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JP3518294B2 - 電磁駆動弁 - Google Patents

電磁駆動弁

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Publication number
JP3518294B2
JP3518294B2 JP33597097A JP33597097A JP3518294B2 JP 3518294 B2 JP3518294 B2 JP 3518294B2 JP 33597097 A JP33597097 A JP 33597097A JP 33597097 A JP33597097 A JP 33597097A JP 3518294 B2 JP3518294 B2 JP 3518294B2
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JP
Japan
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electromagnetically driven
driven valve
valve
armature
valve body
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JP33597097A
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隆志 出尾
彰一郎 新田
達雄 飯田
昌彦 浅野
宏之 服部
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP33597097A priority Critical patent/JP3518294B2/ja
Priority to US09/119,193 priority patent/US6032925A/en
Priority to DE69814260T priority patent/DE69814260T2/de
Priority to EP98113787A priority patent/EP0896132B1/en
Publication of JPH11107723A publication Critical patent/JPH11107723A/ja
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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L9/00Valve-gear or valve arrangements actuated non-mechanically
    • F01L9/20Valve-gear or valve arrangements actuated non-mechanically by electric means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Magnetically Actuated Valves (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Electromagnets (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁駆動弁に係
り、特に、内燃機関の吸気弁または排気弁を構成する装
置として好適な電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば実開昭60−1758
05号に開示される如く、内燃機関の吸気弁または排気
弁を構成する電磁駆動弁が知られている。上記従来の電
磁駆動弁は、弁体を備えている。弁体にはアーマチャが
固定されている。アーマチャの上下にはそれぞれコアお
よびコイルが配設されている。コイルに励磁電流が供給
されると、コアとアーマチャとの間に電磁力が作用す
る。従って、上記従来の電磁駆動弁によれば、アーマチ
ャの上下に配設されるコイルに交互に励磁電流を供給す
ることで弁体を開閉動作させることができる。
【0003】従来の電磁駆動弁において、弁体が全閉位
置に到達する時点で弁体およびアーマチャが高い変位速
度を有していると、大きな着座音が発生する。従って、
電磁駆動弁の静粛性を確保するためには、弁体が全閉位
置に到達する時点で、弁体およびアーマチャの変位速度
を下げることが望ましい。上記従来の電磁駆動弁は、弁
体が全閉位置に到達する直前から、弁体およびアーマチ
ャを全開方向に付勢するバネ力を発生する緩和部材を備
えている。このため、上記従来の電磁駆動弁によれば、
高い静粛性を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置において、緩和部材の発するバネ力は、弁体およびア
ーマチャが全閉位置に到達する時点でそれらに作用する
のみならず、弁体およびアーマチャが全閉位置に維持さ
れる間、常時それらを全開方向に付勢する。このような
バネ力に抗って弁体およびアーマチャを全閉位置に保持
するためには、コイルに多量の励磁電流を流通させるこ
とが必要である。このため、上記従来の電磁駆動弁にお
いては、優れた省電力特性を得ることが困難であった。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、優れた静粛性と共に優れた省電力特性を有する
電磁駆動弁を提供することを目的とする。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項
に記載する如く、アーマチャとコアとの間に電磁力を作
用させることにより弁体を開閉動作させる電磁駆動弁に
おいて、前記アーマチャおよび前記弁体を含む可動部
と、前記コアと、該コアを軸方向に変位可能に保持する
ケースとを含む固定部と、前記コアと前記ケースとの間
に介在し、前記可動部と前記固定部との衝突に伴って前
記コアに入力されるエネルギの一部を熱エネルギに変換
するゲル部と、を備える電磁駆動弁により達成される。
【0014】本発明において、弁体が全閉位置または全
開位置に到達する際には、アーマチャとコアとが衝突す
る。アーマチャとコアとが衝突すると、アーマチャの運
動エネルギが衝突エネルギとしてコアに入力される。そ
の結果、コアには軸方向の変位が生ずる。コアとケース
との間にはゲル部が介在している。このため、コアに入
力される衝突エネルギはゲル部に吸収される。この場
合、電磁駆動弁には、優れた静粛性と優れた省電力特性
とが付与される。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】上記の目的は、請求項に記載する如く、
上記請求項1記載の電磁駆動弁において、前記ゲル部に
代えて、発泡材を備えた電磁駆動弁によっても達成され
る。
【0019】泡材は、基材を弾性変形させながら、か
つ、基材中に形成されている空気泡を圧縮しながら可動
部と固定部との衝突に伴うエネルギを吸収する。このよ
うにして衝突エネルギが吸収されると、電磁駆動弁にお
いて優れた静粛性が確保される。
【0020】発泡材によれば、空気泡を圧縮することに
より、基材に大きな圧縮力を作用させることなく大きな
変形量を確保することができる。このため、発泡材によ
れば、大きな反力を発生させることなく、大きな変形量
を確保することができる。従って、可動部と固定部との
衝突に伴うエネルギを有効に吸収しつつ、可動部と固定
部とを離間させる付勢力を抑制することができる。
【0021】また、可動部と固定部との衝突に伴って圧
縮された空気泡は、両者の当接が解除された後、衝
和部材を変形前の形状に復帰させるための復元力を発生
する。このため、衝緩和部材は、可動部と固定部との
当接が解除された後、速やかに元の形状に復帰する。衝
緩和部材が速やかに元の形状に復帰すると、電磁駆動
弁の高速運転中も、衝緩和部材が所望の性能を発揮す
る。従って、本発明の電磁駆動弁は、内燃機関の高速運
転中においても優れた静粛性と優れた省電力特性とを維
持する。
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施例の電
磁駆動弁10の断面図を示す。電磁駆動弁10は、内燃
機関の吸気弁または排気弁として用いられる。電磁駆動
弁10は、シリンダヘッド12に装着されている。シリ
ンダヘッド12にはポート14および燃焼室16が設け
られている。電磁駆動弁10は、ポート14と燃焼室1
6とを導通または遮断する弁体18を備えている。
【0024】弁体18には弁軸20が一体に設けられて
いる。シリンダヘッド12の内部にはバルブガイド22
が配設されている。弁軸20は、バルブガイド22によ
り摺動可能に保持されている。弁軸20の上端部には、
ロアリテーナ24が固定されている。ロアリテーナ24
の下部にはロアスプリング26が配設されている。ロア
スプリング26は、ロアリテーナ24を、図1に於ける
上方に向けて付勢している。
【0025】弁軸20の上端部は、アーマチャ軸28に
当接している。アーマチャ軸28は、非磁性材料で構成
された部材である。アーマチャ軸28には、アーマチャ
30が固定されている。アーマチャ30は、磁性材料で
構成された環状の部材である。アーマチャ30の上下に
は、それぞれアッパコア32およびロアコア34が配設
されている。アッパコア32およびロアコア34は磁性
材料で構成された環状の部材である。アッパコア32お
よびロアコア34には、それぞれアッパコイル36およ
びロアコイル38が収納されている。また、アッパコア
32およびロアコア34には、それぞれそれらの中央部
に軸受け40,42が配設されている。アーマチャ軸2
8は、軸受け40,42により摺動可能に保持されてい
る。
【0026】アッパコア32およびロアコア34の外周
には、コアガイド44が配設されている。アッパコア3
2とロアコア34との相対位置は、コアガイド44によ
って適正な関係に維持されている。コアガイド44の上
下には、それぞれ、スペーサシム46,48を介してア
ッパケース50およびロアケース52が固定されてい
る。
【0027】アッパケース50およびロアケース52に
は、それぞれ、コア収納部54,56が設けられてい
る。コア収納部54,56は、アッパコア32およびロ
アコア34のフランジ部分の厚さに比して僅かに大きな
深さを有している。このため、アッパコア32およびロ
アコア34は、コア収納部54,56の内部で、電磁駆
動弁10の軸方向に僅かに変位することができる。
【0028】アッパケース50およびロアケース52に
は、それぞれ、ゲル収納部58,60が設けられてい
る。ゲル収納部58,60には、ゲル部62,64が収
納されている。ゲル部62,64は、それらの中央部に
アーマチャ軸28を貫通させるための貫通孔を備える円
板状に成形されている。ゲル部62,64は、シリコ
ン、スチレンまたはウレタン等のコロイド溶液(ゾル)
をゼリー状に固化させることにより形成されたゲル状の
物質である。ゲル部62,64は、大きな変形性と小さ
な流動性とを併せ持ち、外部からエネルギが入力された
場合に、変形しながらそのエネルギを吸収する。この
際、ゲル部62,64は、入力されたエネルギの一部を
熱エネルギに変換して消費すると共に、入力されたエネ
ルギの残部を弾性エネルギとしてその内部に蓄える。
【0029】アッパケース50の上端にはスプリングガ
イド66およびアジャスタボルト68が配設されてい
る。スプリングガイド66の下部にはアッパリテーナ7
0が配設されている。アッパリテーナ70は、アーマチ
ャ軸28の上端に連結されれている。また、スプリング
ガイド66とアッパリテーナ70との間には、アッパス
プリング72が配設されている。アッパスプリング72
は、アッパリテーナ70およびアーマチャ軸28を、図
1における下方へ向けて付勢している。アーマチャ30
の中立位置は、アジャスタボルト68により調整され
る。本実施例において、アーマチャ30の中立位置は、
アッパコア32とロアコア34の中央部となるように調
整されている。
【0030】以下、電磁駆動弁10の動作について説明
する。アッパコイル36およびロアコイル38に励磁電
流が供給されていない場合は、アーマチャ30がその中
立位置、すなわち、アッパコア32とロアコア34の中
央に維持される。アーマチャ30が中立位置に維持され
た状態で、アッパコイル36に励磁電流が供給される
と、アーマチャ30とアッパコア32との間にアーマチ
ャ30をアッパコア32側へ引き寄せる電磁力が発生す
る。このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル
36に適当な励磁電流を供給することで、弁体18、弁
軸20、アーマチャ軸28およびアーマチャ30をアッ
パコア32側へ変位させることができる。
【0031】電磁駆動弁10において、弁体18等がア
ッパコア32側へ変位する過程では、以下に示す現象が
順次発生する。 (1)弁体18および弁軸20がアーマチャ軸28と一体
となって全閉方向へ変位する現象、(2)ロアリテーナ2
4がゲル部64に衝突する現象、(3)弁体18および
弁軸20がゲル部64を変形させながら全閉位置まで変
位する現象、および、弁軸20から離間したアーマチ
ャ軸28がアーマチャ30とアッパコア32とが当接す
るまで上方へ変位する現象。
【0032】このように、電磁駆動弁10によれば、ア
ッパコイル36に適当な励磁電流を供給することで、上
述した一連の現象を経て弁体18を全閉位置まで変位さ
せることができる。電磁駆動弁10において、ロアリテ
ーナ24がゲル部64に当接した後、ゲル部64が変形
する過程では、ゲル部64によって衝突エネルギが吸収
される。この際、弁体18等の変位速度は急激な低下を
示す。従って、電磁駆動弁10によれば、弁体18が全
閉位置に到達する際に生ずる衝突音を有効に抑制するこ
とができる。
【0033】弁体18が全閉位置に到達する過程で、ゲ
ル部64には、弾性エネルギが蓄えられる。そして、ゲ
ル部64は、その内部に蓄えた弾性エネルギの大きさに
応じた付勢力でロアリテーナ24を全開方向に付勢す
る。従って、弁体18を全閉位置に維持するためにロア
スプリング26に付与すべきバネ定数は、ゲル部64に
蓄えられる弾性エネルギが多量であるほど大きな値とな
る。
【0034】ゲル部64は、ロアリテーナ24の衝突に
伴ってその形状を変化させる過程で、衝突エネルギの一
部を熱エネルギに変換して消費する。このため、弁体1
8が全閉位置に到達する過程でゲル部64に蓄えられる
弾性エネルギは、ロアリテーナ24から入力される衝突
エネルギに比して小さなものとなる。従って、電磁駆動
弁10によれば、ロアスプリング26に不必要に大きな
バネ定数を付与することなく、弁体18を安定して全閉
状態に維持することができる。
【0035】電磁駆動弁10において、アーマチャ30
がアッパコア32に到達すると、アーマチャ30からア
ッパコア32へ衝突エネルギが入力される。上述の如
く、アッパコア32はアッパケース50の内部を軸方向
に変位することができる。このため、アッパコア32に
入力される衝突エネルギは、ゲル部62によって吸収さ
れる。このため、電磁駆動弁10によれば、アーマチャ
30がアッパコア32に到達する際に生ずる衝突音を有
効に抑制することができる。
【0036】アーマチャ30がアッパコア32と当接し
た後、アーマチャ30とアッパコア32との間にはアッ
パスプリング72の付勢力のみが両者を離間させる力と
して作用する。すなわち、アーマチャ30がアッパコア
32と当接している状況下で、ゲル部62,64の付勢
力はアーマチャ30とアッパコア32とを離間させる方
向には何ら作用しない。
【0037】この場合、アーマチャ30とアッパコア3
2との間に、アッパスプリング72の付勢力に抗い得る
電磁力が生じていれば、アーマチャ30とアッパコア3
2とが当接する状態、すなわち、弁体18を全閉位置に
保持するために必要な状態を維持することができる。従
って、電磁駆動弁10によれば、弁体18およびアーマ
チャ30がアッパコア32側に変位する際に優れた静粛
性を実現できると共に、弁体18を全閉位置に保持する
にあたって優れた省電力特性を実現することができる。
【0038】弁体18が全閉状態に維持されている状況
下でアッパコイル36への励磁電流の供給が停止される
と、弁体18、弁軸20、アーマチャ軸28およびアー
マチャ30は、以後、アッパスプリング72およびロア
スプリング26に付勢されることにより、図1における
下方へ変位し始める。電磁駆動弁10によれば、その後
適当なタイミングでロアコイル38に励磁電流を供給す
ることで、弁体18等の変位を、アーマチャ30がロア
コア34に当接するまで継続させることができる。
【0039】電磁駆動弁10において、弁体18等が全
開位置に向けて変位する過程では、以下に示す現象が順
次発生する。 (1)弁体18、弁軸20、アーマチャ軸28およびアー
マチャ30が一体となっ全開位置に向かって変位する現
象、(2)アッパリテーナ70がゲル部62に衝突する現
象、(3)弁体18、弁軸20、アーマチャ軸28および
アーマチャ30がゲル部62を変形させながら全開位置
まで変位する現象、すなわち、弁体18が全開位置に到
達し、かつ、アーマチャ30がロアコア34に衝突する
現象。
【0040】このように、電磁駆動弁10によれば、ロ
アコイル38に適当な励磁電流を供給することで、上述
した一連の現象を経て弁体18を全開位置まで変位させ
ることができる。アッパリテーナ70がゲル部62に当
接した後、ゲル部62が変形する過程ではゲル部62に
よって衝突エネルギが吸収される。この際、弁体18等
の変位速度は急激な低下を示す。従って、電磁駆動弁1
0によれば、弁体18が全開位置に到達する際に生ずる
衝突音を有効に抑制することができる。
【0041】電磁駆動弁10において、アーマチャ30
がロアコア32に到達すると、アーマチャ30からロア
コア34へ衝突エネルギが入力される。上述の如く、ロ
アコア34はロアケース52の内部を軸方向に変位する
ことができる。このため、ロアコア34に入力される衝
突エネルギは、ゲル部64によって吸収される。このた
め、電磁駆動弁10によれば、アーマチャ30がロアコ
ア34に到達する際に生ずる衝突音を有効に抑制するこ
とができる。
【0042】アーマチャ30がロアコア34と当接した
後、アーマチャ30とロアコア34との間には、アッパ
スプリング72およびロアスプリング26の付勢力とゲ
ル部62の付勢力とが、両者を離間させる力として作用
する。すなわち、アーマチャ30がロアコア34と当接
している状況下で、ゲル部64の付勢力はアーマチャ3
0とアッパコア32とを離間させる方向には何ら作用し
ない。
【0043】ゲル部62は、弁体18が全開位置に到達
する過程でその内部に蓄えた弾性エネルギの大きさに応
じた付勢力を発生する。このため、弁体18が全開位置
に位置する状況下で、アーマチャ30とロアコア34と
を離間させようとする付勢力は、すなわち、弁体18を
全開位置から全閉方向に変位させようとする付勢力は、
ゲル部62に蓄えられている弾性エネルギが小さいほど
小さくなる。
【0044】電磁駆動弁10において優れた省電力特性
を得るためには、弁体18を全開位置に保持するために
必要な電力が少量であることが望ましい。かかる要求を
満たす上では、弁体18が全開位置に位置する状況下
で、ゲル部62に蓄えられている弾性エネルギが少量で
あることが望ましい。ゲル部62は、アッパリテーナ7
0に衝突に伴ってその形状を変化させる過程で、アッパ
リテーナ70から入力される衝突エネルギの一部を熱エ
ネルギに変換して消費する。このため、弁体18が全開
位置に到達する過程でゲル部62に蓄えられる弾性エネ
ルギは、アッパリテーナ70から入力される衝突エネル
ギに比して小さなものとなる。従って、電磁駆動弁10
によれば、弁体18が全開位置に到達する際に発生する
衝突エネルギをゲル部62によって有効に吸収させるこ
とができると共に、弁体18を全開位置に保持する際に
優れた省電力特性を発揮することができる。
【0045】上述の如く、本実施例の電磁駆動弁10に
よれば、弁体18が全開位置および全閉位置に到達する
際にアッパリテーナ70とアッパコア32との間、また
は、ロアリテーナ64とロアコア34との間に発生する
衝突エネルギをゲル部62,64に吸収させることがで
きると共に、弁体18の開閉動作に伴ってアーマチャ3
0とロアコア34またはアッパコア32との間に生ずる
衝突エネルギをゲル部62,64に吸収させることがで
きる。このため、電磁駆動弁10によれば、弁体18を
開閉動作させる過程で、優れた静粛性と優れた省電力特
性とを共に実現することができる。
【0046】ところで、電磁駆動弁10においてアーマ
チャ30がアッパコア32に衝突すると、アッパスプリ
ング72にその衝撃が伝達される。この際、アッパスプ
リング72には上記の衝撃に起因する弾性波が発生す
る。アッパスプリング72に弾性波が生ずると、アッパ
スプリング72からアーマチャ軸28に伝達される付勢
力に振幅が生ずる。その結果、アーマチャ30がアッパ
コア32に衝突した直後には、アッパスプリング72
が、静的な状態で発生する付勢力に比して大きな付勢力
を発生する。同様に、アーマチャ30がロアコア34に
衝突した直後には、ロアプリング26が、静的な状態で
発生する付勢力に比して大きな付勢力を発生する。
【0047】電磁駆動弁10を適正に作動させるために
は、アーマチャ30がアッパコア32に到達した後、お
よび、アーマチャ30がロアコア34に到達した後に、
アーマチャ30とアッパコア32との間、または、アー
マチャ30とロアコア34との間に、常に、アッパスプ
リング72またはロアスプリング26が発生するく付勢
力に比して大きな電磁力を発生させることが必要であ
る。従って、電磁駆動弁10に優れた省電力特性を付与
するためには、アッパスプリング72およびロアスプリ
ング26に大きな弾性波を発生させないことが有利であ
る。
【0048】上述の如く、本実施例の電磁駆動弁10に
よれば、アーマチャ30を、緩やかにアッパコア32ま
たはロアコア34に到達させることができる。アッパス
プリング72およびロアスプリング26に発生する弾性
波は、アーマチャ30がアッパコア32またはロアコア
34に緩やかに到達するほど小さくなる。従って、電磁
駆動弁10によれば、弾性波に起因する付勢力の振幅を
小さく抑制することができる。電磁駆動弁10は、この
点においても、優れた省電力特性を実現することができ
る。
【0049】次に、図2乃至図5を参照して、電磁駆動
弁10のゲル部62,64に好適な形状について説明す
る。図2は、ゲル部74の平面図を示す。また、図3
は、ゲル部74を図2に示すIII-III 直線に沿って切断
することにより得られる断面図を示す。図2および図3
に示すゲル部74は、電磁駆動弁10のゲル部62,6
4に好適なゲル部の一例である。
【0050】ゲル部74は、その一方の面に放射状に延
在する複数の凸部76を備えている。ゲル部74は、凸
部76がアッパリテーナ70またはロアリテーナ24と
対抗する状態で用いられる。ゲル部74によれば、アッ
パリテーナ70またはロアリテーナ24とゲル部74と
が当接した際に、凸部76を大きく変形させることによ
り、衝突エネルギを多分に熱エネルギとして消費し、か
つ、アッパリテーナ70またはロアリテーナに作用する
たわみ荷重(付勢力)を小さく抑制することができる。
このため、ゲル部74によれば、電磁駆動弁10に、優
れた静粛性と優れた省電力特性とを付与することができ
る。
【0051】図4は、ゲル部78の平面図を示す。ま
た、図5は、ゲル部78を図4に示すV-V 直線に沿って
切断することにより得られる断面図を示す。図4および
図5に示すゲル部78は、電磁駆動弁10のゲル部6
2,64に好適なゲル部の他の例である。ゲル部78
は、その一方の面に複数の凸部80を備えている。ゲル
部78は、凸部80がアッパリテーナ70またはロアリ
テーナ24と対抗する状態で用いられる。ゲル部78に
よれば、アッパリテーナ70またはロアリテーナ24と
ゲル部74とが当接した際に、凸部80を大きく変形さ
せることにより、衝突エネルギを多分に熱エネルギとし
て消費し、かつ、アッパリテーナ70またはロアリテー
ナに作用するたわみ荷重(付勢力)を小さく抑制するこ
とができる。このため、ゲル部78によれば、電磁駆動
弁10に、優れた静粛性と優れた省電力特性とを付与す
ることができる。
【0052】次に、図6を参照して、本発明の第2実施
例について説明する。図6は、本発明の第2実施例であ
る電磁駆動弁90の断面図を示す。尚、図6において、
上記図1に示す構成部分と同一の部分については、同一
の符号を付してその説明を省略する。電磁駆動弁90
は、ロアケース52に設けられたゲル収納部60にゲル
部92を収納している。ゲル部92は、ゲル収納部60
の形状に合わせて環状に成形されている。電磁駆動弁9
0は、また、アジャスタボルト68の下方にゲル部94
を備えている。ゲル部94は、弁体18が全閉位置の近
傍に到達した際にアーマチャ軸28の上端部と当接する
ように設けられている。
【0053】電磁駆動弁90によれば、アッパコイル3
6に励磁電流を供給することで、弁体18を全閉方向へ
変位させることができる。電磁駆動弁90において、弁
体18が全閉方向に変位する過程では、以下に示す一連
の現象が順次発生する。 (1)弁体18、弁軸20およびアーマチャ軸28と一体
となって全閉方向へ変位する現象、(2)アーマチャ軸2
8がゲル部94に衝突する現象、(3)弁体18、弁軸2
0およびアーマチャ軸28がゲル部94を変形させなが
ら全閉方向へ変位する現象、(4)弁体18が全閉位置に
到達した後、弁軸20から離間したアーマチャ軸28
が、ゲル部94を変形させながらアーマチャ30とアッ
パコア32とが当接するまで上方へ変位する現象。
【0054】このように、電磁駆動弁90によれば、ア
ッパコイル36に適当な励磁電流を供給することで、上
述した一連の現象を経て弁体18を全閉位置まで変位さ
せることができる。電磁駆動弁90において、ゲル部6
4が変形する過程では衝突エネルギがゲル部94に吸収
される。この際、弁体18等の変位速度は急激な低下を
示す。従って、電磁駆動弁90によれば、弁体18が全
閉位置に到達する際に生ずる衝突音を有効に抑制するこ
とができる。
【0055】また、電磁駆動弁90において、アーマチ
ャ30がアッパコア32に到達すると、アーマチャ30
からアッパコア32へ衝突エネルギが入力される。この
ようにしてアッパコア32に入力される衝突エネルギ
は、ゲル部94に吸収されると共に、ゲル部62によっ
ても吸収される。このため、電磁駆動弁90によれば、
アーマチャ30がアッパコア32に到達する際に生ずる
衝突音を有効に抑制することができる。
【0056】アーマチャ30がアッパコア32に到達し
た後、アーマチャ30とアッパコア32との間には、ア
ッパスプリング72の付勢力およびゲル部94の付勢力
が、それらを離間させる力として作用する。ゲル部94
は、その内部に蓄えた弾性エネルギの大きさに応じた付
勢力を発生する。また、ゲル部94は、その形状を変化
させる過程で衝突エネルギの一部を熱エネルギに変換し
て消費する。
【0057】このため、弁体18が全閉位置に位置する
状況下でゲル部94に蓄えられている弾性エネルギはア
ーマチャ軸28から入力される衝突エネルギに比して小
さなものとなる。従って、電磁駆動弁90によれば、弁
体18を全閉位置に維持する際に優れた省電力特性を実
現することができる。電磁駆動弁90によれば、アッパ
コイル36への励磁電流の供給を停止し、適当なタイミ
ングでロアコイル38への励磁電流の供給を開始するこ
とで、弁体18を全開位置まで変位させることができ
る。弁体19が全開位置まで変位する過程で、ゲル部6
2およびゲル部92は、第1実施例におけるゲル部6
2,64と同様に機能する。従って、電磁駆動弁90に
よれば、弁体18が全閉方向に変位する際に優れた静粛
性を実現できると共に、弁体18を全閉位置に保持する
際に優れた省電力特性を実現することができる。
【0058】上述の如く、本実施例の電磁駆動弁90に
よれば、第1実施例の電磁駆動弁10と同様に、弁体1
8を開閉動作させる過程で、優れた静粛性と優れた省電
力特性とを共に実現することができる。次に、図7を参
照して、本発明の第3実施例について説明する。図7
は、本発明の第3実施例である電磁駆動弁100の断面
図を示す。尚、図7において、上記図1に示す構成部分
と同一の部分については、同一の符号を付してその説明
を省略する。
【0059】電磁駆動弁100は、第2実施例の電磁駆
動弁90におけるゲル部94に代えて、アジャスタボル
ト68の下方にスプリング102およびゲル部104を
備えている。スプリング102およびゲル部104は、
上記のゲル部94と同様に、弁体18が全閉位置の近傍
に到達した際にゲル部104とアーマチャ軸28の上端
部とが当接するように設けられている。
【0060】電磁駆動弁100は、スプリング102お
よびゲル部104を備えている点を除き、第2実施例の
電磁駆動弁90と同様の構成を有している。また、電磁
駆動弁100において、スプリング102およびゲル部
104は上記のゲル部94と同様に機能する。従って、
電磁駆動弁100によれば、第1および第2実施例の電
磁駆動弁10,90と同様に、弁体18を開閉動作させ
る過程で、優れた静粛性と優れた省電力特性とを共に実
現することができる。
【0061】次に、図8を参照して、本発明の第4実施
例について説明する。図8は、本発明の第4実施例であ
る電磁駆動弁110の断面図を示す。尚、図8におい
て、上記図1に示す構成部分と同一の部分については、
同一の符号を付してその説明を省略する。電磁駆動弁1
10は、アッパコア112およびロアコア114を備え
ている。アッパコア112およびロアコア114には、
それぞれアッパコイル36およびロアコア38が収納さ
れている。電磁駆動弁110は、アッパコイル36とア
ーマチャ30との間、および、ロアコイル38とアーマ
チャ30との間に介在するようにゲル部116,118
を備えている点に特徴を有している。
【0062】図9は、ロアコア114に収納されるロア
コイル38の周辺の拡大図を示す。図9に示す如く、ロ
アコア114は、ロアコイル38の上部にゲル収納部1
20を備えている。ゲル収納部120は、ロアコイル3
8の幅に比して僅かに大きな幅を備えている。ゲル収納
部120には、ゲル部118および非磁性金属板122
が収納されている。ゲル部118は、その表面がロアコ
ア114の面から僅かに突出するように設けられてい
る。このため、アーマチャ30がロアコア114に当接
する際にはゲル部118に衝突エネルギを吸収させるこ
とができる。
【0063】本実施例において、ロアコイル38は樹脂
性のボビンを備えている。このため、ロアコイルには大
きな応力が作用しないことが望ましい。電磁駆動弁11
0において、非磁性金属板122はゲル部118とロア
コイル38との間に介在するように配設されている。こ
のため、電磁駆動弁110によれば、ゲル部118が衝
突エネルギを吸収する際にロアコイル38に大きな応力
が作用するのを避けることができる。
【0064】電磁駆動弁110は、アッパコア112側
にも、ロアコア114側と同様の構造を有している。こ
のため、電磁駆動弁110によれば、アーマチャ30が
アッパコア112に到達する際に、アッパコイル36に
大きな応力を作用させることなくゲル部116に衝突エ
ネルギを吸収させることができる。電磁駆動弁110に
よれば(図8参照)、アッパコイル36に励磁電流を供
給することで弁体18を全閉位置に向けて変位させるこ
とができる。電磁駆動弁110において弁体18が全閉
位置に向けて変位する過程では、以下に示す現象が順次
発生する。
【0065】(1)弁体18、弁軸20およびアーマチャ
軸28が一体となって全閉方向へ変位する現象、(2)ア
ーマチャ30がゲル部116に衝突する現象、(3)ゲル
部116を変形させながら弁体18、弁軸20およびア
ーマチャ軸28が一体となって全閉位置に向けて変位す
る現象、(4)弁体18が全閉位置に到達した後、弁軸2
0から離間したアーマチャ軸28およびアーマチャ30
が、ゲル部116を変形させながら、アーマチャ30と
アッパコア32とが当接するまで上方へ変位する現象。
【0066】アーマチャ30がゲル部116に当接した
後、ゲル部116が変形する過程ではゲル部116によ
って衝突エネルギが吸収される。この際、弁体18等の
変位速度は急激な低下を示す。従って、電磁駆動弁11
0によれば、弁体18が全閉位置に到達する際に生ずる
衝突音、および、アーマチャ30がアッパコア32に到
達する際に生ずる衝突音を有効に抑制することができ
る。
【0067】アーマチャ30がアッパコア32と当接し
た後、アーマチャ30とアッパコア32とは、アッパス
プリング72の付勢力およびゲル部116の付勢力によ
り離間方向に付勢される。ゲル部116は、その内部に
蓄えた弾性エネルギの大きさに応じた付勢力を発生す
る。また、ゲル部116は、その形状を変化させる過程
で、衝突エネルギの一部を熱エネルギに変換して消費す
る。
【0068】このため、弁体18が全閉位置に位置する
状況下でゲル部116に蓄えられる弾性エネルギは、ア
ーマチャ30から入力される衝突エネルギに比して小さ
なものとなる。従って、電磁駆動弁110によれば、弁
体18およびアーマチャ30が全閉位置に向けて変位す
る際に優れた静粛性を実現できると共に、弁体18を全
閉位置に保持する際に優れた省電力特性を実現すること
ができる。
【0069】電磁駆動弁110によれば、弁体18が全
閉状態に維持されている状況下でアッパコイル36への
励磁電流の供給を停止し、その後、適当なタイミングで
ロアコイル38への励磁電流の供給を開始すると、弁体
18を全開位置まで変位させることができる。電磁駆動
弁110において、弁体18が全開位置に向けて変位す
る過程では、弁体18が全開位置に向けて変位する過程
と同様に、衝突エネルギがゲル部118によって吸収さ
れる。従って、電磁駆動弁110によれば、弁体18が
全開位置に向けて変位する際にも優れた静粛性を実現す
ることができ、また、弁体18を全開位置に保持する際
にも優れた省電力特性を実現することができる。
【0070】上述の如く、本実施例の電磁駆動弁110
によれば、第1乃至第3実施例の電磁駆動弁10,9
0,100と同様に、弁体18を開閉動作させる過程
で、優れた静粛性と優れた省電力特性とを共に実現する
ことができる。次に、図10を参照して、本発明の第5
実施例について説明する。図10は、本発明の第5実施
例である電磁駆動弁130の断面図を示す。尚、図10
において、上記図1または図10に示す構成部分と同一
の部分については、同一の符号を付してその説明を省略
する。
【0071】電磁駆動弁130は、アッパコア132お
よびロアコア134を備えている。アッパコア132お
よびロアコア134には、それぞれアッパコイル136
およびロアコア138が収納されている。電磁駆動弁1
30は、アッパコイル136の上下に配設されるゲル部
140,142、および、ロアコイル138の上下に配
設されるゲル部146,148を備えている点に特徴を
有している。
【0072】図11は、ロアコア134に収納されるロ
アコイル138の周辺の拡大図を示す。図11に示す如
く、ゲル部146は、その表面がロアコア134の面か
ら僅かに突出するように設けられている。このため、ア
ーマチャ30がロアコア134に当接する際にはゲル部
146に衝突エネルギを吸収させることができる。本実
施例において、2つのゲル部146,148およびロア
コイル138は、ほぼ同じ幅を有している。このため、
ゲル部146に衝突エネルギが入力されると、そのエネ
ルギはロアコイル138を伝ってゲル部148に入力さ
れる。従って、本実施例の電磁駆動弁130によれば、
アーマチャ30がロアコア134に衝突する際に生ずる
衝突エネルギを2つのゲル部146,148で吸収する
ことができる。
【0073】本実施例において、ロアコイル138は非
磁性金属材料で構成されたボビン150を備えており、
ボビン150は、応力に対して高い剛性および耐久性を
備えている。このため、電磁駆動弁130によれば、ア
ーマチャ30がロアコア134に衝突する毎にロアコイ
ル138に応力が作用しても、何ら不都合は生じない。
電磁駆動弁130は、アッパコア132側にも、ロアコ
ア134側と同様の構造を有している。このため、電磁
駆動弁130によれば、アーマチャ30がアッパコア1
32に到達する際に、何ら不都合を伴うことなく衝突エ
ネルギを2つのゲル部14,14に吸収させること
ができる。
【0074】電磁駆動弁130によれば(図10参
照)、アッパコイル36に励磁電流を供給することで弁
体18を全閉位置に向けて変位させることができる。電
磁駆動弁130において弁体18が全閉位置に向けて変
位する過程では、以下に示す現象が順次発生する。 (1)弁体18、弁軸20およびアーマチャ軸28が一体
となって全閉方向へ変位する現象、(2)アーマチャ30
がゲル部142に衝突する現象、(3)ゲル部140,1
42を変形させながら弁体18、弁軸20およびアーマ
チャ軸28が一体となって全閉位置に向けて変位する現
象、(4)弁体18が全閉位置に到達した後、弁軸20か
ら離間したアーマチャ軸28およびアーマチャ30が、
ゲル部140,142を変形させながら、アーマチャ3
0とアッパコア32とが当接するまで上方へ変位する現
象。
【0075】アーマチャ30がゲル部142に当接した
後、ゲル部140,142が変形する過程ではゲル部1
40,142によって衝突エネルギが吸収される。この
際、弁体18等の変位速度は急激な低下を示す。従っ
て、電磁駆動弁110によれば、弁体18が全閉位置に
到達する際に生ずる衝突音、および、アーマチャ30が
アッパコア132に到達する際に生ずる衝突音を有効に
抑制することができる。
【0076】アーマチャ30がアッパコア132と当接
した後、アーマチャ30とアッパコア32とは、アッパ
スプリング72の付勢力および2つのゲル部140,1
42の付勢力により離間方向に付勢される。ゲル部14
0,142は、その内部に蓄えた弾性エネルギの大きさ
に応じた付勢力を発生する。また、ゲル部140,14
2は、その形状を変化させる過程で衝突エネルギの一部
を熱エネルギに変換して消費する。
【0077】このため、弁体18が全閉位置に位置する
状況下でゲル部140,142に蓄えられる弾性エネル
ギは、アーマチャ30から入力される衝突エネルギに比
して小さなものとなる。従って、電磁駆動弁130によ
れば、弁体18およびアーマチャ30が全閉位置に向け
て変位する際に優れた静粛性を実現できると共に、弁体
18を全閉位置に保持する際に優れた省電力特性を実現
することができる。
【0078】電磁駆動弁130によれば、弁体18が全
閉状態に維持されている状況下でアッパコイル36への
励磁電流の供給を停止し、その後、適当なタイミングで
ロアコイル38への励磁電流の供給を開始すると、弁体
18を全開位置まで変位させることができる。電磁駆動
弁130において、弁体18が全開位置に向けて変位す
る過程では、弁体18が全開位置に向けて変位する過程
と同様に、衝突エネルギがゲル部146,148によっ
て吸収される。従って、電磁駆動弁130によれば、弁
体18が全開位置に向けて変位する際にも優れた静粛性
を実現することができ、また、弁体18を全開位置に保
持する際にも優れた省電力特性を実現することができ
る。
【0079】上述の如く、本実施例の電磁駆動弁130
によれば、第1乃至第4実施例の電磁駆動弁10,9
0,100,110と同様に、弁体18を開閉動作させ
る過程で、優れた静粛性と優れた省電力特性とを共に実
現することができる。次に、図12を参照して、本発明
の第6実施例について説明する。図12は、本発明の第
6実施例である電磁駆動弁160の断面図を示す。尚、
図12において上記図1乃至図4に示す構成部分と同一
の部分については、同一の符号を付してその説明を省略
する。
【0080】電磁駆動弁160は、弁軸162およびア
ーマチャ軸164を備えている。弁軸162とアーマチ
ャ軸164とは一体に構成されている。図12に示す如
く、弁軸162およびアーマチャ軸164は、弁体18
が全閉位置に位置する際に、アーマチャ30とアッパコ
ア32との間に所定のクリアランスが形成されるように
構成されている。従って、電磁駆動弁160によれば、
アーマチャ30とアッパコア32とを衝突させることな
く弁体18を開閉動作させることができる。
【0081】弁体18が全閉状態に到達する際にアーマ
チャ30とアッパコア32とが衝突しない構成によれ
ば、弁体18が全閉状態に到達する際に、大きな衝突音
は生じない。このため、電磁駆動弁160によれば、全
閉位置に到達する直前で弁体18の変位速度を減速する
機構を備えていないにも関わらず、弁体18が全閉方向
に変位する際に、適当な静粛性を確保することができ
る。
【0082】弁体18が全閉位置に到達した後、アーマ
チャ30とアッパコア32との間には、アッパスプリン
グ72の付勢力のみがそれらを離間させる力として作用
する。この場合、アッパコア32とアーマチャ30との
間に、アッパスプリング72の付勢力に勝る電磁力を発
生させることで弁体18を安定に全閉位置に保持するこ
とができる。従って、電磁駆動弁160によれば、弁体
18を全閉位置に保持する際に優れた省電力特性を実現
することができる。
【0083】電磁駆動弁160において、ゲル部62お
よびゲル部92は、上述した第2または第3実施例(図
6または図7)の場合と同様に機能する。従って、電磁
駆動弁160によれば、弁体18が全開方向に変位する
際に優れた静粛性を実現することができると共に、弁体
18を全開位置に保持する際に優れた省電力特性を実現
することができる。このように、本実施例の電磁駆動弁
160によれば、弁体18を開閉動作させる過程で、優
れた静粛性と優れた省電力特性とを共に実現することが
できる。
【0084】次に、図13を参照して、本発明の第7実
施例について説明する。図13は、本発明の第7実施例
である電磁駆動弁170の断面図を示す。尚、図13に
おいて上記図8または図12に示す構成部分と同一の部
分については、同一の符号を付してその説明を省略す
る。電磁駆動弁170は、上述した弁軸162およびア
ーマチャ軸164を備えている。従って、電磁駆動弁1
70によれば、アーマチャ30とアッパコア32とを衝
突させることなく弁体18を開閉動作させることができ
る。このため、電磁駆動弁170によれば、第6実施例
の場合と同様に、弁体18が全閉方向に変位する際に、
適当な静粛性を確保することができる。
【0085】弁体18が全閉位置に到達した後、アーマ
チャ30とアッパコア32との間には、アッパスプリン
グ72の付勢力のみがそれらを離間させる力として作用
する。従って、電磁駆動弁170によれば、第6実施例
の場合と同様に、弁体18を全閉位置に保持する際に優
れた省電力特性を実現することができる。電磁駆動弁1
70において、ゲル部118は、上述した第4実施例
(図8)の場合と同様に機能する。従って、電磁駆動弁
170によれば、弁体18が全開方向に変位する際に優
れた静粛性を実現することができると共に、弁体18を
全開位置に保持する際に優れた省電力特性を実現するこ
とができる。このように、本実施例の電磁駆動弁170
によれば、弁体18を開閉動作させる過程で、優れた静
粛性と優れた省電力特性とを共に実現することができ
る。
【0086】次に、図14を参照して、本発明の第8実
施例について説明する。図14は、本発明の第8実施例
である電磁駆動弁180の断面図を示す。尚、図14に
おいて上記図10または図12に示す構成部分と同一の
部分については、同一の符号を付してその説明を省略す
る。電磁駆動弁180は、上述した弁軸162およびア
ーマチャ軸164を備えている。従って、電磁駆動弁1
80によれば、アーマチャ30とアッパコア32とを衝
突させることなく弁体18を開閉動作させることができ
る。このため、電磁駆動弁180によれば、第6または
第7実施例の場合と同様に、弁体18が全閉方向に変位
する際に、適当な静粛性を確保することができる。
【0087】弁体18が全閉位置に到達した後、アーマ
チャ30とアッパコア32との間には、アッパスプリン
グ72の付勢力のみがそれらを離間させる力として作用
する。従って、電磁駆動弁180によれば、第6または
第7実施例の場合と同様に、弁体18を全閉位置に保持
する際に優れた省電力特性を実現することができる。電
磁駆動弁180において、ゲル部146,148は、上
述した第5実施例(図10)の場合と同様に機能する。
従って、電磁駆動弁180によれば、弁体18が全開方
向に変位する際に優れた静粛性を実現することができる
と共に、弁体18を全開位置に保持する際に優れた省電
力特性を実現することができる。このように、本実施例
の電磁駆動弁180によれば、弁体18を開閉動作させ
る過程で、優れた静粛性と優れた省電力特性とを共に実
現することができる。
【0088】次に、図15乃至図17を参照して、本発
明の第9実施例について説明する。図15は、本発明の
第9実施例である電磁駆動弁190の断面図を示す。
尚、図15において上記図1に示す構成部分と同一の部
分については、同一の符号を付してその説明を省略す
る。電磁駆動弁190は、アッパコア32の上部に複数
のスライド部材192を備えている。スライド部材19
2はアッパリテーナ70と対向する部分に傾斜面194
を備えている。スライド部材192は、それぞれ、スプ
リング196により電磁駆動弁190の中央部に向けて
付勢されている。本実施例において、スライド部材19
2は、アルミ、チタン、樹脂等のヤング率の低い物質、
すなわち、衝突の緩和に適した物質で構成されている。
【0089】図16は、スライド部材192を図15に
示すXVI-XVI 矢視で表した図を示す。図16に示す如
く、電磁駆動弁190は、周方向に等間隔に並べられた
4つのスライド部材192および4つのスプリング19
6を備えている。電磁駆動弁190は、ロアコア34の
下部にも、アッパコア32の上部と同様に、周方法に等
間隔に並べられた4つのスライド部材198および4つ
のスプリング200を備えている。スライド部材198
には、ロアリテーナ24と対向する部分に傾斜面202
が形成されている。また、スライド部材198は、上述
したスライド部材192と同様にヤング率の低い物質で
構成されている。
【0090】電磁駆動弁190によれば(図15参
照)、アッパコイル36に励磁電流を供給することで、
弁体18を全閉方向へ変位させることができる。電磁駆
動弁190において、弁体18が全閉方向に変位する過
程では、以下に示す一連の現象が順次発生する。 (1)弁体18、弁軸20およびアーマチャ軸28と一体
となって全閉方向へ変位する現象、(2)ロアリテーナ2
4がスライド部材198に衝突する現象、(3)弁体1
8、弁軸20およびロアリテーナ24がスライド部材1
98を押し拡げながら全閉位置に向かって変位する現
象、および、弁軸20から離間したアーマチャ軸28
が、アーマチャ30とアッパコア32とが当接するまで
上方へ変位する現象。
【0091】電磁駆動弁190において、ロアリテーナ
24がスライド部材198に当接した後、スライド部材
198が押し拡げられる過程では、弁体18の変位速度
が急激な低下を示す。従って、電磁駆動弁10によれ
ば、弁体18が全閉位置に到達する際に生ずる衝突音を
有効に抑制することができる。また、電磁駆動弁190
において、アーマチャ30がアッパコア32に到達した
後は、アッパスプリング72の付勢力のみがアーマチャ
30とアッパコア32とを離間させる力として作用す
る。従って、電磁駆動弁190においては、アーマチャ
30とアッパコア32との間に、アッパスプリング72
の付勢力に勝る電磁力を発生させることで弁体18を安
定して全閉位置に保持することができる。このため、電
磁駆動弁10によれば、弁体18を全閉位置に保持する
際に優れた省電力特性を実現することができる。
【0092】電磁駆動弁190によれば、アッパコイル
36への励磁電流の供給を停止し、適当なタイミングで
ロアコイル38への励磁電流の供給を開始することで、
弁体18を全開位置まで変位させることができる。電磁
駆動弁190において、弁体18が全開方向に変位する
過程では、以下に示す一連の現象が順次発生する。 (1)弁体18、弁軸20およびアーマチャ軸28と一体
となって全閉方向へ変位する現象、(2)アッパリテーナ
70がスライド部材192に衝突する現象、(3)弁体1
8、弁軸20、アーマチャ軸28およびアッパリテーナ
70がスライド部材192を押し拡げながら全開位置に
向かって変位する現象。
【0093】電磁駆動弁190において、アッパリテー
ナ70がスライド部材192に当接した後、スライド部
材192が押し拡げられる過程では、弁体18の変位速
度が急激な低下を示す。従って、電磁駆動弁10によれ
ば、弁体18が全開位置に到達する際に生ずる衝突音を
有効に抑制することができる。電磁駆動弁190におい
て、アーマチャ30は、スライド部材192が所定長だ
け押し拡げられることによりロアコア34に到達するこ
とができる。スライド部材192がアッパリテーナ70
により所定長だけ押し拡げられた状態では、アッパリテ
ーナ70が、スライド部材192およびスプリング19
6によって、所定の付勢力で図15における上方へ付勢
される。
【0094】従って、電磁駆動弁190において、弁体
18を全開位置に保持するためには、アーマチャ30と
アッパコア32やの間に、アッパスプリング72の付勢
力と、スライド部材192からアッパリテーナ70に入
力される付勢力とを合力に勝る電磁力を発生させること
が必要である。この場合、電磁駆動弁190において優
れた省電力特性を実現するためには、スライド部材19
2からアッパリテーナ70に入力される付勢力が小さい
ことが望ましい。
【0095】図17は、アッパリテーナ70とスライド
部材192との間で授受される力の大きさを説明するた
めの図を示す。本実施例において、アッパリテーナ70
の形状、および、スライド部材192の形状は、両者の
接触面に所定角θの傾斜が生ずるように設計されてい
る。尚、所定角θは、アッパリテーナ70に鉛直方向の
付勢力FI が入力された場合にアッパリテーナ70とス
ライド部材192との摺動を許容し、かつ、スライド部
材192に水平方法の付勢力FR が入力された場合にア
ッパリテーナ70とスライド部材192との摺動を許容
する所定の角度である。
【0096】図17中に一点鎖線で示すベクトルは、ア
ッパリテーナ70に鉛直方向の付勢力FI が入力された
場合にアッパリテーナ70からスライド部材192へ伝
達される力の大きさを説明するためのベクトルである。
図17に示す如く、アッパリテーナ70に対して付勢力
I が入力されると、スライド部材192には、傾斜角
θに対して垂直な方向から“FI sinθ”の大きさを有
する付勢力が伝達される。上記の付勢力“FI sinθ”
は、大きさ“F I sinθ・ cosθ”で表される水平方向
成分を有している。従って、アッパリテーナ70に付勢
力FI が入力される場合、スライド部材192は、付勢
力“FIsinθ・ cosθ”で拡径方向に付勢される。
【0097】このように、スライド部材192は、アッ
パリテーナ70から入力される付勢力を“ sinθ・ cos
θ”倍に減衰してスプリング196に伝達する。この場
合、スプリング196に蓄えられる弾性エネルギは、ア
ッパリテーナ70からスライド部材192に入力される
衝突エネルギを所定の比率で減衰させたものとなる。従
って、電磁駆動弁190によれば、弁体18が全開位置
に到達する際に生ずる衝突エネルギを、スプリング19
6に大きな弾性エネルギを蓄えることなく十分に吸収す
ることができる。
【0098】図17中に実線で示すベクトルは、スプリ
ング196からスライド部材192に付勢力FR が入力
された場合にスライド部材192からアッパリテーナ7
0へ伝達される力の大きさを説明するためのベクトルで
ある。図17に示す如く、スライド部材192に対して
付勢力FR が入力されると、アッパリテーナ70には、
傾斜角θに対して垂直な方向から“FR sinθ”の大き
さを有する付勢力が伝達される。上記の付勢力“FR s
inθ”は、大きさ“F R sinθ・ cosθ”で表される垂
直方向成分を有している。従って、スプリング196が
付勢力FR を発生する場合、アッパリテーナ70は、付
勢力“FR sinθ・ cosθ”で上方に付勢される。
【0099】このように、スライド部材192は、スプ
リング196から入力される付勢力を“ sinθ・ cos
θ”倍に減衰してアッパリテーナ70に伝達する。この
ため、電磁駆動弁190によれば、アッパリテーナ70
を上方に付勢する付勢力を、すなわち、弁体18を全開
位置から全閉方向へ付勢する付勢力を、スプリング19
6に蓄えられている弾性エネルギに対して小さな値に抑
制することができる。
【0100】上述の如く、電磁駆動弁190によれば、
弁体18が全開状態となる際に発生する衝突エネルギを
適正にスライド部材192およびスプリング196に吸
収させることができる。従って、電磁駆動弁190によ
れば、弁体18が全開位置に変位する過程で、優れた静
粛性を実現することができる。また、電磁駆動弁190
によれば、弁体18が全開状態となる際にスプリング1
96に蓄えられる弾性エネルギを、その際に発生する衝
突エネルギに比して小さくすることができると共に、弁
体18が全開位置に位置する状況下でアッパリテーナ7
0に伝達される付勢力を、スプリング196に蓄えられ
ている弾性エネルギに対して小さな値とすることができ
る。このため、電磁駆動弁190によれば、弁体18を
全開位置に維持する際に優れた省電力特性を実現するこ
とができる。
【0101】に、図18および図19を参照して、本
発明の第10実施例について説明する。本実施例の電磁
駆動弁は、上記図15に示す電磁駆動弁190におい
て、スライド部材192,198およびスプリング19
6,200に代えて、ガータスプリング210が用いら
れる点に特徴を有している。
【0102】図18は、本実施例において電磁駆動弁1
90に用いられるガータスプリング210の平面図を示
す。図18に示す如く、ガータスプリング210は、螺
旋構造のスプリングを環状に成形して構成されたスプリ
ングである。本実施例の電磁駆動弁において、ガータス
プリング210は、そのスプリング部分をアッパリテー
ナ70またはロアリテーナ24と対向させた状態で用い
られる。
【0103】図19は、アッパリテーナ70の位置とガ
ータスプリング210の状態との関係を表す図を示す。
図19中左側に示す状態は、アッパリテーナ70がガー
タスプリング210から離間している状態を示す。上記
の状態は、電磁駆動弁の弁体18が全開位置から離間し
ている場合に実現される。この場合、ガータスプリング
210の半径は所定長Rに一致する。
【0104】図19中右側に示す状態は、アッパリテー
ナ70がガータスプリング210に当接している状態を
示す。上記の状態は、電磁駆動弁の弁体18が全開位置
の近傍に位置している場合に実現される。この場合、ガ
ータスプリング210はアッパリテーナ70によって拡
径される。その結果、ガータスプリング210の半径
は、所定長Rに比して長いR+ΔRとなる。ガータスプ
リング210は、その半径がRからR+ΔRに拡径され
ると、縮径方向にΔRに比例した付勢力を発生する。
【0105】本実施例において、アッパリテーナ70の
形状は、アッパリテーナ70とガータスプリング210
との接触点において、ガータスプリング210の接線方
向が水平方向に対して所定角θだけ傾斜するように設計
されている。この場合、ガータスプリング210は、第
9実施例におけるスライド部材192およびスプリング
196と同様に機能する。従って、本実施例の電磁駆動
弁よれば、第9実施例の電磁駆動弁と同様に、弁体18
を全開位置に維持する際に優れた省電力特性を実現する
ことができる。
【0106】に、図20乃至図22を参照して、本発
明の第11実施例について説明する。本実施例の電磁駆
動弁は、上記図15に示す電磁駆動弁190において、
スライド部材192,198およびスプリング196,
200に代えて、Cリング220が用いられる点に特徴
を有している。
【0107】図20は、本実施例において電磁駆動弁1
90に用いられるCリング220の平面図を示す。ま
た、図21は、Cリング220を図20に示すXXI-XXI
直線で切断した際に得られる断面図を示す。図20に示
す如く、Cリング220は、その一部にギャップ部22
2を備えている。Cリング220は、ギャップ部222
を拡げることで拡径方向に変形することができる。ま
た、図21に示す如く、Cリング220は、その内周側
にスリット部224を備えている。Cリング220は、
スリット部224を縮小させることにより、断面積を減
少させる方向に変形することができる。
【0108】本実施例の電磁駆動弁において、Cリング
220は、その環状部分がアッパリテーナ70またはロ
アリテーナ24と対向させた状態で用いられる。従っ
て、Cリング220は、弁体18が全開位置近傍または
全閉位置近傍に到達した時点で、アッパリテーナ70ま
たはロアリテーナ24に当接する。Cリング220の半
径は、上記図18に示すガータスプリング210と同様
に、自由状態で所定長Rに一致する。また、Cリング2
20の環状部の半径は、自由状態で所定長rに一致す
る。Cリング220は、アッパリテーナ70またはロア
リテーナ24と当接することにより、その半径をR+Δ
Rに変化させると共に、環状部の半径をr+Δrに変化
させる。
【0109】Cリング220の半径が所定長RからR+
ΔRに変化すると、Cリング220は縮径方向にΔRに
比例した付勢力を発生する。また、Cリング220は、
環状部の半径が所定長rからr+Δrに変化すると、環
状部を拡径させる方向にΔrに比例した付勢力を発生す
る。本実施例において、アッパリテーナ70の形状は、
アッパリテーナ70とCリング220との接触点におい
て、Cリング220の接線方向が水平方向に対して所定
角θだけ傾斜するように設計されている。この場合、C
リング220とアッパリテーナ70との間では、第9ま
たは第10実施例の場合と同様に、所定の比率で減衰さ
れた付勢力が伝達される。
【0110】ところで、Cリング220は、アッパリテ
ーナ70またはロアリテーナ24から比較的小さな力が
入力されることにより拡径方向に変形する。一方、Cリ
ング220の環状部を縮径方向に変形させるためには、
アッパリテーナ70またはロアリテーナ24からCリン
グ220へ、比較的大きな力を入力する必要がある。こ
のため、弁体18が全開位置近傍または全閉位置近傍に
変位した後、Cリング220は、先ず拡径方向に弾性変
形し、その後、その環状部を縮径方向に変形させる。こ
の場合、Cリング220からアッパリテーナ70または
ロアリテーナ24に伝達される付勢力は、弁体18の変
位量に対して非線型な関係を示す。
【0111】図22は、本実施例の電磁駆動弁におい
て、アッパリテーナ70またはロアリテーナ24がCリ
ング220から受ける付勢力と、弁体18の変位量との
関係を示す。Cリング220からアッパリテーナ70ま
たはロアリテーナ24に伝達される付勢力は、具体的に
は、図22に示す如く、弁体18が全開位置または全閉
位置に近づくに連れて急激な増加傾向を示す。
【0112】アッパリテーナ70またはロアリテーナ2
4に伝達される付勢力が、図22に示す如き変化を示す
場合、弁体18が全開位置または位置位置に到達する際
に生ずる衝突音を有効に抑制することができる。従っ
て、本実施例の電磁駆動弁によれば、上述した第9また
は第10実施例の電磁駆動弁に比して、更に優れた静粛
性を実現することができる。
【0113】に、本発明の第12実施例について説明
する。本実施例の電磁駆動弁は、上述した第1乃至第8
実施例の電磁弁が備えるゲル部(図1、図6〜8、図1
0および図12〜14)に代えて、シリコン系の発泡材
で構成された衝撃吸収部材を配設することにより実現さ
れる。本実施例において用いれる衝撃吸収部材は、よ
り具体的には、常温硬化型シリコンに発泡剤を混入して
微細発泡させた後に、上述したゲル部と同様の形状に成
形された部材である。
【0114】上記の構造によれば、弁体18が全開位置
に到達する際、および、弁体18が全閉位置に到達する
際に、弁体18やリテーナ24,70等の可動部と、ア
ッパコア32やロアコア34等の固定部との衝突を、衝
撃緩衝部材により柔軟に吸収させることができる。この
ため、本実施例の電磁駆動弁によっても、上述した第1
乃至第8実施例の電磁駆動弁と同様に優れた静粛性を実
現することができる。
【0115】ところで、衝撃吸収部材を構成する発泡材
は、シリコン系樹脂で構成される基材と、その基材に内
包される多数の空気泡とを備えている。例えば上述した
第1乃至第8実施例におけるゲル部のように非発泡材で
構成される部材は、外部から圧縮応力が加えられた際
に、基材となる樹脂を変形させることにより所望の形状
に変化する。これに対して、本実施例の衝撃吸収部材の
ように発泡材で構成される部材は、外部から圧縮応力が
加えられた際に、基材となるシリコン系樹脂を変形させ
ると共に、基材に内包される空気泡を圧縮することによ
り所望の形状に変化する。
【0116】空気泡の縮小に伴う反力は、樹脂の変形に
伴う反力に比して小さな値となる。このため、本実施例
の衝撃吸収部材によれば、非発泡材で構成される部材に
比して、発生する反力を抑制しつつ大きな変形量を確保
することができる。衝撃吸収部材が大きな反力を発生さ
せることなく大きく変形し得る場合は、可動部と固定部
の衝突エネルギを衝撃吸収部材に有効に吸収させ、か
つ、両者を離間させようとする付勢力を小さく抑制する
ことができる。このため、本実施例の電磁駆動弁によれ
ば、第1乃至第8実施例の電磁駆動弁と同等以上に優れ
た静粛性と優れた省電力特性とを確保することができ
る。
【0117】また、弁体18が全開位置または全閉位置
に到達することにより圧縮された空気泡は、弁体18が
全開位置から変位した後、または、弁体18が全閉位置
から変位した後に、衝撃吸収部材を変形前の形、すなわ
ち、原形に復帰させる復元力を発生する。このため、本
実施例の衝撃吸収部材は、弁体18が全開位置または全
閉位置から変位した後に、速やかに原形に復帰すること
ができる。
【0118】衝撃吸収部材が、所望の衝撃吸収能力を発
揮するためには、弁体18が全開位置または全閉位置に
到達する以前に、衝撃吸収部材が適正に原形を維持して
いることが必要である。上述の如く、本実施例の衝撃吸
収部材は、弁体18の変位が開始された後、すなわち、
圧縮応力が解除された後、速やかに原形に復帰すること
ができる。このため、本実施例の電磁駆動弁によれば、
内燃機関の高回転領域においても、すなわち、電磁駆動
弁が高速で動作する領域においても、優れた静粛性と優
れた省電力特性とを実現することができる。
【0119】更に、本実施例の衝撃吸収部材に用いられ
るシリコン系の発泡材(例えば、RICロジャースイノ
アック社製・ナンネックス(商標名))は、高い耐熱性
と、優れた温度特性(弾性係数等の特性が温度に依存し
ない特性)とを備えている。このため、衝撃吸収部材は
その環境温度等に影響されることなく、長期にわたって
安定した性能を発揮する。従って、本実施例の電磁駆動
弁によれば、内燃機関の運転状況に影響されることな
く、常に優れた静粛性と優れた省電力特性とを確保する
ことができる。
【0120】ころで、上記の実施例においては、衝撃
吸収部材をシリコン系の発泡材で構成することとしてい
るが、本発明は、これに限定されるものではなく、衝撃
吸収部材を、他の樹脂を基材とする発泡材で構成するこ
ととしてもよい。
【0121】
【0122】
【0123】
【発明の効果】上述の如く、請求項記載の発明によれ
ば、可動部と固定部との衝突に伴う衝突エネルギを、ケ
ースとコアとの間に介在するゲル部に有効に吸収させる
ことができる。このため、本発明によれば、優れた静粛
性および優れた省電力特性の双方を実現することができ
る。
【0124】請求項記載の発明によれば、発泡材を用
いることで、可動部と固定部との衝突エネルギを有効に
吸収する機能、両者を離間方向に付勢する力を抑制する
機能、および、圧縮応力が消滅した後に衝突緩和部材を
速やかに原形に復元させる機能を実現することができ
る。このため、本発明の電磁駆動弁によれば、内燃機関
の高回転領域においても優れた静粛性と優れた省電力特
性とを実現することができる。
【0125】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である電磁駆動弁の断面図
である。
【図2】図1に示す電磁駆動弁が備えるゲル部として好
適なゲル部の一例の平面図である。
【図3】図1に示す電磁駆動弁が備えるゲル部として好
適なゲル部の一例の断面図である。
【図4】図1に示す電磁駆動弁が備えるゲル部として好
適なゲル部の他の例の平面図である。
【図5】図1に示す電磁駆動弁が備えるゲル部として好
適なゲル部の他の例の断面図である。
【図6】本発明の第2実施例である電磁駆動弁の断面図
である。
【図7】本発明の第3実施例である電磁駆動弁の断面図
である。
【図8】本発明の第4実施例である電磁駆動弁の断面図
である。
【図9】図8に示す電磁駆動弁の要部の拡大図である。
【図10】本発明の第5実施例である電磁駆動弁の断面
図である。
【図11】図10に示す電磁駆動弁の要部の拡大図であ
る。
【図12】本発明の第6実施例である電磁駆動弁の断面
図である。
【図13】本発明の第7実施例である電磁駆動弁の断面
図である。
【図14】本発明の第8実施例である電磁駆動弁の断面
図である。
【図15】本発明の第9実施例である電磁駆動弁の断面
図である。
【図16】図15に示す電磁駆動弁の要部の拡大図であ
る。
【図17】図15に示す電磁駆動弁においてアッパリテ
ーナとスライド部材との間で授受される力の大きさを説
明するための図である。
【図18】本発明の第10実施例である電磁駆動弁で用
いられるガータスプリングの平面図である。
【図19】本発明の第10実施例である電磁駆動弁の動
作を説明するための図である。
【図20】本発明の第11実施例である電磁駆動弁で用
いられるCリングの平面図である。
【図21】本発明の第11実施例である電磁駆動弁で用
いられるCリングの断面図である。
【図22】本発明の第11実施例である電磁駆動弁にお
いて実現される付勢力と弁体変位量との関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
10;90;100;110;130;160;17
0;180;190 電磁駆動弁 24 ロアリテーナ 28 アーマチャ軸 30 アーマチャ 32 アッパコア 34 ロアコア 62,64;92,94;104;116,118;1
40,142,144,146 ゲル部 70 アッパリテーナ 192,198 スライド部材 196,200 スプリング 210 ガータスプリング 220 Cリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 昌彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 服部 宏之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−292704(JP,A) 特開 平6−129219(JP,A) 特開 平7−295318(JP,A) 西独国特許出願公開19646937(DE, A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 9/04 F16K 31/06 305

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーマチャとコアとの間に電磁力を作用
    させることにより弁体を開閉動作させる電磁駆動弁にお
    いて、 前記アーマチャおよび前記弁体を含む可動部と、 前記コアと、該コアを軸方向に変位可能に保持するケー
    スとを含む固定部と、 前記コアと前記ケースとの間に介在し、前記可動部と前
    記固定部との衝突に伴って前記コアに入力されるエネル
    ギの一部を熱エネルギに変換するゲル部と、を備えるこ
    とを特徴とする電磁駆動弁。
  2. 【請求項2】 前記ゲル部に代えて、発泡材を備える、
    請求項1記載の電磁駆動弁。
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