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JP3647285B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

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JP3647285B2
JP3647285B2 JP28698298A JP28698298A JP3647285B2 JP 3647285 B2 JP3647285 B2 JP 3647285B2 JP 28698298 A JP28698298 A JP 28698298A JP 28698298 A JP28698298 A JP 28698298A JP 3647285 B2 JP3647285 B2 JP 3647285B2
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茂 山脇
康夫 清水
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電動機の動力をステアリング系に直接作用させ、ドライバの操舵力の軽減を図る電動パワーステアリング装置に係り、特に操舵反力の変化をドライバに知らせて適切な操舵を行わせる電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング装置において、ドライバがハンドルを操作することによって発生する操舵トルクに基づいて目標トルク信号を生成し、この目標トルク信号に基づいて電動機を駆動し、電動機が発生する補助トルクをステアリング系に付加し、ドライバの手動操舵力が軽減されるようにしている。
【0003】
このように、操舵トルクに基づいてステアリング系に補助トルクを作用させる電動パワーステアリング装置は、ハンドルを介してドライバに操舵反力が伝わりにくく、ドライバが操舵反力を感知して車両挙動を認識しずらい状況にある。
【0004】
車両挙動の認識の問題を解決するため、本願出願人は特願平10−249730号で、車両速度、ヨー角速度、操舵角に基づいて車両の前輪の滑り角(βf)と車両の後輪の滑り角(βr)との差(以降、角差βfr=βf−βrと称する)を演算し、この角差βfrに対応して補正量を決定し、操舵トルクに基づいた目標トルク信号を角差βfrに対応した補正量で補正して電動機を駆動することによって電動機が発生する補助トルクを補正してステアリング系に作用させ、路面からハンドルを介して伝えられる操舵反力を車両挙動に応じてドライバに感知させ、ドライバが車両挙動に応じた適切なハンドル操作が可能となるような電動パワーステアリング装置を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
角差βfrに対応した補正量で目標トルク信号を補正する電動パワーステアリング装置は、角差βfrに応じて変化する操舵反力をドライバが感知し、ドライバが操舵反力に対応したハンドル操作を行うことによって車両の安定化を図るものであるが、角差βfrに対応した補正量が固定されているため、運転技量の高いドライバから運転技量の低いドライバまで同一の車両挙動に対する操舵反力は同じに感知され、運転技量のレベルが異なる個々のドライバに対して満足のいく操舵フィーリングを提供できない課題がある。
【0006】
例えば、運転技量の高いドライバは、車両挙動を感知する能力が高く、車両挙動に応じた補助トルクを変化させる制御が開始される前や、制御が開始されて制御量が極小さいうちに適切な操舵を行うことができるため、車両挙動に対応した補正量をステアリング系に作用させる必要は少ない。
【0007】
一方、運転技量の低いドライバは、ハンドルの切り過ぎや、オーバステア時のカウンタステアを当てるタイミングが遅れたりするため、このような状態に適切に対応することができる補正量をステアリング系に作用させる必要がある。
【0008】
このように、車両挙動に対する補正量は、ドライバの運転技量のレベルによって大きくしたり、小さくしたりすることが望まれている。
【0009】
この発明はこのような課題を解決するためなされたもので、その目的はドライバが操作して角差βfrに対応した補正量を変更でき、ドライバのもつ運転技量に応じて最適な操舵フィーリングが得られる利便性の高い電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためこの発明に係る電動パワーステアリング装置は、スイッチ手段を設け、このスイッチ手段は、車両挙動判定手段からの補正信号の補正量を変更することを特徴とする。
【0011】
この発明に係る電動パワーステアリング装置は、スイッチ手段を設け、このスイッチ手段は、車両挙動判定手段からの補正信号の補正量を変更するので、ドライバが運転技量に応じて車両挙動判定手段からの補正信号、例えばアンダステア補正量、オーバステア補正量またはカウンタステア補正量の全てを同じ割合で減衰設定することができる。
【0012】
また、この発明に係るスイッチ手段は、ドライバが操作する補正モードスイッチと、制御手段に、補正モードスイッチからのキー情報に基づいて車両挙動判定手段からの補正信号の補正量を変更する補正係数を設定する係数設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明に係るスイッチ手段は、ドライバが操作する補正モードスイッチと、制御手段に、補正モードスイッチからのキー情報に基づいて車両挙動判定手段からの補正信号の補正量を変更する補正係数を設定する係数設定手段とを備えたので、ドライバが設定した補正モードスイッチからのキー情報に対応して車両挙動判定手段からの補正信号のアンダステア補正量、オーバステア補正量またはカウンタステア補正量の全てを同じ割合で変更する補正係数を設定することができる。
【0014】
さらに、この発明に係る補正モードスイッチは、ドライバが操作する複数の補正モード選択キーと、複数の補正モード選択キーの選択を確定するモード確定キーとを備えたことを特徴とする。
【0015】
この発明に係る補正モードスイッチは、ドライバが操作する複数の補正モード選択キーと、複数の補正モード選択キーの選択を確定するモード確定キーとを備えたので、ドライバが自分の運転技量に適した補正モードを補正モード選択キーで選択し、選択した補正モードをモード確定キーで確定することができる。
【0016】
また、この発明に係る係数設定手段は、補正モードスイッチからのキー情報に基づいて減衰係数を発生する減衰係数発生手段と、車速センサからの車速信号に応じた車速係数を発生する車速係数発生手段と、減衰係数と車速係数を乗算処理して補正係数を発生する乗算手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明に係る係数設定手段は、補正モードスイッチからのキー情報に基づいて減衰係数を発生する減衰係数発生手段と、車速センサからの車速信号に応じた車速係数を発生する車速係数発生手段と、減衰係数と車速係数を乗算処理して補正係数を発生する乗算手段とを備えたので、補正モードに対応して車両挙動判定手段からの補正信号のアンダステア補正量、オーバステア補正量またはカウンタステア補正量の全てを同じ割合で減衰係数で減衰させるとともに、車速係数に応じて補正量の全てを変更することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、本発明は車両挙動に対応したアンダステア補正量、オーバステア補正量またはカウンタステア補正量の全てを同じ割合で変更し、ドライバが自分の運転技量に応じて補正量をスイッチで設定することによって最適な操舵をできるようにしたものである。
【0019】
図1はこの発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
図1において、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2、ステアリング軸3、ハイポイドギア4、ピニオン5aおよびラック軸5bなどからなるラック&ピニオン機構5、タイロッド6、操向車輪の前輪7、補助トルクをステアリング系に作用する電動機8、制御手段13、電動機駆動手段14、電動機電流検出手段15を備える。
【0020】
また、電動パワーステアリング装置1は、車両に作用するヨー角速度を検出し、ヨー角速度に対応した電気信号に変換されたヨー角速度信号Yを検出するヨー角速度センサ9、前輪の切れ角を検出し、前輪の切れ角に対応した電気信号に変換された切れ角信号δを出力する切れ角センサ10、車速を検出し、車速に対応した電気信号に変換された車速信号Vを出力する車速センサ11、ステアリングホイール2に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルクに対応した電気信号に変換された操舵トルク信号Tを出力する操舵トルクセンサ12を備える。
なお、切れ角信号δは操舵角からステアリングギヤボックス内(図示せず)のギア比を用いて算出してもよい。
【0021】
ヨー角速度信号Y、切れ角信号δおよび操舵トルク信号Tは、それぞれ大きさと方向を有し、車速信号Vは大きさのみを有し、制御手段13に供給される。
なお、ヨー角速度信号Y、切れ角信号δ、操舵トルク信号Tの方向は、車両上方から見て時計回り方向を正(プラス)とし、反時計回り方向を負(マイナス)とする。
【0022】
さらに、電動パワーステアリング装置1は、運転席の近傍にドライバが操作することができる補正モードスイッチと、制御手段13に設けた係数設定手段および乗算手段とからなるスイッチ手段16を備える。
【0023】
ステアリングホイール2を操舵すると、ステアリング軸3に加えられる手動操舵トルクは、ラック&ピニオン機構5を介してピニオン5aの回転力がラック軸5bの軸方向の直線運動に変換され、タイロッド6を介して前輪7の操向を変化させる。
【0024】
手動の操舵トルクをアシストするため、操舵トルク信号Tに対応して電動機8が駆動されると、電動機トルクがハイポイドギア4を介して倍力された補助トルク(アシストトルク)に変換されてステアリング軸3に作用し、ドライバの操舵力を軽減する。
【0025】
制御手段13は、マイクロプロセッサを基本に各種演算手段、処理手段、判定手段、スイッチ手段、信号発生手段、メモリ等で構成し、操舵トルク信号Tに対応した目標トルク信号(IMS)を発生し、この目標トルク信号(IMS)と電動機電流検出手段15が検出した電動機電流IMに対応した電動機トルク信号IMFとの差(負帰還)に応じた電動機制御信号VO(例えば、オン信号、オフ信号およびPWM信号の混成信号)を発生し、この差が速やかに0となるように電動機駆動手段14の駆動を制御する。
【0026】
また、制御手段13は、滑り角差推定手段、補正手段を備え、ヨー角速度信号Y、切れ角信号δ、車速信号Vおよび車両の寸法パラメータ(ホイールベース)に基づいて前輪の滑り角と後輪の滑り角の差(角差信号)を演算で推定し、この差(角差信号)の大きさに基づいてアンダステア補正量、オーバステア補正量およびカウンタステア補正量を決定し、この補正量で目標トルク信号(IMS)を補正する。
【0027】
さらに、制御手段13は、前輪の滑り角と後輪の滑り角の差(角差信号)の方向(P)、ヨー角速度信号Yの方向(N)および操舵トルク信号Tの方向(S)を比較することにより、車両の状態(車両挙動)がアンダステア領域、オーバステア領域またはカウンタステア領域のいずれであるかを判定する。
【0028】
また、制御手段13は、スイッチ手段16を構成する係数設定手段、乗算手段を備え、同じくスイッチ手段16を構成する補正モードスイッチからのキー情報に基づいて補正係数を発生し、この補正係数でアンダステア補正量、オーバステア補正量およびカウンタステア補正量を補正する。
【0029】
電動機駆動手段14は、例えば4個のパワーFET(電界効果トランジスタ)、絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子からなるブリッジ回路で構成し、電動機制御信号VOに基づいてPWM(パルス幅変調)の電動機電圧VMを出力し、電動機8を正回転または逆回転にPWM駆動する。
【0030】
電動機電流検出手段15は、電動機8と直列に接続された抵抗器またはホール素子等で電動機電流IMを電圧に変換して検出し、電動機電流IMに対応した電動機トルク信号IMFを制御手段13にフィードバック(負帰還)する。
【0031】
図2は本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施の形態基本要部ブロック構成図である。
図2において、電動パワーステアリング装置1の制御手段13は、目標トルク信号設定手段21、差演算手段22、駆動制御手段23、車両挙動判定手段24、補正手段25、スイッチ手段16の一部を構成する係数設定手段18および乗算手段19を備える。
【0032】
目標トルク信号設定手段21は、ROM等のメモリに予め図6に示す操舵トルク信号T−目標トルク信号IMS特性データ、および図7に示す車速信号V−車速係数KT特性データを記憶しておき、操舵トルクセンサ12が検出した操舵トルク信号Tおよび車速センサ11が検出した車速信号Vに基づいて操舵トルク信号Tに対応した目標トルク信号(IMS)に車速信号Vに対応した車速係数KTを乗算(KT*IMS)して目標トルク信号IMOとして補正手段25に供給する。
目標トルク信号IMOは、トルク信号Tが同一でも車速信号Vが増加するにつれて減少するようにし、高車速領域での操舵の安定性を確保するように設定する。
【0033】
差演算手段22は、減算器または減算機能を備え、補正手段25から供給される目標トルク信号IMHと、電動機電流検出手段15から供給される電動機トルク信号IMFとの差ΔI(=IMH−IMF)を演算し、差信号ΔI(=IMH−IMF)を駆動制御手段23に供給する。
【0034】
駆動制御手段23は、PIDコントローラ、電動機制御信号発生手段等を備え、差演算手段22から供給される差信号ΔIに比例(P)、積分(I)および微分(D)制御を施した後、これら比例・積分・微分(PID)制御を施した信号を混合した混合信号に基づいてハンドルの右操舵または左操舵に対応したPWMの電動機制御信号VOを発生し、電動機制御信号VOを電動機駆動手段14に供給する。
【0035】
車両挙動判定手段24は、滑り角差推定手段、方向判定手段、選択手段、アンダステア補正量出力手段、オーバステア補正量出力手段、カウンタステア補正量出力手段等を備え、車速センサ11から供給される車速信号V、ヨー角速度センサ9から供給されるヨー角速度信号Yおよび切れ角センサ10から供給される切れ角信号δに基づいて車両の前輪滑り角(βf)と車両の後輪滑り角(βr)との差(角差βfr=βf−βr)を演算し、角差信号(βfr)基づいてアンダステア補正量(DA)、オーバステア補正量(DO)およびカウンタステア補正量(DC)を発生し、補正信号IDをスイッチ手段16の乗算手段19に供給する。
【0036】
図3はこの発明に係る車両挙動判定手段の要部ブロック構成図である。
図3において、車両挙動判定手段24は、滑り角差推定手段30、第1方向判定手段31、選択手段32、第2方向判定手段33、選択手段34、第3方向判定手段35、選択手段36、オーバステア補正量出力手段37、アンダステア補正量出力手段38、カウンタステア補正量出力手段39、角差変化量演算手段40、角差変化係数発生手段41、加算手段42,43、乗算手段44,45、加算手段46を備える。
【0037】
滑り角差推定手段30は、メモリ、演算手段等を備え、車速信号V、ヨー角速度信号Y、前輪の切れ角に対応する切れ角信号δおよびメモリに予め設定した車両の寸法パラメータ(例えば、ホイールベースL)に基づいて数1から前輪滑り角(βf)と後輪滑り角(βr)との角差βfr(=βf−βr)を演算し、角差信号βfrを第1方向判定手段31、第2方向判定手段33、選択手段32、角差変化量演算手段40に供給する。
【0038】
【数1】
βfr=Y*L/V−δ
【0039】
なお、前輪滑り角(βf)および後輪滑り角(βr)は、タイヤの向きを基準としてタイヤの進行方向への角度を表わすので、時計回り方向へハンドルを切った場合、前輪タイヤの向きに対してタイヤの進行方向は反時計回り方向となり、時計回り方向を正(プラス)とすると前輪滑り角(βf)の方向は負(マイナス)となる。
同様に、後輪滑り角(βr)も負(マイナス)となり、角差信号βfrの方向(符号)は後輪滑り角(βr)の絶対値|βr|が前輪滑り角(βf)の絶対値|βf|以上(|βr|≧|βf|)となるまでは、負(マイナス)で表わす。
【0040】
第1方向判定手段31は、符号比較機能を備え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrの方向符号Pと、ヨー角速度センサ9から供給されるヨー角速度信号Yの方向符号Nに基づいて、方向符号Pと方向符号Nが一致(符号が同一)する場合には、例えばHレベルの判定信号HO1を選択手段32に供給し、方向符号Pと方向符号Nが異なる(符号が異なる)場合には、例えばLレベルの判定信号HO1を選択手段32に供給する。
【0041】
選択手段32は、ソフト制御のスイッチ機能を備え、第1方向判定手段31から供給される判定信号HO1に基づいてスイッチを切り替え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrを選択手段34、またはオーバステア補正量出力手段37に供給する。
なお、選択手段32は、判定信号HO1がHレベル(符号が同一)の場合には、オーバステア補正量出力手段37を選択(実線表示)し、判定信号HO1がLレベル(符号が不一致)の場合には、選択手段34を選択(破線表示)する。
【0042】
角差信号βfrの方向符号Pとヨー角速度信号Yの方向符号Nとが同じ(一致)場合、例えばヨー角速度Yが時計回り方向であって、後輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角(βf)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号Yの方向符号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向符号Pがプラス(+)となり、車両挙動のオーバステア領域と判定して選択手段32はオーバステア補正量出力手段37を選択(実線表示)する。
【0043】
一方、角差信号βfrの方向符号Pとヨー角速度信号Yの方向符号Nとが異なる(不一致)場合、例えばヨー角速度Yが時計回り方向であって、前輪の反時計回り方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(βr)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号Yの方向符号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向符号Pがマイナス(−)となり、選択手段32は選択手段34を選択(破線表示)する。
【0044】
第2方向判定手段33は、符号比較機能を備え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrの方向符号Pと、操舵トルク信号Tの方向符号Sに基づいて、方向符号Pと方向符号Sが一致(符号が同一)する場合には、例えばHレベルの判定信号HO2を選択手段34に供給し、方向符号Pと方向符号Sが異なる(符号が異なる)場合には、例えばLレベルの判定信号HO2を選択手段34に供給する。
【0045】
選択手段34は、ソフト制御のスイッチ機能を備え、第2方向判定手段33から供給される判定信号HO2に基づいてスイッチを切り替え、選択手段32から供給される角差信号βfrをアンダステア補正量出力手段38またはカウンタステア補正量出力手段39に供給する。
なお、選択手段34は、判定信号HO2がHレベル(符号が同一)の場合には、カウンタステア補正量出力手段39を選択(実線表示)し、判定信号HO2がLレベル(符号が不一致)の場合には、アンダステア補正量出力手段38を選択(破線表示)する。
【0046】
角差信号βfrの方向符号Pと操舵トルク信号Tの方向符号Sとが同じ(一致)場合、例えば操舵トルク信号Tが時計回り方向であって、後輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角(βf)よりも大きいような場合には、操舵トルク信号Tの方向符号Sがプラス(+)で角差信号βfrの方向符号Pがプラス(+)となり、車両挙動のカウンタステア過大領域と判定して選択手段34はカウンタステア補正量出力手段39を選択(実線表示)する。
【0047】
一方、角差信号βfrの方向符号Pと操舵トルク信号Tの方向符号Sとが異なる(不一致)場合、例えば操舵トルク信号Tが時計回り方向であって、前輪の反時計回り方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(βr)よりも大きいような場合には、操舵トルク信号Tの方向符号Sがプラス(+)で角差信号βfrの方向符号Pがマイナス(−)となり、車両挙動のアンダステア領域と判定して選択手段34はアンダステア補正量出力手段38を選択(破線表示)する。
【0048】
このように、車両挙動判定手段24は、第1方向判定手段31で角差信号βfrの方向符号Pとヨー角速度信号Yの方向符号Nとが一致と判定した場合(選択手段32の実線表示側)には、オーバステア状態であると判定し、角差信号βfrを選択手段32を介してオーバステア補正量出力手段37に供給する。
【0049】
車両の強いオーバステア領域とは、そのままでは車両がスピンする虞のある状態であり、ドライバに操舵反力を強く感じさせてカウンタステアを行い易くしている。
【0050】
また、車両挙動判定手段24は、第1方向判定手段31で角差信号βfrの方向符号Pとヨー角速度信号Yの方向符号Nとが不一致と判定(選択手段32の破線表示側)し、かつ第2方向判定手段33で角差信号βfrの方向符号Pと操舵トルク信号Tの方向符号Sとが不一致(選択手段34の破線表示側)と判定した場合には、車両挙動がアンダステア状態であると判定して角差信号βfrを選択手段32および選択手段34を介してアンダステア補正量出力手段38に供給する。
【0051】
車両挙動の強いアンダステア領域とは、現在の操舵状態からこれ以上ハンドルを切り込んでも車両が曲らない状態であり、ドライバに操舵反力を強く感じさせてハンドルを戻した方が良いことを知らせる操舵領域である。
【0052】
なお、弱いアンダステア領域では操舵反力の補正は不要であるので、図8に示すように角差信号βfrの絶対値|βfr|に対するアンダステア補正量DAの不感帯領域を大きく設定している。
【0053】
さらに、車両挙動判定手段24は、第1方向判定手段31で角差信号βfrの方向符号Pとヨー角速度信号Yの方向符号Nとが不一致と判定(選択手段32の破線表示側)し、かつ第2方向判定手段33で角差信号βfrの方向符号Pと操舵トルク信号Tの方向符号Sとが一致(選択手段34の実線表示側)と判定した場合には、車両挙動がカウンタステア過大状態であると判定して角差信号βfrを選択手段32および選択手段34を介してカウンタステア補正量出力手段39に供給する。
【0054】
角差変化量演算手段40は、微分演算機能を備え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrに微分演算を施し、角差変化量信号DV(=dβfr/dt)を角差変化係数発生手段41および第3方向判定手段35に供給する。
【0055】
角差変化係数発生手段41は、ROM等のメモリを備え、予め図11に示す角差変化量DVと角差変化係数KVの特性データを記憶しておき、角差変化量信号DVが供給されると、対応した角差変化係数KVを読み出して乗算手段44および乗算手段45に供給する。
【0056】
第3方向判定手段35は、符号比較機能を備え、角差変化量演算手段40から供給される角差変化量信号DV(=dβfr/dt)の方向符号Fと操舵トルク信号Tの方向符号Sとに基づいて、方向符号Fと方向符号Sが一致(符号が同一)する場合には、例えばHレベルの判定信号HO3を選択手段36に供給し、方向符号Fと方向符号Sが異なる(符号が異なる)場合には、Lレベルの判定信号HO3を選択手段36に供給する。
なお、角差変化量信号DVの方向符号Fは、角差信号βfrが正(+)で、かつ絶対値|βfr|が増加する時は正(+)とし、絶対値|βfr|が減少する時は負(−)とする。
また、角差変化量信号DVの方向符号Fは、角差信号βfrが負(−)で、かつ絶対値|βfr|が増加するする時は正(+)とし、絶対値|βfr|が減少する時は負(−)とする。
【0057】
選択手段36は、ソフト制御のスイッチ機能を備え、第3方向判定手段35から供給される判定信号HO3に基づいてスイッチを切り替え、カウンタステア補正量出力手段39から加算手段43を介して供給されるカウンタステア補正量DCもしくはオーバステア補正量出力手段37から加算手段43を介して供給されるオーバステア補正量DOを加算手段42または乗算手段45に供給する。
なお、選択手段36は、判定信号HO3がHレベル(符号が同一)の場合には加算手段42を選択(破線表示側)し、判定信号HO3がLレベル(符号が不一致)の場合には乗算手段45を選択(実線表示)する。
【0058】
角差変化量信号DV(=dβfr/dt)の方向符号Fと操舵トルク信号Tの方向符号Sとが不一致(符号が異なる)の場合、例えばカウンタ当てを行って操舵トルク信号Tの方向符号Sが反時計回り方向で、後輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角(βf)よりも大きくその差が拡大するような場合には、方向符号Sがマイナス(−)で方向符号Fがプラス(+)となり、選択手段36は乗算手段45を選択(実線表示側)し、カウンタステア補正量DCを乗算手段45に供給する。
【0059】
一方、角差変化量信号DV(=dβfr/dt)の方向符号Fと操舵トルク信号Tの方向符号Sとが一致(符号が同一)する場合、例えばカウンタステア当てを行い、操舵トルク信号Tの方向符号Sが反時計回り方向で、後輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角(βf)よりも大きく、その差が縮小するような場合には、方向符号Sがマイナス(−)で方向符号Fがマイナス(−)となり、選択手段36は加算手段42を選択(破線表示側)し、カウンタステア補正量DCを加算手段42に供給する。
【0060】
オーバステア補正量出力手段37は、ROM等のメモリを備え、予め図9に示す角差信号の絶対値|βfr|とオーバステア補正量DOとの特性データを記憶しておき、選択手段32から角差信号βfrが供給されると、対応するオーバステア補正量DOを読み出し、オーバステア補正量信号DOを加算手段43を介して切替手段36に供給する。
【0061】
アンダステア補正量出力手段38は、ROM等のメモリを備え、予め図8に示す角差信号の絶対値|βfr|とアンダステア補正量DAとの特性データを記憶しておき、選択手段34から角差信号βfrが供給されると、対応するアンダステア補正量DAを読み出し、アンダステア補正量信号DAを加算手段42に供給する。
【0062】
カウンタステア補正量出力手段39は、ROM等のメモリを備え、予め図10に示す角差信号の絶対値|βfr|とカウンタステア補正量DCとの特性データを記憶しておき、選択手段34から角差信号βfrが供給されると、対応するカウンタステア補正量DCを読み出し、カウンタステア補正量信号DCを加算手段43を介して選択手段36に供給する。
【0063】
加算手段42は、加算機能を備え、アンダステア補正量出力手段38から供給されるアンダステア補正量DAと選択手段36(破線表示側)から供給されるオーバステア補正量DOもしくはカウンタステア補正量DCを加算し、アンダステア状態ではアンダステア補正量DA、オーバステアステア状態ではオーバステア補正量DO、カウンタステア状態ではカウンタステア補正量DCを乗算手段44に供給する。
【0064】
乗算手段44は、乗算機能を備え、加算手段42から供給されるアンダステア補正量DA、カウンタステア補正量DCもしくはオーバステア補正量DOに角差変化係数発生手段41から供給される角差変化係数KVと定数−1(極性反転)を乗算し、それぞれアンダステア補正量信号−IDA(=−KV*DA)、カウンタステア補正量信号−IDC(=−KV*DC)もしくはオーバステア補正量−IDO(=−KV*DO)を加算手段46に供給する。
【0065】
乗算手段45は、乗算機能を備え、選択手段36から供給されるオーバステア補正量DOまたはカウンタステア補正量DCに角差変化係数発生手段41から供給される角差変化係数KVを乗算し、それぞれオーバステア補正量信号IDO(=KV*DO)またはカウンタステア補正量信号IDC(=KV*DC)を加算手段46に供給する。
【0066】
加算手段46は、加算機能を備え、アンダステア補正量信号−IDA(=−KV*DA)、オーバステア補正量信号−IDO(=−−KV*DO)もしくはカウンタステア補正量信号−IDC(=−KV*DC)、またはオーバステア補正量信号IDO(=KV*DO)またはカウンタステア補正量信号IDC(=KV*DC)を加算処理し、アンダステア状態、2つのオーバステア状態または2つのカウンタステア状態に対応してそれぞれアンダステア補正量信号−IDA、オーバステア補正量信号−IDOまたはオーバステア補正量信号IDO、カウンタステア補正量信号−IDCまたはカウンタステア補正量信号IDCを補正量IDとして図2に示すスイッチ手段16の乗算手段19に出力する。
【0067】
図2に戻り、スイッチ手段16は、ドライバが操作する補正モードスイッチ17と、制御手段13に設け、補正モードスイッチ17からのキー情報Jに基づいて車両挙動判定手段24からの補正信号の補正量IDを変更する補正係数KXを設定する係数設定手段17を備える。
【0068】
図4はこの発明に係るスイッチ手段の一実施の形態要部ブロック構成図である。
図4において、スイッチ手段16は、ドライバが操作する補正モードスイッチ17、係数設定手段18を備える。
なお、補正モードスイッチ17は運転席の近傍に配置し、例えばカバー等で蔽って誤って触れることがないように構成する。
【0069】
補正モードスイッチ17は、図2に示す補正量IDの減衰が最も小さい補正モードAを設定する補正モード選択Aキー、補正量IDの減衰が補正モードAよりも大きな補正モードBを設定する補正モード選択Bキー、補正量IDの減衰が最も大きい補正モードCを設定する補正モード選択Cキーおよび補正モード選択A〜Cキーの設定を確定するモード確定Sキーを備え、例えばモード確定Sキーを操作した後、補正モード選択A〜Cキーを操作すると補正モードA〜Cが確定し、それぞれ補正モード選択A〜Cキーに対応したキー情報JA,JB,JCが係数設定手段18に供給される。
【0070】
補正モード選択A〜Cキーを確定するモード確定Sキーを設けることにより、誤ってキーを操作しても補正モードは変更されず、補正モードスイッチ17をカバーで蔽うことと併せてキーの誤操作を防止することができる。
【0071】
係数設定手段18は、車速係数発生手段27、減衰係数発生手段28、乗算手段29を備える。
車速係数発生手段27は、ROM等のメモリで構成し、予め図12に示す車速Vと車速係数KSの特性データを記憶しておき、車速信号Vが供給されると対応する車速係数信号KSを乗算手段29に供給する。
車速係数KSは、車速Vが低速から所定車速V1までは、例えば0. 5に設定し、所定車速V1を超え所定車速V2までは0. 5から1. 0の間の値に設定し、所定車速V2を超えると1. 0に設定する。
【0072】
減衰係数発生手段28は、書き換え可能なEEPROM等のメモリで構成し、図示しない設定端子から予めキー情報JA,JB,JCに対応した減衰係数データKJを記憶しておき、キー情報JA,JB,JCが供給されると、対応した減衰係数信号KJを乗算手段29に供給する。
【0073】
キー情報JA,JB,JCに対応する減衰係数データKJは、例えば1. 0,0. 7,0. 3に設定する。
【0074】
乗算手段29は、乗算機能を備え、車速係数発生手段27から供給される車速係数信号KSと減衰係数発生手段28から供給される減衰係数信号KJを乗算し、補正係数KX(=KS*KJ)を乗算手段19に供給する。
【0075】
乗算手段19は乗算機能を備えたスイッチ手段16の一部を構成し、図3に示す車両挙動判定手段24から供給される補正量ID(アンダステア補正量信号−IDA、オーバステア補正量信号−IDOまたはオーバステア補正量信号IDO、カウンタステア補正量信号−IDCまたはカウンタステア補正量信号IDC)と係数設定手段18から供給される補正係数KX(=KS*KJ)を乗算し、補正信号IH(=KX*ID)を補正手段(加算手段)25に供給する。
【0076】
従って、車両挙動判定手段24から供給される補正量IDを補正係数KXで変更することができる。
【0077】
例えば、補正モードスイッチ17が補正モード選択Aキーに確定された場合、キー情報JAによって減衰係数発生手段28からの減衰係数信号KJは1. 0であり、車速係数発生手段27からの車速係数信号KSは所定車速V2を超える領域では1. 0であるため、乗算手段29からの補正係数KX(=KS*KJ)は1. 0となる。
したがって、乗算手段19で補正係数KX(=1. 0)と車両挙動判定手段24から供給される補正量ID(アンダステア補正量信号−IDA、オーバステア補正量信号−IDOまたはオーバステア補正量信号IDO、カウンタステア補正量信号−IDCまたはカウンタステア補正量信号IDC)が乗算される補正信号IH(=KX*ID)は、補正量IDと等しくなる。
【0078】
また、補正モードスイッチ17が補正モード選択Bキーに確定されると、キー情報JBによって減衰係数発生手段28からの減衰係数信号KJは0. 7であり、車速係数発生手段27からの車速係数信号KSは所定車速V2を超える領域では1. 0であるため、乗算手段29からの補正係数KX(=KS*KJ)は、0. 7となる。
したがって、乗算手段19で補正係数KX(=0. 7)と車両挙動判定手段24から供給される補正量ID(アンダステア補正量信号−IDA、オーバステア補正量信号−IDOまたはオーバステア補正量信号IDO、カウンタステア補正量信号−IDCまたはカウンタステア補正量信号IDC)が乗算される補正信号IH(=KX*ID)は、補正量IDの70%(IH=0. 7*ID)に減衰されることになる。
【0079】
なお、スイッチ手段16は、補正モードスイッチ17で確定した補正モードに対応した補正係数KXで補正量IDを変更するので、ある補正モードでは、アンダステア補正量信号−IDA、オーバステア補正量信号−IDOまたはオーバステア補正量信号IDO、カウンタステア補正量信号−IDCまたはカウンタステア補正量信号IDCの全ての補正量IDを共通の補正係数KXで同じ割合に減衰補正することができる。
【0080】
このように、この発明に係る電動パワーステアリング装置1は、スイッチ手段16を設け、車両挙動判定手段24からの補正信号の補正量IDを変更するので、ドライバが運転技量に応じて車両挙動判定手段24からの補正信号、例えばアンダステア補正量IDA、オーバステア補正量IDOまたはカウンタステア補正量IDCの全てを同じ割合で減衰設定することができる。
【0081】
また、この発明に係るスイッチ手段16は、ドライバが操作する補正モードスイッチ17と、制御手段13に、補正モードスイッチ17からのキー情報Jに基づいて車両挙動判定手段24からの補正信号の補正量IDを変更する補正係数KXを設定する係数設定手段18とを備えたので、ドライバが設定した補正モードスイッチ17からのキー情報Jに対応して車両挙動判定手段24からの補正信号、例えばアンダステア補正量IDA、オーバステア補正量IDOまたはカウンタステア補正量IDCの全てを補正係数KXで同じ割合で変更することができる。
【0082】
さらに、この発明に係る補正モードスイッチ17は、ドライバが操作する複数の補正モード選択キーA〜Cと、複数の補正モード選択キーA〜Cの選択を確定するモード確定キーSとを備えたので、ドライバが自分の運転技量に適した補正モードを補正モード選択キーA〜Cで選択し、選択した補正モードをモード確定キーSで確定することができる。
【0083】
また、この発明に係る係数設定手段18は、補正モードスイッチ17からのキー情報Jに基づいて減衰係数KJを発生する減衰係数発生手段28と、車速センサからの車速信号Vに応じた車速係数KSを発生する車速係数発生手段27と、減衰係数KJと車速係数KSを乗算処理して補正係数KXを発生する乗算手段29とを備えたので、補正モードに対応して車両挙動判定手段24からの補正信号のアンダステア補正量IDA、オーバステア補正量IDOまたはカウンタステア補正量IDCの全てを同じ割合で減衰係数KJで減衰させるとともに、車速係数KSに応じて補正量の全てを変更することができる。
【0084】
補正手段(加算手段)25は、加算機能を備え、目標トルク信号設定手段21から供給される目標トルク信号IMOにスイッチ手段16の乗算手段19から供給される補正信号IH(=KX*ID)を加算し、目標トルク信号IMOを車両挙動に応じた補正信号IH(=KX*ID)で補正した目標トルク信号IMHを差演算手段22に供給する。
【0085】
例えば、車両挙動がアンダステア状態の場合には、補正量IDがアンダステア補正量−IDAであるため、補正信号IHが(−KX*IDA)となって目標トルク信号IMHは(IMO−KX*IDA)に減衰補正することができる。
【0086】
図5はこの発明に係る電動パワーステアリング装置の動作フロー図である。
図5において、ステップS1では第1方向判定手段31が角差信号βfrの方向Pとヨー角速度信号Yの方向Nの一致/不一致の判定を行い、一致の場合にはステップS2に移行して選択手段32がオーバステア補正量DOを選択した後にステップS6に移行し、不一致の場合にはステップS3に移行して第2方向判定手段33が角差信号βfrの方向Pと操舵トルク信号Tの方向Sの一致/不一致の判定を行う。
【0087】
ステップS3で方向が一致の場合にはステップS4に移行して選択手段34がカウンタステア補正量DCを選択した後、ステップS6に移行する。
一方、ステップS3で方向が不一致の場合にはステップS5に移行して選択手段34がアンダステア補正量DAを選択した後、ステップS8に移行する。
【0088】
ステップS6では第3方向判定手段35が角差信号βfrの微分値の方向Fと操舵トルク信号Tの方向Sの一致/不一致の判定を行い、一致の場合には選択手段36の選択によりステップS8に移行し、不一致の場合には選択手段36の選択によりステップS7に移行する。
【0089】
ステップS7ではオーバステア補正量DOまたはカウンタステア補正量DCに角差変化係数KVを乗算処理して補正量IDO(=KV*DO)または補正量IDC(=KV*DC)を発生した後、ステップS10に移行する。
【0090】
ステップS8ではアンダステア補正量DA、カウンタステア補正量DCまたはオーバステア補正量DOに角差変化係数KVを乗算処理して補正量IDA(=KV*DA)、補正量IDC(=KV*DC)または補正量IDO(=KV*DO)を発生した後、ステップS9に移行して補正量IDA、補正量IDCまたは補正量IDOに−1(符号反転)を乗算して補正量−IDA、補正量−IDCまたは補正量−IDOとし、ステップS10に移行する。
【0091】
なお、ステップS1からステップS9までの動作は、図3に示す車両挙動判定手段24が実行する。
【0092】
ステップS10では、ステップS7からの補正量IDOまたは補正量IDCと、ステップS9からの補正量−IDA、補正量−IDCまたは補正量−IDOに補正係数KXが乗算されて補正信号IHが(KX*ID)が出力され、ステップS11に移行する。
なお、スッテプS10の動作は、図2および図4に示すスイッチ手段16が実行する。
【0093】
ステップS11では、図2に示す補正手段25によって目標トルク信号IMOと補正信号IHが(KX*ID)加算され、ステップS9からの補正量−IDA、補正量−IDCまたは補正量−IDOは減衰補正となり、ステップS7からの補正量IDOまたは補正量IDCは増加補正となる。
【0094】
なお、本実施の形態ではスイッチ手段の補正モードスイッチを3モードとしたが、3モード以上であってもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上、説明したようにこの発明に係る電動パワーステアリング装置は、アンダステア補正量、オーバステア補正量またはカウンタステア補正量の補正量を全て同じ割合で減衰設定することができるので、ドライバは運転技量に応じて補正量を決定することができ、ハンドルを介して車両挙動に応じた操舵反力を感知して最適な操舵を行い、車両挙動に対応した操舵フィーリングの向上を図ることができる。
【0096】
また、ドライバは運転技量が向上するに従って車両挙動の補正量を設定変更できるので、運転技量に応じて別の車両に変える必要がなくなり、利便性の向上を図ることができる。
【0097】
よって、ドライバのもつ運転技量に応じて最適な操舵が可能な利便性の高い電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施の形態基本要部ブロック構成図
【図3】この発明に係る車両挙動判定手段の要部ブロック構成図
【図4】この発明に係るスイッチ手段の一実施の形態要部ブロック構成図
【図5】この発明に係る電動パワーステアリング装置の動作フロー図
【図6】操舵トルク信号T−目標トルク信号IMS特性図
【図7】車速信号V−車速係数KT特性図
【図8】角差信号βfr−アンダステア補正量DA特性図
【図9】角差信号の絶対値|βfr|−オーバステア補正量DO特性図
【図10】角差信号の絶対値|βfr|−カウンタステア補正量DC特性図
【図11】角差変化量DV−角差変化係数KV特性図
【図12】車速V−車速係数KS特性図
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングホイール、9…ヨー角速度センサ、10…切れ角センサ、11…車速センサ、12…操舵トルクセンサ、13…制御手段、16…スイッチ手段、17…補正モードスイッチ、18…係数設定手段、19,29…乗算手段、21…目標トルク信号設定手段、24…車両挙動判定手段、25…補正手段、27…車速係数発生手段、28…減衰係数発生手段。

Claims (4)

  1. ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、ステアリング系に補助トルクを付加する電動機と、前後輪の滑り角差に基づいて車両挙動を判定して補正信号を出力する車両挙動判定手段、少なくとも前記操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいて目標トルク信号を設定する目標トルク信号設定手段、この目標トルク信号設定手段からの目標トルク信号を前記車両挙動判定手段からの補正信号に基づいて補正する補正手段を備え、前記電動機の駆動を制御する制御手段と、からなる電動パワーステアリング装置において、
    スイッチ手段を設け、このスイッチ手段は、前記車両挙動判定手段からの補正信号の補正量を変更することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記スイッチ手段は、ドライバが操作する補正モードスイッチと、前記制御手段に、前記補正モードスイッチからのキー情報に基づいて前記車両挙動判定手段からの補正信号の補正量を変更する補正係数を設定する係数設定手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記補正モードスイッチは、ドライバが操作する複数の補正モード選択キーと、前記複数の補正モード選択キーの選択を確定するモード確定キーと、を備えたことを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記係数設定手段は、前記補正モードスイッチからのキー情報に基づいて減衰係数を発生する減衰係数発生手段と、車速センサからの車速信号に応じた車速係数を発生する車速係数発生手段と、減衰係数と車速係数を乗算処理して補正係数を発生する乗算手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
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