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JP3501286B2 - 一定の細胞系又は微生物の内因性遺伝子の発現特徴の変性のための方法 - Google Patents

一定の細胞系又は微生物の内因性遺伝子の発現特徴の変性のための方法

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Publication number
JP3501286B2
JP3501286B2 JP50331291A JP50331291A JP3501286B2 JP 3501286 B2 JP3501286 B2 JP 3501286B2 JP 50331291 A JP50331291 A JP 50331291A JP 50331291 A JP50331291 A JP 50331291A JP 3501286 B2 JP3501286 B2 JP 3501286B2
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gene
dna
cell line
cells
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シー. チャペル,スコット
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アプライド リサーチ システムズ,エーアールエス ホールディング ナームロゼ ベノートスハップ
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、安定細胞系又はクローン化された微生物の
ゲノム内に天然に存在する遺伝子の発現特徴の変性のた
めの方法に関する。好ましい態様においては、本発明
は、安定細胞系内に存在し、そして通常、転写的に沈黙
しており又は不活性である遺伝子の活性化及び発現のた
めの方法に関する。結果として、その遺伝子のタンパク
質生成物が発現される。この現象は、その生成物をコー
ドするDNAにより細胞をトランスフェクトしないで生じ
る。むしろ、所望する生成物をコードする常在性遺伝子
が、細胞内で同定され、そしていわゆる相同的組換え技
法を通して適切な調節セグメントを挿入することによっ
て活性化される。陽性及び/又は陰性選択マーカーがま
た、適切な相同的組換え出来事が生じている細胞の選択
を助けるために挿入され得る。追加の態様として、特定
化された遺伝子は、その遺伝子が通常転写的に沈黙して
おり、そして本発明により活性化されているか又は内因
的に生成物を発現するかにかかわらず、早められた発現
速度のために増幅され得る。
発明の背景 生物内の個々の細胞は、その生物内に見出されるすべ
てのタンパク質をコードする遺伝子情報を含むことが良
く知られている。しかしながら、一定細胞型内に存在す
るひじょうに少数%の遺伝子のみが実際的に転写され
る。転写されるべき遺伝子配列を調節する細胞内機構が
現在理解される。核内に存在する細胞特異的タンパク質
は、特定の遺伝子により連結されるDNA調節セグメント
と相互作用する。DNA調節配列と核タンパク質とのこの
相互作用は、遺伝子転写のために必要とされる。これ
は、mRNAの生合成及びコードされたタンパク質の究極的
な発現をもたらす(Mitchelland Tjian,Science,245:3
71,1989)。
個々の遺伝子のためのこれらのDNA調節セグメント又
は要素は、コード領域から上流に及び多くの場合、コー
ド領域内又はその下流に存在する。細胞特異的核タンパ
ク質との相互作用を通して、DNA調節セグメントは、遺
伝子の本体に接近し、そしてmRNA転写体を合成するため
のRNAポリマラーゼの能力、すなわちタンパク質発現に
おける酵素を制限する速度に影響を及ぼす。従って、こ
れらのDNAセグメント及び常在性核タンパク質は、特定
遺伝子の発現の調節に臨界的な役割を示す(Jchnson a
nd Mcknight,Ann.Rev.Biochem.,58:799,1989)。
DNA調節セグメントは、核タンパク質のための結合部
位である。これらの核タンパク質は、DNAヘリックスに
結合し、そして遺伝子転写を促進する、RNAポリマラー
ゼ認識のために利用できる所望する遺伝子を製造するた
めにその構造を明らかに変える。これらの細胞特異的調
節タンパク質の発現は、遺伝子が細胞内で転写され、そ
してその速度で発現が生じるであろうことを決定する。
このシステムの特異的な例として、たとえ脳下垂体タン
パク質のための遺伝子がすべての肝臓細胞内に存在した
としても、脳下垂体細胞(但し、肝臓細胞ではない)は
脳下垂体タンパク質を発現する。肝臓細胞の核は、肝臓
細胞内に存在する脳下垂体遺伝子の要素と相互作用する
特異的DNA結合タンパク質を含まない。
組換えDNA技法を用いてタンパク質を発現するために使
用される現在の方法 特異的DNA調節配列が特定細胞型内で遺伝子転写を活
性化するために必要とされる知識により、科学者は、遺
伝子工学を通して特定の細胞型内に外来性遺伝子を発現
して来た。一般的に、細胞の核タンパク質により認識さ
れるDNA調節セグメントは、発現されるべき外来性遺伝
子のコード領域から上流で置換される。この方法におい
ては、細胞中への挿入の後、外来性DNAは、細胞の核調
節タンパク質がこれらのDNA調節配列を認識するので、
発現され得る。この技法は、従来の精製技法により天然
源から得又は精製するために困難であったタンパク質を
生成するために使用されて来た。
認識できるDNA配列及び対象の遺伝子の他に、選択可
能マーカーがDNA構造体に結合される。この手段におい
ては、DNAを摂取した細胞のみが選択培地における培養
の後、生存する。たとえば、耐ネオマイシン性のための
遺伝子が発現ベクターに含まれ得る。トランスフェクシ
ョンに続いて、細胞は、G418、すなわち哺乳類細胞に対
しては致死的であるネオマイシン抗生物質中で培養され
る。しかしながら、その細胞が耐ネオマイシン性遺伝子
を得たならば、それらは薬物の毒性効果に耐えることが
できるであろう。この手段においては、トランスフェク
トされたDNAを摂取した細胞のみが、培養物中に維持さ
れる。いづれかの選択可能マーカーは、それがトランス
フェクトされたDNAを摂取した細胞の選択を提供する限
り使用され得ることが理解される。細胞内の挿入された
遺伝子材料の特異的位置に関しての臨界性は存在しない
ことがさらに理解される。調節セグメント及び外来性遺
伝子(並びに選択可能マーカー)の両者が一緒に挿入さ
れる場合、それが核内のいづれかに摂取されることが単
に重要である。
遺伝子発現の現在の方法における欠陥 上記技法は遺伝子工学の力を開発する助けになって来
たが、それらは必ずしも遺伝子を発現するのに最っとも
効果的な方法ではなかった。これは、細胞系の核中への
DNAの挿入が通常、トランスフェクションとして知られ
る技法を通して達成される事実による。対象の細胞系に
おける発現のために構築されたDNAが沈澱せしめられ、
そして細胞膜が、DNAの侵入を可能にするために溶解さ
れる。上記のようにして、DNAがゲノム中に組込む正確
な部位は決して予測できず;実際、DNAはエピソーム
(ゲノム中に組込まれていない)のまま存続することが
できる。これは、生成されるタンパク質の発現のレベル
及び細胞系の安定性のレベルの非予測性をもたらす。
この技法の第2の欠点は、発現ベクターの構成が、対
象の遺伝子が比較的大きい(5〜10K塩基以上)場合、
ひじょうに困難である事実である。組換えDNA技法によ
り発現されるタンパク質の多くは、より大きなゲノムク
ローンよりもむしろcDNAによりコードされていた。これ
は、対象の全体の大きさを減ずるために行なわれる。cD
NAの使用は遺伝子工学をより便利にするが、遺伝子転写
及びタンパク質生成の速度が結果として損害を受ける。
発現レベルは、時々、cDNA挿入体よりもむしろゲノムの
使用によりひじょうに高められることが最近示された
(Brinsterなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.,85:836〜840,19
88及びChung and Perry,Mol.Cell.Biol.,9:2075〜208
2,1989)。この観察を担当する機構は十分に理解されて
いないが、ある状況下で、イントロン内に存在するエン
ハンサー要素が遺伝子の転写効能を改良することができ
ることは知られている。イントロン、又はイントロンの
存在に起因するスプライシング出来事が、転写の開始に
続くRNAプロセッシング出来事に対して効果を有する証
拠がまた存在する(Buchman and Berg,Mol.Cell.Bio
l.,8:4395〜4405,1988)。これは、転写体を安定化し、
それによってmRNA蓄積の速度を改良する。上記に引用さ
れなBrinsterなどの文献においては、遺伝子内のイント
ロンの位置がプロモーターに対するヌクレオソームの相
化のために重要であることがまた仮定される。真核生物
の遺伝子の転写に対する種々の調節要素の影響が、Khou
ryなど.,Cell,33:313〜14(1983),Maniatisなど,Scien
ce,236:1237〜45(1987)及びMullerなど,Eur.J.Bioche
m.,176:485〜95(1988)に論ぜられている。
第3に、核中への侵入を得るために、外来性遺伝子の
全コード領域を含むトランスフェクトされたDNAは、細
胞の透過形質膜を通しての侵入に従って細胞質を横切
る。その時間の間、DNAは、DNAの統合を変えることがで
き又は完全に破壊するリソソーム酵素と接触することが
できる。従って、DNAのコード領域は、トランスフェク
トされた領域と同じではない。
下記遺伝子活性化及び/又は発現変性の新規方法は、
所望する遺伝子のコード領域が酵素変性にゆだねられな
いので、所望するタンパク質の変異形の生成をもたらす
ことができない。
要約すれば、従来技法を用いての細胞中にトランスフ
ェクトされた多量のDNA及び特にそのコード領域は、正
確に転写されないであろう。それは酵素的に混乱された
核中への侵入の前、少化し、その結果、所望する全タン
パク質をコードせず又は転写を可能にするすべての必要
な調節セグメントを含まない。それは、転写を妨げるゲ
ノムの一部中に挿入され得る。cDNAが転写される場合、
対象のタンパク質は、エンハンサーを含み、又は効果的
mRNAのプロセッシングを可能にするイントロンの脱落に
より効果的に生成され得ない。最後に、それはエピソー
ムのまま存続し、タンパク質生成を促進するが、しかし
細胞集団は細胞分裂を通して増殖するので不安定であ
る。
存在する方法の陽性特性を組込んでいるが、しかし興
味のない特徴を包含しない細胞系を生成する遺伝子発現
の誘発方法を開発することが最っとも所望される。細胞
タイプの選択において特定の遺伝子の内因性発現を発現
し、又は変性することができることがさらに所望され
る。適切なヌクレオソーム相化のためにイントロンの適
切な置換により又はより効果的なmRNAプロセッシング出
来事により、イントロン内に存在する隠れた転写エンハ
ンサーを含むことができる完全なゲノム配列により付与
され得る可能性ある利点を利用するこがさらに所望され
る。これらの利点は、遺伝子の大きさにより、組換えDN
A発現方法に通常有されない。ゲノムに通常存在する遺
伝子、すなわち内因性遺伝子を発現することができる場
合、細胞系の安定性及び発現速度はより適合、且つ予測
可能になる。
発明の要約 従って、従来技術における上記欠点を排除することが
本発明の目的である。
組換え遺伝子技法の陽正特性を組込んでいるが、しか
し興味のない特徴を包含しない遺伝子発現の調節及び/
又は増幅の方法を提供することが本発明のもう1つの目
的である。
細胞系の選択において存在するが、しか通常、転写的
には作動しない特定の遺伝子を発現するための方法を提
供することが本発明のもう1つの目的である。
mRNAの蓄積及び/又は転写を担当する完全なゲノム配
列の十分な利点を有するタンパク質を発現するための方
法を提供することがまた本発明の追加の目的である。
対象の生来の遺伝子の上流、その遺伝子内又はその遺
伝子に最っとも近くの安定細胞系又はクローン化された
微生物のゲノム中にDNA調節セグメントを挿入し、そし
て/又はセグメントを増幅することによって対象の遺伝
子の発現特徴を変性するための方法を提供することが本
発明のさらにもう1つの目的である。
安定細胞系又はクローン化された微生物のゲノム内に
天然に存在する遺伝子の発現特徴及び同時に、適切に変
性された細胞の選択において助力するであろう挿入体特
徴を変性するための方法を提供することが本発明の追加
の目的である。
対象の遺伝子のコード領域又はエキソン近くに、そこ
で天然において現われない調節又は増幅セグメントを有
するゲノムを提供することが本発明のさらにもう1つの
目的である。
本発明の相同的組換え方法を達成するために使用され
得るDNA構造体を提供することが本発明のもう1つの目
的である。
本発明のゲノムを含む細胞系及び微生物を提供するこ
とが本発明のもう1つの目的である。
本発明のこれらの及び他の目的が相同的組換え技法に
より達成され、これにより当業者は、常在性であるが、
但し転写的には不活性な遺伝子の発現及び好ましくは増
幅を引き起こすことができる。この技法によれば、たと
えば発現を条件付き、すなわち抑制可能又は誘発可能に
するために、又は発現の速度を早めるために、安定細胞
系のゲノムで天然に存在するが、しかし必ずしも不活性
でない遺伝子の発現特徴をだれでも変性することができ
る。
本発明は、細胞系又は微生物のゲノム内での遺伝子の
発現特徴を変性するための方法を提供する。DNA構造体
は、相同的組換えの技法によりそのゲノム中に挿入され
る。その構造体は、宿主細胞系又は微生物内で操作可能
的に結合されるいづれかの遺伝子の発現特徴を変性する
ことができるDNA調節セグメント、及び挿入されるべきD
NA調節セグメントのために所望されるゲノムの領域に相
同の標的セグメントを含む。構成及び挿入技法は、新規
DNA調節セグメントの、対象の遺伝子への操作的結合を
引き起こすために企画される。従って、いづれか新規の
コードエキソンを必ずしも挿入しなければ、その遺伝子
の発現特徴は変性される。好ましい態様においては、そ
の遺伝子は、宿主細胞系又は微生物内で通常転写的に沈
黙している又は不活性である遺伝子であり、そして相同
的組換えによりその遺伝子に関して適切な位置に直接的
に目標を決定されるDNA調節領域により、その遺伝子は
その遺伝子生成物の発現のために活性化される。
DNA構造体は好ましくは、ゲノム中に挿入されるそれ
らの要素により構造体においてお互いから分離される
が、好ましくは生来の遺伝子に隣接する2つの標的セグ
メントを含む。
構造体はさらに好ましくは、少なくとも1種の発現可
能な選択可能マーカー遺伝子、たとえば耐ネオマイシン
性を付与する遺伝子を含む。そのためのプロモーターを
含むこのマーカー遺伝子はまた、構造体の2種の標的領
域間に配置される。
もう1つの態様において、構造体は、対象の遺伝子の
発現を増幅するために発現可能な増幅可能遺伝子を含
む。そのためのプロモーターを含むこの遺伝子はまた、
構造体の2種の標的領域間に配置される。多くの場合、
選択可能マーカー及び増幅可能マーカーは同じであり得
る。
本発明の追加の態様においては、DNA構造体は、そのD
NA構造体が正しく挿入されている細胞において発現され
ない負の選択可能マーカー遺伝子を含む。この負の選択
可能マーカー遺伝子は、その構造体が均質組換えにより
遺伝子中に正しく組合される場合、除去するために2種
の標的領域外に配置される。そのような負の選択可能マ
ーカー遺伝子の例は、単純ヘルペスウィルスのチミジン
キナーゼ遺伝子である。
さらにもう1つの態様においては、対象の細胞系又は
微生物においてすでに生成物を発現している特定の遺伝
子の発現特徴を変性することが可能である。これは、
(1)細胞系又は微生物が増幅条件にゆだねられる場
合、対象の遺伝子のコピー数を高める発現可能な増幅可
能遺伝子及び/又は(2)たとえば転写速度を早め、翻
訳効率を高め、mRNAの蓄積を高め、発現を誘導的にし、
等により、対象の遺伝子の発現を変性するプロモーター
/エンハンサー要素(又は他の調節要素)を含むDNA構
造体を均質組換えにより挿入することによって達成され
得る。この態様で変性される遺伝子発現は、細胞系又は
微生物のこれまでの遺伝子操作により引き起こされて来
た天然の発現又は発現であり得る。これまでの遺伝子操
作は、従来の技法により又は本発明の相同的組換えによ
ってであった。後者の場合、発現特徴の変性をもたらす
DNA挿入は、遺伝子の発現をもたらす同じ遺伝子操作の
一部として達成され得、又は続く段階として行なわれ得
る。
本発明はまた、上記議論に従って調製された構造体及
びそのような構造体により相同的組換えに適切にゆだね
られたゲノム並びにそれらのゲノムを含む細胞系及び微
生物も包含する。さらに、本発明の形質転換された細胞
を培養することによる所望する生成物の調製方法もまた
包含される。
図面の簡単な説明 第1図は、本発明のDNA構造体の一般的な外形を示
す。
第2A図は、非相同又はランダム組換えの出来事におけ
るゲノム中へのDNA構造体の組込みの態様を示す。
第2B図は、相同的組換えの出来事におけるゲノム中へ
のDNA構造体の組込みの態様を示す。
第3図は、本発明に従っての好ましい相同的組換えベ
クターの構成を示す。
第4図は、単にDNAの単一の標的断片が使用される場
合、相同的組換えによるDNAの環状断片の組込みの態様
を示す。
第5図は、その制限部位を含むpRSVCATプラスミドを
示す。
第6図は、その制限部位を含むpRSVプラスミドの構成
を示す。
第7図は、その制限部位を含むpSV2NEOプラスミドを
示す。
第8図は、その制限部位を含むpSVNEOBAMプラスミド
の構成を示す。
第9図は、その制限部位を含むpRSVNEOプラスミドの
構成を示す。
第10図は、その制限部位を含むpRSVCATNEOプラスミド
の構成を示す。
第11図は、ラットTSHβ遺伝子の15.3kbフラグメント
及びその種々の制限セグメントを示す。
第12図は、その制限部位を含むpRSVCATNEOTSHB3プラ
スミドの構成を示す。
第13図は、その制限部位を含むpRSVCATNEOTSHB3−5Xb
a Iプラスミドの構成を示す。
第14図は、PCR増幅のための個々のプライマーが対応
するその領域にそってのTSHβのヌクレオチド配列の一
部を示す。エキソン2及び3は大文字で示される。247
個の塩基対の増幅されたフラグメントは、大線を引かれ
た星印により示される。
第15図は、種々の細胞集団から抽出されたRNAから合
成されたcDNAのポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果
を示し、そしてそのTSHβ cDNAは、存在する場合、PCR
により増幅されている。種々のラインを表わす細胞の性
質がゲル下の第15図に示される。
好ましい態様の詳細な記載 相同的組換えは、転写的に活性的な遺伝子における変
異を誘発し又は補正するための標的遺伝子のために過去
数年間開発されて来た技法である(Kucherlapatc;Prog.
in Nucl.Acid Res.and Mol.Biol.,36:301(198
9))。この相同的組換えの技法は、哺乳類ゲノムの特
異的領域中への特異的変異の導入方法として(Thomasな
ど.,Cell,44:419〜428,1986;Thomas and Capecchi,Ce
ll,51:503〜512,1987;Doetschmanなど.,Proc.Natl.Aco
d.Sci.,85:8583〜8587,1988)又は欠陥遺伝子内での特
異的変異を補正するために(Doetschmanなど.,Nature,3
30:576〜578,1987)開発された。
この技法を通して、ゲノム中に挿入したいDNAの断片
は、それを“標的DNA"に結合することによって対象の遺
伝子の特異的領域に向けられ得る。“標的DNA"とは、ゲ
ノムDNAの領域に相補的(相同)であるDNAである。一本
鎖DNAの2つの相同断片(すなわち標的DNA及びゲノムDN
A)がひじょうに隣接して存在する場合、それらは二本
鎖ヘリックスを形成するためにハイブリダイズするであ
ろう。ゲノム中に挿入することが所望されるDNA配列
は、その標的DNAに結合される。
相同的組換えが生じ得る多くの方法が存在する。1つ
の例は、細胞中での有糸分裂の間、DNAの複製の工程で
ある。
完全には理解されていない機構を通して、親二本鎖DN
Aは、複製バブルと呼ばれる局部領域で、細胞分裂のす
ぐ前で開環される。2種の分離されたDNAの鎖は、新規D
NA鎖が合成される鋳型として作用することができる。複
製フォークの1つのアームは、5′から3′方向にDNA
コードを有し、それは酵素DNAポリマラーゼが“読取
る”ことができる適切な配向である。この酵素は一本鎖
DNAの5′部分に結合し、そして鋳型としてその鎖を用
いて、相補的DNA鎖を合成し始める。DNAの他の親鎖は、
3′から5′の方向にコードされる。それはDNAポリマ
ラーゼによりこの方向で読取られ得ない。複製するこの
DNA鎖のためには、特別な機構が生じるはずである。
特殊化された酵素、すなわちRNAプライマーゼは、DNA
の3′から5′の鎖にそれ自体結合し、そしてその鎖に
そってある間隔で短いRNAプライマーを合成する。プラ
イマーとしてそれらのRNAセグメントを用いて、DNAポリ
マラーゼはプライムされたDNAに結合し、そして5′か
ら3′の方向にDNAの相補的断片を合成する。新しく合
成されたDNAのこれらの断片は、オカザキフラグメント
と呼ばれる。全反応の開始を担当するRNAプライマー
は、DNAポリマラーゼのエキソヌクレアーゼ機能により
除去され、そしてDNAにより置換される。この現象は、
ポリマラーゼが、局部的合成工程が停止するDNAのプラ
イムされていない長さに達するまで続く。従って、相補
的親鎖は3′から5′の方向に全体的に合成されるが、
それは実際、5′から3′の方向に“バックスティチ
(backstitching)”することによって生成される。そ
の“バックスティチ”工程の間、DNAに生じ得るいづれ
かのニックは、いわゆるDNAリガーゼと呼ばれる酵素に
より閉じられる。
DNAコードの絶対的な正確さを維持するために、校正
機能がDNAポリマラーゼ内に存在する。DNAポリマラーゼ
は、新規DNA鎖の合成に基づいてDNAのプライムされた断
片を必要とする。上記のように、これは、RNAによりプ
ライムされた一本鎖DNA又はDNAの相補的鎖であり得る。
DNAポリマラーゼがDNAの相補的断片をミスマッチしたこ
とが見出しされた場合、それはエンドヌクレアーゼとし
て作用し、そしてそれが完全な対合に再び達するまで、
3′から5′の方向にDNA塩基を除去することができ
る。
この背景1より、本明細書に記載される技法の基本を
理解することが可能である。ゲノムの特定領域に対して
相補的である標的DNAの小さな断片が、DNA複製工程の
間、親鎖と接触せしめられる。それは、共有される相同
領域を通してDNAの他の断片とハイブリダイズし、そし
て従って組換えするために細胞中に挿入されたDNAの一
般的な性質である。この相補的鎖が変異又はDNAの異な
った配列を含むオリゴヌクレオチドに結合される場合、
それは組換えの結果として新しく合成された鎖中に組込
まれる。校正機能の結果として、そのDNAの新規配列が
鋳型として作用することが可能である。従って、トラン
スフェクトされたDNAはゲノム中に組込まれる。
特定遺伝子の配列が知られている場合、遺伝子の選択
された領域に対して相補的であるDNAの断片が、たとえ
ば対象の領域の境界を示す特異的認識部位で生来のDNA
の適切な制限により合成され又は得られる。この断片
は、細胞中への挿入に基づいて標的装置として作用し、
そしてゲノム内でその相同領域にハイブリダイズするで
あろう。このハイブリダイゼーションがDNA複製の間に
生じる場合、このDNAの断片及びそれに結合されるいづ
れか追加の配列は、オカザキフラグメントとして作用
し、そして新しく合成されたDNAの娘鎖中にバックステ
ィチされるであろう。
本発明の技法においては、これらの標的DNAの断片
に、細胞内に存在する核調節タンパク質及び場合によっ
ては、増幅可能で且つ選択可能なDNAマーカーと相互作
用することが知られているDNAの領域が結合される。従
って、特定タンパク質の発現は、遺伝子自体及びマーカ
ーDNAをコードするDNAのトランスフェクションによって
ではなく、むしろ、転写のための認識できるシグナルを
遺伝子に付与するDNA調節セグメントにより結合される
標的DNA(対象の内因性遺伝子と相同性の領域)の使用
により達成され得る。この技法により、その遺伝子を実
際にトランスフェクトしないで、細胞タイプ内に存在す
るいづれかの同種遺伝子を発現し、そして増幅すること
が可能である。さらに、この遺伝子の発現は、その遺伝
子の一部又はcDNAよりもむしろ完全なゲノムDNAにより
制御され、従って転写の速度及びmRNAプロセッシングの
効率を改良する。さらに、細胞タイプ内に存在するいづ
れかの同種遺伝子の発現特徴は、DNA調節セグメントの
適切な挿入により及び対象の遺伝子の完全なコード部分
の挿入を伴わないで変性され得る。
本発明のこれらの観点によれば、分化された細胞系内
で、対象の通常転写的に不活な遺伝子を発現し、又は対
象の内因的に発現する遺伝子の発現を変性するための新
規方法が提供される。発現され、又は変性されたそれら
の発現を有することが所望される同種ゲノム配列が、細
胞内での遺伝子の発現を指図し、又は変性するために必
要な細胞特異的DNA配列(調節及び/又は増幅セグメン
ト)により供給されるであろう。得られるDNAは、異種
(同種DNA配列に対して)調節及び/又は増幅セグメン
トに操作的に直接的に結合される所望するタンパク質を
コードするDNA配列を含むであろう。正の選択マーカー
は、場合によっては、得られる細胞のスクリーニングを
促進するために構造体内に含まれる。いづれの選択可能
マーカーでも使用され得るが、耐ネオマイシン性遺伝子
の使用が好ましい。負の選択マーカーも、場合によって
は使用され得る。たとえばヘルペス単純ウィルスのチミ
ジンキナーゼ(HSVtk)遺伝子は、ランダムに組込まれ
たベクターDNAに対して選択するマーカーとして使用さ
れ得る。融合されたDNA又は存在する発現DNAは、標的DN
Aが増幅可能なマーカーに結合される場合、増幅され得
る。
従って、本発明の方法によれば、その特定の真核細胞
系、特に分化された細胞系に存在する場合に通常発現さ
れるいづれかの遺伝子は、その遺伝子が不活性な形で存
在する、その遺伝子に対して特異的でない細胞系におけ
る発現を余儀なくされ得る。これは、その遺伝子のため
の十分なDNA配列を実際に挿入しないで生じる。さら
に、その遺伝子、又は通常発現する遺伝子は、増強され
た発現速度のために増幅され得る。さらに、安全には転
写的に不活性でない遺伝子の発現特徴は、微生物におけ
る遺伝子の発現特徴を変性できるように変性され得る。
本発明の1つの態様において、対象の特定遺伝子を含
むが、しかし通常転写しない真核細胞は、本明細書に記
載される技法により転写するように誘導される。下記相
同組換えベクターはクローン性細胞系中に挿入され、そ
して化学的選択に従って、いづれか適切な手段により、
たとえば新しく活性化された遺伝子から転写されるmRNA
の検出、特定の遺伝子生成物の免疫学的検出又は特定の
遺伝子生成物についての機能的アッセイにより特定の遺
伝子生成物の生成についてモニターされる。
相同的組換えにより内因性遺伝子を転写的に活性化す
るために使用されるDNA構造体の一般的な外形が第1図
に示される。
一般的に、DNA構造体は、少なくとも2種〜6種まで
の又はそれ以上の別々のDNAセグメントを含む。そのセ
グメントは、発現されることが所望される遺伝子内の又
はその遺伝子に最っとも近い細胞ゲノムの領域に相同の
少なくとも1種、好ましくは2種のDNA標的セグメント
(A及びB)、正の選択遺伝子(C)、増幅可能な遺伝
子(D)、負の選択遺伝子(E)及びトランスフェクト
されるべき細胞において転写的に活性的であるDNA調節
セグメント(F)を含んで成る。本発明の最っとも基本
的な態様においては、単に、単一の標的セグメント
(B)及び調節セグメント(F)が存在すべきである。
他の領域のすべては任意であり、そして好ましい構造体
を生成する。
領域A及びBは、転写的に活性化される対象の内因性
遺伝子の領域に相同であるDNA配列である。内因性遺伝
子の特定領域A及びBは、挿入されるべき調節セグメン
トのために所望される特定の位置でのそれぞれ上流及び
下流に存在するように選択される。これらの領域は構造
体において分離されるが、それらは好ましくは内因性遺
伝子において隣接する。ゲノムの非隣接部分が標的セグ
メントとして利用され、たとえばゲノムの一部、たとえ
ば負の調節セグメントを削除することが所望される出来
事が存在し得る。
2種の標的領域、A及びBは、相同の全領域を高め、
そして従って組換え効率を高めるために好ましいが、本
発明の方法はまた、単一の標的領域の使用も包含する。
その単純な形においては(調節セグメントF及び選択可
能マーカー遺伝子C及びプロモーターC′のみが挿入さ
れる予定である場合)、標的DNAと共にそれらの要素を
含むDNAの環状断片が使用される。この手段において
は、相同領域(B)が、そのゲノム対応部分とハイブリ
ダイズする。セグメントC′,C及びFは、クロスオーバ
ー出来事に続いて、同種遺伝子のB部分内に挿入され
る。
DNA調節配列が対象の遺伝子の上流に挿入されること
が所望される場合、たとえば通常転写的に不活性的な遺
伝子を活性化し、そして発現することが所望される場
合、相同の領域は好ましくは、対象の遺伝子のコード部
分の上流のゲノムの非コード部分に相同である。2つの
標的領域が存在する場合、下流の領域(A)はコード領
域の一部を含むことができるが、但し、それはそのコー
ド領域の完全に上流に存在することが好ましい。相同領
域は、DNA調節配列が、特に生来のプロモーターがター
ンオフされた正のプロモーターよりもむしろ負のプロモ
ーターである場合、対象の遺伝子のために生来のプロモ
ーターの下流に挿入されるように選択されることがさら
に好ましい。
標的領域、すなわち相同の領域の大きさは、臨界では
ないが、但しより短い領域ほど、それらは相同の適切な
領域を見出し、そして所望するスポットで組換えが生じ
る傾向が低くなる。従って、相同領域が短いほど、相同
組換えの効率がより低くなり、すなわち都合良く組換え
されるクローンの%が低くなる。配列相同のための最少
必要条件は、25個の塩基対であることが示唆されている
(Ayaresなど、PNAS,USA,83:5199〜5203,1986)。さら
に、構造体中の他の要素のいづれかがまた、宿主細胞の
ゲノムに見出される場合、誤った場所で組換えの可能性
が存在する。しかしながら、本発明の卓越した正の及び
負の選択能力の観点から、その効率が低くても、それは
好都合良く実施され得る。両標的領域を含む相同の全領
域が大きい、たとえば1〜3kbである場合に最適な結果
が達成される。調節可能なセグメントFが対象の遺伝子
に操作的に結合され得る限り、標的領域及び特に上流の
標的領域Bの大きさに対する限界が存在しない。
標的領域が大き過ぎるか又はいなか、又は調節セグメ
ントFがそれに操作的に結合される遺伝子のコード領域
から遠く離れて過ぎているのか又はいなかは実験的に容
易に決定され得る。そのような場合、領域A及びBは対
象の遺伝子の異なったセクションに相同され得、そして
調節可能なセグメントFが対象の遺伝子に操作的に結合
されるように正しく挿入されるまで、その工程は反復さ
れる。たとえば、内因性遺伝子の組合された領域A−B
の制限部位は変更され得、そしてその工程は反復され
る。本発明の概念が本明細書に開示される技法と共に知
られた後、当業者は過度の実験を行なわないでいづれか
の細胞系内は微生物における対象のいづれか与えられた
遺伝子に関して本発明を使用することができる。
領域Cは、トランスフェクトされた細胞系を通常毒性
の環境に対して耐性にすることができる正の選択可能マ
ーカー遺伝子である。そのような遺伝子の例は、アデノ
シンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホト
ランスフェラーゼ(neo)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ
(DHFR)、ヒグロマイシン−B−ホスホトランスフェラ
ーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(tk)、キサンチン−
グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、
複数薬物耐性遺伝子(MDR)、オルニチンデカルボキシ
ラーゼ(ODC)及びN−(ホスホンアセチル)−L−ア
スパーラート耐性遺伝子(CAD)である。
正の選択可能マーカー遺伝子の他に、増幅可能な遺伝
子がまた、領域Dで構造体に任意に含まれる。増幅可能
な遺伝子は、選択的な圧力下で、コピー数の上昇を導び
く遺伝子である。その増幅可能な遺伝子に隣接して位置
づけされた遺伝子のコピー数がまた上昇するであろう。
使用され得る増幅可能な遺伝子は、DHFR,MDR,ODC,ADA及
びCDAを包含する。正の選択可能マーカー遺伝子群のメ
ンバー及び増幅可能な遺伝子群のメンバーはオーバーラ
ップし、その結果、理論的には、2種の遺伝子、たとえ
ば正の選択のための遺伝子及び増幅のための遺伝子を用
いる代わりに、1種の遺伝子が両目的のために使用され
得る。しかしながら、ほとんどの細胞系はこれらの増幅
可能遺伝子の内因性コピーを含むので、細胞はその選択
条件に対してすでにいく分耐性であり、そしてトランス
フェクトされたDNAを受容しない細胞とトランスフェク
トされたDNAを有する細胞との区別は困難である。従っ
て、たとえば増幅可能な遺伝子が所望される場合、優性
である正の選択遺伝子、たとえばHPH,gpt,neo及びtk(t
k−細胞における)がまた、構造体に含まれるべきであ
る。いくつかの用途のためには、増幅可能なマーカーを
削除することが可能であり又は好ましい。たとえば、対
象の遺伝子は、たとえば異種DNA調節配列による転写活
性化が増幅を伴わないで十分である場合、増幅される必
要はない。また、相同組換え効率がひじょうに低い場
合、非相同DNA:相同DNAの比は相同組換え効率に直接的
に関係されるので、増幅可能遺伝子を除外することが必
要である(Letsou,Genetics,117:759〜770,1987)。所
望するタンパク質又はmRNAの生成のためにスクリーニン
グにより、正の選択遺伝子を排除し、そして細胞を単に
選択することもまた可能である。しかしながら、ほとん
どの場合、少なくとも正の選択遺伝子を含むことが好ま
しい。
構造体中の領域Eは、負の選択可能マーカー遺伝子で
ある。そのような遺伝子は、DNA構造体が相同的組換え
により正しく挿入されている細胞においては発現されな
いが、しかしDNA構造体が、たとえばランダム組込みに
より不適切に挿入されている細胞においては発現され
る。1つのそのような遺伝子は、ヘルペス単純ウィルス
のチミジンキナーゼ遺伝子(HSVtk)である。HSVtkは、
ヌクレオチドに対して低い緊縮性を有し、そして通常の
哺乳類細胞がリン酸化できないヌクレオチド相同体をリ
ン酸化することができる。HSVtkが細胞に存在する場
合、ヌクレオチド相同体、たとえばアシクロバー(acyc
lovir)及びガンシクロバー(gancyclovir)がリン酸化
され、そして宿主細胞のDNA中に組込まれ、従って細胞
を殺害する。負の選択可能マーカー遺伝子の存在は、Ma
nsourなど(Natune,336:348〜352,1988)により記載さ
れるように相同組換えのために負−正の選択の使用を可
能にする。Capecchiは、線状化されたベクターDNAがラ
ンダム組込みにより挿入する場合に比べて、それが相同
的組換により挿入する場合に生じる組込みの異なった態
様の利点を有する手段を使用する。ベクターDNAがラン
ダムに挿入する場合、その挿入体の大部分は、末端を通
して挿入するであろう(Folgerなど、Mol.Cell.Biol.,
2:1372〜1387,1982;Rothなど、Mol.Cell.Biol.,5:2599
〜2607,1985;及びThomasなど、Cell,44:419〜428,198
6)。他方、ベクターが相同的組換により挿入する場
合、それは、それらの領域の外側の配列の損失を引き起
こす相同の領域を通して組換えするであろう。
例として第1図に示される構造体を用いて、相同的組
換えのための組込みvsランダム組込みの態様が第2A及び
2B図に示される。非相同的組換えの場合(第2A図)、ベ
クターは、構造体の末端を通して挿入される。これは、
領域E、この場合HSVtk遺伝子のゲノム中への挿入を可
能にする。しかしながら、相同的組換えが起こる場合
(第2B図)、HSVtk遺伝子は失なわれる。第1回目の選
択は、構造体内に存在する正の選択のために適切な薬物
又は条件を使用する。相同的組換え又はランダム組込み
のいづれかにより組込まれるDNAを有する細胞は、この
回の選択を生存するであろう。次に生存細胞が、薬物、
たとえばHSVtk遺伝子を含むすべての細胞を殺害するで
あろうガンシクロバーに暴露される。この場合、ランダ
ム組込みにより組込まれたベクターがHSVtk遺伝子を含
む細胞のほとんどは殺害されるが、しかし相同的組換え
により組込まれたベクターがHSVtk遺伝子を失っている
細胞は生存する。これは、ランダムに組込まれたDNAを
含む細胞のほとんどの排除を可能にし、相同的組換えを
通して組込まれたDNAを含む生存細胞の大部分を残す。
これは、正しい組換え出来事の同定をひじょうに促進す
る。
負の選択段階はまた、必要なら排除され得る。それ
は、ポリマラーゼ鎖反応(PCR)又は免疫学的スクリー
ニングのような技法の必要性を包含するスクリーニング
段階はより集中的な労力を必要とするであろう。
6番目の領域(F)は、対象の遺伝子を転写的に活性
にするために使用されるDNA調節セグメントを含む。適
切なDNA調節セグメントは、使用される細胞タイプに依
存して選択される。使用される調節セグメントは、分化
された宿主細胞系における与えられた遺伝子の発現を促
進することが知られているセグメントである。たとえ
ば、宿主細胞系が、タンパク質、たとえば成長ホルモン
及びプロラクチンを天然で発現する脳下垂体細胞から成
る場合、それらの遺伝子のいづれかのためのプロモータ
ーは、DNA調節要素Fとして使用され得る。本発明に従
って挿入される場合、調節セグメントは、通常転写的に
不活性な対象の遺伝子に操作的に結合され、そして宿主
細胞系におけるその遺伝子の転写及び/又は発現を刺激
するであろう。細胞タイプを通して作用する無差的なDN
A調節セグメント、たとえばラウス肉腫ウィルス(RSV)
プロモーターもまた有用である。調節セグメントが転写
及び/又は発現を刺激し、又は本発明により対象の遺伝
子に操作的に結合されるように宿主細胞系中に挿入され
た後、対象の遺伝子の転写及び/又は発現を刺激するた
めに誘発され得る限り、それは本発明に使用され得る。
それは開始コドンが配列中に突然的に導入されていない
標的セグメントAに調節セグメントFを連結する場合、
そのような発生が発現されることが所望される遺伝子の
読取り枠を変えるので、重要である。もちろん、構造体
は、調節セグメントFが対象の遺伝子に操作的に結合さ
れるように構成され、そして挿入されるべきである。
DNA調節セグメント、すなわち領域Fは、たとえばそ
れは細胞系において天然において発現するので又は細胞
系はそのような発現を引き起こすために操作されたその
DNAを前もって有しているので、対象の細胞系において
すでに発現している遺伝子の転写を増強し、又は増幅す
ることが所望される場合、存在する必要はない。そのよ
うな場合、増幅可能遺伝子、領域D、好ましくは正の選
択可能マーカー遺伝子、領域C及び場合によってはま
た、負の選択可能マーカー遺伝子、領域Eの挿入は、対
象の遺伝子のコピー数を高め、そして従って全体量の転
写を高めるのに十分であろう。他方、対象の遺伝子のた
めの存在する調節領域に比べて転写の増強された(又は
変性された)速度を本質的に促進する新規調節セグメン
ト、領域Fは、対象の存在する発現遺伝子の転写をさら
に増強するために含まれ得る。そのような新規調節セグ
メントは、転写効率を改良するプロモーター又はエンハ
ンサーを含む。
領域C′,D′及びE′は、それぞれ領域C,D及びEに
おける遺伝子を誘導するために使用されるプロモーター
領域である。これらのプロモーターは、選択された細胞
系において転写的に活性であり、そして対象の内因性遺
伝子を誘導するために使用される領域Fにおけるプロモ
ーターと同じか又は異なったものであり得る。第1図に
特定された転写の特異的方向は臨界ではない。当業者
は、対象の遺伝子又は構造体中の他のいづれかの遺伝子
の発現を同時に妨げないで、プロモーターがそれらの関
連する遺伝子の発現を刺激するように、遺伝子C,D及び
E及びそれらのプロモーターC′,D′及びE′のいづれ
か適切な配置を決定することができる。
本発明は、GH1(ATCC CCL82),GH3(ATCC CCL 82.
1)又はGH4cl細胞系(GH)においてのラットチロトロピ
ンβサブユニット(TSHβ)活性化により例示され得
る。GH細胞系は、MtT/W5(Takemoto,Cancer Res.,22:9
17,1962)と命名され、そしてTashjianなど、Endocrino
logy,82:342〜352,1968により培養で増殖するように適
合された、ラットにおける放射線誘発性脳下垂体腫瘍に
由来する。これらの細胞系は、成長ホルモン及びTSHβ
を生成するそれらの能力についてサブクローンされ、そ
してスクリーンされ得る。そのようなスクリーニング
は、好ましくはノザンブロット分析により行なわれ、ラ
ット成長ホルモン遺伝子のためのmRNAが存在するいづれ
かが決定され、そして生成されるTSHβ遺伝子のためのm
RNAが存在しないことが確立される。その細胞系はま
た、ゲノム内に存在するTSHβ遺伝子の少なくとも1つ
のコピーが存在することを決定するためにサガン分析に
よりスクリーンされ得る。成長ホルモンを生成し、そし
てTSHβを生成しないが、しかしTSHβ遺伝子のコピーを
含むGH細胞系のみが使用される。
GH細胞に使用するための特定の相同的組換えベクター
は、次の態様で企画され得る(第3図)。領域Aは、−
74から−2785に伸びるHind IIIフラグメントにより定義
されるTSHβ遺伝子の5′上流の未翻訳領域から成り、
そして領域Bは、−2785Hind III部位から、さらに上流
のNco I部位に伸びる約2.1kbのDNAフラグメントを含む
ことができる(Carrなど、J.Biol.Chem.,262:981〜987,
1987及びCroyleなど、DNA,5:299〜304,1986)。正の選
択遺伝子(領域C)は、プラスミドpSVZneo(ATCC No.
37,149)に由来るす1067bpのBgl II−Sma Iフラグメン
トであり得る(Southernなど、J.Mol.Appl.Gen.,1:327
〜341,1982)。そのneo遺伝子は、プラスミドpRSVcat
(ATCCNo.37,152)からのNde I−Hind IIIフラグメント
に由来するラウス肉腫ウィルス(RSV)のプロモーター
(領域C′)により駆動され得る。この例においては、
増幅可能マーカーは使用される必要がなく、そして従っ
て、相同的組換えの効率を最適化するために領域Dの必
要性が存在しない。その効率は、構造体に存在する非相
同配列:相同配列の割合に反比例する(Letsouなど、Cr
enetics,117:759〜770,1987)。領域E又は負の選択遺
伝子は、プラスミドpMCITK(Capecchiなど、Nature,33
6:348〜352,1988)から得られる2kbのXhoフラグメント
であるHSVtk遺伝子から成る。その構造体におけるHSVtk
遺伝子は、Thomasなど(Cell,51:503〜512,1987)によ
り構成されるようにポリオーマウィルスのプロモーター
及びエンハンサー(領域E′)により駆動され得る。第
2のDNA構造体において、そのポリオーマプロモーター
は、上記のRSVプロモーターにより置換され得る。TSHβ
遺伝子を活性化するために使用されるDNA調節配列は、R
SVプロモーター又はラット成長ホルモンプロモーターの
いづれかであり得る。ラット成長ホルモンプロモーター
は、プラスミドpRGH237CA7(Larsonなど、PNAS,83:8283
〜8287,1986)から得られるSac I−EcoR Iフラグメント
から成る。RSVプロモーターは、GH細胞の他に他の細胞
系において有用である利点を有し、そしてGHプロモータ
ーは、GH細胞において活性的であることが知られてお
り、そして特異的に誘発され得る(Brentなど、J.Biol.
Chem.,264:178〜182,1989)。ラット成長ホルモンプロ
モーター及びRSVプロモーターは、別々の構造体におい
て位置Fで挿入され得る。
GH細胞系中への上記構造体のトランスフェクションの
後、その細胞はG418を含む培地中で増殖され得る。これ
は、相同的組換え又はランダム組込みのいづれかにより
ゲノム中にプラスミドDNAを組込まれたそれらの細胞の
みの増殖を可能にするであろう。生存細胞は、ガンシク
ロバーを含む培地中で増殖され得る。この回の選択を生
存する細胞の大部分は、ペクタープラスミドDNAが相同
的組換えにより組込まれているものであろう。これらの
細胞は、それらがTSHβ遺伝子に対応するmRNAを生成
し、そしてそれらがTSHβタンパク質を生成することを
示すためにスクリーンされ得る。ゲノムDNAはまた、適
切な組換え出来事が生じたかを確めるために異種プロモ
ーターの挿入の部分近くを配列決定され得る。
例−ラット脳下垂体細胞におけるTSHβ遺伝子の活性化 次の手段を用いて、ラットGH3脳下垂体細胞系におい
ては通常存在しないチロトロピンβサブユニット(TSH
β)遺伝子転写を、相同的組換えの方法を用いることに
よってそれらの細胞中で活性化し、TSHβコード領域の
上流の活性化要素の標的を決定した。ラウス肉腫ウィル
ス(RSV)プロモーターは、GH3細胞において効果的に機
能することが知られており(Christian Nelsonなど、N
ature,322:557〜562(1986);Zheng−Sheng Yeなど、T
he Journal of Biological Chomistry,263:7821〜7
829(1988))、そして従って、活性化要素として選択
された。トランスフェクトされた細胞集団の単離のため
に、RSV活性化要素、TSHβ遺伝子座の5′フランキング
領域の部分及び選択可能な薬物マーカー、たとえばアミ
ノグリコシド ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(NE
O)を含むプラスミドベクターを構成した。リボ核酸(R
NA)を、プールされた耐薬物性GH3細胞集団から抽出
し、そして相補的デオキシリボ核酸(cDNA)に転換し
た。次に、そのcDNAを、TSHβ cDNAの存在について、
ポリマラーゼ鎖反応(PCR)の技法によりスクリーンし
た。相同的組換えベクター及び制御ベクターの構成は、
実験方法及び結果と共に、下記に概略されている。
プラスミド構成 相同的組換え(HR)バックボーンベクター(pRSVCATNE
O) ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーターを、機能的
なプロモーター単位を含む580塩基対(bp)のNde I−Hi
nd IIIフラグメントを単離することによって、プラスミ
ドpRSVCAT(Gornelia M.Gormanなど.,Proceedings of
the National Academy of Science,79:6777〜678
1(1982)(第5図)から誘導した。このフラグメント
の末端を、DNAポリマラーゼIクレノウフラグメントを
用いてブラント化し、そしてXba Iリンカーをそのブラ
ント末端に連結した。Xba I制限エンドヌクレアーゼに
よる消化及びゲル精製の後、得られたフラグメントをPU
C18のXba I部位中に連結した。第6図に示される配向で
RSV挿入体を有するプラスミドを含む細菌コロニーを、p
RSVと命名した。アミノグリコシドホスホトランスフェ
ラーゼ遺伝子(NEO)を、Bgl II及びBamH Iフラグメン
ト(第7図)を単離し、そしてそのフラグメントをpRSV
のBamH I部位(第6図)中に連結することによって、pS
V2NEO(P.J.Southermなど.,Journal of Molecular a
nd Applied Genetics,1:327〜341(1982))からクロ
ーン化した。第8図に示される配向でNEO遺伝子を含む
プラスミドを取り出し、そしてpRSVNEOBAMと命名した。
そのpRSVNEOBAMを、Sma Iにより消化し、そしてRSVプロ
モーター領域、NEO遺伝子の大部分及びpUC18を含む4328
bpのフラグメントを、ゲル電気泳動により単離した。こ
のフラグメントのSma I末端にXho Iを連結し、Xho I制
限酵素により切断し、そしてそのプラスミドを連結によ
り再環状化した。得られたプラスミドは第9図に示さ
れ、そしてpRSVNEOと命名される。この最後のクローニ
ング段階は、その機能的な発現のためには必要でないNE
Oフラグメントの3′末端から786bpのフラグメントの欠
失をもたらした。この構成は、NEO遺伝子がRSVプロモー
ターにより転写的に駆動されるプラスミドを生成する。
次に、pRSVCAT(第5図)におけるRSVプロモーターの
5′に位置するNde I部位を、Sal I部位に転換した。こ
れは、Nde IによりpRSVCATを消化し、DNAポリマラーゼ
Iクレノウフラグメントを用いてそれらの末端をフィル
インし、そして得られたブラント末端にSal Iリンカー
を連結することによって達成された。リンカーを、Sal
Iにより完全に消化し、そしてそのプラスミドを連結に
より再環状化した。新しく構成されたSal I部位中に、R
SVプロモーター及びNEO遺伝子を含むpRSVNEO(第9図)
からのSal I−Xho Iフラグメントをクローン化した。第
10図に示されるように配向されたRSVプロモーター及びN
EOフラグメントを有するプラスミドを単離し、そしてpR
SVCATNEOと命名した。このプラスミドは、GH3細胞中に
トランスフェクトされる場合、それらの細胞に耐G418性
を付与することができ、NEO遺伝子の転写を駆動するRSV
プロモーターの能力及び機能的タンパク質中に翻訳され
るそのRNAの能力を示す(データは示されていない)。
上記安定したトランスフェクタントからの全体のRNA
を、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)により分析し、CAT遺伝
子が転写されたかどうかを決定した。PCR結果は、CAT遺
伝子が試験される耐G418性コロニーのすべてにおいて実
際に転写されたことを示し(データは示されていな
い)、CAT遺伝子のRSVプロモータ5′がそれに対して
3′仍りに位置する遺伝子の転写を駆動することができ
たことを示した。これは、このRSVプロモーターが、下
記TSHβHRベクターが相同的組換によりGH3ゲノム中に組
込む場合、そのTSHβ遺伝子の転写の駆動を担当するで
あろうから重要である。
TSHβ HRベクター 相同的組換えによりGH3ゲノム中に組込むことができ
るベクターを、pRSVCATNEO(第10図)に含まれるユニー
クSal I及びHind III部位中にチロトロピンβサブユニ
ット(TSHβ)遺伝子の5′のフランキング領域の2種
の拡張部を挿入することによって創造した。λDASH中に
クローン化された15kb又はそれ以上の挿入体を含むラッ
ト脾臓ゲノムライブラリーを、Stratagene,San Diego,
CAから得た。標準方法(Curpent Protocols in Mole
cular Biology,pp.1.9.1−1.13.6,6.1.1−6.4.10)を
用いて、第1エキソンの9kbの配列5′を含むラットゲ
ノムTSHβ遺伝子の15.3kbクローンを単離した。その15.
3kbのフラグメントは、2種のXba Iフラグメント、すな
わち15.3kbフラグメントの5′末端に対応する10.6kbの
フラグメント及び15.3kbフラグメントの3′領域に対応
する4.7kb断片から成った(第11図)これらのXba Iフラ
グメントの両者を、PUC18中にサブクローンし、そして
両配向で挿入体を含むプラスミドを単離した。4.7kbのX
ba Iフラグメント(第11図)に含まれる2.3kbのXba I−
Hind IIIフラグメントを精製し、そしてこのフラグメン
トのXba I部位を、クレノウフラグメントによりそれら
の末端をフィルインし、そしてHind IIIリンカー上で連
結することによってHind III部位に転換した。このフラ
グメントを、pRSVCATNEO(第10図)に含まれるユニーク
Hind III部位中に連結した。第12図に示されるような正
しい配向で2.3kbの挿入体を有するプラスミドに対応す
る単離体を、pRSVCATNEOTSHB3と命名した。
ラットTSHβ細胞からのサブクローンされた10.6kbのX
ba Iフラグメント(第11図)を単離し、そしてXba I末
端を、そのフラグメントをDNAポリマラーゼIクレノウ
フラグメントによりブラント末端化し、そしてSal Iリ
ンカーを結合することによってSal I部位に転換した。
次に、この10.6kbのSal Iフラグメントを、pRSVCATNEOT
SHB3のSal I部位中にクローン化した(第12図)。正し
い配向でその挿入体を含むプラスミドを同定し、そして
pRSVCATNEOTSHB3−5Xba I(第13図)と命名した。後者
のプラスミドを、American Type Calture Collectio
n,Rockville,MDに寄託し、そして寄託番号ATCC 40933
号を得た。この寄託のために、前記プラスミドをpHRTSH
と命名した。この寄託は、ブタペスト条約のすべての必
要条件に従って行なわれた。
細胞系 GH3細胞は、放射線誘発されたラットの脳下垂体腫瘍
に由来し(B.K.Takemoto,Cancer Research,22:917(19
62))、そしてTashjianなど.,Endocrinology,82:342〜
352(1968)により培養増殖するように適合されたMtT/W
5のサブクローンされた集団である。GH3細胞をATCC細胞
バンクから得、そしてダルベッコ変性イーグル培地(DM
EM)+15%・馬血清(HS)+2.5%ウシ胎児血清(FBS)
+1%L−グルタミン(GH3培地)中で37℃で5%CO2
おいて増殖することによって培養維持する。
DNA調製 プラスミドDNAの大規模調製 安定したトランスフェクションのために使用されるす
べてのプラスミドを、Current Protocols in Molecu
lar Biology、第1巻、pp.1.7.1−1.7.2に記載される
ように大規模なプラスミドDNA精製のためにアルカリ溶
解方法を用いて精製した。そのアルカリ溶解方法により
単離されたDNAを、Current Protocols in Molecular
Biology、第1巻、pp.1.7.5−1.7.7に記載されるよう
に塩化セシウムグラジエントでの二重バンディング(do
rible banding)によりさらに精製した。
トランスフェクションの前、HRベクターを、Aat II又
はApa Iのいづれかにより消化した。Apa Iを用いて、対
照のプラスミドpRSVCATNEOを線状化し、そしてAat IIを
用いて、HRプラスミドpRSVCATNEOTSHB3−5Xba Iを線状
化した。Apa I及びAat IIの切断部位の位置は、それぞ
れ第10及び13図に見出され得る。適切な制限酵素による
消化の後、その反応をフェノールクロロホルム抽出し、
クロロホルム抽出し、エタノール沈殿化し、そして70%
エタノールにより1度洗浄した。次に、プラスミドを、
脱イオン水(dH2O)に再懸濁し、OD260での吸光度によ
り測定される場合、1μg/μlの濃度にした。トランス
フェクション効率及び/又は相同的組換え陽性:ランダ
ム組込みによる陽性の比を高めるために、pRSVCATNEOTS
HB3−5Xba IをApa Iにより消化した。Apa Iによる消化
は、pRSVCATNEOTSHB3−5Xba Iにおいて3種の別々の部
位で切断し、そして相同的組換えのために必要なものを
除く、すべてのベクター領域を除去する(第13図)。Ap
a Iによる消化の後、その反応を0.8%アガロースゲル上
で電気泳動し、そしてTSHβ遺伝子の2つの5′フラン
キング領域、RSVプロモーター−NEO領域及びTSHβ遺伝
子−活性化RSVプロモーターを含む10,992bpのフラグメ
ントに対応する上部バンドを、透析管への電気溶出によ
りゲルから単離した。電気溶出されたDNAを、製造業者
の標準の方法により、elutip minicolamn(Schleicher
and Schuell)を用いることによってさらに精製し
た。DNAを、そのカラムから溶出し、エタノール沈殿
し、70%エタノールにより洗浄し、そして再懸濁し、1
μg/μlの濃度にした。
安定トランスフェクション リン酸カルシウムトランスフェクション トランスフェクションの48時間前、3×106個のGH3
胞を、10cmの皿上にプレートした。個々の皿のために、
ベクターDNA10μg及び音波処理されたサケ精子DNA30μ
gを、トランスフェクション緩衝液0.5mlに添加した。
トランスフェクション緩衝液は、NaCl4g,kc10.18g,0.05
gのNa2HPO4、デキストロース0.5g,HEDES2.5gをdH2Oと共
に組合して500mlの最終体積にし、そしてそのpHを7.5に
することによって調製された。31μlの2MのCaCl2を、D
NA0.5ml+トランスフェクション緩衝液に添加し、そし
て攪拌した。この溶液を、室温で45分間静置した。DNA
−CaCl2−トランスフェクション緩衝液が準備された
後、GH3培地をGH3細胞から除き、そしてDNA−CaCl2−ト
ランスフェクション緩衝液を細胞上に被覆した。細胞を
室温で20分間静置した。20分後、5mlのGH3培地を添加
し、そしてプレートを37℃で6時間インキュベートし
た。次に、培地をアスピレートし、そして15%グリセロ
ールを含む新鮮なトランスフェクション緩衝液5mlを3.5
分間にわたって添加することによってショックをその細
胞に与えた。細胞をPBSにより2回すすぎ、そしてGH3
地10mlを供給した。トランスフェクションの48時間後、
培地を除き、そして400μg/mlのG418を含むGH3培地10ml
を添加した。
エレクトロポレーション エレクトロポレーションを、3.5mmのギャップの電極
を有するBTX300Transfectorを用いて行なった。対数相
で増殖する1×107個のGH3細胞を、トリプシン処理によ
りそれらのプレートから除去し、遠心分離によりペレッ
ト化し、そしてPBSにより1度洗浄した。細胞を、PBS1.
0mlに再懸濁し、そして氷上2.9mlのUltra−UV使い捨て
キュベット(American Scientific Products)に移し
た。DNA10μgを細胞に添加し、混合し、そして氷上に
5分間戻した。5分後、電極をチャンバーに配置し、そ
して細胞を、750μファラド及び200Vのパルスの設定下
でエレクトロポレートした。そのキュベットを10分間氷
上に戻した。細胞を、15mlの円錐形管において室温で1
%ペニシリン及び1%ストレプトマイシンを含むGH3
地9mlに前記キュベットから移した。1×107個の細胞の
全体のエレクトロポレーションを、3個の10cmプレート
に移し、約3×106個の細胞/プレートを付与した。48
時間後、400μg/mlのG418を含むGH3培地を添加した。
pRSVCATNEOTSHB3−5Xba I(Aat II切断)、pRSVCATNEOT
SHB3−5Xba I(Apa I切断)及びpRSVCATNEO(Apa I切
断)によるGH3細胞のトランスフェクション pRSVCATNEOTSHB3−5Xba I(Aat II切断)、pRSVCATNE
OTSHB3−5Xba I(Apa I切断)及びpRSVCATNEO(Apa I切
断)プラスミドを、リン酸カルシウム法及びエレクトロ
ポレーション法の両者を用いて、DNA対照と共にGH3細胞
中にトランスフェクトした。トランスフェクションの48
時間後、細胞をG418選択下に置いた。約14〜21日後、コ
ロニーは10cmの皿上で眼により見えるようになり、そし
て計数した。DNA対照のすべてにおいては、眼に見える
コロニーは存在せず、これは、G418選択が作用し、そし
てRSV−NEO領域を含むプラスミドの存在がG418耐性を付
与するために必要であることを示す。この時点で、コロ
ニーを取り、そして17mmの幅のクローニング環を有する
10cmの皿上の領域を単離することによってプールした。
これらの大きなクローニング環は、プレート当たりのコ
ロニーの密度に依存して10〜70個のコロニーを包含し、
そしてその単離された領域におけるGH3細胞の除去を可
能にし、そして同時に、トリプシン処理によりプールし
た。個々の環におけるトリプシン処理されたコロニー
を、6ウェルプレートに移し、そしてG418を含むGH3
地での増殖を可能にした。70%〜80%の集密性に達した
後、80,000個の細胞を24ウェルプレートに移し、そして
残る細胞を後でさらに試験するために凍結保存した。24
ウェルプレートにおける細胞を、それらが50%〜80%の
集密性に達するまで増殖せしめた。次に、全体のRNAを
それらのGH3細胞から次の方法により収穫した。
24ウェルプレートにおいて増殖されたトランスフェクト
されたGH3細胞からのRNA単離 次の方法は、Chomczynski and Sacchi,Anal.Bioche
m.,162:156〜159(1987)により記載される方法の改良
である。24ウェルプレートにおけるGH3細胞を被覆する
培地を除去し、そして細胞をPBS1mlにより洗浄した。GT
C溶液1mlを添加し、そして細胞を室温で5分間インキュ
ベートした。GTC溶液を、dH2O293mlにグアニジウムチオ
シアネート(Flaka)250gを溶解し、そして次に0.75μ
のクエン酸ナトリウム(pH7.0)17.6ml及び10%のサル
コシル(L−ラウリルサルコシン)26.4mlを添加するこ
とによって調製した。使用のすぐ前、GTC溶液50ml当た
りβ−メルカプトエタノール360μlを添加した。室温
で5分後、GTC−細胞溶解物1mlを、GTC溶液2mlを含むSa
rstedt55.518スナップ−キャップ管に移した。個々の管
に、2μの酢酸ナトリウム(pH4.0)300μlを添加し、
そしてその管を攪拌した。次に、dH2O飽和フェノール3m
lを添加し、そして再びその管を攪拌した。個々の管
に、クロロホルム:イソアミルアルコール(49:1)溶液
600μlを添加し、そして管を手により10秒間、振り、
そして氷上に15分間置いた。次に、管を、4℃で20分
間、8000回転/分(RPM)でSM24ローターを用いてSorva
l RC−5B中において遠心分離した。水性相を、イソプ
ロパノール3mlを含む新しいSarstedt管に移し、そして
−20℃で1時間置いた。1時間後、管を、4℃で20分
間、8000rpmでSM24ローターを用いてSorval RC−5B中
で回転せしめた。上清液を除去し、そしてペレットをGT
C溶液500μlに再懸濁した。再懸濁されたRNAを、1.5ml
のエペンドーフ(eppen dorf)管に移し、それにイソ
プロパノール500μlを添加した。その管を、もう1度
−20℃で1時間静置した。エペンドーフ管をマイクロフ
ュージ中で5分間回転せしめ、そして上清液を除去し
た。ペレットを70%エタノールにより2度洗浄し、そし
てエタノールが完全に蒸発するまで乾燥せしめた。ペレ
ットを、水により処理されたジエチルピロカーボネート
(clepc)20μlに再懸濁し、そして65℃で5分間加熱
した。次にこのRNAを用いて、下記2種の方法の1つでc
DNAを製造した。
cDNA反応 方法1 第1鎖cDNAを、10〜20μlの反応体積中、合計RNA
(約0.5〜6μg)2.5〜6.0μlから合成した。合成RNA
を、上記抽出方法により得、そして70℃で5〜10分間変
性せしめ、そして反応成分を添加する前、氷上ですばや
く急冷せしめた。その反応条件は、50mMのトリス−HCl
(pH8.3),10mMのMgCl2,10mMのDTT,0.5mMの個々のdCTP,
dATP,dGTP及びdTTP(Pharmacia),40mMのkcl,500単位/m
lのRNasin(Promega Biotech),85μg/mlのオリゴ(d
T)12−18(Collaborative Research,Inc.)及び37℃
で60分間インキュベートされた15,000〜20,000単位/ml
のMolonyネズミ白血病ウィルス逆転写酵素(Bethesda
Research Laboratories)であった。反応を、40mMのED
TAを添加することにより停止し、そして核酸を、0.3Mの
濃度の酢酸ナトリウム及び2体積のエタノールを添加す
ることにより沈澱せしめた。沈澱物を0℃で30分間形成
せしめ、そして14,000rpmで30分間、microfuge中におい
ての遠心分離によりペレット化した。ペレットを70%エ
タノールにより洗浄し、乾燥せしめ、そして15〜25μl
の体積のdepc処理された水に再懸濁した。
方法2 RNAからのcDNAの第1鎖の合成のための条件は、Carol
A.Brennerなど、Bio Techniques,第7巻、第10号、1
096〜1103ページ(1989)から適合せしめられた。上記
方法により調製されたRNAからの合計RNA1μlを、0.5ml
のエペンドーフ管中における反応緩衝液9μlに添加し
た。その反応緩衝液は、200単位のMoloneネズミ白血病
ウィルス逆転写酵素(MMLVRT Bethesda Research La
bs)及び次の試薬の最終濃度から成る:70mMのトリス−H
Cl,pH8.8,40mMのkcl,0.1%のTriton X−100,1mMの個
々のdNTP,4mMのMgCl2及び0.45UD260単位のランダムヘキ
サマー(Pharmacia)。混合の後、管を室温で10分間イ
ンキュベートし、そして次に、42℃で1時間置いた。1
時間後、管を90℃で1分間加熱し、MMLVRTを不活性化
し、そして次に室温に冷却した。
GH3細胞からのRNAのポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅 次のプライマーを用いて、相同的組換えにより内因性
TSHβ遺伝子を活性化するHRプラスミドの結果としてGH3
細胞により生成されたRNA転写物から合成されたTSHβcD
NAを、PCRにより増幅した。
第14図は、個々のプライマーが応答するTSHβ遺伝子
の領域を示す。
PCR反応条件 すべてのPCR反応を、Ericomp Twinblock熱サイクラ
ー(thermocyclear)で行なった。PCR増幅が方法2によ
り製造されるcDNAに対して行なわれる場合、40μlの追
加の反応ミックスを、cDNA反応物10μlに添加し、合計
体積を50μlまでにした。その50μlにおける試薬の最
終濃度は、70mMのトリス−HCl(pH8.8),40mMのKcl,0.1
%Triton X−100,2.25単位のTaqポリマラーゼ(Pharm
acia),0.2μMの個々のプライマー、200μMの個々のd
NTP及び0.8mMのMgcl2であった。
PCRが上記方法1により製造されるcDNAに対して行な
われる場合、再懸濁されたcDNA5〜10μlを、次の最終
濃度の成分を含む反応ミックス40〜45μlに添加した:7
0mMのトリス−HCl,pH8.8,40mMのKCl,0.1%TritonX−10
0,2.25単位のTaqポリメラーゼ、0.2μMの個々のプライ
マー、200μMの個々のdNTP及び0.8mMのMgcl2
次に反応を次のPCRサイクルにゆだねた。
94℃で1分間、 55℃で30秒間、 72℃で2分間。
上記サイクルを30〜40回くり返した。10μlの個々の
反応ミックスを、6%ポリアクリルアミドゲルにかけ、
そしてTSHβのための適切にスプライスされたmRNAの存
在を示す247bpのPCRフラグメントの存在についてスクリ
ーンした。
GH3細胞及びラット下垂体の合計RNAからのTSHβRNAの増
幅のためのPCR結果 GH3細胞が通常TSHβ RNAを合成するかどうかを決定
するために、トランスフェクトされていないGH3細胞か
らのcDNA及びラット下垂体からのcDNAを、上記PCR反応
条件にゆだねた。TSHβ mRNAの存在を示す正しい247bp
のバンドがラット下垂体サンプルの正の対照に見出され
たが、しかし60サイクルの後でさえ、GH3細胞からの合
計RNAサンプルからはバンドは見出されなかった(デー
タは示されていない)。
トランスフェクション結果 10cmの皿上に存在するG418耐正コロニーの数を、培地
にG418の添加後14〜21日間にわたって表化した。
全体のRNAを、上記のようにして24ウェルプレートに
含まれるコロニープールから収穫した。cDNAを、これら
のRNA調製物から製造し、そしてPCR増幅にゆだねた。TS
Hβ mRNAを生成する正のコロニーの数を、ポリアクリ
ルアミドゲル上で可視化されるような247bpのフラグメ
ントの存在により決定した。スクリーンされた個々のプ
ールから、10〜70個のコロニーを得た。推定されるコロ
ニーの数/プール/トランスフェクションを用いて、TS
Hβ遺伝子転写が活性化されているG418耐性GH3細胞クリ
ーンの数を評価した。プールが陽性であると試験された
場合、それは、その特定のプールに存在する1つの陽性
コロニーを表わすことが推定された。
これらの結果は、本発明の方法による通常転写的に不
活性なTSHβ遺伝子の好都合な活性化を示す。TSHβ転写
のために陽性であるコロニーの数は、G418耐性であるコ
ロニーの数に比較して少数であるが(103個のG418耐性
コロニー当たり約1個)、この結果は一般的に、他の相
同的組換え実験のために報告される速度と一致する(Mi
chael Kriegler,Gene Transfer and Expression A Lobo
ratory Manual,Stockton Press,New York,NY(1990),5
6〜60ページ)。相同的組換え速度は、標的決定された
遺伝子の転写の割合に比例すると思われることが一般的
に観察された(M.Frohmanand G.Martin,Cell,56:145(1
989);S.L.Mansourなど、Nature,336:348(1988))。
示された速度は、TSHβ遺伝子に対して生じるランダム
変異のために予測される速度よりも3倍程度早いことが
注目されるべきである。
個々のコロニープールについての結果が再生可能であ
り、そしてRNA転写の活性化が安定していることを確か
めるために、第1回のスクリーニングで陽であると試験
されたプールに対応する前もって凍結されたコロニープ
ールを融解し、そして培養により拡張した。新しく融解
されたGH3陽性プールを、T25組織培養フラスコに接種
し、そして細胞が70%〜80%の集密性に達するまで拡張
した。次に、80,000個の細胞を、個々のフラスコからの
24ウェルプレートにプレートし、そしてそれらが50〜70
%の集密性に達するまで増殖せしめた。RNAを、細胞か
ら抽出し、cDNAに転換し、そして6%ポリアクリルアミ
ドゲル上に個々のPCR反応物10μlを負荷することによ
ってTSHβ RNAの存在についてもう1度スクリーンし
た。第15図は、エチジウムブロミド染色及び蛍光により
ポリアクリルアミドゲル上で可視化される場合の第2ス
クリーンからの代表的なPCR反応の結果を示す。レーン
1,2及び3は、pRSVCATNEOによりトランスフェクトされ
たGH3細胞からのcDNAに対して行なわれたPCR反応物を含
む。pRSVCATNEOはTSHβに相同の領域を含まず、そして
従って、相同的組換えによりTSHβ遺伝子を活性化する
ことはできない。第15図におけるゲル上に見出されるよ
うに、TSHβ遺伝子が活性化されないことを示すそれら
のレーンにおける247bpに対応するバンドは存在しな
い。レーン6はまた、負の対照を含む。そのレーンにお
いては、3種のプールが、pRSVCATNEOTSHB3−5Xba I(A
pa I切断)によりトランスフェクトされているが、しか
し第1スクリーニングに基づくTSHβ遺伝子の転写のた
めには陰性であるGH3細胞のサンプルから組合された。
レーン6における247bpのフラグメントの不在は、ゲノ
ム中のランダムに組込まれたトランスフェクトされたpR
SVCATNEOTSHB3−5Xba I(Apa I切断)プラスミドの存在
が247bpのTSHβ PCRフラグメントを生成することがで
きないことを示す。レーン7,8,9及び10は、ラット下垂
体から収穫された合計RNAから製造されたcDNAに対して
行なわれたPCR反応物を、それぞれ反応当たり25ng,100n
g,200ng及び400ngの量で含む。通常TSHβを発現するラ
ット組織から調製されたcDNAから生成された、予測され
る247bpのバンドのこれらのレーンにおける存在は、PCR
反応条件が正しく最適化され、そして相同的組換えTSH
β陽性を含むレーン4及び5に得られるPCRバンドが正
しい大きさのものであることを示した。第1スクリーン
において陽性であるpRSVCATNEOTSHB3−5Xba I(Apa I切
断)によりトランスフェクトされた2種のプール、すな
わちレーン4におけるApa I−107及びレーン5における
Apa I−136は、TSHβ遺伝子の転写が安定して活性化さ
れたことを示すそれらのプールからの合計のRNA抽出物
から製造されたcDNAから増幅された正しいTSHβ PCRバ
ンドの存在により示されるように、TSHβ遺伝子活性化
のために陽性であることを再び示した。前の陽性Apa I
−107及びApa I−136からのRNAを含むレーン4及び5に
おける247bpでのバンドの存在及びレーン1〜3におけ
るpRSVCATNEOトランスフェクトされたGH3細胞の負の対
照及びレーン6におけるpRSVCATNEOTSHB−3−5Xba I
(Apa I切断)トランスフェクトされた負の対照におけ
るバンドの不在は、前記RNAを通常生成しない細胞系に
おけるTSHβ RNAの生成が相同的組換えにより安定して
開始されたことを示した。
本発明は、本明細書に記載される細胞系に限定されな
い。すべての細胞系は、通常不活性である遺伝子情報を
有する。ほとんどは、一定の遺伝子のみを発現すること
ができる。しかしながら、そのようないづれかの細胞系
の通常転写的に不活性な遺伝子は本発明に従って遺伝子
生成物を発現するために活性化され得、そしてゲノム中
のいづれかの遺伝子は、本発明に従って変性されたその
発現特徴を有する。前の形質転換が対象の遺伝子を破壊
しない限り、前もって形質転換された細胞系が使用され
得る。細胞系の源は重要でない。その細胞系は、動物又
は植物系であり得、連続的又は不滅的であり得る。もち
ろん、そのような細胞系は、本発明の技法による処理の
後、発現が商業化され得るように安定し且つ不滅的であ
ることが所望される。クローンされた微生物は、真核又
は原核生物のいづれであっても、また本発明の技法によ
り処理され得る。
本発明は好ましくは、通常転写的に不活性な遺伝子の
発現に関して記載されて来たが、本発明の技法はまた、
宿主細胞系に天然において発現される遺伝子の発現特徴
の変性に適用できる。たとえば、発現が意志により開始
され、そして停止されるように、遺伝子の発現を培養条
件又は同様のものに対して依存性にすることが所望され
る場合、抑制能力又は誘発能力のような特徴を付与する
適切なDNA調節セグメント、たとえば調節可能プロモー
ターが挿入され得る。たとえば、細胞型が核ステロイド
受容体、たとえばエストロゲン、テストステロン又はグ
ルココルチコイド、又はチロキシン受容体を含むことが
知られている場合、領域Fとしてステロイド又はチロキ
シン応答要素を使用することができる。そのような応答
要素は、転写に対する正の応答を誘発するためにそのよ
うな受容体に結合するいづれかのDNAである。たとえ細
胞がグルココルチコイドに天然において応答しない場合
でさえ、グルココルチコイド受容体をコードするDNAの
断片が、グルココルチコイドに対して応答性の細胞を製
造するために、構造体に付加され、又はゲノムのどこか
に挿入され得る。調節可能なプロモーターの使用が、対
象の遺伝子が通常転写的に不活性であろうとなかろうと
所望される。他の種類の調節がまた、本発明の方法によ
り対象の正確な位置に適切なDNA調節セグメントを標的
決定することによって得られる。
従って、通常転写的に不活性な遺伝子の発現の刺激は
本発明の好ましい適用であるが、その広い意味におい
て、それは宿主細胞系に対して内因性のいづれかの遺伝
子の発現特徴の変性に適用できる。
相同的組換えの特定技法は、それ自体、本発明の新規
部分ではない。そのような技法は知られており、そして
当業者は、そのような技法が、対象の遺伝子に関して所
望する位置にDNA調節配列の標的決定を可能にする限
り、本発明に使用され得ることを理解するであろう。好
ましい技法が、挿入されるべき配列のいづれかの末端上
に2つの相同領域を有する線状化された構造体を用いて
開示されているが、たとえば環状構造体を用いることに
よって、この機能を達成するであろういづれか他の技法
もまた、本発明により包含される。本発明の臨界特徴
は、細胞系のゲノムにおける遺伝子、好ましくは通常転
写的に不活性な遺伝子により操作的に結合された、使用
される細胞系又は微生物における発現特徴の変性を引き
起こすDNA調節配列を挿入するために、又は増幅可能な
配列の変性に基づいてそのような遺伝子の増幅を引き起
こすためにすでに転写している細胞系のゲノムにおける
遺伝子の十分に近くに、調節配列を伴わないで、増幅可
能な配列を挿入するためへの相同的組換え技法の使用で
ある。選択可能マーカーがまた包含されることは絶対的
に必要なものではない。選択は、DNA構造体の挿入に続
く培地又は細胞における対象の遺伝子生成物又はmRNAの
検出のみに基づかれている。さらに、調節配列が挿入さ
れる態様においては、所望には、増幅は操作能力のため
に臨界ではない。同じことが、スクリーニング工程を容
易にする負の選択遺伝子のために真であるが、しかし本
発明の成功のためには臨界でない。従って、基本的な態
様は、所望する特定の位置にDNA調節セグメント又は増
幅可能なセグメントの挿入のみを必要とする。しかしな
がら、調節セグメントが付加されている態様での増幅可
能な遺伝子の付加のように、選択技法に使用するために
正及び/又は負の選択可能マーカー遺伝子の付加が好ま
しい。
本明細書及び請求の範囲を通して使用される用語“発
現の変性”とは、対象の生成物の発現を阻止するため
に、相同的組換えにより、対象の遺伝子中に変異、欠
失、停止コドン又は他のヌクレオチド配列、たとえば全
体の遺伝子を挿入することによって発現の終結を除外す
るように定義される。従来の技術は、特異的変異を導入
するために相同的組換えの使用を教授し、そして細胞生
成物の発現は、その手段により本質的に停止せしめられ
得る(たとえばSchwartzbergなど、PNAS(USA),87:321
0〜3214(1990)を参照のこと)。本発明は、そのよう
な方法を包含しない。本発明においては、“発現の変
性”は、相同的組換えにより特定の所望する位置で調節
及び/又は増幅領域を挿入することによって達成され
る。好ましい変性は、対象の生成物の発現を活性化し、
そして/又は増強する変性である。
本明細書は、DNA調節セグメントが遺伝子“により操
作的に結合される”という句を使用する場合、そのよう
な用語は、DNA調節セグメントが、そのような遺伝子の
転写がそのDNA調節セグメントにより調節されるように
対象の遺伝子に関して配置されることを意味する。調節
セグメントは好ましくは、遺伝子の上流に存在するが、
しかしその遺伝子の下流又はその遺伝子内に存在するこ
とができるが、但し、それはある手段において遺伝子の
発現を調節するために作用する。DNA調節セグメント
は、プロモーター、ターミネーター、オペレーター、エ
ンハンサー、サイレンサー、アテニュエーター又は同様
のもの、又はそれらのいづれかの組合せであり得る。
用語“上流”又は“下流”が本明細書及び請求の範囲
に使用される場合、これは対象の遺伝子のコード鎖に対
して、それぞれ5′−方向又は3′−方向を意味する。
前述の発明は、明確に理解するために例示的及び例的
にいくらか詳細に記載されているけれども、特許請求の
範囲内で修飾及び変更を行なうことができる。本明細書
に使用される誘法及び用語法は、記載の目的であって、
限定的ではないことが理解されるべきである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−215280(JP,A) GENE,Vol.29,pp.231− 241(1984) Nature,Vol.336,pp. 348−352(1988) Science,Vol.245,pp. 1234−1236(1989)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分化した真核培養細胞系内のゲノム内の通
    常転写的に沈黙した遺伝子を活性化し、そして当該遺伝
    子の遺伝子生成物を発現させる方法であって、 (a)相同組換えにより前記ゲノム中にDNA構造体を挿
    入し、ここで当該DNA構造体は、作用的に結合されてい
    る場合に前記遺伝子の発現を刺激することができるDNA
    調節セグメント及び前記遺伝子内の又はそれに近い前記
    ゲノム領域に相同のDNA標的決定セグメントを含んで成
    り、ここで前記構造体は前記調節セグメントが対象の前
    記遺伝子に作用的に結合されるように挿入され; (b)前記細胞系を前記遺伝子生成物の発現が可能とな
    る条件下で培養し; (c)前記遺伝子生成物を回収する; ことを含んで成る方法。
  2. 【請求項2】前記DNA構造体が、十分接近して挿入され
    た場合に前記沈黙した遺伝子を増幅することができる発
    現可能な増幅可能遺伝子をさらに含んで成り、ここで当
    該DNA構造体は、前記増幅可能遺伝子が増幅されるとき
    に対象の前記沈黙した遺伝子の増幅を引き起こすよう当
    該沈黙した遺伝子に前記増幅可能遺伝子が十分に接近し
    た状態で挿入される、請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】前記DNA構造体が、前記発現可能な増幅可
    能遺伝子と共に挿入されるように配置された少なくとも
    1つの発現可能な選択可能マーカー遺伝子をさらに含ん
    で成る請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記DNA構造体が、前記遺伝子内の又はそ
    れに近い前記ゲノムの領域にそれぞれ相同の2種のDNA
    標的決定セグメントを含んで成り、前記標的決定セグメ
    ントの1つは前記調節セグメントの上流に存在し、そし
    て他方は前記調節セグメントの下流に存在する請求の範
    囲1,2又は3項記載の方法。
  5. 【請求項5】前記DNA構造体が、前記調節セグメントと
    共に挿入されるように配置された少なくとも1種の発現
    可能な選択可能マーカー遺伝子をさらに含んで成る請求
    の範囲第1〜4項のいずれか一項記載の方法。
  6. 【請求項6】前記DNA構造体が、前記構造体が相同的組
    換えにより正しく挿入される場合、挿入されないように
    前記標的決定セグメントに関して配置される負の選択可
    能マーカー遺伝子をさらに含んで成り、それによって前
    記負の選択可能マーカーは、前記DNA構造体が正しく挿
    入される細胞において発現されない請求の範囲第1〜5
    項のいずれか一項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記細胞系が動物細胞系である請求の範囲
    第1〜6項のいずれか一項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記細胞系が哺乳類細胞系である請求の範
    囲第1〜6項のいずれか一項記載の方法。
  9. 【請求項9】前記細胞系が植物細胞系である請求の範囲
    第1〜6項のいずれか一項記載の方法。
  10. 【請求項10】さらに前記遺伝子生成物の発現を引き起
    こすために、前記挿入段階に続いて下記段階: 前記選択可能マーカー遺伝子の生成物を発現する前記真
    核培養細胞系のクローンを選択する段階をさらに含む請
    求の範囲第5項記載の方法。
  11. 【請求項11】前記選択可能マーカー遺伝子がネオマイ
    シン耐性遺伝子であり、そして前記選択段階がネオマイ
    シン耐性を有するそれらのクローンを選択することを含
    んで成る請求の範囲第10項記載の方法。
  12. 【請求項12】前記DNA構造体が、前記構造体が相同的
    組換えにより正しく挿入される場合、挿入されないよう
    に前記標的決定セグメントに関して配置される負の選択
    可能マーカー遺伝子をさらに含んで成り、それによって
    前記負の選択可能マーカーは、前記DNA構造体が正しく
    挿入される細胞において発現されず、そして前記選択す
    る段階が前記負の選択可能マーカー遺伝子を発現しない
    クローンを選択することを更に含む請求の範囲第10又は
    11項記載の方法。
  13. 【請求項13】前記負の選択可能マーカー遺伝子がヘル
    ペス単純ウィルスのチミジンキナーゼ遺伝子であり、そ
    して前記選択段階が前記遺伝子を発現する細胞を殺害す
    る培地への暴露に対して生存するそれらのクローンを選
    択することを包含する請求の範囲第12項記載の方法。
  14. 【請求項14】ゲノム内の通常転写的に沈黙した遺伝子
    の遺伝子生成物を発現することができる分化した真核培
    養細胞系であって、 相同組換えにより前記ゲノム中にDNA構造体が挿入さ
    れ、ここで当該DNA構造体は、作用的に結合されている
    場合に前記遺伝子の発現を刺激することができるDNA調
    節セグメント及び前記遺伝子内の又はそれに近い前記ゲ
    ノム領域に相同のDNA標的決定セグメントを含んで成
    り、ここで前記構造体は前記調節セグメントが対象の前
    記遺伝子に作用的に結合されるように挿入される; ことにより前記遺伝子が活性化された分化した真核培養
    細胞系。
  15. 【請求項15】前記挿入されたDNA調節セグメントが、
    前記DNA調節セグメント及び少なくとも1つの選択可能
    マーカー遺伝子を含んで成る前記DNA構造体の一部であ
    る請求の範囲第14項記載の真核培養細胞系。
  16. 【請求項16】前記DNA構造体が増幅可能な遺伝子をさ
    らに含んで成る請求の範囲第15項記載の真核培養細胞
    系。
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