JP3647422B2 - 光ヘッド装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクに情報の記録再生を行なう光ディスク装置に搭載される光ヘッド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置は、光ヘッド装置によって光ビームを光ディスク上に集光させ、その反射光を利用して記録再生を行なっている。光ディスク上には記録情報であるピットパターン列が同心円状又はスパイラル状のトラックに沿って形成されており、記録情報を正確に記録再生するには光ディスク上の所定の位置に光ビームを回折限界の光スポットに集光し、トラックに沿って走査する必要がある。
【0003】
光ヘッド装置は光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズを備え、これを光ディスク面に垂直な光軸方向へ移動させることにより焦点制御を行ない、これと同時に光ディスクの半径方向に対物レンズを並進させることによりトラッキング制御を行なっている。これらの焦点制御及びトラッキング制御には、光ヘッド装置内部の光検知器で検出された光ディスクからの反射ビームに基づいて生成される焦点誤差検出信号とトラックずれ検出信号とが用いられる。光ディスクの記録再生においてはこれらの焦点制御及びトラッキング制御を正確に行うことが必要となる。
【0004】
光ディスクには保護層基板の厚さが異なる複数の規格が存在する。例えば、CD、CD−R/RWの保護層の厚さは1.2mmであるのに対し、DVDの保護層の厚さは0.6mmである。このように異なる種類の光ディスクに対して互換性を持たせるためには、光ディスクの種類に応じて対物レンズの種類、焦点制御特性やトラッキング制御特性をその都度切り換えなければならず、そのため光ディスクの種類を判別する機能が必要となる。
【0005】
これら光ディスクの種類を判別する方法はいくつか知られているが、その一つに対物レンズを光軸方向に駆動したときの焦点誤差検出信号の値の変化に基づいて判定する方法がある。記録密度の増大に伴い、今後保護層基板の厚みが異なる光ディスクや多層構造の光ディスクが用いられることが予想されるので光ディスクの種類判別の信頼性を高める必要があり、従って上記の判別方法を用いる光ヘッド装置の場合には、焦点誤差検出信号値の変化特性の検出の信頼性を高める必要がある。以下に、従来の光ヘッド装置における焦点誤差検出信号の生成手順について説明する。
【0006】
図12は従来の光ヘッド装置の光学系の概略構成を示す図である。尚、ここで説明する光学系の構成及び焦点誤差検出信号の生成方法は、例えば特公平2−37609号公報に開示されているものである。
【0007】
図12において、1は光源である半導体レーザ、2は半導体レーザ1から出射される光ビーム、3はビームスプリッタ、4はビームスプリッタ3からの光ビーム2を平行光束に変換するコリメータレンズ、7は光ディスク、5は光ビーム2を光ディスク7に光スポット6として集光させる対物レンズ、8は光ディスク7で反射され、対物レンズ5、コリメータレンズ4、ビームスプリッタ4を通過して戻る光ビーム2を2つの半円光束に分割する機能とこの2つの半円光束を互いに異なる距離に収束させる機能とを有する分光光学素子、9は収束した半円光束を受光する受光領域を有する光検知器である。
【0008】
分光光学素子8は段差の付いた反射面を持つ段差付きミラーであり、12はその段差境界部である。この段差付きミラー8は、光ディスク7から反射された光ビーム2が対物レンズ5、コリメータレンズ4、及びビームスプリッタ4を通過し、収束する途中の位置に、段差境界部12が光ビーム2の中心と一致するように配置される。これにより、光ビーム2は2つの半円光束として空間的に分離・分割される。10は分離・分割された第1の半円光束、11は第2の半円光束であり、f1は第1の半円光束10の焦点、f2は第2の半円光束11の焦点である。段差により生じる光路差により焦点f2は、段差付きミラー8から見て焦点f1より手前に位置する。光検知器9は焦点f1とf2のほぼ中間に配置される。
【0009】
図13は、図12に示したy−z平面に垂直な光検知器9の受光面を、段差付きミラー8から見たときの受光領域パターンと該受光領域上の半円光束パターンを示す図であり、(a)〜(e)は光スポット6と光ディスク7とのずれ(焦点誤差)距離に応じて半円光束パターンの大きさ及び向きが変化する様子を示している。
【0010】
光検知器9は2つの受光領域群16a及び16bを備える。受光領域群16aは内側受光領域C1と外側受光領域A1,B1とが並置されてなり、受光領域群16bは内側受光領域C2と外側受光領域A2,B2とが並置されてなる。図12における第1の半円光束10、第2の半円光束11はそれぞれ図13の半円光束13a,13bに対応するものであり、それぞれ受光領域群16a,16bに受光される。
【0011】
この構成において、焦点誤差検出信号FESは演算式FES=(A1+B1+C2)−(A2+B2+C1)で求められる。尚、演算式中のA1,B1,C1及びA2,B2,C2は、内側受光領域A1,B1,C1及び外側受光領域A2,B2,C2の各領域の受光量に比例する電気出力を表している。
【0012】
光検出器9の受光面は図13のx−y面に平行であり、光ディスク7と光スポット6とが合焦状態にあるとき、図13(c)のように半円光束13a,13bの直線部分(直径部分)が各受光領域を互いに分割する線に対してそれぞれ垂直になるように、且つ演算された焦点誤差検出信号の値が0となるように配置される。以下に、上記構成の光ヘッド装置の動作を説明する。
【0013】
光ディスク7が光スポット6との合焦位置から外れ、対物レンズ5に近づくと、図12の焦点f1及びf2は右側(+z方向)に移動する。このとき焦点f2は受光面に近づくので図13(d)のように半円光束13bは次第に小さくなって行き、一方、焦点f1は受光面から遠ざかるので半円光束13aは逆に次第に大きくなって行く。このとき焦点誤差検出信号FES=(A1+B1+C2)−(A2+B2+C1)は正の値になる。
【0014】
更に光ディスク7が対物レンズに近づくと、半円光束13bが受光領域C2内に全て入り、その面積は最小になる。図14は上記構成を有する光ヘッド装置における焦点ずれと焦点誤差検出信号の値との関係を計算により求め、出力特性曲線として図示したものである。半円光束13bの面積が最小になる状態は光ヘッド装置が出力する焦点誤差検出信号の値が最大になるピークP1に相当する。この状態から更に焦点ずれが大きくなり、焦点f2が受光面を超えると図13(e)のように半円光束13bの向きが反転し、逆にその面積は大きくなって行く。このとき内側受光領域C2から半円光束13bがはみ出し、その分、上記演算式においてA2及びB2の値が増加して行くので焦点誤差検出信号はP1から次第に減少して行く。
【0015】
光ディスク7が光スポット6との合焦位置から外れ、対物レンズ5から遠ざかる場合には、半円光束13a及び半円光束13bは上記変化とは逆の図13(b),(a)に示す変化をたどる。その結果、図14に示すように、光ヘッド装置の焦点誤差検出信号の出力特性は、ピークP1(最大値)とピークP2(最小値)をもつS字状の特性となる。このように光ディスク7と光スポット6とが合焦位置からずれると、焦点ずれの大きさに応じた値を有し、焦点ずれの方向に応じた極性の焦点誤差検出信号が出力されるのでこの誤差検出信号の絶対値が小さくなる方向に対物レンズ5を光軸方向に駆動制御することにより、合焦状態を維持できる。しかし、上に説明した従来の光ヘッド装置には以下に説明する問題がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、図13の(e)のようにピークP1の位置を越える大きな焦点ずれが生じた場合には、焦点誤差検出信号はP1から次第に減少し、受光領域A1,B1及びC2の受光量の和よりも受光領域A2,B2及びC1の受光量の和が大きくなった時点で極性が正から負に変わり、その後再度増加する折り返し点R1が存在する。また、これと同様に、焦点ずれがピークP2を越えた場合にも、焦点誤差検出信号はP2から次第に増加し受光領域A2,B2及びC1の受光量の和よりも受光領域A1,B1及びC2の受光量の和が大きくなった時点で極性が負から正に変わり、その後再度減少する折り返し点R2が存在する。
【0017】
基板の厚みが異なる光ディスクや多層記録面を有する光ディスクに対し互換性を持つ光ディスク装置では記録・再生の前に光ディスクの種類判別を行うが、種類判別は、一般に光ヘッド装置の焦点誤差検出信号の出力特性曲線における極大・極小点の数やその位置、振幅レベルに基づいて行なう。そのため、極大・極小点として焦点誤差検出信号が最大または最小となるピーク点P1、P2以外に上述の折り返し点R1、R2が存在する場合には、光ディスクの種類の誤判別が生じ易いという問題がある。また誤判別を防止しようとすると装置の構成が複雑化し、コストが上昇するという別の問題が発生する。
【0018】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、光ヘッド装置の焦点誤差検出信号の出力特性に折り返し点が現れないようにし、光ディスクの種類判別の信頼性を高めることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明は、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を第1及び第2の半円光束に分割するとともに異なる焦点距離に分離してそれぞれ収束させる分光光学素子と、前記第1及び第2の半円光束の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置において、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々はそれぞれ第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の両側に隣接し前記第1の方向にそれぞれ伸びる2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる分割線によりそれぞれ外側上部受光領域と外側下部受光領域とに2分割され、
前記光検知器は、前記分割線が前記第1または第2の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第2の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第1の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第2の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第1の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第1の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分と、前記第2の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成すべく、請求項4に記載の発明は、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を2つの半円光束に分割するとともに異なる焦点距離に分離してそれぞれ収束させる分光光学素子と、前記第1及び第2の半円光束の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置において、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々は第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の上部の両側に隣接する2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域の下端は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる分割線にそって伸び、
前記光検知器は、前記分割線が前記第1または第2の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1の受光領域群の2つの外側受光領域と前記第2の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第2の受光領域群の2つの外側受光領域と前記第1の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
上記目的を達成すべく、請求項6に記載の発明は、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を2つの半円光束に分割するとともに、該2つの半円光束の一方を相異なる第1及び第2の焦点距離に互いに分離された第1及び第2の半円光束として収束させ、該2つの半円光束の他方を前記第1及び第2の焦点距離に互いに分離された第3及び第4の半円光束として収束させる分光光学素子と、前記第1、第2、第3、及び第4の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置において、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群と前記第3の半円光束を受光する第3の受光領域群と前記第4の半円光束を受光する第4の受光領域群とをその受光面に有し、該第1、第2、第3、及び第4の受光領域群の各々は第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の両側に隣接し前記第1の方向にそれぞれ伸びる2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる分割線によりそれぞれ外側上部受光領域と外側下部受光領域とに2分割され、
前記光検知器は、前記分割線が前記第1、第2、第3、または第4の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第1の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力と前記第4の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第4の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第3の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力と前記第3の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
上記目的を達成すべく、請求項8に記載の発明は、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を2つの半円光束に分割するとともに、該2つの半円光束の一方を相異なる焦点距離に互いに分離された第1及び第2の半円光束として収束させ、該2つの半円光束の他方を前記第1及び第2の焦点距離に互いに分離された第3及び第4の半円光束として収束させる分光光学素子と、前記第1、第2、第3、及び第4の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置において、
前記光検知器は前記第1及び第3の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2及び第4の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々は第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の両側に隣接し前記第1の方向にそれぞれ伸びる2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる2つの平行な分割線によりそれぞれ外側上部受光領域と外側中部受光領域と外側下部受光領域とに3分割され、
前記光検知器は、前記2つの分割線が前記第1、第2、第3、または第4の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記第1の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記第1の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第1の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力の差分と、前記第1の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力の差分と、前記第2の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分とに基づいて、前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
上記目的を達成すべく、請求項11に記載の発明は、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を第1及び第2の半円光束に分割するとともに、相異なる焦点距離に分離してそれぞれ収束させる分光光学素子と、前記第1及び第2の半円光束の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置において、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々はそれぞれ第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の一方の側に隣接する第1の外側受光領域と、該内側受光領域の他方の側に隣接する第2の外側受光領域とを有し、前記第1の外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる第1の分割線により第1の外側上部受光領域と第1の外側下部受光領域とに2分割され、前記第2の外側受光領域は前記第1の分割線により第2の外側上部受光領域と第2の外側下部受光領域とに2分割され、前記内側受光領域は前記第1の分割線と前記第1の方向に平行な第2の分割線とにより前記第1の外側上部受光領域に隣接する第1の内側上部受光領域と、前記第1の外側下部受光領域に隣接する第1の内側下部受光領域と、前記第2の外側上部受光領域に隣接する第2の内側上部受光領域と、前記第2の外側下部受光領域に隣接する第2の内側下部受光領域とに4分割され、
前記光検知器は、前記第1の分割線が前記第1または第2の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする。
【0030】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記第1の受光領域群の前記第1及び第2の外側上部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の前記第1及び第2の内側上部受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の前記第1及び第2の外側上部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の前記第1及び第2の内側上部受光領域の電気出力との和に基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の発明において、前記第1の受光領域群の前記第1の内側上部受光領域及び前記第1の外側上部受光領域の電気出力の和の位相と、前記第1の受光領域群の前記第2の内側上部受光領域及び前記第2の外側上部受光領域の電気出力の和の位相と、前記第2の受光領域群の前記第1の内側上部受光領域及び前記第1の外側上部受光領域の電気出力の和の位相と、前記第2の受光領域群の前記第2の内側上部受光領域及び前記第2の外側上部受光領域の電気出力の和の位相とからトラッキング制御信号を生成する手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0032】
請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載の発明において、前記分光光学素子はホログラム回折素子からなることを特徴とする。
【0033】
請求項15に記載の光ディスク装置は、請求項1から14のいずれか一項に記載の光ヘッド装置を有することを特徴とする。
【0034】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、前記第2の方向を情報媒体の記録ピット列の方向に一致させることを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す図である。同図において図12に示した要素と同じ要素には同じ符号を付している。即ち、1は光源である半導体レーザ、2は半導体レーザ1から出射される光ビーム、3はビームスプリッタ、4はビームスプリッタ3からの光ビーム2を平行光束に変換するコリメータレンズ、7は光ディスク、5は光ビーム2を光ディスク7に光スポット6として集光させる対物レンズ、8は光ディスク7で反射され、対物レンズ5、コリメータレンズ4、ビームスプリッタ4を通過して戻る光ビーム2を2つの半円光束に分割する機能とこの2つの半円光束を互いに異なる距離に収束させる機能とを有する分光光学素子、9は収束した半円光束を受光する受光領域を有する光検知器である。
【0036】
分光光学素子8は段差の付いた反射面をもつ段差付きミラーであり、12はその段差境界部である。この段差付きミラー8は、光ディスク7から反射された光ビーム2が対物レンズ5、コリメーターレンズ4、及びビームスプリッタ4を通過し、収束する途中の位置に、段差境界部12が光ビーム2の中心と一致するように配置される。これにより光ビーム2は2つの半円光束に空間的に分割される。10は分離分割された第1の半円光束、11は第2の半円光束であり、f1は第1の半円光束の焦点、f2は第2の半円光束の焦点である。段差により生じる光路差により焦点f2は、段差付きミラー8から見て焦点f1の手前にある。光検知器9は焦点f1とf2のほぼ中間の位置に配置される。
【0037】
図2は、図1に示したy−z平面に垂直な光検知器9の受光面を、段差付きミラー8から見たときの受光領域パターン及び受光領域上の半円光束パターンを示す図であり、図2の(a)〜(e)は光スポット6と光ディスク7とのずれ(焦点誤差)に応じて半円光束パターンの大きさ及び向きが変化する様子を示している。
【0038】
光検知器9は2つの受光領域群16a及び16bを備える。受光領域群16aは中央に配置される長方形の内側受光領域E1と、該内側受光領域E1上部の両側に隣接する外側受光領域A1及びB1と、内側受光領域E1下部の両側に隣接する外側受光領域D1及びC1とからなる。外側受光領域B1及びC1と外側受光領域A1及びD1とは、分割線14によりそれぞれ互いに分離されている。受光領域群16bは中央に配置される長方形の内側受光領域E2と、該内側受光領域E2上部の両側に隣接する外側受光領域A2及びB2と、内側受光領域E2下部の両側に隣接する外側受光領域D2及びC2とからなる。外側受光領域B2及びC2と外側受光領域A2及びD2とは、分割線14によりそれぞれ互いに分離されている。図1における第1の半円光束10、第2の半円光束11はそれぞれ図2の半円光束13a,13bに対応するものであり、それぞれ受光領域群16a,16bに受光される。
【0039】
この構成において、焦点誤差検出信号FESは演算式FES=(A1+B1+E2)−(A2+B2+E1)で求めることができる。光検出器9の受光面は図2のx−y面に平行であり、光ディスク7と光スポット6とが合焦状態にあるとき、図2(c)のように半円光束13a,13bの直線部分(直径部分)が分割線14と一致し、かつ演算された焦点誤差検出信号の値が0となるように配置される。以下に、上記構成の光ヘッド装置の動作を説明する。
【0040】
光ディスク7が光スポット6との合焦位置から外れ、対物レンズ5に近づくと、図1の焦点f1及びf2は右側(+z方向)に移動する。このとき焦点f2は受光面に近づくので図2(d)のように半円光束13bは次第に小さくなって行き、一方、焦点f1は受光面から遠ざかるので半円光束13aの半径は逆に次第に大きくなって行く。このとき焦点誤差検出信号FES=(A1+B1+E2)−(A2+B2+E1)は正の値になる。
【0041】
更に光ディスク7が対物レンズに近づくと、半円光束13bが受光領域E2内に全て入り、その面積は最小になる。図3は上記構成を有する光ヘッド装置における焦点ずれと焦点誤差検出信号の値との間の関係を計算により求め、出力特性曲線として図示したものである。半円光束13bの面積が最小になる状態は光ヘッド装置が出力する焦点誤差検出信号の値が最大になるピークP1に相当する。この状態から更に焦点ずれが大きくなり、焦点f2が受光面を超えると図2(e)のように半円光束13bの向きが反転し、逆にその面積は大きくなって行く。このとき内側受光領域E2から半円光束13bがはみ出し、その分、上記演算式においてA2及びB2の値が増加して行くので焦点誤差検出信号はP1から次第に減少して行く。
【0042】
光ディスク7が光スポット6との合焦位置から外れ、対物レンズ5から遠ざかる場合には、半円光束13a及び半円光束13bは上記変化とは逆の図2(b),(a)に示す変化をたどる。その結果、図3に示すように、光ヘッド装置の焦点誤差検出信号の出力特性は、ピークP1(最大値)とピークP2(最小値)をもつS字状の特性となる。このように光ディスク7と光スポット6とが合焦位置からずれると、焦点ずれの大きさに応じた値を有し、焦点ずれの方向に応じた極性の焦点誤差検出信号が出力されるのでこの誤差検出信号の絶対値が小さくなる方向に対物レンズ5を光軸方向に駆動制御することにより、合焦状態を維持できる。次に従来の光ヘッド装置の欠点、つまり、出力特性に折り返し点が発生するという問題が本実施の形態では解消される理由について説明する。
【0043】
図2の(a)は光ディスク7が対物レンズ5から遠ざかる方向に大きくずれている状態に対応している。即ち図2(a)は半円光束13aが一旦最小となった後に再び大きくなり、外側受光領域であるC1,D1にはみ出している状態を示している。
【0044】
上記演算式から明らかなように、本実施形態では、外側受光領域C1,D1の出力は焦点誤差検出信号の算出には影響を及ぼさない。従って、光ディスク7が対物レンズ5から遠ざかる方向に大きくずれ、負の値であった焦点誤差検出信号が増加して正の値となり、その後再び減少すること、即ち折り返し点が発生することはない。本実施形態では、光ディスク7が対物レンズ5から遠ざかる方向にずれて行くとき、焦点誤差検出信号はピーク点P2まで減少するが、その後はゼロに漸近するように単調に増加して行く。
【0045】
同様に、外側受光領域C2,D2の出力も焦点誤差検出信号の算出には影響を及ぼさない。従って、光ディスク7が対物レンズ5に近づく方向に大きくずれ、正の値であった焦点誤差検出信号が減少して負の値となり、その後再び増加すること、即ち折り返し点が発生することはない。本実施形態では、光ディスク7が対物レンズ5に近づく方向にずれていくとき、焦点誤差検出信号はピーク点P1まで増加するが、その後はゼロに漸近するように単調に減少して行く。本実施形態では、従来の光ヘッド装置とは異なり、その出力特性には折り返し点が存在しないので、光ディスクの種類の誤判別が防止される。
【0046】
また、本実施形態では、光検知器9を図2のx−y平面のy軸方向に面内調整する際、外側受光領域C1,D1,C2,D2のそれぞれからの出力信号の値を調べ、それらが0であることを確認することにより、半円光束13a,13bの直線部分(直径部分)を分割線14に正確に一致させることができる。尚、光検知器9の各受光領域からそれぞれ出力される信号に基づく焦点誤差検出信号の演算は、光ヘッド装置の外部に設けた演算回路で行ってもよく、光検知器9の内部に演算回路を設け、光検知器9内部で行ってもよい。
【0047】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る光ヘッド装置について説明する。実施の形態2の光学系の構成及び光検出器の構成は、図1及び図2で説明した実施の形態1と同じであるが、受光領域C1,D1及び受光領域C2,D2の出力を焦点誤差検出信号の演算に含め、例えば、FES=(A1+B1+E2)−(A2+B2+E1)−(C1−D1)−(C2−D2)なる演算を用いる点で実施の形態1と異なる。
【0048】
図2(a)又は(e)に示すように、光スポット6と光ディスク7とが大きな焦点ずれを起こした状態においては、受光領域C1,D1又はC2,D2からそれぞれ信号が出力されてしまうが、上記の演算式によれば第3項によりC1とD1とが相殺され、第4項によりC2とD2とが相殺されるので、受光領域C1,D1及びC2,D2からの出力信号の影響はなくなり、光ヘッド装置の出力特性に折り返し点が発生することはない。
【0049】
また、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様、光検知器9を図2のx−y平面のy軸方向に面内調整する際、外側受光領域C1,D1,C2,D2のそれぞれからの出力信号の値を調べ、それらが0であることを確認することにより、半円光束13a,13bの直線部分(直径部分)を分割線14に正確に一致させることができる。本実施の形態においても、光検知器9の各受光領域からそれぞれ出力される信号に基づく焦点誤差検出信号の演算は、光ヘッド装置の外部に設けた演算回路で行ってもよく、光検知器9の内部に演算回路を設け、光検知器9内部で行ってもよい。
【0050】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る光ヘッド装置について説明する。本実施の形態の光学系の構成は図1に示した実施の形態1と同じである。図4に本実施の形態3で用いる光検知器9の受光領域パターンと受光領域上の半円光束パターンを示す。図4の(a)〜(e)は光スポット6と光ディスク7とのずれ(焦点誤差)に応じて半円光束パターンの大きさ及び向きが変化する様子を示している。
【0051】
光検知器9は2つの受光領域群16aと16bとを有する。受光領域群16aは内側受光領域C1と、該内側受光領域C1の両側に隣接する外側受光領域A1,B1とからなる。外側受光領域A1,B1は内側受光領域C1よりx−y平面のy軸方向に短く、これらの受光領域は中央部分が下方(−y方向)突き出た凸形の形状の領域を構成する。受光領域群16bは内側受光領域C2と、該内側受光領域C2の両側に隣接する外側受光領域A2,B2とからなる。外側受光領域A2,B2は内側受光領域C2よりx−y平面のy軸方向に短く、これらの受光領域は中央部分が下方(−y方向)に突き出た凸形の形状の領域を構成する。図4(c)の15は、突出部分がx−y平面の−y方向を向く凸形形状の領域の外形線を示している。尚、本実施の形態において、一方だけを凸型とし、他方を凹型としてもよい。
【0052】
図4に示した受光領域パターンは、実施の形態1で説明した図2の受光領域パターンから受光領域C1,C2,D1,D2を取り除いたものと同じと考えることができる。図1の第1の半円光束10及び第2の半円光束光11は図4に示す光検知器上の半円光束13a及び13bに対応し、それぞれ受光領域群16a,16bに受光される。本実施の形態3においても、焦点誤差検出信号FESは実施の形態1の場合と同様、FES=(A1+B1+C2)−(A2+B2+C1)の演算式から求められる。
【0053】
対物レンズ5により集光される光スポット6と光ディスク7とが合焦状態にあるとき、図4(c)に示すように半円光束13a及び13bの直線部(直径部)がそれぞれ受光領域A1,B1,C1及びA2,B2,C2の並置方向に平行に伸び、且つ外側受光領域A1,B1及びB2,C2の外形線15に重なるように光検知器9を配置するとともに、上記焦点誤差検出信号の演算結果が0となるように光検知器9のx,y,z方向の位置を調整する。以下に、本実施の形態3の光ヘッド装置の動作を説明する。
【0054】
実施の形態1で説明したように、光ディスク7と光スポット6とが合焦位置から外れ、大きな焦点ずれが起きた場合、受光領域群16a,16b上の半円光束13a,13bのどちらかの面積が最小となった後に半円の向きが反転し、さらに焦点ずれが大きくなると図4(a)又は(e)に示すようにその面積は再び大きくなって行く。
【0055】
しかし、本実施の形態3では、内側受光領域C1またはC2からはみ出した半円光束13aまたは13bは受光領域の無い部分に広がっていくため受光されることはなく、焦点誤差検出信号の演算にも寄与しないので、従来の光ヘッド装置に現れる折り返しは発生しない。
【0056】
実施の形態1及び実施の形態2では光検知器9の受光領域の数は10であるが、本実施の形態3では図4に示すように光検知器9の受光領域の数は6であり、形成すべき受光領域数を減らすことができる。尚、本実施の形態3においても、光検知器9の各受光領域からそれぞれ出力される信号に基づく焦点誤差検出信号の演算は、光ヘッド装置の外部に設けた演算回路で行ってもよく、光検知器9の内部に演算回路を設け、光検知器9内部で行ってもよい。
【0057】
実施の形態4.
次に、本発明の第4の実施の形態に係る光ヘッド装置について説明する。図5に実施の形態4の光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す。図5において、図1に示した要素と同じまたは対応する要素には同じ符号を付している。
【0058】
図5において、17は光ディスク7から反射される光ビーム2を2つの半円光束に分割する機能及び分割された2つの半円光束を異なる距離に収束させる機能を有するホログラム回折素子である。ホログラム回折素子17は光ビーム2の光軸が通る境界線18を有し、この境界線18の両側には異なるホログラムパターンが形成されている。光ディスク7から反射され、ホログラム回折素子17を透過した光ビーム2は第1の半円光束10と第2の半円光束11とに空間的に分割され、異なる焦点距離に収束される。第1の半円光束10の焦点はf1、第2の半円光束11の焦点はf2であり、焦点f2はホログラム回折素子17から見て焦点f1の手前にある。光検知器9は焦点f1とf2のほぼ中間の位置に配置される。
【0059】
本実施の形態4は、実施の形態1〜3で用いた段差付きミラー8をホログラム回折素子17で置き換えた構成となっており、光検知器9の受光領域パターンは、実施の形態1〜3で用いた受光領域パターンのいずれであってもよい。段差付きミラー8に比べてホログラム回折素子は作製が比較的容易であり低コスト化が図れる。
【0060】
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る光ヘッド装置について説明する。図6は、実施の形態5の光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す図である。同図において、図5に示した要素と同じあるいは対応する要素には同じ符号を付している。
図6において、20は、ホログラム回折素子17及び光検知器9を含む光路系である。ホログラム回折素子17は光ディスク7から反射される光ビーム2を4つの半円光束に分割して回折させる機能及びこれらの4つの半円光束を異なる距離に収束させる機能を有する。
【0061】
図7に光路系20を拡大して示す。光ディスク7で反射された光ビーム2がコリメータレンズ4により収束され、ホログラム回折素子17を透過して4つの半円光束に回折される様子を示している。ホログラム回折素子17は光ビーム2の光軸が通る境界線18を有し、境界線18の両側にはホログラムパターンの異なる2つのホログラム領域21aとホログラム領域21bが形成されている。これらのホログラム領域を透過する光ビーム2は4つの半円光束19a,19b,19c,19dに回折され、そのうち19b,19dは焦点f2に、19a,19cは焦点f1に収束される。ホログラム回折素子17から見て焦点f2は焦点f1より手前にあり、光検知器9は焦点f1とf2のほぼ中間の位置に配置される。
【0062】
図8に本実施の形態5において、光検知器9の受光領域パターン及び受光領域上の半円光束パターンを示す。図8の(a)〜(e)は光ディスク7と光スポット6との間の焦点ずれの大きさ応じて半円光束パターンの大きさ及び向きが変化する様子を示す図であり、図8(c)は合焦時、図8(b)は光ディスクが対物レンズから遠ざかった場合、図8(a)は光ディスクが対物レンズから更に遠ざかった場合、図8(d)は光ディスクが対物レンズに近づいた場合、図8(a)は光ディスクが対物レンズに更に近づいた場合をそれぞれ示している。
【0063】
光検知器9は4つの受光領域群16a,16b,16c,16dを有する。各受光領域群はそれぞれ5つの領域に分割され、4つの外側受光領域と1つの内側受光領域とから構成されている。例えば受光領域群16aは、図8(c)に示すように中央に配置される長方形の内側受光領域E1と、この内側受光領域E1の一方の側に隣接して配置された外側受光領域A1,D1と、内側受光領域E1の他方の側に隣接して配置された外側受光領域B1,C1とから構成される。外側受光領域A1とD1及び外側受光領域B1とC1はx軸に平行な分割線14によりそれぞれ互いに分離されている。他の受光領域群16b,16c,16dも受光領域群16aと同じ構成であるので説明は省略する。本実施の形態5は、図2に示した実施の形態1で用いられる受光領域群16aまたは16bと同じものを4つ用いた構成であると考えることができる。
【0064】
図8の半円光束13a,13b,13c,13dはそれぞれホログラム回折素子17で回折される半円光束19a,19b,19c,19dに対応した光検知器9上での半円光束パターンであり、それぞれ受光領域群16a,16b,16c,16dにより受光される。ホログラム領域21aを透過した半円光束13cと13dはそれぞれf1,f2の互いに異なる焦点を持ち、ホログラム領域21bを透過した半円光束13aと13bはそれぞれ上記f1,f2の焦点を持つ。本実施の形態5では、ホログラム領域21aまたはホログラム領域21bを透過し、焦点f1またはf2を持つ合計4つの半円光束19a,19b,19c,19dに基づいて焦点誤差検出信号を生成する。
【0065】
光検知器9は、光ディスク7と光スポット6とが合焦状態にあるとき、図8(c)に示すように半円光束13a,13b,13c,13dの直線部(直径部)が分割線14に一致するように配置され、且つ各受光領域群において2つの外側受光領域から得られる出力信号の和が中央の内側受光領域から得られる出力信号に等しくなるように、即ち、受光領域群16aにおいては(C1+D1)−E1、受光領域群16bにおいては(A2+B2)−E2、受光領域群16cにおいては(A3+B3)−E3、受光領域群16dにおいては(C4+D4)−E4なる演算結果がすべて0になるようにそのx,y,z方向の位置が調整される。尚、上記4つの演算結果の和が0になるように光検知器9のx,y,z方向の位置を調整するようにしてもよい。以下に上記構成の光ヘッド装置の動作を説明する。
【0066】
光ディスク7が対物レンズ5に近づく方向に変位し、光ディスク7と光スポット6との間に焦点ずれが起きると、焦点f2は光検知器9の受光面に近づくのでホログラム領域21aを透過した半円光束13dとホログラム領域21bを透過した半円光束13bの面積はともに小さくなり、一方、焦点f1は光検知器9の受光面から遠ざかるのでホログラム領域21aを透過した半円光束13cとホログラム領域21bを透過した半円光束13aの面積はともに大きくなる。光ディスク7の対物レンズ5から遠ざかる方向への変位により焦点ずれが起きる場合はこれと逆の変化となる。
【0067】
4つの受光領域群16a,16b,16c,16dのうち、受光領域群16bと16cの2つに着目すると、光ディスク7と光スポット6との間の焦点ずれに対する、光検知器9の受光面上の2つの半円光束の大きさ及び向きの変化は実施の形態1で説明した2つの半円光束の変化と全く同じであり、焦点誤差検出信号の演算式をFES_bc=(A3+B3+E2)−(A2+B2+E3)とすれば、実施の形態1で得られた図3に示す折り返しがない出力特性が得られる。
また、受光領域群16a,16dの2つに着目すると、焦点誤差検出信号の演算式をFES_ad=(C1+D1+E4)−(C4+D4+E1)とすれば、上記同様折り返しのない出力特性が得られる。本実施の形態5では、焦点誤差検出信号を上記の2つの演算式の合成であるFES=FES_ad+FES_bcから演算するが、この場合にも折り返しのない出力特性が得られることは説明するまでもない。
【0068】
焦点誤差検出信号を上記合成演算式FES=FES_ad+FES_bcから演算することにより、本実施の形態5は更に次に述べる効果を有する。対物レンズ5又はホログラム回折素子17がy軸方向に位置ずれを起こし、境界線18により分割される半円光束13a,13b,13c,13dの光量がアンバランスになった場合を考える。図9にこの場合の光検知器9の受光面における半円光束パターンの一例を示す。ただし、光ディスク7と光スポット6とは合焦状態にあるものとする。
【0069】
同じホログラム領域21bを透過した半円光束13a及び13bと、同じホログラム領域21aを透過してきた半円光束13c及び13dとには、対物レンズ5又はホログラム回折素子14のy軸方向への位置ずれに起因する光量アンバランスの影響が同じように現れる。従って、ホログラム領域21aに光量分布が片寄った場合には、図9に示したように半円光束13cと13dの光量が増え、演算式FES_ad及び演算式FES_bcの演算結果には同じ大きさのオフセットが発生する。しかし、オフセットは演算式FES_bcでは負の極性、演算式FES_adでは正の極性であり、合成演算FES=FES_ad+FES_bcの演算結果においては互いにキャンセルされるので、焦点誤差検出信号にはオフセットは現れない。即ち、焦点誤差検出信号を合成演算式FES=FES_ad+FES_bcから求める本実施の形態の5では、焦点誤差検出信号は対物レンズ5又はホログラム回折素子17のy軸方向への位置ずれによる影響を受けないという利点を有する。
【0070】
本実施の形態5において、実施の形態2と同様、外側受光領域A1とB1の差分、外側受光領域A4とB4の差分、外側受光領域C2とD2の差分、及び外側受光領域C3とD3の差分を用いることにより、半円光束が最小になった後に再度大きくなり外側領域にはみ出す分を相殺することによって折り返し点をなくすようにしてもよい。この場合、例えば、FES_bc=(A3+B3+E2)−(A2+B2+E3)−(C3−D3)−(C2−D2)、及びFES_ad=(C1+D1+E4)−(C4+D4+E1)−(A1−B1)−(A4−B4)とし、合成演算式FES_ad+FES_bcから焦点誤差検出信号を得るようにすればよい。
【0071】
また、実施の形態3と同様、外側受光領域A1,B1,A4,B4とC2,D2,C3,D3とを削除したような受光領域パターンを用いることによっても、折り返し点をなくすことができる。尚、光検知器9の各受光領域からそれぞれ出力される信号に基づく焦点誤差検出信号の演算は、光ヘッド装置の外部に設けた演算回路で行ってもよく、光検知器9の内部に演算回路を設け、光検知器9内部で行ってもよい。
【0072】
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6に係る光ヘッド装置について説明する。本実施の形態6の光ヘッド装置の光学系の基本構成は、図6及び図7に示した実施の形態5と同じである。
【0073】
図10に本実施の形態6で用いる光検知器9の受光領域のパターンと該受光領域上の半円光束パターンとを示す。光検知器9は2つの受光領域群16a,16bを有する。受光領域群16aは、長方形の内側受光領域C1と、内側受光領域C1の一方の側に隣接し、分割線14により3分割された外側受光領域A1,D1,G1と、内側受光領域C1の他方の側に隣接し、分割線14により3分割された外側受光領域B1,E1,F1とから構成される。受光領域群16bは、長方形の内側受光領域C2と、内側受光領域C2の一方の側に隣接し、分割線14により3分割された外側受光領域A2,D2,G2と、内側受光領域C2の他方の側に隣接し、分割線14により3分割された外側受光領域B2,E2,F2とから構成される。
【0074】
半円光束13a,13b,13c,13dはそれぞれ、図7の半円光束19a,19b,19c,19dに対応した光検知器9上の半円光束パターンである。受光領域A1,B1,A2,B2のy軸方向の長さは半円光束13aと13c、又は半円光束13bと13dとが互い重なり合わないような長さである。図10に示した受光領域パターンは、図8に示した実施の形態5の受光領域パターンにおいて、焦点誤差検出信号の演算の際に出力が同じ極性となる受光領域E1とE3、D1とA3、C1とB3、E4とE2、D4とA2、C4とB2をそれぞれ一体化したものと考えることができ、受光領域パターンの構成が簡素化されている。従って、本実施の形態6では、焦点誤差検出信号の演算式FES=(A1+B1+C2)−(A2+B2+C1)となる。
【0075】
光検知器9は、光ディスク7と光スポット6とが合焦状態にあるとき、図10(b)に示すよう半円光束13a,13b,13c,13dの直線部(直径部)が受光領域群の分割線14にそれぞれ一致するように配置され、且つ上記焦点誤差検出信号の演算結果が0になるようにそのx,y,z方向位置が調整される。以下に、上記構成の実施の形態6の動作を説明する。
【0076】
図10の(a)と(c)はそれぞれ光ディスク7が対物レンズ5から遠ざかる方向、および近づく方向に変位することにより焦点ずれが起きたときの半円光束の形状を示しており、これら半円光束13a,13b,13c,13dの変化の様子は実施の形態5の場合と同じである。
【0077】
光ディスク7が光スポット6に関し、対物レンズ5に近づく方向に変位することにより焦点ずれが起きると、ホログラム領域21aを透過した半円光束13d及びホログラム領域21bを透過した半円光束13bは小さくなり、一方、ホログラム領域21aを透過した半円光束13c及びホログラム領域21bを透過した半円光束13aは大きくなる。光ディスク7が光スポット6に関し、対物レンズ5から遠ざかる方向に変位して焦点ずれが起きる場合は上記と逆の変化となる。
【0078】
本実施の形態6では、実施の形態2と同様に各受光領域群の四隅にある受光領域D1とE1、F1とG1、D2とE2、F2とG2の各組がそれぞれ出力を相殺するような演算式、例えば、FES=(A1+B1+C2)−(A2+B2+C1)−(D1−E1)−(G1−F1)−(D2−E2)−(G2−F2)から焦点誤差検出信号を得るようにする。
【0079】
本実施の形態6において、各受光領域群の四隅の受光領域D1,E1,F1,G1,D2,E2,F2,G2を削除してもよい。この場合、焦点誤差検出信号の演算式はFES=(A1+B1+C2)−(A2+B2+C1)となる。この構成にすることにより、受光領域の数を合計14から6に減らすことができる。
【0080】
本実施の形態6は、実施の形態5と同様、4つの半円光束から焦点誤差検出信号を生成するので、対物レンズ5又はホログラム回折素子17にy軸方向への位置ずれが発生しても焦点誤差検出信号はその影響を受けないという利点を有する。
【0081】
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7に係る光ヘッド装置について説明する。本実施の形態7の光学系の構成は図1に示した実施の形態1、又は図5に示した実施の形態4と同じである。図11に本実施の形態7の光検知器9の受光領域のパターンと受光領域上の半円光束パターンを示す。尚、図11に示した受光面パターンは実施の形態1〜5にも適応可能である。
【0082】
光検知器9は2つの受光領域群16a及び16bを有する。受光領域群16aは分割線14とこれに垂直な方向に伸びる分割線とにより4分割された内側受光領域E1,F1,H1,G1と、その一方の側に隣接し、分割線14により2分割された外側受光領域A1,D1と、その他方の側に隣接し、分割線14により2分割された外側受光領域B1,C1とから構成される。受光領域群16bは分割線14とこれに垂直な方向に伸びる分割線とにより4分割された内側受光領域E2,F2,H2,G2と、その一方の側に隣接し、分割線14により2分割された外側受光領域A2,D2と、その他方の側に隣接し、分割線14により2分割された外側受光領域B2,C2とから構成される。
【0083】
この光検知器9の受光領域パターンは、図2に示した実施の形態1及び実施の形態2の光検知器の受光領域パターンにおいて内側受光領域を4分割したものであり、この4分割された領域の出力を1つにまとめた場合には、実施の形態1及び実施の形態2と全く同じと考えることができる。半円光束13a,13bは図1または図5に示した第1の半円光束10と第2の半円光束光11に対応しており、それぞれ受光領域群16a,16bにより受光される。
【0084】
図11は、光スポット6が光ディスク7面に合焦している状態を示しており、光検知器9はこの状態において半円光束13a,13bの直線部(直径部)が分割線14に平行且つ一致するように配置され、且つ(A1+B1+(E2+F2+G2+H2))−(A2+B2+(E1+F1+G1+H1))、又は(A1+B1+(E2+F2))−(A2+B2+(E1+F1))の演算結果が0となるようそのx,y,z方向の位置が調整される。
【0085】
この構成において、焦点誤差検出信号の演算式は、例えば、FES=(A1+B1+(E2+F2+G2+H2))−(A2+B2+(E1+F1+G1+H1))、又はFES=(A1+B1+(E2+F2))−((A2+B2+(E1+F1))とすることができる。
【0086】
本実施の形態の7の動作は、実施の形態1及び実施の形態2の動作と同じであり、従って従来の光ヘッド装置に現れる焦点誤差検出信号の出力特性に折り返し点は発生しない。
【0087】
光ディスク装置では、光スポット6を光ディスク7の記録情報のピットパターン列に沿って走査させるために対物レンズ5を光ディスク7の半径方向に駆動制御するが、この駆動制御に必要なトラックずれ検出信号は、例えばプッシュプル法やDPD法(位相差法)により得ることができる。これらの方法によりトラックずれ検出信号を得るためには、光ディスク7から反射される光ビーム2を、光ディスク7上の記録情報ピットパターン列に相当する方向に2分割した半円光束、又は記録情報ピットパターン列に垂直な方向に更に分割した1/4円光束を個々に検出する必要があるが、本実施の形態7において、ホログラム回折素子17のホログラム領域21aとホログラム領域21bとを分ける境界線18の方向及び光検知器9の分割線14の方向を記録情報ピットパターン列の方向に一致させることにより、これらの方法を用いてトラックずれ検出信号を得ることができる。
【0088】
具体的には、受光領域群16a及び受光領域群16bの出力の差分を演算することによりプッシュプル法に基づくトラックずれ検出信号が得られる。また、受光領域(A1+E1)、(B1+F1)、(A2+E2)、及び(B2+F2)の4つの出力信号の位相差を求めればDPD法に基づくトラックずれ検出信号が得られる。また、受光領域E1とG1、受光領域F1とH1、受光領域E2とG2、及び受光領域F2とH2をそれぞれ1つの受光領域にまとめてもトラックずれ検出信号を同様に得ることができる。
【0089】
上記のトラックずれ検出信号の生成方法は、実施の形態1〜5にも適用可能である。その場合、光検知器9の受光領域パターンの内側受光領域をy軸方向に分割し、且つこの分割方向と直交する方向(即ちx軸方向)を光ディスク7上の記録情報ピットパターン列の方向に一致させればよい。
【0090】
尚、本実施の形態7において、光検知器9の各受光領域からそれぞれ出力される信号に基づく焦点誤差検出信号の演算は、光ヘッド装置の外部に設けた演算回路で行ってもよく、光検知器9の内部に演算回路を設け、光検知器9内部で行ってもよい。
【0091】
【発明の効果】
請求項1から3に記載の発明によれば、光ディスクが対物レンズに近づく(遠ざかる)方向にずれていくとき、焦点誤差検出信号はピーク点まで増加(減少)するが、その後はゼロに漸近するように単調に減少(増加)して行く。そのため、従来の光ヘッド装置とは異なり、その出力特性には折り返し点が存在しないので、光ディスクの種類の誤判別が防止されるという効果が得られる。
【0092】
請求項4及び5に記載の発明によれば、請求項1から3に記載の発明の効果に加え、光検知器の受光領域数を減らすことができるという効果が得られる。
【0093】
請求項6及び7に記載の発明によれば、請求項1から3に記載の発明の効果に加え、焦点誤差検出信号に対する対物レンズまたは分光光学素子の位置ずれの影響をなくすことができるという効果が得られる。
【0094】
請求項8から10に記載の発明によれば、請求項6及び7に記載の発明の効果に加え、光検知器の受光領域の数を減らすことができるという効果が得られる。
【0095】
請求項11から13に記載の発明によれば、請求項1から3に記載の発明の効果に加え、トラッキング制御信号を生成できるという効果を有する。
【0096】
請求項14に記載の発明によれば、分光光学素子をホログラム回折素子とすることにより装置の製造コストを低減できるという効果を有する。
【0097】
請求項15及び16に記載の発明によれば、光ディスクの種類の判別の信頼性の高い光ディスク装置が得られるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す図である。
【図2】 実施の形態1のヘッド装置の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンを示す図である。
【図3】 実施の形態1の光ヘッド装置の焦点誤差検出信号の出力特性を計算により求めて図示したグラフである。
【図4】 本発明の実施の形態3の光ヘッド装置の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンを示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態4の光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態5の光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す図である。
【図7】 実施の形態5の光ヘッド装置のホログラム回折素子を含む光路系を拡大して示す図である。
【図8】 実施の形態5の光ヘッド装置の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンを示す図である。
【図9】 実施の形態5の光ヘッド装置において分割光量のアンバランスが生じた場合の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンの変化を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態6の光ヘッド装置の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンを示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態7の光ヘッド装置の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンを示す図である。
【図12】 従来の光ヘッド装置の光学系の基本構成を示す図である。
【図13】 従来の光ヘッド装置の光検知器の受光領域パターンと受光領域上の光束パターンを示す図である。
【図14】 従来の光ヘッド装置の焦点誤差検出信号の出力特性を計算により求めて示したグラフである。
【符号の説明】
1 半導体レーザ、 2 光ビーム、 3 ビームスプリッタ、 4 コリメータレンズ、 5 対物レンズ、 7 光ディスク、 8 分光光学素子、 9光検知器、 10 第1の半円光束、 11 第2の半円光束、 12 段差境界部、 13a,13b,13c,13d 半円光束、 14 分割線、 15 外形線、 16a,16b,16c,16d 受光領域群、 17 ホログラム回折素子、 18 境界線、 19a,19b,19c,19d 半円光束。
Claims (16)
- 光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を第1及び第2の半円光束に分割するとともに異なる焦点距離に分離してそれぞれ収束させる分光光学素子と、前記第1及び第2の半円光束の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置であって、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々はそれぞれ第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の両側に隣接し前記第1の方向にそれぞれ伸びる2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる分割線によりそれぞれ外側上部受光領域と外側下部受光領域とに2分割され、
前記光検知器は、前記分割線が前記第1または第2の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第2の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第1の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド装置。
- 前記第1の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第2の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域と前記第1の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第1の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分と、前記第2の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド装置。
- 光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を2つの半円光束に分割するとともに異なる焦点距離に分離してそれぞれ収束させる分光光学素子と、前記第1及び第2の半円光束の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置であって、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々は第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の上部の両側に隣接する2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域の下端は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる分割線にそって伸び、
前記光検知器は、前記分割線が前記第1または第2の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1の受光領域群の2つの外側受光領域と前記第2の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和と、前記第2の受光領域群の2つの外側受光領域と前記第1の受光領域群の内側受光領域とからそれぞれ出力される電気出力の和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の光ヘッド装置。
- 光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を2つの半円光束に分割するとともに、該2つの半円光束の一方を相異なる第1及び第2の焦点距離に互いに分離された第1及び第2の半円光束として収束させ、該2つの半円光束の他方を前記第1及び第2の焦点距離に互いに分離された第3及び第4の半円光束として収束させる分光光学素子と、前記第1、第2、第3、及び第4の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置であって、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群と前記第3の半円光束を受光する第3の受光領域群と前記第4の半円光束を受光する第4の受光領域群とをその受光面に有し、該第1、第2、第3、及び第4の受光領域群の各々は第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の両側に隣接し前記第1の方向にそれぞれ伸びる2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる分割線によりそれぞれ外側上部受光領域と外側下部受光領域とに2分割され、
前記光検知器は、前記分割線が前記第1、第2、第3、または第4の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力と前記第4の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第4の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第3の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力と前記第3の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の光ヘッド装置。
- 光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を2つの半円光束に分割するとともに、該2つの半円光束の一方を相異なる焦点距離に互いに分離された第1及び第2の半円光束として収束させ、該2つの半円光束の他方を前記第1及び第2の焦点距離に互いに分離された第3及び第4の半円光束として収束させる分光光学素子と、前記第1、第2、第3、及び第4の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置であって、
前記光検知器は前記第1及び第3の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2及び第4の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々は第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の両側に隣接し前記第1の方向にそれぞれ伸びる2つの外側受光領域とを含み、該2つの外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる2つの平行な分割線によりそれぞれ外側上部受光領域と外側中部受光領域と外側下部受光領域とに3分割され、
前記光検知器は、前記2つの分割線が前記第1、第2、第3、または第4の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和とに基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光ヘッド装置。
- 前記第1の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の2つの外側中部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の内側受光領域の電気出力との和と、前記第1の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力の差分と、前記第1の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分と、前記第2の受光領域群の2つの外側上部受光領域の電気出力の差分と、前記第2の受光領域群の2つの外側下部受光領域の電気出力の差分とに基づいて、前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光ヘッド装置。
- 光ビームを放射する光源と、前記光ビームを平行光束に変換するコリメータレンズと、前記平行光束を集光させる対物レンズと、前記対物レンズの焦点近傍に位置する情報媒体で反射され、前記対物レンズ及び前記コリメータレンズを通過して戻る平行光束を第1及び第2の半円光束に分割するとともに、相異なる焦点距離に分離してそれぞれ収束させる分光光学素子と、前記第1及び第2の半円光束の少なくとも一部を受光し、少なくとも前記対物レンズの焦点と前記情報媒体の記録再生面との間のずれを表す焦点誤差検出信号を生成するための電気出力をそれぞれ出力する複数の受光領域を有する光検知器とを備える光ヘッド装置であって、
前記光検知器は前記第1の半円光束を受光する第1の受光領域群と前記第2の半円光束を受光する第2の受光領域群とをその受光面に有し、該第1及び第2の受光領域群の各々はそれぞれ第1の方向に伸びる内側受光領域と、該内側受光領域の一方の側に隣接する第1の外側受光領域と、該内側受光領域の他方の側に隣接する第2の外側受光領域とを有し、前記第1の外側受光領域は前記第1の方向に垂直な第2の方向に伸びる第1の分割線により第1の外側上部受光領域と第1の外側下部受光領域とに2分割され、前記第2の外側受光領域は前記第1の分割線により第2の外側上部受光領域と第2の外側下部受光領域とに2分割され、前記内側受光領域は前記第1の分割線と前記第1の方向に平行な第2の分割線とにより前記第1の外側上部受光領域に隣接する第1の内側上部受光領域と、前記第1の外側下部受光領域に隣接する第1の内側下部受光領域と、前記第2の外側上部受光領域に隣接する第2の内側上部受光領域と、前記第2の外側下部受光領域に隣接する第2の内側下部受光領域とに4分割され、
前記光検知器は、前記第1の分割線が前記第1または第2の半円光束の直径部分と重なるように配置されることを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1の受光領域群の前記第1及び第2の外側上部受光領域の電気出力と前記第2の受光領域群の前記第1及び第2の内側上部受光領域の電気出力との和と、前記第2の受光領域群の前記第1及び第2の外側上部受光領域の電気出力と前記第1の受光領域群の前記第1及び第2の内側上部受光領域の電気出力との和に基づいて前記焦点誤差検出信号を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の光ヘッド装置。
- 前記第1の受光領域群の前記第1の内側上部受光領域及び前記第1の外側上部受光領域の電気出力の和の位相と、前記第1の受光領域群の前記第2の内側上部受光領域及び前記第2の外側上部受光領域の電気出力の和の位相と、前記第2の受光領域群の前記第1の内側上部受光領域及び前記第1の外側上部受光領域の電気出力の和の位相と、前記第2の受光領域群の前記第2の内側上部受光領域及び前記第2の外側上部受光領域の電気出力の和の位相とからトラッキング制御信号を生成する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項11または12に記載の光ヘッド装置。
- 前記分光光学素子はホログラム回折素子からなることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の光ヘッド装置。
- 請求項1から14のいずれか一項に記載の光ヘッド装置を有する光ディスク装置。
- 前記第2の方向を情報媒体の記録ピット列の方向に一致させることを特徴とする請求項15に記載の光ディスク装置。
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