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JP3505791B2 - 溶銑の脱燐・脱硫法 - Google Patents

溶銑の脱燐・脱硫法

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JP3505791B2
JP3505791B2 JP15088894A JP15088894A JP3505791B2 JP 3505791 B2 JP3505791 B2 JP 3505791B2 JP 15088894 A JP15088894 A JP 15088894A JP 15088894 A JP15088894 A JP 15088894A JP 3505791 B2 JP3505791 B2 JP 3505791B2
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、転炉内での溶銑処理
方法に関し、処理溶銑の温度低下のない好適な脱燐・脱
硫法を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶銑の脱燐・脱硫は、転炉精錬
の付加を軽減し、少ない副原料によって所望の成分組成
になる鋼を得るために行うことは周知の事実である。そ
の実施形態としては、トピード車内の溶銑に対し耐火物
で保護した鋼製パイプを介して精錬剤を吹き込む、いわ
ゆる「トピードインジェクション法」、トピード車のか
わりに溶銑搬送鍋を用いる「溶銑鍋インジェクション
法」、高炉鋳床の樋内にて連続的に精錬剤を吹き込んだ
り、吹き付けたりする「鋳床脱燐、鋳床脱硫法」などが
ある。一方、精錬容器として転炉を用いる方法も知られ
ている。この発明の対象となる転炉を用いる技術につい
ては、例えば特公昭61−40005号公報(溶銑処理方法)
には、底吹き転炉の炉底羽口より純酸素により生石灰や
ホタル石などを含む複合脱燐剤を吹き込む手段が開示さ
れている。
【0003】また、特公昭62−3203号公報(溶銑の脱P
・脱S精錬方法)には、反応容器は限定していないもの
の、あらかじめ脱Siを行った溶銑に対して、精錬前半は
生石灰を主体とした複合フラックスを気体酸素とともに
吹き込んで脱Pを行い、精錬後半には生石灰を主体とし
た複合フラックスを不活性カズとともに吹き込んで脱S
を行う手段が示されている。しかしながら、上記特公昭
61−40005 号公報の手段では、1種類の精錬剤(脱燐
剤)を底吹き羽口より大量の純酸素で吹き込むという簡
単な方法で容易に高い脱燐率を得ることがてきるが、脱
硫率については高々50%であり、近年の低S鋼のように
S含有量の上限値の厳しい要求には適用できないという
問題があり、したがって、この溶銑脱燐処理の前工程と
して、何らかの溶銑脱硫処理が必要であった。さらに、
特公昭62−3203号公報の手段では、事前に脱Si処理を施
し、〔Si〕≦0.1 %とした溶銑についてのみ脱P・脱S
の逐次精錬を行い、P含有量<0.010%、S含有量<0.0
05 %の低P、低S溶銑を得るもので、この溶銑の脱P
・脱S精錬には、何らかの事前の溶銑脱Si処理が必要で
あった。すなわち、上記の二手段は事前の溶銑予備処理
を前提とした脱P・脱S処理方法であった。
【0004】一方、これまでの溶銑処理で十分な脱燐・
脱硫処理をしようとすると溶銑温度の低下が生じ、この
溶銑温度の低下は、現在リサイクルが大きな問題となっ
ているスクラップの製鋼過程での使用量が減少する、あ
るいは安価な鉄源である鉄鉱石、Mn源であるMn鉱石
の使用量が減少する等の問題点があり、これらの問題を
解決しようとすれば、脱炭炉において高価な低S濃度の
加炭剤あるいは合金鉄を熱源として昇温を行う必要があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記した
問題点を有利に解決しようとするもので、特に上底吹き
転炉を用い、事前の溶銑の脱硫処理や脱珪処理などを施
さなくても、高効率の脱燐・脱硫(P< 0.010%、S<
0.005%目標)が達成でき、かつ、溶銑温度の低下が防
止できる溶銑の脱燐・脱硫法を提案することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨は以下の
通りである。転炉を用いて、溶銑浴面下に設け羽口か
ら精錬剤を溶銑中に吹き込み脱燐及び脱硫を行う溶銑処
理方法において、上底吹き転炉を用い、底吹きにより酸
素あるいは酸素とその他のガスの混合ガスによって生石
灰系フラックスを吹き込む脱燐処理と、それに引き続い
て非酸化性ガスを用いて生石灰系フラックスを吹き込む
脱硫処理とを酸素の上吹きを付加して行い、かつ、上記
脱燐期の底吹き酸素吹き込み速度を0.2 Nm3/min ・t以
上とし、上吹き酸素原単位(Nm3/t)と底吹き酸素原単位
(Nm3/t)との比を3:7から1:9の範囲に調整す
ることを特徴とする溶銑の脱燐・脱硫法であり、上記に
おいて酸素の上吹きを脱燐期のみとするものであり、さ
らに、それらの脱燐処理後のスラグのCaO (wt%)/Si
O2(wt%)であらわす塩基度を2.0 以上とするものであ
る。
【0007】
【作用】この発明の作用効果を実験・検討結果をもとに
以下に述べる。発明者らは、上底吹き転炉型精錬容器
(上底吹き転炉等)を用いて脱燐・脱硫反応を広範囲に
わたって実験・検討を行った。それらの実験例及び得ら
れた知見などを以下に列記する。(1) 上底吹き転炉型精錬容器を用いて溶銑の脱燐・脱硫
処理を行うに際しては、酸化反応である脱燐と還元反応
である脱硫とは時間的に分離して行うほうが、脱燐・脱
硫の反応効率を総合してみた場合、有利である。(2) また、その場合、脱燐処理を先に行い、ついで脱硫
処理を行う方が、脱硫期で生起するスラグの復硫を最小
限に抑えることができるため有利である。(3) 上底吹き転炉型精錬容器を用いて溶銑の脱燐・脱硫
処理を行った場合、該精錬容器のフリーボードが長いこ
とから、従来不可能であった底吹き酸素ガスの大量供給
が可能となり、その結果、特に事前に脱珪処理を行って
いない溶銑を用いても高効率の脱燐ができる。また、そ
の際酸素の上吹きは溶銑温度の低下防止に顕著な効果を
発揮する。(4) 底吹き酸素の大量供給により、図1に示すような以
下に列記する反応が進み高効率の脱燐が達成されること
が明らかとなった。
【0008】ここに図1は、底吹き酸素の大量吹き込み
における溶銑の脱燐メカニズムを示す説明図である。 (a)酸素と共に底吹きされたCaO 粉は底吹き羽口直上
の火点近傍に大量に形成される酸化鉄と反応してCaO −
フェライト粒となる。 (b)この粒は液相分率が高いので球形となりスラグ粒
の原形となる。 (c)このスラグ粒は溶銑中の浮上過程で下記する
(1)式により〔P〕を酸化し、3CaO ・P2O5に近い組
成のスラグ粒になる。
【数1】 2〔P〕+5/3 (Fe2O3) → (P2O5) +10/3 Fe …(1) (d)ただし、〔%Si〕≧0.020 の吹錬期間には、脱燐
反応生成物中にSiO2が含まれ、その含有量が増すと(%
P2O5)は減少する。すなわち、脱燐効率が低下する。 (e)しかしながら、〔%Si〕≧0.020 の場合において
も、底吹きする酸素吹き込み量を増せば、脱燐反応生成
物中に含まれるSiO2も相対的に増加蓄積されることがな
くなり、(%P2O5) は減少しない。すなわち、脱燐効率
を高いまま維持できる。 (f)このようにして生成された3CaO ・P2O5は、トッ
プスラグの巻き込みや、脱珪時に生成し浮上しきれずに
溶銑中に懸濁しているCaO/SiO2比率の小さいCaO ・SiO2
スラグ粒と合体してSiO2の含有比率が多い脱燐スラグと
なる。 (g)このようなメカニズムで進行する脱燐反応による
脱燐は、全脱燐の50〜70%に達する。
【0009】(5) 上底吹き転炉を用いて、底吹きにより
酸素を搬送ガスとして脱燐フラックスを吹き込む脱燐処
理と、それに続いて非酸化性ガスを搬送ガスとする脱硫
フラックスを吹き込む脱硫処理との溶銑処理を行い、底
吹き酸素吹き込み速度と脱硫率との関係について調査し
た。なお上記において処理前溶銑の〔Si〕、酸素ガス原
単位及びフラックス原単位は一定とした。これらの調査
結果を図2にまとめて示す。図2は底吹き酸素吹き込み
速度と脱硫率との関係を示すグラフである。
【0010】図2によれば、処理前溶銑の〔%Si〕が一
定の条件のもとでは、底吹き酸素の吹き込み速度が増加
するにつれて脱硫率は増加するが、吹き込み速度が0.2
Nm3/min ・t以上では脱硫率はほぼ一定になる。
【0011】これは、底吹き酸素吹き込み速度が、0.2
Nm3/min ・tまでは、トップスラグの(T.Fe)が底
吹き酸素による攪拌によって溶銑による還元が進行し、
その結果脱硫に有利な条件になるのに対し、0.2 Nm3
min ・t以上になると、トップスラグの(T.Fe)は十
分低い状態に保たれてはいるもののそれ以上の脱硫効果
が得られないことを示している。なお、より高水準の脱
硫効果を得るためには他の要因によらなければならない
ものと考えられる。
【0012】(6) 上底吹き転炉を用いて、底吹き酸素吹
き込み速度を0.2 Nm3/min ・t以上とし、上吹き酸素
を含む全酸素原単位、フラックス原単位、処理前溶銑の
〔Si〕量が一定の条件で、上吹き酸素と底吹き酸素の原
単位の比を変えて脱燐処理(同時に脱硫もする)を行
い、脱燐量、同時脱硫率及び処理溶銑の温度低下量など
を調査した。これらの調査結果を図3にまとめて示す。
図3は上吹きと底吹きとの酸素原単位の比と脱燐量、同
時脱硫率及び溶銑の温度低下量との関係を示すグラフで
ある。
【0013】図3によれば、全酸素原単位に占める上吹
き酸素原単位の比率を増加して行くと、上吹きと底吹き
との酸素原単位の比が3:7になるまでは脱燐量は一定
であるが、その後上吹き酸素原単位の比率が増加するに
したがって、脱燐量は低下する。この脱燐量の低下は上
吹き酸素原単位を増加させると底吹き酸素原単位は減少
することになり、かつ上吹き酸素が浴面に到達しないで
系外に排出されるものがあるため、脱燐に有効な酸素量
が減少するためと考えられる。
【0014】また、同時脱硫率も上吹きと底吹きとの酸
素原単位の比が3:7を境に上吹き酸素が増加するにし
たがって低下する。これは底吹きの酸素原単位(吹き込
み速度)が小さくなったことによって攪拌力が弱くなっ
たこと、さらには、上吹き酸素の原単位が増加したこと
によってトップスラグ中の(%Fe+O)が増加したため
と考えられる。
【0015】さらに、上吹きの酸素原単位を増加させて
行くと、溶銑の温度低下量は少なくなり、上吹きと底吹
きとの酸素原単位の比が1:9になると溶銑の温度低下
量は僅かになる。これは上吹き酸素の2次燃焼による温
度補償が溶銑の温度低下防止に有効であることを示して
いる。したがって、溶銑の温度低下を防止するために
は、上吹きと底吹きとの酸素原単位の比が1:9より上
吹き酸素原単位を多くすることが重要である。
【0016】(7) さらに、5t規模の上底吹き転炉を用
いて実験を行い以下に列記する知見を得た。a.上吹き
と底吹きとの酸素原単位の比を2:8、底吹き酸素吹き
込み速度(脱燐期)を0.2 Nm3/min ・t以上とし、か
つ、脱燐及び脱硫フラック原単位一定の条件にて脱燐・
脱硫を行い、上吹き酸素原単位の(脱硫期)/(脱燐期
+脱硫期)の値と、脱硫率及び溶銑の温度低下量との関
係について調査した。上吹き酸素原単位の(脱硫期)/
(脱燐期+脱硫期)の値と、脱硫率との関係を図4に、
溶銑の温度低下量との関係を図5に示す。
【0017】図4より脱硫期の上吹き酸素が増加すると
脱硫率は低下することが分る。これは脱硫期に酸素の上
吹きを行うことにより、トップスラグ中の(T.Fe)が
増加し、これにより脱硫効果が阻害されるためと考えら
れる。また、図5より上吹き酸素による溶銑の温度補償
の効果は脱硫期における上吹き酸素原単位に関係なく一
定であることが分かる。
【0018】これらの結果より、酸素の上吹きを脱燐期
のみに集中して行うことによって溶銑温度を低下させる
ことなく脱硫率を向上させることができることになる。
【0019】b.脱硫フラックス原単位一定の条件に
て、上吹きと底吹きとの酸素原単位の比を2:8、底吹
き酸素吹き込み速度を0.2 Nm3/min ・tとし、脱硫期
には上吹きの酸素を吹き込むことなく脱燐・脱硫処理を
行い、脱燐処理後のスラグの塩基度(CaO /SiO2)と脱
硫率との関係を調査した。脱燐後のスラグの塩基度とそ
の後の脱硫処理における脱硫率との関係を図6に示す。
【0020】図6より、脱燐処理後のスラグの塩基度が
2.0 未満では、塩基度の上昇とともに脱硫処理後の脱硫
率も増大するが、2.0 以上では脱硫率はほとんど変りな
い。これは、塩基度が2.0 未満の領域では、塩基度の上
昇とともにそのスラグと平衡するための溶銑〔%Si〕の
低減効果が働き、塩基度2.0 以上では、スラグと平衡す
るための溶銑〔%Si〕の低減効果とスラグの融点の上昇
による脱硫速度低下の効果がほぼつりあったためと考え
られる。
【0021】これらの結果より、脱燐処理後のスラグの
塩基度を2.0 以上とすることによって、その後の脱硫処
理における脱硫率をより向上させることができる。
【0022】以上、これらの実験・検討結果より、上底
吹き転炉を用いて脱燐処理(同時に脱硫もする)を行う
に際しては、底吹き酸素吹き込み速度が0.2 Nm3/min
・t以上の強攪拌を行うことにより、溶銑の〔Si〕濃度
が高くても脱燐率を高水準に維持できること、またその
場合上吹きと底吹きとの酸素原単位の比を3:7から
1:9の範囲にすることが最適でありかくすることによ
り脱燐・脱硫処理溶銑の温度低下を防止できることが明
らかとなった。
【0023】さらに、脱燐期のみ上吹き酸素を吹き込む
ことで、溶銑温度を低下させることなくその後の脱硫処
理での脱硫率の向上がはかれること、脱燐処理後のスラ
グの塩基度を2.0 以上とすることによって、その後の脱
硫処理での脱硫率をより向上できることなども判明し
た。
【0024】
【実施例】
適合例1 250 t上底吹き転炉を用いて、溶銑250 tの脱燐・脱硫
処理を行い、脱燐・脱硫処理前後の溶銑の成分組成及び
温度、さらには脱燐処理後のトップスラグの組成などに
ついて調査した。
【0025】脱燐・脱硫処理条件としては、まず、底吹
きにより、脱燐用フラックスを純酸素を搬送ガスとして
吹き込む脱燐処理を10分間行ったのち、つづいて脱硫用
フラックスを窒素を搬送ガスとして吹き込む脱硫処理を
3分間行い、上吹きにより、上記脱燐期及び脱硫期を通
して合計4分間純酸素を吹き込んだ。
【0026】また、上記において、脱燐処理中は、底吹
き酸素吹き込み速度を0.64Nm3/min ・t、フラックス
吹き込み速度を1.2 kg/min ・t、脱硫処理中は、窒素
吹き込み速度を0.64Nm3/min ・t、フラックス吹き込
み速度を1.2 kg/min ・tとし、さらに上吹き酸素吹き
込み速度は0.4 Nm3/min ・tとした。ここで、上吹き
と底吹きとの酸素原単位の比は2:8となる。なお、脱
燐及び脱硫用フラックスは共に、生石灰粉とホタル石粉
とを8:2の割合で混合したものを用いた。
【0027】表1に脱燐・脱硫処理前後の溶銑の成分組
成及び温度、表2に脱燐処理後のスラグの成分組成を示
す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】適合例2 上吹き酸素の吹き込みを脱燐期のみとして4分間行った
以外は適合例1と同様の脱燐・脱硫処理を施し、処理前
後の溶銑の成分組成及び温度を調査した。表3に脱燐・
脱硫処理前後の溶銑の成分組成及び温度を示す。
【0031】
【表3】
【0032】適合例3 〔Si〕濃度が0.3 wt%と高い溶銑を用い、適合例1と同
様の条件で脱燐・脱硫処理を行ったもの(A)と、脱燐
フラックスの吹き込み速度を1.8 kg/min・tとした以外
は適合例1と同様の条件で脱燐・脱硫処理を行ったもの
(B)とについて、適合例1と同様の調査を行った。表
4に脱燐・脱硫処理後の溶銑の成分組成及び温度、表5
に脱燐処理後のスラグの成分組成を示す。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】比較例1 脱燐期の底吹き酸素吹き込み速度を0.8 Nm3/min ・t
とし、上吹き酸素の吹き込みを行わなかった以外は適合
例1と同様の脱燐・脱硫処理を施し、処理前後の溶銑の
成分組成及び温度を調査した。表6に脱燐・脱硫処理前
後の溶銑の成分組成及び温度を示す。
【0036】
【表6】
【0037】比較例2 脱燐期の底吹き酸素の吹き込み速度を0.48Nm3/min ・
tとし、上吹き酸素吹き込み速度を0.4 Nm3/min ・t
として脱燐期及び脱硫期を通して6分間吹き込んだ以外
は適合例1と同様の方法で脱燐・脱硫処理を施し、処理
前後の溶銑の成分組成及び温度を調査した。(上吹きと
底吹きとの酸素原単位の比は3.3 :6.7)。表7に脱燐
・脱硫処理前後の溶銑の成分組成及び温度を示す。
【0038】
【表7】
【0039】以上、この発明の適合例は、いずれも処理
後溶銑の温度低下がなく高効率の脱燐・脱硫が達成さ
れ、上吹き酸素の吹き込みを脱燐期のみにすること(適
合例1と2との比較)、脱燐後のスラグの塩基度を2.0
以上にすること(適合例3の(A)と(B)との比較)
により脱硫効率が明らかに向上していることが分かる。
【0040】これらに対し、比較例1では酸素の上吹き
をしてないため処理後溶銑の温度が100 ℃以上も低下
し、上吹きと底吹きとの酸素原単位の比が3.3 :6.7 と
この発明の限定範囲を外れる比較例2では特に脱燐効率
が劣っている。
【0041】
【発明の効果】この発明は、上底吹き転炉を用い、底吹
き酸素吹き込み速度及び上吹きと底吹きとの酸素原単位
の比を特定して脱燐・脱硫処理を行うものであり、この
発明によれば、上底吹き転炉を用いるため上吹き及び底
吹きの酸素量を最適にコントロールすることが容易であ
り、トップスラグの脱硫能を阻害することのない脱燐処
理を行うことができるため、同一のフラックス原単位、
酸素原単位で溶銑温度を低下させることなく、かつ、脱
燐効率を損わずに高い脱硫効率を得ることができる。さ
らに、酸素の上吹きを行う時期、脱燐後のトップスラグ
の塩基度を最適にすることにより、より高い脱硫効率を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】底吹き酸素の大量吹き込みにおける溶銑の脱燐
メカニズムを示す説明図である。
【図2】底吹き酸素吹き込み速度と脱硫率との関係を示
すグラフである。
【図3】上吹きと底吹きとの酸素原単位の比と脱燐量、
同時脱硫率及び溶銑の温度低下量との関係を示すグラフ
である。
【図4】上吹き酸素原単位の(脱硫期)/(脱燐期+脱
硫期)の値と脱硫率との関係を示すグラフである。
【図5】上吹き酸素原単位の(脱硫期)/(脱燐期+脱
硫期)の値と溶銑温度低下量との関係を示すグラフであ
る。
【図6】脱燐後のスラグの塩基度とその後の脱硫処理に
おける脱硫率との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 1/00 - 3/00 C21C 5/02 - 5/06 C21C 5/52 - 5/56

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉を用いて、溶銑浴面下に設け羽口
    から精錬剤を溶銑中に吹き込み脱燐及び脱硫を行う溶銑
    処理方法において、 上底吹き転炉を用い、底吹きにより酸素あるいは酸素と
    その他のガスの混合ガスによって生石灰系フラックスを
    吹き込む脱燐処理と、それに引き続いて非酸化性ガスを
    用いて生石灰系フラックスを吹き込む脱硫処理とを酸素
    の上吹きを付加して行い、かつ、上記脱燐期の底吹き酸
    素吹き込み速度を0.2 Nm3/min ・t以上とし、上吹き酸
    素原単位(Nm3/t)と底吹き酸素原単位(Nm3/t)との
    比を3:7から1:9の範囲に調整することを特徴とす
    る溶銑の脱燐・脱硫法。
  2. 【請求項2】 酸素の上吹きを、脱燐期のみとすること
    を特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱燐・脱硫法。
  3. 【請求項3】 脱燐処理後のスラグのCaO (wt%)/Si
    O2(wt%)であらわす塩基度が2.0 以上であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の溶銑の脱燐・脱硫法。
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