JP3527988B2 - アラミド系繊維撚糸コードの製造方法 - Google Patents
アラミド系繊維撚糸コードの製造方法Info
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Description
を有するアラミド系繊維撚糸コードの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】アラミド系繊維は元来高強力、高弾性率
であり、優れた耐熱性を有するので、従来からコード、
ロープ、防護衣料などに利用されている。特にコードや
ベルトなどのゴム補強材用途では撚糸コードとして使用
されている。 【0003】しかし、特にパラ系アラミド繊維は剛性が
高いため、撚糸後のコード強力が著しく低下するという
問題がある。 【0004】これに対しては、撚係数が2以上で撚糸
し、撚糸した後に100〜600℃の温度下で緊張熱処
理することが知られている(特開平6−136630号
公報)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平6−1
36630号公報では繊維を200〜400℃の高温下
でかつ高い張力下で加工処理するので設備的・経済的に
不利である。またポリパラフェニレンテレフタラミド
(PPTA)繊維では緊張下での熱処理による撚糸コー
ド強力の向上は期待できない。 【0006】一方、パラ系アラミド繊維の撚糸コードの
強力が低下し易い原因として、ヤーンあるいは単繊維が
引き揃えにくいということがある。従来からこの撚糸強
力を改善する手段として、繊維間の摩擦を低減させる油
剤を付与して均一な撚糸が行われるようにしたが、撚糸
コードの強力は満足できる程度には至っていないのが現
状である。 【0007】本発明の課題はポリパラフェニレンテレフ
タラミド(PPTA)繊維を用いて高い強力を有する撚
糸コードを製造する方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記繰
返し単位(I)85モル%以上で構成されているアラミ
ド系繊維であって公定水分率以上の水分が付着した繊維
を、無緊張下、かつ100℃以下の雰囲気下で、(公定
水分率−1)%以下となるまで乾燥した後、この(公定
水分率−1)%以下の状態で、撚係数Tが1.0〜10
になるように撚糸することを特徴とするアラミド系繊維
撚糸コードの製造方法である。 【0009】ただし、 T=0.00348×長さ10cm当たりの撚数×(ヤ
ーン全繊度)1/2 以下、本発明の構成を具体的に説明する。 【0010】本発明におけるアラミド系繊維は、下記繰
返し単位(I)85モル%以上で構成されているアラミ
ド系繊維である。 【0011】 【化2】 本発明における公定水分率とは、JISに規定されてい
るもので、たとえばパラフェニレンテレフタラミドの公
定水分率は6.5%である。 【0012】本発明における撚糸、撚糸コードとは、そ
れぞれ、単糸を複数本揃えたヤーンを撚ること、撚った
もの(コード)を意味する。この場合、ヤーンは1本で
もよいが2本以上の方が好ましい。 【0013】本発明における撚係数Tとは、撚りの強さ
を示すもので下記の式で表わされる。 【0014】T=0.00348×長さ10cm当たり
の撚数×(ヤーン全繊度)1/2本発明においては、アラ
ミド系繊維の水分率 ( % ) が(公定水分率−1)%以下の
状態となるまで乾燥する必要がある。繊維中の水分率が
(公定水分率−1)%以下の状態のアラミド系繊維を撚
糸することによって、高い強力を有する撚糸構造体を得
ることができる。 【0015】撚係数は1.0〜10が必要で、特に2.
0〜6.0が好ましい。使用されるヤーンの全繊度は1
00〜10000デニールが好ましい。 【0016】撚糸コードの作成法としては片撚り、諸撚
りのいずれでもよいが、特に好ましいのは2本以上の合
糸の場合である。 【0017】水分率低減化方法は、100℃以下の雰囲
気下で行うのであれば、特に限定されず、熱処理(遠赤
外線照射を含む)、減圧乾燥等の方法が採用できるが、
特に、熱処理の場合、処理温度は100℃以下、好まし
くは70〜100℃である。処理温度が高すぎると原糸
の強力が低下する。 【0018】水分率低減化時のヤーンは、無緊張状態下
とする。 【0019】なお、本発明の方法はオフラインあるいは
オンラインのどちらで実施してもよい。 得られた撚糸
は、表面を被覆、薬液処理することによって強力を保持
することもできる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を具
体的に説明する。 【0021】 【実施例】実施例1 特公昭55−14167号公報に記載されている方法に
よりポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA) を得
た後、これからなる繊維を製糸した。 【0022】本実施例1で用いた原糸は単糸1000本から
なる全繊度1500デニールのマルチフィラメントヤー
ンである。ヤーンの強度は26g/dで、切断伸度は3
%であった。このヤーンを70℃、無緊張下で所定時間
熱処理し、水分率の異なるヤーンサンプルを得た。 【0023】そのなかで、同じ水分率であるヤーンを2
本用意し、この2本のヤーンを引き揃えて10cmあた
り12.7回の撚りをかけて撚糸コードを作成した。 【0024】なお、使用したヤーンの公定水分率は6.
5%である。 【0025】コードの引張り試験における破断強力の結
果を表1に示す。 【0026】 【表1】なお、該撚糸コードの撚係数Tは2.4と計算された。 【0027】表1から明かなように水分率が6.5〜
7.5%では、撚糸コード強力は72kgであるが、水
分率を低減させることによって撚糸コード強力が約76
kgへと向上している。 【0028】実施例2 実施例1で作成したヤーンを常温で減圧乾燥処理し、水
分率の異なるサンプルを得た。同じ水分率であるヤーン
を2本用意し、この2本のヤーンを引き揃えて10cm
あたり12.7回の撚りをかけて撚糸コードを作成し
た。 【0029】コードの引張り試験における破断強力の結
果を表2に示す。 【表2】 表2から明かなように熱処理を行わなくても、水分率を
低減させることによって、撚糸コード強力が向上してい
る。 【0030】実施例3 実施例1と同様に作成、熱処理したヤーンを2本用意
し、各々のヤーンに10cmあたり35回の下撚を入れ
た後に、2本揃えて逆方向に10cmあたり35回の上
撚を付与して撚糸コードを作成した。 【0031】コードの引張り試験における破断強力の結
果を表3に示す。 【0032】 【表3】 なお、この撚糸コードの撚係数Tは6.7と計算され
る。 【0033】撚糸強力は撚数が高くなるほど低下の度合
いが著しくなるので、実施例3の破断強力は実施例1の
破断強力より低くなっているが、水分率を低減すること
によって撚糸コード強力が向上していることがわかる。 【0034】 【発明の効果】本発明法によると簡単な工程を経るだけ
で、強力の優れたアラミド系繊維撚糸コードを得ること
ができる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記繰返し単位(I)85モル%以上で
構成されているアラミド系繊維であって公定水分率以上
の水分が付着した繊維を、無緊張下、かつ100℃以下
の雰囲気下で、(公定水分率−1)%以下となるまで乾
燥した後、この(公定水分率−1)%以下の状態で、撚
係数Tが1.0〜10になるように撚糸することを特徴
とするアラミド系繊維撚糸コードの製造方法。ただし、
T=0.00348×長さ10cm当たりの撚数×(ヤ
ーン全繊度) 1/2 【化1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24079695A JP3527988B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | アラミド系繊維撚糸コードの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24079695A JP3527988B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | アラミド系繊維撚糸コードの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0967730A JPH0967730A (ja) | 1997-03-11 |
JP3527988B2 true JP3527988B2 (ja) | 2004-05-17 |
Family
ID=17064824
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24079695A Expired - Lifetime JP3527988B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | アラミド系繊維撚糸コードの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3527988B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001089946A (ja) * | 1999-07-22 | 2001-04-03 | Du Pont Toray Co Ltd | ゴム補強用芳香族ポリアミド繊維コード |
US20090022904A1 (en) * | 2005-04-27 | 2009-01-22 | Bridgestone Corporation | Method for modifying organic fiber cord |
JP6850644B2 (ja) * | 2017-03-21 | 2021-03-31 | 東レ・デュポン株式会社 | 高強力ディップコードの製造方法 |
-
1995
- 1995-08-25 JP JP24079695A patent/JP3527988B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0967730A (ja) | 1997-03-11 |
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