拌し、水性液剤を得た。実施例3〜7の液剤のpHを、下記に記載されているpH測定法により測定したところ、pHは3.11であった。
また、実施例3〜7の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、7.5×10−5mol/Lであった。
アリピプラゾールの溶解は、肉眼にて目視して確認した。目視による観察の評価基準は下記の通りである。
[評価基準]
○: アリピプラゾールの析出がない
△: 若干のアリピプラゾールの析出が見られる
×: 明らかにアリピプラゾールの沈殿や析出が見られる
Figure 0006203682
実施例3〜7の水性液剤を4℃において1週間保存したところ、実施例3〜5の水性液剤ではアリピプラゾールの析出が若干観察されたが(評価:△)、キシリトールを含む実施例6及び7の水性液剤ではアリピプラゾールの析出は観察されなかった(評価:○)。
以上の結果から、キシリトールを添加すると、水性液剤に対して0.1%濃度であるアリピプラゾールを溶解することができ、かつ、低温中に保存した場合でも、アリピプラゾールの析出を抑制できることが分かった。
(実施例8〜12)
下記表3に示す配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて攪拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し攪拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物とを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し攪拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、室温25℃に冷却し、pH調節剤である2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を滴下し、pHメータ(株式会社堀場製作所製、F―52)によりpHを確認しながら、pHを2.95〜3.13になるように調節した。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
なお、実施例8〜12の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。
(pH測定法)
pHは、pHメータ(株式会社堀場製作所製、F―52)を用いて、製剤をセンサー部に直接漬けてpHの指示値を読み取り測定した。
Figure 0006203682
<評価>
作製した水性液剤を以下のように評価した。
<<沈殿生成及び析出の判断基準>>
上記方法にて作製したアリピプラゾール含有水性液剤を室温25℃にて静置保存し、3日保存後と1ヶ月保存後との沈殿生成の様子について、下記評価基準により外観を目視で評価した。
[評価基準]
○: アリピプラゾール又は防腐剤の析出がない
△: 若干のアリピプラゾール又は防腐剤の析出が見られる
×: 明らかにアリピプラゾール又は防腐剤の沈殿や析出が見られる
評価結果について、表4に示す。
Figure 0006203682
表4の結果より、実施例8は、3日保存後については、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認されたが(評価:○)、1ヶ月保存後については、アリピプラゾール又は防腐剤の沈殿や析出があることが確認された(評価:×)。
また、実施例9及び実施例10は、3日保存後については、若干のアリピプラゾール又は防腐剤の析出が確認され(評価:△)、1ヶ月保存後については、アリピプラゾール又は防腐剤の析出と沈殿があることが確認された(評価:×)。
また、実施例11及び実施例12は、3日保存後及び1ヶ月保存後の両者とも、アリピプラゾールと防腐剤との沈殿がないことが確認された(評価:○)。
以上の結果から、プロピレングリコールとポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとをさらに添加すると、析出しやすい防腐剤であるパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを添加した場合においても、水性液剤に対して0.3%濃度であるアリピプラゾールを溶解することができることがわかった。
(実施例13〜22)
下記表5に示す配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し撹拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物と植物性粘稠剤であるデキストリン1(パインデックス♯2 松谷化学工業社製)、デキストリン2(パインデックス♯3 松谷化学工業社製)、もしくはデキストリン3(パインデックス♯4 松谷化学工業社製)とを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し撹拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
実施例13〜22の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。また、上述したpH測定法で測定した実施例13〜22の水性液剤のpHは3.1であった。
(実施例23)
下記表5に示す配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し撹拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物と植物性粘稠剤であるヒプロメロースとを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し撹拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
なお、実施例23の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。また、上述したpH測定法で測定した実施例23の水性液剤のpHは3.1であった。
(実施例24)
下記表5に示す植物性粘稠剤が含まれていない配合処方(単位:mg/ml)となるように、各原料を精密に秤取し、プロピレングリコールにパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを溶解させ、精製水を加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次いで、温浴装置を用いて50℃に加温し撹拌しながら、キシリトール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(5)グリコールとリンゴ酸とエデト酸ナトリウム水和物とを添加し、溶解させた。
次いで、50℃に加温し撹拌しながら、アリピプラゾールを加え、溶解させた。
次いで、全量が1Lとなるように精製水を加えて、フィルターを用いてろ過し、水性液剤を作製した。
なお、実施例24の水性液剤に対するリンゴ酸のモル濃度は、3.7×10−5mol/Lであった。また、上述したpH測定法で測定した実施例24の水性液剤のpHは3.1であった。
Figure 0006203682
<評価>
作製した水性液剤を以下のように評価した。
<<沈殿生成及び析出の判断基準>>
上記方法にて作製したアリピプラゾール含有水性液剤を4℃にて静置保存し、1週間保存後、2週間保存後、1ヶ月(4週間)保存後、5週間保存後、6週間保存後及び8週間保存後の沈殿生成の様子について、下記評価基準により外観を目視で評価した。
[評価基準]
○: アリピプラゾール又は防腐剤の析出がない
△: 若干のアリピプラゾール又は防腐剤の析出が見られる
×: 明らかにアリピプラゾール又は防腐剤の沈殿や析出が見られる
評価結果について、表6に示す。
Figure 0006203682
<安定性評価試験>
上記方法にて作製したアリピプラゾール含有水性液剤をガラス瓶に入れてポリプロピレンキャップで密栓したものを、55℃、75%RH条件下で2週間保存した後、下記測定方法を用いてアリピプラゾールの類縁物質を測定した。結果を表7に示す。
<<アリピプラゾールの類縁物質の測定>>
アリピプラゾール(C2327Cl)約3mgに対応する量1mLを正確に量り、移動相2mLを正確に加えてよく振り混ぜた。振り混ぜた液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターで濾過し、濾液を試料溶液とした。
別に、定量用アリピプラゾールを五酸化二リン存在下で60℃、4時間減圧乾燥し、その約20mgを精密に量り、移動相に溶かして、正確に20mLとした。次いで、移動相に溶かしたこの液のうちの2mLを正確に量りとり、これに移動相を加えて正確に20mLとした。さらに、この液のうちの2mLを正確に量りとり、移動相を加えて正確に20mLとし、これを標準溶液とした。標準溶液のアリピプラゾールの濃度は、試料溶液の1%濃度である。
ここでいう定量用アリピプラゾールとは、アリピプラゾール(C2327Cl)総量からアリピプラゾール中の水分量を差し引いた質量を100%としたときに、アリピプラゾール(C2327Cl)の含有率が99.0%以上であるものをいう。定量用アリピプラゾール中の水分量は、日局に記載の水分測定法(カールフィッシャー法)の容量滴定法で測定した。
得られた試料溶液及び標準溶液を各々10μL正確に量り、下記の試験条件にて液体クロマトグラフィーによって検出されたピーク面積を自動積算法により測定した。
アリピプラゾールの総類縁物質量(%)は、「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改正について」(平成15年6月24日医薬審第0624001号)に従って、下記の式により算出して、表7に示した。
総類縁物質量(%)=(試料溶液のピークのうち、アリピプラゾール及び溶媒を除くピークであり、かつ、ピーク面積が0.1%以上であるピークの面積の和(総類縁物質量))÷(標準溶液のアリピプラゾールのピーク面積)
また、総類縁物質量を「ピーク面積が0.1%以上のピーク(標準溶液のアリピプラゾールのピーク面積に対して0.1%以上の面積を有するピーク)の面積の和」とした理由は、新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改正について」(平成15年6月24日医薬審第0624001号)に記載されている安全性確認に従ったためである。
試験条件
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長 217nm)、(2475マルチλ蛍光検出器 Waters社製)
カラム: 内径3.0mm、長さ25cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填
カラム温度 35℃付近の一定温度
移動相: 0.2%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル混液(65:35)
流量: アリピプラゾールの保持時間が約20分になるように調整する
Figure 0006203682
表6の結果より、植物性粘稠剤を入れていない実施例24は、2週間保存後においては、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認されたが(評価:○)、1ヶ月保存後以降においては、アリピプラゾール又は防腐剤の沈殿や析出があることが確認された(評価:×)。
一方、植物性粘稠剤を入れている実施例13〜23は、5週間保存後においても、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認された(評価:○)。また、実施例15は、6週間保存後においても、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認された(評価:○)。さらに、実施例16〜20及び実施例22〜23は、8週間保存後においても、アリピプラゾール又は防腐剤の析出がないことが確認された(評価:○)。
表7の結果より、植物性粘稠剤を入れていない実施例24は、55℃、75%RHの苛酷条件下で2週間保存後においても、総類縁物質総量が低く安定性に優れていることが分かった。一方、植物性粘稠剤を入れている実施例13〜17、実施例21及び実施例23は、55℃、75%RHの苛酷条件下で2週間保存後においても、総類縁物質総量が低く、植物性粘稠剤を入れていない実施例24と同様に安定性に優れていることが分かった。
以上の結果から、植物性粘稠剤であるデキストリン若しくはヒプロメロースを添加すると、冷蔵庫、寒期等の低温(4℃)で保存した場合でも、水性液剤に対して0.3%濃度であるアリピプラゾールと防腐剤との析出を長期間(1ヶ月以上)に亘って抑制できることが確認された。
さらに、上述した効果の他に、類縁物質を抑制できることが確認された。
なお、実施例1〜24及び比較例で用いた各成分の具体的な内容は表8に示す通りである。
Figure 0006203682


本発明の水性液剤は、経口投与用水性液剤として特に好ましく使用できる。

Claims (5)

  1. アリピプラゾールと、リンゴ酸と、溶解補助剤と、防腐剤と、を含み、pHが2.6以上3.5以下であり、前記アリピプラゾールおよび前記防腐剤の析出が抑制された、水性液剤(但し、乳酸、酢酸、酒石酸又はクエン酸を含む場合を除く)。
  2. 前記水性液剤は、グリシンを含まない、請求項1に記載の水性液剤。
  3. 前記溶解補助剤が、キシリトールを含むことを特徴とする請求項に記載の水性液剤。
  4. 前記溶解補助剤が、プロピレングリコールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含むことを特徴とする請求項3に記載の水性液剤。
  5. 糖またはセルロース系から選択される植物性粘稠剤をさらに含むことを特徴とする請求
    項3または4に記載の水性液剤。
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