JP3097474B2 - 溶銑の脱りん方法 - Google Patents
溶銑の脱りん方法Info
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Description
する。
っているが、純酸素上吹転炉による脱りん脱炭同時処理
で所期の低りん鋼を得るには、媒溶剤が大量に必要であ
り、また転炉1基吹錬では炉壁へスラグが付着すること
により、〔%P〕を下げることが困難であった。そこ
で、低りん鋼の安定溶製および媒溶剤量の節減による溶
製コスト合理化を目的とする溶銑脱りん法が行われるよ
うになった。具体的には、トーピードカー、鍋中または
転炉で溶銑中に生石灰、CaF2、Na2CO3等を添加して撹拌
する(インジェクションする)方法がとられてきた。し
かし、生石灰、CaF2、Na2CO3等は比較的高価であり、コ
スト面から媒溶剤量の更なる節減が望まれている。
て、上吹転炉滓は溶銑段階における脱りん処理に用いて
有効であることを開示した。すなわち、上吹転炉滓の脱
りん能力は1600〜1750℃という高温の転炉終点では、ほ
ぼ飽和状態となっているが、溶銑のように1250〜1400℃
程度の低温で、熱力学的に脱りんに有利な条件で、かつ
転炉終点に比べ未だ脱りんされていない高いりん含有量
の溶銑に対しては、まだ充分な脱りん能力を有する。
んに使用し、低りん鋼のみならず一般鋼溶製のトータル
コストミニマム化を図る新プロセスであって、転炉滓系
媒溶剤を用いるメリットを最大限に活用した2段の階分
式向流精錬法を具現化したものであり、反応容器として
は、例えば脱りん炉、脱炭炉と呼ばれる2基の上底吹転
炉形式の炉を用いる製鋼法である。
理剤(フラックス)として従来は、「鉄と鋼」、第76年
(1990)第11号の第1817〜1822頁、同第1801〜1808頁)ま
たは上記特公昭55-30042号公報に示されているように、
生石灰系または転炉滓系の脱りん剤が用いられていた。
フラックスとして転炉滓を使用することにより、スラグ
の滓化が促進されるため、効率的な脱りんが可能となる
とともに、しかも脱りん、脱炭に必要なトータルの媒溶
剤量を約半減し、かつ発生スラグ量も大幅に低減するこ
とができた。
期スラグ(転炉滓)を脱りん用上底吹転炉形式の炉に脱
りんフラックスとしてリターン使用することにより、大
幅な媒溶剤節減と発生スラグ量の大幅低減等、非常に有
益な効果がもたらされた。通常、低りん鋼溶製の際は、
スラグの塩基度(CaO/SiO2) を2以上とし、滓化促進の
ためCaF2を添加した組成のフラックスを用いるのが一般
的であった。しかし、媒溶剤使用量を更に低減するため
には、CaF2使用量をミニマムにし、かつ低い塩基度で脱
りんすることが必要である。
滓化不良やスラグが凝固する際の3CaO ・SiO2→2CaO
・SiO2+ f−CaO (f−CaO :遊離石灰)反応により生じ
る遊離石灰がスラグ中にほとんど存在しないため、エー
ジング処理を省略しても処理後スラグを路盤材として利
用できる可能性がある。
しない脱りんフラックスとして、CaO −Al2O3 −Fe2O3
系で CaO:Al2O3 = 2.5〜20:1、(SiO2)で10%以下の
ものが提案されている。この発明では、生石灰、天然ボ
ーキサイト、鉄鉱石等を事前に混合して上記組成の脱り
ん剤としているが、その場合、粉砕および混合の費用が
発生する。さらに、単に混合しただけでは滓化に時間が
かかってしまう。短時間に滓化させようとすれば、混合
後プリメルトにする必要があり、さらにコストが増大す
る。したがって、低コストでしかも良好な滓化性を得る
ためには、転炉滓を使用することが必要となる。
初期に添加するフラックスの組成のみが示されている
が、脱りん処理中に溶銑中の〔Si〕が酸化してSiO2を生
成し、スラグ中(%SiO2) が増大するので、スラグ塩基度
が低下してしまう。そのため、初装フラックス組成、特
に CaO/Al2O3 比を規定するだけでは、安定した脱りん
能を達成することができない可能性がある。また、脱り
ん処理中にスラグ中の(%FeO)は低下していくが、処理末
期まで或る値以上の高(%T.Fe) を維持しなければ脱りん
は充分に進行しない。つまり、脱りん処理中のスラグ組
成〔塩基度、Al2O3 濃度および(%T.Fe) 〕を規定しなけ
れば、高脱りん率を達成することができない。
場合、脱りん処理スラグ中の(%F)が高いとスラグへの(M
gO) 溶解度が増大し、耐火物原単位が悪化してしまう。
ん法において、さらに脱りん用フラックスおよび耐火物
のコストを低減し、かつ脱りん処理後スラグを低コスト
で路盤材等に利用するための脱りんスラグ系において、
特に脱りんに有効なスラグ組成および脱りん方法を提供
することにある。
(1)〜(3) の溶銑の脱りん方法にある。 (1)上底吹転炉形式の炉において、転炉滓と酸化鉄とを
主成分とする脱りん用フラックスを用い、酸素を上吹き
して溶銑を脱りん処理する際、処理中のスラグ条件を重
量%で、塩基度(% CaO/% SiO2) = 1.2〜2.0 、かつ
(Al2O3)=2〜16%、(T.Fe)=7〜30%に制御して脱り
んすることを特徴とする溶銑の脱りん方法。
を重量%で、(%F)を2%以下に制御して脱りんすること
を特徴とする溶銑の脱りん方法。
源として鋼の連続鋳造滓および/または造塊滓を用いる
ことを特徴とする溶銑の脱りん方法。
続鋳造滓」および「造塊滓」とは、取鍋からタンディッ
シュに注鋼した後取鍋内に残ったスラグや、連続鋳造後
タンディッシュ内および鋳型内に残ったスラグを、それ
ぞれ意味する。
方法の例を説明する。図1は、転炉滓、酸化鉄、鋼の連
続鋳造滓および/または造塊滓からなるフラックスを用
いる本発明の溶銑の脱りん方法の工程例を説明する概略
図である。
硫溶銑の脱りん処理を行う。このとき、フラックスとし
て、媒溶剤(造滓剤、酸化鉄)および別の上底吹脱炭転
炉で用いた媒溶剤(造滓剤、CaF2)から発生した脱炭末
期の低りん転炉滓、必要に応じて、さらに鋼の連続鋳造
滓および/または造塊滓を配合して用いる。
される。一方、脱りん転炉で脱りん処理された溶銑は、
別の上底吹脱炭炉に移され、媒溶剤を添加して脱炭処理
を行い、溶鋼とする。すなわち、反応容器として、脱り
ん炉、脱炭炉の2基の上底吹転炉形式の炉を用い、スラ
グとメタルの流れが向かい合う2段階分式向流精錬法の
一つである。
ようにAl2O3 を含有し、しかも、いったん溶融した滓で
あり、脱りんフラックスへの添加剤として好適である。
りん処理後スラグを路盤材等に利材化するためのエージ
ング処理によるコスト増大を解決するために、CaF2レス
で、低塩基度(CaO/SiO2)のフラックスを用いて低りん
鋼溶製に必要な脱りん処理を行うものである。「CaF2レ
ス」とは、上底吹脱炭転炉で用いたCaF2が転炉滓中に残
存して含まれている以外は、脱りんフラックスへF分を
新たに添加せず、または、Fを或る値以下に維持すると
いう意味である。
Al2O3 系フラックスの組成を適正化することにより、低
りん鋼溶製に必要な脱りん率90%以上、処理後の〔P〕
0.01重量%以下を達成することが可能であることが判明
した。これを、図2〜図5により詳細に説明する。以
下、組成を示す%は重量%を意味する。
に及ぼすスラグ組成の影響について検討した。処理温度
は1300〜1400℃とし、脱りんフラックスは予めプリメル
トしたものを用いた。近年需要の高い低りん鋼を溶製す
るためには、脱りん処理後の〔P〕を0.010 %以下とす
る必要があるので、これを目標とした。
2O3)と処理後〔%P〕との関係を示す図である。図示す
るように、(%Al2O3)が2%未満では、Al2O3 添加による
スラグ融点の低下が充分でないため、目標〔%P〕が達
成できない。一方、(%Al2O3)が16%を超えると、(%CaO)
が相対的に低下することによりフォスフェイトキャパシ
ティが低下してしまうため、脱りんが不十分となる。
理後〔%P〕との関係を示す図である。図示するよう
に、スラグ中(%Al2O3)を2〜16%に調整しても、目標
〔%P〕を達成するにはスラグ塩基度を適正な範囲に制
御する必要があることがわかる。
処理後〔%P〕が目標値に到達しないのは、スラグ塩基
度が低いためにフォスフェイトキャパシティが低下した
ことによる。また、塩基度が2.0 を超えるとスラグの滓
化が悪化して脱りんが進行しにくくなり、目標〔%P〕
を達成することができない。
と処理後〔%P〕との関係を示す図である。図示するよ
うに、スラグ中(%Al2O3)=2〜16%、スラグ塩基度=1.
2 〜2.0 と適正な条件としても、さらに適正な(%T.Fe)
の範囲が存在することがわかる。すなわち、(%T.Fe) が
7%未満ではスラグの酸素ポテンシャルが低いため、脱
りんが十分に進行しない。一方、(%T.Fe) が30%を超え
るとスラグ中の(%CaO)が相対的に低下してしまうため、
フォスフェイトキャパシティが低下し、脱りんが不十分
となる。
グ条件を、塩基度(% CaO/% SiO2)= 1.2〜2.0 、かつ
(Al2O3)=2〜16%、(T.Fe)=7〜30%に制御すること
とした。
ダイアスポア、赤泥、連続鋳造滓、造塊滓および精製ア
ルミナのうちの一種以上を混合したものを使用すること
ができる。連続鋳造滓および造塊滓は、Al脱酸時に生成
したAl2O3 を含有する CaO−−Al2O3 −SiO2系鋼滓であ
り、スムーズな滓化が期待できる一種のプリメルトスラ
グであるので、Al2O3 源としては連続鋳造滓および/ま
たは造塊滓を選んで用いるのが最も望ましい。これらを
使用することにより、効率的でしかも低コストで脱りん
処理を行うことができる。
件で混合したフラックスで脱りんした場合について、処
理中スラグの滓化率および脱りん率の時間変化を示す図
である。
く、処理末期には滓化率、脱りん率とも最も高い。(b)
は滓化が(a) に比べてやや遅いが、処理末期の滓化率、
脱りん率はともに(a) とほぼ同等である。(c) は(a) 、
(b) に比べ滓化時期が遅く、処理末期の滓化率、脱りん
率はともに低い。(d) は滓化が最も遅く、処理末期の滓
化率、脱りん率とも最も低くなっている。よって、転炉
滓を使用することは、滓化を促進して溶銑脱りんを効率
よく行うために必要であり、造塊滓をAl2O3 源として添
加すると更に滓化が促進されることがわかる。すなわ
ち、CaO 源として滓化性の良い転炉滓を用いることによ
り、スラグ滓化促進剤であるCaF2の替わりにAl2O3 を用
いても、十分スラグを滓化させ、脱りんを効率よく行う
ことができるのである。
用する転炉滓、造塊滓および連続鋳造滓は安価であるの
で、溶銑脱りんコストを低減することができる。
火物溶損指数との関係を示す図である。ここで耐火物溶
損指数は、スラグ中(%F)=0%の時の耐火物溶損量を1.
0 として指数化したものである。図6から、(%F)が2%
を超えると耐火物溶損が急激に増大することがわかる。
脱りん処理に使用する転炉滓中に含まれるCaF2により脱
りん処理スラグ中(%F)が増加するので、 (%F)の低い転炉滓を使用する 高(%F)の転炉滓を使用する場合には、生石灰、MgO 等
の添加量を増やして、(%F)を希釈する 等の方法により、脱りん処理時スラグ中(%F)を2%以下
に制御すれば、耐火物溶損を抑制し、かつ脱りんを効率
的に行うことができる。
大する傾向があり、(%F)は可能であれば1%以下に低減
することがさらに望ましい。
で行うのが望ましい。これは、スラグが滓化していれ
ば、熱力学的に低温ほど脱りんに有利となるためであ
る。また、脱りんフラックスをペレットやブリケットに
合成化して使用すると、スラグの滓化促進上有利であ
る。
炉滓は、遊離石灰の含有量が低いため、エージング処理
を施すことなく低コストで路盤材などとして有効に活用
することが可能となる。
炉滓(重量%組成、CaO:48.4%−SiO2:5.1%−Al2O3:0.
5 %−T.Fe:23 %−P2O5: 2%)約25kg/t、鉄鉱石10〜
30kg/t、造塊滓(重量%組成、CaO:47%−Al2O3:18.6%
−SiO2:11 %−P2O5: 1%)約10kg/tを添加し、更に珪
砂、ボーキサイトを添加して塩基度、(%Al2O3)および(%
F)を調整して表2に示すスラグ条件とし、酸素を上吹き
して脱りん処理を実施した。(%T.Fe) 調整は、鉄鉱石添
加量や上吹酸素ランス−湯面間距離を調整することによ
り行い、吹錬時間は約10分間とした。処理後〔P〕目標
は0.01%以下とし、この目標の達成可否および処理後ス
ラグのエージング処理なしでの路盤材としての使用可否
を調査した。
〔P〕、上吹送酸速度(Nm3/min・t)、処理後温度(℃)
および評価結果を併せて示す。
条件で処理した場合は、スラグの融点が低下し、目標
〔P〕0.01%以下を達成することができた。
の含有率が0.5 重量%以下と小さく、特にエージング処
理を実施しなくとも水和膨張の恐れがなく、エージング
処理コストをかけずに安価に路盤材などへの利材化を図
ることができるスラグであった。
に蛍石(CaF2)を添加することなく、低CaO /SiO 2 の安
価なフラックスを使用して脱りん処理が可能であり、低
りん鋼溶製コストの低減を達成することができる。脱り
ん処理後スラグは、エージング処理を省略して路盤材等
へ有効に活用することができ、本発明方法は処理後スラ
グの利材化の観点からも経済的なものである。
略図である。
〔P〕との関係を示す図である。
の関係を示す図である。
との関係を示す図である。
よび脱りん率の時間変化を示す図である。
との関係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】上底吹転炉形式の炉において、転炉滓と酸
化鉄とを主成分とする脱りん用フラックスを用い、酸素
を上吹きして溶銑を脱りん処理する際、処理中のスラグ
条件を重量%で、塩基度(% CaO/% SiO2) = 1.2〜2.0
、かつ (Al2O3)=2〜16%、(T.Fe)=7〜30%に制御
して脱りんすることを特徴とする溶銑の脱りん方法。 - 【請求項2】上底吹転炉形式の炉において、転炉滓と酸
化鉄とを主成分とする脱りん用フラックスを用い、酸素
を上吹きして溶銑を脱りん処理する際、処理中のスラグ
条件を重量%で、塩基度(% CaO/% SiO2) = 1.2〜2.0
、かつ (Al2O3)=2〜16%、(T.Fe)=7〜30%、(%F)
を2%以下に制御して脱りんすることを特徴とする溶銑
の脱りん方法。 - 【請求項3】Al2O3 源として鋼の連続鋳造滓および/ま
たは造塊滓を用いて、スラグ条件を重量%で、 (Al2O3)
=2〜16%に制御することを特徴とする請求項1または
請求項2のいずれかに記載の溶銑の脱りん方法。
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